第55期 王位戦 第4局 木村一基 vs 羽生善治 (矢倉)

 前局では持将棋の末に引き分けとなりましたが、なんとタイトル戦での持将棋は22年ぶりだそうで!2度と見れないかも知れないものを見せて貰ったわけで、なんだか得した気分です(^m^)ウシシ…。というわけで1勝1敗1分けというガチガチの互角になった王位戦ですが、この第4局は、勝った方が先にリードをするという重要な一戦。個人的には、羽生さんには永世竜王/永世7冠を取ってほしいので、王位戦は落としてもいいから竜王戦の挑戦者決定戦を頑張ってほしい。糸谷さんは一手損角交換・角交換・横歩しか指さないと思うので、もしこれらの戦型の研究手があるのであれば、王位戦では温存しておいてほしいなあ。。

20140821王位_45手 そして戦型は…おおおおお、矢倉です!!これで4戦中3戦が矢倉本組み、硬派な矢倉シリーズになりました。やっぱり『木村の矢倉』を読んでみようかなあ。そして、盤面は45手目、先手がまったく不満なしで▲46銀37桂の基本形を組み上げたところです。

△95歩▲同歩△同香▲97歩△64歩
 うああ、羽生さん、またわけのわからない手を指しちゃったよ。。せっかく73に角を設置したのに、その角道を止めてしまうという構想が理解できない…。しかし、史上最強棋士の指す手ですから、狙いがあるんでしょうね。私には指し手の意味が全く分かりませんが、もう少し指し手が進んだら意味が分かってくるんだろうか。9筋に手をつけたんだから、欲張らずに
6筋は引いておく?いや、自分で何を言っているのか分かりません(^^;)。。

▲25桂
 先手はお決まりの桂跳ね、先手の駒組みこれで万全。羽生さん、仕掛けるとしたらここ、また第2局の時みたいに△42銀とさらに受け続ける手もありそうですが…

△45歩
 おお!仕掛けました!これで中盤に突入、なるほどこれで▲同銀に△65歩と突きだせば、去年もよくタイトル戦で見かけた部分的な形になります。先手は銀を引いてから改めて46を戦場にする形もありますが、後手の角道が止まっている場合、どちらが得なんだろうか。。

▲37銀△44銀▲46歩△同歩▲48飛
 受けの木村さん、銀を引く手を選択、こうなると後手は自動的に△44銀を銀を繰り出すことになる。ここからが面白かった!!

20140821王位55-4_木村vs羽生_矢倉58手△65歩(58手目盤面図)▲同歩
 羽生さん、いったああああ!いやいや、角道を一時的に止める事になる△64歩は消極的どころか、攻めを構想した手でした!これを手抜いて良くなるとは考えられないので▲同歩は必然、これで先手玉のコビンをこじ開けてから角を活用しようという事か!う~ん、こういうのは途中で色々な変化があるので、バッチリ研究してから対局に臨んでいるんだろなあ。また、この局面は中盤ならではというか、先制した後手からは色々な構想がありえそう。

△86歩
 おお、すっかり中央の戦場とか角の捌きばかり考えてしまっていましたが、まずは飛車先の歩を突き捨てに行きました。なるほど、▲同銀とすると玉のコビンががら空きになって後手の注文通り、しかし歩で取ると継ぎ歩に垂れ歩ですか。これは銀で取るのはあり得ないな…

▲86同銀
 うおお、木村さん、銀で取ったあああ!!
これはシロウト目に見てもおっかない手だし、解説の深浦さんも畠山さんも杉本さんも声をあげたそうで。。銀で取っちゃうと、後手は角を84から使っても中央から突破してもいけそうな筋がありそうな気がしたんですが…

△55歩▲77角△56歩▲45歩△33銀右▲46銀(67手目盤面図)
 羽生さんの選択は中央!しかしこれに対する木村さんの手が▲77角で、僕にはこれが素晴らしい手に見えました。銀が戻れなくなるのでおっかないと思ったのですが、後手の玉のコビンに角のラインを入れられる方が、たしかに後手からすると嫌な気がする。そして、ここからは大ゲンカです(^^)。

20140821王位55-4_木村vs羽生_矢倉67手△25銀▲同歩△66歩▲56金
 羽生さん、質駒の桂を取ってから66に叩きの歩を入れました。これを取ってくれれば桂馬のフンドシが決まりますが…取りませんよねえ。ここからどうやって攻めを繋げるんだろうか。

△46角▲同金
 おおおっ!角を切ったあああ!!なるほど、これで△67銀か?!いやいや、それだと▲66角で攻めが切れるな、じゃあ△57銀だとして、問題はそこからどうやって手を繋げるかだな。。なんか、『羽生善治の終盤術』の復習をしているような状況になってきたぞ。

△57銀▲47飛△46銀成▲同飛△54桂
 なるほど、両取りではないけど、利かした歩に紐をつけつつの飛車取りの桂打ちです。しかし後手の持ち駒は歩3枚と金だけか、これは攻めが切れちゃうような気がする…

▲47飛△56金▲27飛△57歩
 後手は金を打ち込んで飛車をどかしてから、歩で飛車の横利きを消しました。これで次に△67歩成が決まっちゃうと後手が良くなりそうですが、ここで手番が先手に。

▲64角
 木村さん、面倒見るのをやめて攻め合いを選びました!後手はどこかに飛車を躱すと思うのですが、その次に先手はどうやって攻めるんだろうか?

△62飛▲24歩△同歩▲25歩△同歩▲24歩
 な、なるほど、先手の打ち込んだ角は、攻めの拠点ではなくて後手玉の退路封鎖なのか。。で、角を利かしてから2筋の継ぎ歩から垂れ歩に行く、と。また、羽生さんはそれを見越して、最悪の場合は角を切り取れるように飛車を角に当てておく、と。で、先手の垂れ歩が決まったところで、また手番が後手に。攻め合い殴り合い、すげえおもしろい。。

△67歩成▲25飛△23歩▲同歩成△同金▲24歩
 羽生さん、△67歩成から攻めますが、木村さんはこれを手抜いて▲25飛からの怒涛の攻め!これは▲23銀からの詰めろなので、ここで羽生さんがついに後手を引いてしまいました!と、思ったのですが…

△77と▲同銀△24銀▲44歩
 今度は羽生さんが手抜いて△77との王手!これがコビンを狙う角を外す事になり、後手の△24銀を可能にしました。これが歩を取り払うと同時に飛車に当たっていて、ここ飛車を引いてまた後手の手番かと思いきや、ここで木村さんは飛車を逃げずに▲44歩!!なるほど、これを手抜いて△25歩と飛車を切り取ると▲43歩成でほとんど終了か。。すごい終盤になったぞ…

△33金右▲45飛△66桂
 先手の木村さん、ここが際とばかりに勝負をつけに行きます!こんな飛車まわりをされたら、僕ならビビりまくって△42歩とか指しちゃいそうですが、羽生さんはここでもひかずに△66桂!またしても攻め合い、お互いに火だるまになりながら相手玉にしがみつきに行きます。う~ん、正確に手数が計算できているから、こういう手が指せるんだろうなあ。

 で、この後に互いが互いの飛車を抜くというとんでもない大ゲンカから、さらなる壮絶な攻め合い!!そして…もうどこで形勢が傾いたのかまったく分かりませんが、ついに羽生さんが優勢に。で、ここからの羽生さんの指し回しが凄くいやらしくて、なんかわざと難しい順を選んでいるような感じ。なんというか、相手の読み筋を外す練習をしているみたいな。途中、また相入玉かと思わせる展開になりつつ、134手にて後手羽生さんの勝ち!

 いやあ、中盤以降の壮絶な攻め合いが凄かった!!攻めるか守るか、このジャッジを一手間違えた瞬間にすぐ終わってしまいそうなところでの双方の指し回しが凄かった。プロはすげえわ。。また、どちらも大駒を切りに行くタイミングが見事というか、これも素晴らしかったです。これで羽生さんが先に2勝、一歩リードする展開になりました。この王位戦、今期のタイトル戦で一番面白いと感じています。。結果は羽生さんの勝ちでしたが、木村さんも強い。
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王位戦凄いですね。矢倉シリーズになりそうですが最近のプロは先手後手どちらも避けている感があったのでこれからますます面白くなりそうですね。それにしても△6四歩すごい手ですね。これで上手く行くとしたら木村八段も相当ショックですね。

ご無沙汰です^ ^

おはようございます。王位戦も二日目の朝を迎え封じ手が開封されたところですね。予想通りの▲4六歩でした。羽生王位の△6四歩の意味は先手が▲2五桂と跳ねる前に▲6五歩を突くと後に▲5七角〜▲6六角が間に合って先手有利になるのでその防ぎだと思いました。機を見て△6五歩も切り札になるかも知れません。「矢倉の急所」の中で森内竜王が強調されている筋ですね。話は変わりますが私は今、高見先生の「中飛車破り一直線穴熊」を読んでいるのですがもしかして同じ棋書を読まれていますか!?先日の記事からそう感じたので(^ ^)

Re: タイトルなし

 ユダオ様、こんにちは。残暑厳しいですね。

> 王位戦凄いですね。矢倉シリーズになりそうですが最近のプロは先手後手どちらも避けている感があったのでこれからますます面白くなりそうですね。それにしても△6四歩すごい手ですね。これで上手く行くとしたら木村八段も相当ショックですね。

 大接戦の王位戦になりましたね。見ているこちらは楽しいですが、対局しているお二人は胃がキリキリしているのではないでしょうか(^^)。△64歩は、通ればすごいですが、矢倉の名手である木村さんに通じるのかなあ。僕はたいがい羽生さん押しなんですが、この手に関しては先手が破る将棋を見せてほしいと思っています。これが通っちゃうと、また覚えなきゃいけない定跡が増えちゃうので(^^;)。

Re: ご無沙汰です^ ^

ZEROさま、書き込みありがとうございます。暑い日が続きますね。

> 羽生王位の△6四歩の意味は…

 おお、なるほど!たしかに▲65歩は部分的な手筋なので、端に手をつけた以上は欲張らずに6筋は防衛で妥協する、というのも理屈が通るのかも知れませんね。

> 話は変わりますが私は今、高見先生の「中飛車破り一直線穴熊」を読んでいるのですがもしかして同じ棋書を読まれていますか!?

はい、まさしくその通りです!すごく良い本ですね!村山本をもうちょっと突っ込んで書いてある感じで、とてもいいです。しかし…あの本に出てくる後手振り飛車側の攻め筋が、組み合わせや順番を変えると、同一局面に合流出来ないんじゃないかと思えてしまって色々調べているものだから、やたらと時間がかかってしまっています。後手中飛車対策だけでも9月いっぱいかかってしまうんじゃないかと思い始めています。

良書ですよね(^ ^)

王位戦は個人的には33手目▲4六銀対し△4五歩以下の変化が見たかったですね。最近話題なので。羽生王位が採用しないということはやはり先手良しなんでしょうかね。 それと以前お話したアプリでの入力学習法ですが、バグなのか全て消えてしまいました(^^;; 現在はTwitterでアマ五段の方に教えて頂いた方法で勉強中です。簡単に言うと棋書を1日〜2日で全て読みます。その後すぐに2週目に突入し最低でも3周読めば分岐を含め頭にマップが出来上がります。大切な所や実戦譜は実際に並べています。これが私にはピッタリで一週間に3冊ペースで読破出来ています。先日、出張ついでに千駄ヶ谷を訪れましたが初段と認定されましたよ(^-^)/ ではではお身体には十分気をつけお互い頑張りましょう!
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Author:ShougiX
駒の動かし方を知っていた程度の初心者です。せいぜい1日1時間ぐらいしか将棋に時間を割けない社会人が、ガンバって1年で初段になる事が目標です!
(*追記)10ヶ月ちょいで初段到達!!ただいま、居飛車側から各戦型に対応できるよう奮闘中(汗)。。

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