好きな人が書いた棋書を読む

 ネットの動画サイトで羽生さんと谷川さんの将棋を見て、ものすごい感動した事があります。たしか竜王戦で、解説が田中寅彦さんに島朗さんに林葉直子さん。終盤の攻め合いで、谷川さんがとんでもない寄せ。全員がタイトル経験者、しかも現役棋士だというのに、誰ひとりとして寄っているかどうか分からない。しかし、その難解な局面どころか、その何手も前から、谷川さんには寄せが見えていたみたいです。羽生さんですら、まさか必至だったとは思っていなかったそうで。中盤と思っているところからいきなり寄せに来る恐怖の光速流、ここで将棋の歴史は大きく変わったのではないかと思います。

 谷川さんの書いた『光速の寄せ』を買ったのは、囲い崩しの、終盤の勉強をしたいと思ったからです。しかし、理由はそれだけでなく、あの驚愕の光速流に魅せられたから。いたってシンプルに、好きな人の教科書なら、納得して読めるんじゃないかと思ったのです(我ながら、なんという単純さ(^^;)。『羽生の頭脳』を選んだ理由も似たようなもので、もっといいと思える教科書があったらそちらを選んでいたのでしょうが、どうしてもどれがいいか分からなくなったので、羽生さんの著書を選んだ、みたいな感じです。

 学生の頃、運動部に入っていたんですが、軍隊式のその部活の中で、監督の指導は絶対でした。そして、その監督の言っている事がどうしても理に適っていると思えない時がありました。簡単に言えば、僕が尊敬するプロ選手が「膝を伸ばせ」といっているところで、その監督は「膝を折れ」という。で、理屈で考えても、どうしてもプロ選手の言っている事の方が正しく思える。これは辛い経験でした。あの時、僕は、監督を説得するか、それでもだめなら盾突いてでも、正しいと思う方法を貫くべきだったと後悔しています。

 学ぶ側が基準にするものはふたつしかない。ひとつは理屈に合っているかどうか。これは絶対だと思います。問題は、どうしても理屈に合っているのかどうか、自分で判断が出来ない時。この時、自分が信じている人とか、自分が尊敬している人のやっている事であれば、ダメでも納得出来るし、心中できる。

 …まあ、アナログな考えには違いないのですが、感情の動物である人間にとって、こういうメンタル面もけっこう大事なのではないかと思うのです。もし、一生懸命読んでいる『羽生の頭脳』の著者が羽生さんでなかったとしたら、私は途中で挫折していた気がします。ただし、これはあくまで「どうしても」という時の基準。明らかによりすぐれたものがあるというのであれば、そちらを選ぶべきと思います。


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Author:ShougiX
駒の動かし方を知っていた程度の初心者です。せいぜい1日1時間ぐらいしか将棋に時間を割けない社会人が、ガンバって1年で初段になる事が目標です!
(*追記)10ヶ月ちょいで初段到達!!ただいま、居飛車側から各戦型に対応できるよう奮闘中(汗)。。

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