第64期王将戦 第3局 渡辺明 vs 郷田真隆 (矢倉)

 渡辺王将の2連勝となった今回の王将戦。郷田さんももう40代半ばだし、年齢的な衰えもあるのかなとも思ったんですが、この前の棋聖戦の予選トーナメントでの対屋敷戦を見ると…強えええ、なんだこの鋭い将棋は!!もしかすると、この王将戦での郷田さんは渡辺さん得意の角換わりで戦いすぎているというのがイケないだけなのかも知れません。郷田さんって、負ける時はけっこうスパッと斬られちゃう事があるので、それだけで判断しちゃうと誤解しちゃうという事かも。そしてこの第3局は…おおお、矢倉です!!これはようやく郷田さんの土俵で将棋が指せるか?!

20150129王将64-3_渡辺vs郷田_矢倉33手 郷田さんの後手番矢倉という事で急戦も期待したんですが、郷田さんは矢倉本組みの持久戦を志向。そして先手渡辺さんは▲46銀37桂型を目指して▲46銀と上がったのが33手目盤面図。ここで郷田さんは…

△45歩
 おおお、郷田さん、咎めに行ったあああ!!これで現代矢倉の課題局面に突入ですね(^^)。僕も矢倉先手番の時は▲46銀37桂が主戦法になるんですが、はじめてこの戦型を勉強した時の最初の疑問は、「▲46銀と上がった時に歩で追い払われるとどうなるのか」という点でした。結局その時の自分の勉強では、▲37銀と戻してから▲48飛として4筋を戦場に反発すると先手が指しやすくなる、という程度の感触だったんですが、しかしこの△45歩って、この前の順位戦での▲郷田-△渡辺戦の指し手でもあります。その時は渡辺さんがなんと88手で郷田さんをねじ伏せてしまったというショッキングな事態になったので覚えてます。郷田さん、その時とまったく同じ指し手をやり返す形になりました!いやあ、負けず嫌い男気がありますねえ。

▲37銀△53銀▲48飛
 順位戦とまったく同じだ(^^;)。さてこの局面、順位戦では後手番渡辺さんが△55歩と仕掛け、先手郷田さんはこれを受けずに▲46歩と返すことで一気に乱戦模様となって、以降は壮絶な斬り合い(*゚∀゚)。あれは面白かったなあ…。さて、本局は郷田さんはそれをやり返すのか、はやくも序盤の山場かも…というところで仕事です( ̄ii ̄)。今日はもう帰ってこれないかも知れないので、あんまり早く指さないでくれ~。。

◆◆◆◆◆
 仕事が遅くなるとは思っていたが、まさか徹夜になるとは…不眠不休でやっと家に辿り着いたのは、既に2日目の夕方。あの後どうなったんだろうか…

20150129王将64-3_渡辺vs郷田_矢倉38手
△94歩
 おお~~、JT杯で羽生さんを破った渡辺新手、 キタ━━(゚∀゚)━━━!!!こっから△73桂を狙うんですよね…。いやあ、これが優秀だから先手が矢倉を避けて、タイトル戦が角換わりラッシュになっていたんだと思いますが、渡辺さんは矢倉に誘導したという事は、研究が進んだという事かな?これはちょっと期待。。

 僕の記憶にある△45歩~△94歩の将棋は、JT杯の▲羽生-△渡辺戦(これが2014年11月16日の対局で、指された羽生さんは「類例がない」みたいに言っていたはず)と、まさに今やっているタイトル戦の出場者を賭けて戦われていた王将リーグでの▲深浦-△羽生戦。ミーハーに羽生さんの将棋ばかり追いかけているのがバレるなあ(^^;)。。他にもたくさん指されているみたいですが、他は知らないや…。

 ▲羽生-△渡辺戦は、▲46歩△同歩▲同角△73桂で、先手が4筋の反発をしたのと引き換えに後手は△73桂を指す事に成功、これで次の△85桂が狙えるようになりました。△94歩と△85桂に角のラインを活かした角桂香での端攻めがこの△94歩の一番の狙い筋なんでしょうね。で、羽生さんはこれを察知してはやめに▲68銀と引いてから角交換をしてその筋を消してから右銀を使っての反撃。しかし角の打ち込みで飛車筋を変えられ、以降は殴り合い…みたいな感じ。

 ▲深浦-△羽生戦では、△94歩に対して深浦さんが手堅く▲96歩。この瞬間に羽生さんが△55歩と突っかけました。これはさっき挙げた順位戦での▲郷田-△渡辺戦とのバリエーションみたいな感じで、5筋からの後手の攻めの狙いは右銀の進出。先手はこれをまともに受けると…▲同歩△44銀右▲46歩△同歩▲同銀△55銀みたいな感じで、これは後手まずまずの成果なんじゃないかと。しかし複雑な局面マニアの深浦さんはこれに素直に応じてくれず、ここで▲46歩の反撃。以下、△56歩▲同金△54銀…あれ?あとどうなったんだっけ?なんか戦場が拡散してこれまた複雑な将棋になったような記憶が…。結局△73桂~△85桂が間に合って羽生さんが勝ったという事だけは覚えてます。

 というわけで、この形での考えるポイントは、先手の攻めとしては4筋反撃とそれに絡めた3筋の歩の突き捨てあたり、後手の攻めとしては桂を跳ね出しての端攻めが本筋で、先手の対応次第では5筋からの反撃という感じでしょうか。また、5筋が戦場になれば後手の矢倉中飛車もありえそうですが、僕は人生で100回ぐらい矢倉中飛車で▲41銀の飛車金取りを掛けられて死亡した経験があるもので、トラウマ状態で矢倉中飛車を無意識に避けている傾向が(^^;)。。

▲46歩△同歩
 お、これは▲羽生-△渡辺戦の順か?もしこの戦型を知らないとしたら、第一感は間違いなくこれですよね。。

▲96歩
 ▲羽生-△渡辺戦と▲深浦-△羽生戦のミックスみたいになってきました(^^)。棋譜中継の解説によると、これは1月のA級順位戦▲行方-△渡辺戦で登場したらしいです。ああ、行方さんが2敗目を喫してA級大混戦になっちゃったあれですね、僕の勉強日記を読むと…やべえ、これ見てたみたいなのに全然覚えてねええ(T-T)。。調べてみたら、その時はここで後手渡辺さんが△44飛として4筋を膠着状態にしてからやはり△73桂。先手は端攻めを潰すためにやはり角交換を挑んで、羽生さんと同じように早めの▲68銀引き。この玉のコビンを開けた事&角交換が逆宮田新手みたいになってしまって後手渡辺さんの勝ち。う~ん、どうもこの戦型は渡辺さんが研究しまくっている感じがするぞ…

△44銀左
 えええええ!!!△44銀右じゃなくて左?!これは抑え込み&△33桂の活用を狙ったか?!同時に、こんなの渡辺さんだって研究して無いでしょうから、研究を外しに行く狙いもあったかも。抑え込み自体は好きなんですが、自陣が薄くなるのが怖すぎる(^^;)。こういう方針って世代的な特徴なのか、郷田さんぐらいの年齢の棋士だと普通に指してくる時がありますが、僕からすればすごい大局観というか、まだまだ先が見えない状況で自陣を薄くする決断を出来てしまうという所がスゴイと感じてしまいます。

 で、ここからのねじり合い叩き合いがめっちゃくちゃ面白かった!!「うわ、ここでじっと歩を突くのか」とか「ここで角を引くなんていう手があるのか」「ここで柔軟に狙い筋を変えるのか」みたいな、棋譜を見ているだけでも熱気の伝わる大乱戦!いやあ、矢倉戦の面白いパターンに思いっきり入った感じでした。こうなると定跡とかじゃなくって、中終盤力勝負。ものすごい熱戦が延々と続いていたのですが(この辺で僕がようやく帰宅!さすがに徹夜は眠い…)、大量の攻め駒を作って攻めていた渡辺さんが一転してやばい状況に。実際に形勢が傾いたポイントがどこだったのかはよく分かりませんが、飛角両取りの△47銀を打ち込まれ、受け潰されながら飛車を抜かれたあたりは痛かったかも。

20150129王将64-3_渡辺vs郷田_矢倉137手 そして延々続いた大熱戦も137手目盤面図まで進むとどうやら後手が勝った模様、これは△89角と打って後手郷田さんの勝ち!!かと思ったら…

△95歩
 うああ、速度を度外視すれば確実な手だけど、2手空きなんて指していて間に合うのか?郷田さん、もし負けたらこれは敗着になっちゃうぞ…
 う~ん、僕みたいなシロウトの第一感の△89角は何がまずかったんだろうか。▲97玉なら△78角成が詰めろなので駒を補充しながらの攻めになり、いかにも寄りそう。というわけで▲88玉でしょうが、 やはり△78角成で▲同玉に△58龍で一間龍。これで合駒問題になりますが、角合いなら送りで角を入手してしまえば即死コースなので、桂合いか銀合いの2択。でもどちらの合駒も横と下に利かないのが痛く、△69金で決まりの気がするなあ。
 というわけで、2手空きの時間を貰った渡辺さん、ここで寄るか寄らずかの大反撃、大逆転劇となるか!!!…寄らず( ̄ii ̄)。結果、146手にて郷田さんの勝ちとなりました!

 最後はヒヤヒヤするシーンがありましたが、終わってみれば大熱戦の中終盤戦の更なるおかずみたいなもので、観ている人間としてはスリルが増してものすごく面白い中終盤戦でした!!矢倉ってこういう展開になるとマジで面白いですね、これぞ将棋の醍醐味という感じ(o^ー^o)。これで郷田さんは後手番で一発返して1勝2敗。次の先手番を取れば五分に戻ります。ところで、矢倉▲46銀37桂戦法に対する△45歩~△94歩はマジで有力ですね。またしても後手が勝ってしまいました。この王将戦、第4戦以降はこの△45歩を廻る争いになるといいなあ、結論を知りたい…。



第41期女流名人戦 第2局 清水市代 vs 里見香奈 (43戦法)

 今まで女流棋士さんたちの将棋はあまり見てこなかったのですが、ここのところ振り飛車破りの勉強ばかりしている身としては、もう少し対抗形の将棋が見たい。というわけで、試しに女流将棋をボチボチ見始めているのですが、これが対抗形だらけで結構面白いっす。。で、絶賛開催中の女流名人戦は今日が第2局で、里見さん後手の43戦法。あれ?そういえば里見さんって長期休場して無かったっけ?体調が良くなったのなら良かったですね(^^)。

20150125女流名人41-2_清水vs里見_43戦法26手 盤面図は26手目、後手は結局石田流を目指す事になり、先手は87玉の構え(清水さんはこの玉形をよく採用している気がする…)に▲47銀の構え。典型的な対抗形、こういうのが見たかった(^^)。。で、今までの僕なら、こういう形の時は即▲25歩なんですが、石田流対策勉強中の身としては、そうじゃない指し方もいっぱい見てみたい。清水さんはどう指すんだろうか…

▲38飛△32飛
 僕は対振り飛車に対してこういう囲いをする事がないもので、この形の場合に囲いを進展させる方法が分からないのですが、仮に左美濃の場合だったら、ここで玉型の整備というのもあり得たかも。しかしここで清水さんは▲38飛。あれ、それは△24飛とされたら…なるほど、▲28飛と戻す感じか。で、里見さんはそういう千日手模様を避け、3筋を争点としたまま戦うつもりのようです。

▲56歩△64歩
 おお、さすがはかつて女羽生と呼ばれた人です、落ち着いて△55角を消しました。対する里見さんも美濃崩しの角のラインを消す無難な選択。

▲55歩△42銀
 休日でな~んも考えないで見ているんですが、▲56歩で55の角も消えた事だし、先手は▲38飛とした以上はこのあたりで▲36歩と反発するんだと思ってました。▲55歩とはまたえらく慎重だなと思ったんですが…なるほど、ここで▲36歩は△同歩▲同銀と進んだ後に△45歩があるという事かな?で、それを予め消したのが▲55歩であると。いやあ、女流の将棋も馬鹿に出来ないぞ…俺なんかと比べたら当たり前か(^^;)。しかしこの▲55歩と交換に、後手は△42銀と眠っていた銀の出撃が間に合いました。こうやって間に合っちゃうんだから、将棋ってうまく出来てるなあ。

▲36歩△同歩▲同銀△43銀▲25歩△63金
 あら?結局2筋の歩を伸ばすのか?じゃ、結局飛車は2筋に戻して使うのかな?僕が早めの▲25歩を好んで使うタイプだったんでそう感じてしまうのかも知れませんが、だったら▲38飛にしないでいきなり▲25歩の方が得だったんじゃなかろうか。仮にこの戦場を膠着状態にして玉頭を押し潰すにしても、この陣形では振り飛車有利の気がするなあ。玉形といい右金の方針といい、これは居飛車は遅い上にまとめにくい気が…

▲35歩(39手目)
 う~~~ん…これは方針がぶれてないかい(小声)?実際の良し悪しは兎も角、居飛車はこういう将棋にするんだったら、攻め将棋で先制してそのまま押し切る方針に徹しないと作戦負けなんじゃなかろうか。これ、振り飛車からしたら、この戦場を膠着状態にしてから銀冠に組み替えて居飛車の玉頭直撃でも潰せそうだし、守りは万全と見て角を84まで転換して先手右辺を集中砲火したら居飛車受けにくいだろうし、振り飛車にとっては不満なしになってしまったように思います。この一手は、僕がよくやっちゃう「強い人と指すと、ビビッて踏み込めなくなっちゃう症候群」みたいに見えました。自分がそうなる事があるから分かる気がする…。仮にそうだったとして、たしかに史上最強の女流棋士が目の前に座ってたら、清水さんと言えどもビビっても仕方ないのかな。。
 とはいえ、仮に▲35銀なら、里見さんが自然に応じるなら捌き合い(例えば△13角▲34歩△35角▲同飛△34銀…みたいな感じ?)は予想されるわけで、これはこれでけっこう難しそう。しかしそれで悪かったとしても、これまでの方針がそうなのだから、そうすべきだった気もします。な~んていって、実は清水さんの指した▲35歩が最善手なのかも知れませんが( ̄ー ̄)。
 
 しかしやはりこの一手が仇となったか、以降はこの戦場で劣勢に追い込まれた清水さんが暴れさせられて駒損、玉も薄く、一方の里見さんは鉄壁の陣形から万全の指し回し、120手にて里見さんが勝利

 ここ最近女流の将棋を見るようになって思うのは、ちょっと悪そうになるとすぐ暴れちゃうとか、コロコロ方針が変わる事があるというか、もう少し胆力を…と感じる棋譜が多いのかな?な~んて、言うは易しで、自分の将棋なんてもっとそうなのですから、女流がどうこうというよりも、森内さんとか木村さんとか広瀬さんとかの男性プロ棋士の指し手の懐が深すぎるという事なんでしょうね。。

20150125_photo.jpg それにしても…里見さんも清水さんもいいですねえ。頭の下げ方ひとつにしても、女性らしい控えた振る舞いに人柄や品が出ている感じがするし、ただ頭を下げているだけでなく、そこには相手を尊重する態度もあらわれているような気がします。勝負の勝った負けたも大事ですが、どうせ知的なゲームをやるなら、その知性を気配りなんかの勝負以外のところにも使える人間に僕もなりたいっす。こういう風習の背後にあるものが理解できるようになったら、自分と考えが違う人に対しても、簡単に腐すような真似はしなくなれるんじゃなかろうか。これは人として見習うべき所がある。よし、イスラム国の人にも将棋を伝えようではないか!


第64期王将戦 第2局 郷田真隆 vs 渡辺明 (角換わり相腰掛け銀 △65歩型)

 もう一月も後半だというのに、まだ正月ボケが治らずにやる気が出ない。なんとか気を入れなくてはと思っていたところで…始まってしまいました、王将戦の第2局(^^;)。う~ん、明日見てしまうのは仕方ないとして、1日目の今日は深入りしないようにしよう、そうしよう。

20150122王将64-2_郷田vs渡辺_角換34手 なーんて思っているところで、後手の渡辺さんは△65歩型を選択。いやあ、こんな事されたら見てしまうではないか。。これって▲65角の打ち込みを許す事になりますが、いきなりは打ち込めないんですよね。というわけで、▲47金で後手からの角の打ち込みを消し、囲い合い、そこで手に詰まって手待ち合戦になるパターンだと思うのですが、後手の渡辺さんは千日手上等で郷田さんに打開を求めるという狙いかな?

▲88玉△22玉▲48金△44歩
 ▲25歩の突き出しとか右金を動かす順とか、手順は多少違いますが、大体は僕が勉強した△65歩型の指定局面までは一直線っぽいな、と思ったら…

▲48金
 おおお、郷田さんが先に変化!!▲47金じゃないのか?!桂頭とか46の歩とかを守らなくてもいい?…仮にここで△64角なら、それから▲47金で一応受かる…いやいや、それどころか飛車を6筋に振られて反撃されて終了か。たしかに▲47金~▲48金の順は見た事がある気がしますが、しかしなぜいきなり▲47金じゃないんだろうか。もしかしてこれは、僕が苦手としている手待ちの公倍数の計算かな?また、先手が▲25歩不突きである事もちょっと不気味。

△44歩▲29飛△42金右▲69飛△62飛
 △65歩型に対し、▲47金の形から飛車を6筋に振る将棋は見た事がある気がします。しかしそれで6筋から反発したかというとそうではなく、飛車の横移動からの手待ちになったような…。今回は右金を2段目に動かしたので飛車の横利きが使えないので、それを考慮しての下段飛車なんでしょうが、大まかな狙いは同じなんですね。解説を読んでいると、過去に僕はこれと似た形の将棋を見た事があるハズなんですが、全然覚えてません(´・ω・`)。まあ、相腰掛け銀どころか、角換わりですらろくに勉強できていなかった頃だから仕方ないか。。

▲59飛△82飛▲29飛
 完全に手待ち合戦です(^^;)。今のところ後手は2の倍数、先手は3の倍数で手待ちしてますが、先手がどの形になるのを待っているのかはちょっと分かりません。後手の手待ちの方法が飛車の横移動だけなら、6筋での向かい飛車が外れる瞬間での6筋反発は成功しそうですが、後手には飛車の反復横跳びのほかに△43金直とか△52金の手待ちとかもありそうだし、それは渡辺さんが許してくれませんね。だとすると先手の仕掛けは▲25歩とか▲45歩、それに角の打ち込みを絡めての構想になりそう。しかし自陣角や▲65角となると、もし後手が森内さんや深浦さんなら香を浮かしてからの9筋の端からのカウンターなんかも狙ってきそうなので、安易な自陣角の打ち込みはヤバそう。、後手から積極的に△74歩から桂の活用を図る手は…わざわざこの形を選んだ以上、渡辺さんは千日手なら十分と見ていそうだし、なさそうかな。

 う~ん、先手がどうやって局面を打開していくのか気になりますが、郷田さんがかなり時間を使っているところを見ると、研究があるわけではなさそう。さて、どうなりますか。。

◆◆◆◆◆

20150122王将64-2_郷田vs渡辺_角換130手 そして二日目。やはり手待ち模様から、最終的に勝負に行ったのは後手の渡辺さん。後手の徹底防戦の△73歩待機の構えを崩しての踏み込みでした。ここから渡辺さんが猛攻→攻めが細くてつながらない→郷田さんの逆襲→早い順を消されて仕留められない…と来て、ここから壮絶な攻め合い!

 盤面図は130手目、先手玉は際どい玉形ですが、後手の攻め駒が悪く、しかも手番は先手。しかしこの後手玉、どうやって攻めればいいんだ?矢倉崩しとは微妙に違う形で意外に難しいっす。。せめて桂か角が控えていとか、尻角が間に合うとか、一筋の位を取れているとかなら何とかなったかもしれませんが…

▲23歩△同玉▲25歩△同歩▲24歩△同金
 う~ん、郷田さんは玉を吊り出しましたが、しかしここからどうするんだろうか。最後が△24同玉なら▲46角とかで良く出来そうな気もするんですが、先手の攻め手が見えない…

▲85銀
 これはちょっとビックリ、すごい…。先手にとって厳しい筋は△39角。先手玉の左辺への退路を作ろうにも▲77銀△同桂成で退路封鎖なので、その根元を外しておこうというわけですね。じゃあ玉を吊り出す前にいきなり▲85銀ではいけないかというと…これが僕にはちょっと分からなくて、△23金みたいな手で厚みを築かれる手を消しておきたかった、という事かな?しかしこれで手番が後手に移って…

△67角▲48玉△85角成▲37玉△26銀▲46玉
 渡辺さんはここでその銀を抜きに行きながら馬を作って挟撃の形を作ります。いやあ、渡辺さんは構想が分かりやすくっていいですね(^^)。しかし郷田さんはそれを躱しながら桂を抜きます。この瞬間の先手の玉が掴まえにくそうで、僕はこの時に郷田さんが勝ったと思いました。が…

△67金
 プロ恐るべし、これで間に合うと見てるのか…。
棋譜解説にあるように、次の△66金が間に合うと先手はたしかに崖っぷち、しかしそれで間に合うのか?ここ、手数計算の甘い僕は焦っていて、もっと早い寄せがないか必死に考えてました。先手玉の上部脱出は▲54金一発で仕留められますから、ここは退路を封鎖しつつ包み込む△67馬、次に勝負の△33桂で玉頭直撃を考えてました。しかし△33桂は諸刃の剣で、▲21飛なり▲21飛成が厳しくて無理かと思ってたんですが、次の郷田さんと渡辺さんの手を見て甘さを痛感。

▲62飛
 郷田さんはここでいかにも味の良さそうな攻防手、△64金を消しながら▲32飛成△同玉▲44桂の狙いかな?しかしなぜこれが▲61飛と放っての▲21飛成が狙いじゃないんだろう…なるほど、▲21飛成は31に合い駒を使ってくれればまだいい方で、手抜かれた後に▲21飛成が決まったとしても寄らないのか。あら?だとしたらさっきの渡辺さん△67金は…

△74馬
 いやあ、渡辺さんは冷静沈着というか、▲21飛成では寄らないと見てるんですね。仮にここで▲21飛成だと、△同玉▲44桂△33玉で…本当だ、届かないわ。う~ん、ここで飛車を尻から打ち込めれば…あら、それなら32の金を外しに行くのは余っている桂を使っての▲44桂だったら?…それだと△66金が入っちゃうのか。だとしたら、それを許すとして▲44桂△66金の瞬間が先手玉が詰めろになっているかどうかの問題か。う~~ん、こんがらがってきたぞ、将棋って難しいな( ̄ω ̄)。。

 まあこんな感じで、寄り形だが時間の稼げそうな先手玉vs一見堅そうだがなんか詰め将棋的な寄り筋もありそうな後手玉みたいな感じで、2手空きから逆算しての後手玉へのアプローチを考えるというメチャクチャ面白い終盤の構造になっていて、面白かった!!実際にどちらの形勢が良かったのかは分からないんですが、最後は156手にて後手渡辺さんの勝ちとなりました!!

 最後に郷田さんが頓死気味だったのはご愛嬌ですが(^^)、面白い終盤でした!!序盤は△73歩待機△65歩型という手待ち合戦の新しい打開策が見られるかどうか注目していたんですが、手待ち合戦が複雑すぎて、僕のアタマではよく分からなくなってしまいました(^^;)。。1~2局を見ただけの感想でいうと、序盤研究も渡辺さんが少しリード、終盤力も渡辺さんの方が鋭い感じなのかな?もしそうなら、今期の王将戦は渡辺さんが圧勝しちゃいそうな気がしてきたぞ。。

同じ戦型を違う本で何冊も読む、ということ

 なにせ貧乏なもので、同じ戦型の定跡書を買う事に抵抗があります。また、性格的に効率を優先しすぎる嫌いがあって、一度勉強した定跡に立ち返る事にも少し抵抗があります。なんか、「手つかずの定跡に手を出すのが先だろ」とか、「人生短いんだから、同じ事に何回も時間を取られているようではイカン」とか思っちゃうんですよね(^^;)。ところが…

 ずっと指していなかった戦型に再チャレンジ中という事で、過去に勉強した戦型を違う定跡書で読んでいるんですが…「こんな筋あったな」とか「あれ?ここどうするんだったけ?」なんていうのがオンパレードで面白いっす。すごくいい復習になっている感じだし、なにより楽しい。「中飛車破りはこれ一冊で」とか、そんな風に考えるのはごくまっとうな感覚だとは思うんですが、同じ戦型の似たような筋を違う本で何冊も読むというのも、けっこう復習になって良いかもと思い始めてます(o^ー^o)。

第64回NK杯 藤井猛 vs 行方尚史 (角交換四間飛車)

 どちらも大好きな棋士という事で、チェックを入れてました、今日のNHK杯( ̄ー ̄)。。とにかく天彦さんの解説が分かりやすかった!今日はガッチガチの定跡形の将棋というわけではなかったので、形勢判断の仕方や狙い筋、手筋などがハナシの中心になったんですが、見通しがめっちゃくちゃ明解な上に判断が速い!A級になる棋士はそれだけのものを持っているんですね~。

 今日は藤井さんが先手番という事で、先手角交換四間飛車になったんですが、まずは後手の居飛車の玉型の解説が面白かったです。僕は『角交換四間飛車 徹底ガイド』をメインテキストにしながら角交換四間飛車破りを研究したもので、玉型は矢倉一辺倒。対振り飛車戦の矢倉はサイド攻撃が怖すぎて、心理的には僕も穴熊か銀冠を狙いたいんですが、しかし角交換振り飛車に対しては囲いが偏る上に間に合わないんですよね…。しかし天彦さんの解説によると、プロでは▲24歩~▲23銀からの銀冠も指されているそうで。いや~、銀冠にしても逆棒銀の応接に間に合うんだったら、僕もそれで指したいです。ここはもっと天彦さんの解説をきいてみたかったな~。 

20150118NHK_藤井vs行方_角交換四間20手 でもって、序盤です。対角交換振り飛車戦で僕が一番用心しているのが向かい飛車からの逆棒銀。そんなわけで、20手目盤面図から▲88飛とか▲86飛といった8筋を争点にした筋は結構研究したんですが、藤井さんが指したのは…

▲58金左
 おお~、けっこう普通の手だ(^^)。これは囲い合いになるか?

△54歩
 おっと、行方さん、積極的に行きました!これは5筋から銀を繰り出しに行くか?!

▲46歩△53銀▲36歩
 後手行方さんは右銀を繰り出して攻め勝つ方針、先手藤井さんは先に囲って堅さ勝ちする狙いでしょうか。しかし臆病者の僕は、やっぱり向かい飛車への振り替えが怖いなあ(^^;)。さすがは現状A級トップを走る行方さん、早指し戦でもこれで行けるという所まではバババッと読めているんでしょうね。

△85歩
 うおお、行方さん、積極的だ!!角交換振り飛車からの逆棒銀はそこそこ研究した事がありまして、居飛車は▲85歩を決めない方が得の変化が圧倒的に多い気がしていたので(方針としては8筋の戦場は膠着状態に放置して玉頭を押し潰すor角のラインを使った美濃崩しを狙う)、この行方さんの構想には凄く興味がありました。

▲47金△44歩
 なるほど、角交換四間飛車の第一人者である藤井さんは、そんな筋は分かってるんですね。というわけで、角を使っての美濃崩しを先に潰しに来ました。向かい飛車からの逆棒銀の構想もあったかと思うんですが、方針を一貫させた感じでしょうか。たしかにこれは堅実というか、序盤で悪くする心配はなさそう。

 この後も、双方の方針は変わらず。藤井さんは堅さ負けしないように十分の駒組みからの将棋を目指し、行方さんは攻めと守りのバランスを取りながら指し回す感じ。そして…なんと行方さん、飛車を5筋に振り直して5筋突破を狙いました!!ここでいかにも将棋らしい面白い局面を迎えたのですが…

20150118NHK_藤井vs行方_角交換四間48手 それが48手目盤面図。駒がぶつかり、また▲25桂△24銀の交換が入る事で桂が質駒になり、いよいよ双方とも角交換将棋の角の打ち込みが決まり始めそうな頃合い。後手の行方さんは既に67に角を打ち込んでいて、この角が働くのは確実ですが、問題はどれぐらい働くか。これ、後手としてはもう攻めあるのみという将棋になりそうですが、先手から見ると結構面白い盤面図で、攻め合うのか守るのか、方針が分かれそうです。で、藤井さんの選択は…

▲75歩
 攻め合いだあああ!!!ここはさすが藤井さん。この攻め合いを構想したからこその▲25桂△24銀の手の交換だったんだな、と。実際の形勢は分かりませんが、もし僕が後手だったら、受けに来てくれれば気分的に楽だったと思うんですよね。しかし攻め合いに来られると、囲いの差で負けるんじゃないかという気がしてしまう。そうなると、既に作戦負けだったという事になるわけで、ひいては振り飛車銀冠vs居飛車矢倉では振り飛車が勝っても普通…という事になっちゃう。ここでの行方さんの反撃も面白くて…

△57歩
 なるほど、これを金で取れば△46銀で金か飛車が抜けるので、飛車で取らせて角を成りつつ桂を抜こう、というわけですね。ここで藤井さんは…

▲同飛△89角成
 △57歩に対する応手と見ればどう考えても自然な一着ではあるんですが、堅さ勝ちという方針を一貫させるなら、代えて▲74歩の攻め合いも見てみたかったです。そうしないと、▲75歩自体が一手パスになっちゃう可能性もありますしね。でも早指しだし、やっぱり▲同飛が自然か…。この局面は、ぜひ持ち時間の沢山ある将棋で見てみたかった。
 ▲74歩の攻め合いは速度勝ち出来るかどうかの選択なので、深く読まないと指せない手ではあるので、僕が羽生ファンなもので、どうしても速度勝ちする将棋を考えすぎるのかなあ。。森内さんのように鉄板で潰すなら、▲同飛こそが正着の気もしてきました。
 逆に後手から見ると、これで一応馬を作りつつ駒の補充が出来たので言い分は通った格好。問題は、藤井さんの角の打ち込みとの働きの差ですが…

▲52歩△同飛▲53歩△同飛▲71角
 藤井さん、ここで5手1組の両狙い!これは綺麗に決まりました!!が…▲75歩を突きだした以上、やっぱり▲74歩を見てみたかったなあ。そうしないと▲75歩が一手パスみたいになっちゃうしなあ。このあたり、双方とも時間があったら、全然違う将棋になっていたかもしれませんね。この辺が早指しの怖さです。。

△56銀
 う~ん、もしかしたら藤井さんはこれを見落としていたんじゃないかという気がします(偉そうに書いてますが、僕は完全に読み抜けてました( ̄ω ̄))。解説でも話されていた△56歩とかであれば先手万全の将棋に出来た気がするんですが、ここで後手から捌きに来られると、結局は斬り合いになってしまう。ここは行方さんが剛腕だったという事かな?

 以降は素晴らしすぎた天彦さんの解説通りで、行方さんが持ち前の寄せ力を存分に発揮してしまった感じで、126手にて後手行方さんの勝ち!!いやあ、さすがはA級トップ棋士、終盤力だけでねじ伏せちゃったような勝ち方でした!!

 序盤で思ったのは、角交換四間飛車って、居飛車党の僕からすると、向かい飛車からの逆棒銀に比べれば4筋攻めは意外と怖く感じません。定跡書も向かい飛車の研究をしている本が結構多かったりして(^^)。で、この戦型のパイオニアである藤井さんは、あえて向かい飛車を封印して研究したかったのかな、という気もしました。振り直しは一手損ですし、4間のまま行ける筋があるならその方が良いでしょうしね。
 それにしても…将棋は行方さんの勝ちでしたが、しかし構想としては藤井さんが勝っていたんじゃないかと。負けこそしましたが、藤井さんのいい将棋が見れたし、また終盤の行方さんの素晴らしさも見れたというわけで、面白い将棋でした!!

第73期順位戦 A級 7回戦

 今期は順位戦がし烈です!特にA級の順位戦がとんでもない状態で、1位から9位までがダンゴ状態です。。昨日の深浦-郷田戦の結果次第では、さらにダンゴになる可能性もあったんですが、さてどうなりましたか…。いやあ、昨期は前半戦にして羽生さんのブッチギリ展開だったんですが、羽生さんがいないとこうも混沌とするものなんでしょうか。森内さんの不調、渡辺さんの前半のつまづき、広瀬さんの健闘、久保将棋の復活…レース展開を面白くしている要素満載です(^^)。

深浦康市 ●-○ 郷田真隆
 深浦さんはここまで4勝2敗。この対局に勝てば名人挑戦レースのトップ集団に残りますが…深浦さん、負けたあああ!!!これで深浦さんは痛恨の3敗目、トップ集団から陥落です!!一方の郷田さんは負けたら降級の可能性が強まる所でしたが、ここで踏ん張って3勝4敗。さすがにタイトル戦をリアルタイムで戦っている棋士が降級するわけにはいきませんね(^^)。しかし…トップ集団の深浦さんが負け、下位集団の郷田さんが勝ったということは…A級はものすごい混戦状態です!

広瀬章人 ●-○ 久保利明
 これは1/13の対局、メチャクチャ面白い将棋でした!後手の久保さんはゴキゲン中飛車…ではなく、角交換四間飛車を構想。しかし途中で角道を止め、角交換しないままノーマル四間飛車へ。こうなると若い頃から四間飛車急戦を死ぬほど指してきた経験が存分に発揮されてしまうというか、これで居飛車は穴熊戦に持ち込む事が出来ずに左美濃vs美濃の戦いを強要され、以降は大駒の飛び交う激しい攻め合い!そして…うおお、広瀬さん負けたああ!!いやあ、広瀬さんの終盤はすごいと思うんですが、久保さんも佐藤康光さんも羽生さんも三浦さんも渡辺さんも、終盤はすごいんですよねえ。。A級恐るべし。この広瀬さんの敗戦でA級から1敗棋士が消え去り、2敗~3敗棋士の団子状態、誰が名人戦挑戦かまったくわからない状況になりました(^^)。また、広瀬さんを自力で引きずりおろした久保さん自体も5勝2敗。いやあ、久保さんの名人戦挑戦とか、観てみたいなあ。。

行方尚史 ●-○ 渡辺明
 これは1/8の対局。この対局までは行方さんも1敗で暫定トップだったのですが、渡辺さんに敗れて2敗。これで広瀬さんが一時的にトップになっていたんですが、広瀬さんは先述の通り。A級棋士の中で安全勝ちできる相手なんていませんね。。今期の渡辺さんは久保さん以上のつまずきで3連敗スタートだったんですが、いつの間にやら4勝3敗、降級どころか名人挑戦の目すら出てきました。この間の王将戦第1局も完勝でしたし、2月からは棋王戦もあります。2015年のスタートは渡辺将棋一色になりそうな感じですね。羽生-渡辺の名人戦が行われないまま羽生さん引退、みたいな展開はやめてほしいので、なんとか渡辺さんには頑張ってほしいです。そうそう、行方さんは敗れたとはいえ5勝2敗、相変わらずのトップ集団です!

森内俊之 〇-● 佐藤康光
 1/9の対局。羽生さんがいないA級順位戦は森内さんか渡辺さんが大本命だろ…な~んて思っていた気がするのですが、なんと竜王名人だった森内さんが大スランプに突入、順位戦も苦しみまくり。この一戦に負けると下手すると降級しちゃうんじゃないかと思ってたんですが、ここは踏ん張りました!!
20150109順位73A_森内vs佐藤康58手 この将棋も面白くて、出だしは▲76歩△34歩。で、森内さんがなんと3手目に▲66歩!4手目角交換から康光さん得意のダイレクト向かい飛車を食らうのが嫌だったんでしょうね…。これを見た康光さんはいきなりの△32飛、三間飛車です!!で、ここから細かい駆け引きをしながらの駒組みになり、最終的には後手が万全の石田流の構え。玉形を整備したい先手居飛車の森内さんに苦労の多い将棋になるか…と思いきや、森内さんが後手に捌かせない。盤面図は58手目、後手捌けたかに見えたんですが、ここからの森内さんの受けが凄すぎました。

▲17桂△同龍▲23歩成△16龍▲26歩
 いやあ、こんな風にして戦場を膠着状態にしてしまうのか、この技術は尋常でないだろ…。。先手の玉形を見ても分かりますが、捌かれたらアウトの状況から、玉を囲いに行くのではなくて振り飛車の美濃を上から潰しに行ってます。もう、この中盤での構想力、それに連動した戦場での「ここは膠着状態でいい」という判断力、そして具体的な指し手の見事さ…とてもスランプの棋士の指し回しとは思えませんでした。別の言い方をすると、石田流は破壊力がある半面、仕掛けが限定される厳しさもある戦型だなあと感じました。終盤も凄すぎて、飛車2枚を渡しながら受け潰し。全然遅そうにに見えたと金や銀が間に合ってしまう。受け潰しジワジワと押しつぶす、なんという手厚い将棋…。今期の森内さんは厳しい戦いが続きますが、しかし「これは凄いな…」という将棋を幾つも見せられた印象の方が強いからフシギです。やっぱりアマチュアとはレベルが違いすぎますね(^^;)。。これで、森内さんも佐藤さんもともに3勝4敗になりました。

阿久津主税 ●-○ 三浦弘行
 阿久津さん、降級決定です。。去年、プロ棋士待望のA級昇級を決めた対局直後、夜中に広瀬さんと恵比寿に繰り出して祝杯をあげていた写真が本当に嬉しそうで忘れられないのですが(たぶん人生で一番うまいビールだったんじゃないかなあ)、A級の壁は厚かった。阿久津さん、今後の棋士人生の為にも、このまま全敗で終わらず、意地でもひとつは勝ってもらいたいです。それが最終局で郷田さんを道連れにする死に馬キックとなろうとも( ̄ー ̄)。。一方の三浦さんはこれで嬉しい3勝目。負けるとヤバい感じでしたが、これで生き残りゲームのあとひと枠も壮絶な争いになってきました!!

 あれ?もし仮に最終的に名人挑戦ラインが5勝4敗にまで落ちてくると、現時点で3勝4敗の棋士には、降級の目もあるけど名人挑戦の目もある?…ということは、A級10名中9名に名人挑戦の可能性がある?2敗棋士同士の直接対決はもうなさそうですし、ものすごい大混戦じゃないですか!!いや~、今期のA級はメチャクチャ面白いです!!

『よくわかる石田流』 高崎一生・著

YokuwakaruIsidaryu.jpg 久々に石田流の勉強をしています。僕は居飛車党なので、石田流の勉強の最終目標は石田流破りなんですが、級位の頃は早急に石田流対策を進める必要があって、『佐藤康光の石田流破り』で間に合わせていました。佐藤本は初心者の居飛車党にとってはとても助かる本で、極端にいえば細かい変化はすっ飛ばして居飛車有力の筋だけに絞り込んで書いてある感じ。これで級位の頃は何とかなっていたんですが、段に到達してからは石田流に対する成績が芳しくなく、道場ではフルボッコになる事も。苦肉の策で、自分流にアレンジにアレンジを重ねたんですが、これでドツボに嵌まった(*ノ∀`)アチャー。。結局、僕は石田流破りの有力筋の手順だけを丸覚えしているだけで、石田流の本質的な所が分かっていないんじゃないか…と思い、これは狭く深い本に進むよりも先に、浅くてもいいので広い本を読んで、この戦型に対する基礎的な理解を深めた方がいいな、と思った次第。で、手を出したのがこの本というわけです。

 この本は6章から出来ています。以下がその章立て。

1章 石田流対棒金・二枚銀
2章 居飛車持久戦
3章 石田流対右四間飛車
4章 升田式石田流
5章 対4手目角交換

補足の章

(4章 升田式石田流)
 先に、少しだけ用語の整理をすると…三間飛車石田流の何が違うか。僕の理解では、三筋に飛車を振ったら全部「三間飛車」。三間飛車の中でも、飛車を浮いて構えたら「石田流」。もうひとつ、じゃあ升田式石田流ってなにかというと、角道オープンの石田流が升田式石田流、▲66歩と角道を止めたら石田流本組…ですよね?いやあ、実はちょっと自信がないんですが。。
 でもって、早石田なんて言葉もあります。これは急戦石田流全般を指す言葉だと思うんですが、角交換上等で急戦調になる升田式石田流は早石田に入ります。早石田にはほかにもあって、飛車を浮いていない状態で居玉のままいきなり▲74歩と仕掛ける鈴木流とか、鈴木流から▲48玉と玉を一手寄ってから仕掛ける久保流なんてのもあります。でもって、この本のこの章は、タイトルこそ「升田式石田流」ですが、これら早石田全般を取り扱っています。(*2015.1.19修正:コメ欄からご指摘をいただきました!石田流本組みは、「先手ならば7六飛・9六角・7七桂の形を指し(中略)角道の開閉は関係なく形を指す言葉」なんだそうです。それから升田式石田流は「「升田式石田流」と「早石田」は同義で使われることが比較的多い」みたいで、より狭義には「▲4八玉〜▲3八玉へと囲ってゆく従来の構想に限定している」こともあるそうです。たぶんこれは鈴木流とか久保流とかと区分けする時に升田流という形で区分けするんでしょうね。お教えいただきました無記名様、ありがとうございました!!)

 さて、このあたりの早石田全般に関しては、僕が結構マジメに勉強した定跡書でも、あるいはざっと読んだだけの定跡書でも、大体書いてあることは同じ気がします。先日、古本屋で立ち読みした鈴木さんの本も大体同じことが書いてあって、「これぞ定跡」という感じの定跡です(^^)。早石田は三間を指すなら避けられない知識ですので(居飛車に戦型選択権があるため)、何かの本で勉強しておく必要があると思います。もちろん、この本でもオッケーかと。仮に『佐藤康光の石田流破り』との比較でいうと、佐藤本の方が深く、高崎本は本筋に限定してあって、変化はカットしてある感じ。しかし、高崎本の方が2年ほど新しいので(2012年刊)、佐藤本の結論を覆す手が載ってます。
 更に目からウロコだったのは…この章の最後に、金言が書いてありました。ママ引用すると…「居飛車の立場からするとすべての仕掛けに対応する必要があり、また普通の升田式石田流も難敵ということもあるので、実は3手目▲75歩に△84歩~△85歩の出だし自体が少なくなっています」との事。ま、マジか、後手石田破りをそのまま援用して、ずっと△84歩~△85歩で応接していたよ。。いやあ、角交換四間飛車からの逆棒銀破りを研究して以来、実は△85歩は疑問なんじゃないかとは思っていたんだよなあ。。自分の指し手が傍流であった事を知る事が出来ただけでも、この章を読んだ価値がありました(^^)。

(5章 対4手目角交換)
 これは石田側先手としての4手目角交換という意味で、これも石田流の定跡書では絶対に触れられている戦法。要は、石田流自体を拒否する指し方というか、その後で角交換振り飛車みたいな戦いになれば、先手がはやめに伸ばした▲75歩は負担になる可能性があるんじゃないかい?…という事だと僕は勝手に解釈してます(^^)。ただし、先手が角を浮く前にいきなりの角交換なので一手損、これが手の遅れにつながる可能性がある。この作戦に関しては、後手が相振り飛車を構想するか、居飛車を構想するかで大きく分かれる、ということを、この本で知る事が出来たのは大収穫!
 まず、後手居飛車の構想だと…これはけっこう色々な定跡書にも書いてあります。しかしかなりザックリ書かれているので、4手目角交換を本気で勉強したいなら、他の本も読む必要があると思いました。居飛車ならこの戦型を避ければいいですが、振り飛車を持ってこの戦型で勝ちたいなら、ここから踏み込む必要あり。戸辺さんの書いた『石田流の基本―早石田と角交換型』では50ページ近くを割いて書かれていたので(しかしざっと読んだだけで良く覚えてない( ̄ー ̄))、そういう深い本に当たるか、自分で研究する必要があるかも。四手目角交換に関しては、石田流うんぬんというよりも、角交換振り飛車全般の形に似てきて、例えば後手居飛車の構え次第では、先手は三間よりも向かい飛車にした方が自然に思えます。こうなると、石田流の教科書の範疇ではなくなるし、まして初心者向けの本でそこまで触れるのは到底無理…なんでしょうね。
 また、後手が振り飛車を構想する場合。これ、女流将棋を見ているとチラホラ見かける気が…ここが入門書としては素晴らしい!こういうのを知りたかったから、狭く深い本ではなく、広く浅い本が欲しかったのです(^^)。まず、4手目角交換から後手が振り飛車を構想するという筋自体が、佐藤本にも戸辺本にも無かった気がします。こういう変化があるという事は、石田側を持って指すなら必要な知識なんでしょうね。これも例によって広く浅く書くに留まっていますが(先手ががダイレクトに向かい飛車を構想する筋だけは少し深め)、なるほど序盤で既にわけわからなくなっていた石田流の疑問が少し理解できた気がしました。

(1章:石田流対棒金・二枚銀)
 居飛車から対三間飛車戦の方針をザックリ分けると、急戦調と持久戦に分かれます。で、急戦調は△84歩~△85歩からの超急戦調(4章の升田式石田流の章にまとめられているのがこれ)と、抑え込みを狙う棒金or二枚銀がある、という感じなのかな?で、この章は後者の抑え込み狙いをまとめた感じです。
 あくまで振り飛車視点から書いてある本なので、居飛車からの様々な仕掛け筋に対して、著者の高崎さんが推奨する対応を書いてある感じ。少ないページ数の割には結構広くカバーしてあるので、ただ読んでいるだけだと振り飛車が何を考えて手を選んでいるのか分かりづらいかも。これは僕の想像なのですが、高崎さんは「玉形は明らかに振り飛車有利なので、居飛車に抑え込まれずに大駒を捌きに行けるか?」という点を中心に書いた気がしました。結論としては、居飛車は相当うまく指しても互角、ちょっとでも緩むと振り飛車に形勢が傾くのが棒金や二枚銀なんだな、と思いました。
 さて、この章は…居飛車の人は、この戦型を選ばないなら、この章は読み飛ばしても問題ないかも。ただし、2枚銀とかの抑え込みを勉強したければ仮にこの戦型を指さないとしても読んで損なし!僕個人は、抑え込みでの狙い所や形勢判断の指針みたいなものが少しわかってきた気がして、すごく勉強になりました!振り飛車視点で言えば、この戦型を避ける事は出来ないので本章は必読ですね(^^)。

(3章:石田流対右四間飛車)
 この章は、後手居飛車側が急戦に出るか持久戦を狙うかに分かれて書かれています。石田流を指す人には必読の章である事はもちろんですが、居飛車でてっとり早く石田流対策をしたい人は、実はこの居飛車穴熊&右四間の章はものすごく覚えやすい上に指しやすくもあるという素晴らしい章なんじゃないかと思いました!いやあ、これが素晴らしすぎるもので、私はこの本に書いていない所まで研究しちゃいました(^^)。これは素晴らしい章ですよ!!

(2章:居飛車持久戦策)
 なんで石田破りの本筋であるこの持久戦策を最後に読んだかというと、『佐藤康光の石田流破り』とかぶる所もあったし、自分自身もこれを本筋で指したいから、最後に読んで一番印象を強くしたかったから(^^)。ここに書いてあるのは後手居飛車が△54歩53銀と組む方法と、△64歩63銀と組む方法。本筋は後者ですので、居飛車の人は後者だけ読めば大丈夫、振り飛車の人は両方対策する必要があるという感じ。そして△64歩63銀に対して、振り飛車が石田本組みに組むか、▲77角から早い仕掛けを狙うかのふたつに分かれ、それぞれ丁寧に解説してくれています。▲77角の早い仕掛けに対しては先後とも9筋の歩を突く手を省略するかどうかという細かい所でかなり変わってくる(特に、銀冠組み換えが間に合うかどうかという居飛車にとっては駒組みの速度が結構重要、という事かな?)感じです。しかし、この本だといずれも振り飛車十分の結論なので、居飛車としてはこの本に書いている筋の勉強だけではアウト。しかし僕は、ありそうな筋は自分なりに研究したつもりなんですが、どうも振り飛車の方が指しやすい気がします。なんといっても、左辺で戦場での攻撃力が振り飛車の方が強力な気がするんです…。いや~、居飛車が持久戦で戦うなら、『石田流破り 左美濃徹底ガイド』あたりでさらに研究する必要があるかも知れません。

 さて、全体を通していうと、石田流の様々な変化を、かなり広く書く事が出来ている本と感じました!広い本なのです。引き替えに犠牲になっているのが、深さと解説。広さと深さのどちらを取るかで、この本の評価が分かれそうな気がします。で、広さを取るという事になると対象は初心者になりそうなものなんですが、しかし広い割にはそれぞれの筋の狙いや変化が結構しっかりと書いてあるので、決して初心者向けではないと思います。あくまで個人の感想ですが、最低でも中級ぐらいまでは来ていて、「一応ザックリと石田流を勉強した事はあるけど、もっと広く石田流を勉強したい」という人が対象の本なのかな、という気がします。初心者向けと侮るなかれ。段以上になってから読んでも、けっこういい本ですよ!!


第64期王将戦 第1局 渡辺明 vs 郷田真隆 (角換わり相腰掛け銀)

 なんとなく、久々のタイトル戦の気が…正月を挟んだからかな?一時は羽生vs渡辺のオンパレードだったタイトル戦ですが、最近は羽生vs若手/羽生vs森内/森内vs若手みたいのが多くて、渡辺さんのタイトル戦は久々の気がします。挑戦者は、王将リーグのプレーオフで羽生さんを破った郷田さん。渡辺さんと郷田さんの将棋は、個人的にはけっこうチェックしています。というのは、互いに居飛車本格派だし、初手▲76歩に対する後手番の2手目を△84歩と指すから。僕と同じなので、参考にしやすいんですよね(^^)。さて、今回はどうなりますか。

2015011142手 将棋はやっぱり▲76歩△84歩でスタート、そこから正調角換わりに進行!棋譜中継の解説によると、▲渡辺-△郷田の角換わりは渡辺さんの5戦全勝なんだそうで。そして、あれよあれよという間に駒組みが進み、盤面図42手目へ。形は互いに右金を4間に寄せた先後同形で、これは去年の個人的名局ベストテンに挙げた、NHK杯での▲木村一-△森内戦と同じ。その将棋では、先手の飛車が4筋に行ってから戻ってきたりと、道中で色々と駆け引きがあったんですが、今日の将棋はここまで寄り道なしで一直線に来た感じ。互いに研究済みなんでしょうね(^^)。ここで先手は、飛車振りとか、金の往復横跳びとか、穴熊へのトランスフォームとかはせずに…

▲45歩
 いったあああ!!いやあ、この仕掛けに対する△46角を消すために、相腰掛け銀の右金をギリギリまで▲58に残しておくのだと思うのですが、これが通るのなら▲58金保留って何だったんだろうか、と思ってしまう僕はアホでしょうか。しかしNHK杯での木村さんもこの仕掛けだったんだよなあ。

△46角▲26角
 NHK杯と完全に同じですね(^^;)。先手は▲26角にかえて▲27飛や▲38飛などの、飛車を使って形を守る手もありそうですが、それだと△45歩と1歩得されてから悠々と反撃を食らいそうなのが嫌なのかな?

△65歩▲44歩△66歩▲同銀
 互いに一歩も引かずに4筋攻め…NHK杯と同じです。これはお互いに木村-森内戦を研究しまくったな( ̄ー ̄)。それにしても、互いの角は捌けるんでしょうか??

△86歩▲同歩
 ここで飛車先の歩を突き捨て。NHK杯では森内さんがここで端に手をつけましたが、こちらの方が自然な気がします。さて、問題は次の手。例えばここで…

1.△35歩の桂頭攻めなら?▲同歩なら△36歩で終了。▲同角なら△37角成でお疲れ様。しかし▲48飛で逆に後手終了なんだなあ。
2.じゃ、△95歩の端攻めを絡めた十字飛車狙いは?…だったら森内さんみたいに先に▲95歩から入った方が自然か。
3.玉型が崩れるのでおっかないけど、△24歩からの角頭攻めは?…危ないな、好手になるかもしれないけど敗着にもなりそうだ。これはタイトル戦で実験してみて良いような手じゃないな。
 とうわけで、ここ、僕のアタマではけっこう打開が難しい。で、郷田さんの指し手は…

△85歩
 なんと、連打の歩!!いやあ、歩が足りていないからまったくの無理筋かと思ったのですが、なるほど▲同歩には今度こそ△35歩から歩の補充を計って玉頭に垂らそうというのかな?そうなれば後手まずまずの気がしますが…

▲同歩△95歩▲同歩
 違う、端だ!!いや、それにしても…十字飛車を狙うなら、幾らなんでも歩の枚数が足りなすぎるし、3筋からの補充をするなら手順前後だよな…。後手角は引き場所もあり、3筋攻めや6筋からの反撃もあるし、この△95歩の狙いを十字飛車と見積もっていた僕がアホだった。。狙いは森内さんと同じように△85桂の跳ね出しから3筋なり6筋なりの攻めを絡めるんでしょうね。問題は、その順番。正解があるのかどうか分かりませんが、これはムチャクチャ難しいな…

△85桂(56手目)
 うおお、郷田さん、どこにも手をつけず、単に跳ねたああ!!!!しかしこれ…アマチュア的にはひと目▲86歩で桂を召し取って先手よしと思ってしまうのですが、そこで手抜いての反撃があるという事なんでしょうか?

2015011157手▲86歩(57手目)
 ですよねえ(p゚ω゚*)。。後手は相当忙しい事になってますが、大丈夫なんだろうか?しかしここで、同一局面を指したという西尾六段が、研究会で出たという筋を披露してくれました。で、本局はその研究と同じように進む事となり…

△65歩▲55銀左
 後手の反撃は6筋。まあ、ダイレクトに駒に働く手じゃないと間に合わないので、56手目でいきなりの桂の跳ね出しを構想するなら、ここはこの一手かも。それに対する▲55銀左って…う~ん、▲65同銀とすると、△同銀▲同銀△55角までは一直線、この王手の強要が来るなら先手は歩を86ではなくて87に打っておきたかった、という事なのかな?まあそれもあるんでしょうが、先手は大きく歩得しているわけだし、▲77桂△同桂成△86飛と走られても▲87歩と打ち直せばそれほど悪いとも思えません。つまり、狙いはもっと大きな所にあって…

△同銀▲47銀
 いやあ、棋譜中継の解説で指摘されていたのを読んだけど、こんな銀引きは見えないって…。。要するに、▲55銀左の狙いは後手の角!後手は角を助けるなら13にしか逃げ場がないのですが、そうすると1筋に歩を伸ばされて角の働きを封じられてしまう。いやあ、これは研究と情報収集の渡辺将棋本領が出た一手ではないでしょうか!

 ここで思ったのは…昔、郷田さんが、渡辺さんとの対局で、前例のある将棋を指されて沈められた事があるそうです。その時郷田さんは、渡辺さんに「定跡です」と言われてうつむいてしまったそうで。この将棋も、少なくとも情報戦や研究勝負ではすでに渡辺さんが一枚上を行っているような気がします。しかし…▲55銀左かあ、こんなのちょっと思いつかないわ(*゚ー゚)>。研究手、恐るべし。でもって、研究手なら▲55銀左以下も本筋は調べているでしょうから、実は▲55銀左の段階で勝負はついていたのかも知れません。しかし、ここから郷田さんがひねり出した手が素晴らしかった!!

△37角成▲同角
 うおお、角桂交換にいった!角の働きが消えるのならいっそのこと…という意味もあるでしょうし、桂の跳ね出しを消すという粘りの意味もあるでしょうし、△13角なんて当然渡辺さんは研究済だろうから読みを外すという意味もあると思うのですが、果たしてここからどう手を繋ぐか…

△54歩▲56歩
 角をいきなり捌かせないように銀を歩で支えて手を稼ぎながら…

△64桂
 うおお、これを狙っての角桂交換だったのか!!いやあ…これはビックリ、よくぞこんな手を思いつくものです。▲55歩には△76桂の王手金が決まるので、先手は銀を取れず、そうなると後手の飛車を捌くための時間が稼げる。質駒の桂を外しに行ってもやはり△76桂の上、むしろ後手の飛車先を軽くする手になってしまう。郷田さんは攻めが切れるとアウトなので相変わらず厳しい事には変わりませんが、しかしこういう手をさせるのがプロなんだなあ…。う~ん、これは素晴らしい手を見せてもらいました!しかし…

▲87金
 なんという辛い差し手…。がっちり守ってから一気に寄せに行く、いかにも渡辺さんらしい手です。これはさすがに後手厳しいだろ…。以降は郷田さんが渾身の攻めを繋ぐも、足りません。113手にて先手渡辺王将の勝ち!

 まず、定跡や課題局面という点でいうと、渡辺さんの研究手一発で決まった印象。しかしすごいと思うのは、プロはランキング下位の棋士の対局にあらわれた変化まで調べているのか…という点。僕はただいまある戦型でのある局面の疑問点を考えているのですが、たったひとつの局面だけでもすご~く時間がかかる。しかしプロはその何十倍もあであろう課題局面を、片っ端から調べて消して行ってるんだろうな。丁寧に、そして徹底的に準備するという、まさにプロの仕事という感じでした。
 一方、悪くなってからの郷田さんの暴れ方も、個人的には素晴らしかった!結局は届かなかったものの、△65桂の構想、そこから飛車をどう捌くかという構想(後手に勝ちがあるとしたら、飛車の活用以外にありえなかった)は見事でした!

 これで渡辺さんが先勝。ただ、郷田さんは後手番をひとつ落としただけと考えれば、何の問題もありません。問題は次の第2局。郷田さんは、次局を落とすといきなり暗雲立ち込める展開になってしまいます。でも…個人的には、渡辺さん応援かな( ̄ー ̄)。。

第73期順位戦 B級1組 #11

 B2に続いて、昨日はB1の順位戦がありました。既に第11節、昇級者が決定するか?!

木村一基 ○-● 橋本崇載
 今回の対局で一番注目していたのがこの一番。好カードの上、3敗同士の潰し合い、負けた方は昇級に遠のき、、勝った方は望みをつなげるという、双方にとって大事な対局です。そして…ハッシー、負けたああ!!これは痛恨の4敗目、ちょっと厳しくなったかも。一方、勝った木村さんは順位も悪くないし、他の人の成績次第ではまだ昇級の可能性があるんじゃないでしょうか?!他の3敗勢の成績が気になりますが…

松尾歩 ○-● 山崎隆之
 山崎さん負けたあああ!!これで痛恨の4敗目、木村さんに抜かれてしまいました(^^;)。でも順位は悪くないのでギリギリでチャンスはあるのかな?山崎さんは昨期も昇級争いをしていて終盤で崩れていましたが(^^;)、やっぱり独特の指し回しというのは、どこかに無理があるんでしょうか。一方の松尾さんは上位陣をひとり切り崩しつつ4敗をキープ、これもギリギリ首の皮一枚繋がっているのかな?他の上位陣の成績次第ですね…。

佐藤天彦 ○-● 屋敷伸之
 天彦さん、勝ったあああ!これで天彦さんはB1を一気抜け、11人をごぼう抜きしてのA級昇級決定です(*^▽^)ノオメデトウ♪・☆゚:*:゚。A級にいる渡辺2冠が、同世代に強豪棋士が少ない事を嘆いていたことがありましたが(「同世代棋士とタイトル戦を戦ってみたい」みたいな発言だったかな?)、これでようやく研究仲間の天彦さんがA級の仲間入りですね。徐々に世代交代が進んでいるという事でしょうか。一方の屋敷さんは、負けたとはいえまだ3敗、順位が1位なので、まだ暫定2位になるのかな?残り2戦を連勝すれば自力昇級。となると、まずは次戦の木村戦が大きな山でしょうか。

丸山忠久 ●-○ 谷川浩司
 うおお、これは全く予想外、谷川さん、強豪丸山さんを破って3勝目です!負ければ降級濃厚という厳しい戦いが続きますが、これは何とか望みをつなげた感じ。一方の丸山さんは4勝6敗。何とかA級復帰をと思っていたのですが、このままズルズルいっちゃうのかなあ。。

飯塚祐紀 ●-○ 畠山鎮
 飯塚さんは既に降級決定ですが、一方の畠山さんは降級戦線を戦っている真っ最中。その畠山さん、勝ちました!これで4勝目となったという事は、やっぱり谷川さんは厳しい戦いが続く感じでしょうか。こうなると、もうひとりの3勝棋士の藤井さんの成績が気になる所ですが…

村山慈明 ○-● 藤井猛
 藤井さん、負けたああ!!!これで藤井さんも3勝7敗、降級の残るひと枠もし烈になってきました!!こうなると、次の藤井-谷川の直接対決が降級の明暗を分ける戦いになりそうです!

 というわけで、昇級レースは、こんな感じです。

(9勝2敗)
佐藤天彦(12):昇級決定!残りのA級昇級はひと枠となりましたが…
(7勝3敗)
屋敷伸之(01):順位1位というのが大きく、残り2戦を連勝すれば…
          いやいや、次は木村戦なのか!という事は…
木村一基(08):次の屋敷戦に負けると屋敷さんの昇級が決まるので、
          次の屋敷戦に勝つことが絶対条件。
(7勝4敗)
山崎隆之(06):屋敷さんが連敗し、木村さんと松尾さんがあと一回負け…
          などなど、条件が結構厳しいですが、可能性がないわけではない!
(6勝4敗)
松尾歩(04):厳しいですが、順位の高さと、木村さんとの直接対決を残しているのがデカい!
橋本崇載(07):厳しいですが、このくらいになると「あと全部勝って天命を待つ」という感じかな?

 というわけで、条件的には屋敷さんが圧倒的に有利。しかし次の屋敷-木村戦でもし木村さんが勝つと一気にわからなくなります。この運命の対局は…なんという運命のイタズラ、屋敷さん先手番です。残りひと枠は、屋敷さんか木村さんの線が濃厚でしょうか。

 降級戦線の残りひと枠は、次の藤井‐谷川戦が大一番。これに藤井さんが負けると、藤井さんの降級が決定します。B1の下位棋士を見ると、みな40代半ば以上なんですね。このあたりは、年齢との戦いにもなっているのかも知れません。

第73期順位戦 B級2組 #9

 年を越して、順位戦も残りあとわずか。B2の昇級争いのデッドヒートが繰り広げられてます!さあ、先崎さんのB1返り咲きなるか…僕が注目していた対局だけ、ダイジェストで!!

糸谷哲郎 ○-● 先崎学
 先崎さんはここが今期順位戦の命運を分ける大一番、ここさえ越えれば昇級が見えてきますが…先崎さん、負けたああ(/TДT)/。これで首位から転落、痛恨の2敗目です。糸谷さんはこれで1敗勢をひとり自力で引きずりおろしながらの7勝2敗、昇級に望みを残しました!

高橋道雄 ●-○ 稲葉陽
 同じく一敗勢の稲葉さんですが、勝ちました!これは最近の成績とか調子とかからして順当勝ちとも言えそうですが、しかしこれで稲葉さんの昇級はかなり濃厚になったのでは?残る相手は…島さんと森下さんです。う~ん、森下さんがちょっと不気味な感じがしますが、稲葉さんは順位も悪くないので、どちらかひとつ勝てば昇級は濃厚な気がします!一方の高道さん…やばい、マジでストレート降級があり得るかも。

田村康介 ○-● 阿部隆
 同じく一敗の阿部さんですが…負けたアアアア!!これは痛恨の敗戦、順位が15位と微妙な位置でもあるので、ここは勝ちたかったです。阿部さんはこれで6勝2敗ですが…47歳でこの成績は見事かも。残りでガタガタと崩れないでガンバってほしいです!

北浜健介 ○-● 野月浩貴
 僕の大好きな棋士である北浜さんですが2敗でギリギリ残っている感じ。しかし、この対局の野月戦は厳しいと思っていたのですが…うおお、北浜さん、勝ったあああ!!!これで6勝2敗、昇級レースにギリギリで踏みとどまりました!!残る大戦は…畠山成幸さんと窪田さんか。これはもしかして2敗でフィニッシュするのでは?!一方の野月さんも好きな棋士なのですが、これで4敗目。昇級は消えたかも。残念。

 以上で、2敗までの棋士の対局は全てです。2敗までの棋士は全5名で、暫定順位順に並べると…

(7勝1敗)
稲葉陽(11):5人の中での順位は2番手。残り2戦のうち1戦でも勝てば昇級!!
(7勝2敗)
先崎学(04):順位は一番良いので、最終戦となる阿部戦に勝てば昇級!!
糸谷哲郎(21):さすが竜王、強い(^^)。しかし、順位が一番下なので…あれ、厳しくないかい?
(6勝2敗)
北浜健介(13):こうしてみると現在4位ですが、しかし順位が3番手というのが大きい!
   しかも残り2戦とも勝つような予感がする。これは可能性あるか?!
阿部隆(15):4番手でキツイですが、先崎戦を残しているというのが面白い。

 面白いのは最終局に先崎-阿部戦が残っている事。もし次に阿部さんが高橋道雄さんを破ると(なんとなく破りそう)、先崎さんか阿部さんのどちらかは絶対に8勝2敗でフィニッシュという事になり、いずれにしても糸谷さんより上に行きます。また、その時に先崎さんと阿部さんのどちらが勝つかは北浜さんの昇級にも関わってきて、北浜さん的には自分より順位が下の阿部さんが勝ってくれないと困る(^^;)。意外に厳しいのが竜王で、とにかく順位が低いので頭ハネの可能性が大きい。次節で阿部さんと稲葉さんがコケてくれないと始まらない、という感じでしょうか。う~ん、今期の順位戦はどれも面白いっす!!

鈴木流、困ったもんだ

石田流 先手7手 新年早々、めっちゃ忙しくて泣きそうです。もうダメだ。
 な~んて弱音を吐きつつも、なんとか石田流破りだけは『よくわかる石田流』でコツコツ勉強中です。やっぱり序盤定跡の本を読んでいる時が一番楽しいっす。。

 しかし困った事に…いまだに先手早石田にコロリとやられる時があって、特に苦手なのが7手目にいきなりドカンとくる鈴木流。2回目となる石田流の集中特訓でこれを破れるようになっておこうと思ったんですが…ムズカシイ。もしかして早めの△85歩自体が無理筋なんだろうか。だとしたら、僕の序盤の駒組みを改造しなくちゃいけないぞ。このまま深く研究すべきか…いや、石田破り全体を先に勉強してから序盤の駒組みを選択した方がいい気がする。対石田流の戦績が芳しくないのは、このあたりに原因があるのかも知れないな…。

 そういえば、昔のタイトル戦で、佐藤康光さんが鈴木大介さんの鈴木流三間飛車を見事に破った将棋があったな…。あの棋譜でも観てみようかな。しかし、いまごろ鈴木流破りの勉強をしているなんて、道場ではとても口に出来ません(*^^*)。

2015年の目標と計画を立ててみた

 2015年、あけましておめでとうございます。今年ももよろしくお願いしますm(_ _)m。

 さて、将棋の勉強を始めて3年目。課題は…相変わらず、序盤定跡です(^^;)。中終盤に課題がないわけじゃないんだけど、序盤のダメさ加減はとにかく何とかしないと話になりません(^^;)。というわけで、新年を迎えて心機一転、出来るかどうかは兎も角、大きな目標を立ててみよう。将棋を勉強し始めて3年目となった今年最大の目標は、序盤定跡をひと通り終わらせる事です!!いやあ、ここまでたどり着くだけでも長かったなあ…。苦手戦型さえ克服できれば、段位をあとひとつだけあげられる気がするんです。それ以上は多分一生無理な気がしますが(^^;)。さて、ざっくりとそれを実現する今年のプランでも立ててみよう!!

①石田流破り:対石田流は、マジメに勉強すれば勝ちやすい将棋に出来るような気がしてます。それなのに戦績が今ひとつという事は、勉強が間に合っていない証拠(^^;)。。というわけで、去年やり残した石田流破りが2015年最初の課題。早石田対策は昔に終わらせて何とか戦えているので、問題はそれ以外。なんとか3月までに終わらせたいですが、一度勉強した戦型なので、ハイペースで進んで2月中に終わったりできたらいいなあ。プランとしては、『佐藤康光の石田流破り』は終わっているので、高崎さんの『よくわかる石田流』で、いま一度石田流の全体の分岐図を頭の中に作り直そうかと。この本は2枚銀やら穴熊やら居飛車側の色々な形が書いてある所が良くって、これを読み終わった時に、もし左美濃が最有力と思えるようになっていたら(ちなみに現在の僕は左美濃狙いがほとんど^^…しかしそれがうまく行かない)『石田流破り 左美濃徹底ガイド』で仕上げる、というプラン。もし穴熊の方が良いと思えたら?それはその時に考えよう(^^;)。あ、もしかすると戸辺さんの2冊の『石田流の基本』を間に挟むかも。これは、その時までに近所の図書館の改装工事が終わるかどうかにかかってます(^^)。

②後手一手損角換わり:角換わりが自分の中の主軸戦法になりつつあります。苦手意識の高い戦型ではありますが、単純に勝率が高いんですよね。道場での相居飛車戦では最強の戦績。なんというか、自分ではうまく打開できないんですが、相手が勝手にすっ転んでくれる確率の高い戦型という印象(^^)。ところが、一手損角換わりが『よくわかる角換わり』でやった程度のいい加減さで、一手遅れて△84歩となった後手からの△85桂跳ねとか、△83歩待機状態での後手右玉とか、調べれば対策なんてすぐに分かりそうな所が、かなりいい加減。それどころか、矢倉を封印しようというプランを立てた以上、後手一手損は受けだけじゃなくって、自分でも指しているというのに、こんなのでいいわけがない。角換わりになったらウハウハ状態になる為に、石田流破りの次は一手損に手を出したいです!!勉強順序は、青野さん『後手番一手損角換わり戦法』→糸谷さん『現代将棋の思想 一手損角換わり編』→プロの棋譜研究、というコース。青野さんは特別に好きな棋士というわけではないんですが、棋書は説明がものすごく丁寧で、変化も広くて、本書きとして好印象。一方、糸谷さんの本は、級位の頃に読んだときは「??」状態だったので、ちょっと不安。今読んだら少しは分かるんだろうか。もし糸谷本が分かりにくいようなら、間に『佐藤康光の一手損角換わり』を挟むかも。理想としては、青野本を読み終わるまでに、一手損角換わりの決定版の棋書が出版される事ですが…指す人の限られた戦型だし、出ないだろうなあ(^^;)。

 以降は、今のところは決めてません。それ以降の大雑把な見通しとしては…
 やらなくちゃいけないと思いつつサボり続けているのが、藤井システム対策。でも、あまり当たった事がないし、当たった時も角を繰り出すあの有名な筋で何とか戦えてはいるので、「これはいい加減やらないとまずいぞ」と思えるまでは後回しにしようかと( ̄ー ̄)。それでも、せめて杉本本に載っている藤井システム破りぐらいは、来年のどこかで目を通しておきたいです。
 真っ先に対策しなくちゃいけないんだけど、その方法が難しいと思っているのが、横歩取り△33角戦法の新局面。一昨年末から去年の春ごろにかけて、横歩△33角は結構研究したんですが、その後にも新手がバシバシ飛び出してしまい、えらく進化しちゃってる…。級位者向けみたいな本はいっぱい出てるんですが、どれも内容が被って見えちゃう。△33角戦法からの最新定跡に絞って深く斬り込んだ段位者向けの本というのがあんまりないんですよね。。これは、来年のどこかで有力な棋書が出たら速攻で飛びつく、という感じでしょうか。それにしても、横歩は進化のスピードが速い気がします。頓死筋満載の超急戦を潰すだけでも大変だったのに、流行形を指すとなると追いつくだけで大変です(^^;)。。
 優先順位を低く設定してあるけど、いつかやりたいと思い続けながらも手つかず状態なのが相掛かり。でも、最近は横歩を逃げまくっているので、横歩→相掛かりへの変化の可能性も更に低くなったし、相掛かりは横歩の超急戦の2周目に手を出した後かな。
 大好きな戦型なんだけど、他にやらなくてははいけない勉強がありすぎて封印しているのが、矢倉急戦矢倉。特に、急戦矢倉では村山さんが『矢倉5三銀右急戦』なんていう、いかにも良さそうな棋書を出したので、並べないまでも読んでみたいと思ってます(^^)。この本、きっと羽生vs渡辺のタイトル戦なんかでバシバシ飛び出したあの魅惑的で多彩な筋を丁寧に解説してくれてるんじゃないかと予想。でも…やっぱり矢倉は、角換わりと横歩取りで勝ち星を稼げるようになるまでは封印だな。今年は仕事も忙しくなりそうだし、ヘタすると矢倉封印の一年になるかも。

 というわけで…おお、何となくですが、キッチリと勉強すれば、いよいよ3年目にして序盤定跡をひと通り身につける事が出来るか?!よ~し、やる気が出てきたぞ!!居飛車党選択の場合、序盤定跡の克服は3年ぐらいで何とかなる、という事かも(^^)。去年は深く研究しすぎて後半で失速してしまったので、今年は「どこまで研究して、どこで研究を打ち切るか」という事もしっかり考えながら、広さと深さのバランスを考えながら勉強していこう!!
プロフィール

ShougiX

Author:ShougiX
駒の動かし方を知っていた程度の初心者です。せいぜい1日1時間ぐらいしか将棋に時間を割けない社会人が、ガンバって1年で初段になる事が目標です!
(*追記)10ヶ月ちょいで初段到達!!ただいま、居飛車側から各戦型に対応できるよう奮闘中(汗)。。

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