第65回NHK杯 行方尚史 vs 藤原直哉 (向かい飛車)

20151101NHK_行方vs藤原_向飛車72手 今日のNHK杯は行方さんが凄かった!将棋は居飛車穴熊vs振り飛車美濃の対抗形になったんですが、72手目盤面図なんか、後手が抑え込みにほぼ成功、先手ジリ貧の完封負けかと思ってました。いくら4枚穴熊に囲えたからと言って、大駒も桂香も全部抑え込まれていて、攻め駒が全然ないじゃん。。しかも大駒を抜かれ無条件で抜かれそう。ここから行方さんがどうしたかというと…

▲同飛△36銀▲17飛
 飛車をぶつけて飛車交換狙い!なるほど、飛車でも角でもいいから、とにかく大駒を捌かないと先手は勝負になりません。逆に言えば後手は捌かせたくないのでこれを拒否。そして飛車を1筋に回して1筋突破を狙う、と。「穴熊に囲ったら、多少駒損しても大駒を捌きに行け!」というのは、僕が渡辺さんの本で勉強した金言でした(^^)。

△47歩成▲75歩△27歩▲74歩△64角
 う~~ん、ここでの行方さんの方針の立て方も凄く勉強になりました。△27歩ですでに飛車または角の詰めろですが、ここで大駒を取らせる代償に、後手陣に攻めの拠点を作ります。いやあ、なるほどなあ、さすがは今期のA級1位だわ。

▲39角△45銀▲37歩△38歩▲14歩
 今度は、角を渡す代償として1筋突破を請求。大局観としては、大きく駒損しますが、玉頭に攻めの拠点ができ、大駒が捌けた自分と、駒得はしているが4枚穴熊を崩さなくてはいけないあなたのどちらが良いですか?という事ですよね。いや~、あのジリ貧一直線に見えた状況からわずか数手でここまで持ってくるか…。う~ん、行方さん、やっぱり強いわ。居飛車穴熊を指す僕なので、この構想力はものすごい勉強になりました。逆に言うと、これは先手に望みが出てきた状況なので、この局面で藤原さんはもう少し良い指し回しが必要だったかも。でも、そんな指し回しがあったかどうか分かりませんが(^^;)。

 そして、飛車を捌いてからの行方さんの指し回しが驚異!!持ち駒は桂と歩だけ、攻め駒はまだ捌き切れていない飛車だけだったというのに、歩と桂の打ち込みだけで相手陣を翻弄して敵玉を美濃から引きずり出し(!)、これまた歩の突き出しだけで飛車交換を成立させて飛車を捌き、そこから飛車の打ち込みで王手をかけて手番を握ります。極端な言い方をすれば、歩だけで敵陣をグッチャグチャにして、手番を得て、相手の駒の働きを悪くしてしまいました。いや~、この歩の使い方は凄いわ。

20151101NHK_行方vs藤原_向飛車101手 でもって、ここからが2年で一気にA級1位にまで登り詰めた恐怖の行方終盤の攻撃術!101手目盤面図は飛車の打ち込みを成功させた場面ですが、多分これは龍を作って威張るという以上の構想を既に持っていた一手でした。ちなみに、この時に行方さんはすでに秒読み状態。

△62玉▲54飛成△45角
 後手は本当は美濃の中に逃げ込みたいところだと思うんですが、しかしそれでは▲63歩成が激痛なので△62玉は仕方なし。ここでも歩の攻めです。そして▲54飛成で龍を作って一段落かと思いきや、藤原さんの角の打ちこみが攻防手の見事な切り返し!!かと思いきや…

▲12と
 えええ!!てっきり▲65龍と逃げつつ63への攻め駒を増やしつつ金に紐をつけつつとやるのかと思ったんですが、逃げずにじっと香を補充しに行く?!いや~、これは何という事だ、これ、龍と角の交換をされるとどうなるんだ…

△59飛▲11と△54角▲同歩△同飛成
 △59飛?!ああなるほど、ここで後手藤原さんの構想は、飛車を打ち込んでから飛車引きで龍を自陣に引きつけての自陣の整備。ついでに先手の龍と自分の捌き切れそうにない筋違い角を交換し、これは綺麗な構想。さすがはプロ、C級といえどやっぱりすげえなあと思ったんですが…

▲82角
 うああああああ何だこれはあああ(゚◇゚;)?!!!!ここ、井上さんが解説してましたが、▲55香で龍角の串刺し狙い。タダじゃんと思って△55同龍と取れば、▲63歩成で龍を素抜けます。いや~これは強烈、秒読みの中でこれを狙ってたのか、A級1位は伊達じゃないわ。。で、こんなの喰らったらおしまいでしょうから、後手は何か良い手で返さないといけませんが…

△93香
 あ、藤原さん、これはさっきの筋を見落としたんじゃないかと。やってしまいましたね( ̄ー ̄)。まあでもこれは秒読みに突入していたし、一見すると香を抜いて馬を作る手と錯覚するのも仕方ないのかも。逆に、早指しだとプロでも見落としがあるんだなと、ちょっとほっとした所でもありました(^^)。以降は行方さんの怒涛の寄せが決まり、135手にて先手行方さんの勝ち!

 最後の△93香ですが、その後に藤原さんは「しまった」という顔をしていたので、やっぱり見落としてたんじゃないかと。かといって代えてどういう手があったかというと、△73歩の合駒は、さっきじっと補充された香車が思いっきり炸裂して▲63香が王手金、銀で取ればと金まで出来て先手が躍動、これは△13香より悪いかも知れません。じゃ、手抜いて攻めるといったって、相手は鉄壁のビッグ4、王手をかける事すら難しいっす(>_<)。というわけで、▲82角を喰らった時点では、もしかすると後手は既に敗勢だったのかも。いやあ、A級棋士の終盤力のオソロシさよ。。

 今日は、居飛車穴熊の方針の立て方、歩の使い方、そして細い攻めのつなぎ方と、勉強になるところが満載の対局でした。面白かった(^^)!!


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Author:ShougiX
駒の動かし方を知っていた程度の初心者です。せいぜい1日1時間ぐらいしか将棋に時間を割けない社会人が、ガンバって1年で初段になる事が目標です!
(*追記)10ヶ月ちょいで初段到達!!ただいま、居飛車側から各戦型に対応できるよう奮闘中(汗)。。

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