第64回NHK杯 藤井猛 vs 佐藤康光 指し直し局 (43戦法) 

 今週のNHK杯将棋は佐藤康光さんと藤井猛さんという、先週に続いての好カード!!対振り飛車対策に勤しんでいる身としては、角交換四間飛車や藤井システムなど、斬新な振り飛車の戦型を指してくる藤井さんの将棋はものすごく勉強になるのです(居飛車が勝ってくれないと、対策の勉強にならないのですが^^)。A級順位戦とタイトル戦だけを追っていると、振り飛車はあまり見れないので、本当にありがたい。これは見逃せない、絶対に見ようと思って楽しみにしていたのですが…寝坊した(- -*)。。どうも既に指し直し局になった模様。

 さて、戦型は…先手の藤井さん、角道オープンの四間飛車の構えから、飛車を三間に振り直しての特攻。これが43戦法というヤツでしょうか?43戦法とか343戦法とかの石田流系のバリエーションの対策が追いついてないんだよなあ。中飛車破りの勉強が一段落したら、三間飛車対策を始めようかなあ。大体、三間飛車対策は早石田対策しかマジメに勉強していないに等しい状態というのもマズイ。。というわけで、この戦型の超初心者としては、佐藤さんの序盤を参考にしよう(^^)。そういえば、三間飛車対策で最初に参考にしたのは佐藤さんの本だったしな。。

20141012NHK指直_藤井vs佐藤康13手 盤面図は13手、先手角交換四間飛車の構えから、7筋の歩を伸ばして飛車の振り直しが予想される展開になった局面。予想外の手で位を取られるのって嫌なんだよなあ。ここからの展開は…

△15歩▲78飛△64歩
 なるほど、端歩の突き出しが間に合っていない美濃に対し、佐藤さんは端歩を突きだして棺桶美濃を強要しました。僕ならビビって7筋の備えか、対三間飛車で愛用している▲85歩か、自玉の整備に一手使ってしまいそうですが、この辺りが妥協のない手というか、戦場は受かるという確信があるんでしょうね。これは強い人じゃないと指しにくいだろうな。。
 で、振り飛車は飛車を3間に振り直し、居飛車は角交換3間飛車の受けの構えの63銀を狙う△64歩、と。しかし、居飛車が飛車先の歩を伸ばすのを保留しているのは、角交換をケアしているからかな?角道が止まっていたら絶対に伸ばしそうですが。

▲74歩
 うおお、速ええええ!!もう仕掛けたぞ!!
あくまで僕のイメージなのですが、三間飛車って、石田流に限らず、急戦型の戦型だという気がしてます。昔は違ったのかも知れませんが、石田の形からじっくり指す橋本さんみたいな方が異種というか。三間の急戦って、受け間違えると即死だから怖いんだよなあ。しかも今回は角道オープンで互いに角が質駒、居飛車は玉をまったく囲えてない状態だし、これは生きた心地がしないわ。

△72金
 この金寄りと似たような受けを『佐藤康光の石田流破り』で読んだことがあるのですが、あんまり使った事がないなあ。早石田に対しては▲74歩を△同歩と取り返さず、▲73歩成と踏み込ませてから△同銀と取り返す事が多いですが、あれって何でなのか、マジメに考えた事がない(^^;)。しかし、この角道オープンの形でも取り返さないのか。63銀の間に合わなかった居飛車としては、▲74歩△同歩▲同飛△63銀という順にすれば、形は間に合うし、三間飛車のいやらしい攻めのひとつである横歩取りも防げると思うんですが、それではマズい筋があるのかな?…知らない形の急戦ほど怖いものはありません。

▲22角成△同銀▲73歩成△同金(22手目盤面図)
 おお、藤井さん、角交換を挟んでからの仕掛けです!しかし、▲73歩成は銀で取りそうなものですが、金で取るんだな…。なるほど、▲73歩成△同銀▲74歩△62銀より、▲73歩成△同金▲74歩△63金の方が形が良いという事、かな?

20141012NHK指直_藤井vs佐藤康22手 ここでの振り飛車の指し手も知りたいところでした。左金は恐らくどこかで美濃にくっつけるとして、攻め手としては左銀を繰り出しての攻めか、向かい飛車への振り直しぐらいでしょうか。歩で叩いての打開は、さっき金で歩を外されたので、指し手を逆用されて居飛車に好形に組まれそうだしな。

▲88銀△33銀▲77銀△63銀▲58金左△22玉
 おお、やっぱり攻めには左銀をつかい、左金は美濃にくっつけましたね。しかしそれと引き換えに居飛車は▲77銀を指す事が出来て壁形を解消するとともに矢倉への組み替えが可能になり、待望の△63銀の形も作る事が出来ました。居飛車としては、これで序盤の急戦の恐怖はひとまず解消、といった所でしょうか。しかし、現状の駒組みは、金銀が左右にばらけたうえ、振り飛車にあまり強くない矢倉を強要された居飛車の方が悪いように見えるなあ…。角交換振り飛車の恐怖って、対抗型で矢倉を強要される点にあると感じています。

▲46歩△32金▲66銀
 角交換振り飛車で、しかも三間に構えた以上、居飛車が囲い切れないうちにあくまで急戦調で行くのかと思っていたもので、ここでギアを入れ替えての美濃のトランスフォームに先に手をつけたのはちょっと意外でした。棺桶美濃にされてしまったので、角桂を使っての美濃崩しを今消しておかないと間に合わない、という考えかな?また、仮に居飛車が矢倉を完成させたとしても、振り飛車の横からの攻めに対しては玉形で振り飛車が優るという判断でしょうか。

△74歩▲47金
 居飛車はここで△74歩、手堅く局面を収めに行きました。やっぱり、現状で戦いになったら振り飛車の方が良いと見たんでしょうね。それに、こういう形って、振り飛車から大駒を切っての攻め筋がありそうで怖い…。

△85歩▲88飛
 居飛車、待望の反撃への着手です!!ここで▲77銀と受けているようでは振り飛車は作戦負けというか、何やってるんだか分からないので、向かい飛車は妥当な選択ではないかと。しかし…居飛車が右の金銀をどう捌くのか、これを見てみたい。佐藤さんって、グッチャグチャな局面から陣形を綺麗にまとめるのが異常にうまいからなあ。

20141012NHK指直_藤井vs佐藤康36手△54銀 (36手目盤面図)

 構想がどうとかいう以前に、右銀を活用しようと思ったらこれしかないですよね。で、この△54銀を活かした構想を組み立てるとしたら…守るなら△54銀~△44歩~△43銀、攻めるなら△54銀~△65歩でしょうか。しかしその間に右金をどうするか、振り飛車の反撃筋の▲71角とか、66の銀を使っての反撃筋も考えておかなくちゃいけないのか。

▲56歩△65歩
 先手の▲56歩は、銀の進出を阻むとともに、恐らく△65歩に対する自分の左銀の活用を狙ったのではないかと。例えば、△65歩に対して、守るなら▲56銀の引き場所を作る事になるし、攻めるなら▲55銀とぶつける手も考えられる。しかしここで佐藤さん、それでも踏み込みました!!いやあ、ここが中盤の山だったんではないかと。ここで藤井さんの応手は…

▲77銀
 この銀引きは、もしかしたら最善手かも知れないんですが、無責任に観戦している側としては、代えて▲55銀とぶつけてどうなるのかを知りたかったです。それで後手が△63銀と引くようでは後手の手損が大きいし、そもそも△54銀を咎める事にもなる。となると、銀交換が自然な流れだと思うのですが、銀交換が起きた後の陣形差では、振り飛車は角の打ち込みに万全の態勢なのに対して、居飛車は角の打ち込みを防ぎにくい気がします。じゃ、なんで▲55歩を指したんだろうかというと…そうか、この陣形差で佐藤さんが踏み込んでくるとは思ってなかったんだな。で、▲56銀の受けは、角交換からの向かい飛車に対する居飛車必殺の反撃筋である△44角が恐かったので▲77銀という事なんだな、きっと。

△44歩▲36歩△45歩▲同歩△同銀
 うおお、振り飛車が受けに回った途端、佐藤さんの鬼の攻めが来ました!右銀を対角に伸ばして美濃を潰しに行くのか、すげえ。。羽生さんとか佐藤さんって、振り飛車を潰すのにこういう対角線に銀を伸ばす時がありますが、こういうとんでもない構想って、見ていてスゴイと思います。これは僕には一生かかっても指せそうにないな。。

 中盤の山場で居飛車の攻めという状況になって以降は、対抗形らしい攻防戦。しかしさすがは双方とも一流、ここからが面白すぎ。先週に続いて、今週も大名局!!佐藤さんの構想が大胆すぎてついていけません。とんでもなくデンジャラスな方法で強引に馬を作り、そこまでして作った馬を平然と見捨てての踏み込み、以降も無理やり攻め筋を作ってしまいます。2枚しかない矢倉の守りの要の左銀まで攻撃参加、あり得ない位置への桂の打ち込み…もう、一生懸命勉強してきたはずの僕の将棋観が全部覆されるような指し手の連続。マジで変態だわ、この人…。。
 しかし、このとんでもない指し回しに幻惑されたか、藤井さんもとんでもない桂打ちで寄せ合いに出てしまい、これで佐藤さんの勝ち!!と思いきや…変態流が行き過ぎたか、あとは安全に玉を躱すだけで良さそうな所でこれまた変態な所に逃げてしまって佐藤さんが頓死気味の爆死。結果、121手にて先手藤井さんの大逆転勝ち!!

 中盤入口まではものすごく読みの入った素晴らしく慎重な将棋、それが一度踏み込んでからはとんでもなく強引な手の連続という、良い意味でわけのわからない将棋でした(^^;)。駒組みで優勢を築くことが不可能になったから複雑な局面を作り出し行ったのかも知れませんが…指し直しで面倒くさくなったんだな、きっと( ̄ー ̄)。しかし、見ている側としたらこんなに楽しい将棋もありませんでした。
 今期のNHK杯、A級棋士が初戦で続々と消えていきますね。渡辺さんに郷田さん、そして佐藤康光さんまで初登場で消えるとは。よもや、来週の羽生さんまで来週に消えてしまわないだろうな…心配になってきました(^^;)。



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Author:ShougiX
駒の動かし方を知っていた程度の初心者です。せいぜい1日1時間ぐらいしか将棋に時間を割けない社会人が、ガンバって1年で初段になる事が目標です!
(*追記)10ヶ月ちょいで初段到達!!ただいま、居飛車側から各戦型に対応できるよう奮闘中(汗)。。

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