『佐藤康光の石田流破り』

book_SatoIsidaryuuyaburi.jpg 過去に書いたこの本のレビューですが、後手番石田流破りの章しか読んでない段階でのレビューでした。ようやく全て読み終える事が出来たので、改めてレビューを書き直しました!

(中級ぐらいの時に書いたレビュー)

 石田流対策に使ったのが、この本です。石田流の指し方でなく、石田流の受け方を書いているというのが、居飛車党である僕の需要にピッタリでした。
 本筋の矢倉の勉強がまだ途中で、ネット将棋で石田流に来られた時の急場しのぎに買ったもので、まだ全部読んでいません。というか、最初の「なぜ後手番で石田流が指されないのか」という章を読んだだけで石田流を粉砕できるようになってしまったのです。というわけで、今のところはこれで充分、ということで^^。


(以下、最初の感想を書いてから5か月後ぐらい、上級ぐらいのところで書いた追記)

 最初にこの記事を書いた頃は、ネット将棋で中級ぐらいだったと思うのですが、その時はこの本の最初の章「後手石田流はなぜ指されないか」に書いてあるやり方だけで、なんとなく対応できていました。ところが、3級あたりまで来た時に、石田流のみを指すスペシャリストタイプの人と当たって、これが全く通じなくなりました。簡単に言うと、第1章だけを読んでも、角道を止めてくる石田流本組という戦法には勝てません。

 さて、この本ですが、5章に分かれています。1章が後手石田流の破り方、2~3章が飛車先を突き越しての先手石田流破りの定跡編と実践編、4~5章が飛車先を保留しての先手石田流破りの定跡編と実践編、こんなかんじです。

1章:後手石田流破り
 まず、第1章の後手石田流破りですが、ここに書かれているのは角交換から筋違い角を打ち込む超急戦策です。じっくり組んでから戦う方法は、2章以降に書いている先手石田流の方法を参考にしてね、という事なんじゃないかと。で、この急戦策ですが、相手に飛車を渡す事にもなり、いきなり飛車角交換の駒損になるうえ、竜まで作られてしまうというかなりおっかない順。指していて、生きた心地がしません…が、級位ぐらいだとこの順を指す人があまりいないらしく、ビビらずに使えば面白いように勝てました( ̄ー+ ̄)!実は、中級の時に3段の方を破った事があるのですが、それはほとんどこの章の定跡通りの手順でした。。もしかすると、石田流を指す側の定跡書にこの順が載っていないのでは??
 ただしこの順、先手石田流相手には通じないので注意が必要です。また、この駒損やら竜を作られるやらの将棋が恐い人は、2章以降の方法で指した方がいいと思います。

4~5章:先手石田流破り 飛車先保留型
 で、2章以降が、この本の本番じゃないかと。以下、将棋歴1年未満の僕が思う事なので、間違っている点が色々あると思うのですが…
 今、僕はネット将棋で実力的には2~3級ぐらいだと思うのですが、このレベルの石田流使いには、石田流本組みを目指す人が圧倒的に多いと感じます。この本だと、石田流本組みへの対策は4~5章に書かれているので、場合によっては4~5章を先に読むのも手かもしれません。
 この本では、石田流側が角を上がる形と、角を保留する形なんかへの対策が出てました。たしかに、僕の場合は、実践ではこのふたつの形に出会う事が多かったです。で、防御は船囲い系の組み方と銀冠系の組み方、攻撃術としては抑え込み型と右四間飛車なんかが書いてあります。特に、抑え込み型の攻撃術は対石田流の本筋となると思うので、必読!!これ、マジで使えます。僕は、石田流対策の主戦法として、この攻撃術を一生使うんじゃないかという気がしています。囲いは、銀冠が守りも堅い上に敵の美濃囲いへの玉頭も圧迫する形になるので、これも使いやすいな、と思いました。

SatoYasumitsu_IsidaryuuYaburi02.gif 例えば、この定跡。これは石田流本組vs銀冠の典型的な駒組みだと思います。で、定跡は△92飛みたいです。…これは、知ってないとまず指せないという気がする。で、そこからの応手ですが、

▲85桂…△82飛▲86歩△84飛▲88角△54歩▲78飛△55歩▲47銀引△54銀▲36歩△44歩▲37桂△43金右▲26歩△42角 で、抑え込み成功!または…△82飛▲73桂成△同桂▲74歩△87飛成 で後手よし!

▲65歩…△同歩▲同銀△62飛▲74歩△同銀▲64歩△77角成▲同飛△65銀▲75飛△74銀▲同飛△同歩 で、後手指せる!他の変化も載ってますが、それは居飛車がもっと良くなります。

▲36歩…△95歩▲同歩△同飛▲47銀引△96飛▲86歩△97飛成▲同香△87角▲67金△97香成
     というわけで、後手優勢!これも他の変化が出ていて、そちらも居飛車良しでした。

▲88角…△82飛で千日手歓迎

 他には、石田流本組みにさせない4手目角交換も出てましたが、これは著者の佐藤さんがよく使うダイレクト向かい飛車に通じるところがあって、石田流側にうまく指されると相当に難解な将棋になるみたいなので、級位の段階では使いこなすのは難しいと感じました。なので、これは居飛車側が避ければ避けられる方法なので、読み飛ばしてもいいかも。

2~3章:先手石田流破り 飛車突き越し型
 飛車先交換型というとちょっと分かりにくい気がしますが、早石田対策の章、と読み替えてもいいんじゃないかと思います。早石田というのは石田流の急戦系の総称で、僕が知っているのだと升田式石田流、鈴木流、久保流の3つがあります。特に鈴木流と久保流の2つは対策を知らないと一気に寄せられるハメ手のような側面もあるので、初段を目指すなら必読と思います。でも、読んでさえいれば、手数も多くないし、大体の変化は居飛車のほうが指しやすくなるので、ひと安心(ただし、久保流には、本には居飛車指せると書いてあるけど、僕には振り飛車がよいように見える変化があって、これは僕の中で未解決の問題。でも、実践でその順に出くわした事はありません)。で、升田式石田流は、昔からある戦法のようなので、キャリアのあるスペシャリストタイプの人に指された事が何度もあり、序中盤を何とか互角で乗り切ったと思っても、何度も負けてしまいました。というわけで、僕の棋力が低いだけかもしれませんが、対升田式石田流に関しては、序盤で離されない為の定跡、といった感じの気がしました。これは、この本がどうこうというのではなくって、実際の定跡がこうなのかも知れませんね。


 さて、この本の感想ですが、大事なところはバッチリ押さえてある本だと思いました!石田流対策百科事典というのではなく、石田流に勝てる王道だけが書かれてる、という感じでしょうか。ココセというのではなくて、居飛車側に選択権があり、かつ居飛車が悪くなる順はざっくりカットしてある感じ。分量も多くないし、「角交換はしない」とか自分の戦法を絞ってしまえば、さらにサクッと読めてしまうと思います(でもそれって、全部読まないと分からないか^^;)。

 しかし、問題点も。まずは、ここに書いてある定跡自体の問題ではなくって、この本の作り自体について。2章以降は、講座編をやった後に、佐藤さんが実際に指した実践譜が何局か出てきて解説、みたいな作りになっているんですが、この作りが一長一短なんじゃないかと。
 良い点から言うと…実践譜があると、本筋がものすごく分かりやすいです。ほら、手筋本って、ここでAならこう、Bならこう、みたいな説明になるじゃないですか。こうなると、僕の場合、どれが幹でどれが枝だかこんがらがっちゃうんです。しかし実践譜があると、何が本筋で何が枝か、これが分かりやすい。今までこういう感じで書かれた定跡書を読んだ事がなかったので感じた事なんですが…実は、序盤の勉強って、たくさんの将棋から作り上げられた、たくさんの分岐を含んだ定跡大百科みたいなものを一手目からコツコツ身につけるよりも、たったひとつの将棋を軸に勉強した方が効果的なんじゃないかという気もするのです。僕は、角替わりと横歩取りの定跡勉強がまだ出来ていないです。そんなものだから、プロ将棋で角交換や横歩になると、食い入るように見て、解説を必死に理解して、それで覚えたたったひとつの方法ばかりを指しているのですが…これが、初段~上級ぐらいのレベルに来た今でも、勝率が7割を越えているのです!ちなみに、定跡本で勉強した戦型は、どれも勝率5割ぐらい。これって、全ての変化をゆるく覚えているよりも、枝はよく知らないけど本筋をバッチリ押さえている方が有効、という事なんじゃないかという気がしているのです。そんなものだから、本筋を幹に、変化は文章でちょっと解説、みたいに書かれている実践編というのは、最初は戸惑ったものの、実は有効な方法なんじゃないかとも思えなくもなかったのです。
 しかし、悪い点を言うと…それでも、やっぱり枝となる変化の部分を勉強しないわけには行きません。で、この変化の勉強のメインは講座編になるのですが、講座編には「その変化は改めて実践編で説明する」みたいに書いてあって、実践編で改めて勉強しなきゃいけなかったりします。これが勉強しにくい。。だって、同じ局面でも、その変化を知りたかったら、次の章に跳んで、またそれがどの実践例に出ているのかを調べて…ということになりますよね。僕は棋譜ソフトに打ち込みながら勉強しているのでまだ何とかなりましたが、それでも結構苦労しました。これ、本を読むだけの勉強だと、相当に難儀するんじゃなかろうか。

 あと、これはこの本に限った話ではないのかもしれませんが…。先に、石田流本組への対策として、玉型でいえば船囲いと銀冠、攻撃術で言えば抑え込みと右四間飛車、みたいな事を書きましたが、ではその全ての組み合わせの順が書いてあるかというと、書いてません。ということは…それって、初手から最後までの手順が書いてあるわけではなく、定跡の一例が書いてある、って事になりますよね?書いてない組み合わせに関しては、自分でアレンジしてくれ、みたいな感じになるかと思います。また、今、プロ将棋では「石田流に対してはほぼ間違いなく穴熊」と聞いたのですが、その穴熊への順は書いてありません。という事は、これも本書の攻撃術を使いながら、ディフェンスはアレンジしてやってくれ、という事になるんじゃないかと。でも、これはこの本に限らず、そういうものなのかもしれませんね。

 さて、総括すると…上記のような不満点は幾つかありましたが、居飛車側が石田流を破ろうと思ったら、やっぱりこの本から手をつけるのが王道なんじゃないかと思います。鈴木さんの本とかは振り飛車視点のようですし、戸辺さんの本は一番詳しそうですが、やっぱり振り飛車視点だし、2冊読まないといけないし、しかも超急戦は書いてないらしいので、結局はこの本みたいに超急戦が書いてある本を読まないわけにはいかなくなるんだろうし。僕の体験だと、ネット将棋で上級~初段あたりに来た現状で、この本で物足りないと思う局面に出くわした事はありません。…でもだんだん欲が出てきて、他の石田流の本も読んでみたいという気になってきました<-ω->。いやいや、この本の順がちゃんと身につくまで、他の石田流の本に手を出すのはやめよう。



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Author:ShougiX
駒の動かし方を知っていた程度の初心者です。せいぜい1日1時間ぐらいしか将棋に時間を割けない社会人が、ガンバって1年で初段になる事が目標です!
(*追記)10ヶ月ちょいで初段到達!!ただいま、居飛車側から各戦型に対応できるよう奮闘中(汗)。。

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