『よくわかる角換わり』 西尾明

YokuwakaruKakugawari.jpg 矢倉や横歩取り、あるいは四間飛車をはじめとした対振り飛車の定跡が超うろ覚え状態の僕ですが(^^;)、それでもこれらの戦型って、アドリブで何とか戦える気がします。しかし、角換わりだけは、ネット将棋で何とか初段に到達できたあたりから、うろ覚えのいい加減な差し手ではどうしても勝つ事が出来ませんでした(;;)。というわけで、角換わりの勉強は、初歩の初歩から丁寧にやりたいと思い、それで手をつけたのがこの本。で、ようやく全部読み終えました!

 色々と目星をつけた角換わりの本の中から、最初の一冊としてこの本を選んだ理由は、とにかくひと通りの角換わりの戦型を俯瞰できるという事でした。将棋に限らず、僕は構造主義的な記憶様式を持っておりまして(^^;)、全体から部分の意味を理解していくと、すごく速く理解できるし、記憶もしやすくなるんです。
 受験生の頃、こんな失敗をした事があります。日本史の勉強で、全体像も見えないまま、教科書の1ページ目から勉強してしまったのです。飛鳥時代勉強して、飛鳥時代の細かい事を勉強して…という勉強の仕方。そういう勉強の仕方をすると、現代史の勉強が終わった頃には、飛鳥時代なんて何ひとつ覚えてない(;;)。更に、記憶の関係性もわけ分からなくなってしまって、鎌倉時代の後が何時代かとか、それも分からなくなっちゃう。というわけで、途中から、最初に先史時代→飛鳥以降の貴族の時代→武家の時代→近現代、みたいなマップを作ってから、その上にオーバーレイしていくような勉強方法に切り替えました。こうすると、要素と全体の関係が離れる事はありえなくって、効率よく、しかも整理して覚えられたのです。
 そして、将棋の序盤定跡の勉強って、歴史の勉強にすごく似ていると思うのです。これって、カテゴリー分けする人間の記憶システムに起因するものだと思うんですよ。人間の記憶って、アイウエオ順に覚えているわけではない。例えば、動物全体という関連の中で、犬とか猫とかキリンとか覚えてる。だから、たくさんの情報を記憶したりする時は、目次作りが一番重要だと思ってます。…前置きが長くなりましたが、この本は、僕の頭の中に、角換わりの目次を作るために読もうと思った本でした。読み始める前に色々調べたところ、この本がいちばん角換わりの全体像を捉えている本だと思えたのです。

 さて、この本ですが、角換わりのマップ作りという、僕の目的にバッチリ応えてくれたんじゃないかと思います!何がすごいって、現在指されている相腰掛け銀だけじゃなくって、棒銀/早繰り銀/腰掛け銀という、角換わりの3つの戦型を俯瞰してくれているばかりか、更に大きな括りとなる、0手損角換わりと1手損角換わりの両方まで俯瞰してくれている事がスゴイ。そしてこの2つの角換わりを、腰掛け銀や棒銀といった、角換わりの有名な戦型を比較する形で関連づけて、すごく分かりやすく説明してくれています。
 そして、この本の目次なんですが…ちょっと分かりにくいので、僕は以下のように勝手に整理してしまいました(えへへ)。ついでに、本書に書いてあった結論も併記しておきます。

(正調角換わり)
・腰掛け銀
 a.相腰掛け銀(今も定跡が進化中なので、結論は出てない)
 b.先手腰掛け銀vs後手棒銀 (互角)
 c.先手腰掛け銀模様 vs 後手右玉 (互角)
・棒銀 (この本だと互角だが…)
・早繰り銀 (後手十分)

(一手損角換わり)
・腰掛け銀
 a.相腰掛け銀 (後手十分~後手よし)
 b.右玉vs後手腰掛け銀 (後手よし)
・棒銀 (互角)
・早繰り銀 (互角)

 この結論に行き着く全体図を作りたかったのです!で、この目的を達成できたので、まずは満足(^^)。僕は、暫くは後手番で角換わりを指す気がないので、先手に選択権がある種類の戦型選択で、後手が良くなるものに関しては、本書の勉強でオシマイにしようと思っています(ニヤリ)。ここも大満足。 
 
 そして、角換わり初心者である僕にとっての最大の疑問であった、普通の角換わりと一手損角換わりでどこかそんなに違うのか、という疑問に、この本は見事に回答を示してくれました。いやあ、これが素晴らしかったです。ほら、一手の損というと、例えば居飛車穴熊vs四間飛車なんかは、どちらが先手になるかで、一手損みたいなものじゃないですか。でも実際に指してみると、そんなに先手後手の差は感じない。それがなんで角換わりになると「一手損角換わり」という名前までついちゃうぐらいに変わっちゃうのか、これが分からなかったんです。で、この本は、それを相腰掛け銀同形になった時の木村定跡とそのヴァリエーションという点から比較検討して、綺麗に説明してくれてます。いやあ、これは分かりやすい!!
 同じような事が、角換わりの各戦型にも言えて、同じような攻め筋を、0手損と一手損で比較しながら説明してくれてます。0手損だと指す気にすらなれない早繰り銀が、一手損の将棋になるとたちまち有力な対策になってしまうという事なんかは、読んでいてマジックでした。結論が0手損と一手損で変わるという意味では、全ての戦法について同じ事が言えてしまうというところがビックリ。で、これを比較して説明していくので、狙い筋なんかの理解にすごく役立ちました。いやあ、これはいい本だ!!

 さて、結論です。まず、僕みたいな角換わり初心者の人にとっては、角換わりの全体像が非常に分かりやすく纏められているこの本は大オススメです!僕は、角換わりの勉強のために読みたい本が何冊かあるのですが、この本を読み飛ばして、他の本から手をつける事は、ちょっと有り得ない。それをやると、さっきの日本史の勉強と同じになる気がします。あと、結論がついている戦型の一部(例えば正調角換わりの早繰り銀とか)に関しては、深く勉強しても結局は使えないので、この本で本筋の咎め方だけ覚えておけばバッチリじゃないかと。このふたつの理由だけでも、この本は、角換わり勉強のマストアイテムかと。
 あ、そうそう、級位で角換わりまで勉強に手が回らない頃(やっぱり、角換わりより矢倉が先ですよね^^;)、僕はこの本の「木村定跡」の箇所だけ先に読み、それを丸覚えしてそれだけ指してました。ページ数にして10ページ程度なんですが、ネット将棋の81dojoだと、この木村定跡だけでも中級ぐらいまでは乗り切れました。というわけで、角換わりの勉強は後回しにしたいという人は、木村定跡だけ先に勉強しておくというのも手だと思います。相手が受けを知らなければ、十字飛車が決まっちゃったりしますよ( ̄ー ̄)。
 で、もうひとつ重要な事が。僕がネット将棋をしてきた観想でいうと、角換わりの将棋になると、腰掛け銀を指してくる人が殆どです。たまに右玉がいるぐらいで、棒銀を選択する可能性があるのなんて僕ぐらいなもの(^^;)。で、肝心の相腰掛け銀ですが、この本を読んでも、相手が腰掛け銀をちゃんと勉強をしている人だったら、多分勝てません。あるいは、この本には先手棒銀で互角に持ち込む筋が書いてあるんですが、他の本を読む限り、実際には後手からその変化を防ぐ方法があります。例えば、もし相手が『よくわかる角換わり』だけを読んでいるだけだったら、僕は角換わり棒銀を、先手を持っても後手を持っても勝つ自信があります。つまり…自分が実際に指そうと思っている戦法に関しては、この本以外の、もう少し専門的な本を読む必要があるんじゃないかと。この本は、あくまで角換わりの基礎知識を身につける一冊と理解したほうがいいと思います。
 しかし、この『よくわかる~』シリーズ、いいですね。実はこのシリーズ、最初は敬遠していたんです。なんか、初心者本っぽいのがちょっとイヤで、難しくてもいいからバッチリ細かく書いたものが読みたいと思っていたんです。でもやっぱり、序盤定跡の勉強って、マップを作る事が先決。頭の中にマップが出来ていないと、指定局面の形の違いを認識する事すら難しいと思うんですよ。それが認識できないと、例えば四間飛車の△44銀型と△45銀型なんかもあまり区別しないで指しちゃって、区別していないのだからいつまで指しても違いに気づけず、何ヶ月経っても同じ将棋を指し続ける事になっちゃう。やっぱり急がば回れで、まずは全体マップを作り上げる事の出来る本から入って、それが頭の中に出来たら、次に戦法をひとつずつ仕上げていくというのが、いい方法なんじゃないかと思います。オススメです!!



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Author:ShougiX
駒の動かし方を知っていた程度の初心者です。せいぜい1日1時間ぐらいしか将棋に時間を割けない社会人が、ガンバって1年で初段になる事が目標です!
(*追記)10ヶ月ちょいで初段到達!!ただいま、居飛車側から各戦型に対応できるよう奮闘中(汗)。。

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