第74期名人戦 第1局 羽生善治 vs 佐藤天彦 (横歩取り)

 ついに始まりました名人戦!春ですね~。今回は羽生さんが負けてしまうような気もしていて、ちょっとドキドキです。第1戦は天彦さんが後手。これは嫌な予感が…おおお~後手横歩取り、きたあああ!!羽生さん、初戦から相手の得意戦法を受けて立ちました!△33角戦法から双方とも玉をまっすぐ立った所までは現在の横歩の本筋。面白かったのは、先手羽生さんが右の金も銀も立たないうちから▲36歩を先に指したところ。まだ1日目の午前中ですが、これは面白い事になりそうです。。

20160405名人74-1_羽生vs佐藤天_横歩27手 で、羽生さんは右の金銀を動かさないままという方針を貫いてしまいました。それが27手目盤面図。▲36歩を突いて飛車の横利きが止まり、これを後手が咎めるとしたら△74飛が第一感。それは当然先手も分かって指しているので「これは最初のチャンスは見送れという典型的な形かな?」と思ったんですが、天彦さんは積極的にこの順に飛び込みました。そうなると▲35歩は必然…みたいな流れで、27手目に辿りついた感じ。ここから…

△25歩
 後手横歩で先手右辺にアヤをつけに行く手を得意にしてきた天彦さんらしい手です。▲同飛だと飛車の横利きが消えるので、ここは当然横に逃げるんでしょうが、だとすると▲56飛?こうなると古い横歩の構想で、両桂跳ねて…みたいな感じが本線かな?でもそうなると△24飛との競争になる?いや、その前に角交換をどちらが入れるかという問題もあるのか…う~~んむずかしいいい。。

▲同飛△76飛
 マジかああああ、羽生さん、さほど時間も使わずに取ったああああ!!!これだけはないと思ったんですが、そこに踏み込んじゃうのか。。でもそうすると、僕レベルでは既に先手がどう受けていいか分かりません。まともに行ったら先手左辺が破れなので、ここで▲34歩や右辺の整備は全部無いとすれば、ここで先手にありそうな手は…強い手なら▲33角成、受けるなら77に合駒を入れるか、超絶に怖いけど▲68玉ぐらい?いや、玉寄りはいくらなんでも戦場に近すぎるうえに3枚目の金駒の援軍なしが怖すぎるからちょっと指せないですよねえ。じゃ、合駒かな?僕なら恥も外聞もなく謝っちゃって▲77歩で延命を図っちゃいそうが(^^)、この形に誘導した以上は善悪ではなく▲77金かな…

▲77角
 いや~すげえ、角なのか、これも角はないと思ったんだけどなあ。でも、という事は、角筋を通しておかないと△55角がヤバすぎるという事かな?それとも、後手から角交換して貰って手順に金をあがりたい?まだ31手目なのにすでに△45角戦法なみの激しさ。難しくって分かりません(∵`)。

△同角成▲同金△36飛
 しかしこれは…本筋っぽい手を指していくだけでも、後手の攻撃が厳しく見えます。でも、あんまりゆっくりしてると▲34歩とかいろいろ飛んできちゃうので、見方を変えれば後手もスピードを要求される攻めなのかな?これは、先手はしばらく受けに回る方針かな?

 この後もう少し指して37手まで進み、天彦さんが38手目を封じました。天彦さんは封じ手にけっこう時間を使ったんですが、これはここで良くしてしまおうと考えていた気がしました。たしかに、なんかいい手を指したら決まっちゃいそうな局面にも見えます。いや~横歩はオソロシイ。見ている分にはこんなに激しくて面白い将棋もありませんが、こんな激しい&危険な順に行くのは、自分では怖すぎて無理。プロの評価では後手持ちの人が多かったみたいですが、一手でひっくり返りそうな超急戦模様なだけに、野球で言えば乱打戦、どうなるか分かったもんじゃないですよね。さて2日目はどうなりますか。。

◆◆◆◆◆
 ただいま、2日目の夕食休憩明け、夜7時です。メッチャ面白い(^^)。羽生さんの▲96歩がすげええ!!天彦さんの、十字飛車を掛けさせてからの掛け返しもすげええ!!横歩じゃないとなかなか見られない大技合戦なんじゃないかと(^^)。今日はニコニコ生放送をずっとチラ見出来たんですが(ちょくちょく追い出されます(。^д^))、渡辺竜王の解説がメッチャ分かりやすいです。今でもどちらが良いのかよく分かりませんが、難解な最善手を求められていて、それを指せないとどちらもいきなり劣勢になる…みたいな感じなので、形勢判断はそこまで重要じゃないかも。いや~、すごい名人戦になりましたよ、これは(^^)。

 ただいま8時25分。羽生さんの美濃崩し、思いっきり入っちゃってます。天彦さんがどこまで粘れるかという感じですが、これはキッツイんじゃないかなあ。

 ただいま8時58分。天彦さん、投了しました。第一局は羽生名人の勝ち!!いや~、昨日の封じ手の時点では後手模様良しと言われていたのに、一体どこで逆転したんでしょうか。いや~、マジックというか、横歩はほんの少しで簡単に優劣が入れ替わるから難しいっす。
 これで名人戦は羽生さんの先勝。とはいえ、先手番の一勝なので、まだ全然分からないですね。本当は振り返りたいんだけど、実は仕事が終わってません(^^)。さて、ちょっと仕事がんばるぞ~!

◆◆◆◆
20160405名人74-1_羽生vs佐藤天_横歩54手 仕事終わりました!!さて、日付が変わっちゃったけど、一体どこでひっくり返ったのかがまるで分ずに???状態だったので、2日目をちょっと見直してみようかな(^^)。少なくとも54手目盤面図あたりまでは、シロウト目には先手かなり悪いように見えました。なんといっても自陣の形が厳し~い。いや、アマチュアなもんで、普通じゃない形になると悪いように見えちゃうのかも知れませんが(^^;)。何が厳しいって、①自陣左辺の金銀の連結は最悪、②角が思いっきり的にされている上にあまりいい働きをしているように見えない、③飛車の攻め筋がない上に、守りも飛車だけでは角頭を守り切れるようには到底思えない、こんな感じでしょうか。この局面図に至るまでの流れも、先手が打ち込んだ怪しい角を咎められて押し返されての37角、さらにその角頭を狙って銀を伸ばされて、角頭を押さえられるのは時間の問題。飛車も1日目の△25歩の叩きを▲25同飛として以降、▲24飛~▲84飛~▲85飛~▲84飛と追われまくって今に至る感じ。左辺の金銀の連結も悪い所に後手飛車の照準を合されちゃってるし。つまり、1日目後半から2日目アタマのこの辺までは、先手の模様が悪い→羽生さん粘りつつ怪しい手で複雑な局面を目指しに行く→天彦さんそれを片っ端から咎めてむしろ差を広げる→先手ピ~ンチ!!…みたいな感じなのかな?いや~、アマの僕からしたら、この盤面図で先手が何を指していいのかまったく分かりません。ところが、ここからの羽生さんが…

▲76飛
 うおおお、飛車をぶつけたああ!!!
いや~、とうてい捌けそうになくなった飛車の活用をみるのは分かりますが、でも仮にこれを△同飛▲同金と進んだら、スッカスカの左辺の金まで浮かされちゃって、もう取り返しのつかないぐらいにひどい形になっちゃわないかい?それでも飛車を捌きに行く方が良いという判断なのか。
 しかし考えてみると、後手はこの飛車交換を拒否しづらいかも知れません。交換以降の後手の攻め筋はおいておくとして、飛車を逃げたら▲74歩ですよね?それを△74同歩としたら▲91角成で後手陣が一気に潰れるうえに、後手からしたら的にしてきた角頭の攻め筋がなくなるので、さすがにこれはまずいっす。それは代えて△74同飛でも同じ事。という事は、飛車をかわす場合には、▲74歩よりも厳しい攻めが後手にないといけないのか。あるとしたら44か54でしょうけど、それでも▲74歩だと?△44飛▲74歩△35銀▲73歩成△同銀▲74歩△64銀に…▲同角とバッサリ行って△同歩▲82銀とか?いや~先手は角銀交換の駒損ですが、けっこう怪しい状況になる上に、先手が手番を握るのか。いきなり銀を打ち込む前に▲36歩を入れて銀を追い返しておけば先手の攻撃を遅らせる事も出来るのかな?なんか他にも色々味つけできそうだな…これは手も広い上に、結構ちゃんと読みを入れないと怖くて踏み込めそうにありませんね(^^;)。というわけで天彦さんは…

△同飛▲同金
 飛車交換に応じました!そして手番は後手天彦さん。働きの悪い飛車を捌かせた以上、ここで一気に攻めきりたい所ですが…

△43角▲77金△35銀
 桂頭を守りつつ金に当てる筋違い角を打ってから△35銀!この角打ちが受けの天彦さんらしいというか、手番を渡さないように攻防手で受けてから攻めに行くんですね。これ、屋敷さんや丸山さんだったら勝っても負けてもいきなり△35銀だった気がします(^^)。次の△36歩が厳しいですが、ここで手番は先手で…

▲21飛△46歩▲同歩△26歩▲同歩
 ▲21飛は入りますよね。しかし驚いたのは、天彦さんの応手。アマ的には、美濃を横から飛車で攻められるのは異常に守りにくいので、△31飛▲同飛△同金で一段金を作って打ち込み場所を消すのかと思いました。しかしなぜそうしないで△46歩なんだろう。大体、△46歩ってどういう意味なんだ?…もしかして▲55角が厳しい?!いや~、先手の角は、思いっきり的にされている時限爆弾ですが、しかし爆発するまでは美濃の急所に刺さっているという、勝っても負けてもこの将棋のキーマンだったのかも。しかも、先手には常に▲74歩があるので、薄いと思っていた7筋の歩がないのは、こと攻撃に関しては先手に都合がよかったとすら思える展開。しかも、天彦さんの歩の攻めを全部単に▲同歩と取ってしまうのが異常に不気味…

△31飛▲同飛成△同金
 あ、やっぱり飛車を合わせて消すのか(^^)。でもこのタイミングなんですね。あがった金を下げる事になるので若干悔しいかも知れませんが、やっぱり美濃で守るなら飛車の打ち込みを消しておく事を優先した方が良いですよね。

▲78玉△71玉▲68銀△82玉
 なんと、ここで囲い合い(^^;)。いや~しかしこの囲い合いはどちらが得したんでしょうか。少なくとも先手はデンジャラスすぎる即死級の玉に金銀を引っ付けられたのは大きい。対する後手は…いや~角のラインがありますから、むしろ美濃崩しの餌食になりそうな不安もあるし、△71玉まではいいとして△82玉は展開次第では良し悪しかも。これは先手得した囲い合いの気もします。そして…

20160405名人74-1_羽生vs佐藤天_横歩73手▲56歩(73手目盤面図)
 うわあ、この手は指せない…。指された瞬間はよく分からず、しかし考えるほどにぞわっとくる一着でした。▲48角~▲66角or▲75角と攻撃に使いに行くわけですね。これは名人戦第一局でもっとも鳥肌の立った手でした。

 あの「先手打つ手なし」に見えたあの状況から先手は、まずかったハズの左辺を固め、飛車角を捌き、後手美濃囲いの美濃崩しに入ってしまいました。そして、美濃崩しに入ってからはあっという間、すげえええ。そうそう、今回の羽生さんの美濃崩しは『光速の寄せ』や『美濃崩し200』に出てくる手筋がバンバン出てきて、懐かしかったというか、けっこうおもしろかったです(^^)。

 それにしても、きっとあの飛車のぶつけから▲56歩までの間に、何かがあったんですよね。自分なりに振り返ってみましたが、全然わからんかった(^^;)。囲い合いが先手の得だったとして、ではそこを手抜いて後手に速い攻めがあったかというと…飛車の打ち込みを消せないとキツイから、それも違う気がするし、じゃあ速い手で最初の構想の角頭を押さえられたかというと、それよりも73の地点の先手からの攻めの方が速い。なんか、どこがというより、角筋と飛車の捌きと左辺の問題を一本に纏めちゃった羽生さんの構想がスゴすぎたという事かも知れません。羽生さん恐るべし。でも、前回の郷田さんとのタイトル戦もそうですが、羽生さんは序盤で押し込まれる将棋が目立ってるので、名人の圧勝で終わる事はない気がします。まあ、対局数が多すぎて昔からその傾向はあったそうなんですけどね。この名人戦、すごく面白くなりそうだなあ(^^)。


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Author:ShougiX
駒の動かし方を知っていた程度の初心者です。せいぜい1日1時間ぐらいしか将棋に時間を割けない社会人が、ガンバって1年で初段になる事が目標です!
(*追記)10ヶ月ちょいで初段到達!!ただいま、居飛車側から各戦型に対応できるよう奮闘中(汗)。。

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