第63回NHK杯 丸山忠久 vs 大石直嗣 (相向かい飛車)

 今期NHK杯の大石さんはすごい!得意のダイレクト向かい飛車をひっさげて、行方さんを破り、羽生さんを破り、屋敷さんを破るという調子で、A級棋士を総なめです!しかし、今日の大石さんは先手番。ダイレクト向かい飛車の本家である佐藤康光さんが、先手番でも向かい飛車にしていた将棋は見た事がありますが、さて今日はどうなるんでしょうか。そういえば、丸山さんも角換わりのスペシャリストなので、角交換までは必然かも。

 さて、今日の将棋は序盤からもの凄い駆け引き。なんと、後手の丸山さんが4手目角交換!おおっ!これはもしかして、丸山さんの方がダイレクト向かい飛車にするのか?!しかし、後手がいきなり飛車を振る事はなく、右銀を繰り出し、相手の様子を見ながら慎重に駒組みを進めました。先手は先手で、玉の整備でも急戦狙いでもなく、1筋の歩を突き越しました。狙いがサッパリわからなかったんですが、解説の片上さんによると「1筋の歩を突き越せたら飛車を振るという、佐藤康光さん発案の有力な構想がある」との事。う~ん、リクツが全然わからないぞ(^^;)。で、先手の大石さんは▲27銀から▲88飛と振って、向かい飛車に!これまで向かい飛車で勝ってきたんだから死ぬまで向かい飛車で、という事でしょうか。これで急戦はナシ、玉は右辺で銀冠に囲う事も決定、という感じ。驚いたのは、これに対する丸山さんの構想です。

20140309_18手 △22飛(18手目盤面図)

 うおおお~!!相向かい飛車?!こんなの見たことないぞ。。いや、後手の攻撃の狙いは分かる気がします。銀冠をアタマから飛車銀で潰そうという訳ですよね。しかし、守りの構想が全然わかりません。飛車を振ってしまうと、8筋がヤバすぎないかい?玉はどうやって囲うんでしょうか。右銀が73にいれば何てことはないんでしょうが、腰掛け銀模様で63にあがっちゃってるもんだから、8筋が薄すぎる。しかし、今期NHK杯での丸山さんの強さは圧倒的なので、行きがかり上こうなってしまったという訳ではないんだろうな。。
 で、ここから非常に神経を使う序中盤が続きました。駒組みが、そのまま両者の構想をまるまる反映する感じで、これが素晴らしかった。

▲38金△24歩▲86歩△72金▲85歩△62玉▲36歩△25歩
▲同歩△同飛▲26歩△22飛▲58金△44銀▲46歩△35歩
▲47金左△36歩▲同金△71玉▲48玉△34歩▲39玉△52金
▲28玉△33桂▲66銀(45手目盤面図)

20140309_45手 森内さんの将棋を見ている時なんかに感じる事なんですが、強い人って、駒が当たる前の駒組みの段階で、既に優勢を築いている感じがします。駒が当たり始めるころには、相手はもう苦しい、みたいな。今日の将棋なんて、最初から互いに手将棋みたいになってるでしょうから、序盤から構想力勝負の手に汗握る展開に。定跡を使って観戦できないので、1手1手がものすごく考えさせられたんですが、互いに無駄な手がひとつもないように見える。しかしそれにしても…2~3筋方面の戦場での丸山さんの手順がスゴイ。相振り飛車なので左右が逆転していますが、要は角換わり早繰り銀模様。なので、飛車のコビンに神経を使いながら銀を使わなければならないという攻めなんですが、コビンをうまく防ぎながら、飛車先の歩を交換し、銀を進出し、桂まで跳ね、相手の金を吊り出す事にまで成功。いやあ、この戦場での下工作は、丸山さん不満なしとどころか万全じゃないでしょうか?とんでもない手というのはひとつもないんですが、手筋だけでここまでいい形にしてしまうのか。。
 問題は後手の守りですが…8筋の守りは薄いんですが、陣形が低いので、角の打ち込みには強そう。これは、8筋を突破されるのは時間の問題に見えるけど、角の打ち込みから一気に崩れる事はなさそうなので、意外と時間が稼げそう。守るというよりも、左辺への逃げ出しを含めての時間稼ぎができるという感じ。なるほど、この攻めと守りの速度差が構想なのかな?後手が、8筋を突破されるより先に、先手陣を崩せるかどうかという点が今日の将棋、かなあ。いやあ、玉形がボロボロに見える後手が、実は主導権を握ってるんじゃないか?で、次に驚愕の手が飛び出しました!

△69角(46手目)

 うわあ、すげえ…。今期NHK杯の丸山さんは、とにかく踏み込みが鋭いというか、中盤の細かい駆け引きに見える辺りから、いきなり大駒を切ってきて終盤に持ち込んでしまう所が恐ろしいです。角換わりの将棋って、定跡でもあえて駒損をして敵陣を崩す角の打ち込みっていうのが幾つもありますよね。僕は、この考え方をするのがもの凄く苦手。この角、取りに行くと馬になるので取れないというのは分かるんですが、しかしこの角を打って次にどう攻めるのかというと…△36角成と切る手しかないんじゃないでしょうか。角金交換の駒損はいいとして、それで後手が良くなるようには到底見えないんですが…。また、先手が▲37金引と躱したら?…なるほど、△25歩と叩くのか。で、本譜は…

▲75歩△36角成▲同銀
 大石さんは攻め合いを選択。それで角金交換という駒損の交換が成立。いや、これで後手が本当に良くなるのか?いまだに疑問なんですが(´・ω・`*)。

△26飛▲27金△22飛▲26歩
 先手玉頭の駒を飛車で外していくんですが、これ、▲27銀と受けると?…△22飛▲26歩△35銀か。なるほど、これは厳しいな。で、銀の進出を防ぐために▲27金なのか。でもこれは、後手受かるんじゃないか?

△35金
 △35金か!!!うおおお、すげええ~~~!!これはもう受からないだろ。。こうなってみると、角より金の方が有り難いわ。。こうなると後手は受け切れないので、攻め合いなり攻防手なり、それでもダメなら曲線的で複雑な局面を作り出すしかありませんが…いや、これは速度勝ちはもう無理だろうな。。いやあ、この金打ちが見える人って、一体どれぐらいいるんだろうか。。信じられません。

▲74歩△25歩
 △25歩がまたまたもの凄い手!!すげえええ、これは即死だろ…。仕掛けから数手で瞬殺か…。いやあ、読みは深さよりも正確さなんて言いますが、△69角以下ここまでは、完全に読み筋通りなんだろうな。。この後、大石さんはプロらしいもの凄い粘りを見せるんですが、丸山さんは勝ったと見た瞬間から指し手を一転させ、堅い手ばかりで詰めろをかけ続けます。結果、104手にて丸山さんの勝ち!!あ、圧倒的じゃないか。。

 いやあ、今期NHK杯の丸山さんの指し手はもの凄いです。なんというか、西川さんの将棋は構想力に驚かされましたが、丸山さんは大駒を切っていきなり終盤に引きずり込んで一気に寄せてしまう踏み込みがもの凄い。相手は、まさか踏み込んでくるとすら思って中たんじゃないでしょうか。飯島戦では、なんと歩頭に銀をタダ捨て!これ、寄せじゃなくって、単なる中盤の仕掛けだったという所がもの凄かったです。今日もいきなりの角捨てからの一気の寄せですから、見ていてビックリです。丸山さんがA級でないという事自体が、信じられない現象です。

 これでNHK杯の決勝は、郷田さんvs丸山さんという事になりました!いやあ、これはもの凄い決勝になりそうだぞ(^^)。
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Author:ShougiX
駒の動かし方を知っていた程度の初心者です。せいぜい1日1時間ぐらいしか将棋に時間を割けない社会人が、ガンバって1年で初段になる事が目標です!
(*追記)10ヶ月ちょいで初段到達!!ただいま、居飛車側から各戦型に対応できるよう奮闘中(汗)。。

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