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第27期竜王戦 第5局 糸谷哲郎 vs 森内俊之 (角換わり相腰掛け銀)

 1勝3敗と追い詰められた森内名人。しかも崖っぷちの第5局は後手番という不運…と言いたいところですが、その1勝は後手番であげているのですよね。さて、角交換を拒否しに行くか、それとも…思いっきり正調角換わりになりそうな出だしから…おおお~第3局に続いて、10手目△42銀としました!竜王は後手番をこの順に託す感じでしょうか?対する糸谷さんは平然と▲22角成で角換わり成立!この時に糸谷さん、森内竜王の駒に触ってしまって乱してしまったのですが、それを直さずに放置。相変わらずのデリカシーの無さです( ̄ー ̄)。そして、森内さんはこの手に反発、乱された駒をこれ見よがしに放置。最後には森内さんが直してしまったんですが、パワープレイに応じた以上は最後まで直さない方が正着の気がするなあ。プロ将棋界が番外戦術アリの状況に戻ってギスギスしてしまうのは個人的には悲しい事ですが、もしそうなる事が避けられないのであれば「パワープレイ」あたりは読んでおいてもいいのかも。僕はこの本で、長年胃をキリキリさせてきた嫌な仕事相手のパワープレイを克服した事があります(ο`∀´)ο。

 それにしても、お互いに手が速い!1日目の午前中だというのに、もう59手目、駒組みどころか、激しく駒がぶつかって中盤に入っちゃってます!!第4局では優勢だったのに時間に追われて負けてしまった森内さん、その辺りを修正してきたのかな?さらに森内さん、またしても後手から同形腰掛け銀に誘い込む形に!森内さんが後手番から同形腰掛け銀に持ち込んだのは、僕が知っているだけでも今年に入って3局はあります。ひとつはこの前の竜王戦第3局ですが、もうひとつは半年ぐらい前(?)に行われた▲豊島-△森内戦。この豊島戦でも、先手豊島さんが「42173」の順を避ける形になった記憶があります。さすがにこれだけ続けられると、森内さんは富岡流破りを半年前の豊島戦の時点で完成させていたと見る方が自然なんじゃなかろうか。対する糸谷さんは…富岡流に進む順を避け、▲48飛型へ。う~ん、これは残念。本当に富岡流破りが成立するなら、マジで見てみたかった。。相手が研究していそうな順に踏み込むというのは、やっぱり怖いんでしょうね。

20141203竜王27-5_糸谷vs森内_角換腰掛銀42手 盤面図は42手目、相腰掛け銀▲48飛型ではおなじみの形です。森内さんが羽生さんを破ったこの前のNHK杯との差は、後手の右金の位置。ここはプロなら研究しまくっているような課題局面と思うので、研究の深い方が勝つ研究勝負の将棋になりそう。羽生-木村の今期王位戦など、最近のタイトル戦でよく見かける▲68金右、ほかにも▲67金右、▲25歩、▲18香など、色々な手があると思うのですが…

▲68金右
 おお~、プロはこれを最有力とみているのかな?たしかに、いつか飛んでくる△59銀や△59角さえケアしていれば、一番堅そうです。

△24銀▲28飛△33銀
 竜王、第1局とまったく同じ銀上がり、豊島新手に拘ります!対する糸谷さんも手を変えずに▲28飛。そこで森内さんが銀を戻して、手待ち状態。先後同形になりましたが、いわゆる木村定跡や富岡流へ侵攻していく時との違いは、先後とも右金が一路玉側に寄っている事。これはマジで研究勝負になりそうだぞ…

▲92香
 第1局でこの局面を勝った糸谷さんの方から手を変えた!!なるほど、手待ち合戦になるなら「隙あらば穴熊」というわけですね。何となくですが、戦術クラスの大局観で見れば、これは先手正しい選択のような気もします。が…

△73桂
 うああああ~、相腰掛け銀の後手最大の弱点になる73への桂跳ねだあああ!!!腰掛け銀戦での、矢倉から穴熊への組み替えは、組まれる直前の脆くなる瞬間を潰しに行くプロが多いですが、しかしこの桂跳ねはギリギリまで我慢すると思っていました。森内竜王、今期の竜王戦は中盤で積極策を選ぶことが多いですね。しかしこれ…穴熊組み換えの▲12香の一手で、玉形を除けば先後が入れ替わった計算になるのか。たしかにこれは先手が桂頭を潰しに行くよりも、後手の6筋からの仕掛けの方が速そうだぞ…

▲99玉
 し、信じられない、それでも関係なく潜りに行く?潜りきれないだろう、これ…。こういうのをほとんどノータイムで指せるという事は研究済なんでしょうね。しかし後手はもういっちゃうでしょう。行って攻め合いになるとして、先手は▲26歩と▲28飛の布陣がどう出るか?一手損角換わりのスペシャリストの糸谷さんの事だから、桂の跳ね出しを残した▲26歩からの攻めのバリエーションも色々と持ってそうだな…

20141203竜王27-5_糸谷vs森内_角換腰掛銀50手△65歩
 森内さん、いったあああああヽ(`・ω・´)ノ!!!
いやあ、これは激しい事になりそうです!!…ちなみに、まだ1日目の午前なんですが(^^;)。。

▲同歩
 なんと、普通に面倒見るのか…。腰掛銀で右金を玉側に寄ってしまうと、仕掛けの主力筋である△65歩(先手なら▲45歩)に対して、空いた歩の裏から▲64角みたいに打ち返されてしまう筋があって、こいつが結構厄介。金が5筋で待機していれば△63金があるのでその筋を消せるのですが…。しかし糸谷さん、反撃ではなくて正面から受けに行きました。いや、これで受け切れるのなら糸谷さんはマジで竜王になるに値する強さと言っていいんじゃなかろうか、それまでにマナーぐらいはどうにかしてほしいもんだが( ̄ー ̄)。

△95歩▲同歩
 竜王、ここは穴熊を咎めに行く手を選択しました。普通の角換わり相腰掛け銀の攻め手として、△65同桂なり△85同銀なりから入る手もあったと思うんですが、先に飛車取りの▲73角を決められるのを避けたんでしょうね。しかしこれ…先後を入れ替えて考えると、第3局で糸谷さんが指した歩の突き捨て順をそのままやり返しているとも言える??

△75歩
 うわあ、「41372」をそのまま後手で指すのか?!受け棋風の森内さんなら、▲73角の打ち込みを食らってでも6筋から行って8~9筋と6筋の主張を残すところまで指してから手を渡すと思ったんですが、そんな悠長な構想を練っているような状況じゃないのかな?7筋の歩の突き出しは一手手抜けるので、ここで糸谷さんの反撃が入るんじゃなかろうか?
 ここでの加藤一二三さんの解説が秀逸!!「私の第一感は▲2五桂です。△2四銀▲6六角に△4三金直は▲4五歩でいっちょうあがり。なので▲2五桂には△2四銀とは上がりにくい。▲6六角がぴったりすぎます。▲2五桂から▲3三桂成も嫌ですが、▲1五歩と攻められるのも嫌」。

▲25桂△65桂▲88銀△37角▲29飛
 おお、一二三さん、ピタリと手を当てました!桂の跳ね合い、殴り合いです(^^;)。結果、飛車のコビンに角を打ち込んだのは、後手が先。ほんの数手前までは、先手から飛車のコビンに角を打ち込んで、後手がそれを凌ぎつつどう攻めをつなげるか、という局面だった筈ですが、どうしてこうなった…穴熊は組むまでが恐いですが、それが出た感じ?だとしたら、香をあがった瞬間に攻めっ気を見せた森内さんの作戦勝ちか?!

△86歩▲同歩△97歩▲同香△48角成
 △46角成じゃないのか?!す、すげえ…。△37角の打ち込みを先に成功させた以上、僕なら喜んで△46角成一択ですが、突き捨てをふたつ挟んでから48に成りこみました!57を攻めるのか…。駒得と龍馬の好きな僕としては、馬を作った分だけ後手が少し良い…と言いたい所なのですが、先手は桂と銀を質駒にしているし、駒の当たりも多すぎて簡単じゃない(・~・:)。

 ここから、先手も反撃に出ますが、質駒を外すにとどまり、攻めが切れ模様。一方の森内さんは先手の飛車を抑え込み(これが大きい気がする…)ながら馬をじりじりと寄せ、上から潰し…という万全の形で先手玉に迫っています。攻め筋を切らされた先手は、穴熊を分厚くしてしばらくは受け切ろうという狙い…かな?また、森内さんが封じ手となったのですが、これがテレビドラマと思うぐらいに絶妙のタイミングで、次の一手で後手ははっきり良くもなりそうだし、形勢を損ねそうにも見えます。シロウト的には、馬を作りながら手番を握って攻めている分だけ森内さんが良く見えますが…さて、明日はどうなりますでしょうか。

◆◆◆◆
 さて、2日目です。森内竜王、着実に先手穴熊陣を剥がしていきます。いきなり決めるのではなく、、徐々に徐々に形勢を広げていく感じ。穴熊崩しは、安い駒と金駒を交換しながらジワリジワリが着実ですよね。。これで、シロウト目に見ても森内さんが相当に優勢になったんじゃないかと思うのですが、しかし糸谷さんの受けも素晴らしい!ノータイムに近い指し手も結構あったんですが、どうしてあんなに速く考えられるんだろうか。一種の天才だな…。守ると決めたらとことん受けるという感じで、集中力を切らすことなく手番が来るのを待ち続け、69手目の▲87銀打が受けを選択した一手だとすると、45手近くを受け一辺倒で凌ぎ、ようやく回ってきた手番で相手の頓死筋を突く逆転狙いのトラップを仕掛けるのですが、これが見事。

20141203竜王27-5_糸谷vs森内_角換腰掛銀115手 盤面図は115手目。後手は△97香成でも△86桂でも△76歩でも、何を指したって後手勝勢なんじゃないかというような局面です。問題は、これらの筋はどれも王手から入れてはいないという所で、先手は空いた手番でどこまで攻めを作れるかという所。唯一の利かしとなっている25の桂のほか、角銀桂歩と、いちおう駒は揃ってます。

△97香成▲33桂成△同金▲25桂△32歩▲33桂成△同歩
 森内さんの△97香成で、糸谷玉はどう見ても厳しい。しかし穴熊の遠さが活きて、先手は攻め合いに行ける。ここで王手となる桂馬のおかわりで金2枚と桂2枚を交換です。拠点なしにいきなりこういう事が出来るのが終盤での桂馬の強みですね(^^)。しかし、桂を拠点にせずに捌いてしまうと、駒は外せるけど切れてしまう。むしろ25の桂は1枚は残しておいた方が退路封鎖にもなるし良いんじゃないか、これはどうやって攻めをつなぐんだろうか、と思ったら…

▲51角
 おおおおお~~、これはひと目好手の気がします!角って、一番攻防手を作りやすいので有難いですが、この33と24に利きを作る角打ちはメチャメチャ恐いぞ…。単純な狙いで言えば、受けないと▲33銀で一気に差が詰まっちゃいそう、後手は渡す駒によっては頓死筋も出ちゃうんじゃないかい?しかし受けると…

△21桂▲43金
 いやあ、この金打ちもすごい…あんな何もない所から、見事に攻め形を作ってしまいました。。糸谷さんはこれで手を渡す事になりましたが、もし後手が桂を渡したうえで寄せ切れずに手が空くと頓死するぞ…。という事は、後手は△86桂を指しにくくなったという事でもあり、攻めながら相手の手にも制限を加えているのか。いやあ、糸谷さんは逆転の頓死筋を残すというのが本当にうまいと思います。ここで森内さんの残り時間は30分、糸谷さんは3時間以上を残してます。森内さん、またしても時間攻めに沈んでしまうのか?!しかし、すごいのは糸谷さんだけではなかった…

△67角
 うおおおお、なんだこの手は(゚ロ゚ノ)ノ!!!!いやあ、まったく意味が解らないぞ、ええっと…な、なるほど~、△87桂からの詰めろか?!▲87同銀で69の紐が外れてしまうのがポイントで、そこで△89角成とズバッっと切って▲同玉に△69龍で一間龍。いやあ、よくこんな順を思いつくなあ。しかし解説の高道さんもこの筋の存在は読んでいたみたい。やっぱりプロはすげえなあ。というわけで、糸谷さんは王手から行くか詰めろ逃れをする必要があります。

▲88銀打
 糸谷さん、見事に逆転筋を作り出したのに、ここで銀を使わされてしまいました。これは精神的にガックリきてもおかしくなさそうですが、ここで粘りに行けるというのは精神力が強いと感じます。
 それにしても、△67角は森内さんらしいというか、ギリギリで寄せ勝つんじゃなくて、駒を使わせて寄り筋を消すという狙いもあったんじゃなかろうか。こういう終盤術もあるのか、ちょっと感動してしまった。。森内さん、寄せ切れるか?!時間が無い…

△86桂
 うわあああ、森内さん、桂を跳ねて踏み込んだあああ!!
これは読み切ったか?!しかし桂を渡すのは怖いぞ…

▲67銀△98桂成▲同銀△69龍
 森内さん、寄せに行きますが、残り時間が5分もない!!寄せに行って駒を渡してしまって寄せ切れないと、ヤバい事になるぞ。最近ようやく2ケタの詰め将棋も解けるようになってきて自信がついてきたというのに、俺には寄せが全然分からない(*゚∀゚)。。さらに糸谷さんは…寄る寄らないの場面、しかも相手に秒読みが入っているこの場面で席を外している模様(・ω・)。。そして…

 森内さん、寄せ切れず。。161手にて先手糸谷さんの勝ち、新竜王の誕生です!!!

 いやあ、よく検討すれば後手勝ちの筋もあったんじゃないかと思うんですが、そんな事が吹き飛ぶぐらいの面白い終盤でした。悪い時にも相手の頓死筋を作っておいて、それで勝つという糸谷さんの逆転将棋を、この数か月で何回見せられた事か。僕の戦前の予想は、4勝0敗か4勝1敗で糸谷さんが竜王奪取だったのですが、しかし気持ちとしては森内さんに防衛してほしかった。森内さんの不調もあったと思いますが、しかし予選から決勝トーナメントまで、名だたる強豪を破って勝ち進み、挑戦者決定戦では番勝負で羽生さんに勝ち、そして竜王戦では森内さんを破ったのですから、糸谷さんはフロック勝ちでもなんでもなく、実力で竜王になったといえると思います。糸谷さん、おめでとう!!何となくですが、竜王戦はしばらく糸谷長期政権になる気もします。
 森内さんは、第3局以降は結構調子を戻していたようにも見えました。実際、ここ数局は序中盤で森内さんが良くしていて、本来の将棋を取り戻していたようにも見えました。森内さんは、「時間が無いと指し手が怪しくなる」なんて言われていて、またそれを本人も冗談で話していたことがありましたが、糸谷さんの早指しが時間攻めとなった部分もあり、幻惑されたようにも見えました。森内さんが無冠となってしまうのは少し寂しいですが、また盛り返して名人や竜王を取ってほしいです!!

 個人的には少しイライラしてしまう事もありましたが、しかし随所で素晴らしい構想や指し手を見せて貰えた、そんな今期の竜王戦だったように思います。第5局も、秒読みに追われながらのギリギリの攻防戦といい、すごく楽しかった。終わったばかりですが、私の気持ちはすでに来年に向かっていまして…糸谷さんにはもう少しだけ対局マナーを直してもらって(^^;)、そして来季こそ羽生さんに永世竜王になってほしいなあ( ̄ー ̄)。

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コメント

 

いつも拝見させていただいております。
専ら、見る将で戦術等詳しくはないのですが、▲12香の記述は、▲92香ではないでしょうか?
今回の竜王戦は、糸谷さんが羽生さん、森内さんを破っての奪取で堂々とした勝ちっぷりだったように思う
一方、森内さんからしてみれば有利な局面からひっくり返された局があり、やや残念な感じもしました。
これからも、ブログ楽しみにしております。
  • まあぼう 
  • URL 
  • 2014年12月06日 01時06分 
  • [編集]
  • [返信]

Re: タイトルなし 

まあぼう様、こんにちは、書き込みありがとうござます。

すみません、▲92香が正しいです。ご指摘、ありがとうございました!お詫びして訂正させていただきます。

森内元竜王は、終盤戦のスランプが2局続いてしまいましたね。序中盤は調子を戻してきて3局続けて優位を築いていたように思ったのですが…。しかしこのあたりで復調しないと、竜王陥落どころか順位戦も降級してしまいそうなので、何とか頑張ってほしいものです。


  • ShougiX 
  • URL 
  • 2014年12月06日 16時51分 
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駒の動かし方を知っていた程度の初心者です。せいぜい1日1時間ぐらいしか将棋に時間を割けない社会人が、ガンバって1年で初段になる事が目標です!
(*追記)10ヶ月ちょいで初段到達!!ただいま、居飛車側から各戦型に対応できるよう奮闘中(汗)。。

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