第27期竜王戦 第2局 森内俊之 vs 糸谷哲郎 (一手損角換わり▲棒銀)

 糸谷さんの快進撃が止まりません!しかし、第1局の将棋は面白かったな。森内さんとしては、まだ後手番をひとつ落としただけなので大騒ぎするほどの事ではないのかも知れませんが、しかしこの第2局の先手番をブレイクされるといきなり雲行きが怪しくなってしまう。しかも、糸谷さんには後手番で一手損角換わりという得意戦法がありますしね。一手損角換わりだろうな…。4手目角交換からの一手損角換わりだああ!!

 そして、森内さんはなんと棒銀。一手損角換わりに対する棒銀は有力だと定跡書では読んだ事があるのですが、プロがリアルタイムで指すのを見るのはこれが初めてな気がする。僕は、一手損角換わり大流行の頃は、まだプロ将棋を見ていなかったのです(^^;)。でも、少し前のタイトル戦の棋譜を眺めると、一手損角換わりだらけだった時期もあるんですよね。僕は一時期、積極的に角換わり棒銀を指しまくっていた時期がありまして、また一手損角換わり対策はいずれしなくては…とも思っていたので、これはいい勉強になりそうです(^^)。

20141031竜王27-2_森内vs糸谷_一手損角換12手 さて、一手損は『よくわかる角換わり』でしか勉強した事のない僕としては、この超序盤の12手目で既に疑問満載。先手の右銀は38じゃなくてもいいのか…。ま、相腰掛け銀か早繰り銀にするなら結局合流するので問題ないのか、と思っていると…。

▲36歩△63銀▲25歩△32金▲37銀△44歩
 後手一手損角換わりに対しては基本的に相腰掛け銀を狙う方針なもので、全然わからないのですが…早繰り銀に行く前に、どうして△44歩が間に合ったんだろうか?う~~ん…あ、なるほど、△84歩を省略しているからこういう事になるのか。これが4手目角交換が生み出す綾になっているという訳か。いやあ、一手損はそこから勉強しないといけないのか、ますます面倒くさくなってきたぞ(^^;)…。

▲26銀
 おおっと、それを見て、森内さんは棒銀に行きました!しかし、角換わりで飛車のコビンを開けての棒銀か、これはおっかないなあ。なんか、既に糸谷さんがポイントをあげてしまっている気がします。

△45歩
 うわあ、この段階で早くも反発か、すごいな…。手損なしの時の話ですが、角換わり▲棒銀というのは今でこそ先手優勢でほぼ結論みたいな感じですが、しかし△14歩を入れておかないと相当受けにくい(というか、△14歩を入れないと僕は後手で明確によくする方法が分からない^^;結構調べたんですけど…)。後手の構想としては、4筋に飛車を振ってからの右玉で、それが先手の棒銀よりも速い、という事、なのかなあ。そうか、右玉愛用者の糸谷さんだから、4手目角交換で8筋の歩を突かずに済ませ、更にその事で一手稼いで、早繰り銀や棒銀といった一手損角交換に対する先手の速攻が間に合わなくなる…という感じなのかな?
 ところで、いかにもありそうなこの局面、しかし実際には前例が1局しかないそうで。この歩の突き出しを最初に指した人は…やっぱり普通ではなかった、変態流の山崎さんでした(^^;)。しかも早指し戦で指したそうで、ものすごく頭の回転が速いんだろうな。。

▲15銀(21手目)
 ネット将棋を毎日何局も指していた頃がありまして、それは中終盤の勘や読みを磨くいい訓練になっていたんじゃないかと。しかし、最近はたまに将棋道場に行くぐらいになってしまって、対局数が極端に減ると、中盤で悪くしてしまう事が増えてしまい、自分の知らない変化には意識的に長考するようにしているのですが…ここもビックリでした。
 森内さんはここで棒銀に踏み込みましたが、これは糸谷さんの注文通りじゃないかい?いや、これが間に合うのかどうかは計算していないのですが(^^;)。もうひとつ気になったのは、ここで△42飛と回られるのではなく、先に△46歩と突き捨てられるとどうなるか、という事。ビビり屋の僕は、龍や馬を作られる筋はかなりマイナスに形勢判断しちゃうんですが、プロはそれで指せると形勢判断しちゃったりするからオソロシイ。だって、もし突き捨てられると…

△46歩▲同歩△47角
 やっぱりそうですよね…。これで後手は馬を作る事が確定。この筋を消すのであれば、21手目は先に▲58金右みたいな手で受けておく手もあったかと思いますが…それだと右銀がさらに捌きにくくなっちゃうのか。じゃ、▲46同歩に代えて▲58金右は?
 それにしても、よく見るこの筋を竜王が見落とすなんて事はあり得ないので、それで先手指せると見てるんでしょうね。端攻めの絡んだ角換わりでいえば、富岡流なんかも馬を作られて引っ掻き回されるのに先手必勝だったりするからなあ…。しかし、先手これで大丈夫だという形勢判断を僕が出来るようになる日は果てしなく遠い気がする(^^;)。

 そして竜王、見事な順からこの馬に角を合わせて消してしまいました。いやあ、これは見事…。しかし糸谷さんとしても、この筋から棒銀を後退させつつ△14歩の突き出しにも成功、さすがにアホな私の思っている事なんて双方とも全部読み筋なんでしょうね。で、ぐるっと回って後手は△42飛から右玉狙い、先手は改めて棒銀、という序盤をやり直す展開になりました(^^)。終盤の第2ラウンドというのはたまに見ますが、序盤の第2ラウンドというのは珍しい。

20141031竜王27-2_森内vs糸谷_一手損角換60手 で、互いに玉を囲いきれないままの戦いとなったのですが、森内さんの棒銀は不発ぎみ。受け切られて15に後退した銀を▲26銀~▲25銀と立て直しに行きますが、その手と交換に糸谷さんに好形に駒組みされてしまいました。それが盤面図60手。棒銀って、それが対四間飛車急戦であろうが角換わり棒銀であろうが、銀が捌けないと大体負けですよね(^^;)。互いに玉を潜り込めていないとはいえ、先手が龍を作るのは相当に難しそう。となれば、後手の右玉は「囲い切れていない」というよりも「玉が広い」とも言えるかも。そういう意味でいうと、もしかして本格的な駒のぶつかり合いが始まる前のこの時点で、後手の方が既に良かったのかも知れません。そして…

▲24歩(61手目)△同歩▲同銀△27歩

 61手目の▲24歩が封じ手、これを解説の山崎さんは疑問視していました。で、この見解が結果からしたら大正解で、この棒銀は受けなくても後手は枚数が足りているので、受けずに反撃できちゃうんですよね。解説を引用すると、△27歩の反撃には「(1)▲同飛には△3八角、(2)▲3八飛には△2五角が結構痛い~指すならば(3)▲1八飛」。

▲18飛
 これは森内さん辛い気がします。これに対する後手の指し手は、アマチュアでも第一感で…

△28角
 いやあ、これはアマでも浮かぶと思うんですよ。今度こそこの角を馬にされるとキツイぞ、駒を補充されながら飛車を詰められ、しかもこの馬自体が寄せの大きな拠点になり、相手の飛車まで捌けてくる…。で、問題は、その前に先手の攻めが決まるかどうかという所。戦場に駒は集まっていて戦力的には先手十分ですが、重そうな気がするんですよね。全部手抜かれそう。。

 で、角の打ち込みからの後手の攻めはもう受からない。飛車角交換なんかに行ったら1段飛車を打ち込まれてあっという間の寄り形。というわけで、森内さんはやっぱりここから攻め合いに行きますが、糸谷さんは鉄壁の指し回し。アマ的には大差に見える形となり、110手にて糸谷さんの勝ち!竜王戦2連勝です!!

 いやあ、一手損角換わり対策で、腰掛け銀以外で何か有効な構想があればすぐに採用させていただこうと思っていたんですが、棒銀は無理だったか。森内さんが指してダメなら、俺なんかでは到底使いこなせそうにないです(^^;)。棒銀の構想を押し通そうとして敗着気味になってしまった60手目からの指し手ですが、棋譜中継で指摘されていた▲34銀では、どうだったんでしょうね。あそこが封じ手なので、指し手だけではなく、時間や封じ手争いといった別の駆け引きもあったのかも知れません。

 糸谷さんは強い!竜王位は、渡辺さんの長期政権に続いて、糸谷さんの長期政権になるかもしれません。それにしても、僕の中で中盤が一番うまい人は森内さんと思ってました。駒がぶつかり合う段階では、もう森内さんがいいというぐらいに序中盤の争いが上手いというか…。それが、この竜王戦で序中盤を制しているのは糸谷さん。森内さんの方が悪いとみて暴れに行かされているような感じに見えます。いずれも、糸谷さんの得意戦型での戦いになってますしね。また、森内さんは矢倉や相掛かりに持ち込みたくても、糸谷さんの指し方では難しい。後手横歩か後手正調角換わりで、中盤まで互角に持ち込めればどうなるか。第3局以降の森内さんに期待です!!

図書館、改装

 かなりの頻度で図書館を利用しています。昔は見向きもしなかったのですが、貧乏なうえに、読む本の量が半端でないので(^^)。で、使ってみると、こんなに便利な施設もない事が判明。というわけで、ここ2年ぐらい、2週に1度は図書館に足を運ぶ習慣となっています。
 特に恩恵にあずかっているのが将棋で、詰め将棋や終盤術なんかは、図書館はメチャメチャありがたいです。読み捨てるように次から次へと読んでしまいますから、買っていたら追いつかないんですよね(^^;)。将棋世界も、図書館で調べ物をする時に一緒に読んでいたし、序盤定跡も、メインになる本は読みまくるので買うのですが、同一戦型だとけっこう内容が被ったりするので、図書館で…という感じだったのです。矢倉本は一番多く読んだんじゃないかと思うのですが、木村さんや佐藤康光さんのセット本は図書館にお世話になりまくり。いや、どちらの本も素晴らしすぎたので、いずれ買う事になってしまう気もしますが(^^)。ところが…
 図書館が改装工事を始めてしまった!!な、なんで?すごいきれいなのに…。で、来年の春ごろまで使えないらしい。これは結構痛いです。最近は森さんの逃れ将棋が面白くって解きまくっていたし、石田流本組みもお世話になっていたのに、買わないとダメか…。

王座戦最終局の終盤検討

 王座戦最終局の終盤があまりに素晴らしかった!!!ので、その後に友人と検討した、その検討筋の一部を加筆修正して再アップしました。まあ、あんなすごい終盤なので、ネット上にはゴマンと検討している人がいるんじゃないかと思うのですが…。ポナンザの解説者さんには、ぜひ将棋ソフトの読み筋を公開してほしい。プロの指し手との検討は読者に任せる、みたいな感じで…。
 いやあ、調べれば調べるほど、とんでもない終盤だったんだな、と鳥肌が立ちます(^^)。

昨日の余韻

 昨日の王座戦最終局はすごかった!!あの息が詰まるような最終盤、いまだにジ~ンとしてます(^^)。もしかしたら、今年の名局賞を取るんじゃなかろうか。

 アマチュアである事をいい事に、昨日はろくに検討もしないまま、怖いもの知らずで好き勝手な事をブログに書きまくってしまいました。我ながら、アホは怖いもの知らずで怖いですねヽ(`・ω・+´)ノ。。あの凄すぎる終盤、逆にプロだったら相当に検討してからでないと、迂闊に発言できないのかも知れません。しかも、羽生さんも豊島さんも、時間に追われながらあの棋譜を残したというのが信じられん…。そして、棋譜中継を改めて覗いてみると…おおお!羽生さんのコメントが更新されているではありませんか!!羽生さん自身は、あの▲91銀をちょっと反省している模様。また、渡辺明さんのブログを見ると、「最後▲91銀捨てから歩の打ち替えが妙技、と思ったら『単に▲93銀と打てば▲91銀から▲93歩成の9手1組より得だった』というのを感想戦コメントで見て唖然としました。解説していてなんでそれに気が付かないんだろう」なんて書いてあります。昨日のニコ生で解説をしていた阿久津さんは「こんな手筋見たことない。これで寄っているなら考えられない切れ味」みたいなことを言ってました。いやあ、プロもアマも、あの終盤には皆魅せられたんでしょうね。

 しかしあの終盤、真相はどうだったのか、アホはアホなりにやっぱり気になる。僕的には、昨日は終盤が2回あったと思っているのですが、その2回目で疑問がやたらとありまして、自分なりに研究してみました。正確にいうと、将棋好きの仕事仲間とSkypeで話していたら、ふたりで昨日の検討になってしまった(^^)。

 …な~んて、ここまで書いておきながら、その内容を書くのが面倒臭くなってしまった(^^;)。とにかく、「なぜそうなのか」が膨大なんです。そして…やっぱりものすごく深い読みが入っていたとしか思えない。それは、羽生さんだけでなく、豊島さんも素晴らしかった。簡単にいうと、僕が昨日のブログで疑問に思ったと書いた、107手目の▲46同歩を手抜いて以降の端攻めの踏み込みは、あの時点で龍捨てを含めた寄せの見通しが立った上での踏み込みだったんじゃないか、という事に尽きます。羽生さんの1億倍ぐらい弱い僕があれこれ思ったのは、要するに端攻めで寄る筋が全く見えなかったからであって、羽生さんは寄ると思えたから全部手抜いたと、もうそれだけ。実際、じゃあ手抜いた事によって豊島さんからの反撃筋がどれぐらいあったのかをふたりで検討してみたんですが…これがありそうでない。どれも足りないようにしか思えない。△47歩成も△56角も全部2手以上遅くて、かといって攻防手も放ちようがない。豊島さんの粘りの△82銀に対してあっさりと▲同龍と捨てたのも、▲91銀からの寄せも、それで寄りが見えたのでそのまま行った、という感じなのかな、と。それにしたって、1手1分になって、全ての筋を読んでいる暇はありませんからね。しかし、あの後の歩の使い方は今も戦慄、あんなの見た事ありません。。もう、「あの▲91銀の将棋ね」という事で、この先もずっと話が通るんじゃないかと。

 結局、107手目以降の羽生さんの踏み込んだ手順は、最速に限りなく近い寄せだったんじゃないかと。まあ、検討したふたりがせいぜいアマ3段レベルですし、揃いも揃って無料のBONANZAしか持っていないという超アナログ人間なもので(^^;)、将棋ソフトがあれば豊島さんからの反撃筋が見つかるかもしれません。しかも、WINの再インストールの時にBONANZAを消してしまったらしいことに今日気づくし…(半年もたってから気づくなよ^^;)。しかし、昨日の棋譜に限って言えば、友人のBONANZAの終盤は相当に当てにならない状態で、うちら人間の方が強かった( ̄ー ̄)。一体、いつの時代のを使ってるんだ…。これ、昨日の将棋の観戦記を書く方の開発したソフトとか、最近のだと、いともたやすくバババッと読み切っちゃうのかなあ。。将棋ソフトは、「序盤定跡をちゃんと覚えるところまで来たら買ってもいい」、と自分にルールを課しているのですが、このペースだと、どうもその日は永遠に来ない気がする。。

 それにしても、あの107手目以降の指し手を仲良くしていただいている方と調べていたら3時間も経ってしまった(^^;)。Skypeを英語レッスン以外で使ったのは初めてですが、これは使えるわ。。

第62期王座戦 第5局 豊島将之 vs 羽生善治 (横歩取り)

 羽生さんの圧勝で終わるかと思った王座戦ですが、豊島さんが見事な反撃でタイに持ち込み、ついに最終戦にまでもつれ込みました!!おそるべきは第4局で羽生さんを破った豊島さんの先手中飛車。豊島さん、先手中飛車ではなんと負けた事が無いそうで…。いやあ、これは振り駒で豊島さんが先手になると、もしかしてもしかするぞ…と思ったら、振り駒の結果、羽生さんの先手。いやあ、この振り駒はかなり大きい気がします。そして、将棋は横歩取りへ。これが、超絶に面白い将棋になりました!!

20141023王座62-5_羽生vs豊島_横歩23手 まず、お互いの囲いが面白かったです。先手の羽生さんは、玉を58ではなく68に!これは山崎流なんかの解説が詳しく書いてるちょっと古めの定跡書でよく見ましたが、玉が戦場に近づいてしまうし、今では下火になった囲いと思っていたのですが。そして、豊島さんも…

△72銀
 美濃狙いか?!しかし、いきなり△62玉とせずに△52玉~△72銀という手順になったという事は、先手の▲68玉を見ての方針転換?この形で美濃にすれば、玉頭から潰される危険は少なそうだし、そうであるなら左辺からのサイドアタックに対しては中原囲いよりも美濃の方が守りやすいという大局観…なのかな?しかし、電王戦以来、横歩の後手が美濃を狙う事が増えましたね。このために、僕が一生懸命勉強した横歩の定跡の半分が使えなくなってしまった(・_・、)。ソフトの奴め…

▲48銀△94歩▲16歩△23銀
 先手▲48銀は、68玉型中原囲いに行くのか、それとも銀を繰り出して攻撃に使うのか。しかしその方針が見える前に端歩の突き合いになり、かつ大流行の△23銀へ。これは先手は色々な所で手が間に合わない感じ、飛車ぶつけが見え見えなので、はやくも右銀の方針が問われる展開かも。

▲36歩
 おおお~、やっぱり右銀を攻撃に使いますか!!プロは強い手を選ぶんだよなあ。しかしこれ、先手は玉形の整備を狙う順を探しながらの展開が確定となりそうですが、それはかなり辛い将棋になりそうな気が…。

△24飛
 ぶつけてきたああ!!!これは▲25歩で受かりますが、それは後手の注文通り。▲同飛が通るなら取ってみたい。仮に▲24同飛△同銀▲38金なら?…だったら▲36歩を突かない方が良かったのか。じゃ、▲24同飛△同銀から角交換の▲33角成△同銀は?…いやいや、これは先手が右辺も左辺も整備しなくてはならなくなって忙しすぎる。

▲25歩△74飛
 というわけで、ここは辛抱の▲25歩でしたが、後手はこの当たりを打たせてからの△74飛。これは次の△76飛を受ける▲35歩の一択、これは完全に豊島さんの注文通りの展開なになったな、と思ったら…

▲37銀
 うおお、羽生さんが反発、受けずに銀の進出を優先させたああ!!!いやあ、これはどういう事だ?…そうか、36の歩に紐をつけておいて、いかにも飛んで来そうな△76飛に対しては、飛車の横利きが切れた瞬間の▲24歩の突き出しか?!

△62玉
 全然違った( ̄ii ̄)ハナジ。。仮に△76飛としてどうだったのかは分かりませんが、後手の豊島さんはそれを危険と見たか、一転して玉を美濃囲いの中に入れに行きました。まあどこかで玉型の整備に着手したいので、悪くないタイミングとも思えたのですが…

 この後、豊島さんは美濃囲いに成功、しかし羽生さんは壁形のまま。これで豊島さん十分と思ったのですが、豊島さんはそこから踏み込むことが出来ない。これは、羽生さんの守りが上手いのか、豊島さんが攻めあぐねているのか…。検討しているプロ棋士さんたちの見解では、「後手の方が手段が多いが、良くするのも大変」という感じ。この時に思い出していたのが、昔に羽生さんが言っていた言葉でした。羽生さんが若い頃、谷川さんと竜王位(?)をかけて戦った時に、「駒が全然前に進まなくなってしまった」事があったそうで。あの羽生さんですら、大一番のプレッシャーで、全く踏み込めなくなってしまうぐらいに、タイトル戦のプレッシャーというのは大きいそうで、もしかしたら今日の豊島さんもそうなのかも。そして、受け一方の手しか指す事の出来ない羽生さん、53手目についに壁形を解消!!71手目で攻めの右銀が遂に始動!!いやあ、早期決着の横歩取りで、勝負形に持ち込むまでに70手超か…。辛抱に辛抱を重ねた苦節70手、ようやく勝負できる形を築いてからの、ここからの羽生さんのまくりが凄かった!

20141023王座62-5_羽生vs豊島_横歩74手 盤面図は74手目、これが横歩取りの盤面図と言われても誰も信じないような居飛車vs振り飛車の形になっていますが(^^;)、これは先手不満なしまで来ているんじゃないかと。それどころか、既に逆転している?ひと目、先手からは角筋を通しての端攻めが決まりそうですが、後手はそれこそ角道止めての振り飛車的なカウンター狙いしか攻め筋がなさそう。そして…

▲14歩△同歩▲56歩△24歩▲12歩△同香▲13歩△25歩▲12歩成

 うわあ、端攻めが思いっきり決まっちゃいました。それにしても、露骨に▲14歩から入ったなあ…。しかしこれを防ぐ手だてが後手にはない。となれば、破られる間に反撃筋を用意しておきたかったところですが…これはなす術なしなんじゃないだろうか。

△33桂
 なるほど、桂を逃がしながら中央に跳ね出して、というところですが、せめて後手の飛車が5筋にいれば。しかし今から5筋に振り直したら▲45銀で終了。羽生さん、勝負形にしてからの踏み込みが凄すぎる。。

▲55歩
 いやあ、延々と決められていた5筋の位をここで解消!4~5筋の位こそが豊島さんの主張であったのに、これで後手の桂の跳ね出しも怖くなくなってしまいました。いやあ、この終盤での羽生さんの指し回しは絶品でしょう…。この前の竜王戦での森内さんの中終盤術もすごかったけど、これもすごいな…。

△57歩
 う~ん、これは「間違えたら寄せますよ」というひっかけかとは思うのですが、裏を返すと、こういう手を指さざるを得ないぐらいに豊島さんは自分が悪いと感じているんだろうな。それにこれ、▲同角でなんでもないような気が…。

 というわけで、ここから豊島さんは根性の寄せに行きますが、羽生さんはこれを寄せ合いに行かずに全部面倒を見て受け潰し。これにて羽生さんの勝ち…かと思ったら、羽生さん、最後の最後で手抜いて攻め合いに行った?!うおお、これはまずくないかい?羽生さん、受け間違えた?!で、このあたりでお互いが持ち時間が少なくなっての早指し戦に突入!!ここから、とんでもない寄せ合いの将棋が始まってしまうとは…。

20141023王座62-5_羽生vs豊島_横歩106手 まずは、終盤が紛れる事になってしまったと思われる、(10/25修正:その後、非常に強い方を含めて長時間に渡って検討したのですが、実はこれが素晴らしすぎる踏み込みだったのではないかという事になったので訂正させていただきます)羽生さんの107手目。豊島さんは、アマチュア弱小の僕から見てもはっきり悪い感じ、しかし攻めを止めた時点でオシマイなので、無理攻めや、強引な手作りを連発。タイトル獲得へのすさまじい執念ですが、この106手目は、さすがに強引な歩の突き出しというか、これを手抜いて攻め合いに来てくれれば、△47歩成で飛車を追うなり、△45飛で角道も通して面白い筋になりそう、という事なんでしょうが、▲同歩で完封負け、と思ったのですが…

▲95歩(107手目)
 おおっと、羽生さん、ここで攻め合いに行った?!いやあ、こういう信じられない踏み込みが間に合っちゃうのが羽生さんの怖さですが、しかしこれ、大丈夫なのか??これ、シロウトなら絶対に▲同歩なので、強い人ならではの読み抜けがあったんじゃないかと思うのですが…(10/25追記:これも同じ理由で、相応しくない見解だったと思いました。というのは、この踏み込みが素晴らしかったかどうかは、ここで手抜いての攻めから後手玉が寄るかどうかにかかっていると思うのですが、先手のほうが速いみたいです。この根拠は、恐らく最善であったと思われる豊島さんの112手目△56角の王手を合駒した瞬間(羽生さんは桂合を選択。しかしこの状況で桂を渡すというのは相当に怖いと思うのですが、しかし香を残すという意味からの選択であったとすれば、これも秒読みの中でものすごい判断力と戦慄してしまった…)が何手空きになるのかという所に掛かってくると思うのですが、その次に後手から王手が無く、1手空けての詰めろもない(例えば114手目の△92歩の守りに代えて△57金みたいな寄せでは、その瞬間に▲93銀から寄り筋、王手となる△67角成も▲同玉で継続手なし、△68金も▲同銀で金損の上に合駒に銀の紐をつけられてしまう、△88金から馬を作る手も▲同玉△87角成の瞬間が王手にならないというのがミソで、その瞬間に▲93銀が入ってしまうのでアウト)。というわけで、受けに対する読み筋は、攻防手さえ気をつければ、先手はここ迄の読みで充分、先手は受けの検討を打ち切ることが出来ます。そこまで読めれば、1手空きを継続して後手玉を追い込むことが出来るのかどうかという攻めに対する終盤問題だけに頭を使うことが出来る、というのが羽生さんの計算手順だったのではないかと。で、羽生さんの場合は、それが出来ると判断できたので(アマチュアの僕が天才のアタマの中は理解できるはずもないのですが、この後に続く分岐筋から判断するに、それでも羽生さんが寄せを読み切っていたとは信じられません。だから、この段階でも「詰み筋はあり、少なくとも2手空きの自陣よりも後手玉の寄りのほうが速いだろう」ぐらいの感覚的な判断だったのではないか)、この踏み込みにつながったのではないかと。「1手でも速い寄せ」と「安全勝ち」のどちらを評価するのかは、僕は難しい問題であると思うのですが、これって現在大流行の、コンピュータ将棋のような「数字で表す評価」という仕方が相応しくない事項と思えます。谷川将棋以降の「現代将棋」的な感覚でいえば、勝ちが見えた瞬間に踏み込んで勝ってしまうのがより価値が高いという判断基準から選択したと思われる今回の羽生さんの踏み込みは、その基準では「最善」なんだろうな、と思います。しかし安全勝ちを狙って自分の負けを消せるのであれば(実際、106手目△46歩に対して単に▲同歩と取った場合、有段者の方と相当色々と考えたのですが、後手の豊島さんの攻め筋は殆ど途絶え、完全に受け潰しとなったようにしか思えませんでした)、それが鋭い踏み込みよりも悪いのかというと、とてもそうは思えません。これは、数字で「こっちは+1000でこっちは+1100」とか、そういう平面的な評価の出来る事項では無いのではないかと。しかし、「凄さ」という事でいえば、羽生さんは「寄るだろう」「少なくとも、自玉の寄りよりもこちらのほうが速いだろう」という見当が立ったから踏み込んだわけで、その見当が立ったという時点で「凄い」としか言いようがないと思いました)

△45飛
 これはちょっと紛れちゃったんじゃないかい?▲95歩と突きだした以上は手抜いて▲94歩の詰めろと行きたい所でしょうが、それは△35角が角を抜きながら玉の逃げ道も用意、攻め筋まで用意する絶好手になっちゃいそう。これは▲71角成で王手をかまして手番を渡さずに行きたいところですが、こういう複雑な局面にしちゃうなら、受け潰しの安全勝ちを狙った方が良かったんじゃなかろうか…。

▲94歩
 うあああ、▲71角成までスルーして踏み込んだああ!!…序盤定跡の勉強が停滞気味の僕ですが、詰め将棋や終盤術の勉強は毎日コツコツ続けていて、終盤は結構自信がついてきているのですが…これが寄るとはどうしても思えない。羽生さん、最後の詰めの段階で、連続して間違えたか?信じられない、この前の竜王戦の挑戦者決定戦といい、去年までの羽生さんでは、こういう崩れ方は見た事が無かったぞ…。(10/25訂正:訂正だらけで申し訳ありませんが(^^;)、これも「速い寄せ」という観点から言えば、ほとんど最善手に近い手かと。)

△35角▲同飛△56角▲67桂
 あら~、完全な寄せ合いになっちゃいました(^^;)。いやあ、これはどっちが勝ったか分からないなあ。▲67桂の合駒も、秒読みに追われて放り込むように指したとの事なので、これは既に早指し戦に変わってますね(^^;)。

△92歩
 おっと、今度は豊島さんがタダの飛車を取らずに受けた?!受けないと寄っていたのか?これは秒読みならではの怖さなんでしょうね、すげえ将棋になったな…。(10/25追記:この豊島さんの着手は見事としか言いようがありませんでした。というのは、ここで△35飛で飛車を外してからの△39飛成は決まれば即死ですが、93の地点への先手の攻めが強力すぎて、▲93銀を指されてしまう事になるので、△39飛成を指せる日は永遠に来ない事になります。これが見えていなかったら、そもそも羽生さんは危険な後手からの攻め筋を手抜いてまで9筋攻めに踏み込んではいないわけで、ここでは豊島さんは何らかの方法で9筋を攻めを1枚減らす必要がある。本当なら9筋のどこかに中合してから王手香取りと出来る筋でもあれば良かったのですが、それはなさそう。結局は△92歩が最善と思えるのですが、悪いとみて攻め合いに踏み込んで、しかも持ち時間もなかった(既に1分将棋になっていた?)という状況で、ここで手を戻して受けに回ることが出来るという冷静さが凄い。)

 このとんでもない大混戦の寄せあいから、さらに20手以上の斬り合いが続き、いよいよ本局のクライマックスに!!いやあ、この寄せが凄すぎた!!!

20141023王座62-5_羽生vs豊島_横歩136手136手目盤面図、先手は手番ですが自陣がまたもや壁形、今日の羽生さんは壁に祟られてますね(^^;)。それだけに、全ての筋を読んでいる時間のない1手1分の早指しでは、一気に寄せに行きたいところだと思うのですが…(10/25追記:136手目盤面図の直前、ここに至るまでの経過は、先手の龍が93にいる状況から、△82銀と銀を貼って龍を追い返そうとし、しかしそれを羽生さんが▲88同龍と龍捨てで弾き飛ばして△88同玉という展開。この▲88同龍の踏み込みを、渡辺明さんをはじめとしたプロが絶賛しているのですが、僕には当然ありうる一着と思っていて(^^;)、ブログには書かなかったわけです。▲88龍の凄さというのは、「龍を切るのは良いが、それで次にどういう寄せ筋があるのか?」という所にあるんだと思います。で、多くのプロの方が指摘していた龍引きは、それでも先手玉が寄らないという計算が出来ている、というのと「88同龍からの寄せが見えなかった」というふたつから導かれているのではないかと。僕みたいなアホが「龍切りは普通」と思ってしまうのは、1分将棋の中で、自玉が「何手空きで危険なのか」が計算できていないので、手が続くかどうかも漠然としたまま連続王手から考えてしまい、且つもし連続王手なら▲88同龍が最善であるから。僕と同じように、▲88同龍から考えたアマの方も、それなりにいたんじゃないかと。しかし、高段の方になればなるほど、その凄さがわかる、という事だったんじゃないかと。それでも僕ぐらいの棋力の人が「龍引きは怖い」と感じるのにも理由はあって、仮に龍を94(or 95 or 96。97は蓋をする事になるので怖いので、攻めを考えれば94あたりが自然?当たりまで読むなら95の方が良いという事もあり得る?)に引いた場合、後手には△57桂成があって、これが△67成桂以下の詰めろ。この詰めろを解くには6筋に駒を投資する必要があり(▲68銀引でも受かる?しかし、受けに手を回すとその手と引き換えに△59歩成や△47歩成と、後手からどんどん攻め駒を増やされて相当危険になるように見えるので、読み切れなければ1枚駒を投資して置きたくなるのが自然に感じる…)、それこそこれは1手差の寄せ合いという状況になってしまう。というわけで、実は龍捨ての踏み込みというのは、▲91銀を含めた王手をしながらの寄せが見えているのであれば、実は2手空き以上をキープしたままの安全策…という計算だったんじゃなかろうか。それが、あの▲91銀につながった気がします。)

▲91銀
 アアアアア!!!なんだこりゃ~~~w(゚д゚* )w
!!!いやあ、△同玉と取らせてから、歩の連打で引っ張り出す?…いや、全然無理だな。△同玉から頭を押さえる?いやあ、まったく分からないぞ…
(10/25追記:この銀打ちを見た時の衝撃は忘れられません…。しかし、感想戦での羽生さんの「▲93銀のほうが明解」という発言も、相当に深い…。ここでの先手の寄せの考えは、「2手空きをどう活かすか」に絞られるんじゃないかと思います。必至筋は無いので、連続王手から詰めろ、が理想だと思うのですが、ここで王手をするには横に聴く駒を用いるしかないので、銀打ちから入るしかない。ここで一手空けて9筋に香を貼る手だと?いきなり△57桂成?それとも中合の歩で呼んでおいてから成り込む?先手は寄せに行くなら▲93銀△71玉▲82銀打△同香▲91飛△82香…みたいな感じで寄せ切れず、というわけで、9筋に香を利かすのは、詰めろになってない事になり、一方の△53桂成は先述の通り詰めろ。というわけで、△53桂成が入るより先に後手詰めろに追い込むのが理想で、結局それが通るのであれば銀打ちから入るのは最善。で、▲91銀か▲93銀の2択という事になるわけですが、変な手が先に見えてしまう僕の理解としては、要するに以下に続いた「変則ダンスの歩」みたいな順が見えていたのであれば、用は玉を引っ張り出す事が出来て82に利きを作れれば良いので、91の場合は香の成り込む場所が残されている分だけ徳、みたいな見え方をしたのかも…というのは甘い考えで、▲91銀以下の寄せは、豊島さんの受け次第では93に来る駒が銀がと金に入れ替わる事になる筋が発生して(実は本譜がそう)、これがオソロシイ狙い筋になる。これに関しては後述しますが、ここの寄せでは、同時に先手は1手空いた瞬間に△51金や△52金上や△52金右という脱出路を開けられる事も計算しないといけない。これも後述。)

△同玉▲93歩△82玉▲92歩成△同玉▲94歩
 すげええええ!!!なんだこの歩の連打の打ち直しは?!!!
こうやって敵玉の位置と自分の歩の位置を1段ずらすのか…。秒読みでこんなのを思いつくって、化け物じゃなかろうか、こんな順見た事ないぞ。。いやあ、生まれて初めてダンスの歩を知った時には感動してしまったのですが、それぐらいの感動でした。すげえええ。。

△82玉▲93歩成
 うああ、更に歩の成り捨てか…。しかしこれ、後手は悩ましいです。△同玉と行きたいところですが、明らかに玉を引っ張り出されてるよなあ。そうなると、もう1回▲94歩と叩くのか、あるいは▲91飛の打ち込みが通るなら決め手になっちゃいそう。かといって△71玉は即詰みはなさそうですが、思いっきり角のラインに入ってしまう上に、今度は後手が壁形に追い詰められる。左辺に逃げ出せるかどうかを読み切らないと△71玉は選べないと思うのですが…1分ではさすがの豊島さんでも読み切るのは無理だろう…。こうなると一種の勘に頼る事になるのか。。

△71玉
 こういう所に棋風が出るのでしょうね。羽生さんや佐藤康光さんなら△93同玉だったんじゃないかと思うのですが、森内さんや豊島さんは△71玉なんでしょうね…。長い目で見ると、△71玉を選ぶような棋士の方が強くなると思うんですが、早指しだと△同玉みたいな棋士の方が強いんだろうなあ。そして、驚異の歩の使い方から続く羽生さんの寄せが完璧。(*10/25追記:ここもアホな分析をしていますが、アマなので勘弁してくださいm(_ _)m。。ここ、△93同玉の場合どうなるかというと、問題の▲91銀に代えて▲93銀とした場合の△同玉に形は合流します。違いは歩を2枚余分に渡しているかどうかという点なのですが、歩を5枚持っていた羽生さんとしては、ほとんどそれが問題にならなかった、というわけです。で、△同玉と取ると何が起こるかというと、僕が考えていた▲94歩や▲91飛は超緩手。なんと▲71銀という手があるみたい(これを発見したのは僕じゃなくって、一緒に検討してくれた方です^^)。そんなのただジャン…と思いきや、これが絶品で、▲71銀を△71同金と取ってしまうと、その瞬間に9筋に香を貼られ、玉を引っ張り出された後に91(92でも大丈夫)から飛車をべチャッっと貼られて退路封鎖、これで即詰み。というわけで、△93同玉▲71銀に対して後手は退路を作る事が出来ず、こうなると飛香歩というタテの駒だけでも後手行は寄ってしまう。じゃ、その瞬間に先手玉を寄せようと思っても…手駒となった銀を活用しても、実は先手陣の堅さはさっきから全然変わってない。詰めろ状態の現状から後手は王手をかけるには△67角成、△68飛、△69銀しかありませんが、前者2つは「ただジャン」なので、残る△69銀▲同玉△67角成が唯一の反撃筋、しかもこの馬が94にも利いてきて攻防手か?!とも思ったのですが…それでも▲94歩から入れば、△同馬▲85銀で馬取り詰めろ。結局、棋風がどうとかではなく、どうにも豊島さん選択の△71玉が最善手だったのではないかと。いやあ、この状況でよくぞ…。)

▲91飛△51金▲54香△57桂成▲62角成△同玉▲53銀

 うああ、△57桂成は唯一の反撃筋かと思いますが、▲62角成の時点で必至ですね。。まで、153手に及ぶ激戦の末、羽生王座が防衛です!!!
(追記:一連の羽生さんの寄せの中で、先手が読み切らなくてはいけない項目のひとつが、退路封鎖であると思います。連続王手からの寄せがない以上、脱出口を開けられた時にどうするか…は、考えておかなくてはいけない事項。棋譜中継では△52金上の検討が載っていて、要約するとこれで▲53銀を消す事が出来るというのが大きい。ただ、飛車の横利きを通されているというのに、玉の退路を1段に限定してしまうように見える△52金上を選択しろというのは、将棋というのは恐ろしいゲームというか…。△52金上の前に、先に利かした▲54香の退路封鎖以下、戦場が中央の脱出口の攻防の末投了という事になったのですが、では中央に追い出す側の8~9筋からはどう追い出すかというと、これはどシンプルに▲82銀。飛車の横利きを活かした▲91飛の打ち込みなので、これを△同香と取る事が出来ずに△61玉の一手。で、ここからどう追うのかというと…待ち駒の筋はとりあえず置いておくとして(というか、追ってからではなく、先に▲54香が正着で、ここでも羽生さんの指し手は最善手にしか思えない)、ここで▲83とという手が成立してしまいます。これ、△同銀には▲82飛成があってほぼ終了なので取れず、かといって攻め合いは例によって間に合わないので△52玉。これ、仮に△83角とと金を外す手を選ぶと▲81銀不成△同銀▲同飛成で先手勝勢。しかしこの順はけっこう怖い推論が成り立つことになっちゃって、例の▲91銀に代えて▲93銀から入ると、93にいた駒がと金ではなくて銀という事になるので、この寄せ筋が発生しない事になる。羽生さんはこの金銀の入れ替えを計算していたという事に…まさかね(^^;)。で、△52玉まで行ってしまうと、それでも先手からの寄せがありそうな気がしますが、しかしこれは完全な「王手は追う手」となるので、やっぱり先に▲54香が明解なんじゃないかと。では、問題の△52金上は?これこそ、先手は先に▲82銀から王手から先に入る事になって、これをプロの検討通りに、▲8二銀△6一玉▲8一銀不成△同銀▲同飛成△7一香(実はこれが詰めろになってる!!)▲6八銀(という訳で、先手はここで一度受ける必要がある)△5七桂成▲同銀△6九銀▲7七玉△7八飛▲8六玉△6七角成▲7六歩と進めると…いやあ、手数こそ長くなってますが、要するに2手空きvs1手空きの構造は変わらないまま追いかけているというだけで、先手玉は結局△52金上でも先手の勝ちは動かないように見えます。で、本譜と同じような寄せを考えるなら、▲62角成△同金としてから▲54香とすれば同じ待ち駒からの寄せもあるし、そんな派手な寄せ方をしなくてももっと堅実な寄せもありそうです。)

 いやあ、勝った方が王座という大一番にふさわしい大熱戦でした!!序盤と終盤ではまったく違った趣になった将棋、面白かった!!しかし今日の将棋、さっきも書きましたが、これが「タイトル奪取の掛かった大一番」でなかったら、勝ったのは豊島さんだったかも知れません。序盤から中盤の入り口にかけては、完全に豊島さんの作戦勝ちに見えましたし、序盤で平然と飛車を切った電王戦の時の豊島さんだったら、あそこで躊躇なく踏み込んでいたという気がします。豊島さんは、この王座挑戦をかけた一番の丸山戦でも、今までとは全く違った借りてきた猫のような指し方になってしまった。やっぱり、勝負師というのは肝の太さというのも重要なんじゃないかと。裏を返せば、豊島さんというのは、場馴れしたらとんでもなく強い、森内さんみたいな棋士になっちゃうかもしれません。

 この王座戦といい、開催中の森内-糸谷の竜王戦といい、世界交代の闘争が続いています。この王座戦は紙一重の差で羽生さんが勝ちましたが、来年もう一度豊島さんと番勝負を戦ったら勝てないかも知れない。竜王戦も、森内さんが糸谷さんに先勝されたしなあ。しかし、素晴らしく面白い将棋でした!!

計画の立て直しが必要か?

 前回やっていた序盤定跡の勉強は、角交換四間飛車破り。それが終わったのが7月なので…なんと、かれこれ3か月以上もゴキゲン中飛車破りばかりを勉強している計算になります。

 一応、自分が勉強したと思った最低限の定跡研究は一巡。そんなものだから、「よ~し、ここから先はひとつひとつの戦型を丁寧に仕上げていこう!」と考えたわけですが…丁寧に仕上げると、とんでもなく深い事になるという事が判明。この方法、角換わりと角交換四間飛車の時は結構うまく行ったんですが、ゴキ中対策ではハマらなかった。角換わりの時は、素晴らしすぎる定跡書のおかげで、自分で調べてみたい筋なんてひとつもなかったんだけどなあ。現在は一直線穴熊の研究ばかりなんですが、詰むや詰まざるやみたいなところまで進んでも自分が良くなったと思えない筋が結構あるもので、100手を超えても研究を止められない…。で、自分で研究しまくっているものだから、3か月をかけても、定跡書の第1章の真ん中までしか来てない状況(^^;)。本業の下準備に余暇の時間を充てたもので、将棋の勉強時間が減ったというのはあるんですが。。

 いま、自分はこんなことをやってるんじゃないかという気になっています。1本彫りで仏像を切り出すのに、顔ばかりをすごく丁寧に彫っていて、しかし体は放ったらかし、みたいな。少なくとも対中飛車対策では、第2段階の大雑把な彫り込みが必要で、まだ仕上げに入れる段階じゃなかった。。これは計画を立て直す必要がありそうです。まあでも乗りかかった船なので、中飛車vs先手穴熊だけは、途中でやめず、最後までガッチガチに研究してみよう。こういう経験も、なんかプロ棋士の生活をロールプレイしているみたいで結構楽しいし。しかし、次に手をつけようとしている対三間飛車の研究は、今回の教訓を活かして、もっと大雑把にやる事にしよう。

 そうそう、本業の方は、すごく久しぶりに自分の作品を発表できることになりそうです!!僕の仕事は既に終了、あとは発売元が仕上げてくれるのを待つばかり(^^)。これも、将棋の序盤勉強じゃないけど、下準備が大変だった…4年がかりだもんなあ。計算すれば、僕がこういう作品を仕上げることが出来るのは、人生であと6~7回ぐらいが限界なんだろうな、こうやって人生が終わっていくんだろうなあ(遠い目)。…生きられるのはあと30年ぐらいか、場合によってはいきなり明日死ぬかもしれないしな、悔いなく生きる事にしよう(^^)。

 将棋は、上半期は超伸び盛り、夏場以降は辛抱の1年になりそうですが、本業はまったくその反対。本業と趣味の関係…意外といいバランスに修正出来ているのかも知れません。

第64回NHK杯 羽生善治 vs 高橋道雄 (横歩取り青野流)

 10月に入って、NHK杯もいよいよ大物棋士が続々登場してきました。そして今回は…おおお、ついに来ました、羽生さんだあああ!!そして対戦相手は高橋道雄さん。高橋さんは古豪で、けっこう古い手を指してくるので、新しい将棋ファンの僕としては戦型自体がかなり勉強になります。新し目の棋書ばかりで勉強しているものだから、昔の本筋とかを知らなかったりするもので(^^;ゞ。去年だったか、横歩取りで、飛車を真ん中に振ってから2枚の桂を跳ね出して中央突破する形を指して、若手強豪を破った将棋なんかもありました。これが、定跡書にも書いてなかった、まったく見た事のない構想だったものでビビりました。で、「昔、中原さんが得意にしていた形」と聞いて2度ビックリ。現在使われなくなったという事は、どこかにマズい変化があると思うのですが、プロですら昔の定跡に全て通じているわけではなくって、知らないと受け切れないものなんだ…と思ったのです。

 で、今日の将棋は、どちらが先手になっても横歩になるんじゃないかと思っていたのですが、やはり横歩取り!!しかし意外だったのは、羽生さんが青野流を採用した事。青野流を見たのは、それこそNHKの郷田-丸山戦以来の気がします。しかし指されてみれば、こういうのを試すならNHK杯のような棋戦というのは最適かも。そして後手の高橋さんは…

20141019NHK_羽生vs高橋道_横歩青野流18手△85飛 (18手目盤面図)

 いやあ…当然ある手なので、これも前例はいっぱいあって定跡化されていると思うのですが、僕が勉強したのは△41玉とか△42玉とか△52玉あたりの、先に自陣を整備する手ばかり。△85飛はネット将棋で指された事はあるのですが、全然ちゃんと調べてないぞ…。

▲77桂
 ここ、僕は「△85飛には▲87歩で受けないと、△86歩▲33角成△同金▲88歩△34金で先手の飛車が切り取られてしまう」と学んだような記憶があったので、桂跳ねはまったくのノーマーク。しかしどうも桂跳ねが超本筋みたいですね。一体何と記憶違いしていたんだろうか…。いやあ、最序盤での変化が膨大なうえに、間違えると即死だから横歩は難しい…。いいや、この2手だけでも今日は収穫だ(^^)。しかし、△85飛型に対する▲77桂は、先手が良くなる変化が多いですね。

△82飛
 これもまったく意外。解説の一二三さんも「珍しい」と言っていたので、もしかしたら新手かも知れません。単純な考えでは、横歩で先手の飛車を2筋に戻すのは、後手の飛車を2筋に回されるのがイヤだから。それが青野流の為に戻りきれていないのだから、ここは△25飛が自然に思えるのですが…これも、きっといくらでも前例があるんでしょうね(^^;)。この筋が詳しく書いてある定跡書ってないのかなあ。そうそう、青野流だったかどうか忘れましたが、阿久津さんが後手横歩で82まで飛車を引いた事があったな…。

▲96歩△41玉▲75歩△62銀▲85歩
 なるほど、角がピクリとも動けない点も勘案して端歩をあげ、桂の活用と飛車引きを構想して▲75歩。先手は駒の活用を図る自然な構想に見えます。一方の後手は青野流に対するオーソドックスな守りの△41玉型の中原囲いの構想、かと思ったのですが…

△42角
 ええええ~゜Д゜ヾ!!こんな所に角を引くのは見た事ないぞ。。いやあ、これが守りを考えた手とは到底思えないので、攻めの手なんでしょうが…△54歩から端を狙う?高橋さん、すごい構想ですが、こんなんで後手陣は大丈夫なのか?ただでさえ青野流に△41玉型は左銀を22銀としづらくて守りにくいというのに…。この角引きがこの将棋の模様を決定づけたというか、これでも結構勝負形になったのはさすがでした。なんというか、高橋さんの将棋って、僕が勉強してきた定跡書なんかとは形勢判断の根拠や大局観そのものが違うというか、中盤の構想が独特なんですよね。郷田さんみたいな自然な指し手と手筋の組み合わせで将棋を作るのではなく、独創力があるというか。「そういう指し手があり得るのか?!」と、驚かされます。今日のこの手も凄かった…。怖すぎて、真似する気にはなれませんが(^^;)。。

20141019NHK_羽生vs高橋道_横歩青野流56手 そして、終盤の入り口にも見所が!!高橋さんが作り出した端を睨んだ角のラインを活かしての攻防が先手陣左辺で延々と続いたのですが、この中盤戦をぶった切って羽生さんから信じられない手が飛び出しました。盤面図は56手目、手番の回ってきた羽生さんが放った手は…

▲23歩
 うおおお、中盤の攻防をいきなり放り出して、いきなり切り込んだあああ!!
しかしこの手…ぼんやりしていてよく分からないぞ。解説の一二三さんが、「狙いは△同金なら▲73歩成から…」と言っていたのですが、よく聴き取れませんでした(>_<)。なんか、最後は▲35桂が決まるみたいな解説だったので、△同金▲73歩成△同桂▲同桂△同角▲35桂、みたいな感じなのかな?
 しかしこれ、後手があの角引きの構想をした時点で、それを咎めるというか、後手陣を乱す手をずっと考えていたんでしょうね。また、仮に受け切れないにしても、先手左辺が崩れるまでは、足の長い駒の利きが通るまでに2手はかかるから、もうそれらを全部手抜いて攻撃してしまうという見通しの立て方をした、という事なのだと思うのですが、これが素晴らしすぎる。中盤からいきなり終盤に引きずり込んだこのタダ捨ての歩、こういうのを指せるようになるには何を考えていなくてはならないのか、というのを学ぶことが出来たような気がしました。

 結果は、95手で先手羽生さんの勝ち!!A級棋士が続々と敗退していく中、さすがの勝利でした。しかし、高橋さんの将棋も構想も独創的というか、見ていてすごく面白かったです(^^)。

第27期竜王戦 第1局 糸谷哲郎 vs 森内俊之 (角換わり相腰掛け銀)

今回の竜王戦は、決勝トーナメントが面白すぎました!!名局、熱戦のオンパレードの上、強豪をなぎ倒して挑戦権を獲得した糸谷さんは見事!「渡辺さんと同じように、糸谷さんも竜王戦を切っ掛けに糸谷時代を築くかも」なんて書きましたが、さてどうなりますか…。そして、角換わりの糸谷さんに対し、森内さんは後手番で角換わりに誘導!なんという怖いもの知らず、王者の風格です。。

 まずは序盤が面白かった!糸谷さんは駒組みの順が面白く、「腰掛け銀にいくとは限りませんよ」という感じで、含みを持たせている感じ。森内さんも右玉に行くんじゃないかとも一瞬思ったのですが、やっぱり森内さんは森内さん、王道の腰掛け銀に。で、「おお、先手早繰り銀だ!」と思わせたところから糸谷さんは腰掛け銀に。いやあ、塚田さんの指した角換わりの序盤でも、色々と含みを持たせてから腰掛け銀に組んだ将棋を見た事があるのですが、将棋歴の浅い僕は、今の王道の腰掛け銀への駒組み手順しか知らないので、この辺りは古い棋譜とかを研究すると色々とあるんでしょうね。。そして、典型的な角換わり相腰掛け銀から、森内さんが指した42手目が…

20141018竜王27-1_糸谷vs森内_角換腰掛銀42手△24銀(42手目盤面図)

 おおお、戦場になりそうな4筋から銀を逸らすという、どう見ても損にしか見えないこの銀上がりは最近見た事があるぞ…そうだ、B1順位戦の▲丸山-△豊島戦だ!でもあれって先手丸山さんがキッチリ仕上げたんじゃなかったっけ?しかしこの奇抜な手を思いつきで指すとも思えないので、森内さんは何か研究があるんでしょうね。

▲28飛△33銀
 普通に4筋から開戦でも先手は悪くなかったと思うんですが、それだといかにも森内さんの研究に飛び込んでいく事になりそう。また、▲25歩で銀を下げるのも調べていないわけがない。というわけで、糸谷さんは、▲28飛という、自然でありながら研究されていなさそうな手を選びました。しかし、4筋に振った飛車を2筋に振りかえすというのも、最近見た気が…ああそうか、NHK杯の▲木村-△森内戦か!!あれは凄まじい大熱戦でしたが、その将棋をなぞる事になる?いや、あれは同型に合流していたから後手の右桂が跳ねていた筈か…いやあ、角換わりは気合を入れて勉強したのに、定跡部分だけでも難しい…。

▲18香△43金直
 この香浮きは渋い…。自陣角から桂を狙われた時の予めの避け?手待ち?真意が解りませんが、それに対する森内さんの△43金直の方は明らかな手待ちなので、もしかして術中にハマったのは森内さんの方?

▲48飛△42金引
 先手が飛車をもう一度4筋に振り直すのは分かります。そして、こうなった時に堅陣に出来る△42金引も自然。しかしこれは…双方とも手詰まり気味?これ、どうやって打開するんだろうか。手待ちに誘導している以上、後手から仕掛けるという事はなさそうですが…

▲98香
 うああ、やっぱり打開せず。穴熊への組み替えだよ…。これは、仕掛けた方が負けという、角換わり腰掛け銀の手詰まり状態に突入か?

△35歩
 おおお、なんと後手から仕掛けたああ!!!しかし、△35歩からの仕掛けは、僕が勉強した定跡本なんかだとすべて後手は苦しくしかならないんですが、大丈夫なのか?それとも、相穴熊へのトランスフォームは手損の激しい後手不利と見て、無理気味と分かっていながらの仕掛け?

 そして、ここからがさすがはタイトル戦というものすごい指し手の連続。さすがに自分から自陣を乱して攻めに行った後手が難しい指し手を強要されるのは仕方のない所ですが、しかし森内さんの攻めが実に見事で辛い状態から勝負形を作ってしまいます。また、「これは先手良くなったかな」という所からも、攻めるべきか守るべきかの判断が難しい形を作り出し、難解な局面に引きずり込んでしまいます。竜王すげえ…。
 しかし、糸谷さんの寄せ力は、今回の竜王戦決勝トーナメントで痛いほど見せつけられた通り。「これは難しいんじゃないか」と思ったところから、ズバッと斬り込んでの鮮やかな寄せ。結果、133手にて糸谷さんの勝ち!!

 いやあ、これはすごい将棋でした。駒が当たってからは鳥肌モノの見事な将棋。糸谷さんの強さはホンモノ!しかし…負けた筈の森内さんの強さに戦慄してしまった。勝ち負けだけ見れば、あの42手目△24銀が、やっぱり無理な形なんであって、それが結果につながったという事で、しかし中終盤の将棋力では互角もしくは森内さんの方が強かったんじゃなかろうか。

 しかし、糸谷さんの終盤力は素晴らしいですね。決めに行くときは攻めダルマというか、迷いがありません。これは、本当に糸谷時代の幕開けを告げる竜王戦になるかも?!

第73期A級順位戦 4回戦

 羽生さんがA級にいる時は、毎回羽生さんのぶっちぎりだったA級順位戦ですが、羽生さんのいなくなった今年は大混戦状態!昨日は、唯一の全勝だった行方さんの対局だったのですが…

20141017順位戦A_行方vs久保14手行方尚史 ●-○ 久保利明
 うおお、行方さん、負けたああ!!まだ前半戦の4回戦で全勝が一人もいなくなるという大混戦になりました!そして、この将棋も角交換四間飛車の形からの4-3戦法。先週のNHK杯で藤井さんがかましたアレですね。そして、久保さんは72手という短手数での勝ち。盤面図は14手目という序盤の駒組み途中ですが、先週の藤井さんと違って、久保さんは飛車を浮いて角道オープンの石田流の形を選択。ここからなんと先手行方さんから一手損で角交換を挑んだのですが、その為か守りの金を玉にくっつけるところまで行くことが出来ず、最後まで玉の右脇ががら空き。で、飛車交換まで強要される形になって…こうなってはもう駒組みの差が大きすぎてアウト。いやあ、やっぱりこの戦型は居飛車が囲いで大きく出遅れるので、居飛車としてはおっかないなあ。最近思うんですが、プロの方が、僕みたいなヘナチョコアマですら「え?それはまずいんじゃないの?」という所に踏み込んでいく将棋ってありますよね。でもプロだから、なんかすごい事を狙ってるのかとか、何か研究があるのかと、ワクワクしてみていると、そのまま普通に負けたりする(^^;)。行方さんは急戦で一気にカタをつけに行ったんじゃないかと思うのですが、何を狙っていたのかはちょっと知りたい。しかし、やっぱり振り飛車を指す人がひとりでもA級にいてくれると、対抗型の勉強になるので本当にうれしいです(^^)。

佐藤康光 ●-○ 三浦弘行
 以下の対局は、既に対局済だった4回戦。今回のA級ですが、実は三浦さんが危ないんじゃないかと思っていたんですが、全勝の佐藤さんに一発入れました!これで佐藤さんの全勝が消えるとともに、三浦さんの全敗も消え、これまた混戦状態を引き起こす対局に。

郷田真隆 ●-○ 渡辺明
 これまた混戦状態を引き起こす一番で、全敗の渡辺さんが勝つ結果に。この将棋、渡辺さんが後手だったので、また振り飛車を指すんじゃないかとヒヤヒヤしたんですが、矢倉本組のガチガチの将棋に。で、なんと88手で後手の勝ち!郷田さんは▲46銀37桂に行こうと思ったんじゃないかと思うのですが、銀があがった瞬間に歩を突きあげられて銀を下げられました。この将棋は4筋に飛車を回って戦場にすることで先手よしと思っていたのですが、渡辺さんの素晴らしい指し回しで後手の圧勝。やっぱり渡辺さんは純粋居飛車党で行った方がいいと思うなあ。

20141002順位A_深浦vs阿久津8手深浦康市 ○-● 阿久津主税
 この将棋は後手の阿久津さんが序盤で力戦に持ち込んだ将棋で、ちょっと面白い出だしでした。後手の最初の指し手は、△34歩(角道オープン)~△94歩~△95歩(端歩を伸ばす)~△88角成(一手損角交換)、という流れ(・ω・ノ)ノヒョエ~。で、通洞の相居飛車角換わり的な将棋になるのではなく、阿久津さんは4間飛車に振っての戦い、なのですが…深浦さん、まったく問題にせずにキッチリ咎めて79手で圧勝。
 序盤を振り返ると、こんな感じ。盤面図は後手から角交換を挑んだ瞬間ですが、ここから…

▲同銀△22銀▲24歩△同歩▲同飛△31金▲28飛△33銀▲24歩△22歩

 う~ん…飛車先を軽くされた上に22に歩を打たされ、左金も左に寄らされて、まだ何も始まっていないというのに先手が相当に指しやすくなっちゃったように見えちゃいます(^^;)。阿久津さんって、こういうイケイケ的な将棋を指す事もあるので何とも言えませんが、初のA級で全敗なものだから、まともな戦いを避けて奇策に走った…ように思えるなあ。。もしそうなら、負けた時に「どうせ負けるなら自分の実力をぶつけてみてば良かった」とならないように、正攻法でぶち当たってみてほしいと思ってしまいます。これで阿久津さんは唯一の4戦全敗、順位も最下位なので、相当マズそうです。一方の深浦さんは3勝1敗のうえ、渡辺さんと森内さんを倒しているというのがデカい。この将棋での深浦さんの中盤以降の指し手もものすごい。マジで強い。「こんな指し手を決めてみたい」と思うぐらいに本気で凄い。これはもしかして、名人挑戦の一番手か?!…と言いたいところですが、強い人を難なく倒しながら若手や女流にもコロコロ負けるから、この人は読めません(^^;)。

森内俊之 ●-○ 広瀬章人
 いやあ、広瀬さんは強い!森内さん相手に、後手番の矢倉本組で勝ちです!羽生世代以下の棋士では、渡辺さんと広瀬さんがちょっとアタマひとつ抜けている気がします。序盤からまったく隙がないし、しかも終盤がべらぼうに強いというのがホンモノという感じ。でも、大学にまで行っていた棋士なので、絶対に序盤に穴があるんだろうなあ。ベテランの右四間飛車にコロッと負けたりしていたし(^^)。しかし、森内さんも矢倉中飛車にいったりして、この将棋以外の事も考えていたんじゃないかという指し方でちょっと不気味でした。竜王戦に備えて矢倉の研究を隠した?…といっても、糸谷さんは矢倉を指しそうにないし、ちょっと分かりません。いずれにしても、これで優勝候補の森内元名人がはやくも2敗目、広瀬さんは森内さん、渡辺さん、深浦さんを倒しての3勝目!!これは本当にA級の力があるわ。。

 というわけで、A級順位戦は超混戦!挑戦者争いも降級争いもかなりアツいです。個人的には康光さん応援ですが、ここから渡辺さんと森内さんの両方に勝てるとも思えないんだよなあ。深浦さんと広瀬さんは、マジで挑戦もあるんじゃないかと思います。一方の降級争いでは、順位も低く成績も全敗の阿久津さんは苦しい展開になりましたが、逆にこうなると阿久津さんに取りこぼすと挑戦権が消えるという展開にもなりそうで、意外と阿久津さんがキーマンになったりして。

電王戦ファイナルの出場棋士

 人間vsコンピュータの電王戦が、次回でラストだそうで。前々回は全局食い入るように見て、前回はほとんど見なかった。タッグマッチなんて企画自体がアホすぎて1秒も見てません。そして今回…場合によっては意義深いことになる事もあり得るという、わずかな期待が残っていたもので(^^)、メンツは気になってました。で、出場棋士は…

斎藤慎太郎 (5段/C級1組)
永瀬拓矢 (6段/C級2組)
稲葉陽 (7段/B級2組)
村山慈明 (7段/B級1組)
阿久津主税 (8段/A級10位)

 タイトル戦で登場した新手をいちいち調べている程度には将棋好きなので、プロ棋士のべらぼうな強さを少しは理解しているつもりですが…なんだこの微妙な人選は(^^;)。このメンバーの中にタイトル経験者は一人もいないし、それどころかタイトルに挑戦した事のある人すらいない。つまり、今までよりもダウングレードにしか見えない(今回の出場棋士の方を乏しめる意図はないんです。あくまで、今までにコンピュータと対戦してきた三浦さんや屋敷さんや豊島さん、更に以前の渡辺さんや米長さんに比べて、という意味です)。それでも仮に前回と同じぐらいの強さだと仮定して、プロ棋士の成績が前回を上回るなんて事があり得るんですかね?つまり、「人間が前回よりも好成績を上げる可能性が薄いと思われる」という見通しが簡単にたってしまう中で、あるいは「今までよりも強い人間がコンピューターと指すとどういう結果になるのか」という挑戦がない状態で、電王戦を更に開催する意味って、どの辺にあるんですかね?僕にとっては、これがどうしても理解できません。

 電王戦って、最初の団体戦(第2回?)までは、大変な意義があったと思います。しかし前回からは、意味や意義なんて考えてなくて(考えていたとしても意義が薄すぎて)、単なる興業としか思えない。しかし、興業だって意味や意義が無かったら楽しくすらないわけで、興業としての企画力すら低いというか…。主催者がアレなのは今更として、将棋連盟はこの興業をする事で何を得るんですかね?僕は、谷川会長というのは、棋士としてはべらぼうに尊敬するけれども、組織を運営する長としては非常に能力に欠ける人だと思う。大体、「日本将棋連盟」というのがプロ棋士のための存在だけじゃなくって、アマチュアなんかも包括した上での上部組織として成立してしまっているという事を自覚した上で舵を切ってほしいです。

 僕は、第3回以降の電王戦なんてやらない方がいいと思ってきた人間です。しかしそれでも続けるというなら、人間のトップレベルが出て、しかも負けが十分にあり得ると覚悟した上でやるべきなんじゃないかと思います。羽生さん、森内さん、渡辺さんの誰かが出て、3番勝負をやる。それで負けたとして何が起こるかを考えた上で、それでもというのならやってもいいと思う。そこまでの棋士を出さないとしても、前回からの流れで言えば、三浦さんや屋敷さんや豊島さんよりも格上の棋士(佐藤康光さん、郷田さん、深浦さんあたり?)の方の出場でも、対局する意味はあったと思います。しかし今回のメンバーでは…コンピュータ以前に、羽生さんや森内さんや渡辺さん相手にだって勝てるとは思えない。という事は、「人間とコンピュータのどちらが勝つか」という命題自体が成り立たない。

 それでもこの興業を楽しむとしたら…勝った人が出たら、「おお、すげえ」というぐらいの所になるんでしょうか。それもレベルの低い話だよな…。斎藤さんは、男をあげるチャンスかもしれません。負けたって叩かれないだろうし、しかし勝てば英雄扱いになるでしょうしね。実際に勝つ可能性が強く見込めそうなのは、実力と棋風から判断すれば、永瀬さんでしょうか。これだって、どれぐらい本気で対策するかにかかってくる…という、「コンピュータの穴を探す」というレベルの話にしかならない気がするなあ。

第64回NHK杯 藤井猛 vs 佐藤康光 指し直し局 (43戦法) 

 今週のNHK杯将棋は佐藤康光さんと藤井猛さんという、先週に続いての好カード!!対振り飛車対策に勤しんでいる身としては、角交換四間飛車や藤井システムなど、斬新な振り飛車の戦型を指してくる藤井さんの将棋はものすごく勉強になるのです(居飛車が勝ってくれないと、対策の勉強にならないのですが^^)。A級順位戦とタイトル戦だけを追っていると、振り飛車はあまり見れないので、本当にありがたい。これは見逃せない、絶対に見ようと思って楽しみにしていたのですが…寝坊した(- -*)。。どうも既に指し直し局になった模様。

 さて、戦型は…先手の藤井さん、角道オープンの四間飛車の構えから、飛車を三間に振り直しての特攻。これが43戦法というヤツでしょうか?43戦法とか343戦法とかの石田流系のバリエーションの対策が追いついてないんだよなあ。中飛車破りの勉強が一段落したら、三間飛車対策を始めようかなあ。大体、三間飛車対策は早石田対策しかマジメに勉強していないに等しい状態というのもマズイ。。というわけで、この戦型の超初心者としては、佐藤さんの序盤を参考にしよう(^^)。そういえば、三間飛車対策で最初に参考にしたのは佐藤さんの本だったしな。。

20141012NHK指直_藤井vs佐藤康13手 盤面図は13手、先手角交換四間飛車の構えから、7筋の歩を伸ばして飛車の振り直しが予想される展開になった局面。予想外の手で位を取られるのって嫌なんだよなあ。ここからの展開は…

△15歩▲78飛△64歩
 なるほど、端歩の突き出しが間に合っていない美濃に対し、佐藤さんは端歩を突きだして棺桶美濃を強要しました。僕ならビビって7筋の備えか、対三間飛車で愛用している▲85歩か、自玉の整備に一手使ってしまいそうですが、この辺りが妥協のない手というか、戦場は受かるという確信があるんでしょうね。これは強い人じゃないと指しにくいだろうな。。
 で、振り飛車は飛車を3間に振り直し、居飛車は角交換3間飛車の受けの構えの63銀を狙う△64歩、と。しかし、居飛車が飛車先の歩を伸ばすのを保留しているのは、角交換をケアしているからかな?角道が止まっていたら絶対に伸ばしそうですが。

▲74歩
 うおお、速ええええ!!もう仕掛けたぞ!!
あくまで僕のイメージなのですが、三間飛車って、石田流に限らず、急戦型の戦型だという気がしてます。昔は違ったのかも知れませんが、石田の形からじっくり指す橋本さんみたいな方が異種というか。三間の急戦って、受け間違えると即死だから怖いんだよなあ。しかも今回は角道オープンで互いに角が質駒、居飛車は玉をまったく囲えてない状態だし、これは生きた心地がしないわ。

△72金
 この金寄りと似たような受けを『佐藤康光の石田流破り』で読んだことがあるのですが、あんまり使った事がないなあ。早石田に対しては▲74歩を△同歩と取り返さず、▲73歩成と踏み込ませてから△同銀と取り返す事が多いですが、あれって何でなのか、マジメに考えた事がない(^^;)。しかし、この角道オープンの形でも取り返さないのか。63銀の間に合わなかった居飛車としては、▲74歩△同歩▲同飛△63銀という順にすれば、形は間に合うし、三間飛車のいやらしい攻めのひとつである横歩取りも防げると思うんですが、それではマズい筋があるのかな?…知らない形の急戦ほど怖いものはありません。

▲22角成△同銀▲73歩成△同金(22手目盤面図)
 おお、藤井さん、角交換を挟んでからの仕掛けです!しかし、▲73歩成は銀で取りそうなものですが、金で取るんだな…。なるほど、▲73歩成△同銀▲74歩△62銀より、▲73歩成△同金▲74歩△63金の方が形が良いという事、かな?

20141012NHK指直_藤井vs佐藤康22手 ここでの振り飛車の指し手も知りたいところでした。左金は恐らくどこかで美濃にくっつけるとして、攻め手としては左銀を繰り出しての攻めか、向かい飛車への振り直しぐらいでしょうか。歩で叩いての打開は、さっき金で歩を外されたので、指し手を逆用されて居飛車に好形に組まれそうだしな。

▲88銀△33銀▲77銀△63銀▲58金左△22玉
 おお、やっぱり攻めには左銀をつかい、左金は美濃にくっつけましたね。しかしそれと引き換えに居飛車は▲77銀を指す事が出来て壁形を解消するとともに矢倉への組み替えが可能になり、待望の△63銀の形も作る事が出来ました。居飛車としては、これで序盤の急戦の恐怖はひとまず解消、といった所でしょうか。しかし、現状の駒組みは、金銀が左右にばらけたうえ、振り飛車にあまり強くない矢倉を強要された居飛車の方が悪いように見えるなあ…。角交換振り飛車の恐怖って、対抗型で矢倉を強要される点にあると感じています。

▲46歩△32金▲66銀
 角交換振り飛車で、しかも三間に構えた以上、居飛車が囲い切れないうちにあくまで急戦調で行くのかと思っていたもので、ここでギアを入れ替えての美濃のトランスフォームに先に手をつけたのはちょっと意外でした。棺桶美濃にされてしまったので、角桂を使っての美濃崩しを今消しておかないと間に合わない、という考えかな?また、仮に居飛車が矢倉を完成させたとしても、振り飛車の横からの攻めに対しては玉形で振り飛車が優るという判断でしょうか。

△74歩▲47金
 居飛車はここで△74歩、手堅く局面を収めに行きました。やっぱり、現状で戦いになったら振り飛車の方が良いと見たんでしょうね。それに、こういう形って、振り飛車から大駒を切っての攻め筋がありそうで怖い…。

△85歩▲88飛
 居飛車、待望の反撃への着手です!!ここで▲77銀と受けているようでは振り飛車は作戦負けというか、何やってるんだか分からないので、向かい飛車は妥当な選択ではないかと。しかし…居飛車が右の金銀をどう捌くのか、これを見てみたい。佐藤さんって、グッチャグチャな局面から陣形を綺麗にまとめるのが異常にうまいからなあ。

20141012NHK指直_藤井vs佐藤康36手△54銀 (36手目盤面図)

 構想がどうとかいう以前に、右銀を活用しようと思ったらこれしかないですよね。で、この△54銀を活かした構想を組み立てるとしたら…守るなら△54銀~△44歩~△43銀、攻めるなら△54銀~△65歩でしょうか。しかしその間に右金をどうするか、振り飛車の反撃筋の▲71角とか、66の銀を使っての反撃筋も考えておかなくちゃいけないのか。

▲56歩△65歩
 先手の▲56歩は、銀の進出を阻むとともに、恐らく△65歩に対する自分の左銀の活用を狙ったのではないかと。例えば、△65歩に対して、守るなら▲56銀の引き場所を作る事になるし、攻めるなら▲55銀とぶつける手も考えられる。しかしここで佐藤さん、それでも踏み込みました!!いやあ、ここが中盤の山だったんではないかと。ここで藤井さんの応手は…

▲77銀
 この銀引きは、もしかしたら最善手かも知れないんですが、無責任に観戦している側としては、代えて▲55銀とぶつけてどうなるのかを知りたかったです。それで後手が△63銀と引くようでは後手の手損が大きいし、そもそも△54銀を咎める事にもなる。となると、銀交換が自然な流れだと思うのですが、銀交換が起きた後の陣形差では、振り飛車は角の打ち込みに万全の態勢なのに対して、居飛車は角の打ち込みを防ぎにくい気がします。じゃ、なんで▲55歩を指したんだろうかというと…そうか、この陣形差で佐藤さんが踏み込んでくるとは思ってなかったんだな。で、▲56銀の受けは、角交換からの向かい飛車に対する居飛車必殺の反撃筋である△44角が恐かったので▲77銀という事なんだな、きっと。

△44歩▲36歩△45歩▲同歩△同銀
 うおお、振り飛車が受けに回った途端、佐藤さんの鬼の攻めが来ました!右銀を対角に伸ばして美濃を潰しに行くのか、すげえ。。羽生さんとか佐藤さんって、振り飛車を潰すのにこういう対角線に銀を伸ばす時がありますが、こういうとんでもない構想って、見ていてスゴイと思います。これは僕には一生かかっても指せそうにないな。。

 中盤の山場で居飛車の攻めという状況になって以降は、対抗形らしい攻防戦。しかしさすがは双方とも一流、ここからが面白すぎ。先週に続いて、今週も大名局!!佐藤さんの構想が大胆すぎてついていけません。とんでもなくデンジャラスな方法で強引に馬を作り、そこまでして作った馬を平然と見捨てての踏み込み、以降も無理やり攻め筋を作ってしまいます。2枚しかない矢倉の守りの要の左銀まで攻撃参加、あり得ない位置への桂の打ち込み…もう、一生懸命勉強してきたはずの僕の将棋観が全部覆されるような指し手の連続。マジで変態だわ、この人…。。
 しかし、このとんでもない指し回しに幻惑されたか、藤井さんもとんでもない桂打ちで寄せ合いに出てしまい、これで佐藤さんの勝ち!!と思いきや…変態流が行き過ぎたか、あとは安全に玉を躱すだけで良さそうな所でこれまた変態な所に逃げてしまって佐藤さんが頓死気味の爆死。結果、121手にて先手藤井さんの大逆転勝ち!!

 中盤入口まではものすごく読みの入った素晴らしく慎重な将棋、それが一度踏み込んでからはとんでもなく強引な手の連続という、良い意味でわけのわからない将棋でした(^^;)。駒組みで優勢を築くことが不可能になったから複雑な局面を作り出し行ったのかも知れませんが…指し直しで面倒くさくなったんだな、きっと( ̄ー ̄)。しかし、見ている側としたらこんなに楽しい将棋もありませんでした。
 今期のNHK杯、A級棋士が初戦で続々と消えていきますね。渡辺さんに郷田さん、そして佐藤康光さんまで初登場で消えるとは。よもや、来週の羽生さんまで来週に消えてしまわないだろうな…心配になってきました(^^;)。



妻に将棋を教えてみた③ ~コーチングについて思った事~

 またまた将棋好きの甥っ子と会う事に。しかし、玉と歩3枚だけの僕に負かされて以来、僕とはもうやりたくない模様(子供相手に、ムキになりすぎました(^^;ゞ)。で、どうしたかというと…妻に楽しく将棋を教えてれば、甥っ子が興味を持って自分から入ってくるんじゃないかと。

 妻も妻で、一時はうまくなってきたと思ったのに、少し時間を空けたものだからもうボロボロ。ハムスター将棋という超弱小相手に、8枚落ちでもボコボコにされ、悔しさのあまりが枕にバックドロップをしています(^^;)。基本的な事は教えたので、あとは暇な時にでもハム将棋と適当に対局してて貰えば、ある程度のところまでは自動的に強くなると思っていたのですが(^^;)。。曰く、「何を指していいのかまったく分からなくて、ストレスばっかり溜まってイライラする」との事。なるほど、手の善悪どころか、指し手自体を全く思いつかないのか。それだとたしかに面白くないかもなあ…。

 結局、直接僕が相手をしてみました。僕は相当にゆるめて、何度も手を戻しながら、アドバイスしたり色んな事を教えたりしながら。すると…おおお、妻、楽しそうだ。。もしかすると、好きになってもらいながら上達を実感させるというのが、コーチングの基本なのかもしれないなあ。考えてみれば、自分だって、いかに好きでい続けられるかという所に気を遣いながら将棋に取り組んできた気がするし。今まで、ちょっと厳しく教えすぎていたかも。それに、将棋を通してではありますが、一緒に考えたり笑ったり会話したり、人とコミュニケーションしているわけなので、僕自身も結構楽しかった。

 そして…例の甥っ子は、「隣で楽しく将棋を指される作戦」にまんまとひっかかり、僕のひざに乗っかってきて、僕の代わりに妻と対局し始めました。ウッシッシ、作戦成功だな( ̄ー ̄)。。終盤、負けそうになった甥っ子が泣きそうになったので、「こういう時は受けてばかりいないで自分も攻めてみるといいよ。桂馬を打てるところがありそう…」なんてヒントを出したところ、甥っ子の大逆転勝利!やれやれ、泣かれずに済んだか、と思ったら…うあああ、妻が泣きそうになってる。。あちらを立てればこちらが立たず、困ったものです┐('~`;)┌。。

第62期王座戦 第4局 豊島将之 vs 羽生善治 (先手中飛車)

 うああ、もう朝の8時だよ。。9月に納めるハズの仕事が終わらず、納期を一週間ほど延ばしてもらったのですがそれでも終わらず、連日徹夜でヘロヘロです。40歳を超えて連日徹夜はマジできついです、あっはっは(妙にハイテンション)。しかし、夢の為にガンバルぞ!!
 というわけで、今頃になって王将戦第4局の棋譜を見ている次第。豊島さん、なんと先手番で中飛車を指したのか、やるな。。で、羽生さんは例によって2枚銀で自玉がスッカスカのまま特攻。そして…これは豊島さんの完勝譜といって良いのではないでしょうか。

 8月から本業に本気モードで取り組んでいるもので、将棋の序盤勉強が超スローペースになってます。それでもコツコツ続けているのは、中飛車破り。僕は一直線穴熊を研究しているのですが、プロのA級棋士は超速とか2枚銀とかばかりで、誰も穴熊を指しません(>_<)。だから「本当は超速▲37銀を勉強するべきなのかも」とどこかで思っていたのですが、今日の将棋を見るにつけ、やっぱり穴熊を選択して正解だったんじゃないかと思いました。ウッカリ名人の僕が、あんなスッカスカの陣形で戦うなんて無理です(^^;)。

 しかし、これで王座戦も2勝2敗。最終局は、まずは振り駒が重要。もし豊島さんが先手になったら、また中飛車を指すんだろうか。…まあいいや、ちょっと寝ようzzz

第64回NHK杯 木村一基 vs 森内俊之 (角換わり相腰掛け銀)

 NHK杯も2回戦になると好カードが目白押し!今日のカードは木村さんと森内竜王の対戦、タイトル戦でもおかしくない好カードです。戦型は角換わり腰掛け銀で、後手は△74歩の42金右型というわけで、この前の木村さんと羽生4冠の王位戦で2度ほど指された将棋と同じ。これ、解説の深浦さんは「羽生さんにかまされた形を、先手を持って指してみようという事」みたいなことを言っていましたが、ということは、このNHK杯って、王位戦第6局の前に指されたという事かな?という事は、この戦型を王位戦第6局で先手番で指した木村さんは、森内さんを相手にテストしてから王位戦6局で角換わりに踏み込んだという事ですね。いやあ、このあたりの周到さが素晴らしい。
 そして、今日の将棋はメチャメチャ素晴らしかった!!勉強になったし、中盤での逆転を狙った構想も、終盤での詰めろを返す構想も、なんといっても深浦さんの解説も素晴らしすぎました。。いやあ、マジで見て良かった。

20141005NHK_木村一vs森内42手 盤面図は42手目、後手の△74歩42金右型から、後手が△43金直と手待ちをした局面。全然詳しくないんですが、ここは課題局面のひとつで、先手の構想は色々ありそう。この将棋はけっこう見ているのですが、▲98香からの先手穴熊しか覚えてないや(^^;)。先手木村さんの指し手は…

▲25歩△42金引▲28飛
 おお、先手は2筋に飛車を戻しました!飛車を2筋に戻すって、どこかで見た事あるな…。去年のNHK杯の羽生-木村戦は…あれは△73歩だったっけ?いかんな、記憶がぐちゃぐちゃだ。

△73桂
 おっと、これで先後同型。あら?角換わり同形腰掛け銀でどちらも玉が入城していると木村定跡で先手優勢じゃないのか?…そうか、互いの右金の位置が違うのか。いやあ、先手の右金が58にいれば▲45歩から木村定跡に入れるけど、68にいると▲45歩に対して△46角が入るという事ですね。なるほど~。これ、早指しでバババッと指してしまったら、「うつけ者め、木村定跡の餌食にしてくれるわ( ̄ー ̄)」と▲45歩を指してしまいそうだわ。あぶない、あぶない。。

▲45歩△46角▲26角
 な~んて思ったら、先手の木村さん、堂々と▲45歩を突いてしまいました(^^;)。いやあ、この角打ちを食らっても先手指せるのか。先手は桂を守らなくてはいけないのですが、角で守るんですね。後手の陣形がちょっと違いますが、この部分だけでいえばこれが形なので覚えてるぞ。しかし…先手は桂を跳ねたら飛車を抜かれるので、どこかで▲48飛と戻したいな…。

△65歩▲44歩△66歩▲同銀
 うおお、森内さん仕掛けたあああ!!!ここで攻め合いですが、後手はいい所に角を打ち込んでいるので、何かうまい順があるのかも知れません。6筋で戦いを起こして先手の左銀を吊り上げてから…

△95歩▲同歩△86歩▲同歩
 おお、端と飛車先の歩を連続で突き捨てました。なるほど、△96歩や△64角引を絡めての矢倉崩しかな?たしかに何か良い順がある気がするぞ。

△85歩▲同歩
 全然違った(^^;)。しかし継ぎ歩は…なるほど、森内さんの狙いが分かった気がするぞ、これは決まってしまったか?!

20141005NHK_木村一vs森内60手△85同桂 (60手目盤面図)

 いやあ、この狙いは見事。桂が死んだとばかりに▲86歩と桂取りをかけると、手抜いて△65歩▲同銀直△同銀▲同銀△55角が決まるという訳ですね。これって、△65歩の仕掛けの所では既に狙ってたんだろうなあ。こうなると先手が1手遅いというか、ここまで来る前のどこかを手抜いて▲84飛としておきたかったですが…今からでも間に合うのか?

▲87歩△65歩
どうせ85の桂を抜けないのなら、86よりも87に歩を打った方が先手の玉型がいい、という事でしょうね。しかしそれでも後手は△65歩。いやあ、さすがは竜王、早指しでこういう模様を張るような将棋を指してしまうのか、すごいわ。。先手の木村さん、これをまともに受けていたら後手の攻めが続いてしまいそうですが…

▲48飛△73角
 おおお、ここで待望の飛車まわりです!先手はこれでひとまず角を下げさせることに成功、そして…

▲77銀△同桂成▲同金右
 先手は銀桂交換の駒損ですが、なんとか場を落ち着かせることに成功…かと思いきや、手番はまだ後手。森内さんの攻めが続きます。

△95香▲96歩△66銀(70手目盤面図)
 ここは素晴らしかった!!いきなり△66銀とせずに、端を攻めておいてからの銀打ち。先手は駒損を繰り返しながら守りの金駒をバリバリ剥がされるし、角は働きそうにないし、これはさすがに後手よしではないかと。
 そして、ここで木村さんから驚愕の手が飛び出しました!!!

20141005NHK_木村一vs森内70手▲46桂

 うおおお、すげえええ~~~~!!!
いやあ、これは最近ボクが研究している、悪いと思った時に「間違えたら寄せちゃうよ」という、頓死筋狙いの逆襲の一手か?しかし、これって頓死狙いになってるのか?次の▲34桂が王手になるので、その時に飛車道が通って何かの両取りになっているとか、あるいは角桂の連携での寄せという形になれば頓死を狙えると思うのですが、少なくとも現状ではそれが無い。

△55銀上▲同銀△同角▲45桂
 後手は攻め駒を足したいし、なにより△55角を実現したいので、△55銀からの精算は本筋で、先手はこれを逃れられない。しかし、ここで▲45桂とは…うおお、なるほど、71手目▲46桂は、▲45桂~▲37角~▲34桂で角を抜こうという狙いだったのか!!いやあ、71手目の▲45桂が最善手であったかどうかは兎も角として、相手の大駒を抜くこの順の構想はすごい。僕程度の人間なら簡単に騙されちゃいそうだわ。いやあ、これはいいものを見せて貰いました(^^)。

 しかし相手は森内さんという現在の人類最強の受け師、残念ながらこの狙い筋は外されてしまい、結果は森内さんの勝ち。いやあ、さすがは時の竜王、負け筋なんて1ミリもなかったんじゃないかという鉄壁の将棋。強すぎるわ。こんな鉄壁の指し方をする人が2日制なんかで指したら強いのも納得だわ。。

 今日は、僕が知らない角換わり腰掛け銀の変化と、その基本的な守り方、後手の狙い筋なんかをまとめて勉強させていただきました。いやあ、これはいいものを見せて貰った(^^)。

第73期順位戦 B級2組 5回戦

昨日はB2の5回戦がありました。9月中に提出する予定の仕事がまだ終わっておらず(- -*)、注目していたカードだけ、少しだけ見ました(それでも見るのか)。。

糸谷哲郎●-○鈴木大介
 現在絶好調の糸谷さん、B2順位戦でも全勝で来ているので、このままぶっちぎるかと思ってました。5回戦の相手も、去年ずるずると連敗が続いてB2に落ちてしまった鈴木大介さん。鈴木さんの急降下ぶりが高橋道雄や谷川さんみたいな感じだったもので、「年齢的な衰え」に思えたもので…。しかし、鈴木大介さん、糸谷さんに勝った~!!いやあ、さすがは元A級でタイトル挑戦もある棋士です。居飛車vs振り飛車をもっと見たい僕としては、鈴木さんの復調は嬉しい限り。この将棋も、後手鈴木さんからの角交換四間飛車。しかも、居飛車の玉が寄るのを見るより先の4手目で角交換をするという、鈴木スペシャルです。これは居飛車有利の戦型だと思っているのですが、糸谷さんを潰してしまうのだから、本気で研究しまくってるんでしょうね。こういう「皆が指すわけではない戦型」を指す人って、相手は対策しにくいだろうな。。これで糸谷さんの全勝が消え、B2が混沌としてきました!

先崎学○-●井上慶太
 もうひとつ注目していたのが、先崎さんの対局。羽生世代の天才のひとりであったハズが、気がつくとズルズルと沈んでしまった、みたいなイメージの棋士ですが、去年の順位戦で大健闘。大一番で星を落としてしまってB1復帰はなりませんでしたが、今期も好調。いやあ、こういう「崩れかけた人が復活する」というの、個人的にはものすごく好きです。そして…先崎さん、勝って4勝1敗、B2首位です!!4回戦で戸辺さんを破ったのが大きいな…。しかも先崎さん、この後の当たりが緩くて、最大の山は9回戦の糸谷戦になりそう。

 期待していた戸辺さんがベテラン勢にまさかの3連敗をした事が、B2混戦の要因のひとつになっている気がします。上位5名は以下の通り。

先崎 学  (4勝1敗) :最大の山は9回戦の糸谷戦か
糸谷哲郎  (4勝1敗) :まともにいけばやっぱり昇級1番手
鈴木大介  (3勝1敗) :飯島さん、戸辺さん、野月さんと、嫌な相手を残しているが、個人的には応援!
野月浩貴  (3勝1敗):当たりも緩いのでチャンス!7回戦の佐々慎戦が山か
稲葉 陽  (3勝1敗):強豪との対戦を終わったので以降の当たりが緩い。佐々慎戦に勝つと一気に浮上?!

 もし、現在3位以下の人に昇級のチャンスがあるとすると、そのキーマンになるのは9位の佐々木慎さんなのかも知れません。現状3勝1敗が8人、佐々木さん自体もその中に入っている感じなので、昇級ラインは2敗まで、仮に3敗にチャンスが回る場合は順位がモノをいう事になる、という感じでしょうか。いやあ、ノーマークだったB2が俄然面白くなってきました!!
プロフィール

ShougiX

Author:ShougiX
駒の動かし方を知っていた程度の初心者です。せいぜい1日1時間ぐらいしか将棋に時間を割けない社会人が、ガンバって1年で初段になる事が目標です!
(*追記)10ヶ月ちょいで初段到達!!ただいま、居飛車側から各戦型に対応できるよう奮闘中(汗)。。

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