第64回NHK杯 羽生善治 vs 高橋道雄 (横歩取り青野流)

 10月に入って、NHK杯もいよいよ大物棋士が続々登場してきました。そして今回は…おおお、ついに来ました、羽生さんだあああ!!そして対戦相手は高橋道雄さん。高橋さんは古豪で、けっこう古い手を指してくるので、新しい将棋ファンの僕としては戦型自体がかなり勉強になります。新し目の棋書ばかりで勉強しているものだから、昔の本筋とかを知らなかったりするもので(^^;ゞ。去年だったか、横歩取りで、飛車を真ん中に振ってから2枚の桂を跳ね出して中央突破する形を指して、若手強豪を破った将棋なんかもありました。これが、定跡書にも書いてなかった、まったく見た事のない構想だったものでビビりました。で、「昔、中原さんが得意にしていた形」と聞いて2度ビックリ。現在使われなくなったという事は、どこかにマズい変化があると思うのですが、プロですら昔の定跡に全て通じているわけではなくって、知らないと受け切れないものなんだ…と思ったのです。

 で、今日の将棋は、どちらが先手になっても横歩になるんじゃないかと思っていたのですが、やはり横歩取り!!しかし意外だったのは、羽生さんが青野流を採用した事。青野流を見たのは、それこそNHKの郷田-丸山戦以来の気がします。しかし指されてみれば、こういうのを試すならNHK杯のような棋戦というのは最適かも。そして後手の高橋さんは…

20141019NHK_羽生vs高橋道_横歩青野流18手△85飛 (18手目盤面図)

 いやあ…当然ある手なので、これも前例はいっぱいあって定跡化されていると思うのですが、僕が勉強したのは△41玉とか△42玉とか△52玉あたりの、先に自陣を整備する手ばかり。△85飛はネット将棋で指された事はあるのですが、全然ちゃんと調べてないぞ…。

▲77桂
 ここ、僕は「△85飛には▲87歩で受けないと、△86歩▲33角成△同金▲88歩△34金で先手の飛車が切り取られてしまう」と学んだような記憶があったので、桂跳ねはまったくのノーマーク。しかしどうも桂跳ねが超本筋みたいですね。一体何と記憶違いしていたんだろうか…。いやあ、最序盤での変化が膨大なうえに、間違えると即死だから横歩は難しい…。いいや、この2手だけでも今日は収穫だ(^^)。しかし、△85飛型に対する▲77桂は、先手が良くなる変化が多いですね。

△82飛
 これもまったく意外。解説の一二三さんも「珍しい」と言っていたので、もしかしたら新手かも知れません。単純な考えでは、横歩で先手の飛車を2筋に戻すのは、後手の飛車を2筋に回されるのがイヤだから。それが青野流の為に戻りきれていないのだから、ここは△25飛が自然に思えるのですが…これも、きっといくらでも前例があるんでしょうね(^^;)。この筋が詳しく書いてある定跡書ってないのかなあ。そうそう、青野流だったかどうか忘れましたが、阿久津さんが後手横歩で82まで飛車を引いた事があったな…。

▲96歩△41玉▲75歩△62銀▲85歩
 なるほど、角がピクリとも動けない点も勘案して端歩をあげ、桂の活用と飛車引きを構想して▲75歩。先手は駒の活用を図る自然な構想に見えます。一方の後手は青野流に対するオーソドックスな守りの△41玉型の中原囲いの構想、かと思ったのですが…

△42角
 ええええ~゜Д゜ヾ!!こんな所に角を引くのは見た事ないぞ。。いやあ、これが守りを考えた手とは到底思えないので、攻めの手なんでしょうが…△54歩から端を狙う?高橋さん、すごい構想ですが、こんなんで後手陣は大丈夫なのか?ただでさえ青野流に△41玉型は左銀を22銀としづらくて守りにくいというのに…。この角引きがこの将棋の模様を決定づけたというか、これでも結構勝負形になったのはさすがでした。なんというか、高橋さんの将棋って、僕が勉強してきた定跡書なんかとは形勢判断の根拠や大局観そのものが違うというか、中盤の構想が独特なんですよね。郷田さんみたいな自然な指し手と手筋の組み合わせで将棋を作るのではなく、独創力があるというか。「そういう指し手があり得るのか?!」と、驚かされます。今日のこの手も凄かった…。怖すぎて、真似する気にはなれませんが(^^;)。。

20141019NHK_羽生vs高橋道_横歩青野流56手 そして、終盤の入り口にも見所が!!高橋さんが作り出した端を睨んだ角のラインを活かしての攻防が先手陣左辺で延々と続いたのですが、この中盤戦をぶった切って羽生さんから信じられない手が飛び出しました。盤面図は56手目、手番の回ってきた羽生さんが放った手は…

▲23歩
 うおおお、中盤の攻防をいきなり放り出して、いきなり切り込んだあああ!!
しかしこの手…ぼんやりしていてよく分からないぞ。解説の一二三さんが、「狙いは△同金なら▲73歩成から…」と言っていたのですが、よく聴き取れませんでした(>_<)。なんか、最後は▲35桂が決まるみたいな解説だったので、△同金▲73歩成△同桂▲同桂△同角▲35桂、みたいな感じなのかな?
 しかしこれ、後手があの角引きの構想をした時点で、それを咎めるというか、後手陣を乱す手をずっと考えていたんでしょうね。また、仮に受け切れないにしても、先手左辺が崩れるまでは、足の長い駒の利きが通るまでに2手はかかるから、もうそれらを全部手抜いて攻撃してしまうという見通しの立て方をした、という事なのだと思うのですが、これが素晴らしすぎる。中盤からいきなり終盤に引きずり込んだこのタダ捨ての歩、こういうのを指せるようになるには何を考えていなくてはならないのか、というのを学ぶことが出来たような気がしました。

 結果は、95手で先手羽生さんの勝ち!!A級棋士が続々と敗退していく中、さすがの勝利でした。しかし、高橋さんの将棋も構想も独創的というか、見ていてすごく面白かったです(^^)。
関連記事

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

ShougiX

Author:ShougiX
駒の動かし方を知っていた程度の初心者です。せいぜい1日1時間ぐらいしか将棋に時間を割けない社会人が、ガンバって1年で初段になる事が目標です!
(*追記)10ヶ月ちょいで初段到達!!ただいま、居飛車側から各戦型に対応できるよう奮闘中(汗)。。

新刊棋書
最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
検索フォーム
リンク
RSSリンクの表示
ブログランキング
ブログのランキングサイトに参加してみました。 よかったら、クリックしてくださいね!
QRコード
QR
これまでの訪問者数
アド