▲9三銀成、成立していた!!

 昨日の棋王戦挑戦者決定戦、凄かったです!終盤の壮絶な戦いが見事でした。そして、棋譜中継が更新されていますが…うおおお、激戦への入り口になった康光さん驚愕の▲93銀成の銀捨ては、なんと成立していた模様!うわあ、マジか。。
http://live.shogi.or.jp/kiou/kifu/41/kiou201512280101.html

 そういえば、王将戦の挑戦者決定戦で、羽生さんが久保さんの穴熊を崩したのも▲93銀(先後逆なので、正しくは△17銀)でしたね。この筋は覚えておこう(^^)。

 というわけで、昨日の日記に追記しました。う~ん、今年の最後になって、凄いものを見せていただきました(^^)。
http://shougix.blog.fc2.com/blog-entry-539.html


第41期棋王戦 挑戦者決定戦 第2局 佐藤康光 vs 佐藤天彦 (相振り飛車)

 棋王戦の挑戦者決定戦、いよいよ大詰めです!これが今年の将棋の見納めになるかな。。今度は康光さんが先手番、天彦さんは得意の後手横歩取りにいけるか…康光さん、角道を止めて横歩に行かせません!徹底して相手に得意の組み手で組ませず。そして、横歩拒否された時の天彦さんの作戦である三間飛車に対して康光さんは…二間飛車、相振り飛車だああ!!こうなると、僕は全然わかりません(*゚∀゚*)。

20151228棋王挑決-2_佐藤康vs佐藤天_相振40手 将棋は先手二間飛車&美濃vs後手三間飛車&穴熊。しかし、40手目盤面図を見る限り、穴熊に行った天彦さんの手が遅れたようには見えません。康光さんが飛車先の歩の突き捨てを入れたり端歩を突いたりしているうちに追いついちゃったのかな?穴熊に囲い切れちゃうと、いざドンパチが始まった後は遠さがモノを言いそうだし、角の捌き合いになった時は後手が有利な気もするので、既に穴熊側が有利な気もします。いやいや、そういえば今年の康光さんの対局で、相手の穴熊に手をつけてから、相手にまったく手を渡さないまま寄せきったものもあった気がするので、そんな事ないのかも。やっぱり分かりません(^^)。そういえば、40手目みたいな形から穴熊の頭に銀で強襲をかける囲い崩しは、昔よく本で読んだ気がします(^^)。それは、歩を持っていたとしてのハナシですが。あれは『光速の寄せ』だったかなあ。

 さて、40手目盤面図から…

▲84歩△同歩▲75銀
 いや~、さっきから康光さんはこの飛車先の歩の交換をしてますが、駒台に歩があるわけでないし、どうするつもりなのかが僕程度では理解できません。1回目は飛車先を軽くしておくと分かりますが、2回目の今回はどういう意味があるんだろうか。なんか、相手の攻めで駒台に乗るだろう駒や端攻めと絡んで、なんか深謀遠慮があるのかな…。

 そして、ここで天彦さんが長考。いや~、この長考は怖いです。どう考えても攻めを考えているでしょう。ここで一気に有利にする筋を考えているんじゃないかと。飛車を浮いた以上、飛車の横利きを通しつつ角を捌きにいく△55銀から行くと?…▲56歩とされた場合、そこで退かないなら△74歩から大喧嘩か。これはちょっとオッカナイ、穴熊に行ったのにこういう展開にするのは方針がおかしいかな?じゃ、飛車先から行く△36歩は?…おお、これは行けそうじゃないかい?棋譜中継では先に角に紐をつけておく△33角なんかも紹介されてますが…おおお、もしこれを入れて間に合うなら、△33角~△36歩が本線でしょうか。な~んて言ってたら…

△55銀
 おおお、珍しくボクの読み筋をプロが指したあああ!!すげえ嬉しい(^^)。。しかし、僕が「なんかヤバそうだな」と思って斬り捨てた筋を、天彦さんが長考の後に指したとなると、これは後手行けそうな感じなのか?えっと、▲56歩で…

▲64歩
 うおお、康光さん、違う手を指したあああ!!飛車の横利きを止めようという事でしょうか?!いや~、これはいきなりのっぴきならない状況に突入、普通に△同歩では見事に横利きが止まって康光さんの狙い通りですが、△74歩と追い返されると?えっと…

△同歩
 うわ、天彦さん、普通に取った!う~ん、これはどちらも自分が良いと思ってるんじゃなかろうか。僕には、角銀の攻めが決まっているかに見える後手が良さそうに見えるんですが…。しかしこの歩の交換が入るのか。これは単に▲56歩と行くよりも康光さんは得したかもしれません。と思ったら…

▲84銀
 うおおお、信じられない!康光さん、銀の進出を受けないまま踏み込んだあああ!!!△83歩と守られたら?…なるほどそれこそ『光速の寄せ』の筋、▲同銀△同銀▲84歩か!!しかし、受けてもらえず、普通に△66銀と出られたらどうするんだ?これは時限爆弾つきの先手かなり忙しそうな気が…

20151228棋王挑決-2_佐藤康vs佐藤天_相振50手△66銀▲83歩△71銀(50手目盤面図)
 いや~、ボクはここから先手を持ってどう指していいのかわかりません(*゚∀゚*)。▲66角△同角と角銀交換して駒損ながら攻め駒を補充するも…飛車に当たってるよなあ。しかし、△64同歩以下、天彦さんはあまりひねった手を指しておらず、康光さんの手に乗って素直に応じてきただけなので、康光さんには何か考えがあると思うのですが…見えないよ~。というところで、将棋を見過ぎて仕事があんまり進んでません(^^;)。ちょっと仕事を進めよう。

◆◆◆◆◆
 仕事がきりのいい所まできました。さて、あそこから康光さんはどう指したんだろうか。

▲93銀成(51手目)
 えええええ(゚д゚ノ)ノ なんだこれは?!!!いや~△同香にしろ△同桂にしろ、後手優勢にしか思えないんですが…。えっと、棋譜解説によると…▲95歩が継続手だって?!うああ、「大駒あげますからその間に端から寄せに行きますよ」って事ですか?いや、これはビビりました。しかし、マジで成立してんのか?してたらとんでもない一手ですが…

△85歩
 うわああああ、天彦さん、この銀を取れず。
ただならぬ雰囲気になってきました。しかし、互いにここでほとんど持ち時間なし。

▲63歩△同金
 金を吊り上げてから…

▲88歩成△同金▲同成銀△同玉▲85飛△84歩
 康光さん、一気に清算に行きました!いや~、これはちょっと足りないか?

▲45飛△54銀▲25飛△24歩▲35金
 ああ、戦場が右辺に逸れてしまいました。これは後手受け切ったかな?それにしても、飛車を抑えに行く△54銀が激辛すぎます。

20151228棋王挑決-2_佐藤康vs佐藤天_相振71手△31飛▲24飛△33角▲34飛△77銀成▲同桂(71手目盤面図)
 いや~、これは康光さん、よく飛車を守り切りました。これを抜かれたら攻めが切れてオシマイっぽかったですものね。それにしてもこれは激闘!!残り2分の状況で、角を逃げないで▲34飛が先に見える所が凄い…

△32歩▲68金
 天彦さんも時間がありません!そして両者時間に追われながらの殴り合いのこの状況で、一転して互いに渋い受け!いや~、どれだけ広く盤を見ていて、どれだけ冷静に形勢を判断しているかという事でしょうね。僕はこういう時、自分の攻めが切れたら負けという指し方をどうしてもしてしまうので、これは本当に凄かった。時間に追われる状況で△32歩も▲68金もちょっと指せないぞ。

 康光さんの攻めがつながるかどうかというこの将棋、最後には康光さんの攻めが切れ、124手にて後手佐藤天彦さんの勝ち(/*゚ー゚)/オメデトウ!!!

 いや~、▲93銀成以下の大激戦が凄かった!あそこ以降、互いに時間に追われながらの将棋になりましたが、大激戦となったこの終盤は時間に追われての将棋じゃなくって、互いに1時間ぐらい残した状況でも見てみたいです(^^)。康光さんが清算に行った場面とか、時間さえあれば互いに何かひねり出せたかも知れませんね。それにしても、時間に追われての将棋は見ていてドキドキしますね(^^)。

(2015.12.29 追記)
 棋譜中継が更新されました。51手目のあの驚愕の▲93銀成、なんと成立していたそうです!!転載すると、「▲9三銀成に△同桂は、▲9五歩△7七銀成▲同桂△同馬▲9四歩△9五歩▲9三歩成△同香▲8五桂△8四銀▲9三桂成△同銀▲8四銀で寄っている。」うあああ、すっげえ、マジで寄ってるわ。じゃ、△93同桂にかえて△93同香だと?▲93銀成△同香▲95歩△77銀成▲同桂△同角成▲94歩△同香▲同香△93歩▲同香不成△同桂に…いやあ、先手陣がどう見ても2手空き以上あって美濃が遠いだけに、▲94歩でも間に合っちゃいそうです。仮に指し継ぐと…▲94歩△92歩▲93歩成△同歩▲94歩△92香▲93歩成△同香…攻めが切れません、なんか寄りそうな気がします。
 ▲93銀成は、囲い崩しの本かなにかで見た事はあるんですが、しかし先手9筋の歩が95にいるわけではないので、まさか成立するとは到底思えないし、検討するなんて言うはるか手前の段階で「ありえない手」として思考回路から抹殺されてました。寄せや詰め将棋の本だとこれが出てこないのは、そういう本だと自陣との速度問題を考慮しにくいからなのかも。次の一手問題にするにしても、これは寄っているかどうかが成否を分けるので、ちょっと問題になりにくい局面図である気がします。それにしても、歩が96にいたのに間に合っちゃたのは、度肝を抜かれました。先手の美濃が遠かったので成立したんですね。いや~、谷川さん全盛期の棋譜を見ると、まだ中盤だと思っていたところから、こういうとんでもない入り方からいきなり寄せに出て、これまたとんでもない長手数を寄せきってしまうものが出てきますが、▲93銀成以下寄せきっていたら康光さん格好良かったのにな~。▲93銀成が成立しそうだと見ぬいていただけに、時間に追われていたのが惜しかったです。。
 穴熊は、手をつけられ始めると長手数になるかもしれないけれど実は寄っていた、みたいな将棋を結構よく見る気がします。いや~、相手が穴熊の時は、諦めないで攻めダルマにすれば打開できるかもしれない、と肝に銘じておこう(^^)。(追記終わり)


 これで天彦さんは2度目のタイトル挑戦、さらに名人戦挑戦も現在最有力。羽生さんの4冠全防衛に加えて5冠挑戦、天彦さんの台頭、渡辺さんの竜王返り咲きと、今年も面白い1年でした。それではみなさん、良いお年を(*^-゚)/~Bye♪



NHK 次の一手名人戦

 ダメだ、年内に終わらせたい仕事が間に合いそうにありません(>_<)。。どうせ間に合わないなら、ちょっとだけNHK杯を見ちゃおうかな( ̄ー ̄)。おお、久保さんと郷田さんの対局で、「次の一手名人」をやってました!よ~し、自分も参加している気分でやってみるか!!…当たりません(゚ω゚*)。大山永世名人のふるさとである倉敷でやったからか、久保さんは三間飛車にいったそうで。いや~、久保さん、粋だなあ。

 それにしても、最後の郷田王将が寄せに行ったところはカッコよかったです!あんな入り方があるのか、さすが王将、魅せに行きました(^^)。現役のタイトルホルダー&A級となると、やっぱりすごいなあ。

第41期棋王戦挑戦者決定戦 第1局 佐藤天彦 vs 佐藤康光 (右四間飛車)

 予想はしてましたが、やっぱり12月は忙しかった(^^;)。A級順位戦で天彦さんに土がついたり、色んなことがありましたが、ぜんぜん見れてません(>_<)。そんな中、棋王戦は挑戦者決定戦に!2番勝負とはいえ、トーナメント制覇の康光さんは1勝すれば勝ち抜けでちょっと有利。それにしても、天彦さんはマジで凄い。今年はタイトル挑戦もあったし、そこで羽生さんをあと一歩まで追い詰めたし、土がついたとはいえ順位戦はいまだ単独トップだし、棋王戦でも挑戦者決定戦まで進んでるし。なんとなくですが、天彦さんは今後もタイトル戦にバンバン登場すると思うけど、康光さんはこれを逃すともうタイトル挑戦はない気がするので、今回は康光さんを応援したいなあ。

 さて、康光さんと天彦さんは、今期の棋王戦の挑戦者決定トーナメントでも一度当たっていて、その時は康光さんが勝ってます。これ、僕は見ていたはずなんですが思い出せず。コレクションしている棋譜を振り返ってみると(ゴソゴソ)…あああ、康光さんが後手で2筋の歩を25まで進めながら向かい飛車美濃に行って、玉を裸同然にされながら受け切ったあれか。全盛期康光さんを知らない僕にとっての康光さん像は、「序盤で異常な構想に行く」「囲いが崩されても玉がちょろちょろ動き回って全然捕まらない」という感じです。特に、康光さんの王様はうちの王様と全然違います(^^)。

20151221棋王41挑決1_佐藤天vs佐藤康10手 そして今日ですが…うおお、ひと月前の対戦時とまったく同じ出だし、いや~この辺の駆け引きとプライドのぶつかり合いが面白い!10手目盤面図は前回の両者の対戦と全く同じ形。いやあ、前回は2筋の歩の伸び切ったこの形から振り飛車美濃に行ったんだから、康光さんはやっぱり変態です(^^)。そりゃこんな形から振りに行くなんて、天彦さんじゃなくったって誰も考えないよなあ。というわけで今日は…

▲58金右△32銀▲68玉
 天彦さんから先に変化!天彦さん、向かい飛車を警戒しながらの駒組み。あんなの指すのは康光さんぐらいなので、天彦さんは研究できてないんだろうな( ̄ー ̄)。それにしても、皆さん天彦さんの角換わりや後手横歩を警戒して、すんなり天彦さんの得意形で指させてくれなくなってきましたね。この前の順位戦での深浦戦でも後手横歩を封じられたみたいですし。

△52金右▲48銀△43金
 天彦さんの手を見てから後手康光さんは居飛車選択、こちらも前回と変えてきました!

▲46歩△62銀▲47銀△54歩▲56銀△53銀
 いや~、僕が研究できている序盤の形なんてたかが知れていて、典型的なものならまだ何とかなるんですが、たとえば矢倉模様でもこういう形になると既に全然わかりません(&p゚ω゚*)。。しかし棋譜コメントによると、「この戦型では、先手は▲4六歩と突いていくことが多い」んだそうで。先手の角筋が止まってないから▲45歩として後手のハッチを強引にこじ開ける攻撃筋が出来るからかな?その攻撃筋ですぐに思い出すのは四間飛車ですが、どうなりますか。

▲36歩△42玉▲37桂△31玉
 あら?マジで先手は45に攻撃を集中させてきたぞ?!これはマジで右四間飛車じゃないかい?

20151221棋王41挑決1_佐藤天vs佐藤康27手▲48飛(27手目盤面図)
 天彦さん、マジで右四間飛車 キタ━━(゚∀゚)━━━!!!
う~ん、プロの右四間を見るのは北浜さん以来の気がします。ネット将棋をずいぶん指していた頃、右四間飛車のスペシャリストさんがいて、ずいぶん研究させられました。色んな定跡本を読んだんですが、最終的には羽生さんの書いた『変わりゆく現代将棋』という本が決め手。この本は矢倉急戦の研究書で、定跡手順も見事なんですが、狙い筋とか考え方の記述が秀逸で、これで急戦矢倉に対する極度の苦手意識が消えました(^^)。で、対右四間でいえば、とにかく早く△74歩と右銀を繰り出して相手の角頭を狙いに行くのがコツなんですよね。しかしそこからはかなりの終盤力が要求される展開で、反撃に成功したはずなのに勝ちきれなかったり(^^;)。

△22角▲78玉
 おお、康光さんは△74歩ではなく角を引きました!これは▲45歩を警戒したか、まずは受けから考えた感じでしょうか。なるほど~、『変わりゆく~』は羽生さんが著者だし、ああいう斬り合いに踏み込んでの1手差勝負みたいな順に踏み込むのは羽生さんの棋風というだけかもしれないな(^^)。対する天彦さんはここで玉に手をつけました。プロっぽい間合いです(^^)。

△33銀
 ええええ、△33銀(゚□゚;ノ)ノマジカ?!ついに出ました、康光さんの変態将棋!!いや~、桂の当たりを避けつつ角の成り込みを手損にさせる角引きだと思っていたので、この銀上がりは僕には理解不能です。しかも、こんな風にしたら、どうやって玉を囲うんだ?

▲28飛
 いや~、僕なら絶対に▲45歩から開戦してましたが、なんと天彦さんはここで飛車を2筋に戻しました。つまり、4筋攻めは成立しないという事なんでしょうね。こういう所で「さすがに行けるだろ、行っちゃえ!」と感覚で行っちゃうのが僕の駄目な所なんだな。

 しかし、今も続いているこの序盤の駒組み合戦、めっちゃくちゃ面白いです。特に後手の感覚が面白い。これでバランスが取れていると見ているとしたら、感覚が異次元です。どうすればそう思えるのかを考えてみたんですが…僕は教科書に書いてるような玉形とか駒の働きとか、漠とした所で考えているだけだから、そうなっちゃうのかも。そうじゃなくて、具体的な読みを入れると実はこれで大丈夫、という事なのかも。なんと言っても、プロ棋士の中でも読みの深さに定評のある人ですからね。

 さて、この後どうなりますでしょうか。…ああ、もう仕事に行かなきゃ(- -*)。

◆◆◆◆◆
 帰ってきました!!えっと…180手近くまで行ったのか(゚ロ゚ノ)ノ!!いや~、大激戦だったみたいです。。棋譜を見ると…う~ん、康光さんは駒組みがボロボロ、天彦さんは万全で戦いが始まってました。いや~、ここから100手近く続いたのか、一体何が起きたんだ??…どうも、康光さんの玉形が悪く桂損までする展開だったものだから、天彦さんは徹底して争わないで垂れ歩の連続…みたいな事をやっていたら、いつの間にか追いつかれた模様(^^;)。そして互いに入玉模様になり、1分将棋になり、玉捌きや詰め将棋みたいな難解な局面の連続。いや~、こんなの1分将棋で良く見えるなあ…。結果、最後は天彦さんが凄い銀打ちを決めて、179手にて先手佐藤天彦さんの勝ち!

 いや~、終盤はものすごい戦いでした!これ、棋譜中継を信用するなら、何回も逆転があったみたいです。これ、リアルタイムで見ていたら面白かっただろうなあ。さてこれで天彦さんが1本先取、これで決着は第2局に持ち越し。今季好調の康光さんに連勝するのはきついと思いますが、天彦さんなら勝ちそうな気がします。


第29期竜王戦 1組ランキング戦 羽生善治 vs 久保利明 (ゴキゲン中飛車)

 もう少し早く生まれてたら、リアルタイムでジミヘンや長嶋茂雄や広沢寅蔵が見れたんじゃないかと思う事があるんですが、しかし今生まれてなかったらリアルタイムで羽生さんの凄さを見れなかったんだしな…な~んて思う事があります。今年もタイトル戦で凄い勝ち方を何度も見せられたし(佐藤天彦戦は凄かった^^)、この前の王将リーグのラストで森内さん、渡辺さん、久保さんを3連続で撃破して逆転で挑戦を決めた将棋も凄かった!観てる方なんて無責任なもので、4冠をキープしたまま5冠目にトライに行っている怪物じみた活躍なのに、「竜王戦頑張って永世竜王&永世7冠になってくれ~」なんて思っちゃいます。で、今日は竜王戦1組で、羽生vs久保戦。久保さん、あと一歩で挑戦というところで羽生さんに差されたリベンジなるか?!

20151215竜王29TN_羽生vs久保_ゴキ中72手 将棋は、後手久保さんのゴキゲン中飛車に対して、羽生さんは超速37銀からの2枚銀。いや~、ゴキ中には穴熊の僕にとって、2枚銀は恐ろしすぎる戦法。よくもちょっと間違えたら即死みたいな将棋を指せるもんだな、と感心してしまいます。しかし、この2枚銀で中飛車にやられてしまう羽生さんを何度か見た事があるので、「頼むから竜王戦だけはこんなデンジャラスな戦法はやめて、もっと大事に戦ってくれ~」とも思っちゃう(^^)。72手目盤面図は、激しいつばぜり合いをしながら久保さんが玉をがっちり囲い(美濃から△63銀と出たこのトランスフォームには驚いた!これは薄かった玉頭攻めも見せての事だったのかも)、玉の堅さでは大きく劣る先手羽生さんが、なんとか先に暴れて後手を潰せるかどうかという所。いや~、ここまでの久保さんの、相手の手を消しまくりながら不満なしの駒組みまで持っていく指し回しは見事でした。そして…

▲34銀△24角▲22歩△同金
 おおお、ついに羽生さん、技をかけに行ったあああ!!!しかし▲22歩?いや~、▲22歩から金の位置をずらしに行く手はちょくちょく見ますが、この場合はどういう効果があるんだ?ちょっとすぐには分からないぞ…

▲53歩△同飛
 飛車を浮かせて…

▲25歩
 えええ?自分の飛車先を重くする歩を敢えて張るのか?!いや、これはアマっぽい指し方というか…いやいやいやなるほど、角の引き場所を消しておく▲22歩だったのか!!

20151215竜王29TN_羽生vs久保_ゴキ中92手△13角▲15歩△32金▲14歩△22角▲24歩△同歩▲13歩成△同香▲14歩△同香▲同香△13歩(92手目盤面図)

 羽生さん、端攻めだああああ!!!しかしこれ…破れてないんじゃないのかい?いったいどうやって手を繋ぐんだ?

▲35香△33歩▲45桂△54飛▲23歩△31角
 うおお、▲35香で攻め駒を足しに行きました。33に火力を集めての強引な数の攻め!!

▲33桂成△同桂▲同銀成△同金▲同香成
 これでこの戦場は羽生さんが一応成り香を作ってものにしましたが…

△14歩
 これで後手に香を拾われ、ほぼ香損。

20151215竜王29TN_羽生vs久保_ゴキ中108手▲22歩成△53角▲43成香△17角成(108手目盤面図)
 そんでもって、先手は成り駒を増やし、後手は馬を作りました。先手は成り駒2枚が主張で、しかし玉が薄くほぼ香損、飛車角も使いにくい感じ。後手は戦場は制されたものの、駒得の上に角が捌け玉も堅いのが主張。羽生さんはよくもまああんな技をかけられるもんだと感心しましたが、しかし一段落ついた108手目盤面図の形勢は、どちらが良いんでしょうね。プロみたいに華麗な凌ぎが出来ずにしょっちゅう頓死すアマチュアとしては、この玉形の先手はちょっと持ちたくないと思ってしまいます(^^;)。

 ここからたたき合いになったんですが、そうなるとやっぱり後手玉は遠く、先手玉はきつかった。結果、148手にて後手久保さんの勝ち!

 今日の羽生さんの攻め、数の攻めで崩しに行ったのだから1枚ぐらいの駒損は当たり前、香損程度で戦場をものに出来たのであれば、成功の部類に入るんじゃないかと。しかし成功した結果の盤面図の形勢がどうだったのか。急戦に行くならここまで囲われる前に火花をあげられなかったらそれ自体が失敗なのかも。だとしたら、玉をがっちり囲い切るまで2枚銀の攻撃を凌ぎ切った久保さんが素晴らしかったのか、あるいはゴキ中相手の2枚銀自体がそもそもあまり良い構想じゃないのかも。急戦って、考え方自体が難しいですね(^^)。
 これで羽生さんは竜王戦1組ランキング戦は一回戦敗退、終わったわけではありませんが5位決定戦へと回り、降級もあり得る苦しい展開に。一方の久保さんは、王将挑戦にあと一歩のところで羽生さんに蹴落とされたリベンジを果たしました!!竜王戦、いきなり波乱の幕開けです。


第65回NHK杯 戸辺誠 vs 行方尚史 (角交換振り飛車)

 仕事しながら「ながら観」していたもので、ちゃんと見れなかった(^^;)。今日の将棋で特に興味があったのは、戸辺さんの強さです。プロですから、僕みたいなアマからしたら化け物じみて強いのは当然ですが、プロの中ではどれぐらいなのか、という所っす。僕が将棋を始めた頃、戸辺さんは若手の超有望株とされてたのに、B2からなかなか上がれません。その戸辺さんがA級相手にどれぐらい通用するのか、ここに興味がありました。B2以下の棋士さんの棋譜はなかなか追えていないもので、戸辺さんの棋譜をあまり見た事がないのです(^^;)。結果は…行方さんの圧勝。いや~、余裕で相手の攻めを切らして、切れた途端に穴熊を簡単に寄せてしまいました。すげえ。A級って伊達じゃない、下手に技をかけに行っても全部弾き返されます。

 順位戦って、各クラスとも年に数人しか昇級できないし、B2以下になると総当たりではないので、運も出てくると思ってました。タイトル戦に何度も登場し、羽生さんをあと一歩まで追い詰めた中村太地さんがC1だったりしますし。そんなわけで、運の部分もたしかにあると思いますが、しかし今日の将棋を見るに、A級に何期も留まる棋士ってそういう次元じゃないんじゃないかという気がしてしまいました。もちろん、今日の将棋ひとつ見たぐらいで結論なんて出せませんが、それにしても今期NHK杯も、名人と竜王が負けて波乱かと思いきや、A級棋士がどっさり残ってますし(^^;)。いや~、A級は恐ろしいっす。。


郷田さんは終盤の受けでウッカリしやすい?

 今週は郷田さんの将棋を見る機会が多かったです。NHK杯、叡王戦の山崎さんとの3番勝負などなど。どちらも郷田さんの序中盤が驚異の構想力に読みの深さ、なんでこんな凄い人がタイトル5期なんだ…と思ったら、叡王戦は終盤で緩手を指してしまって逆転負け。まああれは「後手はここからどうやって良くするんだ」と思いながら観ていたので、A級のタイトルホルダーでも難解だったのかと思えて、少しほっとしたのですが(^^)。その時に思い出したのは、去年の対渡辺戦の王将戦の終盤での受け損ないとか、NHK杯で羽生さんに食らった逆転負けとか。もっと鮮烈に思い出したのは、2005年の日本シリーズ決勝での対藤井戦。なんと55手での決着でした。

20051211日シリ_藤井vs郷田_藤井システム47手 47手目盤面図、1筋の歩を突き越していない所、先手がかなり早く右桂を跳ねだした所…面白いポイントが色々ありますが、それでも左辺は藤井システム相手に穴熊を狙いに行くと起こりがちになる形じゃないかと思います。攻めに手がついたという意味で既に先手がやや良い気はしますが、龍の横利きを通された後手郷田さんはここで…

△53銀
 いや~、これは受けているようで受けになってないんじゃなかろうか。これで先手勝勢になってしまったと思うのですが、ここでの寄せ方、分かりますでしょうか。何級ぐらいからこの寄せが見えるかは興味あるなあ。

▲33角
 ですよね。これさえ食わなければ後手も粘れたのかも知れませんが、これはもう受からないんじゃないでしょうか。以下、進めますと…

△同桂▲同桂成△同玉▲25桂△43玉▲52銀
 まで、先手藤井さんの勝ち。△43玉に代えて△24玉と出ても、▲15銀△25玉で腹銀の形、そこで龍をバサッと切って金を補充したら逃れる術ナシ。

 ▲33角は、道場3段程度の僕ですら、ひと目ここから考えたい手です。たぶん、僕と同じぐらいの棋力の人なら、みんなそうなんじゃないかと。じゃあどうやって受けるかというと…露骨に受けるなら△43銀、相手に選択肢を増やして紛らすなら△52歩で龍を呼び込めたら弾いて、▲41銀と足されたらそこから粘りに行ってどうか、みたいな感じでしょうか。考えれば、もっといい受けも見つかるかもしれません。

 受けのウッカリなんてアマなら毎日、プロだってしょっちゅうかと思うんですが、しかしA級13期の現役タイトルホルダークラスで比較すると、郷田さんは終盤の受けに若干弱点があるのかも知れません。そのクラスというと?…羽生さん、渡辺さん、康光さんあたりかな…ああなるほど、超怪物クラスよりちょっと下が、A級13期タイトル5期というわけか、ちょっと納得。

 渡辺さんとの急戦矢倉、羽生さんとの相掛かりなどなど、僕的には、郷田さんの将棋では、速い段階で構想力勝負になったものの中に印象深いものが多いです。1月から始まる羽生さんとの王将戦では、中盤の入り口までに構想勝負になるような将棋になると、面白い王将戦になるかも。郷田さんにも勝って欲しいし、羽生さんの5冠も見たいっす。それにしても、竜王戦から王将戦までが毎年長いなあ。


第74期順位戦A級 屋敷伸之 vs 久保利明 (△四間飛車穴熊)

 A級も6回戦に突入、一戦一戦が重要になってきました。昨日は屋敷さんと久保さんの対局、名人挑戦レースという意味では、屋敷さんは生き残りをかけた重要な一戦。戦型は…おお、久保さん、角道を止めた四間飛車から穴熊に行ったああ!!いや~、久保さんは色んな振り飛車をやってくれるので、見ていてすごく勉強になります。対する屋敷さんは…これも穴熊!!相穴熊の対抗形です(^^)。

20151208順位74A_屋敷vs久保89手 将棋は中盤のねじり合いで久保さんがうまく指して、久保さんリードかに見えました。穴熊戦で、角を切って蓋をしている銀を抜かれると、きつくなる事が多いんですよね(^^;)。屋敷さんはそれを喰らってしまい、駒得ながらも守りの要の金駒がいなくなって守りにくい形。そこから将棋は中終盤の89手目盤面図へ。ここからが凄かった!

△67歩▲69金△68歩成▲同金
 後手の久保さん、多少の駒損覚悟で強引にこじ開けに行くかと思いきや、攻めの拠点の銀を犠牲にして歩で手を作りに行きました。でも、これは先手守り切れたような気も…

△56歩▲同角△66金
 あああ、これで龍角両取りか!!いや~、これは飛車と龍の交換になりそうだな…

▲65角△57金▲同金
 これでこの戦場は清算。後手久保さんから見れば、銀をぬかれ、その前は角銀交換で駒損なので、実質的には角損です。しかし、屋敷さんの穴熊は金銀を剥がされ、残った金もお散歩に出かけてしまってます(^^)。そして…

20151208順位74A_屋敷vs久保100手△28飛(100手目盤面図)▲38桂
 決まりました、王手角取り!!いや~、桂合いで角取りだけはかろうじて凌げるとしても、先手陣は裸同然。一方の後手陣は相当分厚いしこの飛車が色んな駒を拾う事は確定。角損になりますが、その後の玉の堅さと手番、駒の働きがどちらが良いかという形勢判断ですね。これが出来ているから、歩を使った細かい攻めに行ったのか。いやあ、「捌けた時に自分が有利なら駒損上等で捌きに行く」という感覚は、棋風というか、振り飛車的な感覚というか、すごく勉強になりました。久保さん、すげえ。これは久保さん良しだと思ったのですが…

△29飛成▲59歩△25歩
 屋敷さん、2枚の角の利きに合駒を連発して凌ぎます。しかし最後の△25歩はさすがにキツい。59の歩の紐を外してしまったら龍が大暴れ、こうなったらおしまいですが、しかし角を15や37に逃げたら歩で叩かれるだけ。48だと?…ああ、香を拾われた後に、底歩を打ってしまった5筋か角頭の6筋に香を打ち込まれるのか。これは久保さん優勢かな…

▲71角成△同金▲58金打△69銀
 というわけで、先手屋敷さんは角を切って後手陣を少し薄くしてから、5筋に防波堤を築いて守りに行きます。しかしここが決め所と見たか、久保さんは△69銀で金底の歩の形を崩して一気に潰しに。しかし…

▲51飛△58銀成▲同金
 うあああ、屋敷さん、ここで手抜いて攻めに行ったああ!!いや~なるほど、久保さんが金を抜いても金が下がって金底の歩の形を維持できるから、このタイミングで飛車打ちが入るのか。しかもこの飛車、自陣の戦場の5筋に通っているから攻防になるのか。いや~、これは大きく挽回する一手になるんじゃないか…
 しかし、5筋が破れれば後手よしでしょうから、久保さんからすれば△58銀成▲同金の交換も入るわけですね。

△61金打▲57飛成△19龍
 おっと久保さん、ここで先手の飛車を追い返し、香の補充へ。ちょっと局面が落ち着いてきたかな?これは屋敷さん、見事な凌ぎだったのでは。

20151208順位74A_屋敷vs久保116手▲63銀△44角(116手目盤面図)▲55銀△53香▲54銀打△55角▲同龍△64銀打
 ぜんぜん落ち着いてませんでした、激しい(ノ゚∀゚)ノ!!またしても壮絶、久保さんは角を手放してからの龍角両取り、本日2回目です。久保さんは大駒切ってから急所に指すみたいな筋が好きなんですね、きっと(^^)。しかし、屋敷さんも屋敷さんで、居飛車なのにがっちり押さえこみに行かないというか、敢えて複雑な模様をはりに行くというか…だって、▲63銀なんて難解な手に行かなくても、自然に▲52銀から入って龍を敵陣に押し込めば、両取りなんてかけさせないで済みそうだし、龍も抜かれないで済みそうだし、居飛車に何の不満もない気がするんですが。…これも棋風というやつなんでしょうか。剛腕じゃないと、ちょっと指せそうにない順だなあ。。

▲62歩
 ここまでもすごい中終盤でしたが、屋敷さんのこの一手が、この将棋を見ていて一番すごいと思った手でした。両取りうけるべからずとは言いますが、受けなかった後に敵の攻め駒が抜けるなら分かるのですが、受けないと龍がタダで抜かれる状態で、先に利かせるのか…。いやあ、これは凄い手でした。でもって…

△55銀▲61歩成△同金
 まあ、久保さんは当然ながら龍を抜いてから受けます。当然ですよね、当然…

▲72金△66桂
 △66桂は詰めろ…ではないのか、持ち込まが足りない。あれ、しかし金が質駒になってるから、実質的にはほとんど詰めろみたいなもんじゃないか。これは久保さん勝ったか…

▲73金△同桂▲82銀
 え?屋敷さん寄せに行ったぞ…うおお、これ、必至じゃないか?!屋敷さん、寄せたああああ!!!!久保さん、ここから粘るも23手詰め、147手にて先手屋敷さんの勝ち!

 いやあ、穴熊を完全にはがされて飛車を打ち込まれた先手が勝つなんて、アマチュアからすれば神がかり。100手目盤面図から先手が勝つなんて、ちょっと信じられません。また、終盤の115手目▲63銀、あれは寄り筋が見えたうえでの打ち込み…なんでしょうね、きっと。そうじゃなかったらわざわざあんな複雑で、しかも自陣が思いっきり危険になるような局面に踏み込まないだろうし、しかも相手が見えてなくって龍を抜きに来たら速度的に間に合うようになるなんて。いや~、ちょっとすごい踏み込みでした。

 屋敷さんの強さは、終盤での競り合いで相手より数手深く見えているところなんじゃないかと。しかも、A級棋士相手にこれですから、一手差将棋の終盤計算力は羽生さんクラスなのかもしれません。「間違えたら許しませんよ」というのとはちょっと違くて、速度勝負になった終盤での読みの深さが凄まじい気がします。この将棋もそうですが、終盤までは大体相手にリードされる展開になるも、終盤で速度勝負に持ち込んだらもう分からない、みたいな強さ。だいたい、いやあ、これはあこがれる終盤力ですが…真似したくても真似できる所じゃありませんね、こういう地力の部分は(^^)。屋敷さんはこれで2敗のままキープ、名人挑戦に望みをつなぎました。面白かった!!





第65期王将リーグプレーオフ 久保利明 vs 羽生善治 (先手中飛車)

 森内さんと渡辺さんという超難敵を撃破し、プレーオフに漕ぎつけた羽生4冠。今日の久保戦で、郷田王将への挑戦者が決まります。今期王将リーグは名勝負連発ですが、この将棋、戦慄でした。すげえ。いや~、言うまい言うまいと思ってたんですが、竜王戦より王将リーグの方が面白い(^^;)。。

20151204王将65PO_久保vs羽生_先手中飛車36手 先手は久保さん。藤井システム来い!…と思ったんですが、初手▲56歩からの中飛車(^^;)。面白かったのは駒組みで、先手中飛車穴熊に対し、後手羽生さんは対抗形の銀冠!いや~、羽生さんって、中飛車相手には穴熊を指さずに急戦的な戦い方をすることが多いですが(後手ゴキ中に対しても超速37銀が多い気がします)、今日は銀冠からどうするのか。盤面図は先手振り飛車穴熊が1筋の位を取り、既に5筋で開戦した所。後手居飛車はようやく銀冠が完成した所ですが…

▲54歩△同銀▲48金左
 先手は5筋の飛車先の歩を交換してから陣形を整備。ここで後手は…

△14歩▲同歩△同銀
 おおお、早くも1筋から反発だあああ(・ω・ )ノ!!!
いや~、穴熊を姿焼きにしてしまおうというのか。。なるほど銀冠にした以上は先着しないと勝負になりませんが、しかし冠を崩して1筋から行くのか…こんなの真似できません(^^;)。。

▲55銀△同銀▲同飛△54銀▲58飛
 久保さんは中央の戦場で仕掛けますが、ここで手番は後手羽生さんに。

△86歩▲同歩
 飛車先の歩を切っておいて…

△16歩
 徹底して端攻めだああああ!!!
もし端が破れるとすると、穴熊はむしろ手数はかかるわ守りの金銀がむしろ玉の退路を阻むわで良いことなしですからね。決まったら恐怖ですが、飛車が回れているわけでも桂香を拾えているわけでもないので、駒が足りていないよう見えるのですが…

▲45歩△同銀▲42歩△同角▲52銀
 このあたりはさすがトッププロ同士の戦い!互いに手数を計算しながら攻めと手抜きを選択していると思うのですが、その基準は先手玉へのアプローチのスピード。受け続けたら一方的に殴られる可能性があるので、久保さんは中央から反発。しかもその迫り方が実に見事。▲42歩は手筋ですが、しかしこの自玉のスピードの兼ね合いの局面ではちょっと指せないなあ…。これを指せる裏付けがちゃん計算できているところが凄いです。というところで、手番がまた後手に回り…

20151204王将65PO_久保vs羽生_先手中飛車56手△25銀(56手目盤面図)
 うああマジか、羽生さん、中央を受けずに銀冠の銀を攻めに使ったあああ〔 ゚д゚〕!!いや~、いくらなんでもこれは真似できないわ。これ、間に合うかどうかの問題もあるし、仮に間に合ったとしても、その後に寄せられる見込みは?5筋には先手の飛車が威張ってるぞ…

▲43銀成△同金▲55金△57歩▲同飛△56歩▲47飛
 先手の中央突破は連打の歩で防ぐも、銀冠で一番イヤな角のラインが玉に入っている展開ですが…

△33角▲45金
 角で防ぐも、先手の波状攻撃!!かと思いきや…

△17銀
 うああああ、羽生さん、タダの金取りを手抜いて寄せに行ったあああ!!!攻めの速度はもちろんですが、この金を取っておかないと後手陣は崩壊だと思うんですが…う~ん、駒が当たってからずっと続いているこの殴り合い、凄まじいです。。

▲44金△18銀成▲同玉△17香
 それを手抜いて更に攻めた久保さんの金の攻めを、さらに手抜いて上部から襲い掛かる羽生さん。そして玉の頭にビシッと香打ち.!鬼のような猛襲ですが、これもう後手が良くないかい?この香、桂でとっても銀でとっても香車が飛んできて、アタマを銀で抑えられて地獄だと思うんですが…。

 というわけで、以下久保さんが40手を超す驚異の粘りを見せたのですが、ほとんど防戦一方。羽生さんがとんでもない襲い掛かり方を見せる攻めダルマと化し、114手にて後手羽生さんの勝ち!郷田王将への挑戦権を勝ち取りました!


 とんでもないのは振り飛車穴熊を銀冠からの端攻めで先制してあっという間に料理してしまったところ。まさに光速、中盤かと思っていたらいきなり終盤…どころではなく、駒組みが終わった瞬間から、後手はいきなり寄せに入ってます。中央の折衝は全部いなしちゃうし。構想が異常、手数計算は完璧、寄せに至っては神業、20手超の詰め将棋で一枚も余さずにタコ殴り。。あまりに凄すぎて、ぜんぜん自分の将棋上達の参考になりません(^^;)。。

 一方的な将棋になりましたが、久保さんにどこか悪い所があったでしょうか?しいて言えば、穴熊なのに1筋を伸ばしてしまったところ?しかし、それだけでここまで完璧に咎められてしまうのか、プロ将棋って怖い。。この将棋、名局というのとは少し違うのかもしれませんが、凄さでいえば今年一番かも。穴熊瞬殺という、とんでもない将棋でした。ちょっといまもゾクゾク来てます。すげえ。


第28期竜王戦 第5局 渡辺明 vs 糸谷哲郎 (相掛かり)

 渡辺さん3勝1敗で迎えた竜王戦第5局。糸谷さんは負けたら竜王失冠。この竜王戦に限って言えば、糸谷さんは序盤でいいように揺さぶられている気がします。誘いに乗ると自分の得意形が指せない。拒否すれば渡辺さんの研究が爆発しそうな戦型に入る。地獄の2択ですね。そして今日は横歩取り…かと思いきや、後手糸谷さんが横歩を拒否して相掛かり、これは糸谷さんから研究に引きずり込んだ!いや~、後手番横歩は想定できる事でしたので、そこから相手の研究を外す相掛かりとは、糸谷さん用意してきましたね( ̄ー ̄)。第5局にして、はじめて糸谷さんが自分の組み手に…

20151202竜王28-5_渡辺vs糸谷_相掛19手 と思ったら、先手渡辺さん、飛車を6段目に引いた!▲26飛型相掛かりだああ!!
いや~、結局渡辺さんの組み手か(^^;)。それにしても▲26飛型のひねり飛車模様の相掛かりか、これは昔に『羽生の頭脳』でざっと読んだ事があるだけだぞ。あの本、たしかほとんど▲26飛型相掛かりの説明だった気がしますちゃんと読んでないけど。。▲96歩型とか▲16歩型とか、相掛かり腰掛け銀とか、色々あるんですよね。渡辺さんとしては、「世代的にも、この形の相掛かりの知識は俺の世代の方が上だろうし、あなたはこういう今はあまり指されない形は研究してないでしょう」という事でしょうか。この竜王戦、序盤の駆け引きがメチャクチャ面白いっす(^^)。さて、19手目盤面図以降は…

△72銀▲38銀△64歩▲15歩△63銀▲36歩
 途中までは、先手が1筋の位を取って、▲36歩から右桂の活用を狙う感じ。後手は腰掛け銀から、もしかしたら76の歩を狙いに来るのかな?角交換を見据えながら指さないといけないので、すごく勉強になるな…と思ったら、ここで糸谷さんがまたしても序盤での長考。いやあ、またしても力戦形にするつもりなのか…

△54歩
 うああ、糸谷さん△5筋の歩を伸ばした!!角交換を見据えながらですので、このまま角交換すると後手まずい。という事は、これは第4局に続いて力戦調の出だしから中飛車か?

▲37銀△55歩▲46銀△52飛
 中飛車警戒というわけで、渡辺さんは急きょ超速37銀気味に銀を伸ばして中央を警戒しつつ角頭狙い、糸谷さんは…中飛車だああ!!!

 以降、急戦のまま行くか持久戦模様になるか、玉の囲いと仕掛けを見据えながらの駒組みが続いて1日目終了。良し悪しは僕には分かりませんが、玉の囲いと攻めの拠点のバランスでは、パッと見先手渡辺さんの方が良さそうです。後手は居玉のまま、どうやって玉を囲うのかが素人には分かりません。金が左右に開いちゃってるし…これ、いくらプロだからと言ってまとめることが出来るのか?これで戦えるといわれても、にわかには信じがたいです。

 そして2日目。やはり駒組みの差は、アマが見る以上にプロでは大きいようで、夕方までは先手渡辺さんの一方的な攻め。こうなると、またしても糸谷さんが無理な紛れを求めて死期を早める展開になるかな、今日も4時か5時には終わるかな…と思いきや、糸谷さんは時間を使って必死の受けを考えます。そして、これが絶品!いや~、金開きで受けた形が生きてくるとは思いませんでした。また、あんなところに角を打って受けるてはまったく見えませんでした。そして、終盤は渡辺さんが糸谷さんの入玉を防げるかどうかというスリリングな展開に!う~ん、後手が居玉からここまで粘れるとは思ってませんでした。糸谷さんって、終盤は攻めだけでなく、受けも凄いんですよね。

20151202竜王28-5_渡辺vs糸谷_相掛88手 88手目盤面図は後手糸谷さんが入玉を狙いにいった局面。渡辺さんに序盤から時間を削られた糸谷さんは、時間も切迫しています。

▲26金△25銀▲16桂△同銀▲同金
 渡辺さんは金ベチャで入玉を防ぎに行きますが、糸谷さんは銀を使って、銀桂交換でこれを凌ぎました。いや~、入玉将棋って、独特の緊張感がありますよね(^^)。先手の金を1筋に寄せた事で、後手は△35玉のルートが出来たぞ!

△72飛▲同龍△35玉
 おお、いきなり入玉に行かず、まずは働きそうにない飛車を馬と交換してから入るのか!持将棋になった時の点数を考えている?いや~、入玉できるかできないかという時は、僕はとにかく入玉を優先してしまいますが、その後のことも考えないと駄目ですよね、冷静に考えれば。糸谷さんは終盤で熱くならないところが凄いな…。

▲27飛△46玉
 ここから先手がどうやって入玉を防ぐか、これはメッチャクチャ興味ありました。なにせ、入玉を防ぐのがヘタクソなもので(^^;ゞイヤァ。渡辺さんは▲27飛から入りましたが、王手から入って金を補充できる▲25飛△46玉▲23飛成ではなぜ駄目なのか。…これを考えている間に、ガシガシ指し手が進んでしまって間に合わず(^^;)。きっと、追う手ではまずいんでしょうね。取りあえず、そういう事にしておこう。

20151202竜王28-5_渡辺vs糸谷_相掛99手▲42龍(99手目盤面図)△35桂▲23飛成△37玉
 いやあ、△35桂という受けがすげえ…。これで先手は飛車を逃げつつ金を補充、2筋に利きは通しましたが、後手に2筋の深い所に利きを作られたぞ。これ、寄せられるのか?この時、去年のタイトル戦で羽生さんが太地さんの1段目まで来た玉を押し返した将棋を思い出してました。

▲53龍引△27歩▲58金
 入玉を防ぐのがクソ下手な僕は、とにかく先手がどう寄せに行くのかが面白いです。▲58金のところは、代えて▲18金と打って、以下▲17金引~▲27金寄と考えていたんですが、それだと今度は中央に入られるという事かな?いや~、検討したいんですが、秒読みで進行が速くてついていけない(^^;)。この追われる感じ、アメフトやサッカーのロスタイムみたいでめっちゃくちゃドキドキします(^^)。それにしても、後手が放った△35桂の利きが素晴らしい!絶妙手じゃないか、あれ…。

△28玉▲47金△同桂成▲59龍
 あ、あら?入玉されちゃってますが、これ、本当に防げるのか?…いや、そういう事じゃないのか、▲58金は後手の大駒を抜いておいて、万一寄せられずに持将棋になった時でも点数勝ちできるようにという計算か!いや~これは渡辺さんしたたか、なるほど4000万円を超す賞金が目前ですから、勝ちの方法にはこだわらないという事でしょうか。

△29角▲18銀△37歩成▲29銀△同成桂▲17金△19玉▲27金△38金▲37金△同成桂
 感動的な終盤、これはすごい…渡辺さんは思いっきり寄せに行き、糸谷さんは本気で防ぎます。それにしても△38金は素晴らしい受けでした。もう点数的には糸谷さんは負け確定。しかし負けるにしても寄せさせないという根性を感じました。△38金は、はじめて糸谷さんをちょっと好きになった一手でした(^^)。

▲88玉△74歩▲82角△75歩▲同歩△投了
 ここで渡辺さんは寄せをあきらめ、入玉を目指します。入玉をめぐる攻防戦で消耗しつくした糸谷陣、渡辺玉の上部を押さえる駒が残ってません。△74歩以下は、入玉を果たしながらも点数の足りない糸谷さんの、投げるに投げられない心境をあらわしているというか、気持ちを整理するまでの情感のこもった棋譜のように見えます。しかし渡辺さんは無慈悲に糸谷さんの駒を外し、糸谷さんは遂に投了。126手にて先手渡辺さんの勝ち、渡辺さん竜王返り咲きです!!


 第5局は、とにかく入玉を巡る攻防となった終盤がめっちゃくちゃ面白かったです!攻める渡辺さんも受ける糸谷さんも見事!しかし、寄せを狙いつつ、相手の大駒を1枚抜いておいて点数的に安全圏を作ってから寄せに行く渡辺さんの冷徹さは素晴らしかった。僕だったらむきになって寄せに行く事しか考えられないわ(^^;)。

 この竜王戦全体の傾向としては、渡辺さんの対糸谷対策がものの見事にハマったように見えました。シンプルな所でいえば、序盤での挑発と時間攻め対策。このふたつが別の事ではない所も、単純そうに見えて、実は糸谷さんには相当にキツい作戦だったのかも。序盤で定跡から外そうとすれば、それが成立するかどうかを考える必要があるので時間を削られるわけですし…。この二人の比較でいえば、特に序盤に差があったのかも。実際に序盤力に差があったかどうかは僕にはわかりませんが、少なくとも両者に序盤研究に差があるという認識があったのではないでしょうか。定跡通りに進んで現代将棋の課題局面まで進行すれば、渡辺さんの研究が待っていそう。かといって定跡を外しに行けば、それはプロ将棋界全体が研究し精査して、現状最善手と思われている手を指すことが出来ない。得意の時間攻めを封じられ、苦手の序盤でつけ込まれ、力戦調に踏み込むもまとめにくそうな形になってしまい…第2局以降は、連続で同じ光景を見ているような竜王戦でした。糸谷さんは間違いなく強豪棋士ですが、しかしこの竜王戦で弱点が露呈してしまったように見えます。序盤研究に向け目なく、中終盤力も糸谷さんに引けを取らないタイプの棋士相手だと、もう序盤で時間を使ってくれずにガシガシ指されてしまう事が続くかもしれません。糸谷さんは竜王を取った後に「トッププロとして序盤研究もちゃんとしようと思ったが、しばらくやって自分に合わないと思ってやめた」と言ってましたが、それで勝てるほどトッププロは甘いものではないのかも知れません。ここで自分のを変えに行けるかどうかが、糸谷さんが超一流になれるかどうかの分かれ目になるかもしれません。糸谷さんは相変わらず離席などの問題があり、主催の読売新聞にすら苦言を呈されてますが、それでも去年に比べれば、そうとう改善されてきたと思います。マナーも将棋も、結局は人間の業。職業を「金もうけの手段」として捉えているだろうは人には、「勝てばいい、番外戦術も上等」なんていう人もいますが、そういう考えで居続ける以上は、人間社会なんて居心地の悪い所であり続ける気がします。竜王戦開催時に起きたテロも、トルコとロシアのいざこざも、そういう連鎖でしょうし(あら、なんの話だ?)。そうではなく、職業を「人間が分業によって効率的に助け合うためのシステム」と捉え、その中で社会と自分を両立していく事が、大人になっても続けるべき人間の業だと思います。色々あるでしょうが、この敗戦をバネにして糸谷さんがんばれ!!

 さて、自信のキャリアの中でも初というほどの大スランプだった渡辺さんでしたが、竜王戦だけはきっちり勝ちました。この1~2か月ほど、竜王戦以外はほとんど敗けなんじゃないかなあ…なんという効率よい勝ち星の集め方(^^;)。。野球では「足にはスランプがない」なんて言われますが、将棋では序盤研究にはスランプがないという事なのかも。それにしても、渡辺さんは竜王が似合いますね。さて、渡辺さんはこれで研究を温存する必要がなくなりました。なんとか残りの順位戦も頑張って、名人挑戦を目指してほしいと思います!


プロフィール

ShougiX

Author:ShougiX
駒の動かし方を知っていた程度の初心者です。せいぜい1日1時間ぐらいしか将棋に時間を割けない社会人が、ガンバって1年で初段になる事が目標です!
(*追記)10ヶ月ちょいで初段到達!!ただいま、居飛車側から各戦型に対応できるよう奮闘中(汗)。。

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