第28期竜王戦決勝トーナメント 稲葉陽 vs 豊島将之 (角換わり相腰掛け銀)

 竜王戦決勝トーナメント、今度は関西の若手四天王同士の激突です!!いやあ、これも今日でどちらかが消えるのか、トーナメントって厳しいなあ。。

20150629竜王28TN_稲葉vs豊島_角換35手 戦型は角換わり相腰掛け銀なんですが、これまた双方に工夫があって、見た事のない駒組み。後手の豊島さんが△65歩型&2枚銀。対する先手は▲48飛型&1筋の歩突き越し(35手目盤面図)。こんな形見た事がない私は、はやくもお手上げでございます(- -;)。。きっと、後手の豊島さんの工夫なんでしょうね。ここから豊島さん…

△73角
 うおお、玉を囲うのかと思ったら、ものすごい攻めっ気!!いや~、これは角換わり版の急戦矢倉的というか、後手が勝つとしたら早い決着になるんじゃないでしょうか?!

▲49飛△55銀左▲同銀△同銀
 稲葉さんの▲49飛の感覚は、気持ちがわかります。相腰掛け銀で銀交換になった時、銀の割り打ちが嫌なんですよね(^^;)。だから僕も、いつもその筋を先に消しておきたいと思っちゃいます。それは矢倉でも同じ。で、豊島さんは急戦調で来た以上はここで仕掛け!!

▲75歩△同歩▲74銀△51角
 中央の戦場が一段落したところで、先手は角頭攻めに着手!いや~、駒組み以降は教科書通りというか、こういう方針で指してくれると見ていてもついて行きやすくてありがたいです(^^)。。

 この段階で先手は攻撃の拠点も戦場も作れておらず、後手は6筋の位取り&銀の進出で攻撃態勢万全。プロは波状攻撃を受け切ってしまうのでここで優劣なんてつけられないかも知れませんが、アマ低段程度だと後手を持って指したいなあ…な~んて思ってたんですが、ここから大激戦、豊島さんが攻めまくりです!!う~ん、後手に手番を握られたという意味では、ガッチリ行った▲49飛が手損になった可能性もあるのかなあ。ところが先手の稲葉さん、豊島さんの猛攻をかいくぐりまくり!!いや~、これだけ攻めが続いて破れないと、受け潰しの展開になりそうだなあ。

20150629竜王28TN_稲葉vs豊島_角換72手 そして終盤、72手目盤面図です。まず、この盤面図自体が強烈。後手豊島さんは銀取りが掛かっていて、しかもそれを△87銀成と躱しながら8筋突破が出来るというのに、これを手抜いての飛車角両取りに出ました。これが無条件でどちらかを抜けるのであれば理解できますが、あるいはこれで寄り筋なり挟撃体制が作れるなりなら分かるのですが、たぶん角金交換で終わってしまうだろうに、何故なんだろうか。いつもそうなんですが、豊島さんの将棋は難しいよ~。。

▲44飛△43金右▲46飛△37金▲同桂△33角
 うおおおおお、これは鳥肌モノ!!なんと、△33角と上がった時の角道を開ける為の攻めの督促だったのかああ!!豊島さんスゲエえええ!!これは強烈、先手一気に追い込まれたのでは?次に△55角が入ると投了クラスじゃないかい?だとしたら、▲56金か銀で…俺はアホか、△55歩で一巻の終わりじゃないか。じゃ、飛車道を止めてでも▲45金?う~ん、△55角は防げるかもしれないけど、先手の勝ち筋も消えるから勝てそうにないぞ…

▲52銀
 うおおおお、稲葉さん、△55角を甘んじて受け入れて攻めに行ったあああ!!
いや~、これは形作りじゃないのか?速度計算以前に、後手の寄り筋が全然見えないんですけど…

△55角▲41金△22玉▲43飛成
 稲葉さん、飛車を切ったアアアア!!!…すみません、僕の棋力が低すぎて、まだ寄り形が分かりません(- -*)。。これ、寄ってるの??

△67歩▲78玉
 ここで豊島さんから損のない交換の手。しかし稲葉さん、玉寄りはノータイム。いや、これは稲葉さん見切ってるのか??しかし、どう考えても後手玉は寄ってないよなあ。でも…先手玉も寄せにくいのか。これはどちらも少しでも間違えたら即死の終盤になりました!!面白くて帰れない、どうしよう(どこにいるんだよ^^;)。。

△43金▲76歩
 互いに攻めの拠点の駒を抜きました。なんか、終盤戦の第2ラウンドが始まりそうな予感…

△12玉
おっとっと、この大詰めの最終盤で攻めでなく先逃げ?!いや、これは…

▲14歩△同歩▲13歩△同玉▲32銀
ああああ、▲23銀成からの詰めろだああ!!!後手からこれを上回る寄せはなし、詰めろ逃れと言っても、これは無理なんじゃないかい?

 以下、しばらく続きましたが豊島さんに逃れる術なし、101手にて先手稲葉さんの勝ちです!!!

 序盤の構想から中盤の壮絶な攻防戦、そしてどっちがどうだったのかまったく分からない終盤も凄かった!豊島さんの△12玉の早逃げはなんか違和感を覚えましたが、もしかすると他の方法でも既に先手良かったのかも。だとしたら終盤の勝負の分け目はもう少し前で、稲葉さんのあの飛車捨てからの寄せだったのかも知れません。その直前、72手目△38金はひと目疑問手に感じましたが、その後の、死んでいた51の角を使うための攻めの督促で、またそこから△55角が決まった時には後手優勢になったかと思いました。まさかその直後にあんな切り返しが待っているとは。将棋って好手を指した後が一番危険だなんて言われますが、なんかそんな終盤でした。豊島さんは、△33角で角が復帰しつつ△55角までは行った時は勝ちだと思ったんじゃないでしょうか。策士策に溺れるだったのか、稲葉さんの終盤力が凄すぎたのか。稲葉さんの飛車捨てで凄いと思ったのは、実はその前の飛車引きも。だって、47に飛車を引いていれば、豊島さんの△55角が飛車に当たらないわけですよね。ではなぜ▲46飛と中途半端な所に引いたのか。あれ、実は△55角を誘ったんじゃないでしょうか。だって、普通いくでしょ、飛車あたりになるなら△55角って…。う~ん、稲葉さん、恐るべし。。いずれにしても、双方がハイレベルすぎて鳥肌モノの終盤でした。

 竜王戦の決勝トーナメントは2戦続けての大熱戦ですね。よもや若手の中でアタマひとつ抜けてきたかに見えた豊島さんが初戦で消えるとは。竜王戦トーナメント、おもしろい(^^)!


第28期竜王戦 決勝トーナメント 千田翔太 vs 斎藤慎太郎 (角換わり相腰掛け銀)

 竜王戦の決勝トーナメントが始まりました!!この決勝トーナメントが2年連続で大白熱だったんですよね(^^)。。さて、その初戦は…おお~、若手超強豪同士の対決だああ!!!電王戦完勝の斎藤さんに、羽生さんなど大物棋士を破る超独創将棋の千田さん、いずれ何かのタイトルを取る棋士になると思ってます(^^)。

20150626竜王28TN_千田vs斎藤慎_角換相腰掛銀36手 戦型は角換わり相腰掛け銀だったんですが、やはり曲者の千田さん、「おっ?早繰り銀か?!」と思わせるような順から組んだり、かなり序盤から神経戦になりました。そして36手目、相腰掛け銀同型…かと思いきや、9筋の歩を突き合ってません。いや~、これは先手の作戦勝ちなのか、それとも先手悩ましいのか…同形腰掛け銀に近い形に誘導できたという意味では先手指しやすいと思うんですが、その形を目指して▲96歩と指すと、手抜いて後手が先着してくるかもしれないしなあ。でも仕掛けると終盤で玉が狭くてあっという間に詰まされるかもしれないしなあ。

▲45歩△同歩▲24歩△同歩
 千田さん、9筋の端歩を突かずに仕掛けたあああ!!よく考えたら同形に近い形に誘導したわけですから、ここで仕掛けなかったらその意味がなくなっちゃいますもんね。しかし、一手差の際どい将棋になったら9筋の端歩の不突きが致命傷になる事もあり得ますよね、手数勝負になりやすい角換わり/矢倉系の将棋ですから。。

▲35歩△44銀
 おおっと、先手良しになる定跡順の1筋ではなく3筋から行ったあああ!!これは去年のNHK杯の▲飯塚-△塚田戦で観たぞ…

▲75歩△同歩▲24飛△23歩▲29飛
 う~ん、相腰掛け銀の歩の解き捨て順は、糸谷さんが変な順で突き捨てたのとか色々と見た事がありますが、順を変えられると途端に分からなくなるぞ…でも、後手としては7筋桂頭は手抜けないので、このあたりは先手の言いなりという感じでしょうか。しかし先手は1筋の不の突き捨てを入れないのか。う~んムズカシイ、全然分からん(´・ω・`)。

△63金
 後手は桂頭を守りに行きました。相腰掛け銀の後手の急所ですからね。。

▲74歩
 エエエエ~~~~、いま守られたばかりの所に打ち込むのか(゚д゙)?!!!しかも、相腰掛け銀では貴重な駒台の一歩だというのに…

△同金▲61角
 うあああ、千田さん、凄い所に角を打ち込んだあああ!もう、あの金を吊り上げて無力化するが為だけに、貴重な一歩を犠牲にしたという事か。。そしてすごい角打ち。いや~、角換わりではこの位置に角を打ち込むことがありますが、僕は真似してうまく行った事があんまりありません(^^;)。なんというか、将来を見据えて、みたいな手の一種だと思うんですが、失敗すると単に大駒を抜かれるだけになっちゃうんですよね。。しかし、これは後手が受け切る事も出来そうな気がするなあ…。

△94角▲同角成△同歩▲61角
 う~ん、この斎藤さんの角の消し方は唸らされました。これで角を消しつつ、自分だけ手順に9筋の歩を突く事が出来るという。ある意味で、先手の9筋の歩の不突きを咎めに行った手とも言えるかも。今日は本当にこの9筋の歩が勝敗に絡んできそうだな…。で、千田さんはおかわりの角。…ごめんなさい、僕の実力ではやっぱりこの角は怖すぎて打てません。もうちょっと攻めに自信が持てるようにならないと指してはいけない手の気がします。

 そして将棋は同形腰掛け銀らしい、後手は受け間違えたら一瞬で頓死しそうな形から、スレスレで踏ん張りながら反撃を狙う形に。角換わり棒銀とか、同形腰掛け銀の後手とかを指す事で、僕は終盤の玉の逃げ方をずいぶん勉強させられました。強い人に詰まされまくって、負けまくってた頃は本当に辛かったけど、今となっては本当に棋力アップにつながった気がするなあ。。
 でもって、やっぱり先手の9筋の端歩の不突きが影響して(というか、斎藤さんがそれを争点にしている気がする^^;)、後手から△15桂が入って、先手玉もヤバそうな形に。そんなわけで、どちらかというと後手の方がいいようにも見えた中盤戦でした。しかし、かなり早い段階で飛車の横利きを消しておく歩の打ち込みとか、要所に凄い手が飛び出すすごい中終盤。いや~、竜王戦の決勝トーナメントは、初戦から大熱戦じゃないかい?めっちゃクチャ面白いんですけど(^^)。。

20150626竜王28TN_千田vs斎藤慎_角換相腰掛銀85手 そして超白熱の終盤!!これが一体どっちが勝ってるんだか分からない叩き合い!!攻防手の放ちにくい局面なんですが、先手後手とも寄せる筋がなかなか複雑で、渡していい駒とか、見えにくい寄り筋とかも読みながらの難しい将棋。いや~、みている方は超ハラハラでした。盤面図は85手目、ここから後手は…

△76歩▲同金
 うわあ、金銀の並びでは嫌な所を突かれました。これはさすがに手抜きできないので、どちらかで取らなくてはいけませんが…金か。これは単純に、どうせ無力化されるなら、金駒を渡しにくい方で、という事かな?

△34銀▲同歩△87銀▲同角△同桂不成▲88玉
 後手は歩の突き捨てで形を乱してからの守りの手を入れ、これが同時に銀を入手。そして△87銀の打ち込みから角を抜きに行きますが…しかしこれで先手に銀が入って、先手が▲32銀を打ち込んだら寄りです。うひゃ~、おっかね~!!

△32歩
 というわけで、後手は乱すだけ乱してから守りに着手。が…

▲41銀
 うおお、千田さん、なんという詰めろの入れ方!!これはぜんぜん見えなかったぞ…いやいや、これは取ったら頓死か、これは下手するとひっくりかえたか?

△79銀▲98玉
 後手の斎藤さん、というわけでまずは王手を入れます…いや~、この場面での先手千田さんの玉の逃げ方も簡単じゃない。僕は桂を拾えると思ってすぐに▲87玉に飛びつこうと思ったんですが、ちがうのか…。上から追いにくい場所の方が危険が少ないという事かな?
 で後手の問題はその後でどうやって詰めろを解くか。△72飛は…▲42銀か。33への打ち込みを消すとすると、△51角とか?いや~、でも角を渡すとケツから追い出されるのが怖いぞ、その前に寄せ切れるか…

△55角
 うおおお、根元の桂そのものを抜くのか!!!いや~、これはぜんぜん見えなかった、ちょっと鳥肌が立ちました。。
斎藤さん、さすがは電王戦で完勝してしまうだけのことはあるわ、これはすげえ…。。
 この桂を抜くためだけに放つという異例の角打ちで勝負あり、以下千田さんは必至に猛追するも届かず。112手にて後手斎藤さんの勝ち!!

 いや~、序盤の工夫から、要所要所で飛び出す何とも見えにくい好手、そして終盤でも互いに凄い手が飛び出すという素晴らしい将棋でした!!どういうわけか、竜王戦の挑戦者決定トーナメントって、いつも異常なぐらいに面白いです(^^)。今日は、千田さんが凄い独創的な将棋で攻守連発という感じだったんですが、斎藤さんはそれを正面から弾き返す強さ!!結果だけ見れば、9筋の端歩の突き合いを入れなかったことが先手裏目だったのかも。やっぱり王道というのが一番強いんでしょうか。それにしても面白かった!!!


一手損角換わりの勉強プラン

GotebanIttezonKakugawari 石田流の勉強が一応切りの良い所まで来ました。きちんと勉強したのは2冊目だけど、ある特定の局面を調べるために読んだ本まで含めればもう5冊(ああ、鈴木さんの本も含めれば6冊か)も読んでいる計算になるし、急戦も本組みも▲77角型も指す人相手でもヒーヒー言いながらなんとか勝負になるようになってきたので、ここは石田を深く追求するよりも、別の苦手戦型の克服にトライすべきかも。というわけで、一手損角換わりの定跡にトライです(^^)!!じつは、次の竜王戦が羽生さんの永世竜王&永世七冠の達成の歴史的瞬間になるかも知れないので、糸谷さんの得意戦型を勉強しておこうかな、みたいなミーハーな理由もあったりします(゚∀゚*)エヘヘ。。

後手一手損角換わりに関する勉強プランは、以下のような感じです。

①西尾さんの『よくわかる角換わり』で、大まかな見取り図を把握
②青野さん『後手番一手損角換わり戦法』で基礎固め
③応用編として、糸谷さんの『現代将棋の思想 一手損角換わり編』にトライ!

 一手損角換わりを解説してくれている本って少ないので(この3冊以外だと、康光さんの本と東大将棋シリーズぐらい?)、あまり選択肢がないんですよね。できれば、丸山さんにも本を書いてほしいなあ。
 私は、①は既に終わってます。③は級位者の頃にトライした事があったんですが、難しくって挫折してしまった(^^;)。。というわけで、今回は糸谷さんの本に再トライする前に、青野さんの本でしっかり基礎固めしたいなあ、みたいな感じです。青野さんの序盤研究を僕はメチャクチャ信頼していまして、この前の順位戦でも、60歳を超えている青野さんが、若手相手に序盤で研究勝ちしたのには驚きました。また、昔に青野さんが書いた角換わり棒銀の本を読んだ事がありまして、これが色んな変化をきちんと書いてあるうえに、手の狙いや意味も凄く丁寧に書いてあってメチャクチャわかりやすかったので、すごく印象が良いのです。そんなわけで、実は昨日から青野さんの一手損の本を勉強し始めたんですが、今のところは西尾さんの本と完全に一緒。これは、意外と早く勉強を終える事が出来るかも(^^)。。しかし青野本では右玉の構想が書かれていないので、やっぱり③の糸谷本は避けちゃダメなんだろうなあ。でも出来れば、青野本を読み終わった頃までに、一手損角換わりの超専門書が出てくれると嬉しいなあ。。


『よくわかる石田流』 更新しました

YokuwakaruIsidaryu.jpg 『よくわかる石田流』、ようやく全部読みました!というわけで、同著の記事を更新しました。
http://shougix.blog.fc2.com/blog-entry-383.html

 今年前半は仕事がべらぼうに忙しかったので、序盤研究が全然進みませんでした(^^;ゞイヤァ。。段持ちになっておきながら石田流対策をいい加減で来れたのは、僕が後手番で2手目に△84歩を指す人だから。そんな僕が、最近は石田流破りばかりを研究していた理由は石田流を破る事ではなくて、後手番で2手目に△34歩を指すため(^^)。。居飛車の僕が、相居飛車戦で戦型を限定するためには、どうしても避けて通れなかったわけです。

 それにしても、居飛車△64歩63銀&銀冠と、振り飛車石田流▲77角美濃の戦いって、まともに指すと左辺の戦場は振り飛車の方が有利な気がするなあ。少なくとも、振り飛車視点で書かれている『よくわかる石田流』を読む&それを軸に研究する、というスタイルでは、どうも振り飛車のほうが指しやすい気がします。う~ん、これは『石田流破り 左美濃徹底ガイド』あたりも読まないといけないのかも。。なんか、今のペースだと僕が定跡をひと通り押さえた頃にはおじいちゃんになっている気がするぞ(^^;)。。まあいいや、老後に友人たちと縁台将棋を指して遊ぶのが僕の夢ですからね(^^)。。

第65回NHK杯 畠山鎮 vs 杉本昌隆 (角交換四間飛車)

 来ました、純粋居飛車党vs純粋振り飛車党!!出来れば杉本さん先手の三間飛車を見てみたかったですが、杉本さん後手だと角交換振り飛車かな?…おおお、角交換四間飛車だあああ!

20150621NHK65_畠山vs杉本44手 角交換直後に振り飛車は飛車を二筋に振り直しての角交換振り飛車の典型的な形。ここで▲77角△33角の打ちあいで互いに角が自陣盤上にあがって、これで持久戦模様。後手は振り飛車穴熊、先手は銀冠に組んでガッチガチの形になり、44手目盤面図です。いや~、これ、先手居飛車は方針が難しそう。銀を使っての攻め合いになると、銀を持ち合ってからの△69銀で痛い目を見た事山の如しな僕としては、出来れば▲68金右~▲49飛みたいな手で傷を消しておきたいですが、後手はもうほぼ万全なので、その間に何かとんでくると怖いなあ。プロがこういう所でどういう方針を立てるのか、ここは個人的にすごく興味深かったです。

▲85歩
 おお、玉頭位取りだああ!!いや~、玉頭位取りは、攻めは強力になるんですが、自分の玉形が崩れるので、臆病な僕は苦手(>_<)。攻めを繋げられない事がけっこうあって、苦手意識がついてしまってるのかも。畠山さんみたいな攻が強力な人だから踏み込めるんでしょうね。僕がこれを指すには、もう少し自分で手を作れるようになれないと難しいかな…。

△14歩▲86角△41飛▲77桂△73銀引▲95歩△64歩
 大雑把な方針としては、杉本さんは穴熊を強力にして万全に駒組みしてからのカウンター狙い。角道を止める昔の振り飛車みたいな方針です。でも、居飛車から見れば、こう来てくれるなら万全の攻撃態勢を築けるので、悪くない感じがします(^^)。

▲75歩△同歩▲同角
 おお、これは綺麗な仕掛け!!すぐにどうこうなるわけではないと思うんですが、とにかく互いに駒台に歩がないもので、仕掛けが出来ない状況だったのが、これで互いに歩を持ち合うことになり、いろいろ出来そう。しかもここで△74歩なんてして受けてくれれば先手だけ歩を使った仕掛けが出来るようになるので先手不満なしじゃないでしょうか(^^)。いや~、短手数でもいいからこういう構想が見えてるなら、位取りを狙ってもいいという事なんでしょうね。漠然とでもこういう筋が見えてなかった僕はやっぱり指しちゃダメなんだな。。

20150621NHK65_畠山vs杉本68手 ジリ貧になる事を嫌った杉本さんはここで反発、一気に激しくなって進んだ68手目盤面図。ここも慎重派の僕が考えたのは▲16歩で角を追い返してから ▲33桂~▲48飛みたいなよくある四間飛車破りだったんですが、たぶんそんな悠長な順じゃなくって6~7筋の戦場をモノにする順があるんだろうな…と思っていたら…

▲65歩△同歩
 おおお、畠山さん、いったああ!!ここで解説の浦野さんが「△45歩の反撃を指せるかどうか」みたいな事を言っていて、たしかにそれは手抜けなそうだし、そう指すとどうなるのかと考えていたら、杉本さんは△同歩。まあ、どの順で行くかはともかく、いつかは取らないといけない歩だし、取って受かるなら取りたい歩です。

▲63歩△同金
 うおお、▲同桂だとばかり思ってたよ、いや、ここで叩いて金を吊り上げるという事は…

▲15飛△同歩
 飛車を切って質駒の角を手に入れて…

▲52角
 畠山さん、勝負に行ったあああ(゚∀゚)━!!!いや~、凄いなと思ったのは、玉頭を盛りあげて行きながら、現時点で先手陣があまり乱れていない所です。銀桂は渡したくないですが、それさえ気をつければまったく怖くないというか、攻めだけ考えていても大丈夫な状況なんじゃなかろうか。

20150621NHK65_畠山vs杉本82手 そして終盤、82手目盤面図。穴熊崩しの問題集みたいな局面です(^^)。あの桂が跳ね出せないという所を突きながら、Zを作らせないようにしながら、金駒の交換じゃない方法で崩す、という感じ。崩せるかどうかは兎も角として、初手は一択の気がします。

▲64歩△62金引
 ▲64歩までは僕も分かったんですよ。△同金や銀なら、角切って▲73歩を入れるわけですよね。しかし、杉本さんみたいに金を引かれた時にどうするのか。▲73桂成△同金左に…

▲66香
 全然違う、控えて香打ちか!!!いや~、これは決まったでしょう!!この前の名人戦の第4局でも似たような香打ちがありましたが、どうも僕は駒の下に打つ香打ちが見えにくいようです(^^;)。う~ん、これは勉強になった、駒の下から香を打つ手があるという事を意識して考えるようにしよう(^^)。これで将棋はほぼ決まり、杉本さんも見事な反撃から詰めろを掛ける所まで追いすがりましたが及ばず。113手にて、先手畠山鎮さんの勝ち!!

 いや~、まずは序盤の互いにまったく隙を作らない駒組みが素晴らしかった!どうも序盤で少し悪くしてしまう事が多い僕としては、序盤はもう少し慎重に指さないといけないと痛感させられました。そして中盤。膠着状態に陥った中盤は、僕は相手に間違えて貰おうと考えてしまう事が多い(というか、自分で考えるのを放棄してる?)んですが、積極的に打開して将棋を作ってしまう畠山さんの指し回しは素晴らしかった!そして終盤、あの香打ちは見えなかったなあ。。というわけで、序盤中盤終盤とも、考えさせられる事がいっぱいあったいい将棋でした(^_~)。しかも早指しでこの素晴らしさだもんなあ。長考派の僕には考えられない凄さだわ。


公園の石田流

 近所の公園の石田使いの強豪おじいちゃんに勝てるようになってきました。いよいよ、道場でも2手目△34歩を指してみようかな(*^_^*)。でも、次に道場に行けるのはいつの日か…早くても7月半ば以降になりそうだなあ。

第86期棋聖戦 第2局 羽生善治 vs 豊島将之 (矢倉)

 第1局こそ羽生さんの勝ちでしたが、去年のタイトル戦でも豊島さんは羽生さんを追い詰めていたし、なんとなくだけど豊島さんはこの棋聖戦を取るような気がします。でも、この第2局を落としてしまうとタイトル奪取どころかいきなり土俵際なので、豊島さんの最初の踏ん張りどころはこの対局。

20150616棋聖86-2_羽生vs豊島_矢倉22手 将棋は矢倉。いや~、みなさん全然横歩を指さなくなったな(^^;)。相居飛車は角換わり全盛でたまに矢倉。矢倉になると、あろう事か後手ではなく先手が工夫するという、ちょっと前では考えられない事態になってます。そして序盤駒組み途中の22手目盤面図、ここから将棋がいきなり動きました!!

▲35歩
 羽生さん、いきなり仕掛けたあああ!!!
いや~、僕の矢倉の定跡勉強の最初の一冊が『羽生の頭脳 最強矢倉』だったもので、この仕掛けはよく勉強したんですよ(^^)。低級の頃に先手矢倉になると、早囲いから隙あらば▲35歩(^^)。後手が知らないと一瞬で先手優勢になる筋もあるんですが、基本的にはジャブぐらいの感じなんですよね。しかし先手玉がここまで囲えてない状態から仕掛けるのは初めて見た気がします。

△64角▲18飛
 おお、豊島さんはすぐに歩を取り返さず、先に角を出て飛車に当てました!そして羽生さん…おおお、▲37銀じゃなくて端に逃げるのか!!いや~、これならいきなり3筋の激戦にしなくて済みそうですが、なんかはやくも飛車が隠居しちゃうみたいに見えて、シロウトの僕にはちょっと指せないなあ。。

△43金右▲34歩△同銀▲68角△35歩
 豊島さん、一気に行かずに一度局面を落ち着かせに行きました。

▲79玉△74歩▲67金右△53銀(34手目盤面図)
 いきなりの急戦になるかと思った出だしでしたが、両者とも局面を落ち着かせに行きました。が…

20150616棋聖86-2_羽生vs豊島_矢倉34手▲65歩△73角
 来ました、後手の角出を咎めに行く歩の突き出し!いや~、この構想も『羽生の頭脳』でずいぶん勉強したなあ(^^)。最初に勉強した時は、「自分から矢倉城を崩して攻めに行くなんて怖くてできないわ(>_<)」と思ってたんですが、指さないと指せるようになれないと思い、この筋も随分と意識的に指していた頃があります。形がちょっと違うとはいえ、もう使わないと思っていた戦い方がリバイバルしてくれると、勉強した甲斐があるのでちょっと嬉しいです(^^)。。

▲66銀△45歩▲75歩△同歩▲同銀
 羽生さん、角頭~桂頭を押さえるB面攻撃!う~ん、これは決まったような気がする…

△51角▲77角
 続いて、玉を直撃する相矢倉の角のラインを先に押さえた!!威勢がいいのは先手ですね。でも、それと引き替えに先手陣は結構危なっかしいし、なんといっても相手は豊島さんですから、そう簡単にはいかないんでしょうね。。

 で、予想通りに豊島さんは強かったヽ(`д´)ノ!!ここから一進一退の攻防戦、僕なんぞにはどちらも悪手どころか緩手に見える手すら全然なし、順の前後は「先に王手入れてから」とか、その程度はあったんですが、大まかな狙いはもうこれしかないんじゃないかというぐらいの美しい棋譜。やっぱり、早指しでないときのプロの棋譜は美しい。早指しのあのハラハラ感も大好きですが、考え尽くした上での選択という感じで、完成度が違いますね。。そして、気が付いてみれば後手良さそうな局面に。結果、124手にて後手豊島さんの勝ち!!

 う~ん、本当に緩手がなかったんだとすると、やっぱり問題は囲いを崩しての攻撃に出るという構想自体に無理があったんでしょうか。これは、矢倉の先手受難の時代はもう少し続きそうです。そして棋聖戦は1勝1敗のタイ。面白い展開になってきました!


『横歩取り完全ガイド』なんて本が出てしまった

YokofudoriGuide.jpg 先週末、新しい横歩取りの定跡書が出ました。横歩取りの勉強は、コンピュータの指し始めた△33角戦法からの後手美濃囲い以降、タイトル戦での定跡研究以外はあまりできてません(>_<)。タイトル戦でも角換わりが多くて、横歩は一時のようには見なくなったしなあ。横歩と言えば、電王戦の村山戦で出たあの古い将棋も、自分の中では調べ切れていなかったりします。というわけで、初心者向きではない、決定版みたいな本が出たら読んでみたいな、とは思ってました。横歩は、なぜか初心者向け的な広く浅い本が多くて、ある戦型に絞って深く掘り下げた本が少ないんですよね。

 そしてこの本…ああ、広く浅い本かあ、残念、これはパスかな…と思ったら、著者があの超良書『これからの角換わり腰掛け銀』を書いた吉田さんではありませんか!!いや~、あれ以上の定跡書に出会た事がないもので、吉田さんには全幅の信頼を置いているわけです(^^)。。

 で、アマゾンの解説を読むと…「本書は吉田五段が最善と考える順にしぼって次々に紹介。無駄をそぎ落とし、研ぎ澄まされた研究手順には吉田五段の自信と説得力がみなぎっています。 」な、なるほど、無理筋は早々に枝刈りして、本筋を突き詰めているのか。いや~、著者が素晴らしいだけに、これは迷うなあ。普通に考えれば買いだよなあ。う~ん、どうしよう。





第65回NHK杯 稲葉陽 vs 佐藤天彦 (横歩△33角)

 NHK杯の直前にやっていたコールさんと山崎さんの1分切れ負け将棋が面白かった(*^_^*)。四間飛車急戦、いや~、2分弱で110手越えの将棋を指せるんだから凄いなあ。

 また、今日の解説の太地さんの最初の挨拶が良かった!「よろしくのねぎゃいしましゅ」みたいな感じ(^^)。。しかし、その後に何事もなかったかのように冷静に振る舞ったのが見事でした。本当はドキドキしてたんだろうな( ̄ー ̄)。

 というわけで、対局は関東中堅強豪vs関西若手強豪の好カード!!戦型は…見る分には最高に楽しい将棋の横歩取りです!!自分で指すにはおっかないんですよねえ、序盤からすぐ定跡を外れちゃうし、そこでちょっと間違えるだけでワンサイドゲームになっちゃうし(^^;)。。
 そして本局、先手稲葉さんが中原囲い▲68玉型にした事で、はやくもグッチャグチャ(^^;)。。後手で青野流を指す時に後手玉をこの位置にあがられる事はあるんですが、先手でも指すのか。なんか、山崎流を勉強した時に何度か見た気がするけど、忘れちゃったなあ。後手の天彦さんはここから一気に襲い掛かるんですが、これがどうやら無理攻め模様で、駒損をし、気づいてみれば大差の状況。序盤中盤終盤と稲葉さんのワンサイドゲーム、フルボッコに見えました。でも、簡単に土俵を割らずに何とか受けたり反撃筋を作ったりした佐藤さんの粘りも凄かったです。

20150614NHK_稲葉vs佐藤95手 終盤、95手目盤面図。後手は挟撃型を作られ、詰みをどれだけ先延ばしできるかというぐらいの絶望的な局面。先手玉は…馬のラインに入っているのがちょっと気持ち悪いですが、しかしこの馬を働く展開にしてる時間は全然ないだろうなあ。もう、後手玉の詰みまであとわずかという感じなんですが、現状は…これだけ危なっかしい形ではありながらも詰めろじゃない。後手は反撃するならここしかない!!

△64歩
 天彦さん、えらくぼんやりした手だ(^^)。僕は一瞬、これは玉の逃げ場を作った手かと思ったんですが…

▲63歩
 相手の手を逆用する厳しい手。先週のNHK杯も歩だけで相手陣をボコボコに崩してましたが、ちゃんと手数計算できていれば、こういう一見遅そうな手が強烈に厳しく見えます(^^)。いや~、A級棋士がここまでワンサイドゲームで負けちゃうのか。

△21歩
 うおお、ここで受けか!!第一感としては悪手の気がする(^^;)。。これは終盤での時間を稼ぐ手ですね、▲11馬としてくれればの話ですが。しかし、手抜かれて攻められたらどうするのか…

▲11馬
 しかしこれは早指し戦、秒読みに追われて稲葉さんは香を取りました。まあでも駒得だし、先手玉が寄るとも思えないので、確実な手に見えます(^^)。

△65銀▲86飛△66桂
 うおお、天彦さん、ここで反撃だあああ!!!
しかしこれ、先手玉の右辺脱出を防いだというだけで、攻めが繋がらない気がする。

▲同飛△同銀
 感想戦で疑問視された飛車切りです。でも、右辺を広くして、手番を握った上に詰めろにもなってない。シロウト的には、後手玉を逃がさないで寄せるための最善と見えたんですが…

▲62歩成△33金▲同馬
 ついに入りました、▲53桂からの詰めろです(T_T)。というわけで、ここは詰めろ逃れの△33金が必然ですが…あら?ここで後手が銀を補充できてしまったぞ…こ、これは…

△56馬(108手目)
 馬を切って香を補充しながらの王手だああ!!!いや~、▲同歩には△67銀打が厳しいぞ…これって実は先手危ないんじゃないかい?
 ▲88玉は△86香で簡単。▲67合は△同銀不成▲87玉△78銀不成で寄り。じゃ、正着は▲69玉か。…ああああ、△79飛で呼び戻されて終わりだああ。。

20150614NHK_稲葉vs佐藤114手▲56同歩△67銀打▲69玉△68香▲同金△49飛(114手目盤面図)

 というわけで、厳しそうと分かりながらも▲同歩で、以下114手目盤面図までは一直線。ここも解説のお二人が迷った局面ですが、ここって、59に安い合駒を打つ受けだと△68銀成▲同玉△48飛成でオシマイ。だから48の地点に利きを作る合駒が必要ですが、▲59金は?…こういう所で金を渡す合駒は直感的にも危険そうだなあ…▲59金△68銀成▲同玉△67金▲79玉△59飛成で金が渡ってオシマイか。

▲59銀
 というわけで、金を渡さず、48に利きを作る移動合い!!
いや~稲葉さん、さすがは関西若手四天王と呼ばれるだけの事はあります、一手30秒の超早指しでこれを選択できるのはスゴい(僕は対局が終わってから10分ぐらい考えてました(*゚∀゚*))。これなら△68銀成は入りません。いや~、ヒヤヒヤしましたが、天彦さんの追い上げもここまで。A級が一回戦で消えたか。天彦さん、今期順位戦は全敗だな…と思ったら…

△59同飛成
 うおおお、飛車を切ったあああ!!!!いや~、これはぜんぜん考えてなかったよ(T_T)。。う~ん、これはどう考えても必至ですね、このあと少し手は続いたんですが先手逃れる術なし、120手にて後手佐藤天彦さんの大逆転勝ちです!!!天彦さん、一瞬でもA級全敗だなんて思ってしまってすみませんでしたm(_ _)m。。

 しかし、という事はですよ…108手目に△56馬が入った時には、やっぱり必至だったんじゃないかい?だから107手目の▲33同馬は▲42金の詰めろになっていながら駄目。つまり攻めるなら王手になっていないとダメですが、王手から入る攻めがないので受けないといけないのか。いや~、あそこで手を戻すのが正着なんて誰だって考えられないよなあ。だとしたら、やっぱりもっと遡って△21歩の瞬間に安全勝ちにいかずに襲い掛からないといけなかったんだろうな。それにしても、フルボッコ状態から最後の10分でプロをひっくり返すんだから、A級棋士はヤバすぎるぞ。。

 2週連続で終盤にいきなり盛り上がる劇的な対局!!早指しに慣れる為に再度見始めたNHK杯ですが、こんなの一手30秒で指せる気がしません(T_T)。大会に出るのは、もう少し早指しに慣れないと無理みたいっす(T_T)。。


順位戦が始まった!

 いよいよ今期の順位戦が始まりました。プロ将棋を見始めて3年目なので、1回戦ぐらいでは一喜一憂しなくなった私です( ̄ー ̄)。全部見るなんて事はせず、これという対局だけ眺めるのが通というものさ。

(A級)
屋敷伸之 ●-〇 森内俊之
 うおお、森内さん、勝ったアアアア!!(すげえ一喜一憂してるじゃねえか)。。いや~、久々のB1陥落から一期で戻ってきた屋敷さんを返り討ちです!いや~しかしこれはスゲエ棋譜だな、森内さんの完勝じゃないか。なんというか、絶好調の時の森内さんこそ最強と思ってしまう時があるんですが、そんな森内さんが戻ってきたような将棋でした。

(B級1組)
木村一基 〇-● 豊島将之
 B1はいきなりの好カード、木村さんと豊島さんの一戦ですが…うおお、木村さん、難敵豊島さんを一蹴だああああ!!!(ものすごい一喜一憂)。。名人戦とか棋聖戦とか、最近のタイトル戦を見ていると、羽生さんの将棋が木村さんの将棋に似てきたように見えるんですが、同じ研究会で切磋琢磨しているうちに似てくるとかあるんでしょうか。それにしても、自分の攻撃を繋げるんではなくて、相手の手を読み切って受け切るという将棋は、勝つととんでもなく強く見えます。豊島さんは、負ける時に、アマから見ても「ん?それえらく危険に見えるけど、なんかすごい狙いがあるのか?」みたいな不思議な手を指す事が多い気がします。昨日もそれでいいのか不思議に思いながら見ていたんですが、そのまま沈んでいきました(^^;)。。指してみたい誘惑に駆られるのか、ウッカリ癖があるのか、形勢判断の基準が僕が学んできた将棋の考え方と全然違うのか、どういう根拠でああいう手を選ぶのかを訊いてみたい気がします。でも、ああいうのを思いつく事自体が、天才的な発想につながるのかも知れません。実際、豊島さんは成績的にも間違いなく若手最強のひとりですからね。そして木村さん、ぜひともA級復帰してください(だから早いって)。。

 他のB1も面白かったんですが、特に面白いと感じたのは、A級で散々の成績となって叩き落されてしまった三浦さんと阿久津さんが揃って勝利した点。特に三浦さんはものすごい完勝譜で、若手昇り竜と見られていた稲葉さんをまるで寄せ付けずに圧殺。中終盤の棋力が段違いだと思わされました。いや~、A級とB1って、クラスがワンランクしか違わないのに、そのレベル差たるや計り知れないものがあるんでしょうね。

 な~んて感じで、結局B1は1回戦から全局見てしまった。でも、最近仕事が忙しくてお疲れモードで、12時前に寝ちゃったから最後まで見れなかったのもあったんですが(^^;)、やっぱり順位戦は楽しい!

第56期王位戦 挑戦者決定戦 菅井竜也 vs 広瀬章人 (角交換向かい飛車)

 NHK杯に続いて2日連続で角交換振り飛車だ!居飛車党の僕は、対角交換振り飛車戦はものすごい苦手意識があるんですが、勝率は悪くなくて、道場では一応勝ち越している戦型。でも、苦手意識が拭い去れない(^^;)。。

20150608王位56挑決_菅井vs広瀬_角交換向飛3手 この将棋は序盤から「やめてくれよ」的な展開。先手振り飛車のうえ、角換わりしてから飛車を振るんじゃなくて、飛車を振ってからの角換わり。3手目盤面図は、「プロの解説では向かい飛車もあるってよく聞くけど、ほとんど先手中飛車なんだよ」って思うじゃないですか。

△85歩▲77角△54歩
 いや~、広瀬さんのこの△54歩が、僕から見るとおっかなすぎ。だって、ここで5筋の歩を突いて角交換されたらとっても嫌じゃないですか。だから、右銀を動かして先手中飛車に誘導するとか、角道を開けて先手だけ5筋を突いた状態の角交換とかにしときたい…な~んて、アマの僕は思っちゃうのです。序盤の研究がなかなか出来ないから、戦型を限定したいというのもあるしね(^^)。。

▲88飛
 うあああ、角交換の前にダイレクトで向かい飛車だよ…しかも角道空いてるし(;_;)。

△34歩
 おっかねえええ!!!これは定跡を知らないと、絶対に指してはいけない戦型の気がする…

▲22角成△同銀▲53角△57角
 うおお、角交換してから、互いに突いた5筋の裏から角を打ち込んだああ!!いや~、おっかなくって見てられません(*_*;)。。

 僕が悲観的なのかも知れませんが、序盤にして後手居飛車は駒組みが悪く、先手振り飛車は綺麗にまとまっている感じに見えました。先手の菅井さん、ここは後手の駒組みが進む前にかますのが有利と見たか、ここからは、どちらも玉を囲いきらないうちに大駒まで交換し合う激しい将棋。そして、中盤はさすがプロというか、よくぞこれだけグッチャグチャな将棋を綺麗にまとめてくるもんだという感じで、双方ともうまくまとめていきます。プロはこういう所がマジで上手い。すげえ。

20150608王位56挑決_菅井vs広瀬_角交換向飛113手 そして終盤。菅井さん、ついに優勢になったかに見えた113手目盤面図。菅井さん、ここは勝ったと思ったんじゃないでしょうか。しかし、ここで広瀬さんがひねり出した手は…

△35桂
 うおおお、何だこの手はあああ(゚ロ゚ノ)ノ!!!!えっと…いや~なるほど、▲同歩なら△同金で金を助けながら玉頭直撃、手抜いて▲44歩なら…△27香▲同銀△49龍となれば大逆転か。。いや~、これはものすごい好手を見てしまった。。

▲44歩△27香▲39玉
 う~ん、これはすごい局面図、攻めと受けの順番が異常に難しいぞ、先手は受け間違えたら一瞬でオシマイだけど受け切る方法がありそうな感じ(あくまで感じ、です^^;)、後手は細い攻めを繋げてしまえればいいけどそれは無理っぽいので、攻めと受けを計算しながらうまく指さないとこれまたアウトになってしまいそう。いや~、1手ごとに勝敗が入れ替わってしまいそうな凄い終盤戦になりました(^^)。。

 しかしこの広瀬さんの幻惑的な反撃筋に心を乱されたか、菅井さん、ここから突然アマから見ても攻めも受けもちぐはぐな感じになり、崩れてしまいました。もうこれは将棋の強い弱いじゃなくって、メンタルから崩れたように見えてしまった。。結果、144手にて後手広瀬さんの勝ち!羽生王位への挑戦権を得ました!!

 この将棋は114手目の△35桂が凄かったです!!あれを発見できる人って、どれぐらいいるんだろうか。それから、菅井さんはタイトル戦挑戦が手に届きかけていたところですり抜けていったようで、ちょっと気の毒でした。なんか、10ラウンドまで優勢に進めていたボクサーが、11Rにいいアッパーを貰ってしまって、あとは膝がガクガクのまま試合を続けた、みたいに見えてしまった。。いずれにしても、広瀬さん、挑戦権獲得、おめでとうございます!!

第65回NHK杯 飯塚祐紀 vs 伊藤真吾 (後手角交換四間飛車)

 将棋は後手の角交換四間飛車から変化して向かい飛車。いや~、ものすごい手待ち合戦、特に後手となった伊藤さんの手待ちが凄い(^^;)。。手待ち合戦は相居飛車の角換わりの特権かと思ってたんですが、対抗形の角換わりでも起きるんですね(^^)。

20150607NHK_飯塚vs伊藤真吾70手盤面図は70手目、後手は高美濃に囲ってからはずっと△71金~△61金の反復での手待ち、先手は右金を動かしたり銀冠に組み替えたりしながら、徐々に地下鉄飛車からの9筋端攻めも出来る駒組みへと組み替えていきます。いや~、逆サイドへ飛車を振っての端攻めの狙いは、角換わり△右玉を相手にしたときの僕の主力戦法のひとつだったりするので、飯塚さんが駒を組み替えに行く時に気づきました(^^)。これ、左辺でドンパチ始まっても、先手はうまく逃げると右玉に入り込む事にもなるので、けっこう戦いやすいんですよ。あ、この戦い方は珍しいと思うんですが、『よくわかる角換わり』に書いてあります(^^)。

▲95歩
 おお、飯塚さん、飛車を振るより先に仕掛けたああ!!!70手にも及ぶ手待ち合戦、遂に打開だ!!

△同歩▲同銀△同香▲同香△93歩▲99飛
 なるほど、ギリギリまで右辺を守らせておいてから振るんですね。しかしこれは先手玉も薄くておっかないな…

△86銀
 おお、伊藤さんはここで軽手ですが、感触が良い!飛車道はいつでも止められるし攻めの拠点にはなるし、△95銀▲同飛なんてやったら△94香で飛車まで取れるぞ(そんなのに引っ掛かるプロはいないか^^;)。。

▲98香
 というわけで、それを喰らわないための香打ち、これで香香飛の3段ロケット。しかし、最後が飛車の3段ロケットは炸裂すると強烈なんだけど、飛車先が重くなっているという意味もあるんだよなあ。美濃囲いは右から追い出すと寄せやすいですが、端から追い出すとけっこうばらすのに時間がかかるというか、意外と耐久力があるんですよね。これは先手の攻めは重くなりそうですが、間に合うんだろうか。

△87角▲68玉
 実はこの将棋、序盤の手待ち合戦で伊藤さんが駒組み段階で時間を相当に消費してしまっていて、中盤戦に入ったばかりのこの最初の折衝で既に時間に追われてました。ここで直接手の△87角を打ち込んでしまいました。これ、▲68玉と躱された後はどうするのか、私にはまったく分からず。でも、プロだから凄い順から攻めを繋いじゃうのかと思ってドキドキして楽しみにして見ていたんですが、特に構想は無し(^^;)。。いや~、結論から言えば、これが伊藤さんが形勢を損ねてしまった一手になったかも。でも、早指しって、時間に追われて、自分でも悪い手だと分かっていて、さがせば他に良い手がありそうな気がするのに、指さざるを得なくなっちゃう事があるんですよね。

20150607NHK_飯塚vs伊藤真吾84手 少し進んで84手目、遂に端を破った先手ですが、後手が銀を打ち込んだ為に飛車が走るのは無理、3段ロケットはやっぱり重かった(- -;)。後手からの△75歩が間に合うと先手は一気にやばい感じになりそうなので、▲98成香から悠長に3段ロケットを成立させる手はもうなさそうです。こうなると大局的には受けを見ながら挟撃態勢を作りたいところですが、その前に美濃を崩して後手の守り駒を外しておきたい所。しかし直接手はなさそうなので、手抜きしにくい手で迫りたいところですが…

▲84歩
 おお、まさに条件をすべて満たす手(^^)。さて、△75歩とどっちが速いか、これは計算がかなり難しい。ここはいかにも将棋的な面白い局面で、後手がどうしのぐか、先手がどう崩すか…

△93桂▲同香成△98歩▲29飛△84歩
 おお~、伊藤さん、これは何とか凌いだか?しかし後手はここで反撃したいのに、攻めの△75歩~△74まで2手掛かるのが痛い…

▲83歩
 というわけで2手稼げるので飯塚さんは受けずに攻め!伊藤さん、いかに美濃の遠さを活かした逃げとはいえ、歩だけで崩されるとこれは痛い。。

 というわけで、この▲83歩で大勢は決していたかも。この後、飯塚さんが綺麗に挟撃形を作って、あせらずに寄せ切り、129手にて飯塚さんの勝ち!!

 今日は最初の1時間が手待ちでしたが(^^;)、しかし駒組みの段階でのし烈な優劣争いというの、僕は結構好きです。森内さんとか、あの羽生さん相手に、駒が当たる瞬間には既に森内さんがちょっと良いんじゃないかという体制を作ってしまいますよね。今日は、飯塚さんが打開に行った意欲も構想も素晴らしかった!駒が当たってからはもう飯塚さんの一方的な将棋になってしまた感じ。伊藤さんとしては、玉の薄さは先手の方がまずかったので、端の攻防戦のどこかで、美濃の端攻めの遠さを活かして、反撃筋がなかったかどうかという所なんでしょうが、手待ちした以上は受け潰すという構想も仕方がなかったところ、という感じかなあ。いずれにしても、面白かった!!


第86期棋聖戦 第1局 豊島将之 vs 羽生善治 (矢倉)

 名人戦から棋聖戦という流れが妙に好きで、棋聖戦が大好きだったりします。2年前に見た羽生さんと渡辺さんの棋聖戦がメッチャクチャ面白かったのも理由のひとつかも。今回、羽生棋聖に挑戦するのは関西若手最強棋士、豊島さん!1日制は羽生さんの得意ジャンルなんて言われてますが、しかし名人戦より苦戦するような気がする。前回の豊島さんとのタイトル戦も結構もつれたし。羽生さんには渡辺さんに勝てなくなる前に、他の若手にタイトルを奪われて欲しくないという変な思いがあるので、頑張ってほしいっす。でも、豊島さん、あの若さにしてあの落ち着きっぷり、ただものじゃありません。

20150602棋聖86-1_豊島vs羽生_矢倉42手 42手目、角の位置的に、なんだか先後が逆のような盤面図ですが、互いにギリギリまで我慢して駒組みの飽和点まで達した感じ。ここで先手の豊島さんは…

▲13桂成△同銀▲25歩
 仕掛けたたあああ!!矢倉の常套手段、これで後手の銀は死んだも同然。しかしここが矢倉の面白さ、手番が相手に渡る度に反撃を喰らうわけで…

△45歩▲68角△75歩▲同歩△85歩
 羽生さん、反撃だあああ(^^)!!しかしここでまたしても手番が先手に渡りました。う~ん、矢倉戦だ(^^)。後手は玉のコビンが空いてしまっているし、銀も死亡決定。問題は、銀を取られた後だな。▲14歩△同銀▲同香△同香に…

▲26銀
 全然違った(^^;)。。これは力をためたのか、右銀が浮いているのを嫌ったか、それとも▲14歩は香の反撃がやばいと見たか。これでまたしても手番が渡り…

△86歩▲同銀△75銀
 うおおおおお、羽生さん、なんという仕掛け!!しかし、羽生さんの狙いが全然分からん(´・⊇・`)。。

▲同銀△同角▲76歩
 おっと、いやこれは…なるほど、羽生さんの狙いがやっとわかった!

△64角
 決まったアアアア!!!!
いや~、端攻めの根元の香を抜きに行くのが狙いだったとは、ちょっとゾクッと来てしまった。もう、叩き合いの攻め合いで速度勝ちを狙いに行っているものとばかり思ってました。いや~、豊島さん、これは飛車を逃げつつ香も取られず端攻めを先着する事は難しいんじゃなかろうか。

 ここからの羽生さんが凄い。ほんのわずかなリードをグイグイ広げてしまう(^^)。しかしさすがは若手最強の豊島さん、それでも何とか食らいついて羽生玉に迫るんですが、羽生さんの受けが凄すぎて、これが捕まらない。この前の名人戦もそうでしたが、受からなそうに見えてもスルスルと玉を逃げちゃったり、受け潰したりしちゃうんですよね。もう一回、『凌ぎの手筋200』をやり直そうかな…。最終的には羽生さんが綺麗に寄せて、114手にて羽生さんの勝ち!!

 いや~、羽生世代に代わって若い世代が随分タイトル戦に出てくるようになったと思ったんですが、羽生世代の挑戦よりボコボコの気がする(^^;)。。というか、今の羽生さんが絶好調すぎる?でも、豊島さんの攻めは非常に綺麗だったし、矢倉戦で先着出来たんだから、中盤入口で豊島さんが悪かったとはどうしても思えません。やっぱり中終盤のどこかで羽生マジックに引っ掛かってひっくり返されちゃったんだろうなあ。しかし、それがどこなのか全然分からん(^^;)。。やっぱり、羽生さんを直接倒すのは渡辺さんしかいないのかも知れません。しかし、面白い将棋でした!


プロフィール

ShougiX

Author:ShougiX
駒の動かし方を知っていた程度の初心者です。せいぜい1日1時間ぐらいしか将棋に時間を割けない社会人が、ガンバって1年で初段になる事が目標です!
(*追記)10ヶ月ちょいで初段到達!!ただいま、居飛車側から各戦型に対応できるよう奮闘中(汗)。。

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