第88期棋聖戦 第1局 斎藤慎太郎 vs 羽生善治 (矢倉)

 始まりました棋聖戦!棋聖戦って、竜王戦に名人戦と2日制7番勝負のタイトル戦が続いた後で、1日制&5番勝負だから、気楽に見れて好きです(^^)。僕がはじめてリアルタイムで棋聖戦を観たのは2012年から、あの時は羽生vs中村太地戦でした。第1局が横歩から寄せ合いになっての1分将棋、超難解な土壇場で羽生さんがひっくり返しての勝ち。翌2013年は羽生vs渡辺戦。第1局は後手渡辺さんが横歩△33角85飛と△41玉の中原囲いを組み合わせて挑み、これを羽生さんは角交換から▲77桂として飛車に当てて飛車を86に引かせ、7筋の歩をさらに伸ばして交換した後に▲72歩の垂れ歩!なんという順か…この将棋、いまだに僕の△33角85飛破りの基礎になっています(^^)。続く第2局は相横歩、リアルタイムで相横歩を見たのもこの時が初で、この対局と『羽生の頭脳』で相横歩を学ぶことになったので、やっぱり棋聖戦は思い入れがあります(^^)。

 さて、今日は先手斎藤さんの初手▲76歩に対して羽生さんは△84歩!えええ~斎藤さん相手に矢倉に誘うのか?!いや~、羽生さんは対戦の少ない若手相手に負け越すことが結構ありますが、それって野球の日本シリーズの第1戦みたいなもので、勝負よりもデータ取りに徹してるんじゃないのかなあ…。今回、羽生さんは名人戦を戦ってないので研究時間は十分のはず、古い将棋に誘うのか急戦に行くのか、まさかとは思いますが左美濃にしたりして(^^)。これからどうなるのか楽しみです!

20170601棋聖88-1_斎藤慎vs羽生_矢倉42手◆◆◆◆◆
 今は昼食休憩が終わって対局再開直後ぐらいです。どうなったかな…うあああ、なんと互いに相矢倉の本組み、しかも先後同型です!羽生さん、最新形でも急戦でもなく、古い将棋に持っていきました!いやあ、角換わりなんかで互いに仕掛けの筋が消えて手待ち合戦になるような将棋ならともかく、万全の体勢から攻め合いになる将棋で先後同型は基本的に先行した方が有利と僕は勉強したんですが、もしそうならさすがにこれは先手がいいのでは。。飛車先の歩を25まで進めた時はやっぱり▲37桂47銀の形から▲45歩で仕掛ける形が戦いやすいですよね、さてどうなりますか。。

▲45歩△同歩▲同桂△44銀▲46銀
 先手、仕掛けました!4筋から仕掛けて桂を跳ねて2筋の歩の突き捨ての権利を得て、桂を銀で支えたところで手番は後手。この何度か順番に手番が移って攻めを進めあうところが矢倉っぽいですよね(^^)。

△65歩▲同歩△75歩
 後手も6筋から行きましたが、桂を跳ねる前に味つけの△75歩を挟みました。ここで先後同型からおさらば、さてどうなるのか…

▲24歩△同歩▲35歩
 ここで先手は権利となっていた2筋の歩の突き捨てを挟んでから3筋の歩を突きました。右銀と右桂の活用を図りにいった手だと思いますが、この歩を後手は取らないんでしょうね…

20170601棋聖88-1_斎藤慎vs羽生_矢倉54手△76歩(54手目盤面図)
 やっぱり取らないで攻めに手を回したか(^^;)…。これで後手は2筋/8筋の歩の突き捨てを入れられなかったかわりに、3筋/7筋の突き越しで先手を取りました!それにしても、矢倉中盤のこういう局面図ってややこしい…

▲同金△67歩
 羽生さんの△67歩はノータイム指し!なかなかムズカシイ局面だと思うんですが、なんでノータイムなんだろう。研究手順という事か、それとも先手が何かミスしたとみて速攻で咎めたのか…ああ~なるほど、▲同金なら△75歩~△74銀で銀桂を活用しに行けるし、▲57角なら△74銀~75銀でやっぱり銀桂が捌けるのか。また、3筋の歩を放置した後手に対して、7筋の歩をとった先手という事で、速度的にも逆転するのか。これで先手玉付近の戦場は突破の目途が立ちましたが、問題は先手の攻めと比べて速度的にどうなのかという所。これは真剣に考えないとちょっと分からないな…いや~後手からは攻めるなら△34歩も△23歩もあるし、受けるなら▲66銀も▲75歩もありそうだし、難解だなあ。。まだ受けの方が計算が早そうなので、こういう時って受けから考えた方がいいんでしょうね。早指し戦なら?う~ん、時間がないなら目をつぶって▲34歩でしょうか、どうせ右桂が捌けなければ先手は勝負になりそうにありませんし、攻めもある程度間に合わせておかないと矢倉はヤバいですしね。な~んてちゃんと読まずに勘で指しているから、僕は全然強くならないんだな。。

20170601棋聖88-1_斎藤慎vs羽生_矢倉77手 さて、少し進んで77手目盤面図。後手の羽生さんは右銀を捌いたものの右桂はいまだ捌けず、また△25歩を打ち直したもので飛車道が止まりました。また、解説のプロ棋士さんたちの間では、△66角が後手玉のラインに入っているので後手がおっかなくなったとの事。ここで驚いたのは…

△75角
 うああああ~角切りだああ!!!
いや~まったく読んでいなかったというか、よくこんな手を思いつくな…と思ったら、プロ棋士さんたちはこの手を検討していて、しかもこれは▲同角から先手勝ちではないかとの事。いやいや、プロはみんな読んでいる筋なのか、やっぱりプロはすごいですね(^^;)。。

▲75同歩
 この将棋、最後は羽生さんが勝ったんですが、終局間際に谷川さんが「▲75同歩が分岐点」みたいな事を言っていて、代えて▲同角なら先手勝ち筋だったかもしれないとのこと。マジか…でも、僕みたいなアマチュアの感覚ではここは▲同歩が本線と思うんですよね。だって、もし▲75同角としたら、せっかく玉のコビンに利きが集まっているのに角筋がそれちゃ先手の攻め筋は消えちゃうように見えるし、そもそも△75角の狙いは▲同角と取らせて角の利きを逸らしつつ77の桂についている角の紐をほどいて、△79銀▲同玉△77桂成と思うじゃないですか。その局面って飛車取り&玉頭を押さえる事になっていて、とてもじゃないけど激痛としか思えないそんな局面には進みたくありません。しかしそれが羽生さんの用意した毒団子だったのかも。

 このあと、先手後手とも2手すき状態からの寄せに行くんですが、これがメッチャクチャ高度でした。具体的には、▲75同歩以下の後手の迫り方は△86歩▲同歩△67歩。なんでこの順なのか、僕は理解するのにかなりの時間を要しましたが、これは見事だ。。結局、ここで斎藤さんが自分が悪いと思ったか王手ラッシュに出て、これがまた鋭いことこの上ないんですが、これをすべて見切って延々27手を躱しきって110手にて後手羽生さんの勝ち!!

 いやあ、言葉が出ません。久々に本気でプロ将棋を考えながら観ていたのですが、とんでもなく高度で眩暈がしました。戦いが始まってからの羽生さんの攻めですが、受けがスゴイとか攻めが凄いというよりも、どこで同型の将棋の先手を入れ替えるかというところとか、そこからの将棋の作り方、手が広い中盤でどれも難しそうなのに選ばれた手が、なんでそうなんだろうとよくよく考えたりプロの解説を聞いたりすると…とんでもなく読みが入っていて脱帽です。定跡や研究がどうとかでなく、将棋の地力がとんでもないレベルに達してないと、とてもじゃないけどこんな棋譜は残せないんじゃないかなあ。この棋譜は宝物にして取っておこうと思います、すごかった…。。

*2017.6.2 追記:
昨日の棋聖戦が凄すぎて、一夜明けてもまだ感動を引きずっています。そろそろ感想戦を反映させた棋譜が公開されるかなと思って覗いてみると…昨日の棋譜中継では、77手目の角捨てに対して78手目は▲同角だったら先手勝ちといわれてましたが、実際には▲同角でも難解だったみたいです。引用すると…

20170601棋聖88-1_斎藤慎vs羽生_矢倉77手「※局後の感想※(78手目△75角に対する▲75同歩に)代えて▲7五同角は、△7九銀▲同玉△7七桂成に▲3八飛が詰めろだという。以下△1二玉▲4一角△3二歩が一例で「分かりませんね」と羽生。」

 ちなみに、昨日の棋譜中継では…「(78手目△75角)以下▲7五同角△7九銀▲同玉△7七桂成に、▲3三銀△同桂▲3一角打△2一玉▲3三歩成で先手勝ちという結論が出されているが、果たして。」

 いや~、控室の検討筋も感想戦の検討筋もやってみたんですが、どちらもすぐには詰まなかったんですが、それは僕の棋力が低すぎるせいもあると思うので、やっぱり僕程度では分かりませんでした。くやしいのは、こんな終盤でここまでヒントを与えられても詰むとか詰まないとか結論を出せない自分の棋力の低さです(T_T)。。だって、感想戦で示された寄せの一例をさらってみても、▲41角は王手になっていないので一手空き、凌げるなら感想戦どおりに合駒で凌いでもいいし、難しいようなら3筋に回った飛車が危険なのでここで王手を続けて反撃して飛車を抜く事だって可能です(その時に金を渡しても本当に大丈夫なのかは、寄せ合いの第2ラウンドまで読まないと分かりませんが^^;)。それでもひとつ思ったのは、やっぱり▲7五同角とすると以降は△7九銀▲同玉△7七桂成が本筋みたいですが(やった当たった*^ ^*)、それでも先手が耐えているという所、ここにビビりました。すごいな…。あと、その筋があるから▲75同歩が普通だと思ったわけですが、これが相手を信用するというやつなのかも知れませんね。(^^)。

 いや~それにしても素晴らしい将棋でした。何度も見返して特にすごいと思うのは、実は昨日ブログに書かなかった54手目から78手目△75角までの攻防戦です。なんで書かなかったかというと、凄すぎて僕の棋力ではついていく事が出来なくって、書けなかったんです(T_T)。でも、54手目の嫌な歩の突き捨ての応手にせよ、66手目の精算せずに繋げに行った狙いにせよ、「こういう意味かな」とか思い始めると、背筋がゾクッとしてしまいます。53手目までは形とか大局観やそこそこの読みでも指せる気がするんですが、54手目以降は全部こんな感じで深い読みや狙いが入った手にして思えなくて、こういう将棋を見ると、自分は将棋を指している時に考えている気になっていながら全然考えてなくって勘や形だけで指しているだけだったというのを痛感させられました。羽生さんも斎藤さんも凄い…。今年観た将棋の中では断トツのすごい将棋でした。 (追記終わり)


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Author:ShougiX
駒の動かし方を知っていた程度の初心者です。せいぜい1日1時間ぐらいしか将棋に時間を割けない社会人が、ガンバって1年で初段になる事が目標です!
(*追記)10ヶ月ちょいで初段到達!!ただいま、居飛車側から各戦型に対応できるよう奮闘中(汗)。。

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