2018年11月05日 [月]
『横歩取り超急戦のすべて』

この本は、大きく分けて△33角戦法、△44角戦法、△45角戦法について書かれています。△33角戦法は先手が横歩取った時に指す△33角ではなくて、後手から角交換にいった直後に△33角と打つ形の事です。△45角戦法は後手超急戦の代表戦法で、「羽生の頭脳」とどれぐらい違うかが重要なところ。△44角戦法は「羽生の頭脳」に出てないので、この本なりほかの定跡書での勉強が必要!という感じでしょうか。
△45角戦法について。これが本書のメインディッシュで、半分以上がこの戦法についてです。ザックリいうと、この本の△45角戦法は「羽生の頭脳」よりもいろんな変化が出ています。ただし、羽生の頭脳で良いとされた手の評価が変わる事はなく、また羽生の頭脳の結論以降の指し手もあんまり出てません。
△44角戦法。これは「羽生の頭脳」に出ていないので、なにかの定跡書で勉強しておく必要があると思います。僕がこれをはじめて食らったのはネット将棋で、知らなかったもんだから面食らいました。その後は、その時の感想戦で、ギャラリーの方に教えてもらった定跡で対処していたのですが、ようやくこの本で定跡を確認できました(^^)。
△33角戦法。これは先手が横歩を取った後の△33角ではなくて、先手が横歩を取ったら△88角成▲同銀とした後の△33角です。僕はこの手を指された経験はないのですが、この本に書いてる定跡手順で進むとしたら、もし後手がこの順に踏み込んできたとしたら、僕は絶対に正着を指しきれません(^^;)。何手も前から、あんな▲75角は浮かばないし、玉を裸像遷移されて先手十分なんて形勢判断は僕には無理。というわけで、嵌め手満載の横歩を先手で指すなら、この章も必読レベルでした!
というわけで、△33角戦法と△44角戦法は、先手で指す人も後手で指す人も必読!△45角戦法は、「羽生の頭脳」で勉強してるかどうかで枝分かれ。先手をもって△45角戦法の対応をしようという人で、すでに「羽生の頭脳」で勉強をしている人は、ある程度以上の棋力さえあれば、わざわざこの本を読まなくても良さそう。ただ、後手を持って指したい人が、速い段階で変化してみたいのであれば、羽生の頭脳に書いてない色んな変化が出てるので、一読の価値はあるかも。いずれも、最善手を指すと後手が良くするのは難しいみたいですが、でも横歩超急戦は、級位のうちに死ぬほど指しておいて損はないんじゃないかと。特に先手を持って横歩を指すなら、後手に選択権があるこの3つの超急戦の受けの勉強はいつかしないといけないので、級位のうちに何度もやられつつ定跡を覚えるのが有用じゃないかと(^^)。この本を読めば、「横歩は超急戦の嵌め手がおっかなくて指せない」という居飛車党の級位者がぜったいに味わう辛い期間を短縮してくれること間違いなしじゃないかと!
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NoTitle
これ、ずっと欲しかった棋書です。
飯島先生の横歩3部作でこの本だけ絶版なんですよね。
最近は定跡の進化に棋書の出版が追い付いていない感じですよね。特に相居飛車。戦法の流行、変遷に先生方の執筆が追い付かない…。
ソフトでの検討、SNSで情報共有がこれからの主流になっていくのでしょうか。
ご存じかもしれませんが、年末に長岡さんの角換わり本が出るみたいです。あと康光さんの勝局集も。amazonの将棋新刊に表示されていました。今年中に青野流、勇気流の出版はなさそうですね。残念!