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第28期竜王戦 第5局 渡辺明 vs 糸谷哲郎 (相掛かり)

 渡辺さん3勝1敗で迎えた竜王戦第5局。糸谷さんは負けたら竜王失冠。この竜王戦に限って言えば、糸谷さんは序盤でいいように揺さぶられている気がします。誘いに乗ると自分の得意形が指せない。拒否すれば渡辺さんの研究が爆発しそうな戦型に入る。地獄の2択ですね。そして今日は横歩取り…かと思いきや、後手糸谷さんが横歩を拒否して相掛かり、これは糸谷さんから研究に引きずり込んだ!いや~、後手番横歩は想定できる事でしたので、そこから相手の研究を外す相掛かりとは、糸谷さん用意してきましたね( ̄ー ̄)。第5局にして、はじめて糸谷さんが自分の組み手に…

20151202竜王28-5_渡辺vs糸谷_相掛19手 と思ったら、先手渡辺さん、飛車を6段目に引いた!▲26飛型相掛かりだああ!!
いや~、結局渡辺さんの組み手か(^^;)。それにしても▲26飛型のひねり飛車模様の相掛かりか、これは昔に『羽生の頭脳』でざっと読んだ事があるだけだぞ。あの本、たしかほとんど▲26飛型相掛かりの説明だった気がしますちゃんと読んでないけど。。▲96歩型とか▲16歩型とか、相掛かり腰掛け銀とか、色々あるんですよね。渡辺さんとしては、「世代的にも、この形の相掛かりの知識は俺の世代の方が上だろうし、あなたはこういう今はあまり指されない形は研究してないでしょう」という事でしょうか。この竜王戦、序盤の駆け引きがメチャクチャ面白いっす(^^)。さて、19手目盤面図以降は…

△72銀▲38銀△64歩▲15歩△63銀▲36歩
 途中までは、先手が1筋の位を取って、▲36歩から右桂の活用を狙う感じ。後手は腰掛け銀から、もしかしたら76の歩を狙いに来るのかな?角交換を見据えながら指さないといけないので、すごく勉強になるな…と思ったら、ここで糸谷さんがまたしても序盤での長考。いやあ、またしても力戦形にするつもりなのか…

△54歩
 うああ、糸谷さん△5筋の歩を伸ばした!!角交換を見据えながらですので、このまま角交換すると後手まずい。という事は、これは第4局に続いて力戦調の出だしから中飛車か?

▲37銀△55歩▲46銀△52飛
 中飛車警戒というわけで、渡辺さんは急きょ超速37銀気味に銀を伸ばして中央を警戒しつつ角頭狙い、糸谷さんは…中飛車だああ!!!

 以降、急戦のまま行くか持久戦模様になるか、玉の囲いと仕掛けを見据えながらの駒組みが続いて1日目終了。良し悪しは僕には分かりませんが、玉の囲いと攻めの拠点のバランスでは、パッと見先手渡辺さんの方が良さそうです。後手は居玉のまま、どうやって玉を囲うのかが素人には分かりません。金が左右に開いちゃってるし…これ、いくらプロだからと言ってまとめることが出来るのか?これで戦えるといわれても、にわかには信じがたいです。

 そして2日目。やはり駒組みの差は、アマが見る以上にプロでは大きいようで、夕方までは先手渡辺さんの一方的な攻め。こうなると、またしても糸谷さんが無理な紛れを求めて死期を早める展開になるかな、今日も4時か5時には終わるかな…と思いきや、糸谷さんは時間を使って必死の受けを考えます。そして、これが絶品!いや~、金開きで受けた形が生きてくるとは思いませんでした。また、あんなところに角を打って受けるてはまったく見えませんでした。そして、終盤は渡辺さんが糸谷さんの入玉を防げるかどうかというスリリングな展開に!う~ん、後手が居玉からここまで粘れるとは思ってませんでした。糸谷さんって、終盤は攻めだけでなく、受けも凄いんですよね。

20151202竜王28-5_渡辺vs糸谷_相掛88手 88手目盤面図は後手糸谷さんが入玉を狙いにいった局面。渡辺さんに序盤から時間を削られた糸谷さんは、時間も切迫しています。

▲26金△25銀▲16桂△同銀▲同金
 渡辺さんは金ベチャで入玉を防ぎに行きますが、糸谷さんは銀を使って、銀桂交換でこれを凌ぎました。いや~、入玉将棋って、独特の緊張感がありますよね(^^)。先手の金を1筋に寄せた事で、後手は△35玉のルートが出来たぞ!

△72飛▲同龍△35玉
 おお、いきなり入玉に行かず、まずは働きそうにない飛車を馬と交換してから入るのか!持将棋になった時の点数を考えている?いや~、入玉できるかできないかという時は、僕はとにかく入玉を優先してしまいますが、その後のことも考えないと駄目ですよね、冷静に考えれば。糸谷さんは終盤で熱くならないところが凄いな…。

▲27飛△46玉
 ここから先手がどうやって入玉を防ぐか、これはメッチャクチャ興味ありました。なにせ、入玉を防ぐのがヘタクソなもので(^^;ゞイヤァ。渡辺さんは▲27飛から入りましたが、王手から入って金を補充できる▲25飛△46玉▲23飛成ではなぜ駄目なのか。…これを考えている間に、ガシガシ指し手が進んでしまって間に合わず(^^;)。きっと、追う手ではまずいんでしょうね。取りあえず、そういう事にしておこう。

20151202竜王28-5_渡辺vs糸谷_相掛99手▲42龍(99手目盤面図)△35桂▲23飛成△37玉
 いやあ、△35桂という受けがすげえ…。これで先手は飛車を逃げつつ金を補充、2筋に利きは通しましたが、後手に2筋の深い所に利きを作られたぞ。これ、寄せられるのか?この時、去年のタイトル戦で羽生さんが太地さんの1段目まで来た玉を押し返した将棋を思い出してました。

▲53龍引△27歩▲58金
 入玉を防ぐのがクソ下手な僕は、とにかく先手がどう寄せに行くのかが面白いです。▲58金のところは、代えて▲18金と打って、以下▲17金引~▲27金寄と考えていたんですが、それだと今度は中央に入られるという事かな?いや~、検討したいんですが、秒読みで進行が速くてついていけない(^^;)。この追われる感じ、アメフトやサッカーのロスタイムみたいでめっちゃくちゃドキドキします(^^)。それにしても、後手が放った△35桂の利きが素晴らしい!絶妙手じゃないか、あれ…。

△28玉▲47金△同桂成▲59龍
 あ、あら?入玉されちゃってますが、これ、本当に防げるのか?…いや、そういう事じゃないのか、▲58金は後手の大駒を抜いておいて、万一寄せられずに持将棋になった時でも点数勝ちできるようにという計算か!いや~これは渡辺さんしたたか、なるほど4000万円を超す賞金が目前ですから、勝ちの方法にはこだわらないという事でしょうか。

△29角▲18銀△37歩成▲29銀△同成桂▲17金△19玉▲27金△38金▲37金△同成桂
 感動的な終盤、これはすごい…渡辺さんは思いっきり寄せに行き、糸谷さんは本気で防ぎます。それにしても△38金は素晴らしい受けでした。もう点数的には糸谷さんは負け確定。しかし負けるにしても寄せさせないという根性を感じました。△38金は、はじめて糸谷さんをちょっと好きになった一手でした(^^)。

▲88玉△74歩▲82角△75歩▲同歩△投了
 ここで渡辺さんは寄せをあきらめ、入玉を目指します。入玉をめぐる攻防戦で消耗しつくした糸谷陣、渡辺玉の上部を押さえる駒が残ってません。△74歩以下は、入玉を果たしながらも点数の足りない糸谷さんの、投げるに投げられない心境をあらわしているというか、気持ちを整理するまでの情感のこもった棋譜のように見えます。しかし渡辺さんは無慈悲に糸谷さんの駒を外し、糸谷さんは遂に投了。126手にて先手渡辺さんの勝ち、渡辺さん竜王返り咲きです!!


 第5局は、とにかく入玉を巡る攻防となった終盤がめっちゃくちゃ面白かったです!攻める渡辺さんも受ける糸谷さんも見事!しかし、寄せを狙いつつ、相手の大駒を1枚抜いておいて点数的に安全圏を作ってから寄せに行く渡辺さんの冷徹さは素晴らしかった。僕だったらむきになって寄せに行く事しか考えられないわ(^^;)。

 この竜王戦全体の傾向としては、渡辺さんの対糸谷対策がものの見事にハマったように見えました。シンプルな所でいえば、序盤での挑発と時間攻め対策。このふたつが別の事ではない所も、単純そうに見えて、実は糸谷さんには相当にキツい作戦だったのかも。序盤で定跡から外そうとすれば、それが成立するかどうかを考える必要があるので時間を削られるわけですし…。この二人の比較でいえば、特に序盤に差があったのかも。実際に序盤力に差があったかどうかは僕にはわかりませんが、少なくとも両者に序盤研究に差があるという認識があったのではないでしょうか。定跡通りに進んで現代将棋の課題局面まで進行すれば、渡辺さんの研究が待っていそう。かといって定跡を外しに行けば、それはプロ将棋界全体が研究し精査して、現状最善手と思われている手を指すことが出来ない。得意の時間攻めを封じられ、苦手の序盤でつけ込まれ、力戦調に踏み込むもまとめにくそうな形になってしまい…第2局以降は、連続で同じ光景を見ているような竜王戦でした。糸谷さんは間違いなく強豪棋士ですが、しかしこの竜王戦で弱点が露呈してしまったように見えます。序盤研究に向け目なく、中終盤力も糸谷さんに引けを取らないタイプの棋士相手だと、もう序盤で時間を使ってくれずにガシガシ指されてしまう事が続くかもしれません。糸谷さんは竜王を取った後に「トッププロとして序盤研究もちゃんとしようと思ったが、しばらくやって自分に合わないと思ってやめた」と言ってましたが、それで勝てるほどトッププロは甘いものではないのかも知れません。ここで自分のを変えに行けるかどうかが、糸谷さんが超一流になれるかどうかの分かれ目になるかもしれません。糸谷さんは相変わらず離席などの問題があり、主催の読売新聞にすら苦言を呈されてますが、それでも去年に比べれば、そうとう改善されてきたと思います。マナーも将棋も、結局は人間の業。職業を「金もうけの手段」として捉えているだろうは人には、「勝てばいい、番外戦術も上等」なんていう人もいますが、そういう考えで居続ける以上は、人間社会なんて居心地の悪い所であり続ける気がします。竜王戦開催時に起きたテロも、トルコとロシアのいざこざも、そういう連鎖でしょうし(あら、なんの話だ?)。そうではなく、職業を「人間が分業によって効率的に助け合うためのシステム」と捉え、その中で社会と自分を両立していく事が、大人になっても続けるべき人間の業だと思います。色々あるでしょうが、この敗戦をバネにして糸谷さんがんばれ!!

 さて、自信のキャリアの中でも初というほどの大スランプだった渡辺さんでしたが、竜王戦だけはきっちり勝ちました。この1~2か月ほど、竜王戦以外はほとんど敗けなんじゃないかなあ…なんという効率よい勝ち星の集め方(^^;)。。野球では「足にはスランプがない」なんて言われますが、将棋では序盤研究にはスランプがないという事なのかも。それにしても、渡辺さんは竜王が似合いますね。さて、渡辺さんはこれで研究を温存する必要がなくなりました。なんとか残りの順位戦も頑張って、名人挑戦を目指してほしいと思います!


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駒の動かし方を知っていた程度の初心者です。せいぜい1日1時間ぐらいしか将棋に時間を割けない社会人が、ガンバって1年で初段になる事が目標です!
(*追記)10ヶ月ちょいで初段到達!!ただいま、居飛車側から各戦型に対応できるよう奮闘中(汗)。。

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