第2期叡王戦 千田翔太 vs 佐々木勇気 (角換わり)

 「プロや奨励会員のような手」みたいなものって、ありませんか?相当に強い人でもアマチュアではちょっと想像だにしない手や構想を見る事があります。叡王戦の準々決勝での千田さんの将棋が、そんな感じでちょっと鳥肌モノでした。これは震えた…

20161030叡王02_千田vs佐々木勇気_角換36手 将棋は角換わり、相腰掛け銀で先手は▲68玉48金29飛の形、後手は通常の矢倉形です。先手の玉型、後手だけじゃなく、先手も関係なしに使うようになってきました。この形の棋譜をいっぱい見たいので注目していたんですが、36手目で駒組みが飽和状態に達した所からの先手千田さんの開戦の構想が素晴らしかった!

▲35歩△同歩▲45桂△42銀▲66角
 突き捨てで後手の3筋の歩を浮かせてから桂跳ね、そして66に角打ちです!今年はプロの将棋をあんまり観れなかったんですが、この角打ちって普通なんでしょうか。凄い構想だと思ってしまいました、鳥肌が立ったよ。。これは絶対に覚えておこう…
 それにしても、竜王戦第1局といい、A級順位戦での▲三浦‐△渡辺戦といい、角換わりでの早い▲45桂の跳ね出しに対しては、後手は△44銀としないで、22なり42に引くんですね。今回の形だと22に引いたら▲79角でゲームオーバーですから42なんでしょうが、いずれにしても次の△43歩を楽しみにして桂跳ねを咎めに行くという事でしょうか。しかし、今回みたいな角打ちが通ってしまうなら、これはこれまでの相腰掛け銀の時みたいに△44銀がいいのかも知れない、な~んて思っちゃいました。

20161030叡王02_千田vs佐々木勇気_角換46手△44角▲24歩△同歩▲同飛△23歩(46手目盤面図)▲44飛
 佐々木さんは△44角と合わせて角の成り込みを消しに行きました。これは自然な手に見えたんですが、代えて△33桂だとどうなるんだろうか。2筋の歩を交換された後に桂頭に歩を打ち込まれるのが不安だから、やっぱり角を合わせるのが自然か…。しかし、この自然に見えた合わせの角に対し、先手は2筋の歩を交換した後に、なんと飛車を引かずに飛角交換!!いやあ、連続して「プロや奨励会じゃないと、とてもじゃないけど指せない手」の連発ですよ、こんなの仮に定跡化されてたってオソロしくって指したくない(^^;)。。だいたい、▲48金29飛の形は打ち込みの隙がないって言われてるけど、玉が潜れてないし、なにせ慣れていないもので、こんな形のまま飛車を渡して大丈夫なのか、と最初に思っちゃうんですよね。

△44同歩▲同角
 これで飛角交換が成立しましたが…いやあ、先手は角桂の攻めが綺麗に連携、そして後手は3筋の歩が浮かされ、2筋にも3段目に歩を打たされているので、歩の合駒が出来ず、守りにくいです。

 しかしここで手番は先手、守れない以上は攻め勝つか、攻めながらどこかで攻防手を絡めたい。佐々木さんは▲28飛と打ちこんで攻め勝ちに行きましたが、ここからの後手の攻めが通るかどうかが、今日の千田さんの構想の成否を分ける事になる思いました。アマ的には、金は浮き駒になっていきなり打ち込みで金取りが掛かってるし、玉は潜りこむのに2手かかるしで、とても先手が守り切れるとは思えなかったのですが、なんとここから千田さんは駒を総動員して守りきり!しかもその守り方が、打ち込まれた飛車を徹底的にいじめるというものでした。いやあ、この飛車を封殺してしまえば守りきりどころか攻め駒に飛車が入る事になり、先手勝ちという大局観か、凄いな…。しかし、この後手が打ち込んだ飛車をめぐる両者の攻防も、アマチュアではとても真似できないような凄いもので、これまた震えてしまいました。。結果、99手にて先手千田さんの勝ち!!

 すごい将棋を見せられてしまった…。これは戦慄、千田さんは将棋ソフトを使っての研究が凄いそうですが、研究を離れて以降の中終盤力もエグくて、とても序盤型の棋士なんて呼べません。昨日はNHK杯でも永瀬さんが行方さんを仕留めていましたが(感想戦でも永瀬さんが一枚上で、行方さんに見えていない絶妙手を指摘。オソロシイ…)、羽生世代とは全く違う特徴を持った若手強豪が次々に出てきた印象です。いやあ、この将棋はすごかった。。


第29期竜王戦 第2局 渡辺明 vs 丸山忠久 (一手損角換わり)

 ただいま第2局も終盤戦に差し掛かっている所。渡辺竜王の十字飛車が炸裂か?!という緊迫の場面で、棋譜解説は「丸山はカロリーメイトの缶を開けた。終盤戦に向けて栄養を補給する」との事。この大事な局面で何を解説してるんだ(´・ω・)、笑って力が抜けちゃったじゃないか。。それにしてもよく食うな…

20161028竜王29_渡辺vs丸山_一手損角換30手 竜王戦の第2局は4手目角交換の一手損角換わり。4手目角交換は色んな変化があるので、僕はやられるとビクッとなっちゃいます。そこから先手渡辺さんは腰掛け銀、後手丸山さんは…おお~、玉を矢倉に潜らずに△81飛・62金で構えました!角換わりでこれで待つ将棋をずいぶん見るようになりました。今年のNHK杯で森内さんが後手でこういう待ち方をしたし、たしか新人王戦でも出てきました。僕個人は、右玉とかこういうのは、おっかなくてとても指せないなあ。。そして渡辺さん、攻められにくいけど立ち遅れ気味になる後手のこの構えを見て…穴熊狙い!いや~、いかにも渡辺さんというか、手待ち気味に来られるなら「隙あらば穴熊」ですね(^^)。そして丸山さん、右銀を腰掛け、そして左銀を44に繰り出し(!)、渡辺玉が穴熊に潜り切る前に△65歩から仕掛け!!

 この仕掛け以降、ずっと面白かった!手番を握っての渡辺さんの反撃は強烈、しかし、それを剣先ギリギリのところで見切って躱す丸山さんの受けが凄い!そして、後手からの穴熊崩し、渡辺さんのはやめに大駒を切っての攻め、丸山さんの穴熊のコビンを狙いに行く馬、それを許さない渡辺さん…いやあ、竜王戦にふさわしい素晴らしい熱戦ではなかったでしょうか。そして局面は、ものすごく難解な終盤戦に!(ここでカロリーメイトの解説が入った^^;)。。

20161028竜王29_渡辺vs丸山_一手損角換75手 75手目盤面図以下は、目を離せない攻防戦!まず、75手目の▲41銀打が、僕にはそうとう厳しく見えて、先手優勢じゃないかと思いました。だって、この金を逃げると次の▲41飛がメチャクチャ厳しいですよね。というわけで、自玉の隣に打ち込まれた銀がこれだけ厳しいのに、金を逃げられない丸山さんは…

△84桂
 自慢させて下さい、この手、あたりましたヾ(´∇`)ノ゙。。他には△75歩とか、とにかく77の銀を動かしてハッチの閉じきっていない穴熊のコビンから角の攻撃を決めたいです。しかし…僕はたったそれだけの考えなんですが、当然後手玉はそれ以上に火がついた状況ですので、これで間に合うのかという問題が。。僕のは「次に詰めろが入る状況ぐらいにしとかないと間に合わそうなので、受けは考えずに攻め」みたいな考えなので、手だけ当たっても全然ダメですね(^^;)…。

▲49飛
 これがまた厳しい。丸山さんは攻めだけ考えれば△55馬で、以降はこの馬のラインを活かした攻勢と行きたいですが、その攻めが繋がるかというと…う~んわからない(^^;)。それで攻めきれないと、今度は渡した駒を使って詰まされそうですから、読みきりでないとたしかに△55馬は指せないなあ。

△24馬
 お~、丸山さんは勝負に行く手でなく、粘りのききやすい手を選びました(^^)。玉が左辺に逃げ込めば、馬の守備力が凄い事になりそう。しかし、こうするとアマから見るとどう見ても怖い筋があるぞ…

20161028竜王29_渡辺vs丸山_一手損角換81手▲44歩△同歩▲44同飛(81手目盤面図)
 十字飛車、キタ━━(゚∀゚)━━!!いや~、これは△43歩みたいに受けたら金を抜かれ、飛車を成り込まれてジ・エンドなので…

△55馬
 というわけで、この一手という感じなのは解るんですが、それでも▲32銀成△同玉▲42飛成で決まりじゃないのか??…いやあ、△23玉で逃れているのか、すげえ…。。今日は中盤から丸山さんの紙一重での見切りがすごい。形で指してるんじゃなく、ことごとく読みが入ってる感じで、凄いと思ってしまう…

▲64飛
 うああああ、渡辺さん、ここで飛車を切ったああああ!!!!いやあ、金を手持ちにしたからといってすぐ詰む筋があるわけではなさそうなので、いったん受けに回る事になると思うんですが、それで受かっていると見ているのか。単純に詰めろをかけるだけなら、丸山さんから詰めるをかける手があるんですが、それを見切ってる?!これは強い人じゃないと難解すぎて分からない終盤です。もう考えるの止めてみるだけにしようかな…

△76桂
 これは詰めろですが、△76角で飛車を抜いても良かったような気も…あああああ、抜いたら▲43銀が激痛なのか、いま金を抜かれたばかりなのを見落としていたよ(^^;)。しかし、凄い終盤になりました。どちらも手番を渡さずの直線の攻めは無理、攻守を考えながらの将棋になりました。しかし、受けに放った55の角が、先手玉のコビンを狙う重要拠点になりましたね。十字飛車と55角の攻防手、その飛車を見切っての踏み込み、その踏込を手抜いての詰めろ…いやあ、凄すぎて仕事が手につきません(^^;)。。

▲87金△75桂▲76金△87歩▲66歩△76銀
 後手の波状攻撃が凄まじいですが、ここで手番が先手渡辺さんに!!

▲44桂△41飛
 渡辺さん、詰めろから入りました。さすがにこれは先手勝ったかと思いきや、丸山さんの△41飛の詰めろ逃れがすげええええ!!!いやあ、仮に△44同角だと▲同飛が入るので、その順も潰してるのか…う~~~~~ん、すごい、鳥肌が立ちました。

▲同と△22玉▲32桂成△13玉▲21飛
 竜王はさらに追撃するも、ここで丸山さんは切らしに行き、ついに竜王の王手が続かなくなりました。いやあ、本当に△24馬が活きたよ、なんという大局観。。結果、98手にて後手丸山さんの勝ち!!!

20161028_kanso2.jpg いや~、十字飛車ちょっと前からの両者が凄かったです!!これは心に残る対局だなあ。。今回の竜王戦、丸山さんを応援してます。だって、あんな形で出る事になって、準備だって間に合ってないだろうに指す事になって、負ければ悪くも言われるだろうに、こうして対局に出てくる心意気に泣けます。渡辺さんも、心中穏やかでないでしょうが、「だれが出てこようが渡辺竜王からタイトルは取れなかっただろうね」と言われるよう、どうか頑張ってほしい。

 そして…対局後のこのふたりの笑顔、これに一番救われる思いでした。お二方とも、最終戦までもつれ込むような名勝負となるシリーズを期待してます!!


第6期女流王座戦 第1局 加藤桃子 vs 里見香奈 (ゴキゲン中飛車)

 里見さん、強えええええ!!!最近、女流同士の戦いで里見さんが負けたの見た事ないんですけど(^^;)。棋譜解説を読むと24手までの所要時間9分、里見さんに限っては48手目までで消費時間が9分だったそうです。この速さ、僕が道場でおじいちゃんと指してる将棋みたいです。結果、里見さんの勝ち!!
 いや~、この消費時間からすると、50手目あたりまでは完全に研究通りに進んだんでしょうね。ただでさえ中終盤がぶっちぎりの強さなのに、序盤でも研究勝ちしてしまうようになってくると、女流で無双は当然だわ。これでも奨励会を突破できるわけではないというんだから、奨励会はオソロシイ。。この棋譜は途中まで定跡化されるんでしょうけど、途中までは居飛車が良く見えます。これで居飛車側が悪いんだとしたら、居飛車で超速を指す人は知っておかないとマズイ事になりそうな棋譜ですね…。ああよかった、先手でも後手でも穴熊志向の僕は高みの見物ができて(^^)。

 さて、今日は竜王戦かな?仕事が忙しくってじっくり見れないけど、暇を見つけて覗き見だけでも出来るといいなあ。


将棋日本シリーズ 決勝 佐藤天彦 vs 豊島将之 (角換わり)

 午前のNHK杯に続いて、この将棋もメチャクチャ面白かった(^^)!!どちらが勝つかギリギリの寄せあいにもつれこんだ大熱戦でした!!

20161023日シリ37_佐藤天vs豊島_角換58手 中盤で凄かったのは天彦名人。天彦さん、銀をまるまる損しながらも後手玉に襲い掛かり、58手目盤面図に辿りついた時は先手天彦さんは桂損の状況。しかし後手陣を半壊させているのでこれでバランスが取れているという判断なんでしょう。それは分かるんですが、後手豊島さんが銀を打って馬を追いに行ったところでの天彦さんの応手は…

▲41銀
 おおお~、馬取りを手抜いて後手玉に迫ったああ!!!いや~、更に角銀交換の駒損をしてでも寄せが先なのか。ということは、寄せの目星がついている?いやあ、僕には寄せのイメージがぜんぜん湧きませんでした(- -;)。

△45銀▲同歩△46角
 そして今度は豊島さんが逆襲、角の打ちこみ!これは好手に見えますが、飛車の打ち込みなら王手から入れるのにそうしないという事は、攻防に利かせないと後手はヤバいという事かな?

 ここから後手豊島さんは怒涛の反撃!!もう悪いと思って詰まさなければ負け、みたいな感じだったのかも知れませんが、しかしこの追い上げがすごい迫力、面白かったです!!いや~、凄かったなあ。でも、解説の木村さんや棋譜コメントしていた谷川さんあたりは、その口ぶりからすると後手足りないと思ってたみたいです。しかし…豊島さん、寄せきってしまいました!!大熱戦の末、96手にて豊島さんの勝ち!!

 最後の寄る寄らないの所ですが、天彦さんとしては、玉を上部脱出させようと上に逃げた時に、88手目の△76銀は詰めろになっていたのが痛かったみたいで、上部脱出狙いが敗着らしいです。でも、代えて97や98に玉を逃げるとすると、角の利きで頭を押さえられてるし、△76歩あたりでやはり詰めろになるので、感覚としては上に逃げにいくのは普通ですよね。1分将棋になると、名人ですらこうなるから終盤はオソロシイ(^^;)。でも…さすがは光速流の谷川さん、読み切っていたのはさすがと思いました。しかも、人格者だから「こうすれば寄っていた」とか、言わないんですよね。あれ、実際に指している棋士を慮ってのことですよね、大人だなあ。。それにしても、最近の豊島さんの終盤はすごいです。序盤は鉄壁、課題は終盤なんて言われてましたが、僕らアマからしたらとんでもない。。というか、悪くなってからの終盤逆転術って、関西の若手棋士の人はみんな凄いですね。山崎さんも糸谷さんも稲葉さんも、最後の最後で本当にひっくり返してしまいますから、しかもプロを相手に。いや~、大熱戦の日本シリーズ、面白かったです!!

第66回NHK杯 橋本崇載 vs 三浦弘行 (横歩取り△33角85飛)

 NHK杯の前の将棋フォーカスの1分切れ負け将棋で、ついに山崎さんが敗けました!実質的には勝ち将棋、でも勝負というのは何で流れが変わってしまうのか分かりませんね(^^;)。

 そしてNHK杯は橋本さんと三浦さん。どちらも強豪、今年のNHK杯は2回戦にして好カード連発ですね(^^)。そして将棋は橋本さん先手の横歩取りへ。オールラウンダーの方って、どちらも指すけど基本居飛車という人が多い気がしますが、橋本さんは本当にどちらでも指しますね。僕は居飛車一辺倒ですが、居飛車も振り飛車も指せるようになったら楽しいんだろうなあ。対する三浦さんは…おおお~△33角85飛だあああ!!
 NHK杯での三浦さんの横歩取りといえば、何年か前の対阿久津戦で、中盤でいきなり飛車切りの踏み込みから三浦さんの攻め一辺倒になって剛腕でねじ伏せた対局があまりに鮮烈だったのでよく覚えています。でもブログを読み返したら、僕はその備忘録を書いてないみたい。なんでなんだろうかと思ったら…おお~、同じ日に森内さんの竜王返り咲きとなった渡辺‐森内の竜王戦の第1局をやってたんですね、それでそっちの事を書いてたみたい。懐かしいなあ。

20161023NHK_橋本vs三浦34手 そして、今日は橋本さんが穏やかに行かずに激しい踏み込み!三浦さんも負けじと踏み込んで大喧嘩(^^;)。。大喧嘩の発端は橋本さん。34手目盤面図から…

▲33角成△同桂▲24飛
 橋本さんは先手を取って先に角交換から…おお~飛車を4段目に浮いて、後手の2枚の桂の利きの内側に潜りました!攻めっ気満々だなあ。これは早指しのNHK杯ならではかも。

△44角▲66角△同角▲同歩
 後手は飛車を8筋に回られてはさすがにまずいので、両取りを含む角合い。先手は角を合わせてこれを消したところで、今度は後手の三浦さんが…

△28歩
 ああもう、どちらも収める気なし、大喧嘩だわ( ̄ー ̄)。。横歩って、中盤で突っ張るとこうなっちゃいますよね、どっちがいいのかまったく分からないけど、これで1mmも優劣に差がないなんて事はないと思うので、形勢はどちらかに振れてるんだろうなあ。しかしこの歩の打ち込み、嫌ですね。受けたらアウトじゃないですか、橋本さんは攻め合いでリードしに行かなくちゃいけないのか…。

 そして終盤の入り口あたりからの橋本さんの構想が見事。両サイドからのと金攻めという挟撃態勢を作られている最中に、いかにも遅そうな▲75歩が実は成立しているというのは驚きでした。あれで先手が速いのか…。あそこで三浦さんも受けずに攻め合いに行きましたが、ある程度時間を使ったうえでの選択だったので、あの時点で時すでに遅しだったのかも。65手目で橋本さんが龍を切ったあたりは、もう読みきりでしょう。「横歩は飛車より角が大事な事がけっこうある」なんて事を、将棋の勉強を始めたばかりの頃に横歩取りの教科書で読んだ事がありますが、今日に関しては飛車角乱れ飛ぶという感じでした。大駒の働き分だけ先手が良かったでしょうか。結果、87手にて先手橋本さんの勝ち!!

 橋本さんにとって、素晴らしい快心譜ではないでしょうか!!いや~、タイトル経験ありで現役のA級の居飛車本格派を、現状の先手横歩取りで破るのは凄いでしょ…。無責任に見ている側にとっては、細心の駒組みで互いに辛抱となる将棋よりも、激しくなる将棋の方が楽しいですね(^^)!!でも…ヤバいなあ、進めなくちゃいけない仕事があったのに、ついつい将棋を見てしまった。夜は日本シリーズを見たいので、それまでに仕事を終わらせちゃおう。


 

第2期叡王戦 羽生善治 vs 稲葉陽

 なんだこの棋譜、羽生さん強えええええええええ!!!昨年からの稲葉さんって、全棋士の中でも1~2を争うほどの絶好調棋士さんじゃないですか、B級1組ぶっちぎり通過、A級だって3戦全勝の同率トップだし。それをなんという破り方をしてしまうのか、羽生さんは。鬼だ、鬼神だ。。これ、飛車を切った時にはとっくに先手優勢ですよね、ということは…いやあオソロシイ。僕がプロ将棋で見せてもらいたいのは、変なゴチャゴチャじゃなくって、こういうのなんです、スカッとしました(^^)。
 今まで当たり前に思っていた、プロの見事な技を見せてもらって拍手を送るだけの事が、こんなに幸せな事だったなんて。稲葉さんは残念でしたが、しかし数日後にはA級順位戦で再び羽生戦です。そこでリベンジできれば羽生さんに2敗目をつける事が出来るので名人挑戦に大きく前進。稲葉さん、今日は残念でしたが数日後にガンバレ!いや~、お二方とも有難う、久々にすっきりした(^^)。これから1か月、僕は怒涛の忙しさであまり将棋を見れそうにないけど、いつまでもゴチャゴチャ嫌な争いしてないで、「過ぎた事は仕方ない、お互いに無かったことにしてこれから気持ちよく正々堂々真っ向勝負で行こうじゃないか」みたいに、盤上決着でプロ棋士の皆さんが水に流してくれたらどんなに嬉しいか。。


A君の話

 クラス代表を決める勝ち抜きテスト大会でカンニングがあったんじゃないかと、A君が疑われました。クラスにはA君を疑う噂が前にもあって、今回はクラスの5人がそれぞれ強い根拠を持って「さすがにおかしいだろう」と先生に相談。そして反省会となりました。A君にとってはつらいクラス会で「こんな疑われてるようではテスト大会なんて出たくない」と言い、翌日から欠席。大会が押し迫った先生は次善策としてクラス2位となったB君を代表に決め、A君には「じゃあ、大会が終わったら学校に出てきて、今後の行いでみんなの信頼を取り戻すように頑張ってくれ」と声を掛けました。
 ところが、A君は弁護士を引き連れ、もう一度クラス会を開いて貰って、争う姿勢を見せ始めました。クラスメートである僕は、ここで疑問を覚えました。やってないなら、潔白を証明したいのは当然だ。でも、それは潔白であった場合だ。潔白でない場合は、Aは自分の生き残りだけをかけて、不正をされて涙をのんだ5人に対しては理不尽な要求をする事になる。Aでも5人でもない俺にとっては、どちらの言い分が正しいか分からない。でも、仮にA君が裁判のようなクラス会を開いて、そこで「証拠がないからシロだ」という形で勝ったとしても、その判決によって5人やクラスの皆が「A君は白だった」と思うようになるのだろうか。裁判の結果と、みんなが心でどう思うかはまったく別の問題なんじゃないだろうか…。

 A君に弁護士がつくとしたら、弁護士は反省会でのA君の勝訴(あるいは「反省会上での」A君の最大の利益)を目指すでしょう。それが弁護士の役目なんだから当然です。でも…こういう時にA君が目指さなくてはならないのは、クラス会での法的な勝訴なんでしょうか。もちろん勝訴自体は嬉しいでしょうが、勝訴はクラスや5人の疑いを晴らす事とイコールなんでしょうか。A君が本当に目指さなくてはならないのは(あるいはA君自身が暗に望んでいるのは)、5人やクラスの皆が自分を疑い続ける状況、この打破ではないでしょうか。潔白を証明しないと退学になってしまうのであれば、争うべきだと思います。しかし学校が「大会が終わったら出てこい」と言っているのであれば、争う事よりも、学校に復帰した後に、どうやってみなとうまくやっていくかを考えるべきなんじゃないかという気がします。A君だって、対立よりも復帰後に5人やみんなとうまくやって行けるのであれば、そっちのほうがよほど良いのでは?場合によっては、この問題で白黒つける事をせずに、先生が言うように、他の場面で(例えば、疑われた事をしない状況でテストでいい点を取り続けるとか、学級委員長になって率先していい事をやってみんなの信頼を得るとか)信頼を取り戻す努力をした方が、現実的かも知れません。A君は、自分が本当に望むものと、弁護士が目指すものが常に一致するわけではないという事を知っておく必要がある気がします。

 問題がふたつ。まず、A君は本当に不正したのかという点。次に、A君がカンニングをしたにせよしていないにせよ、クラスの皆や疑った5人がどう思うのかという点。こと後者は、「他人がどう思うか」なので、事実は重要でなくなってしまう、という所が難しいです。この問題を解消するにはどうしたらよいか。実際には、A君がやったかどうかによって対応が変わる部分も出てくると思いますが、こういう事は言えるんじゃないかと。小さい声でモゴモゴと「たぶんやってない」といったら、実際にやってなかったとしても、恐らくクラスの全員が「あ、こいつやったな」と思うでしょう。では、この件でクラス代表が変わって、学校代表の選手権の代表選が始まった後に、A君が「やってない、出たかった」と言い出したら?これは、実際にどうだったかはともかく、小さい声でモゴモゴ言うのと同じじゃないかと。もしかすると、クラス会で勝訴する為に、何らかの理由から弁護士が代表選1試合が終わるタイミングを待ってからそういえと言ったのかも知れません(なぜそれがA君のメリットとなりうるかというと…まあ証拠の存在の有無のみたて次第では、A君が正当な理由なしでクラス代表になれなかったという事実を作った方が「裁判での勝訴」という結論だけは引き出しやすいので、A君が代表を外された事実が規正化するまで待つ必要がある)。でも、このシナリオを歩む事は、勝訴には繋がるかも知れませんが、しかしクラスのみんなの不信感はむしろ増してしまう気がします。論理的でなく、かつA君を信じたい友人なら、証拠にもならないような証拠を提示されても「ほらAはやってないじゃないか」と言うかもしれない。早計な人は、断定すべきでないタイミングでも「黒っぽいから黒」と勇み足を踏んでしまうかも。でも、論理的に考えられるクラスメートの場合、このタイミングでいわれても「なんで今なんだよ」と感じたとしても普通の気が…。だから、やってない場合、A君はしかるべき時と場所では、大きな声で「絶対に俺はやってない」と言い続けなければならない。やってる場合は?これはいろいろ意見があると思いますが、それでも小さい声でモゴモゴと「たぶんやってない」と言っていると、それが仮にクラス裁判に勝つ方法であったとしても、クラスの空気はもう疑いのまなざしが大勢になってしまうでしょう。

 でも、大声で主張するだけで、5人が抱いた疑惑を解消できるかというと、とてもそうは思えません。「部外者は証明が難しい事だから疑わしきはシロというかもしれない。でも時間が押しせまって少しでもいっぱい考えたいテストの終盤で、あいつは1問ごとに席を立った。別室で頭を休めていたなんていうけど、長いテストの途中なら分かるけど締切前ともなればテスト用紙の前で問題を必死に解くのが普通じゃないのか?それは不正の証明にはならないかも知れないが、しかし本気でテスト受けてる奴なら絶対に締切直前で何十分も離席なんてしない。有名な参考書に書いてあった難解な模範解答とも一致していた。絶対に怪しい。」こういう疑念に対し、A君が今すべき事は、裁判に勝つ事ではなくて、どうやってこの疑念に応え、5人やクラスメートの不信を解くか、という事なんじゃないかという気がします。

 A君はどうすればいいんでしょうね。やっていたにせよしないにせよ(というのは、そのどちらであるかはただのクラスメートの僕には分からないから)、「絶対にやってない、でも疑われるような行動をとった俺にも責任の一端はあったかも知れない。だからその点は謝る。でも、絶対にやってないからな!」と言ったら、どうなるんでしょう。僕が5人のうちのひとりだとしたら、どう思うか。「噂もあったし、当日に怪しい行動もあった、他にも一生懸命そのテスト勉強をしてきた人にしか分からない疑念もある。でも、あいつも今さら引けんだろうし、謝罪も入った。現実には白黒つけるといっても証明はどちらもムズカシイ。今回はこれで解決にしよう、これだけ騒ぎになれば仮にあいつがやっていたとしても、もう2度とやらんだろう」という気分になる気がします。しかし、クラス会で裁判になってシロ判決になったら、どう思うか。「ふざけるな、実害も出てるのに、証拠がないの一点ばりで押し通されるなんてことがあっていいのか。俺はクラス代表になるために身を粉にして徹夜で勉強してきた。そしてあいつは、勝者が決まるかどうかという終盤で、1問ごとに離席した。学校で習ってきた方程式を使わない解き方が、帰ってきた後に飛び出した。しかも俺だけじゃない、俺以外の奴の何人も同じ疑念を感じたんだ。証明が難しいからと言って、こんなのを認めるなんて、悪い事やったもん勝ちじゃないか」みたいな理不尽な思いを抱き続けるかも知れなません。少なくとも、以降、A君とうまくやっていこうなんて思わない気がします。

 クラスの担任は何をしたんでしょうか。担任は、「大会終了後は、クラスにちゃんと出てきて、みんなの信用を得るために頑張って」と、A君とクラスに声を掛けました。これが最善手であるかどうか僕には分かりませんが、担任なりに考え、しかもクラスも5人もA君の事も考えた上での発言である事は間違いないでしょう。A君、つらい立場なのは分かるし、やってないとしたらなおさら。でも、担任からしたら、A君がやったともやってないとも言えない事は当たり前だし、クラスの何人かから訴えがあったのに訊かないわけにいかないというのも、すごく分かります。担任が実は温情采配をしているという事を、A君は理解しないといけないかも知れない。ここで仮にA君がこの担任のこの呼びかけに応じず、クラス会での勝訴を得る事が任務である弁護士のいう事に従って、裁判で戦ったとしたら?…いや~、これは悪手の気がするんですよね。明らかにA君の立場も考えて手を打った先生に刃を向けてしまうと、先生からしてみればその時点でA君を庇わなくてはいけない理由が無くなってしまう。だって、その時点で庇うどころか戦う相手になるんですから…。また、裁判してしまうと、勝った場合ですら実はA君にとってつらい状況を呼び込んでしまいそう。5人やクラスが「おいおいふざけるなよ」となってしまうんじゃないか…。まして、やっていた場合は、なおさら裁判なんてしてはいけない、それは不正をされて苦汁を飲まされた人に理不尽を突き付ける事になる。それこそマズイ事になる気がするなあ…。

 裁判しない方が良いというのは、A君は罪を認めろと言っているわけじゃないです。再三いうように、やってないなら大きい声でやってないと言い続けるべきだし、胸を張り続けて欲しい。ただ、その決着は裁判でなく、クラスのみんなと今後どうやっていくか、ここを見据えながら落としどころを考える事なんじゃないかと思います。今回の場合、ありがたいことに担任の方からその落としどころを提示してくれたわけですし、A君は部分的な戦場の勝ち負けだけでなく、大局を見て慎重に行動した方が得かも。外野は、真実を知りたいから無責任に「裁判しろ」なんていうかもしれないし、弁護士なんてそれこそ裁判での勝ちが問題解決と信じて疑わないかもしれないけど、でももしA君がこの狭いクラスで、今後もみんなと何十年も一緒に生きていきたいなら、争うよりも不信の解消と和解を前提に動いた方が、A君自身が救われる気がするなあ。A君のような超成績優秀者ではないクラスの端っこにいる僕からすると、みんなでうまくやって、ずっといいムードのクラスであって欲しいなあ。

 あ、これは学校の話ですよ、将棋とかは関係ないです。。

第29期竜王戦 第1局 丸山忠久 vs 渡辺明 (角換わり)

 はじまりました竜王戦!竜王戦が始まると、年末だな~って感じてしまいますが、僕がプロ将棋を見始めてからの竜王戦はフルセットまでもつれこまずに年内で終わってしまって、つぎのタイトル戦までけっこう時間が空いてしまうのが惜しいです。というわけで、今期の竜王戦は、なんとか年明けまでもつれる接戦になってほしいなあ。。

20161016竜王29-1_渡辺vs丸山_角換21手 将棋は丸山さん先手の角換わり。そして丸山さんははやめに桂を跳ね出しました(21手目盤面図)。最近のプロ将棋では、このはやめの桂の跳ね出しを良く見かけますが、これの有効性がぜんぜん分かっていないド素人の僕としては、今回はここを勉強したい(^^)。棋譜解説によれば「次に▲2五歩△3三銀▲4五桂のような仕掛けを含みにしている」との事ですが、本譜は…

△41玉▲25歩△33銀▲45桂
 おお~、解説通りの進行(^^)。

△22銀
 お、渡辺さん、銀を44に出ずに22に引きました!ということは、桂を取りに行くのかな?これは見た事があるぞ…

▲24歩△同歩▲同飛
 ここで先手丸山さんは飛車先の歩を交換!こ、これは…▲16歩△14歩の交換さえ入っていれば、あのいわくつきのA級順位戦▲三浦‐△渡辺戦と同じだあああ~!!あの時、ここで渡辺さんは△44歩と突いて桂取りをかけたんですけど、そこから先手三浦さんが桂損、銀桂交換の駒損などの駒損を繰り返しながらも攻めを繋げてしまい、単手数で後手渡辺さんを破ってしまったのでした。あの将棋は、飛角を連動させた寄せも凄すぎた…。さて、ここで渡辺さんはどうするか…

20161016竜王29-1_渡辺vs丸山_角換30手42角(30手目盤面図)
 おおおおお~、渡辺さん、変わったあああ!!!さすが渡辺さん、ちゃんと研究しているっぽいです(^^)。プロだとさすがに自分の対局ぐらいは研究しておくのかな?アマからすると、角換わりでこんな受けのための自陣角なんて、研究でもしてないともったいなさ過ぎて打てません。それにしても丸山さん、渡辺さんにこの局面を再現させるとはなんという嫌がらせ.(。・ω・)。

▲34飛△23銀
 いや~、はやめに桂を跳ねた以上、歩の餌食になる前にある程度の戦果を上げないと勝負にならないのは理解できるんですが、しかし横歩を取ると狭い所に飛車がいってしまいます。しかしそうしたという事は、もう攻めを繋げる覚悟なんでしょうし、丸山さんの棋風からすると…

▲32飛成△同玉
 丸山さん、やっぱり飛車を切ったああああ!!!いや~、プロ将棋観戦歴の浅い僕は、丸山さんと言っても名人取った時とか、一手損全盛期の頃とかを知りません。それでも最近数年の丸山さんに限って言うと、丸山さんって、中盤の難しい所では、分からない時は一番激しい順を選ぶように心がけているんじゃないかというぐらいに激しい順を選ぶ事が多い気がします。何年か前のNHK杯の対飯島戦で敵の歩の前に打った△86銀とか、対三浦戦での▲66角の超絶に激しい攻め合いの構想とか…。きっと、勝算を持てるとかそういう事ではなく、どちらも分からないという場合には激しい順から試すのかも。

 このあと、先手は桂を素抜かれる順は避ける事が出来ましたが、後手の角をいい所に出られ、渡した飛車の打ち込みが厳しい状況で一気に寄り筋。68手で後手渡辺さんの勝ちとなりました!

 形としては、丁寧に受けて受け潰し、はやい桂の跳ね出しを咎めた、という事になるんでしょうか。やっぱり、自分が先手の時はあの桂の跳ね出しはとてもじゃないけど指せないな、やっぱり腰掛け銀中心で指そう(^^;)。。今回の感じだと、あの△42角という自陣角が予想外だったのかも知れません。研究って怖いな…。
 そして渡辺さん、三浦さんに単手数で仕留められた戦型とほぼ同じ形を同じ後手で指して、今後はそれを上回る単手数で勝ってしまいました。渡辺さん、すごい。また、渡辺さんが2週前に辛酸を舐めた戦型を突き付けた丸山さんも、勝負師としての執念を感じました。何より、準備も出来てないだろうし心中も穏やかでないだろうとてもやりにくい状況で、対局を引き受けて戦いに挑んだ丸山さんには拍手を送りたい!
 若干不安なのは、またしても竜王戦が早期決着してしまって年末年始とタイトル戦がなくなってしまわないかという事。渡辺さん、普通でも強いのに、竜王戦では鬼畜のような強さになるからな~(^^;)。


三浦弘行さん、がんばれ!

 なんかすごいことになっちゃいましたね…。朝日デジタルやらのニュースサイトからの情報では、以下のような感じが今のところ発表されている事実みたいです。

(朝日デジタル)
・今夏以降、三浦九段は対局中に席を離れることが多く、不正行為が疑われていた
・連盟側が聞き取りをしたところ、対局中のスマホなどの使用を否定。「別室で休んでいただけ。疑念を持たれたままでは対局できない。休場したい」と話した
・期日の翌12日までに休場届が提出されず、連盟は処分を決めた

(NNNニュース)
・対戦相手5人前後から「20分も30分も席を離れる事が多く、スマホなどに搭載されている将棋ソフトを使っているのではないか」としてきされた
http://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000085468.html

(報道ステーション10/13)
・終盤で1手ごとに席を立つことがあった

 他のニュースサイトもだいたい上記のような感じでした。上記の流れならば、三浦さんは将棋連盟さんの事情聴取の時に、やってないならやってないと堂々としていればよいし、まして竜王戦を辞退なんかしちゃいけないんじゃないかと思ってしまいました。名人戦や竜王戦は、仮に親の死に目でも、自分が重病だと分かっても、それでも出るぐらいの覚悟があってしかるべきタイトルで、まして潔白だというなら、疑われたぐらいで辞退するなんてのはちょっと…。不正うんぬんより、竜王戦辞退を残念に思ってしまったのは私だけ?

 私、子供のころに教室でどろぼうがあって疑われ(日ごろの行いが悪かったわけじゃないですよ!僕の隣の子のものが盗まれたからなんです)、家に泣いて帰った事があります。もう、動揺しまくり。泣いて帰ってきた私にびっくりした親に問い詰められ、泣く泣くおやじに話したら「本当の事はお前にしか分からない。俺にだって分からない。でも、やってないのなら、誰から何を言われようが、堂々としていればいい。何も後ろめたい事なんてない。」と言われました。やってもいないのに死にたいぐらいに落ち込んだ僕は、この親父の言葉にどれだけ救われたか…。

 じゃあ、仮にやっていたとしたら?それでも「やっていない」と言い張って、竜王戦を自分から辞退すべきではなかったと思ってしまいます(もちろん、それがいい事だなんて言いません。こういう状況では好手なんてありえず、何をやっても悪手。だからあくまでリスク対応としては、という話です)。そして、以降は肝に銘じ、心を入れ替えて二度と不正をしなければよかったんじゃないかと。連盟から「出るな」と言われたのならばまた話は違ってくると思いますが、自分で辞退してしまったのでは、三浦さんも連盟も刀の収めどころがありません。将棋連盟の事情聴取は2時間ほどだったそうですが(13日報道ステーション情報)、これで精神的に参ってしまい、「辞退したい」と言ってしまったのではないかと憶測。その後、休場届の期限になっても対処法が分からず、逃避行動に出てしまっているのかも。

 ソフトなんてない時代からタイトル奪取もA級昇級も果たしていた三浦さんは、間違いなくプロの中でも一流。不正をやってしまったのだとしたら、そして今後公の場に少しでも顔を出すつもりがあるというのなら、許されるかどうかに関係なく、潔く「誘惑に負けてしまいました。申し訳ありませんでした。一から出直すつもりで、以降の人生をすべて贖罪にあてるつもりで将棋道に精進したいと思います」ぐらいの事を言って、一心不乱に将棋に打ち込む姿勢で応えるというのが最善の気がします。こういう時は変な損得勘定や駆け引きをするよりも誠意を示した方が社会的個人としては良いと思いますし、若い時から将棋一本だった人には、それぐらいしか出来ないんじゃなかろうか…。それで除名になったとしても、それは自分が悪いんだから仕方なし、しかしきっぱり謝罪した人間性は買われるんじゃないかと。人殺しをしたわけでもないし、謝罪し、制裁を受け、心を入れ替え、それを行動で示した人にはそれ以上出来る事はないのですから、それでも過去の過ちをグチグチ言い続けられたとしたら、それは社会の方が悪い。それぐらいの気持ちでいいんじゃないかと思います。ただし、反省している事を、言葉ではなく何らかの態度で示し続けるしかないでしょうが、それでも前を向くしかない。

 誰だって、誘惑に負けることも間違いを犯してしまう事もあると思います。やったのならば素直に贖罪して、何とか立ち直ってほしいです。やってないのであれば、どんなに後ろ指を指されても恥じる事はありません、辞退なんてせずに堂々としていてほしい!危機の時こそ、人間力が問われると僕は思います。三浦さん、無実にせよ過失にせよ、今は精神的にきつい時期かと思いますが、どうぞがんばってくれ~!!

第64期王座戦 羽生善治 vs 糸谷哲郎 (矢倉△53銀右急戦)

 生活が超多忙、はやく年金暮らしに突入してゆっくり将棋でも見ながら落ち着いて過ごせるようになりたいと思う今日この頃(^^;)。なんで今ごろ3日も前の将棋について書いているかというと…何十年か先、老後の楽しみに自分のブログを見返した時に、決着局が書いてないと気持ち悪いから(*^_^*)。羽生さんのストレート防衛となった王座戦の第3局は、矢倉△53銀右急戦。いや~、これは最近慈明さんの本を読んでいたものだから、タイムリーでありがたかったです!

20161004王座64-3_羽生vs糸谷_矢倉急戦53銀右4手 僕の矢倉の定跡勉強は苦労の連続で、その根本は△53銀右急戦。これで5手目が▲77銀か▲66歩か分かれてしまうのでした。僕が最初に勉強した矢倉の定跡本は『羽生の頭脳3 最強矢倉』で、これは5手目▲77銀を採用。しかし、以降に矢倉の大本流となった▲46銀37桂の全盛期に書かれた定跡書の多くは、5手目▲77銀をめぐる解説が素晴らしすぎる森下さんの名著森内さんの4六銀3七桂の本も、△53銀右急戦をケアしての▲66歩を採用。他の棋書も同じでした。この穴埋めに僕はちょっと手間取ってしまい(矢倉より一手損対策が急務でした^^;)、ようやく序盤の変化に対応できたところで、なんと羽生さんをはじめ5手目▲77銀がまた復活してきて、僕としては嬉しいような悲しいような…といいたい所なのですが、これを指すには△53銀右急戦を破る自信がないと指せないという(^^;)。しかし羽生さんはプロが読んでも難しいという矢倉序盤の研究書を書いているので、実は急戦矢倉の序盤対策は鉄壁なのではないかと。そこで糸谷さんが△53銀右急戦に出たので、「ああ、これは羽生さん勝った…」と思ってしまったのでした。序盤研究の鬼の永瀬さんが序盤でクラッシュされたのを見たばかりでしたし、今回も糸谷さんの緩手がまったく分からないまま後手悪くなっていたので、もうこれは羽生さん相手に△53銀右急戦の全盛期を生きてこなかった若手がこの戦型で挑むのは無理なのではないかと思ってしまいました。それでも中終盤はアマでは難解な攻防戦となり、棋譜中継の解説がなかったら、先手かなりオソロシイ格好に見えたんですが、どうもプロから見るとけっこう差があったそうで、結局羽生さんが序盤中盤終盤とずっと押し続けての完勝。3-0のストレートで王座防衛でした。

 数字は3-0でしたが、糸谷さんは強豪を連破して挑戦してきただけあってものすごく強いなと思ったのと同時に、今回の王座戦は面白かった!第1局があのとんでもない角捨ての踏み込みが炸裂した一手損角換わり破り、第2局がこれまた銀取りを手抜いてのとんでもない垂れ歩の炸裂した藤井システム、第3局が矢倉△53銀右急戦破りの定跡になってしまいそうな本局ですから、将棋ファンからするとたまりませんでした。これで羽生さんのタイトル戦連戦はひと区切り、しばらくは順位戦に集中して名人リベンジ狙いという事になるのかな?そして、次のタイトル戦である竜王戦は10/15から始まる渡辺--三浦戦。ああ、もう竜王戦の季節か、1年がたつのはあっという間だ。それにしても、「渡辺竜王」という響きはやっぱりしっくりきますね。。


最近見た将棋

 日曜日って大事ですね。フリーで仕事をしていると曜日なんて関係なくなって、気がつくとずっと仕事、そして疲れ果ててしまったりします(^^;)。でも、休日があるお蔭で、「今日は仕事しなくってもいいや」みたいに自分を許せたり。この1週間もそれなりに忙しかったんですが、山場は抜けたかんっじなので、将棋はけっこう見る事が出来ました。そのなかで、印象に残っているものを。

 一番印象に残っているのは、棋王戦トーナメントでの▲郷田-△屋敷の相掛かり戦。屋敷さん、とんでもない玉あがり。自陣を極端な悪形にしながら馬を作られる局面を自ら選び、それで指せるという判断が信じられませんでした。そして、本当に勝ってしまった…。以降も飛車捨て、相手の手に乗りながら自陣の整備、更に守りと攻めに何度も出てくる銀の活用や打ち込みが絶品すぎ。中盤も終盤もとてもじゃないけど真似できない屋敷ワールド全開の将棋でした。これは手品を見ているような眩惑の棋譜、鳥肌ものでした。

 叡王戦での▲羽生三冠-△山崎叡王-の横歩も大熱戦で印象に残ってます。早投げの山崎さんが終盤劣勢になってからも根性で指し続けたのは、叡王としてのプライドでしょうか。山崎さんの気迫が伝わってきた素晴らしい将棋でした(^^)。それにしても、苦労している横歩で、早指しを得意とする叡王をこうも見事に粉砕してしまうのか…羽生さん、凄いです。

 銀河戦決勝での▲廣瀬-△藤井猛戦は、後手藤井システムが炸裂!藤井さんの将棋は、中盤入り口あたりは急戦より持久戦志向という印象があったのですが、この将棋でのいきなり桂を跳ね出しての急襲は凄かった!時限つきの怖い手かと思ったんですが、これが最後まで効いて細い攻めを繋げ、終盤力の鬼である廣瀬さんを攻め滅ぼしてしまう会心譜!40半ばでの棋戦優勝は凄かったです!

 女流では、倉敷藤花の挑戦者決定の▲上田-△室谷戦を見てました。後手室谷さんは2枚の銀がどちらも負担になりそうな形になってしまったのですが、中盤で勝負手を放って賭けに出ても良さそうな場面でも丁寧に指して凌ぎ(ここが凄かった)、終盤でなんとか喰いついてからは見事な寄せ。森門下は終盤力のある棋士が多いですが、これは村山さん以来の伝統でしょうか。名門と思います。室谷さん、女流タイトル上位常連になってきましたが、しかしトップに君臨する里見さんの勝率が復帰以降は9割越え(゚ロ゚ノ)ノ。しかも、3段リーグと掛け持ちで、女流棋戦では序盤研究を隠して指している印象すらあるのに、この成績というのが凄すぎる。女流棋士は、せっかくタイトル挑戦まで辿りついても最後にいる棋士が強すぎて気の毒です(^^;)。

そして今日のNHK杯▲佐々木-△木村戦は、例によって佐々木さんの終盤の切れ味が凄すぎ。佐々木さん、いつもとんでもない切れ味の将棋を見せてくれるんですが、なんでこんな豪腕が順位戦C1で竜王戦4組の5段なんだろうか…プロの世界は厳しいなあ。


プロフィール

ShougiX

Author:ShougiX
駒の動かし方を知っていた程度の初心者です。せいぜい1日1時間ぐらいしか将棋に時間を割けない社会人が、ガンバって1年で初段になる事が目標です!
(*追記)10ヶ月ちょいで初段到達!!ただいま、居飛車側から各戦型に対応できるよう奮闘中(汗)。。

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