第30期竜王戦決勝トーナメント 藤井聡太 vs 増田康宏 (相居飛車)

 はじまりました竜王戦決勝トーナメント!!僕は、勢いある若手からベテラン超強豪棋士まで顔を出す竜王戦決勝トーナメントが、プロ将棋の中で一番好きなんです(^^)。。今年は特にそうで、羽生さん康光さん久保さんの黄金の羽生世代、渡辺竜王(まあこれはトーナメントには出てきませんが)に稲葉さんという今が全盛期ぐらいのアラサー世代、勇気さんに藤井聡太くんの若手強豪まで参加のトーナメントなんて、面白すぎです(^^)。しかも、トーナメント中に天彦名人以外のタイトル持ちがみんな入ってるし。開幕局一回戦は、藤井くんによるプロ連勝記録の更新がかかった一番になりました。しかも相手の増田さんは去年の新人王なので、これは最強新人対決でもあるという、なんかすごいものがいろいろ重なっちゃった一番(^^)。

20170626竜王TN_藤井聡vs増田_相居飛車20手 戦型は…いや~こういうのって、いまだになんといっていいか分かりません(^^;)。どちらも矢倉に囲わないけど矢倉がいちばん近いのかな?出だしは角換わり気味だったんですが後手の増田さんが角道を止めて角交換拒否。角換わりは拒否しない藤井さんの傾向を見越して進め、しかも角換わりを外すという作戦かな?これは狙っていたに違いない( ̄ー ̄)。でもそこから矢倉に合流していくかというと、後手増田さんは33ではなく43に銀をあがって雁木、すでに矢倉にはならない形。先手は先手で銀を88じゃなくって68に回したもんだから、これも雁木指向になりそうで矢倉に組みそうにありません。20手目盤面図なんて、僕レベルの人間にとっては力戦みたいなもんです。最近、プロはマジで矢倉に組みませんね、コンピューターがプロを凌駕しはじめて以降、角換わり腰掛け銀もぜんぜん新しい形になっちゃうし、矢倉なんか角換わりどころじゃない大激震に見舞われちゃいましたが、相居飛車では矢倉がかせぎ頭の僕としては、これまでの序盤の勉強がぜんぶ無駄になりそうで、やめてほしいっす (´・ω・`)。先手▲77銀復興以降の矢倉の戦型分岐を綺麗にまとめた定跡書って、出ないかなあ。弱小アマとしては、流行戦型の研究じゃなくって、加藤流や森下システムなんかの古い形も急戦も雁木も含めた矢倉全般の分岐チャートが欲しいっす。上野さんの本って、どれぐらいまで書いてあるんだろうか…。

 今は昼食休憩ぐらいのタイミング。すでに先手が矢倉に囲わなかった後手の咎めに行ってますが、ここからどうなるでしょうか。今日は仕事が進む気がしないぞ。。

 ただいま夕方の5時ごろ。中盤の難所ですが、いや~これは後手増田さんの方が指しやすくないかい?とうとう連勝が止まるかも…。

 夜戦。追い込まれた藤井くん複雑な順の反撃を選んで乱しに行きます!いや~「ここで角を打つんじゃないの?」とか、そういうひと目良さそうでも普通の手はことごとく指さない感じ。そしたらなんといつの間にやらこれが通ってしまった模様。いや~、よもやあれで先手がずっと良かったなんて事はありえないと思うので、どこかでひっくり返ったんだと思います、どこか分かんないけど(^^;)。結果、いつの間にやら手品のような逆転で、藤井さんの勝ち!!プロ新記録の29連勝です!!(*・∀・)ノ゙ 。 オメデト-♪

 いや~、すごいものを見てしまった、もしかしたらこの記録が破られる日を、僕は死ぬまで見れないかも。また、藤井さんにしても、このまま強くなったら強い人との対局しかなくなっちゃうので、自己更新も難しくなるだろうし。そして今日の将棋は、序盤は完全に増田さんの作戦勝ちだった気がします。角換わりを拒否しない相手に、誘い込んでおいてもっとも早い段階でそれを拒否して変化するという、相手が拒否もしにくいし自分の研究は外れにくくなるだろう。これは見事な戦略でした。中終盤に関しては、なんというか…羽生さんの将棋ばかり並べてた人間の感覚でいうと、こういう複雑な順の攻め合いに来られた将棋って、受け潰しって安全策に見えて安全策じゃない印象があります。中盤で自分がの方が良さそうな時って安全勝ちしたくなるけど、暴れられると一手差勝ちを狙いに行かないと難しかったりする事が往々にしてある、みたいな。増田さんは手抜き出来るタイミングが結構あったのに、反撃を入れずに受け続けていたのは、そういう意味で「手の速さも考えながら攻めの速度も合わせて反撃筋を作っておかないと、受け一辺倒ではヤバそうだな…全然わかってないけど、これが最善手じゃないんだろうな」な~んて嫌な予感はしました。でも、そういうのをひっくるめて相手より上を行っているから、29回も連続で勝てちゃったりするんでしょう。いや~、将棋も凄まじい、記録も素晴らしいという、いいものを見せていただきました。さてこうなると、誰が連勝を止めるんですかねえ。なんか、森内さんの気がしてならない…。。

コミック『将棋の渡辺くん』

SHouginowatanabekun_02.jpg 渡辺竜王の奥さんが書いている将棋エッセイマンガです。ずっと読みたいと思ってたんですが、とうとう近所の古本屋で見つけたので購入。1~2巻をまとめて買いましたが、3巻ってあるのかな?
 
 いや~面白かったです!創作将棋ドラマでなく、ノンフィクションの将棋ギャグエッセイという所が面白いです。ボケ漫画なんですが少しだけ知的で、そこがセンスいいなあと思って、楽しく読ませていただきました(^^)。ボケだけだとエッセイとしてはつまらなくなってしまいそうだし、でも知的にしすぎるとギャグ漫画としての面白さが薄れるし嫌みにもなる気もするので、このさじ加減が絶妙に感じました。

 将棋を全然指さない人と指す人の両方を視野に入れて書いているだろうから、ネタが棋士や将棋の絡むものと、渡辺竜王の個人的なネタ(竜王がぬいぐるみ好きな事を元にしたネタが結構あります)のふたつに分かれるんですが、将棋好きな私としてはやっぱり将棋や棋士が絡むエッセイ風のマンガが面白かったです。脳内将棋は渡辺さんでも盤面ぜんぶが見えてるわけではなくて、玉の囲いや駒のぶつかっている所を覚えていて駒台の歩の数とかはあいまいだとか、盤面図を見るとプロは「あ、これは○○八段vs□□七段戦だ」とか分かるとか(すげえ)。将棋会館が東京と大阪にしかないので、プロ棋士を目指す奨励会員の子供は早い段階で親元を離れる事があって、先崎さんは小学4年から米長さんの家の居候、行方さんは中学から東京に出てきて一人暮らししていたとか。こういうエピソードは、すごく面白かったです。

 西原りえこさんからか、はたまたちびまる子ちゃんからか、エッセイ漫画ってすごく増えましたよね。さっと読んで「なるほどね」みたいに思って楽しむジャンルだと思いますが、そのジャンルのプロ棋士版というのはとっても貴重。プロ棋士当人はそんなの書いてられないでしょうから、書ける可能性があるのは奥さんやご家族だけ。でも、プロ棋士って人数がすごく少ないので、これを読まなかったらノンフィクションの将棋エッセイ漫画は二度と読めないかも知れません。推薦!

第67期王将戦 予選7組 藤井聡太 vs 澤田真吾 (角換わり相腰掛け銀)

 藤井聡太さん、プロ将棋連勝記録タイの28連勝(・ω・ノ)ノヒョエ~!!どの棋戦でも勝ちあがってきてるので、若手強豪とかの名の知れた人ばかりが相手になってきてるのに、負けません。イチローがメジャー記録の年間安打新記録を達成した時もそうだったんですが、とんでもない事をやっているのに毎日それだからそれに慣れちゃって勝って当たり前みたいに思えてきちゃうのが怖い。だって、普通は1勝するのが大変な世界ですよね、プロって。。

20170621王将予選_藤井聡vs澤田_角換66手 戦型はまたしても角換わり腰掛け銀。得意戦型のひとつなんでしょうね。今日ビビったのは中盤争いかと思っていた所から一気に終盤の寄せの絵にまで直結させた踏み込み。66手目盤面図は、後手が負の拠点を多く作られたところから、両取りの角打ちを放って形勢を挽回しかけたように思えたところ。ここで藤井さんは…

▲38飛△19角成
 いや~、第一感だと▲69飛~▲62歩成としそうなもんですが、なるほど△37角成を許すとそれが55の銀にも当たってくるから▲38飛なのか。しかしこの飛車は狭いですね、飛車をいじめながらの寄せを喰らっちゃいそうなので、ここはそれを上回るスピード感ある攻めを考えたいところですが…

▲64角△31玉▲44歩△同歩▲53角成
 この角打ちは銀に紐をつけつつ玉をラインに入れる好手に見えます(^^)。しかし、次の▲44歩の味つけが見事、いや~これはちょっと感心してしまいました。次の▲53角成のあとで、銀打ちの合駒をしてくれれば攻め駒を削れて自玉は安全になるし、銀引きなら44の歩が浮いて角でも銀でも取れるという事ですね。う~んこれは参考にしよう(^^)。

△42銀▲75馬△53歩
 澤田さんの選択は駒を節約した銀引き。まあそうしないと受け一辺倒になってしまって勝ち味が薄くなってしまうということかな?そして…・おおお、▲44馬で退路封鎖してから質駒にされている桂を跳ねだして飛車筋も通して一気に捌くかと思いきや、馬のラインを残しました!これは85の歩に紐をつけて後手の飛車が走る筋を消しつつの攻め、後手の勝ち筋が消されてる。なんだろう、指されればこの一手と思えるんですが、それを自分で気づけない自分の棋力の無さが泣ける(T_T)。。

▲43歩△同銀▲45歩
 うああ~何という嫌な銀のつり上げ。しかもこの4筋への嫌味のつけ方は…

△29馬▲48飛
 後手は馬が遊んだままでは勝負にならないのでその活用に行きますが、しかしその手に乗って飛車を嫌味をつけたばかりの4筋に振りました。逆にいうと、4筋の叩きを入れずにいきなり▲44銀と踏み込む方が直接的というか分かりやすい手だったと思うんですが、あそこで叩きを2発入れたのって、後手が馬を活用しに来るのを見越して入れてたんじゃないかなあ。。もう、相手の手を逆用する手のオンパレードです。しかしこれ、もう寄せの絵が見えてるんじゃないか…。

 ここから藤井さんは寄せに入り、馬も桂も捨て、相手の攻めも全部手抜いて一気に寄せ、最後はなんとも鮮やかなタダ捨ての金の打ち込みで澤田さん投了。いや~、終盤は速度という教科書のような寄せ、素晴らしかった!

 しかし、それ以上にすごいと思ったのはやっぱり中盤から終盤のあの指し回しでした。当たりを打たせるとか(今回澤田さんは打ちませんでしたが)、相手の手を逆用するとか(これは完全に狙い通りに入ってました…恐るべし)、いかにも味の良さそうな攻防手を常に絡めるとか(これもこの15手程度の中で何度も入ってました)、そしてそれらの部分的な手筋が綺麗に一本につながっているとか、こういうところがすごく創造的な棋譜だと思いました。この手の中終盤の指し回し、僕は『羽生善治の終盤術』ではじめて学んで感動、さらに谷川さんの『光速の終盤術』でさらに鳥肌がたって(この本はマジでスゴイ…僕にとっての3段の壁の突破はこの本によるところが大きかったかも^^)、将棋の芸術はこの中盤の創造力だなと思って現在に至るんですが、そういう芸術的な指し回しが面白いように飛んでくる藤井さんは、やっぱりすごい。棋書に出てくる終盤術の例なんて、綺麗にカッコよくきまった時のものだけを拾い出してると思うんですが、そういう指し回が毎局のように出てくるというのは、やっぱりすごいんでしょうね。羽生さんのデビューから7冠までの黄金期を見逃した僕としては、聡太さんの黄金期は見逃さないで行きたいです(^^)。マジで、中学生でタイトル取っちゃうんじゃなかろうか。。


実力制6代名人 加藤一二三さん引退

20170620_kato.jpg 第30期竜王戦の6組昇級者決定戦は、加藤一二三さんの引退がかかった一番でした。夕方、仕事終わってから急いでネットTVをつけたんですが、これが相矢倉だったとは思えない盤面図。しかも、先手加藤陣は崩壊で後手高野陣は堅牢、これは大差なんじゃないかと。以降は紛れを求める機会すらなし、アマチュアの僕ですら必負と分かる局面で、加藤さんが盤面を睨んだり何度も席を外したりして手を指そうとしなかったのが印象的でした。20時10分すぎ、加藤さんが投了して加藤さんの引退が決定。介錯の役を担った高野さんも、なかなかつらい役回りだったんじゃないかと。負けた後、感想戦もせずものすごい数の報道陣の取材も受けず、すぐにタクシーに乗り込んで帰ったようでした。色々な思いが錯綜していたのかも知れませんね。
 何年も将棋のブログなんてやるほど将棋に夢中になっていながら、実は神武以来の天才の棋譜や対局をあまり見た事がありません。昔の世代でも大山さんや升田さんや中原さんや米長さんの棋譜はそれなりに並べた事があるので、僕が矢倉で加藤流を指さないのが大きかったかも。あと、矢倉の勉強も、森下さんや森内さん以降の棋書での勉強だったので、世代差も想像以上に大きかったのかなあ。

 加藤さんの将棋でパッと思い出すのはNHK杯で羽生さん伝説の▲52銀打が飛び出し時の▲羽生-△加藤戦。そのまま定跡化したような大名局ですが、あれは今見ると米長さんの解説がメチャクチャ面白いので余計に名局に見えやすくなってる面もあるかも。古館さんの実況のおかげで名勝負になったプロレスとか、野村さんの解説で名試合になったプロ野球「江夏の21球」とか、シロウトには分かりにくい部分を実況や解説がうまく伝える事で名勝負が伝わりやすくなる時ってありますよね。それにしても、まだ新人だった羽生さんが名人経験者だった全盛期の加藤さんに対して棒銀を採用したという剛気には驚かされました。あのNHK杯は、大山永世名人・谷川現名人(当時)・中原前名人(当時)、そして加藤一二三前々名人という錚々たる名人をすべて総なめで羽生さんが倒して優勝したので、中原・加藤・米長の時代から、羽生世代の時代へと歴史が動いた瞬間の象徴的な名勝負でもあったのかとおもいます。

 解説者としては、テレビ対局の▲内藤-△有吉戦で、米長さんと一二三さんのふたりで解説していた将棋が印象に残ってます。大爆笑でした(^^)。先手石田流の対抗形、後手が矢倉に組んでいたのが、たかだかここ数年で将棋を始めた程度の僕にはすごく目新しくて、将棋自体も面白かったんですが、米長さんと一二三さんの漫才のような解説に全部もってかれちゃってました(^^)。予想手も形勢判断もことごとく二人は対立していて、やかましいぐらいに二人でベラベラと大討論するんだけど、次の一手が指される瞬間だけはシ~ンとなって…あの古典落語に匹敵するおもしろさも加藤さんと米長さんの解説あってのもの、今でもたまに見て大爆笑させてもらっているほどの名漫談解説です(^^)。

 将棋って、江戸から平成まで日本でいちばん楽しまれてきたゲームで、風呂あがりに縁台将棋したり、時の名人の将棋を見て感動したり、長年日本の風俗として文化の中に溶け込んでいた気がします。人って生まれて死にますが、その短い人生の中で、日本に生まれた庶民が楽しんだことのひとつだったと思います。少しだけ古い日本を扱った映画でもマンガでも、当時を描くのに将棋がよく出てきます。「じゃりン子チエ」なんて、せまいご近所さんたちとの生活の中で、猫がいて、お隣さんがいて、じいちゃんばあちゃんや親子の交流があって、大人の男は町のあちこちで将棋指したり、祭りに行ったり、祭りでは相撲が楽しまれていたりしてる様子が描かれてますが、それがなんとも幸福な社会に見えちゃうんですよ。もしその世界に祭りも将棋もなく、近所づきあいも現代みたいに希薄だったとしたら…そう考えると、当時の庶民の小さな幸せのひとつが将棋という表象をとっていたのかも。そういう社会の中で中学生でプロ入り、全冠独占の全盛期大山大名人を破り、その後の時代の代名詞となった中原永世名人から名人位を奪い取った加藤さん。長年にわたって、日本の文化風習の中でたくさんの人を楽しませてきたんじゃないでしょうか。加藤先生、ながいことお疲れ様でした!!

第88期棋聖戦 第2局 羽生善治 vs 斎藤慎太郎 (角換わり)

 棋聖戦は第1局がものすごい将棋。裏で聡太くんの対局もやってますが、僕的にはやっぱりこっち(^^)。さて第2局は角換わり。▲48金29飛-△62金81飛の形が指されるようになってけっこう経ちましたが、今でもこの形の優劣がプロの角換わり相腰掛け銀の争点になってるみたいですね。自分で研究なんてとてもとても、プロが結論まで出してくれた所に追いつくので精いっぱいの僕は、『これからの角換わり腰掛け銀』でようやく仕掛けが出来るようになったというのに、△62金81飛型で、またも打開に苦しんでおります(^^;)。。

20170617棋聖88-2_羽生vs齊藤慎_角換43手 ただいま昼食休憩前。後手の斎藤さんが手待ちしたのに対し、先手羽生棋聖は…おお~手待ちせずに行きました!今回の棋聖戦、1日制だからかどうかわかりませんが、羽生さんは指し手がえらく積極的で攻撃的。この形で▲25歩を入れていないのは、なんかあるんだろうな~とは思ってたんですが。でもこれ、すぐに6筋がつけるわけではないですよね。右玉崩しの角を打つか、銀を繰りかえるか…しかし、先手以上にビックリしたのはここからの後手斎藤さんの構想でした。

△42銀
 うああ~左銀を引いたよ(゚ロ゚ノ)ノ。これは玉を右に入れようという事ですよね。。右玉の守りが異常にヘタな僕は、矢倉側じゃなくって右に玉を寄せる人を見るだけで「すげえなあ」と思ってしまうんですよね(^^)。しかも、先手が右辺を狙っているというのに。でもこんな構想、ぜったいに研究した上で指してるんだろうなあ。

▲47銀△61玉▲56歩△72玉▲46銀
 やっぱり後手は右玉にガッチリ囲いました。それを見て羽生さんは角打ちを保留して銀の繰り替え、力を貯めます。さて、ここで昼食休憩。先手が▲25歩を保留している以上、後手は左銀は中央に使うでしょうから、昼食休憩後は△53銀の一手ですかね。そこで先手が仕掛けるか、駒組みを進展させるか(とはいってもあとは▲25歩ぐらいしか残ってないかな?)といった感じ。後手は先手次第というか、攻めてくればカウンター狙いで、駒組み進展ならむしろ後手の方が指したい手は多そうなので歓迎かな?だとしたら、先手は△53銀を待ってからすぐ開戦かな?いや~、いくら一日制とはいえ、これは早い展開に見えます。さて、どうなるでしょうか。このまま観ていたいけど、もう出掛けなくては。帰ってくる前に終局になっていない事を祈るばかりです ( ̄人 ̄)。

* * * * * *
 帰ってきました、間に合ったかな…おお、まだやってました、しかも終盤の超おもしろそうなところ(^^)。しかも、さっき昼食休憩後は△53銀の一手だなんて偉そうに言いましたが、斎藤さんの指し手は△51飛。しかも、それがひと目いい手。やっぱりプロは違う。。
20170617棋聖88-2_羽生vs齊藤慎_角換83手 そしてこの△51飛がいい手だったか、先手羽生さんの方が苦労の多そうな将棋に。▲98香なんて穴熊へのトランスフォームを見せてはいますが実質一手パスですもんね。そして、右玉の急所を狙う角打ちに角あわせ、別の場所での角の打ち合い、角金交換から金を打ち込んでの角金交換の取り返しなど、かなり壮絶な中盤。いや~こういう速度勝負の大喧嘩の中盤は、僕の棋力ではどっちがいいのか全然わかりません(^^;)。これだけ手の広い所で、互いによく速度勝負に踏み込めるもんだ。そしてなだれ込んだのが83手目盤面図。遊び駒の少なさでいえば後手の方がまとまりがいい気がしますが、しかし先手がようやく打ち込んだがら空きの後手コビンを狙った角が強烈。いやあ、玉が避けて飛車を抜かれるようでは先手優勢に思えるので合駒の一手ですが、この合駒がムズカシイ。。角を合わせて消すか、銀を引いて節約するか…

△63金打
 うああ、いちばん手厚い駒を貼りました!!なるほど銀引きでは質駒の桂を抜かれた後、金で補強しにくいという事かな?

▲95歩△96歩
 ここで突かれた9筋の歩を取りますが、手筋で裏から歩を打たれました。これは先手は端を受け切るのは無理そう。後手の端攻めと先手のコビン狙いの速度勝負かな…

▲21と△86歩▲同歩△95銀
 いやあ、先手も後手もすべてある手だとは思うんですが、他にも候補手が山積みの中でよくこの一手が選べるな…。先手は端を相手にしてたらむしろ速くなりそうなので質駒の桂を拾って▲55桂を急ぐ感じでしょうか。後手も香を走る手とかもありそうでしたが、銀を使うなら8筋ですね。しかしここで手番が先手に渡り…

▲55桂
 先手、待望の桂打ち!先ほど節約せずに守りに金を投入した以上、斎藤さんここは受けずに攻め合いに行くでしょう!問題はその迫り方ですが、△97歩成▲同香△96歩か、ストレートに△86銀から入るか、△87歩で先手の応手を見るか…

△86銀▲同銀△同飛▲87歩
 ド直球でキタ―― (o゚∀゚o) !!!いやあしかしここで飛車を引いて、後手速度的に大丈夫なんでしょうか。

△97歩成▲同香△同香成▲同桂△96飛
 後手攻めを繋いだあああ―― (o゚∀゚o) !!!いやあこれは先手陣際どいですが、なんと下段飛車がめっちゃ利いてますね。さて、ここで手番が先手に。

20170617棋聖88-2_羽生vs齊藤慎_角換101手▲75香(101手目盤面図)
 いやあ…言葉が出ない、そこから入るのか。なるほど先手は受け続ける事は出来なそうだけど詰めろになっていないから、いちばん金駒を渡さなくても済みそうな順から入って万全なのか、驚いたよ。やっぱり羽生さんはすごいわ。。。

△77歩▲74香
 ここは読み切れているかどうかというより、どちらもこの一手ですね。後手は△75同銀では桂の成り込みから早くなってしまうので踏み込むしかないし、先手も▲77同金では飛車切られて桂打ちとか△77角とかいろいろ飛んできそう。

△78歩成▲同玉
 いや~ここで後手は一手空きに出来る手がないです。ああこれは先手明快に良くなったんじゃないかという気がします。

ここから先手羽生さんは敵の駒を抜きながらの寄せ。しかも自陣は2手空き以上なので、勝負あったという感じでした。以下、さすがにプロという綺麗な寄せ。斎藤さんの形作りも美しく、125手にて先手羽生さんの勝ち!羽生さん、2連勝です!!

 いや~83手目から互いに速度勝負に踏み込みましたが、あれだけ色々な順がありそうなところで踏み込める両者がスゴイです。そして第1局と同じように、殴り合いになると羽生さんが鬼のように強い!先手が玉のラインに角を打ち込んだ時に既に先手よしだったのなら仕方ないですが、あそこでバランスが取れていたのだとしたら、以降の斎藤さんに緩手があったようにはとても見えなかったけど、どこだったんでしょうか。あるとしたら、いちばん硬く受けに行った△63金打か、あの端攻めの順か、その辺りだと思うんですが、しかし桂が質駒になっている以上は△63金打が悪いとは思えないなあ。プロの解説を見る限り、攻めを繋げに行った△97歩成から△96飛の一連がまずかったような書き方もされてましたが、でもあそこで飛車引いても手番を先手が握って桂の成り込みも質駒の香を抜かれての▲75香もやっぱり飛んできますよね。だからそれも延命治療にしか思えませんでした。

 いや~、いつかの記事で「僕が何分もウンウン考えてやっと解いた詰め将棋を斎藤さんはものの数秒で解いていた」なんて書きましたが、プロ間でも詰め将棋が相当に強いという斎藤さんですら、去年のNHK杯で終盤に康光さんにひねられてひっくり返されたり、羽生さん相手にムズカシイまま終盤になだれ込むと力負けしてしまいます。
最近攻防手の本を解いていた事もあるんですが、やっぱり本将棋の終盤力と詰め将棋は少し違うんでしょうね。今日だってギリギリの接戦に見えたんですが、紙一重に見えて越えられない壁、それが衰えたと言われながらも3冠を保持する怪物の終盤力なのかも。素晴らしい将棋でした、面白かった!!


第76期順位戦C2  瀬川晶司 vs 藤井聡太 (角換わり)

 聡太くん、また勝ったみたいですね、困ったもんだ(^^;)。今日の昼ごろ一瞬だけ見たんですが、角換わりで先手の瀬川さんが桂ポンして7筋の歩を軽く突いて、しかしこのなにげなく突き出したかに見えた歩が意外に厳しくって、後手応手に困るみたいな感じでした。そうですかそれでも勝ちましたか。瀬川さんのプロ入りへの経緯は、藤井君のようなエリートコースの正反対。奨励会に入りプロ一歩手前の3段リーグまで上がるも勝ち抜けられずに退会、大学ではアルバイトしながら夜は司法試験の勉強、社会人になってアマ将棋でタイトルを取りながら、プロ編入を果たすという、恐らくプロ棋士の中で最もプロ入りに苦労した人。それを知っていただけに、瀬川さんを応援していたんですが、実力の世界はキビシイですね。。

 それにしても、一体誰が止めるんでしょうか。もう、角換わりは先手でも後手でも拒否しない感じがするので、角換わりを研究しまくってぶつけていくとか、対抗形や古い戦型には穴がありそうとか、データ自体は揃ってきている感じがするので、そのまま中終盤まで正確に指しきれる人、みたいな感じでしょうか。そうだとすれば、タイプ的にも対戦順的にも、森内永世名人が止める気がするなあ。。


横歩△45角戦法 子供からありがたい定跡を教わった

僕が先手で横歩取りを避けたくなるおおきな理由は、△33角戦法じゃなくって相横歩や△45角戦法とかの超急戦なんです。先手優勢で結論が出てるはずの△45角戦法ですら勝ちきれないんです…。相横歩だって何回も勉強した割に、指す頻度が低いので、たまにやられるといつも記憶があいまいになっているという。このまえ指した激戦定跡なんて、思い出すのにヒーコラいいながら指しましたし(゚∀゚*)エヘヘ。

 先日、道場で子供と対局しまして、この子に△45角戦法を指されました。僕が△45角戦法を勉強したのは『羽生の頭脳5 横歩取り』で、その前に勉強した『よくわかる横歩取り』には△45角戦法とかの超急戦は書いてなかったんです。だから、ほかの定跡の勉強が一周したらいつか『横歩取り超急戦のすべて』を読もうと思ってたんですが、以降は一手損角換わりやら矢倉後手左美濃やら角換わり△62金型なんかの対策に追われて定跡勉強が一周などなかなか出来ず、遭遇頻度の低い横歩超急戦の再勉強は後回しになってました。そんな時、久々に食らった△45角でした。

横歩取り44手 44手目盤面図は、この戦型を指した事のある人なら知っている局面図だと思います。『羽生の頭脳』に出ていたのか自分で工夫したのか誰かに教えてもらったのか覚えていませんが、僕は今までずっとここで▲58歩と受けていたんです。それが定跡だとずっと思い込んでいまして、この後も正確に指せば先手優勢のはずと信じて疑わず、でもここからすっ転ばされる事がけっこうあって、だから△45角戦法ですら苦手という意識があったんです。もう、そろそろこの変化になだれ込む攻め合いの順は捨てて、『羽生の頭脳』ではそっちでも先手優勢という受け切りに行く順に変えようかと思ったほど。このあと小学生に負けまして、負けた後の感想戦で「どこが悪かったのか教えて」と聞いてみたんです。するとじゃっかん生意気なこの小学生(僕がいく道場にいる子供たちは生意気なのがけっこういます^^;)がいうには、「合駒は▲58歩じゃなくって▲58金じゃない?」「三段でこんなの知らないの…」とのこと。このクソガキが年長者に向かってタメ口なのは置いといて、えええええ~そうなのかそうだったのかと驚きました、目からウロコでした。。
 そのあと、感想戦でその後の変化もいろいろとやってもらい、うちに帰っても色々やってみたんですが、なんか▲58金の方が感触がいいです。これは先手持って指したいどころか、派手な悪手さえ指さなければ先手勝ち筋だな…という感じ。いや~何度も負かされたこの戦型なので44手目までは完璧に覚えてるんですが、45手目を間違えていたんですね、これはその小学生に本当にいい授業をつけてもらいました。知るは一時の恥知らぬは一生の恥、感謝の言葉しかありません。。

 それにしても、やっぱり飯島さんの書いた『横歩取り超急戦のすべて』は買うべきなのかなあ、横歩超急戦はいちおう『羽生の頭脳』で勉強したから、間に合ってないほかの戦型の勉強が終わってからにしようと思ってる間に売り切れで手に入れにくくなっちゃったんですよね…。あと、こういう「ずっと定石&最善手だと思って指してたけど実は自分の勘違いだった」みたいな手って、ほかにもいっぱいあるんでしょうね。。

第76期順位戦 渡辺明 vs 佐藤康光 (一手損角換わり)

 いや~、順位戦がスタートすると楽しいです(^^)。▲三浦-△久保戦に続いて、昨日は▲羽生-△広瀬戦と▲渡辺-△佐藤康光戦がありました。▲羽生-△広瀬戦がまたなんともすばらしい将棋だったんですが、現在山崎さんの定跡書で一手損角換わりの定跡のおさらいをしているところだったので、渡辺さんの一手損角換わり対策に目がいってしまいました。僕の一手損対策はしばらく早繰り銀だったんですが、意外と難しいので、最近はプロの対局でよく見かける棒銀の採用を検討中。山崎さんの一手損角換わりの本には、先手棒銀という目次はないんですが、早繰り銀のところにけっこう詳しく書いてあるので重宝します。『よくわかる角換わり』の筋とけっこう被ってるんですけどね(^^;)。

20170609順位76A_渡辺vs佐藤康_一手損角換35手 途中までは後手△32金型腰掛け銀vs先手棒銀で、僕がちょうど数日前に勉強していた順そのままに進んだんですが、そこで康光さんが△94歩と突いたところで定跡書に書いてあった順から離れ、しばらく進んで35手目盤面図。先手棒銀にたいし、4筋に飛車を振ってカウンターで迎え撃つ後手の陣形はほぼ定石通りの構えですが、2手かけて9筋の歩を詰めているのがちょっと違うところ。一方の先手はけっこう違くて、その2手が▲46銀と▲56歩に割り当てられているという事ですね。いや~、先手は57に右銀の引き場所を作っちゃうのか、なるほど。でも、先手は棒銀での突破が成功せずに3筋の歩を交換した後で▲37銀と撤退する形になるので、本当に一手損角換わりの腰掛け銀対策に棒銀が有効なのかは、いまだに疑問なんですが、採用するかどうかの答えを出すのはもうすこし定跡の勉強をしてからですかね(^^;)。。先手の形がちょっと違うんですが、この後手の陣形から自陣に手を入れる場合はここから△72金~△62玉~△73桂みたいな感じなんですが…

△45歩▲57銀
 うおお、康光さん、いきなり行ったあああ!!!囲い切らないうちからいちばん激しい順に踏み込みました!いや~、一手損対策の先手棒銀に対して、△33金から4筋に飛車を振られて銀を繰り出されると、先手メッチャ受けにくいんですよね、このまえ道場でやられてボコボコにされましたよ、私は(T_T)。。

20170609順位76A_渡辺vs佐藤康_一手損角換44手△62玉▲88玉△35銀▲55歩△72金▲56銀△73桂(44手目盤面図)
 後手は自陣整備と先手に襲い掛かる一歩手前の△を35銀を入れて指したい手は全部指した感じ、陣形自体はほぼ合流でしょうか。先手は…いや~▲55歩と▲56銀が斬新。先手棒銀のこの形って、後手にカウンターで4筋を突破され、そのかわり先手は後手の飛車が浮いた瞬間に▲22角を入れる争いみたいなイメージなんですが、渡辺さんは4筋を受け切った上で違う手を狙っている気が…

▲66角
 いや~、実はさっきの▲55歩、右玉の急所の74を狙う意図かと思ったんですが、▲56銀としたところでようやくこの角打ちに気づきました、やっぱりアマチュア低段はダメだなあ(゚ω゚*)。。▲84角と▲54歩~▲34歩の両狙いですか、後手のこの形は4筋突破の破壊力は先手棒銀をうわまわるものの、△33金が少し傷になっているのかも知れませんね。いや~、これは勉強になった。昨日の▲三浦-△久保戦もそうですが、角交換になった後の角の打ち方がプロはうまいです。僕はいつも敵陣に打ち込む事や準王手飛車的な筋ばかり考えてしまって、こういうのが指せないんだなあ。。

 しかし康光さん、なんとこの角打ちを咎めに行きました!以降の将棋は超絶難解、高度すぎて感心しきりでした。しかし最後に勝敗を分けたのは…なんでしょうかね、よく分からないんですが、素人目には玉をガッチリ囲えている先手と、広くはあるけど固くはない後手右玉の玉形の差でしょうか。右玉最大の弱点の端を押さえられ、あとは面白いように手筋がバシバシ入り、115手にて先手渡辺さんの勝ち!!

 いや~、横歩取りの超急戦潰しと一手損角換わり迎撃の強化月間なもので、実にありがたい将棋でした。しかも、メッチャ勉強になる。。なるほど、▲55歩~▲56銀は受けやすい実践的な手だなあ、後手がすぐに来ないなら先手はこれで受けやすくなるのか、覚えておこう(^^)。竜王戦では10年以上恐ろしいほどの強さを見せている渡辺さんですが名人挑戦はいまだなし、たいてい順位戦の序盤で黒星がついてしまうんですが、今期は好スタート。今年こそ名人挑戦なるでしょうか?!個人的には羽生さん応援ですけどね( ̄ー ̄)。。そうそう、この裏でやってた▲羽生-△広瀬の角換わり相腰掛け銀がまたすごかったんですよ。いつか真剣に研究してみよう。。


第76期順位戦 A級 三浦弘行 vs 久保利明 (角交換対抗形)

 始まりましたA級順位戦!いや~なんかワクワクするな(^^)。。今期は11人スタートの3人降級という事で、生き残りがより熾烈になるんじゃないかと。最初の対局は、久保王将と三浦さんの対局でした!

20170608順位76A_三浦vs久保_角換力戦7手 いきなり序盤から面白かったです。先手三浦さんが▲26歩~▲25歩と歩を伸ばして△33角と受けさせ、そこで▲76歩と角道を空けて角交換のありうる形にした流れで7手目盤面図。振り飛車党の久保さんとしては角筋を開けたまま戦うか止めるかといったところが最初の選択でしょうが、久保さんなら間違いなく空けたまま戦うだろうな。。そうだとしたら、22ではなく42に銀が立ってしまったので、中飛車を選択する感じでしょうか。康光さんなら銀を立たずに向かい飛車に行ったかも(^^)。

△54歩
 いや~、いくらでも前例のありそうな局面ながら、この形を定跡書で勉強した事があるかというと、記憶にないよ。。このまま次に△55歩まで指せれば普通のゴキゲン中飛車に合流できそうですが…

▲33角成△同銀
 うおお~、三浦さん、先手から一手損となる角交換だあああ!!三浦さん、久保さんがこういう順を選ぶと読んで用意してきたな( ̄ー ̄)。。

▲53角△44角▲同角成△同歩
 なんと、三浦さん53に角を打ち込んだあああ!!これと同じ形じゃないですが、対抗形の将棋で似た筋ってありますよね。でもたいがい角を合わされて手順に駒組みを進展させられて成立しないと思うんですが、しかしこれはどう見ても用意の順、なんかあるな…

20170608順位76A_三浦vs久保_角換力戦18手▲43角△32角▲同角成△同金(18手目盤面図)
 続けて敵陣に筋違い角の打ち込み!!しかしこれも角を合わされて消され、先手はひどい手損です。。どう考えても三浦さん用意の順だと思うんですが、先手の主張はどのへんだったんでしょうか。もし後手が居飛車を選択できるなら完全に失敗、つまり羽生さんや森内さんや谷川さんや橋本さんが相手ならこの順にはいかなかったと思うので、相手が振り飛車しか指してこないという前提で指したんでしょうが、そういう意味では挑発的でもあるし、5筋の歩を突かせての角交換という主張のような気もしますが、でも後手が中飛車にしたら全然関係ないですよね?普通に定跡書や将棋の教科書で勉強してきた僕にとっては、具体的な手があるわけでもないですが、手損がひどい上に代償がないような気がして、ここから後手が万全の駒組みを目指して指すと戦う前に後手充分になる気がして仕方ないんですが、でもコンピューター将棋を見てると駒組みという前半部分が全然なくって踏み込んじゃったりするので、ちょっとドキドキの序盤でした。先手が挑発ではなくて実際に利があって指したんだとしたら、多分この後の構想に出てくるんだと思いますが…

20170608順位76A_三浦vs久保_角換力戦58手 当たってるかどうか分かりませんが、あの序盤を狙った三浦さんの構想が何となくわかったような気がしたのが43手目あたりから。盤面図はそこから進んだ58手目、先手の桂頭の歩が浮いてますが、これって先手みずから浮かしたんですよ、本当なら後手から歩を叩いてでも浮かしたいところなので、僕はビックリでした。。でもって、序盤からどうなったかというと、後手は不満のない駒組みまで進められ、さらに5筋の歩も交換できたものの、それ以上は攻め込めず、結局先手も駒組みで追いついちゃった感じ。いやあ、序盤の手損は角交換したらごてが手詰まりの待ちになると見越してだったとしたら、先手の遠大な構想は見事。そして序盤からのあの奇襲のような指し手の狙いは…

▲76角△51飛▲64歩△同歩▲24歩△同歩▲同飛
 いやあ、言葉が出ない…なんという遠大な構想、序盤からの謎が一気に解けた気がして、ちょっと鳥肌ものの一手でした。3手目の▲25歩と角交換で生じた△33桂の2筋の形、そして後手が中飛車となる形、これは序盤で三浦さんの描いた絵で、76のスペースも三浦さんが作った構想。そしてこの角の打ち込みで、次に▲64歩が入ると△同歩▲43角成△同金▲32銀と打ち込んで、先手からの2筋突破が受けにくいという事ですか。2筋を先手が利した局面で中飛車に来られても、この角打ちで2筋と5筋を同時に物にすることはムズカしいという大局観?三浦さん、これはすごい大局観だよ…

△56歩
 しかし、ここからの久保さんの切り返しが凄すぎました。なんという垂れ歩、こんなのちょっと指せない…というか、思いつきもしなかったです(^^;)。この手を思いつく事ができたらアマ何段ぐらいあるんでしょうか。取れば△38角打、そこで▲57金と下がれば△45桂と跳ねだして狙われそうな後手左辺の駒が大体捌けて、▲46金なら△45歩ですか。いやあ、△38角打ちが直接手じゃないだけに、これは見えづらい。。というわけで、この垂れ歩を取ると後手の攻めが速くなってしまうのでとりにくい…

▲85歩△同歩▲43角成△同金▲22飛成
 というわけで三浦さん、後手大きな利かせとなった56の歩を放置して攻め合いに踏み込み!この将棋が始まる前からの狙いだっただろう76の角を切った後の桂頭の弱点を消すべく、桂の跳ね場所を作ってから、角を切って代償に龍を作りました!

△13角▲32龍△21角▲23龍△42金
 うおお、なんという切り返し!!なるほど、これがあるから▲76角に対して直後に△51飛が指せたのか。。しかも42に金を引いたところで角筋ががら空きの先手玉頭に直撃じゃないですか…。うまくいったと思った時って、成功したという思い込みが強くて、まずいと思って考えている時に比べると、攻めの継続手ばかり考えてしまって守りの読みが浅くなったりしますよね。野球でもこう着状態から先制点が入ると、あれほど守り抜いていた筈なのに裏にすぐ逆転されてしまう事がありますが、似たような心理なのかも。なんという勝負の綾、とてつもなく壮大な構想を成就させ、成功したと思ってふみこんだ三浦さんの攻めを逆用するという。。△21角~△42金が入ってしまうと、さっきの▲85歩△同歩は完全に余計。という事は、この順は三浦さんには見えていなかったという事で、ここは久保さんが一枚上だったかも。いやあ、ものすごい中盤でした。。
 そしてこの反撃の2枚の自陣角が攻防の決定打、三浦さんは暴れに行きますがダメ、最後はきっちりとどめを刺されて122手にて後手久保さんの勝ち!!

 いやあ、序中盤の構想は先手三浦さんが見事、しかし中終盤の勝負どころでは久保さんが見事な将棋でした。中終盤の激しい所になると、さすがは王将というか、久保さんの方が何枚か上に見えます。この対局だけでなく、最近の久保さんと三浦さんの棋譜を見るとそんな感じがするし、この対局も中盤の踏み込みの権利は先手にあったと思うので、2枚の自陣角どころか、垂れ歩を成立させたその前の△51飛以下の順も久保さんが読みが勝っていた感じがしました。今、中盤が凄いなと思う棋士は、羽生三冠と久保王将と康光さん。弱小のアマチュアから見てもそう感じるんだから、実際の差は想像以上なのかも知れません。それにしても、すごい将棋でした。おもしろかった!

第28期女流王位戦 第4局 伊藤沙恵 vs 里見香奈 (相振り飛車)

 女流王位戦第4局は、やっぱり相振り飛車。居飛車党で相振り飛車の勉強を1秒もした事のない僕は、序盤がまったく分からず、これは観ても自分の棋力アップには繋げられないなと思っていたのですが、終盤が超絶に面白かったです!

20170607女流王位28-4_伊藤沙恵vs里見_相振96手 96手目盤面図は、寄せ合いになった終盤戦。先手は詰めろにはなっていないですが、しかし飛車詰めろで、飛車が抜かれると金駒の守りがまるでいないのでいきなり大ピンチ。でも先手も後手玉に迫っていて、金桂香を質駒にしています。ここからの先手伊藤さんがすごかった!

▲83歩△同玉▲33角成△同金
 うおお、ここで角を切って桂を補充しました!なるほど、▲67銀と受けて△83銀と飛車を抜かれては勝ち目がないとみたんでしょうか…いやいや、それに対して▲76銀の角の確保で先手が手番を握れるじゃないですか。という事は…ああああ、これは受からないとみて攻めに転じたんじゃなくて、決めに行ったのか?!

▲75桂△82玉
 後手玉を上から押さえました。代えて△74玉と逃げてしまうと▲61飛成で金を補充した手が▲63銀からの詰めろなので、玉頭を押さえられるところまでは僕でもわかるんですが…いや~これ寄ってるんでしょうか?仮に寄っていないとして、先手玉はどれぐらい危険なんでしょうか。いや~、僕の棋力では読み切れない、むずかしい(^^;)。。

▲84飛
 うおおお、▲83銀ではなく飛車を走ったあああ!!ここで△83歩は▲61飛成で金を補充されてから下から寄せられてしまうので玉を躱す一手ですが、△92玉ではなく△93玉と飛車取りにぶつけられたらどう指すんだろうか…

△93玉
 ですよね(^^;)。。しかしここで先手がどう指すんだろうか、飛車切って寄る順なんてないよなあ、歩で支えて攻めを切らさないようにするのかなあ、でもそれだと飛車を渡した上に手番を後手に渡してしまうぞ。。

▲86飛△85銀▲同飛△同角
 凄まじい攻防の続いたこの終盤の中でもいちばん驚いたのがこの3手でした。だって、▲86飛と引けば△85銀と押さえてくるのは目に見えてますよね。こんな難しい順じゃなく、▲85歩と支えるとか、▲85銀で飛車を支えつつの角銀交換を狙うとか、▲64飛と避けてから次の▲84銀を狙うとか、シンプルだけど悪くなさそうな手はいくつもあったと思います。しかしこの順、合駒請求してからの飛車銀交換に行ってますよね?いやあ、これはなんか狙ってるんじゃないか…

▲61飛成
 金を拾ってさらにふみこんだ!これは…えっと…ああなるほど、▲81龍~▲83金の詰めろになってるんですね。いや~しかしこれはおっかない、ここで手番が後手に渡ってしまいます…

20170607女流王位28-4_伊藤沙恵vs里見_相振118手△86角▲77桂△88飛▲78歩△75角▲85桂△同飛成▲71角△82銀(118手目盤面図)
 △86角は里見さんが23分考えてから放った寄せの入り口。しかし合駒を角にあてたり、退路封鎖をしたり、色んな事をやって伊藤さんは凌ぎます。里見さんも寄せつつ玉の攻め駒を抜き、勝利を手繰り寄せていきます。そして…

▲76銀
 うわああ、これは執念だ。。
タダ捨ての龍角両取り、しかしこれを龍で取って8筋からどくと、▲72龍が次の▲82龍を見た詰めろ。

△同龍
 うあああ、里見さん、終盤の貴重な時間を使って考えた末、この銀を取ったあああ!!ここで踏み込むとは、さすがに読み切ったかな(^^;)。いや~、すごい終盤戦でした、おつかれさま。

▲72龍△57角成▲同玉△45桂▲46玉
 うああああ、これは逃したんじゃないか?先手大逆転だあああ!!この数手後に里見さんは投了。伊藤さん、負ければ敗退の大一番で執念の大逆転勝利!!勝ち星を2勝2敗に戻しました!!

 いや~、大逆転とはいえ、それはプロの解説がついていたから僕には逆転と分かったんであって、96手目から投了となる135手までの約40手のあいだの終盤は、僕にはどっちが勝っているかじぇんじぇん分かりませんでした。先手の方が苦しそうには見えましたが、でも先手は質駒をいっぱいつくってましたし後手は玉飛接近形なので攻防手も色々ありそうでしたし、なんともスリリングな終盤。最後の最後で飛び出した119手目▲76銀、これに里見さんは「龍を抜かれた上に玉の頭を押さえられたらさすがにヤバい、寄せないと」と焦ったんじゃないでしょうか。しかも、なんかよりそうな形でもありましたしね。いや~、これはすごい終盤でした(^^)。

第75期名人戦 第6局 稲葉陽 vs 佐藤天彦 (相掛かり)

 先に追い込んだ天彦名人と先に追い込れた稲葉さん、さて戦型は…おっと相掛かりです!今回の名人戦は戦型選択が面白いです。シリーズ前半はまるでコンピューター将棋のような力戦調の連続かと思えば、横歩になると途端に勝った方は詰みまで研究しているかのような指し回し。どちらも横歩の名手だというのにこの大事な第6局で横歩を選ばなかったのは、互いに「こりゃ横歩は研究に嵌められるヤバさがあるな」と意識してるのかも。

 1日目、今日は仕事がゆるかったので、昼食休憩後あたりから4時近くまで、断続的にAbemaTVをのぞいました。ただでさえ難解な相掛かり&さすがは名人防衛のかかる重要な一戦だけあって、両者慎重。めっちゃ慎重。戦いがまだ始まっていない序盤の駒組み段階にして稲葉さん1時間47分の大長考。AbemaTVの午後の伊藤真吾さんの解説の番で、解説終了まで一手も進まない( ̄ii ̄)ハナミズ。解説が憐れでたまらなかったですが、角交換から激しい順にいく変化がありうる状況だったので、もうそれぐらい勝敗に影響する局面なのかも知れません。これは下手すると戦いは2日目からかな、そうと決まれば今日は仕事をはやめに進めて、明日ゆっくり観よう、そうしよう。。

 2日目の午後2時ごろ、久々にのぞいてみたところ…いまだ組み手争い、駒がぶつかってません。いや~、昨日の4時で見るのをやめといてよかったよ、これは解説こまるだろうな(^^;)。また夕方になったら見に来よう。

 2日目の夜。くっそ~予想外のロ~ングロングミーティングにつかまってしまった、もう終わっちゃっただろうな…あああ~終わってた(T_T)。なんということだ、2日合わせて6時間以上は見ていたのに、歩以外の駒がぶつかったのを一度も見れなかった。。天彦さんの勝ち、名人防衛おめでとうございます!それにしてもこの将棋、戦いになる前の駒組み合戦はどちらも意地でも負けないという緊迫感がありました。40手あたりまで見た限りでは、ガッチリおさえ込んで勝ったんじゃないかなあ、全盛期森内さんの将棋を見ているような「戦いになる前にすでに勝負がついている」的な、相手が何もさせてもらえないような鉄板将棋を見ている感じでした。武芸帳で、双方一晩中にらみ合ったまま一歩も動けず、10時間以上が経過した所の一太刀で勝負がついたという話を読んだ事がありますが、そんな感じ。プロ野球も本当に面白いのは投手戦だし、格闘技も本当に強い者どうしは大技の飛び交う攻防なんて事にはならずにまったく組みあいにならず技が出た時には一瞬で決まりだし、強者の果し合いってこういう感じなんでしょうね。
 名人戦前半の天彦名人は、果敢に現代将棋に挑戦している印象がありましたが、第4局以降は天彦さん的な将棋に戻したというか、とにかく指し手がシビアで、「うわあ、これは強いわ」という感じでした。竜王戦は多少の交代劇こそあったものの渡辺さんの長期政権が続いていますが、名人戦は天彦長期政権となるんでしょうか。名人はあんまりコロコロ変わって欲しくないので、超大物以外には名人位を譲らず、防衛を続けて欲しいです(^^)。

第43期棋王戦 6組決勝 藤井聡太 vs 澤田真吾 (角換わり)

 昨日の夜、仕事でヘトヘトになって寝る前にテレビをつけてニュースを見ながら寝支度をしていると・・・おおおお~藤井聡太さんがまた勝ったみたい、公式戦20連勝だああ!!そして今日、買い物とかいろいろ済ませてからようやく棋譜を見てみると・・・いやあ、藤井さんもそうですが、澤田さんがまた凄い。。

20170602棋王42予選_藤井聡vs澤田_角換腰掛銀59手 僕のここ数年の課題はとにかく序盤定跡。中盤入り口までを何とか互角以上で乗り切る事が目標で、プロ将棋ではどうしても序盤から中盤入り口に注目してしまうんですが、その意味でいうとこの将棋の澤田さんはすごかったです。将棋は角換わり相腰掛け銀で、この形では今のところ間違いなく▲48金37桂29飛と組み上げる藤井さんに対し、後手も似たような形で対抗。守りの固い形とはいえ、攻め気をまったく見せずに単に待ち続けると竜王戦予選の糸谷さんみたいに相手にどんどんいい駒組みにされて潰されてしまうことが判明。そういう事でだと思うんですが、先手藤井さんは積極的に攻めを模索しました。まずは飛車筋を5筋に変えて後手の腰掛け銀を後退させて5筋位取り。次に奇数回で飛車を振りながら先手飛車が2筋・後手玉が矢倉入城となる倍数で待ってから4筋から仕掛けてさらに銀を進出、これが59手目盤面図です。ここからの澤田さんが見事で…

△86歩▲同歩△85歩▲同歩
 おっと、まずは飛車先の歩を交換してから連打の歩!僕ならここで単純に△同桂と飛んで、銀を引いてくれればウッシッシ、銀が立てば大きな利かせというこで手を戻して受けに着手みたいにすると思うんですが…

△95歩▲同歩△75歩▲同歩
 プロはそういうぬるい事はしないんですよね(^^)、続けて9筋と7筋の歩を突き捨て…

△65歩
 ええ?さらに6筋も突き捨て?!7~9筋の歩の突き捨ては分かるんですが、この6筋の歩の突き捨ての意味って?ここでちょっと考えてしまったんですが、もう7筋の歩の突き捨てを入れてしまった以上は桂跳ねは必然ですが、この手を入れるのと入れないのとで何が違うんだろうか…う~ん…分からん…あああ~なるほど、仮に▲85桂が本線だとすると、△65歩▲同歩が入ってると66にスペースが出来て、△85桂に対して▲86銀と立ちにくいのか!そうすると△66角でゲームオーバーですね(^^;)。

▲76角△52金
 というわけで、ここで藤井さんは攻防一体の好手。いやあ、この角はいい角だなあ、構わず△66歩と取ると一気に角筋が通るのか。。後手の澤田さんは金を寄ってそれを先受け。

▲86銀△66歩▲77桂
 ここで飛桂が睨んでいる玉頭に歩1枚しかいないので玉頭に厚みを持たせに行った先手。角を先受けした澤田さんはこの手を待って6筋の歩を突き越し、同時に歩切れ解消!ここでさらに先手は桂を跳ねて後手系の跳ね出しを防御しつつ、玉のコビンを埋めました。いやあ、派手な戦いこそ起きていないものの壮絶な攻防戦が続きます…

△44歩▲56銀
 取り返した一歩を受けに回し、ここで先手の構想だった威張り散らしていた右銀を後退させます。

20170602棋王42予選_藤井聡vs澤田_角換腰掛銀82手△35歩▲同歩△85桂▲同桂△36歩▲45桂△同歩(82手目盤面図)
 そして、後手のこの捌きが見事でした!桂頭の歩を浮かせ、次に戦場を移して桂を跳ねて歩を補充し、その歩を先手右桂のアタマに打ち込んで桂を取り返しました!しかも、この桂を取り替えした瞬間の盤面図は後手から△64桂だけでなく△37歩成もあるので、先手は受けるだけでは間に合わず攻防一体の手を打たないといけないので、後手が手番を握ったように見えます。いや~予選と言えどさすが決勝、実際の形勢はどっちがいいのか分かりませんが、ボク程度のアマチュアなら後手を持った方が指す手がいっぱいあって指しやすいと思うので、中盤の入り口は後手の澤田さんが制したように見えました。歩の連続突き捨て、僕も色んな局面で指せるようになりたいな…決まったらメッチャかっこいいですよね、決まらなかったらアホみたいですけど。。

 さて、ここ以降は例によって複雑すぎて僕ではついていく事が出来ず(T_T)。終盤は藤井さんが必敗級の厳しい詰めろがかけられた状態から大逆転という事でしたが、僕の棋力ではどこで逆転が起きたのか理解できませんでした(T_T)。。
20170602棋王42予選_藤井聡vs澤田_角換腰掛銀121手ただ、121手目に打ち込んだ▲76桂は王手を入れつつの2手すき、普通にバックできればなんて事なかったんでしょうがそこには別の桂が利いていて下がれず、こうなると打ち込んだ桂を取るか際どく玉を躱すかの2択ですが、3つあった玉の逃げ場所もどれも際どそうで、秒読みで長手数&難解&間違えれば即死となる玉捌きを読み切るのは至難の技でしょうし、かといって△76同金▲67歩は玉頭に利かした虎の子のと金が抜かれる&詰めろ逃れの詰めろになってるっぽいので、なんという嫌な手を指すのだろうかと思いました。いやあ、こういうのを終盤術っていうんでしょう、こんなの指されたら秒読みで正確に指せるわけないじゃん。。

 というわけで、薄氷を踏むようなきわどい将棋を制して藤井さんは公式戦20連勝!それでも、この将棋は澤田さんの強さが光った将棋だと思いました。澤田さんの不運は、今まで中盤までを互角以上で戦って終盤で一気に差をつける将棋ばかりだった藤井さんが、劣勢で終盤に入っても倒すのは容易でなかった強さだったという事。これで受けに入っても強いという事が分かったわけです、今のところマジで弱点がないです。。しかもこれで棋王戦も竜王戦も本戦出場じゃないですか!これは、マジで中学生にしてタイトル挑戦もありうるな(^^)。。


昨日の棋聖戦の78手目

 昨日の棋聖戦が凄すぎて、一夜明けてもまだ感動を引きずっています。そろそろ感想戦を反映させた棋譜が公開されるかなと思って覗いてみると…昨日の棋譜中継では、77手目の角捨てに対して78手目は▲同角だったら先手勝ちといわれてましたが、実際には▲同角でも難解だったみたいです。引用すると…

20170601棋聖88-1_斎藤慎vs羽生_矢倉77手「※局後の感想※(78手目△75角に対する▲75同歩に)代えて▲7五同角は、△7九銀▲同玉△7七桂成に▲3八飛が詰めろだという。以下△1二玉▲4一角△3二歩が一例で「分かりませんね」と羽生。」

 ちなみに、昨日の棋譜中継では…「(78手目△75角)以下▲7五同角△7九銀▲同玉△7七桂成に、▲3三銀△同桂▲3一角打△2一玉▲3三歩成で先手勝ちという結論が出されているが、果たして。」

 いや~、控室の検討筋も感想戦の検討筋もやってみたんですが、どちらもすぐには詰まなかったんですが、それは僕の棋力が低すぎるせいもあると思うので、やっぱり僕程度では分かりませんでした。くやしいのは、こんな終盤でここまでヒントを与えられても詰むとか詰まないとか結論を出せない自分の棋力の低さです(T_T)。。だって、感想戦で示された寄せの一例をさらってみても、▲41角は王手になっていないので一手空き、凌げるなら感想戦どおりに合駒で凌いでもいいし、難しいようなら3筋に回った飛車が危険なのでここで王手を続けて反撃して飛車を抜く事だって可能です(その時に金を渡しても本当に大丈夫なのかは、寄せ合いの第2ラウンドまで読まないと分かりませんが^^;)。それでもひとつ思ったのは、やっぱり▲7五同角とすると以降は△7九銀▲同玉△7七桂成が本筋みたいですが(ここだけは当たった*^ ^*)、それでも先手が耐えているという所、ここにビビりました。すごいな…。あと、その筋があるから▲75同歩が普通だと思ったわけですが、これが相手を信用するというやつなのかも知れませんね。(^^)。

 いや~それにしても素晴らしい将棋でした。何度も見返して特にすごいと思うのは、実は昨日ブログに書かなかった54手目から78手目△75角までの攻防戦です。なんで書かなかったかというと、凄すぎて僕の棋力ではついていく事が出来なくって、書けなかったんです(T_T)。でも、54手目の嫌な歩の突き捨ての応手にせよ、66手目の精算も受けもせずに攻めを繋げに行った狙いにせよ、「こういう意味かな」とか思い始めると、背筋がゾクッとしてしまいます。だって、78手目の角捨てをあの時点で読めていなかったら、踏み込めるわけがないと思うんですよね…。この将棋、53手目までは定跡とか部分的な筋とか大局観とかそこそこの読みでも指せる気がするんですが、54手目以降は全部こんな感じで深い読みや狙いが入った手にして思えなくて、こういう将棋を見ると、自分は将棋を指している時に考えている気になっていながら全然考えてなくって勘や形だけで指しているだけだったというのを痛感させられました。羽生さんも斎藤さんも凄い…。今年観た将棋の中では断トツのすごい将棋でした。

第88期棋聖戦 第1局 斎藤慎太郎 vs 羽生善治 (矢倉)

 始まりました棋聖戦!棋聖戦って、竜王戦に名人戦と2日制7番勝負のタイトル戦が続いた後で、1日制&5番勝負だから、気楽に見れて好きです(^^)。僕がはじめてリアルタイムで棋聖戦を観たのは2012年から、あの時は羽生vs中村太地戦でした。第1局が横歩から寄せ合いになっての1分将棋、超難解な土壇場で羽生さんがひっくり返しての勝ち。翌2013年は羽生vs渡辺戦。第1局は後手渡辺さんが横歩△33角85飛と△41玉の中原囲いを組み合わせて挑み、これを羽生さんは角交換から▲77桂として飛車に当てて飛車を86に引かせ、7筋の歩をさらに伸ばして交換した後に▲72歩の垂れ歩!なんという順か…この将棋、いまだに僕の△33角85飛破りの基礎になっています(^^)。続く第2局は相横歩、リアルタイムで相横歩を見たのもこの時が初で、この対局と『羽生の頭脳』で相横歩を学ぶことになったので、やっぱり棋聖戦は思い入れがあります(^^)。

 さて、今日は先手斎藤さんの初手▲76歩に対して羽生さんは△84歩!えええ~斎藤さん相手に矢倉に誘うのか?!いや~、羽生さんは対戦の少ない若手相手に負け越すことが結構ありますが、それって野球の日本シリーズの第1戦みたいなもので、勝負よりもデータ取りに徹してるんじゃないのかなあ…。今回、羽生さんは名人戦を戦ってないので研究時間は十分のはず、古い将棋に誘うのか急戦に行くのか、まさかとは思いますが左美濃にしたりして(^^)。これからどうなるのか楽しみです!

20170601棋聖88-1_斎藤慎vs羽生_矢倉42手◆◆◆◆◆
 今は昼食休憩が終わって対局再開直後ぐらいです。どうなったかな…うあああ、なんと互いに相矢倉の本組み、しかも先後同型です!羽生さん、最新形でも急戦でもなく、古い将棋に持っていきました!いやあ、角換わりなんかで互いに仕掛けの筋が消えて手待ち合戦になるような将棋ならともかく、万全の体勢から攻め合いになる将棋で先後同型は基本的に先行した方が有利と僕は勉強したんですが、もしそうならさすがにこれは先手がいいのでは。。飛車先の歩を25まで進めた時はやっぱり▲37桂47銀の形から▲45歩で仕掛ける形が戦いやすいですよね、さてどうなりますか。。

▲45歩△同歩▲同桂△44銀▲46銀
 先手、仕掛けました!4筋から仕掛けて桂を跳ねて2筋の歩の突き捨ての権利を得て、桂を銀で支えたところで手番は後手。この何度か順番に手番が移って攻めを進めあうところが矢倉っぽいですよね(^^)。

△65歩▲同歩△75歩
 後手も6筋から行きましたが、桂を跳ねる前に味つけの△75歩を挟みました。ここで先後同型からおさらば、さてどうなるのか…

▲24歩△同歩▲35歩
 ここで先手は権利となっていた2筋の歩の突き捨てを挟んでから3筋の歩を突きました。右銀と右桂の活用を図りにいった手だと思いますが、この歩を後手は取らないんでしょうね…

20170601棋聖88-1_斎藤慎vs羽生_矢倉54手△76歩(54手目盤面図)
 やっぱり取らないで攻めに手を回したか(^^;)…。これで後手は2筋/8筋の歩の突き捨てを入れられなかったかわりに、3筋/7筋の突き越しで先手を取りました!それにしても、矢倉中盤のこういう局面図ってややこしい…

▲同金△67歩
 羽生さんの△67歩はノータイム指し!なかなかムズカシイ局面だと思うんですが、なんでノータイムなんだろう。研究手順という事か、それとも先手が何かミスしたとみて速攻で咎めたのか…ああ~なるほど、▲同金なら△75歩~△74銀で銀桂を活用しに行けるし、▲57角なら△74銀~75銀でやっぱり銀桂が捌けるのか。また、3筋の歩を放置した後手に対して、7筋の歩をとった先手という事で、速度的にも逆転するのか。これで先手玉付近の戦場は突破の目途が立ちましたが、問題は先手の攻めと比べて速度的にどうなのかという所。これは真剣に考えないとちょっと分からないな…いや~後手からは攻めるなら△34歩も△23歩もあるし、受けるなら▲66銀も▲75歩もありそうだし、難解だなあ。。まだ受けの方が計算が早そうなので、こういう時って受けから考えた方がいいんでしょうね。早指し戦なら?う~ん、時間がないなら目をつぶって▲34歩でしょうか、どうせ右桂が捌けなければ先手は勝負になりそうにありませんし、攻めもある程度間に合わせておかないと矢倉はヤバいですしね。な~んてちゃんと読まずに勘で指しているから、僕は全然強くならないんだな。。

20170601棋聖88-1_斎藤慎vs羽生_矢倉77手 さて、少し進んで77手目盤面図。後手の羽生さんは右銀を捌いたものの右桂はいまだ捌けず、また△25歩を打ち直したもので飛車道が止まりました。また、解説のプロ棋士さんたちの間では、△66角が後手玉のラインに入っているので後手がおっかなくなったとの事。ここで驚いたのは…

△75角
 うああああ~角切りだああ!!!
いや~まったく読んでいなかったというか、よくこんな手を思いつくな…と思ったら、プロ棋士さんたちはこの手を検討していて、しかもこれは▲同角から先手勝ちではないかとの事。いやいや、プロはみんな読んでいる筋なのか、やっぱりプロはすごいですね(^^;)。。

▲75同歩
 この将棋、最後は羽生さんが勝ったんですが、終局間際に谷川さんが「▲75同歩が分岐点」みたいな事を言っていて、代えて▲同角なら先手勝ち筋だったかもしれないとのこと。マジか…でも、僕みたいなアマチュアの感覚ではここは▲同歩が本線と思うんですよね。だって、もし▲75同角としたら、せっかく玉のコビンに利きが集まっているのに角筋がそれちゃ先手の攻め筋は消えちゃうように見えるし、そもそも△75角の狙いは▲同角と取らせて角の利きを逸らしつつ77の桂についている角の紐をほどいて、△79銀▲同玉△77桂成と思うじゃないですか。その局面って飛車取り&玉頭を押さえる事になっていて、とてもじゃないけど激痛としか思えないそんな局面には進みたくありません。しかしそれが羽生さんの用意した毒団子だったのかも。

 このあと、先手後手とも2手すき状態からの寄せに行くんですが、これがメッチャクチャ高度でした。具体的には、▲75同歩以下の後手の迫り方は△86歩▲同歩△67歩。なんでこの順なのか、僕は理解するのにかなりの時間を要しましたが、これは見事だ。。結局、ここで斎藤さんが自分が悪いと思ったか王手ラッシュに出て、これがまた鋭いことこの上ないんですが、これをすべて見切って延々27手を躱しきって110手にて後手羽生さんの勝ち!!

 いやあ、言葉が出ません。久々に本気でプロ将棋を考えながら観ていたのですが、とんでもなく高度で眩暈がしました。戦いが始まってからの羽生さんの攻めですが、受けがスゴイとか攻めが凄いというよりも、どこで同型の将棋の先手を入れ替えるかというところとか、そこからの将棋の作り方、手が広い中盤でどれも難しそうなのに選ばれた手が、なんでそうなんだろうとよくよく考えたりプロの解説を聞いたりすると…とんでもなく読みが入っていて脱帽です。定跡や研究がどうとかでなく、将棋の地力がとんでもないレベルに達してないと、とてもじゃないけどこんな棋譜は残せないんじゃないかなあ。この棋譜は宝物にして取っておこうと思います、すごかった…。。

*2017.6.2 追記:
昨日の棋聖戦が凄すぎて、一夜明けてもまだ感動を引きずっています。そろそろ感想戦を反映させた棋譜が公開されるかなと思って覗いてみると…昨日の棋譜中継では、77手目の角捨てに対して78手目は▲同角だったら先手勝ちといわれてましたが、実際には▲同角でも難解だったみたいです。引用すると…

20170601棋聖88-1_斎藤慎vs羽生_矢倉77手「※局後の感想※(78手目△75角に対する▲75同歩に)代えて▲7五同角は、△7九銀▲同玉△7七桂成に▲3八飛が詰めろだという。以下△1二玉▲4一角△3二歩が一例で「分かりませんね」と羽生。」

 ちなみに、昨日の棋譜中継では…「(78手目△75角)以下▲7五同角△7九銀▲同玉△7七桂成に、▲3三銀△同桂▲3一角打△2一玉▲3三歩成で先手勝ちという結論が出されているが、果たして。」

 いや~、控室の検討筋も感想戦の検討筋もやってみたんですが、どちらもすぐには詰まなかったんですが、それは僕の棋力が低すぎるせいもあると思うので、やっぱり僕程度では分かりませんでした。くやしいのは、こんな終盤でここまでヒントを与えられても詰むとか詰まないとか結論を出せない自分の棋力の低さです(T_T)。。だって、感想戦で示された寄せの一例をさらってみても、▲41角は王手になっていないので一手空き、凌げるなら感想戦どおりに合駒で凌いでもいいし、難しいようなら3筋に回った飛車が危険なのでここで王手を続けて反撃して飛車を抜く事だって可能です(その時に金を渡しても本当に大丈夫なのかは、寄せ合いの第2ラウンドまで読まないと分かりませんが^^;)。それでもひとつ思ったのは、やっぱり▲7五同角とすると以降は△7九銀▲同玉△7七桂成が本筋みたいですが(やった当たった*^ ^*)、それでも先手が耐えているという所、ここにビビりました。すごいな…。あと、その筋があるから▲75同歩が普通だと思ったわけですが、これが相手を信用するというやつなのかも知れませんね。(^^)。

 いや~それにしても素晴らしい将棋でした。何度も見返して特にすごいと思うのは、実は昨日ブログに書かなかった54手目から78手目△75角までの攻防戦です。なんで書かなかったかというと、凄すぎて僕の棋力ではついていく事が出来なくって、書けなかったんです(T_T)。でも、54手目の嫌な歩の突き捨ての応手にせよ、66手目の精算せずに繋げに行った狙いにせよ、「こういう意味かな」とか思い始めると、背筋がゾクッとしてしまいます。53手目までは形とか大局観やそこそこの読みでも指せる気がするんですが、54手目以降は全部こんな感じで深い読みや狙いが入った手にして思えなくて、こういう将棋を見ると、自分は将棋を指している時に考えている気になっていながら全然考えてなくって勘や形だけで指しているだけだったというのを痛感させられました。羽生さんも斎藤さんも凄い…。今年観た将棋の中では断トツのすごい将棋でした。 (追記終わり)


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Author:ShougiX
駒の動かし方を知っていた程度の初心者です。せいぜい1日1時間ぐらいしか将棋に時間を割けない社会人が、ガンバって1年で初段になる事が目標です!
(*追記)10ヶ月ちょいで初段到達!!ただいま、居飛車側から各戦型に対応できるよう奮闘中(汗)。。

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