第63回NHK杯 決勝戦 丸山忠久 vs 郷田真隆 (横歩取り青野流)

 今期NHK杯もとうとうクライマックス、決勝です!今期NHK杯は羽生さんや渡辺さんが早々と消え、若手が健闘しまくり、謎局と名局が入り混じるというなんともカオスなトーナメントであったと思います。しかし、決勝まで来てみると、やっぱり残るのは強豪なんですね。若い頃の羽生さんが、一二三さん、大山さん、中原さん、谷川さんといった名人を総なめにして優勝した、なんていう事は、やっぱりそう簡単に起こらないんですね。今日の決勝は、どちらも好きな棋士さん。どちらもガンバレ!!そしてこの将棋、先手後手とも鬼手連発の、超絶に面白い将棋になりました!!いやあ、すごかった…。決勝にして、今期NHK杯いちばんの名局になったのではないでしょうか。

20140323_26手 先手は丸山さん、戦型は…おおっと、横歩取り!!郷田さんが後手番で横歩を指すのも意外、丸山さんが角換わりを指さないのも意外でした。しかも、先手は飛車を引かない青野流、これって飛車の真後ろの歩を突いて桂跳ねしたりして、難しいんだよなあ。26手目盤面図までは、青野流でよく見る形。ここから先に変化したのは、先手の丸山さんでした!

▲45桂
 なんと、いきなり桂跳ね?すげえ…。今期NHK杯での丸山さんは、序盤からいきなりデンジャラスな手を放って踏み込んでいくからスゴい。これで連勝してしまうんだから、終盤力がもの凄いんでしょうね。しかし森内さんの解説での口調を聞く限り、これは前例のある指し方みたいです。以下、△88角成▲同銀で、次の▲97角がけっこう厳しい狙いになるので△33歩と受けるのではないか、との事。しかしそうなると先手が先攻する展開になりそうだなあ。なんと、青野流で、この桂跳ねは有効なのか。いや、これはいい事を覚えたぞ(^^)。
 で、この序盤でいきなり郷田さんが長考。たしかに、定跡形で先手が面白い展開になるのが見えているのだったら、ここは考えたいところですよね。そして郷田さんの捻り出した手が驚愕の一手。

△37歩
 エエエエ~(゚ロ゚ノ)ノ!!!いやあ、とんでもない手が飛び出しました。なるほど、これで先手が33の地点に殺到して攻め合いに行くと、駒数が足りずに手が空くので、その時の△38歩成が厳しくなるのか。攻め合いへの誘導は、ただでもいいから歩の垂らしは考慮に値する、という事か。いや、凄いなこの手は…。これがもしうまくいくんだったら、この新手は定跡になっちゃうんじゃないか?でも、▲同銀とされたらどうなるんだろうか。

▲同銀
 これは自然な手に見えます。さて、この1手の交換が何を意味する事になるのか。後手の構想が知りたい…

△88角成▲同銀△55角
 角交換は△33角型になった時点でずっと大前提になっているので、この角交換からの△55角はあり得る手。しかしこれ、俗手ながら先手はかなり受けにくく見えます。左辺を突破されたらいっぺんに潰れでしょうから、左辺を守るんでしょうが、そうなると先ほど吊り上げられた銀が死んで、しかも馬を作られるのか。いや、これはさっきの銀のつり上げが見事に功を奏しているぞ。後手の郷田さんの攻めが決まったか?!

▲77角△76飛
 ああそうか、飛車に当てて左辺を守れば、飛車を逃げる手に1手使わせられるので、銀取りをしている暇はないのか。で、△77同角成としてしまうと▲同銀が飛車に当たってしまうので、△76飛と回す、と。これ、実はやっぱり先手の方が良いんじゃないか?郷田さんの構想が分からない…。

▲84飛
 これで先手の飛車成は確定。やっぱり、先手が良いよなあ。。

△37角成▲81飛成
 完全な攻め合いになりました。しかしこうなると…あら?玉形に差があって後手の方がいいのか?で、次の手が驚愕の一手!

20140323_38手△75飛(38手目盤面図)
 ウアアアアアア~~!!ぼんやりした手に見えたんですが、実はこの桂取りが受けにくいのか!!もし桂を抜かれると47の地点に駒が殺到して、壁形の先手玉はいっぺんに寄り筋だわ(゚д゚;)。郷田さんの狙いはなんとこれだったのか。感想戦では、先手の丸山さんはこの手が見えていなかったとの事。だとしたら、▲81飛成と△37角成の交換がまずくて、先手の▲84飛が緩手だったという事か?龍を作るより、あそこで森内さんの解説のように▲46銀みたいに受けた方が良かったんだろうか(さすが竜王名人!)。いや、将棋って難しい…。この一手を境に状況は一変、丸山さんは苦しい受けを強要されます。

▲48金△同馬▲同玉△45飛▲34角
 角と金銀の2枚換えのうえに裸玉、しかもその角を34に打たされ、先手の主張といえば一段龍ぐらいか。さすがにこれは後手よしだろう。もしかすると寄り筋すらあるかもしれないので、後手勝勢ぐらいでもおかしくないかも知れないぞ。。

20140323_48手 しかし、今期NHK杯で幾度も神憑りな鬼手を放ってきた丸山さん。このままでは終わりませんでした。先ほどから少し進んだ48手目。駒得をした郷田さんは、それを活かして着実な手で優勢を広げていくのですが、そこで丸山さんの放った一手がこれまた見事でした!

▲24歩
 またしても鬼手、キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!いやあ、それにしてもすごいな、これ…。郷田さんにしても丸山さんにしても、どうしてこんな手が思い浮かぶんだろうか。後手がこれを放置して攻めに来れば▲23歩成△同金▲44角成が厳しいのか。手抜いて△77桂から攻めるとどうなるんだろうな…。あるいは、単に△同銀だと?…▲22歩か。いやあ、後手の圧勝に見えたのに、歩の垂らし一発で紛れを作っちゃったよ。。で、郷田さんが選んだ手は…

△22歩
 いや、これは先手に見事に利かされましたね。しかも、後手玉も壁形にさせられました。しかしここで角成といけないのが先手の辛いところ。攻めを繋げないと、結局は後手に押し切られちゃう事になるので、ここでいい手を見つけたいところでしたが…

▲91龍
うわ、じっと香を補充か。これは辛いぞ…

△77桂成▲同銀△37角
 先手玉、着実に狭められます。終わった、かな…

▲35桂△34歩▲44香△42銀打
 逆襲、キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!なんと、後手玉の玉頭に戦場を作りました!しかも数の攻めだよ。。これは受け損なうと即死だな。

▲72歩
 しかし、数が足りない。数が足りないと見るや、ここは利かせにしておいて放置、一転して右辺の急所に垂らしの歩です。変幻自在ですね。無理でも敗勢と見て無理攻めで清算してしまわずに、選択肢を増やして複雑にしていくというのはすごく勉強になります。この垂らしは急所なので確実に入りますが、問題は速度。と金に1手、それが寄るのに1手、ですからね。しかも、それを手抜かれるとすると3手か。アマなら間違えるかもしれないけど、プロではこれは相手にしないだろうな。ただでさえ駒が足りないので、遊んでいる右の角が攻防となる構想はないもんだろうか…。

 ここから丸山さんは見事な受け、その受けで作った手番を有効に活かして、なんと詰めろを掛ける所まで迫ったんですが、郷田さんレベルになると、受けも寄せも間違えません。82手まで、後手郷田さんの勝ち。郷田さん、NHK杯、初優勝です!!おめでとうございます(*・∀・)ノ゙ 。+・。゚:*:!!

 いやあ、今日の将棋はメチャメチャに面白かった!プロの凄さを見せつけられました。しかし、速く決着のつく横歩取りの将棋で、その中でも超超急戦みたいな展開になったので、感想戦が長い事長い事。しかし、勝った郷田さんも負けた丸山さんもニコニコしながら楽しそうに感想戦をしていました。最近、挨拶もせずに即去りする人との対局が幾つかあったので、こういうのって、いいなあ。。しかし、長い長い感想戦を終わった後も、まだ10分ぐらい時間が残っているんですが( ̄ー ̄)。。いやあ、今日はいいものを見せてもらいました!

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Author:ShougiX
駒の動かし方を知っていた程度の初心者です。せいぜい1日1時間ぐらいしか将棋に時間を割けない社会人が、ガンバって1年で初段になる事が目標です!
(*追記)10ヶ月ちょいで初段到達!!ただいま、居飛車側から各戦型に対応できるよう奮闘中(汗)。。

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