第72期名人戦 第1局 森内俊之 vs 羽生善治 (相掛かり)

 ついに来ました、名人戦!僕が初段を目指した動機のひとつは、羽生さんの揮毫の入った免状が欲しかったから。挫折しそうになった事も何度かありましたが、なんとか段位までこぎ着けたので、あとは羽生さんが名人になるのを待つばかり(* ̄ー ̄)。。たのむ、先勝して幸先良いスタートを決めてくれ!!
 先手は森内さん、戦型は…相掛かりか。勉強の追いついていない戦型なので、まったく分かりません。しかし、勉強ノートとして観戦記をつけているんだから、知らない将棋が見られるというのは嬉しい事なのかも(^^)。よし、今回は、相掛かりの駒組みの基本と、先手と後手の狙い筋の幾つかぐらいは覚える、という事を観戦の目的にしよう(^^)。

20140408_24手  盤面図は24手目、序盤の駒組みの途中段階といったところです。先手は引き飛車からの棒銀、後手は9筋の端歩をはやめに突いてから浮き飛車で△52玉。最近の相掛かりはこれが基本みたいだから、この形は丸暗記だな。。しかし、気をつけた方が良さそうな所があって…この部分だけ見れば、去年の名人戦▲羽生-△森内戦とか、ついこの間の王将戦なんかと同じなんですが、後手の銀が72まであがれていない事。これは後手が9筋の端歩を突き越す事に手を回した為。後手が9筋の端歩をはやめに突く理由は▲羽生-△渡辺の王将戦第2局で勉強したんですが、しかし突き越した形いうのは見た記憶がありません。なんか、この歩の突き越しと銀の立ち上がりの遅さが勝敗に絡みそうな気がするなあ。ここで先手の森内さんは…

▲66歩

 角道を止めて、角交換からの激しい将棋になる事を拒否。なるほど、ここを戦場にしなければ、右銀を進出できている先手が先着できそうですね。しかし、先手後手とも、玉型はどういう風にするんでしょうか。相掛かりで一番知りたいのはそこなんです。

△86歩▲同歩△同飛▲77金

 お、▲66歩を見て、羽生さんが再度8筋を突っかけました。いやあ、いいか悪いかはともかく、少しでもぼんやりした手を見ると、羽生さんって絶対咎めに来るなあ。ほとんどの棋士はそれでやられてしまいますが、森内さんはそれを受け切っちゃうからちょっとドキドキ。。羽生さんの狙いは76の横歩取りだと思うんですが、さすがは森内さん、▲77金として横歩すら取らせません。しかし▲77金って、あんまりいい形じゃないですよね。後手は端歩も詰めた事だし、これで先手の角を捌きにくくしたという事で、いちおうこの戦場ではポイントをあげたことになりました。これで飛車を84にでも引いて、横歩取りの将棋みたいに先手の棒銀の進出を止めておけば、後手としては不満なしかな。…と思っていたら、羽生さんがとんでもない手を指しました!

20140408_30手△87歩 (30手目盤面図)

 ええええ~~ w(゚д゚* )w!!飛車を捨てるのか?!!いやあ、いくらなんでもこんな序盤から踏み込みすぎだろう…。羽生さん、過激すぎます。こんな順、考えすらしませんでした。しかしこれ、どうなるんだろうか。森内さん、お茶飲んだりトイレに行ったりソワソワ。きっと予想外だったんだろうな( ̄ー ̄)。

▲86金△88歩成▲同銀△66角

 これで飛車角交換、ここまでは一本道かと思いますが、ここでも先手の選択肢は2つしかないように見えます。88の銀と57角成を同時に受けるには▲67飛打か▲87飛打しかありません。どっちが得かはよく分かりませんが、さすがに他の手はない…と思います(チョット自信ナシ)。

▲67飛

 そうですよねえ。しかしこの飛車…攻防手になってないかい?羽生さんの急戦はガッチリ弾かれただけでなく、先手に先制の機会を与えただけに見えるんですが…

△22角▲75歩△72金▲45銀△35歩▲66歩

 いやあ、森内さんの▲75歩は、プロじゃないととても指せないような凄い手だと思うんですが(左の飛車を8筋に振る狙いは理解できるんですが、もうひとつの狙いは「△3五歩▲同銀△3六歩▲同歩△6四角を消すこと」だそうで。こんなの読めません(^^;))、しかし▲45銀をするりと躱した羽生さんの△35歩も凄い手だな。ふつう、こういう時って受けるものなんじゃないのか。危険を冒してでも羽生さんが角道を止めなかったもので、森内さんは危険と見たか、再度後手の角道を止める▲66歩を放ちました。これは自分の飛車道も止める事にはなるんでしょうが、一方で羽生さんの唯一の攻め筋を消したようにも思えました。さすがにこれは先手十分じゃないかと思っていたら…先手持ちは田中寅さんぐらいで、糸谷さんをはじめとした多くのプロがなんと後手持ち。理由は先手がまとめにくい形だからという事です。ま、マジか…形勢判断って難しいな。。

 しかし、いくら先手がまとめにくいと言っても、後手からの攻め筋が全く分かりません(・ω・)。そして…これは相掛かりの定跡勉強には既にならないんだろうなあ(^^;)。

◆◆◆◆◆◆

 なーんて言っている間に、2日目の昼になりました!僕はこれから仕事なので、夜まで見る事が出来ませんが…メチャクチャ面白い将棋になってるぞ。。形勢だけ見ようと思っただけだったんですが、そのほんの数分の間にサクサク進みます!羽生さんの猛攻vs森内さんのカウンターという感じで、このパワーバランスが作ったように良く出来ている!いやあ、昨日の終了時点では森内さんの方が良いんじゃないかと思っていたんですが、これは羽生さんの方が指せているんじゃなかろうか?しかし、あの状態から攻めの体勢を作るというだけでも信じられません…。羽生さん、化け物です。面白すぎて、仕事休んで見ていたいけど…それはイカン。行ってきます!!

◆◆◆◆◆◆

 ダッシュで帰ってきました!!…うおおお!なんだこの将棋は!!細い細い攻めを繋ぎまくる羽生3冠に、何とかそれを切らしにかかる森内竜王名人。あの△87歩の踏み込みから延々90手以上、9時間もこの攻防を続けていたのか…。なんという中盤戦、いかにも切れそうなところから攻め手をひねり出し続ける羽生さんの構想力も物凄いですが、それを間違えずに受け続ける森内さんの読み力も凄い。こんな乱戦模様の将棋で、均衡を保ち続けるとは…。今期早々にして、これは大名局じゃないでしょうか
 また、120手目近くになって遂に均衡が破れ、寄せへと踏み込まれてからの終盤の森内さんの粘りが見事。一瞬で寄っちゃいそうに見えたんですが、諦める事なく見事な受けの連発!170手を超えても玉を寄せさせず、連続王手を逃れ、詰めろにはさせても必至にはさせません。それどころか、1手でも羽生さんが手を空けると、何度となく反撃を試みます。ああ…この執念に、見ていて涙が出て来てしまった…。しかし、必至の反撃も、とうとう力尽きました。178手にて、挑戦者羽生3冠の勝利です!!

 名人戦の第1局は、将棋界最高峰の対決らしい、もの凄い一戦でした。あまりにハイレベルすぎて、僕はまったくついて行くことが出来ませんでしたが(^^;ゞ、常人には理解できない戦いであればこその名人戦なんでしょうね。これは、名人戦の歴史に残る名局ではないでしょうか。また、後手番の初戦をブレイクした羽生さん、これはいいスタートを切ったのではないでしょうか!今年の名人戦は、歴史に残る死闘になりそうな気がします。

◆◆◆◆◆◆

20140408_41手 さて、ただいま棋譜を見返しているのですが、やっぱり信じられないのは、手を作る事すら難しそうな後手が、どうやって攻めの手を作り、それを繋げていったのかという所。派手な捨て駒とかではない、この見えない羽生マジックは、41手目あたりからの数手にあったんじゃないかと。この盤面図から、後手番で攻めの手を作れる人がどれぐらいいるだろうか。。
 41手目盤面図は、先手森内さんが、後手羽生さんの唯一の攻め駒であった角の筋を歩の合駒一発で封じ、後手の攻めを完全に切らしたように見えたところ。しかも、この歩は攻守を入れ替える一手でもあって、先手は▲76金~▲87飛で反撃に出られることになります。それを先受けしたかに見えた後手の手が…

△82銀
 で、先手は構想通りに8筋攻めの攻撃態勢を整えて…

▲76金△83銀▲87飛△84歩
 これは後手が受けただけに見えたんですが…

▲56銀△14歩▲77銀
 先手がバラバラだった陣形を整えている間に…

△93桂
 いやあ、これが驚愕の一手!一手というより、△82銀以下、着々と整備していた守りの駒組みが、この桂跳ね一発で攻めの陣形に変わってしまったところがスゴイ。これが、以降最後まで切れる事のなかった後手の攻めの橋頭保になってしまいました。で、まったく手がかりすらないように見えた局面から攻め手をひねり出したこの一連の構想がどのように生まれたかというと…なんか、相手の手に乗りながら自然発生したように見えるんですよね。だって、スッカスカの8筋を先手が狙わなかったら、あの銀あがりは無かったわけですから。いやあ、これは何回見てもマジックだわ。

 というわけで、今回は、目的の相掛かりの定跡の勉強にはイマイチならなかったけれど、中盤での手の作り方の勉強になりました!相手の手に乗りながら、手を作っちゃうわけですね、メモメモ。。攻めと守りに関しては…ハイレベルすぎて、真似するなんて到底不可能。まったく勉強になりませんでした(^^;)。。
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駒の動かし方を知っていた程度の初心者です。せいぜい1日1時間ぐらいしか将棋に時間を割けない社会人が、ガンバって1年で初段になる事が目標です!
(*追記)10ヶ月ちょいで初段到達!!ただいま、居飛車側から各戦型に対応できるよう奮闘中(汗)。。

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