第27期竜王戦決勝トーナメント 郷田真隆 vs 深浦康市 (横歩取り)

 竜王戦の挑戦者って、名人戦と違って、ランク下位の棋士にもチャンスがあります。あるのですが…竜王戦1組の棋士の壁が厚すぎる。この前も、若手3強豪(私基準)の中村太地さんが、得意の先手番角換わりとなったのに、深浦さんにものの見事に粉砕されてしまいました。さて、その時に新手を出して勝ち上がった深浦さん、今度は郷田さんとの対局です!これ、郷田さんが後手になって角換わりに進行したら面白い事になっちゃうんじゃなかろうか( ̄ー ̄)。。

 おお、またしても深浦さんが後手だ!角換わりに誘導するか?!…と思ったのですが、2手目は△34歩、将棋は横歩取りに進行しました。でもって、後手の深浦さんは最近はやりの△23銀の構え。いいか悪いかは別として、後手で横歩を指すと、△23銀の形って手を作りやすくて、指しやすく感じます。飛車をぶつけたり、△25歩の筋が生じたり、端から攻めて行って角を打ち込んだりね。うまくハマると、先手の飛車を封印出来ちゃいますし(^^)。というわけで、この将棋も後手の深浦さんから仕掛けたのですが…今日の深浦さんは、ちょっと指しすぎだったかも。ど素人から見ても「え、それって香で取り返されたらどうするの?」みたいな強引な端攻め。前回の中村戦で、端攻めの新手に快感を覚えてしまったか( ̄ー ̄)。しかし、郷田さんに、エレガントに切り返されてしまいました(^^;)。というわけで、序盤早々にして深浦さん大ピンチ。

20140722_68手 で、そのまま着実に優勢を広げていった先手の郷田さん。盤面図は終盤の68手目ですが、ここでの郷田さんの指し回しがメチャクチャ勉強になりました!深浦さんがと金をうまく使って反撃、先手の龍の攻めにも、中原囲いをうまく活用して香の合駒で凌いでいます。先手は金銀桂と攻め駒が揃っていますが…いやあ、これ、どうやって崩せばいいんだ?▲72金なんてやっていたら、△48とから結構ヤバい事になっちゃうんじゃないか?ここで郷田さんの放った手は…

▲27銀
 うおお、守りが正着か!!
いやあ、こういう所で急に手を戻すのって、本当に苦手なんですよね。攻めて攻めて、もう少しで寄りというところで、いきなり守りに行くというのって、どういう思考回路を持っていれば指せるんだろうか。しかしこれ、指されてみると…素晴らしすぎる。もし▲72金みたいな手だと速度計算の将棋になっちゃって、読み抜けがあったらアウト。しかしここで守れば安全勝ちという訳ですね。いやあ、これは見事だわ。。相手の角を詰ませた上に、自玉もかなり安全になっちゃった気がします。

△27同角成▲同龍△28角成▲21龍(73手目)
 深浦さんは先手陣の金銀を剥がしましたが、角を1枚抜かれました。2枚替えではありますが、この終盤に限っては既に寄る寄らないの話なので、そういうのはあまり関係ない気がします。むしろ、懐の深い玉を追わなくてはならないので、後手は1枚でもいいので金駒よりも足の長い駒が欲しい。
 もうひとつ、郷田さんの指し手で凄すぎると思ったのが、73手目の龍の逃げ場所。あら、普通は玉のラインに入れる▲22龍とするもんだと思ったんですが、なんで▲21龍と1段目に入ったのかな、と思ったんですが…そうか、今の戦場で後手の角を抜いたから、一段龍にしておくと、▲72金が▲61角までの詰めろになるのか!いや、それも見越して守りに手を戻したんだとしたら、やっぱりプロは凄い、凄すぎる。
 しかし、郷田さんだけが凄いわけではありませんでした。深浦さんの深謀も見事。

△48と▲同玉△39銀▲58玉
 そうそう、飛車がない状態で横から追うとこうなっちゃうんだよ。かといって、待ち駒を張る場所も、駒の余裕もないしなあ。

△38馬
 まあ、金を貼っているようでは明らかに足りないし、攻めるといってもこれぐらいしか手がないのは分かるんですが、これでは王手は追う手で、先手玉は捕まらないだろう。捕まらないよな。捕まら…うおおお、これ、次の△47馬が必至じゃねえか!!!という事は、実は詰めろだったんだ!!…いやあ、僕が先手だったら、確実に頓死してました(^^;)。しかし、これが詰めろであることにさえ気づいていれば、▲65角みたいな手で飛車取りと47への利きを同時に作る手あたりでカッコよく凌げそう。こういう攻防手が思いつくようになったとは、俺も成長したな( ̄ー ̄)、と思ったら…

▲45桂(79手目)
 全然違った、俺もまだまだだわ(- -*)。しかし郷田さん…悠長に桂なんて跳ねていて大丈夫なのか?これで受かっているかどうか、全然わからん。しかし、ここでこんな手を指せるなんて、トップ棋士は凄すぎるな…。

△48銀成▲68玉△47馬
 銀と馬を使おうと思ったら、やっぱりこの順ですよね。しかし、これで明らかに足りなくなったように見えます。▲79玉で先手陣には届かずだしな、もう▲79玉で先手勝勢でしょ。

▲66銀△46馬
 全然違う(´;ω;`)。。大体、ど素人の俺なんぞが郷田さんや深浦さんの手を当てようなんて言うのが100年早いんだよな。。しかし、次の手を見て納得。なるほど、後手の次の手が△46馬と銀を外す手と見て、53を受けに行き、同時に玉の脱出口を増やしたわけですね。たしかに▲79玉よりも得な気がする。△46馬は桂取りにもなっていて、後手は駒がボロボロ取れて相当に追い上げているように思えますが…

20140722竜王TN_郷田vs深浦_横歩85手▲33桂成(85手盤面図)
 いやあ…これはカッコいい。この成り込みを見越して、79手目は安全そうな▲65角ではなく、わざわざ際どそうな▲45桂を選んだのか。さっきから、指し手の意味が10手ぐらい後に分かるという指し手のオンパレードですが、読みの深さに圧倒されてしまう…

△58成銀▲同玉
 うおお、深浦さん、銀のただ捨てだああ!!!いやあ、これは玉を危険地帯に誘うという以外の意味はないと思うのですが…いったいそこからどうやって手を作るつもりだ?

△24飛車
 飛車をぶつけたあああ!!!
…いやあ、これは構想が面白い。もし先手が▲32龍と躱すようなら△28飛成で後手が先に王手、手番が渡ります。合駒も同じ。▲同龍△同馬の飛車の清算は、どう考えたって後手の得。ここは▲42成桂と一度王手しそうですが、先手はそこからどうやって切り返せば良いんだろうか…

▲42成桂△同玉▲33銀△同玉▲25桂
 ▲33銀~▲25桂?!か、かっこいい…華麗すぎるだろ。。金井さんが郷田さんに惚れ込むのも分かるような指し手です。郷田さん、深浦さんの銀のただ捨てからの勝負手を、信じられないような順で消してしまいました。

 以下、郷田さんは危なげなく後手玉を詰まし、101手にて先手郷田さんの勝ち!!いやあ、この将棋は終盤が面白すぎました(^^)。しかし…負けた深浦さんですが、序盤であまりに踏み込み過ぎたものの、悪くしてからの粘りが見事!大差負けかと思いきや、何度も相手の頓死筋を作り出し、トラップを仕掛けまくるんだからトッププロは怖い。。

 これで竜王戦挑戦者決定トーナメントの左の山の頂上決戦は、羽生さんvs郷田さんになりました。羽生さんとしては、一番やりにくい相手が勝ち上がってきた感じじゃないかなあ。というわけで、羽生vs郷田戦は、事実上の決勝戦という事になるんじゃないかと思います。よく考えたら、中村太地さんは、もしこの前深浦さんに勝っていたとしても、郷田さんと羽生さんを倒して、更に挑戦者決定戦に勝たなきゃいけなかったのか。それは無理だわ。それにしても、竜王戦挑戦者決定トーナメント、面白い!!
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Author:ShougiX
駒の動かし方を知っていた程度の初心者です。せいぜい1日1時間ぐらいしか将棋に時間を割けない社会人が、ガンバって1年で初段になる事が目標です!
(*追記)10ヶ月ちょいで初段到達!!ただいま、居飛車側から各戦型に対応できるよう奮闘中(汗)。。

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