第27期竜王戦 第2局 森内俊之 vs 糸谷哲郎 (一手損角換わり▲棒銀)

 糸谷さんの快進撃が止まりません!しかし、第1局の将棋は面白かったな。森内さんとしては、まだ後手番をひとつ落としただけなので大騒ぎするほどの事ではないのかも知れませんが、しかしこの第2局の先手番をブレイクされるといきなり雲行きが怪しくなってしまう。しかも、糸谷さんには後手番で一手損角換わりという得意戦法がありますしね。一手損角換わりだろうな…。4手目角交換からの一手損角換わりだああ!!

 そして、森内さんはなんと棒銀。一手損角換わりに対する棒銀は有力だと定跡書では読んだ事があるのですが、プロがリアルタイムで指すのを見るのはこれが初めてな気がする。僕は、一手損角換わり大流行の頃は、まだプロ将棋を見ていなかったのです(^^;)。でも、少し前のタイトル戦の棋譜を眺めると、一手損角換わりだらけだった時期もあるんですよね。僕は一時期、積極的に角換わり棒銀を指しまくっていた時期がありまして、また一手損角換わり対策はいずれしなくては…とも思っていたので、これはいい勉強になりそうです(^^)。

20141031竜王27-2_森内vs糸谷_一手損角換12手 さて、一手損は『よくわかる角換わり』でしか勉強した事のない僕としては、この超序盤の12手目で既に疑問満載。先手の右銀は38じゃなくてもいいのか…。ま、相腰掛け銀か早繰り銀にするなら結局合流するので問題ないのか、と思っていると…。

▲36歩△63銀▲25歩△32金▲37銀△44歩
 後手一手損角換わりに対しては基本的に相腰掛け銀を狙う方針なもので、全然わからないのですが…早繰り銀に行く前に、どうして△44歩が間に合ったんだろうか?う~~ん…あ、なるほど、△84歩を省略しているからこういう事になるのか。これが4手目角交換が生み出す綾になっているという訳か。いやあ、一手損はそこから勉強しないといけないのか、ますます面倒くさくなってきたぞ(^^;)…。

▲26銀
 おおっと、それを見て、森内さんは棒銀に行きました!しかし、角換わりで飛車のコビンを開けての棒銀か、これはおっかないなあ。なんか、既に糸谷さんがポイントをあげてしまっている気がします。

△45歩
 うわあ、この段階で早くも反発か、すごいな…。手損なしの時の話ですが、角換わり▲棒銀というのは今でこそ先手優勢でほぼ結論みたいな感じですが、しかし△14歩を入れておかないと相当受けにくい(というか、△14歩を入れないと僕は後手で明確によくする方法が分からない^^;結構調べたんですけど…)。後手の構想としては、4筋に飛車を振ってからの右玉で、それが先手の棒銀よりも速い、という事、なのかなあ。そうか、右玉愛用者の糸谷さんだから、4手目角交換で8筋の歩を突かずに済ませ、更にその事で一手稼いで、早繰り銀や棒銀といった一手損角交換に対する先手の速攻が間に合わなくなる…という感じなのかな?
 ところで、いかにもありそうなこの局面、しかし実際には前例が1局しかないそうで。この歩の突き出しを最初に指した人は…やっぱり普通ではなかった、変態流の山崎さんでした(^^;)。しかも早指し戦で指したそうで、ものすごく頭の回転が速いんだろうな。。

▲15銀(21手目)
 ネット将棋を毎日何局も指していた頃がありまして、それは中終盤の勘や読みを磨くいい訓練になっていたんじゃないかと。しかし、最近はたまに将棋道場に行くぐらいになってしまって、対局数が極端に減ると、中盤で悪くしてしまう事が増えてしまい、自分の知らない変化には意識的に長考するようにしているのですが…ここもビックリでした。
 森内さんはここで棒銀に踏み込みましたが、これは糸谷さんの注文通りじゃないかい?いや、これが間に合うのかどうかは計算していないのですが(^^;)。もうひとつ気になったのは、ここで△42飛と回られるのではなく、先に△46歩と突き捨てられるとどうなるか、という事。ビビり屋の僕は、龍や馬を作られる筋はかなりマイナスに形勢判断しちゃうんですが、プロはそれで指せると形勢判断しちゃったりするからオソロシイ。だって、もし突き捨てられると…

△46歩▲同歩△47角
 やっぱりそうですよね…。これで後手は馬を作る事が確定。この筋を消すのであれば、21手目は先に▲58金右みたいな手で受けておく手もあったかと思いますが…それだと右銀がさらに捌きにくくなっちゃうのか。じゃ、▲46同歩に代えて▲58金右は?
 それにしても、よく見るこの筋を竜王が見落とすなんて事はあり得ないので、それで先手指せると見てるんでしょうね。端攻めの絡んだ角換わりでいえば、富岡流なんかも馬を作られて引っ掻き回されるのに先手必勝だったりするからなあ…。しかし、先手これで大丈夫だという形勢判断を僕が出来るようになる日は果てしなく遠い気がする(^^;)。

 そして竜王、見事な順からこの馬に角を合わせて消してしまいました。いやあ、これは見事…。しかし糸谷さんとしても、この筋から棒銀を後退させつつ△14歩の突き出しにも成功、さすがにアホな私の思っている事なんて双方とも全部読み筋なんでしょうね。で、ぐるっと回って後手は△42飛から右玉狙い、先手は改めて棒銀、という序盤をやり直す展開になりました(^^)。終盤の第2ラウンドというのはたまに見ますが、序盤の第2ラウンドというのは珍しい。

20141031竜王27-2_森内vs糸谷_一手損角換60手 で、互いに玉を囲いきれないままの戦いとなったのですが、森内さんの棒銀は不発ぎみ。受け切られて15に後退した銀を▲26銀~▲25銀と立て直しに行きますが、その手と交換に糸谷さんに好形に駒組みされてしまいました。それが盤面図60手。棒銀って、それが対四間飛車急戦であろうが角換わり棒銀であろうが、銀が捌けないと大体負けですよね(^^;)。互いに玉を潜り込めていないとはいえ、先手が龍を作るのは相当に難しそう。となれば、後手の右玉は「囲い切れていない」というよりも「玉が広い」とも言えるかも。そういう意味でいうと、もしかして本格的な駒のぶつかり合いが始まる前のこの時点で、後手の方が既に良かったのかも知れません。そして…

▲24歩(61手目)△同歩▲同銀△27歩

 61手目の▲24歩が封じ手、これを解説の山崎さんは疑問視していました。で、この見解が結果からしたら大正解で、この棒銀は受けなくても後手は枚数が足りているので、受けずに反撃できちゃうんですよね。解説を引用すると、△27歩の反撃には「(1)▲同飛には△3八角、(2)▲3八飛には△2五角が結構痛い~指すならば(3)▲1八飛」。

▲18飛
 これは森内さん辛い気がします。これに対する後手の指し手は、アマチュアでも第一感で…

△28角
 いやあ、これはアマでも浮かぶと思うんですよ。今度こそこの角を馬にされるとキツイぞ、駒を補充されながら飛車を詰められ、しかもこの馬自体が寄せの大きな拠点になり、相手の飛車まで捌けてくる…。で、問題は、その前に先手の攻めが決まるかどうかという所。戦場に駒は集まっていて戦力的には先手十分ですが、重そうな気がするんですよね。全部手抜かれそう。。

 で、角の打ち込みからの後手の攻めはもう受からない。飛車角交換なんかに行ったら1段飛車を打ち込まれてあっという間の寄り形。というわけで、森内さんはやっぱりここから攻め合いに行きますが、糸谷さんは鉄壁の指し回し。アマ的には大差に見える形となり、110手にて糸谷さんの勝ち!竜王戦2連勝です!!

 いやあ、一手損角換わり対策で、腰掛け銀以外で何か有効な構想があればすぐに採用させていただこうと思っていたんですが、棒銀は無理だったか。森内さんが指してダメなら、俺なんかでは到底使いこなせそうにないです(^^;)。棒銀の構想を押し通そうとして敗着気味になってしまった60手目からの指し手ですが、棋譜中継で指摘されていた▲34銀では、どうだったんでしょうね。あそこが封じ手なので、指し手だけではなく、時間や封じ手争いといった別の駆け引きもあったのかも知れません。

 糸谷さんは強い!竜王位は、渡辺さんの長期政権に続いて、糸谷さんの長期政権になるかもしれません。それにしても、僕の中で中盤が一番うまい人は森内さんと思ってました。駒がぶつかり合う段階では、もう森内さんがいいというぐらいに序中盤の争いが上手いというか…。それが、この竜王戦で序中盤を制しているのは糸谷さん。森内さんの方が悪いとみて暴れに行かされているような感じに見えます。いずれも、糸谷さんの得意戦型での戦いになってますしね。また、森内さんは矢倉や相掛かりに持ち込みたくても、糸谷さんの指し方では難しい。後手横歩か後手正調角換わりで、中盤まで互角に持ち込めればどうなるか。第3局以降の森内さんに期待です!!
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駒の動かし方を知っていた程度の初心者です。せいぜい1日1時間ぐらいしか将棋に時間を割けない社会人が、ガンバって1年で初段になる事が目標です!
(*追記)10ヶ月ちょいで初段到達!!ただいま、居飛車側から各戦型に対応できるよう奮闘中(汗)。。

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