第85期 棋聖戦 第3局 羽生善治 vs 森内俊之 (横歩取り)

 今期の羽生さんって、いまだに無敗なのか?!もう7月だというのに、いくらなんでも強すぎるだろう。。一方の森内さんは?今期5勝8敗、勝率3割8分か、調子悪いなあ…と思ったら、うち6敗が羽生戦か、これは仕方ないわ。じゃ、5勝の内訳は?渡辺さん、広瀬さん、行方さん…おいおい、A級棋士を片っ端からメッタ斬りじゃねえか、メチャクチャ強いわ。というわけで、この棋聖戦も羽生棋聖4冠の2連勝でリーチがかかっていますが、今の羽生さんを倒せるとしたら、やっぱり森内さんしかいないんじゃないかと。

20140705_32手 先手の森内さん、矢倉に誘導したかったんじゃないかと思うのですが、初手▲76歩に対する羽生さんの応手は△34歩。羽生さんの後手横歩取りは反則レベルの強さなので、森内さんは避けたかったところじゃないかと思うのですが、避けることが出来ず。盤面図は32手目、後手は52玉型中原囲いに流行の△23銀の形に構えました。いやあ、昨日の中村-藤森戦と違って、こっちの方がアマチュアには真似しやすく思えるなあ。

 自分で指す場合、僕は横歩が一番好きです。でもそれって、すぐに力戦模様(というか、分岐形式の序盤定跡が勉強しにくい)になるからで、序盤定跡の勉強が間に合ってないからだという面もあるような気がします。例えば後手△33角・23銀という形は、最近のプロの将棋では当たり前のように出てくる形だと思うのですが、これに関して、僕が読んだ何冊かの定跡書だと(これが出ているというだけでも最近の本にしか書いてない)、後手の右辺は確実に△72銀。本局のように中原囲いに△73桂という形なんて、横歩では死ぬほどよくある形だと思うんですが、△23銀との組み合わせは書いてないんですよね。こうなると、自分が指す場合には部分的な手筋を色々と組み合わせてみて、それがうまくいくかという思考になっていくんですが、もしこの形で後手が良くなるなら、僕としては嬉しいぞ、と。。

▲33角成△同桂▲88銀△24歩
 森内さん、いきなり角交換!横歩△33角戦法って、互いに角が質駒になっているので、この角交換のタイミングも難しいですよね。自分から角交換すれば、相手は手順に桂を跳ね出せるわけですし。角交換後の△24歩は、「あら?△25歩じゃないのか?」と思ったら…△76歩を指していたので、ひねり飛車にできないんですね、なるほど。。そして…

▲75歩△42玉▲76飛
 来ました!森内さんって、横歩の先手番でこの▲75歩~▲76飛をよく指す気がします。で、羽生さんはこの歩を取らずに玉を寄りました。なんでかな。…△同飛▲74歩△65桂(△同飛なら▲82角が痛打でした^^;)▲66歩ですか。なるほど~、取っちゃまずそうだな。。しかし羽生さん、▲76飛を見た途端に…

△75歩
 取るんかい(笑)!

▲同飛△74歩▲76飛△64歩
 な、なるほど~、大駒を近づけて受け、それを引かせることで手番が入れ替わるのか!いやいや、細かい技ですが、これは実践でも使えそうだぞ。。メモメモ…。

 以降は一進一退を繰り返す見事な中盤戦。飛車をぶつけたのはなんと先手の森内さんの方で、たしかに飛車の打ち込みに対しては後手の方が分が悪そう。ところが、攻めは2枚の桂を跳ね出した後手の方が繋がっちゃいました。いやあ、先手は飛車を打ち込めば形成有利になりそうなのですが、その一手の手番が全然回ってこない。羽生さんの攻め、攻め、攻め!!途中で何とか駒を補充し合うところまでは盛り返したんですが、後手の攻めは全く切れませんでした。
 しかしさすがは森内さん、さすがに後手よしで、しかも横歩なので一気に詰んでしまう筋もありそうという所からの受けが凄い!!受けているだけじゃなくって、詰めろをかけちゃったりと、確実に反撃の筋を作りながらの見事な差し回しでした。後手が攻めあぐねる展開となった終盤で、またもや出たのが羽生マジック。マジでこの人は異常だ、神すぎる…。

20140705_棋聖85-3_森内vs羽生_横歩97手 盤面図は97手目、森内さんの強烈な反撃を受けて角を詰まされた羽生さん。角を渡してしまうと、次の▲31角を許してしまうと後手はオシマイです。しかし、シロウトな僕が最初に考えるのは、その前に先手を詰ます手はないかという事ですが、ひと目で思いつくのは△29飛打の鬼より怖い2枚飛車。で、▲45銀に対しては△59飛成でお疲れ様、という感じですが、羽生さんが飛車を貼った場所が異常でした。

△49飛(98手目)
 え?「大駒は離して打て」じゃないのか?これ、場合によっては飛車取りに当てられちゃうぞ。いやあ、2筋か3筋かで迷うなら分かるのですが、4筋に貼るデメリットはいっぱいあるけど、メリットが全く分からないんですが…。しかし、これが驚愕の羽生マジックの序章だったとは。。
 なんにしても、これは詰めろになっているので、先手は凌がなくてはいけません。

▲33香成△同桂▲58金打
 香で金を補充する手が王手になるので駒を補充しつつ一手を稼いで、補充した金を守りに利かせます。いやあ、ここで底歩の形が出来ちゃいました。これは先手玉が堅くなっちゃったぞ、どうすんだ、これ…。

△55香
な、なるほど!▲45銀と角を抜く手を指すと、△57香成から一気の寄せが決まっちゃうのか!少しでも緩手を指した途端に勝敗の入れ替わっちゃうようなすごい終盤になったぞ…

▲54桂△同角▲55銀
 ここの先手の差し回しもすごい!▲54桂で歩を抜いた手は王手になるので手抜くことが出来ませんが、△同角でタダ。しかし、歩を抜いたので次の▲55銀と立った手が銀取りにならず、逆に角取りになるという仕組みです。いやあ、こういう三手一組とか五手一組の手がバシバシ見える人になりたい…

△45角▲46歩△65桂▲45歩△57桂不成▲68玉
この角取りを逃げる△45角は▲23馬と銀を素抜かれる手も防いでいます。しかし▲46歩の追い討ちがキビシイ。角を渡すとやばいというのが後手の辛いところで、なんか先手が逆転しちゃったんじゃないかという気分でした。しかし角を見捨てての△65桂~△57桂不成が凄い継続手!▲同金は飛車が成り込んで詰みなので玉を躱すしかありませんが、ここで…

△32金▲21馬
いったん馬を追って角の打ち込みを消してから…

△45飛成(114手目)
 ウアアアアアアア~~~~(; ゚д゚))!!!マジか、この龍を作って後手の玉頭を抑え込んでいる銀の利きを外して、逆に先手玉の頭を抑える構想だったのか?!ウソだろ、これだけ変化の多い複雑な局面から何手先を読んでたんだよ…。

 こんな化け物じみた手を1日制の将棋の終盤で平然と指す棋士に勝てるわけがありません。この後も森内さんは素晴らしい手を指し続けるのですが、挽回することは不可能、152手にて無念の投了、羽生棋聖の防衛となりました!!

 しかし、恐ろしいのは、負けた森内さんが悪手や緩手を指したどころか、好手の連発にしか見えなかったところです。あんなに素晴らしい手を指して、素晴らしい逆襲の構想を立てて、それで勝てないのか。森内さんはこれで今季9敗目ですが、うち7敗が鬼神モードに入ってしまっ対羽生戦というのが不憫すぎる。。しかも、名人戦から棋聖戦までの7局全部がため息の出てしまうような見事な名勝負なんだよなあ。。

 更に悪いことに、今期竜王戦の挑戦者決定トーナメントで羽生さんは第1シードになってます(- -*)。森内さん、これは竜王を守るべく、対羽生対策に今年の全てをかけるべきかも。。ああ、順位戦で渡辺2冠を倒したので、名人戦リベンジマッチも濃厚なのか。このふたり、凄すぎます。。死ぬまでに1度でいいから、こんな棋譜を残してみたいなああああ。。
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Author:ShougiX
駒の動かし方を知っていた程度の初心者です。せいぜい1日1時間ぐらいしか将棋に時間を割けない社会人が、ガンバって1年で初段になる事が目標です!
(*追記)10ヶ月ちょいで初段到達!!ただいま、居飛車側から各戦型に対応できるよう奮闘中(汗)。。

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