第73期名人戦 第4局 羽生善治 vs 行方尚史 (矢倉)

 羽生名人の2勝1敗で迎えた第4局。この名人戦、行方さんは終盤の入り口あたりまで羽生さんと互角以上に渡りあいながらも最後で時間に追われてしまう展開が続いています。将棋自体の実力差じゃなくって、時間の使い方という戦略で負けている気がするので、すこし勿体ない気がします。この第4局を落とすと崖っぷちなので、行方さんガンバレ!

20150520名人73-4_羽生vs行方_矢倉36手1 将棋は矢倉になりました。そして行方さん、またしても序盤の普通の手で1時間ほどの大長考(*゚∀゚*)。急戦矢倉へのルートもありそうでしたし、行方さんは終盤に自信があるので、とにかく序盤で差をつけられないで行けば…という考えなのかな。盤面図は36手目、僕は▲46銀37桂マニアなので(^^)、手損になってもギリギリまで▲25歩は指したくないタイプなのですが…

▲25歩
 おお~、矢倉はどちらが先手を取るかが重要という事かな?▲46の角を引かずに2筋の歩を前進させました!しかしベテランは見ていて恐ろしいです。特定の戦型だけでなく、脇システムだろうがなんだろうが指しこなしてしまいます(^^)。

△62飛
 おお~、行方さん、飛車を6筋に据えました!これは角交換後の事を考えた構想かな?でもこれ、何となく見た事があるので、定跡なのかも。

▲68角
 いや~、なんで突いておきたい端歩を突かないのかと思ったんですが、なるほど△62飛が角交換を見据えた構想なので、相手の注文には応じませんよ、という事ですね、きっと。

△85桂
 直接の形以外にも、飛車を6筋に回した以上、角を引く場所を作らないと飛車を使えないという理由もあっての桂跳ね。う~ん、ゆったりとした進行とはいえ、1日目の駆け引き面白い(^^)。

 ここで一日目は終了、羽生さんの封じ手となりましたが、▲86銀以外はあり得ないでしょう(^^)。いや~、矢倉持久戦はものすごい序盤駆け引きからいきなり切り込んでねじり合いになるので、現状ぐらいが一番ドキドキします。先手は攻撃態勢を作るのにもう少しだけ時間が掛かりそうだし、後手も離れ駒の右金とか飛角の活用あたりも万全に組んでから行きたいんじゃないかと思うので、戦いは明日の午後ぐらいからかな?

◆◆◆◆◆◆

2日目です。ヤバいです、面白すぎです!!信じられない大逆転劇。これは大名局といっていいんじゃないでしょうか!!

20150520名人73-4_羽生vs行方_矢倉41手  まず、昨日の封じ手は▲86銀(41手目盤面図)。後手は飛車を6筋に振った以上、角引いて6筋から攻めるとばかり思ってたんですが…

△72飛▲16歩△43金右
 おお~、行方さん、飛車筋を変えました!!いや~、指されると納得ですね。で、羽生さんはここで指したかった端歩を突き、行方さんは離れ駒の右金を玉に引き寄せて駒組みを進めます。

▲46角
 ええええ~(゚ロ゚ノ)ノ、さっきは手損しても角交換を避けたのに、今度は角をぶつけた?!なるほど、飛車筋が変わったので自分から角交換して歩が前に来てもそれが手損に繋がるわけではないので、さっきとは状況が違うという事かな?

△45歩▲64角△同銀▲35歩△同歩▲26銀
 その角を行方さんが追い返しに来たところで、羽生さんは角交換。たしかにここで引くようなら最初からあがりませんね(^^)。で、ビックリしたのは▲26銀。うおお、羽生さん、棒銀だああああ!!!いや~、▲25桂と桂を跳ね出す形マニアの私からしてみると、▲25歩型での攻め筋はとても興味あったんですが、よもやの棒銀か。。

△34金▲15銀△82飛▲24歩△同歩▲61角
 先手は銀の進出から強引な▲61角の打ち込み!▲61角の単純な狙いは▲24銀△同金▲34歩とかその辺りなんでしょうが…

△43角▲同角成△同金▲26銀
 A級最強の行方さん、それを合わせの角で完璧に弾き返しました。羽生さん、棒銀撤退です(×_×;)。いや~、角交換~棒銀という羽生さんの構想は完全に失敗。行方さんは相手の手に乗りながら上部に厚みを築き、しかも2歩得。羽生さんは2歩損のうえ、歩切れで痺れてしまいそう。互いに角を持ち合っているので、迂闊な駒組みが出来ないという制限こそついているものの、行方さんはそれさえ気をつけていれば抑え込めちゃうんじゃなかろうか、と観ている時は思いました。

20150520名人73-4_羽生vs行方_矢倉70手 ちょっと進んで70手目盤面図。予想通りというか、行方さんは玉を2筋から逸らして万全の状態。玉形こそ崩れていないものの、もう先手は打つ手なしというか、ジワジワと抑え込まれて飛車も銀も桂も全部取られながら入玉されて完封負けしかないような状況に見えました。ここで羽生さんが放った手が…

▲23歩
 うわあああああ、なんだこれは(゚ロ゚ノ)ノ!!
いや~、放っておけばジリ貧なので、何か指さなくてはならないのは分かるんですが、これって玉を2筋に呼び戻すためだけの狙い?…いやいやいや、△同玉だと▲41角か!!いや~、この歩が働くようになるとは思えないんですが、それでも簡単に切り取れないというだけでもものすごく嫌な利かしではありますね。まあでもここから手なんて作れないだろ。何といっても相手は行方さん。変な手を指さず、延々と好手を指し続けるという、劣勢になった時にはもっとも嫌なタイプの棋士だからな。

△33金寄▲22角
 うおお、角を打ち込んだあああ!いや~、攻めを繋ぐならこれしかないという感じですが、しかしこれは角を捕獲されること決定じゃないかい?桂跳ねて飛車を引かれたらどうするんだろう。角捕獲には少し手数がかかるので、それまでに手を作るという事か。でも…手が作れるんでしょうか。

△13香▲11角成△23金▲26銀△33銀
 うわあ、後手は拠点の歩を外し、馬を寄せに来ました。羽生さん、攻めを切らされた上に無理攻めを強要されて終了コースか…。。しかし▲26銀って、意味わからんぞ。いや、これ、何かを狙ってるのか?

▲37桂△36歩
 いやあ、この桂跳ねも、歩で頭を押さえられて無駄死にの爆死コースかと思ったんですが…

20150520名人73-4_羽生vs行方_矢倉81手▲25桂(81手目盤面図)
 いやあ、すげえ…タダ捨てにしか見えずに読みからガッツリ外してましたが、これはちょっとゾクッときました。抑え込みからジリ貧圧死コースだった筈が、いつの間にか攻めと受けの速度計算をしなければならない複雑な局面図になってないかい?なんか、ものすごく嫌な予感がする…

△同歩▲同銀△37歩成▲34銀
 うあああああ、まじでマジックだろ、これ。
速度計算勝負に引きずり込む常套手段として、こちらの大駒を取らせている間に相手の守りの金駒を2枚以上外すというトリックは僕も使いますが、ここで△28と金と飛車を抜きに行くと▲21馬△同玉▲23銀で一気に寄り形じゃないか!!

△同銀
 というわけで、行方さんは飛車を抜きに行けず、△同銀でここでの攻め合いを終結させました。いや~、ドキドキしたけど羽生さんの反撃もこれまで。寝よう。  と思ったんですが…

▲22金
羽生さん、攻めを繋いだあああ!!でもこれ△同金で何でもないんじゃ…うおお、まだ飛車が生きていたんだった(^^;)。それやったら▲同飛成でオシマイか。さっきから僕は頓死しまくってますね(^^;)。。

20150520名人73-4_羽生vs行方_矢倉98手 しかしこの羽生さんの猛追も、またしても「間違えない人」である行方さんに正しく受け切られてしまい、羽生さんはとうとう飛車まで抜かれて、「もう逆転は無い」(渡辺さん談)状況になって、終わったかと思いました。しかし…

 盤面図は98手目、ついに行方さんが寄せに行った局面。金取り(逃げれば馬抜き)と玉のラインという3つを同時に狙う準十字飛車のような激辛の打ち込み。これは自分が先手だったら読む気も失せるというか、まず先手玉が詰めろになってるかどうかを考えて、大丈夫なら…な~んて考えていたんですが…

▲25桂
 いやあ、これもため息が出てしまった。。金取りを受けつつ攻め駒を増やして▲33桂成を見るのか。う~ん、この将棋を見ているだけで中終盤の棋力がやたらと上がっていく気がするぞ(^^)。なんか、すごい物を見せて貰ってる気がする。

△35玉▲17銀
 行方さんは入玉含みの躱しに対して羽生さんは押さえ駒の▲17銀。この入玉の構想、ニコニコ生放送では渡辺さんが疑問視していましたが、だからといって玉を引く手はいよいよ先手の馬が働いてしまいそうで怖すぎると感じてました。しかしたしかに▲17銀は待ち駒になると同時に飛車取りに当たっていて、これで飛車が2筋から逸れてくれるといよいよ2~3筋の後手陣の攻防戦が分からなくなってくるという味の良い手に見えます。

△38飛成▲33桂成△24玉▲34成桂△同玉▲26銀
 うわあ、羽生さん、後手の囲いを全崩壊させましたよ…

△32歩
 しかしここで行方さんは馬の道を遮断しました。いや~、ヒヤヒヤしましたが、これで先手の攻めは切れ模様かな?お疲れ様でした。そろそろ仕事に行く準備をしなくちゃ…

▲22馬△33桂▲13馬
 うわあ、羽生さん、馬の運動だけで危機を作りながらこの馬が守りにも聴いて攻防の馬になっちゃったぞ…

△36と▲37香
 うあああああ、すっげえ香打ち!!!いや~なるほど~、全然見えませんでしたが、△同龍は龍を抜かれて大逆転なので問題外として、△同歩でも▲35馬が激痛なのか!!マジでこれ大名局なんじゃなかろうか。。

20150520名人73-4_羽生vs行方_矢倉114手△95歩(114手目盤面図)
 行方さん踏み込んだアアアア!!この辺、行方さんがビシッと良い手つきで指すものだから、僕は後手が勝ったと思ってしまいました。

▲36香△43玉▲35馬
 羽生さん、受ける前に反撃だあああ!!!!
互いに寄せ合い、ものすごい終盤戦になりました。しかし▲35馬が王手になっていないので、ここで後手は一気に来るでしょう!

△96歩▲98歩△97歩成▲同歩△同香成▲同香△96歩▲同香△98金▲79玉△46桂
 行方さんも一気に寄せに行ったあああ!!!しかし△46桂で手番が羽生さんに渡ってしまいました。しかし羽生さんも後手玉を寄せるのは容易じゃないぞ、寄るのか、これ…

▲68銀
 うおお、羽生さん、受けたあああ!!!
いやあ、これも指された時に予想だにしない手だったものでゾクッときました。。いやあ、この記事のこの部分は観た翌日に書いてるんですが、記事を書いているだけで昨日のあの興奮が甦ってきてしまった。この名人戦を僕は一生忘れないんじゃなかろうか。
 それにしてもこれ、後手は王手をかけるなら△39龍▲59香(これを打つための▲68銀でしょう)△58桂成の一直線ですが、これで詰めろ。その時に先手がどうするかというと…う~ん、後手玉は64の銀と82の飛車の横利きがよく利いていて、寄せ方が分からない(^^;)。というわけで、受けには▲99歩ですかね。それなら受け潰しの気がします。
 じゃ、先に△58桂成から入ると?…やっぱり▲99歩か。いや~、これは激辛の一手、ここに来て羽生さんは受け潰しか?!!じゃ、ここで行方さんは受けの手を指すのが正着かというと…ああああ、持ち駒が歩しかねええ(;_;)。

△58角
 というわけで、先手の攻めの拠点となっている香を抜きに行く裏からの受けの手。これが攻めにもなっていたら攻防の角だったんでしょうが、飛車が1段目に落ちていないので詰めろじゃないんですよね。

▲59香
 うわあ、羽生さん辛い、寄せを見ずに受け潰しに行ったあああ!

 以下、羽生さんは鉄壁の受け潰し。141手にて先手羽生さんの勝ち、3勝1敗となり、羽生さんは防衛にリーチとなりました!!

 この名人戦第4局は面白かった!!凄すぎて感動してしまいました。名人戦の歴史の中でも語り継がれておかしくない神局だったのではないでしょうか。いやあ、2日目の将棋は色々と勉強したい所もあって、途中から翌日に書いたんですが、翌日になっても興奮が収まりません。負けた行方さんですが、第5局はあまり間隔があかずに来週すぐに行われてしまうので、とにかく次の先手番までに気持ちを切り替えたいところです。ここまで来たら一戦必勝、行方さんガンバレ!!


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ShougiX

Author:ShougiX
駒の動かし方を知っていた程度の初心者です。せいぜい1日1時間ぐらいしか将棋に時間を割けない社会人が、ガンバって1年で初段になる事が目標です!
(*追記)10ヶ月ちょいで初段到達!!ただいま、居飛車側から各戦型に対応できるよう奮闘中(汗)。。

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