竜王戦最終局、99手目▲33桂打ち

 昨日の竜王戦があまりに素晴らしい将棋すぎて、翌朝になっても棋譜を何度も眺めています。しかし、分からないのが森内名人が一気に寄せに出た99手目▲33桂。この手の意味が何度見返してもよく分かりませんでした。あまつさえ昨日の観戦記に「あやしい場面が何度かあり」とまで書いてしまうという。

 ところが、今日になって屋敷itumonさんのtwitterの物凄い書き込みを発見!「99手目▲3三桂打 ここでしょうね。△同銀▲同桂成△同玉▲2一龍△3一金打で金を使わせる事で自玉を安全にすると言う構想がすご過ぎました これが矢倉を知り尽くした竜王名人の将棋ですね」…う~んなるほど、そういう事だったのか。。いやいや、なんとこれはただの寄せではなく、手抜けば詰み、受ければ自分の詰み筋が消えるという攻防手だったとは。すげえ。

 というわけで、昨日のブログ記事に若干の書き足しと修正をしました。そして、分かってもいないクセに「あやしい場面」とかエラそうな事を書いてしまい、森内竜王名人、申し訳ありませんでしたm(_ _)m。アホに天才は理解できないという典型です。反省。

第26期竜王戦 第5局 渡辺明竜王 vs 森内俊之名人 (矢倉)

 第4局までで3勝1敗、はやくも竜王を追い詰めた森内名人。竜王奪取のかかったこの第5局で、先手番です!しかもこの竜王戦、森内さんが相当に押しているように見えます。これは第5局で決まってしまうかも知れないなあ。渡辺竜王からすれば、この後手番を凌げば次は先手番。というわけで、本局が最大の山場となりそうです。この後手番でどの戦型を選ぶかという所も、重要になってくるんじゃないかと思います。

 さて、森内名人の▲76歩の出だしに対して、竜王の応手は△84歩。いや、これは矢倉になっちゃう可能性があるので、マズいんでないの?で、名人は…▲68銀、矢倉です!う~ん、完全に矢倉シリーズになりましたね。ところで竜王、押されっぱなしの矢倉を選び続けるというのは、どういう考えなのか、狙いを訊いてみたいです。この間、森内さんが指した後手番の戦いは、先手が桂を跳ねないとあの形にならないしなあ。5筋交換型かどうかは兎も角、急戦なら後手から誘い込めるので、そこに研究手があるのかな…と思ったらサクサクと序盤が進み、竜王は急戦を選択せず、持久戦模様です!…いやあ、これは今の森内さんには勝てないんじゃないでしょうか。。これで森内さんが敢えて宮田新手の▲65歩突かずに▲25桂としたら、ちょっと面白い事になりそうです(^^)。

 な~んて1日目の午前中に書いたまま、その日はその後仕事で忙しく、夜中になってクタクタになり、爆睡。翌日に棋譜中継を見てみると…うわあ、森内さん、宮田新手に行かずに▲25桂としました!!!これは1~2局に続いての往復ビンタ狙いか?!森内さん、これで勝ったらすげえな。。な~んて、知ったような口をきいていますが、実は僕、宮田新手に行くとどうなるのか、まったく分かってません(^^;)。せっかくの矢倉シリーズを見れた事ですし、本格矢倉の序盤の駒組みの定跡というものを、近いうちにまとめよう。


2013112959手 というわけで、▲25桂以下の定跡通りに進んで59手目、先手の森内さんが▲44歩と突いたところです。この局面、第4局とほとんど同じに見えるんですが…。で、前局では△45馬▲43歩成△同金▲19角△64歩…という感じで進み、金銀交換となって後手が若干の駒損だったのですが、中央付近に構えた馬の威力が絶大で、後手の勝ちとなりました。で、本局は…

△同金

おお、金で弾きました!ここで第4局とは分かれ。この手を竜王は去年の豊島戦で指したことがあり、その時には負けたそうで。…という事は、その後に研究をしているな( ̄ー ̄)。あれ、という事は…これは竜王にも勝ち目が出て来たのか?!

▲71角△43金引▲57金

▲71角は痛打!いやあ、アマチュアなら2~3段位でもこれで先手よしなんじゃないでしょうか。しかし、△43金引に▲82角成と飛車を取らないんですね。う~ん、僕ならノータイムで飛車を取るけどなあ。また、それにかえての▲57金とした名人の意図が全然わかりません(;;)。。これ、△同馬でタダじゃないのか??ああそうか、金を取らせても飛車を取った上で馬が残った方がいいという事か。でもそうすると、△44歩で銀が死ぬから2枚換えになるよなあ…。いやあ、この難解な中盤で2枚替えの順は、僕にはどちらが得なのかまったく分かりません。分からないだけに、恐い順過ぎて選べません(選ばないどころか、気づきもしませんでしたが^^;)。しかし、これは竜王も名人も、お互いに自分からこの順に踏み込んでいる気がします。という事は、竜王と名人で形勢判断が異なっているという事でしょうか。目立たない局面ですが、実はここが勝負の分かれ目だったりして。

△同馬▲82角成△44歩▲34銀△同金▲51飛

あら、予想通りの2枚換え。しかし…そうか、ここで飛車の打ち込みが出来るのか!いやあ、これは先手の森内さんが良い気がするなあ。

△42銀▲81飛成△69銀

これで名人が桂を取りつつ龍を作って、先手優勢だろう…というところで、手番が竜王に。そこで竜王の放った手が△69銀?!いや、この攻めはさすがに繋がらないんじゃないか?…と思ったら、飯塚7段によると「▲7九金では△5八金▲6八桂△2五銀▲同歩△6七桂で後手の攻めが切れない」との事。いやあ、竜王って、細い攻めを繋げるのが半端でなく上手い。見ていて感動してしまうほどです。しかしさすがは受けの名手・森内名人です。森内名人の受けは…

▲68金△同馬▲同飛△58金▲46馬

 見ていると何となく通り過ぎてしまいますが、いやいや自分で指していたら100%この順は選べないと思います。プロの読みの深さ・正確さには驚かされます。しかし最後の▲46馬は、意味すら分かりません。僕には危険すぎるようにしか見えないんですが…。
 ここらへんの攻防戦がもの凄いハイレベルというか、見ていてゾッとしました。ぼくみたいなヘナチョコなアマチュアの将棋って、指し手のどちらも、どっちが得かのはっきりした攻防戦を繰り広げるじゃないですか。その攻防戦を勝った方が勝ち、みたいな。しかしこの中盤戦…飛車を取らせた方が得とか、またそれが本当に得なのかとか、僕程度ヘナヘナな棋力では、判断がつかないのです。先の2枚換えの所も実際にどちらが得なのか分かりません。またこの局面での森内さんの▲46馬も、別に▲67飛で問題ない気がするんですが、敢えて飛車を相手に取らせる選択ですよね。金駒を2枚外され、守備駒として貴重な飛車の横利きをここで捨てる順って、どうなのかと思ってしまいます。で、竜王は普通に…

△68金

と、飛車を取りました。という事は…名人は飛車を取らせるのが得で、竜王は飛車を取るのが得だと思っているんじゃないかと。だから、どちらかが仕方なくそうするしかないと思って指しているんじゃなくて、どちらも選んでその順に踏み込んでいるように見えるのです。もうこれは、戦場を突破する棋力の勝負ではなく、形勢判断力の棋力勝負なんじゃないかと。もうどちらかが良い状況になっていると思うのですが、しかしどちらが良いのか分かりません。この竜王戦、段々すごい事になってきた気がします。いやあ、この前の羽生vs中村の王座戦ももの凄し将棋の連続でしたが、竜王戦もすごい事になってきました。これだけハイレベルな将棋なのに、渡辺vs森内はなぜか対戦が少ない気がするので、これは竜王に勝ってもらって、第6局、第7局もやってほしい。

 しかし、ここからの名人の受けが見事。そして名人、いちどもの凄い桂打ちから反撃に出ると…

2013112998手(11.30 追記)その桂打ちというのがここ。あまりに素晴らしい将棋だったので、翌日になっても棋譜を見返してしまいました(^^)。98手目に竜王が△57銀と打って、先手の馬の利きを潰しながら馬取りをかける攻防手を放った場面。ここで森内さんが指した手が▲33桂打。いやあ、素人考えでは、単に馬を逃げる手でもそんなに悪そうでもない気がしますし(しかし藤井9段によるとそれだと攻めを切らすのは容易ではないそうで)、馬で清算するとか、攻めるなら香の打ち込みとか(これらもシロウト考えなので良いのかどうか分かりませんが^^;)、そんな手以外の手を思いつくところがビックリ。で、昨日観戦している時点では、この桂馬の打ち込みの意味が良く分かっていませんでした。しかし、屋敷itumonさんのtwitterの書き込みを発見!「▲3三桂打は、△同銀▲同桂成△同玉▲2一龍△3一金打で金を使わせる事で自玉を安全にすると言う構想」…う~ん、なるほど。これはスゴイ。攻め手だとばかり思っていたのですが、これは受け切りを考えた構想だったのか。手抜けば寄りなので、ある意味で攻防手とも言えちゃいますね。いやあ、背筋がゾッとします。ニコニコ動画ではコンピューター将棋のPonanzaが状況判断や推奨手を出していましたが、これで負けが完全になくなる一着なので、Ponanzaを上回る手なんじゃなかろうか。森内さん、渡辺さん、羽生さんの3者は、コンピューターより強いんじゃないかと思わされる一着でした。(追記終わり)


 そして、最後は綺麗な寄り形に。渡辺さん、9期連続で守り続けてきた竜王位を遂に失冠です。

 プロの将棋を見始めたのは去年の後半あたりからだったのですが、それ以前から渡辺竜王という存在は知っていました。羽生さんより強いかも知れない人として。竜王と言ったら渡辺さんの代名詞にすらなっているぐらいでしたし。なにせ、9連覇ですからね。それが失冠するとは、なんか少し寂しい感じがします。逆に、森内さんから見れば、これはドラマチックな展開だったと思います。10年前に自分が奪われた竜王位を、森内さんは10年越しで遂に取り返したわけですから。

 去年は、森内さんも羽生さんも、もう誰も渡辺竜王には勝てないんじゃないかという感じだったのに、羽生さんは棋聖戦で竜王を跳ね返し、森内さんは絶対的だった渡辺さんの竜王位を崩しました。これで7大タイトルは、羽生3冠(王位・王座・棋聖)、森内2冠(名人・竜王)、渡辺2冠(王将・棋王)という事になります。3強という感じですが、しかし今期は、あと王将戦と棋王戦が残っています。で、どちらもタイトルホルダーが渡辺さん。う~ん、渡辺2冠は、このふたつを死に物狂いで守らないと、ズルズルといってしまいそうな気がします。…がんばれ、将棋のワタナベ君!!

第63期王将戦 挑戦者決定リーグ 羽生善治 vs 久保利明 (石田流)

 ただいま絶賛開催中の竜王戦ですが、これがどうにも森内名人の方が1枚上に見えます。このままもし森内名人が竜王位を取ると、森内(名人・竜王)、羽生(棋聖・王位・王座)、渡辺(棋王・王将)という事に。完全なる3強ですね。しかし、9期も連続で竜王位を守ってきた渡辺3冠が竜王位陥落となると…今季の残り2つのタイトルである棋王戦と王将戦が気になります。で、そのどちらも渡辺さんが持っているという。ヘタすると、渡辺さんは一気に無冠になっちゃう可能性があります。う~ん、竜王、好きなんだけどなあ。

 で、王将戦の挑戦者決定リーグは、羽生さんと佐藤康光さんの2強のデッドヒート。この直接対決を羽生さんが下し、王将リーグはいよいよ大詰めに。羽生さんと佐藤さんの対戦が終わった時点で、成績はこんな感じ。

羽生(4) 4勝0敗 残るは久保・豊島戦
佐藤(1) 3勝1敗 残るは郷田・久保戦
深浦(2) 3勝2敗 残るは郷田戦
豊島(3) 2勝2敗 残るは谷川・羽生戦
郷田(5) 2勝2敗 残るは佐藤・深浦戦
久保(5) 1勝3敗 残るは羽生・佐藤戦
谷川(5) 0勝5敗 残るは豊島戦

 そして一昨日、羽生vs久保戦が行われました!プロの将棋は、早指しでなければこれほど勉強になるものもないので、いつも楽しみに見ているのですが、とにかくタイトル戦絡みは居飛車党だらけなので、振り飛車対策の勉強がなかなか出来ません。特に、段位になってからは4間飛車使いの方と当たる事は急に減ってきたのですが、逆に多いと感じるのが石田流を使う人。昨日は、6戦ぐらい指して4戦が対石田流でした。で、この一戦は・・・おおっ、居飛車vs石田流です!!とにかく、石田流の棋譜を見たいので、解説がないのは我慢して、眺めてみると…

20131125_25手 先手が居飛車の羽生さん、後手が石田流の久保さん。最初の駒組みから、勉強の間に合っていない僕には見慣れない駒組みの進め方になったのですが、いざ組みあがってみると、石田側は不満のない駒組み。しかし一方の羽生さんの駒組みは…う~ん、藤井矢倉気味の囲いというか、僕も間に合わない時はこれを使う事があるんですが、急場しのぎ程度で、あまり堅くない感じがするんですよね。しかこの場合は金銀3枚ではなく2枚。

 で、端歩を突き合った後、後手の久保さんは5筋の歩を伸ばし、飛車を5筋に振り直す気配を見せたところで…なんと羽生さんは▲66銀と守りの銀を繰り出していきました!いや、対石田で左銀を対角線上に伸ばして攻撃に使う筋は何度も見た事がありますが、しかしスッカスカの2枚囲いのうちの1枚を攻撃に使うって…。。で、ここからが異常な将棋でした。羽生さんの攻撃がとんでもない。


序盤:ものすごく小さな傷から突破口を見出す

20131125_34手 久保さんが飛車を5筋に振り直したところで羽生さんは▲58金と受け、そして久保さんが△24歩と駒をぶつけて盤面図へ。ここで羽生さんが放った手は…

▲41角

え、なんだこれ…。。特に駒が取れるわけでもない角の打ち込みって、矢倉や角交換の定跡にも出てきますが、僕の中では有力手に見えなくって、どうしても思い浮かばないんですよね。しかも、すぐに馬に出来るとか戦線離脱できるとかじゃないと、逆に詰まされてしまいそうで怖くって。で、これ、金を躱されたらいずれ詰まされちゃうんじゃないのか…と考えてみたんですが、その場合は△22金▲24歩△同飛▲同飛△同銀で…あとは?ああ、▲24歩で馬を作れて先手よしになるという計算か。なるほど~。これはかなり意識的に自分の将棋観を変えていかないと、この角を使い方を出来るようにはなれそうもないぞ。。で、久保さんはこの順を警戒してか、まったく違う応手に出ました。

△23角▲55銀

△23角はこの1手という感じがします。やっぱりこう受けますよね。で、先ほどの角の打ち込みに続いて、▲55銀が凄い。これも完全な錯覚で、タダにしか見えずに読みから外していたのですが…なるほど、△同飛だと▲24歩から後手陣は一気に崩壊なのか!!いやあ、中盤にして終盤のような駒の使い方、これは綺麗だ。こうなると、飛車の横利きを残したまま逃げるしかありませんが、しかしそうなると後手は角を抜かれる筋もケアしないといけませんよね。あとどこかで▲22歩の打ち込みがヤバい気が…

△34飛▲24歩△同銀▲22歩△33桂▲21歩成△25桂

 う~ん、ここまでは角の打ち込みの所からの読み筋なんでしょうね。ほんのわずかな切り口から先手よしの状況を作った気がします。この将棋、▲41角の打ち込みからのと金作りの一連の攻撃で、先手が良くなった気がします。しかも、このと金作りが進展性に優れているというか、先手の優勢を広げる次の手筋の組み合わせに繋がっていきます。


中盤:優勢を勝勢に広げる

20131125_44手▲31と△33金▲23角成△同金▲45角△44歩▲34角△同金

 たぶん、と金作りまでが一連の読みで、ここからがまたワンセットの読み筋であったのだという気がします。▲31とも、地味ながら実に素晴らしいと思いました。ここ、▲11とでも十分先手よしであるというのに。▲31との後に金を逃げられると、角交換になった後にどうなるのかを読むのが結構面倒くさくて、無意識のうちに読みを打ち切っている自分がいます(^^;)。。ここを考えるかどうかが大きいんだろうなあ。
 そして、角交換直後の▲45角が見事。後手は飛車を横に逃げると23の金を素抜かれる上に馬まで作られる。では、△33飛で守ると?…なるほど、と金を▲32に寄せられて、結局は同じことか。いずれも敗勢になってしまうので、飛車角交換に応じるしかありませんが、こうなると形勢の差は駒の損得にまで及び、僅かな差がどんどん広げられていく展開。そして後手はこれを防ぐ手だてがありません。いやあ、明らかに良い100点の手があるところから、更に120点の手を探すという、この厳しさがプロだと思いました。すげえ。


終盤:手数を計算し、1手でも速ければ受けずに一気に寄せ切る

 最後にすごかったのが、先手の寄せです。駒得した先手は飛車の打ち込み、後手は先手の玉型の急所である11~99の対角線上に角を放ち、これを受けにも利かせての攻防の角。この中終盤にかけての攻防戦が双方ともに見事!!そして、後手がついに馬を作れるかも、という状況になってからの寄せ合いがもの凄かったです。これは、まさに教科書のような手数計算でした。

20131125_74手 図は74手目、後手が2枚目の角を64にあげたところ。次の△47歩成が決まると飛車取りと角成りを同時に受けることが出来ず、また飛車取りは王手に直結するのでかなりキツいてになりそう。受けるなら▲18飛なんでしょうが…

▲25歩

攻め合いキタ━━━(゚∀゚).━━━!!!
この終盤で攻め合いという事は、詰みを読み切ったという事だと思うのですが、逆に言うと後手はどういう読みだったのでしょうか。しかし、ここから寄るかどうかを読んでみると…いやあ、これは相当に難解に思えるのですが。。…ダメだ、また自分のヘボさばかりが露呈してしまう。。

△47歩成▲同銀△19角成▲24歩△29馬▲23歩成△15角▲33と

いや、これは見事。攻め合いになった時に、歩だけで相手の駒をボロボロと取る手はけっこう効くんですよね。この方法、遅そうに感じるので、意外と軽視している人が多い気がします(なんといっても、僕自身がそうです^^)。それにしても、この将棋の場合…いやあ、羽生さん、恐るべし。特に最後の▲33とが強烈。あとから考えればという話ですが、ここで攻め合いに行くと、遠そうに見える羽生さんの方が実は速いですよね。しかし久保さん…

△48角成

う~ん、もう間に合わないと分かった上での攻め合いなのか、それとも久保さんほどのA級棋士でも手数計算が難しいのか。いずれにしても簡単に手数計算というけれども、簡単な事ではないという事の証明であるかのように僕には見えました。逆に言えば、攻め合いに来ると分かった上での▲33とだったとしか思えない。以下は…

▲同金△39馬▲43と△48馬▲71銀
 
まで、89手にて先手羽生さんの勝ちです!!あ、圧倒的じゃないか。。いやあ、74手目で受けずに攻め合いに出た時点で、この手数計算を羽生さんは出来ていたのでしょう。受けていれば優勢のまま進められたのですから。決めに行けるところになったら受けずに攻め合いに出て、一気に寄せに入るというお手本のような終盤。勝機が来たら逃さないんですね。僕の将棋は、勝つ時は長手数になる事が多いのですが、寄せに行ける時に寄せに行けてないんだろうな、と痛感。さすがはトッププロともなると、15手ぐらいの寄せだと逃さないんですね。いやあ、マジで尊敬します。。

 さて、この将棋、将棋を勉強中の身としては、飛車を5筋に振り直す3間飛車破りの定跡として、そのまま使えそうです(って、僕が無知なだけで、既に定跡だったりして^^;)!また、序盤定跡としてだけではなく、将棋の序盤の戦い方、優勢の広げ方、終盤の戦い方と、まさに「なるほど、将棋というのはこういう風に指すんだな」という教科書のような将棋でした。勉強になっただけでなく、実に面白い将棋でした。


 この結果を持って、羽生さんは王将リーグ唯一の全勝。最後の豊島戦に勝てば文句なしの挑戦者決定、仮に負けてもモテさんが郷田さんと豊島さんを連覇しないといけないという、圧倒的に有利な状況。これは、王将戦は渡辺vs羽生の可能性が濃厚になってきました。…渡辺3冠、これはピンチかも。。

第63回NHK杯 船江恒平vs深浦康市

 今日は、NHK杯の前の将棋講座が勉強になりました!タイミングを逃してきたのですが、相掛かり棒銀の受けの勉強をどこかでしたいと思っていたのです。で、棒銀の受け方をはじめて知った次第。いやあ、これは勉強になる。。

 さて、本題のNHK杯です。A級棋士がバタバタと消えていく今期のNHK杯。今日登場のA級棋士は深浦さんです。深浦さんは竜王戦でも1組、間違いなくトップ棋士のひとりです。深浦さんの解説を見た事があるのですが、終盤での読みがもの凄い!!他の解説のプロ棋士や女流棋士が誰もついていけない。驚異の終盤、こんなに凄いのか…と思わされたことがあります。しかし、今日の対戦相手の船江さんは、詰め将棋でタイトルを取った事があるほどの終盤の猛者。というわけで、今日は終盤までもつれたら相当に面白い事になるんじゃないかと。船江さんが序中盤を離されずについていけたら、これは一発入れることが出来るかも?!

 そして…来ました、矢倉です!!矢倉の勉強は、しばらくはプロ将棋の観戦で何とか間に合わせようと思っていたので、これはラッキー(^^)。。…と思ったのですが、船江さんが囲うよりガシガシと突っかけていく展開に。ありゃ、これは定跡の勉強にはならなそうです。それどころか、これは矢倉じゃなくって力戦だなあ。で、仕掛けたはずの船江さん、序盤から時間をどんどん使ってしまい、また船江さんの手に乗っているだけに見える深浦さんの方がどんどん良くなっていく感じ。とにかく、玉型の差が大きすぎ!これは後手の深浦さんが優勢どころか勝勢なのでは??と思ったのですが…

20131124_NHK52手 いやあ、船江さんの受けが凄い!この受けの強さは随所に見られたのですが、僕が勉強になったのは49手目。後手の深浦さんが先手陣に銀を2枚貼って、更に8筋を伸ばしてきた局面です。もうこれ、受からないだろ…と思って見てました。▲同歩△同角▲間駒…いや、これはダメだろう、攻防手か攻め合いの順はないのかな…と思っていたのですが、船江さんがひねり出した手は…

▲98銀

 受け切ってしまうのか!!う~ん、これはプロっぽい手だなあ。これは思いつかない。考えてみれば、今期のNHK杯の中村太地vs高橋道雄戦でも、高道さんがこういう銀の使い方をしていました。銀ではないけれど、先週も、行方さんが△71金みたいなもの凄い受けをしていました。僕はプロより手筋も定跡も知らないくせに、プロ以上に常識に捉われているというか、当たり前の手しか浮かびません。アタマがかたいんだなあ。こういう融通無碍の手を指せるように柔軟な発想が出来るよう心掛けておきたいです。船江さん、その後も深浦さんの放った2段飛車に対する受けとか、実に見事な受けを連発。結果、寄せ合いの勝ちというよりも、受け潰しという感じで船江さんの勝ち!85手という短手数での快勝譜、逆転劇でした!

 ところで、今日一番強かったのは、解説の畠山さんだったであろう事は内緒です( ̄ー ̄)。

やっぱり矢倉はやり直し

 昨日の竜王戦は個人的にはショッキングでした。谷川会長から電話があるなんて…じゃなくって、僕が主戦法にしていた先手番矢倉の攻撃術は、後手よしでとっくに結論されていたなんて。しかもそれは「矢倉を指す人ならだれでも知っている」事だそうで。マジで恥ずかしい。。よくこんなので、矢倉を戦ってきたものです。この事実を知った途端に、勝てなくなりそう。
 でも、▲25桂がダメなら、どうしたらいいんだろうか。最近やっと▲25桂からの攻撃のパターンが自分の中でうまくいきはじめてきたところなのに。。あの形に出来たら、あとは「光速の寄せ」の順で勝ちと思っていたのに。これを変更するとしたら…よく見るのは▲65歩とかかな?でも、そうした後、どう攻撃したらいいかまったく分からん。次の竜王戦で指してくれないかしら。居飛車党で行こうと決めたのに、矢倉と角換わりが苦手って、本当は居飛車に向いてないんじゃなかろうか。すぐ捌きに行っちゃう性格だしなあ。終盤はクソがつくほどヘタだしなあ。…ヤバい、落ち込んできた。。

 しかし、今は横歩の勉強真っただ中。矢倉の勉強のやり直しは、どう考えたって来年以降。更に、仕事が忙しくなってきて、ヘタすると年内いっぱいまで、将棋の勉強をしている暇がないかも。う~ん、困った。

第26期竜王戦 第4局 渡辺明竜王 vs 森内俊之名人 (相矢倉)

 3局続けて5筋交換型の急戦矢倉を更に仕掛けるというとんでもない展開になった竜王戦。連敗だった竜王は、それでも同じ戦型を仕掛けて一本取り返してしまうのだからすごいです。あれで負けていれば、ほとんど終戦という感じだったのに、最後に勝ったのが竜王なものだから、最終的な研究は竜王の方が上のように思えてしまって、1勝2敗の筈がまるで5分のように感じてしまいます。
 そして迎えた第4局、初日の駒組みが速い速い!定跡手順までは超速で進めるのが渡辺流、終盤に時間を残しておくという事らしいですが、森内名人もそれに付き合って、まるで早指し戦のようです。そして…うわ、4たび矢倉か!!これは、矢倉シリーズの様相を呈してきましたね。それにしても竜王、矢倉を指させたら最強なんじゃないかという森内名人相手に、よくもまあ4局連続で矢倉戦を仕掛けられるものです。ここまで来ると傲岸不遜というか自信過剰というか、ちょっと不気味なものを感じます。
 しかし森内名人、もう急戦矢倉にはしないだろうな、と思っていた所で…ついにきました、矢倉の本組みです!!最強の呼び声高い森内さんの本格矢倉が見たかったんです。矢倉がとってもうろ覚えなので、これは有難いです。この竜王戦で本筋を覚えてしまおう(=`ー´=)。

 そして竜王は…▲46銀37桂型へ。やった!僕がいつも使っている戦法だ、これは勉強になるぞ。。で、後手の森内さんは△24銀と銀の先受け、そして竜王は▲25桂と跳ねました。うん、これも僕が良くやる順です…って、これは最近指されないのか!!▲25桂に対しては△45歩で後手指せるという結論だそうで。し、知らなかった、どうりでいつも△45歩とされるわけだ…己の無知を晒すばかりのブログを書き続ける気力がなくなってきました。…いいや、今日覚えて、前から知っていたような顔をしておこう(´・ω・`)。でも、研究バッチリの竜王が跳ねたという事は、なにか良い順があるという事なのでは?

2013112246手 そして46手目、森内名人もやっぱり△45歩と歩を突き出してきました。ただいま森内さんの『矢倉の急所』をパラパラ見てみたら、出ていますね、この順。。僕はいつも香車をあがらない状態で、ここから▲37銀~▲46歩△同歩▲同角と指していたのですが、竜王は間髪おかずに…

▲45同銀

え、同銀で行けるのか…知らなかった。。行けるんだったら、行っちゃった方が良いですよね。いやあ、自分の無知さ加減に呆れます(x_x)。。で、以下は矢倉の使い手なら誰でも知っているほど有名な定跡手順だそうで。

△19角成▲4六角△同馬▲同歩△5九角▲3七角△同角成▲同飛△1九角▲3八飛△4六角成▲44歩

 もし▲37同飛の後に、再度△59角と打ち込まれた時には、▲2七飛△4八角成~△3八馬▲1七飛となるそうで。う~ん、たしかに18に香をあがっておいた方が全然いいなあ。僕は香をあがる時に、すずめ刺しへの変化を残して17香としていたんですが、18の方がいい理由というのを今日初めて知りました。なるほど、馬に追われた時に飛車を17に逃げ込めるのか。で、最後の▲44歩が見事。いやあ、定跡って偉大ですね。これ、考えていたらこの1手だけで大量に時間を使っちゃいそうです。。
 で、ここはひとつの分岐点ですね。△同銀でも△同金でも△45馬でも良さそう。名人の選択は…

△45馬▲43歩成△同金

 なぜ△45馬なのかは、私なんぞでは分かりません(- -*)。こうなってみると、後手は玉型がちょっと悪く、先手は歩切れと馬を作られている。う~ん、形勢判断が難しいですが、後手の森内名人の方が指しやすいんじゃないだろうか。ちなみに、ここまで進んで、まだ1日目の午前中です(^^;)。。


2013112282手 前の局面から、竜王は自陣角を放って後手の飛車を狙い、しかし名人は手抜いてその角を狙って歩を伸ばし、先手が角を躱している1手を使って後手も飛車を6筋に振って躱し、先手が後手玉の真横に△32歩と放った(なんだこりゃ!!)あたりです。まず、この歩の意味が全然分からず、ビックリだったのですが、この後も竜王の物凄い手が飛び出しました。
 名人は△65銀と放ち、竜王はこれを取ることが出来ない。で、竜王がどうしたかというと…

▲55銀

なんじゃこれw(゚д゚* )w。。…ああ、なるほど、後手の馬を潰しに行くのか。一瞬タダ捨てかと思ってしまいました。将棋って、こういう目の錯覚みたいな手が見えなくなっちゃうときがありますよね。いやしかし、これは好手じゃないでしょうか。さすがはトップ棋士、凄いなあ。。ここからの攻防がまた手に汗握る展開に。竜王は、相手に迫りながら、自玉に当たってきている馬のラインを外したいんでしょうね。これは高度な指し回しを要求されそう。

△同歩▲同角△32玉

…いやあ、これは▲55銀は成功だったのでは?竜王、恐るべし。よくあんな手を思いつくなあ。。

▲63金△42飛▲53金△同馬

うわ、ついに馬のラインを外した!竜王、すげえ…。。で、ここからの竜王の歩の使い方が驚愕

▲33歩△同桂▲63歩成△同馬▲34歩△同金▲35歩

う~~~ん、プロはやっぱりすごい。。捨て歩の連続でここまで崩せるのか。。歩の手筋をもう一度勉強し直した方がいいなあ。
 しかし森内名人、間違えれば即死という局面の連続に見えるのですが、全然間違えないというか、受かるものと思って指しているかのようです。

 で、最終的に森内名人はこの猛攻を受け切り、とんでもないところから攻め合いを選択、最後は綺麗に寄せてしまいました。しかも最後は21手詰めだそうで。。この21手詰め、竜王も名人も、そして解説をしていた羽生3冠も見えていました。…やっぱりプロってすげえなあ。

 いやあ、この将棋は面白かったです!中盤以降は、森内名人が受け切れるか、渡辺竜王が攻めきれるか、という、たった一つの争点となった将棋。それだけに、大局観ではなく、竜王がひねり出す手のレベルの高さと、それを受ける名人の読みの深さがフォーカスされる事となり、これがもの凄かったです。何度ため息をつかされたことか。
 もうひとつ凄かったことが。2日目のニコニコ生放送の解説の羽生さんです。1日目終了時点で、ほとんどのプロが先手持ちだったのですが、2日目はじまってすぐに羽生さんが後手持ち発言。で、これが正しかった。以降の解説も神憑り。ちょっと羽生さんと渡辺さんと森内さんの3人は、プロの中でも別次元に生きている人なんじゃないかと思わされました。

 再び先手番を落とした竜王は痛いです。これで1勝3敗、徳俵に足がかかりました。森内名人は、あと3番のうち1本取ればいいので、さすがに名人の竜王奪取が濃厚なんじゃないかと。去年の今ごろは、もう羽生さんも森内さんも渡辺竜王には勝てないんじゃないだろうかと思っていたのですが、森内さんに追い込まれ、残る2冠でも羽生さんが勝ちあがってきています。これは、とうとう渡辺黄金時代が幕を閉じるのか…。第5局は11/28~29だそうです。おお、すぐじゃないか!!

11ヶ月以降:初段の先にやりたい事

 さて、どうにかこうにか初段に辿り着きましたが、将棋の勉強としてはえらく中途半端です。基本的な勉強をひと通り終わらせると初段になるんじゃないかと思っていたのですが、そういう事ではないみたいです。というわけで、級段位関係なく、切りのいいところまでは将棋の勉強を続けたいと思っています。

 まず、序盤。矢倉がうろ覚えすぎ。急戦矢倉は棒銀と右四間以外は手つかず。角換わりも手つかず。横歩もようやく始めたばかり。こんな状態で勉強を止めてしまうと、あまりに中途半端で気持ちが悪い(笑)。ちゃんと身についているかどうかは別として、最低でもこれらの勉強を一通り終えたいです。予定にない四間飛車穴熊対策とか一手損角換わりの勉強をするかどうかは、その後で決めたいです。

 終盤。僕の終盤力は、ヘタすぎてちょっとヤバいです(^^;)。つい先週、4段の人を追い詰めながらも負けてしまった将棋があったんですが、あとで見返して見ると詰みがありました。ああ、詰将棋さえ得意だったら…。で、そういう将棋がチョコチョコあるのです。でも、ネット将棋を指していると、同じ段級位の方との対戦で、僕の方がヘタと思う事もあれば、僕の方がうまいと思う事もあります。そういう意味では、段級位に見合うぐらいの終盤力なのかも。これは合っているかどうか分かりませんが、終盤の寄せというのと詰けというのは、似て非なるゲームなんじゃないかと思っています。僕がやっている終盤というのは、詰め将棋じゃなくて寄せ将棋なんじゃないかと。それで勝てる時はいいのですが、10局に1局ぐらい登場する、詰め将棋のような終盤になると、それを落としてしまっている気がします。
 終盤の凄い人になりたいです。今年でいえば、順位戦の羽生vs三浦の寄せとか、王座戦最終局の羽生さんの寄せとか、竜王戦第3局の渡辺竜王の角打ちからの必至とか。あんなの出来たら気持ちいいだろうな、カッコいいだろうな、と(笑)。。終盤に関しては、手筋→寄せ→囲い崩し→詰将棋、という反復練習を変更する事はせず、全部が正答率9割越えになるぐらいの所までは続けようかと思っています。あ、もしかすると、受けの手筋というのを追加するぐらいの変更はあるかも。

 大局観は、実践とプロ将棋の観戦で続けようかと。これは、仮に序盤と終盤の勉強をやめた後も続ける気がします。勉強というより、やって楽しい本将棋そのものですね(^^)。

 計算すると、これらの勉強が終わるのは、順調に進んだとしても来年の4月ごろまではかかるんじゃないかと。そうなると、1日1時間ぐらいの勉強だと、将棋の勉強をひと回りするのに16ヶ月ぐらいかかる計算になります。基本的な勉強をひとまわりすると何段という事になるのか、これはちょっと興味があります。被験者が自分というのもちょっと面白い(^∪^*)ムフフ。。

 これはもしもの話ですが…自分が勉強したいと思っている定跡が全部身について、手筋も身について、終盤の勉強も正答率が9割を超えるぐらいになったら…残るは新手の勉強ぐらいのもので、実際の対局を楽しんだり、見て楽しんだりするだけですよね。そこまで行けたら、ものすごく楽しいんだろうなあ。そして、実はそこが、将棋というもののスタートラインなんじゃないかと思っています。僕には未知の世界ですが、プロは勿論、アマチュアでも高段の人たちに見えている将棋の世界って、そういうものなんじゃないかという気がしています。

 本当は、もし初段になれたら、具体的な勉強手順をまとめようと思っていたのですが、こういう切りの悪さなので、それは勉強が切りの良いところまで行けたらにしようと思います。その時、級位に落ちていたりして(^^;)。。

第63回NHK杯 大石直嗣 vs 行方尚史 (向かい飛車)

 A級棋士やタイトル戦に絡む棋士が続々と消えていく今年のNHK杯。今日は今年からA級に入った行方さんの登場です!

 出だしが面白くて、▲76歩△84歩▲16歩。先手の大石さん、変わった指し方だな…と思っていると、角交換を仕掛けてからの向かい飛車。先手番で向かい飛車をやるのか。。そういえば大石さん、ダイレクト向かい飛車の定跡本を書いていたな。もしかして、宣伝のために強引に向かい飛車にしたな( ̄ー ̄)。
 しかし以降は、よく見る角の打ち込み合いにはなりませんでした。これは、行方さんが避けた感じでしょうか。で、居飛車が船囲い系の囲い、振り飛車が片美濃。で、行方さんが凄かった。向かい飛車となった8筋でいとも簡単に捌き合いにして飛角銀を互いの持ち駒にした直後に、1段飛車を打ち込み、美濃囲いの急所の金頭に銀の打ち込み。え、すごい攻めなのはわかるけど、まさかもう寄せに行ったのか?まだ40手目なんですけど。。
 美濃というのは、何手か空いてもいいなら寄せにくい囲いとは思わないのですが、鋭い人が寄せるととんでもない順で、手を空けずに寄せちゃったりして驚きます。谷川さんの『光速の寄せ』の美濃崩しなんて、凄すぎていまだに覚えきれない順が出ています。というわけで、もしやこれは…と思ったのですが、必至だったわけではなかったよう。それどころか、飛車道を止められ、船囲いを力でこじ開けられ、行方さんはあっという間の投了。うわあ、またA級棋士が消えたのか。。行方さん、さすがにあれは急ぎ過ぎだったんじゃ。

 かなり早い段階から手将棋みたいになったので、1手1手の指し回しは意味深なものが多くて、見ていて楽しかったです。しかし途中は、単に香車を打ち込めば行方さんが良くなりそうなところとか、色々と思う所があったんですが、それじゃ間に合わなかったのかなあ。こういう時の為に、やっぱり将棋ソフトを買うべきかなあ。

第72期順位戦 B級1組 9回戦

●広瀬章人 vs 豊島将之○
両者とも、昇級に大きく絡む大一番は、深夜にまで及ぶ大熱戦!!深夜1時ぐらいまでは追っていたんですが、眠くなって敢え無くダウン。結局、何時まで指してたんだろうか。最後どういう将棋になったのか分かりませんが、豊島さんの勝ち!広瀬さん、ここで叩いておけば単独トップの上に豊島さんを蹴落とせたのですが、これで昇級レースは混戦ムードに。一方の豊島さんは広瀬さんを咎めた上に自身も2敗のままでトップ集団に躍り出ました!!

●高橋道雄 vs 木村一基○
うって変わってこちらは残留をかけた大事な戦い。大介さんと並んで1勝7敗の高道さんは、ここで木村さんに勝てば2勝目となるだけでなく、木村さんを最下位集団に引きずり込むことが出来ますが…木村さん、返り討ちです。木村さんはこれで3勝目となり、降級もあり得たところから、残留の目の方が大きくなった感じです。一方の高道さん、これはマズいです。大介さんの結果次第では、単独最下位もありそう。

●橋本崇載 vs 阿久津主税○
橋本さんはここが正念場でしたが、痛い痛い4敗目。A級復帰は消えたでしょう。応援してたんだけどな。
一方、阿久津さん強い強い!2連敗からの6連勝です!これは昇級レースに踏みとどまったか。。しかし、これだけ強い阿久津さんが、この前のNHK杯で三浦さんにフルボッコされたということは、A級とB1には凄い実力差があるのでしょうか。タイトル戦挑戦者を見ていても、A級ばかりだしなぁ。

○山崎隆之 vs 鈴木大介●
大介さん、これはマズいですよ、高道さんと二人で最下位です。大介さん、好きなんだけどなあ。これは降級濃厚か。。

●松尾歩 vs 丸山忠久○
個人的には注目の1番でした。すごくいい勝負になりそうな気がして。松尾さんは、この丸山戦が昇級最大の難関という感じでしたが、勝てず。。これは痛い3敗目ですが、順位がいいので、まだ2敗組が落ちてくれば可能あり、という感じでしょうか。一方の丸山さんも3敗で踏みとどまり、望みをつなぎました!

●畠山鎮 vs 藤井猛○
畠山さん、これで4敗目、昇級は消えたか。。一方の藤井さんは大きな大きな3勝目で、順位は低いながらも、どうやら生き残れそうな気配です!


 結果、トップ集団は7勝2敗の広瀬、阿久津、豊島の3人となり、以降は3者の直接対決はナシ。もし昇級ラインが2敗なら、豊島さんが順位的にちょっと不利という感じでしょうか。
 しかし、残り4戦もあるので、昇級ラインが3敗まで下がる可能性もあり、もしそうなった場合は、順位的には松尾さんと丸山さんがいいので、現在2敗の3者とも昇級できないという事になります。う~ん、これはデッドヒートになってきましたね。。

第72期順位戦 A級 5回戦

 昨日、渡辺竜王三冠と久保さんのA級順位戦がありました。これでA級5回戦はすべて終了。「史上最強のA級」なんて言われているみたいですが、たしかにもの凄い激戦状態!…ひとりだけとんでもない化け物がいますが(^^;)。

○渡辺明 vs 久保利明●
 今年はとにかく調子の悪い竜王ですが、この前の竜王戦第3局はもの凄かった!!急戦矢倉のとんでもない研究手といい、解説も森内名人も見えていなかったような難解な終盤での鋭い寄せといい、復調してきている気がします。この将棋は、久保さんが凄くて、振り飛車の最新形みたいな将棋。角交換四間飛車から、今度は飛車を三筋に振り直し、最終的には石田流になりました。う~ん、融通無碍というか、さすがは振り飛車党のナンバーワン棋士という感じで、見ていてため息が出てしまいました。…が、なんか竜王はぜんぶ研究済みみたいな指し回しをするので、びっくり。…渡辺竜王の勝ちです。竜王は不調と言われながらも、これで3勝2敗。順位戦の2位に躍り出ました!一方の久保さんはこれで2勝3敗。大混戦なので、まだまだ分かりませんが、順位が低いので、なんとかはやめに3勝目をあげたいところです。

●佐藤康光 vs 深浦康市○
 こちらはその前日に行われた対局。王将戦の挑戦者決定リーグでは、羽生さんとのマッチレースを展開している佐藤康さんですが…深浦さんに敗戦!!4回戦のレポートで書いたように、何か深浦さんはこの後結構勝っちゃいそうだと思っていたのですが、まさか佐藤さんまで破るとは。これで深浦さん3勝2敗、佐藤さんは2勝3敗です!

○羽生善治 vs 屋敷伸之●
 以降は、ちょっと前に行われた対局です。A級の先手番でとにかく負けない屋敷さんですが、しかし羽生さんにはとにかく勝てない。どちらのジンクスがまさるのか…という感じですが、実はもうひとつのジンクスが。順位戦の羽生さんです(゚∀゚*)…というわけで、ジンクスの数が多かった、羽生さんの勝利となりました。。羽生さん、終わってみれば独走状態の5連勝なんですが、対局前は、相手が竜王をはじめ強豪ばかりですから、負けるかもしれないと思うのですが、強い。
 この将棋、棋譜を見たのですが、出だしから羽生さんの考えが全く分からず。これは、僕の知っている将棋というゲームではありません。。後手の羽生さん、出だしからして▲76歩△32金…それから角換わり。で、以降がさらに凄い。うまく言えないんですが、なんか凄いんですよ。。僕には意味の理解できなかった叩きの歩が2回。指されたら意味は何とか理解できたけど、「うわ、すげえ」と唸らされた叩きが1回。タダにしか見えない桂捨て、直後にやっぱりタダにしか見えない飛車捨て…でも屋敷さんはその飛車を取れない。銀取りを手抜いたと金作りも、なんかゾッとする感じでした。そういう、何を狙っているのか分からないようなフワッとした手がポンポン出てきて、またそれぞれがどういう風に繋がっているのかも分かりにくくて、しかしまるでフワフワした雲に囲われていくかのように屋敷玉が包囲されて身動き出来なくなっていく。途中からの寄せも、寄せじゃないみたい。僕には逃げ道だらけに見えるんですが、しかし詰んでいるという。ちょっと、異質な将棋、不気味な強さでした。。この将棋、プロの解説を聞いてみたいです。『将棋世界』とか見れば、出ているのかなあ。。

●三浦弘行 vs 行方尚史○
 行方さんが勝ち、これで3勝2敗と白星先行となりました!今のところ、2勝が降級ラインとなる可能性もあるので、勝ち数が同じで陥落という可能性もある順位の行方さんにとって、この3勝目はものすごく大きいと思います。一方の三浦さんですが、順位戦でなかなか勝てません。NHK杯で阿久津さんを瞬殺した時は、「A級棋士は別格だ…」と思わされたのですが。…電王戦で壊されてしまった??これで2勝3敗、順位がいいので降級はないと思うのですが…。

○郷田真隆 vs 谷川浩司●
 1勝3敗同士という、最下位レースという辛い展開のおふたり。しかし、羽生さん以外は大混戦という状態なので、勝った方は2勝目となり、気分的にかなり楽になる気がします。しかし負けると単独最下位になってしまいますが…谷川会長、負けてしまいました。。やっぱり、現役バリバリの人に会長職をやらせるのは良くないって。。A級棋士なのだから、将棋に専念できる環境にいて欲しいと思います。一方の郷田さんはこれで2勝3敗。あと一発誰かを蹴落とせば、何とかなりそう。残る深浦戦と久保戦が大事になってくる気がします。

 羽生さんが5戦全勝でぶっちぎり!名人戦挑戦ははやくも羽生さん挑戦が濃厚なのでは?そして、2位以下が大混戦、まさに潰し合いです。3勝2敗が3名(渡辺、深浦、行方)、2勝3敗が5名(三浦、郷田、屋敷、佐藤、久保)、1勝4敗が1名(谷川)です。2以下は、誰が抜けてくるか、まったく見当がつきません。。

10か月:初段 (級位突破の原動力②:普段の勉強と、実践での対局姿勢)

(終盤の勉強:囲い崩しを集中してやる)
 大局観と並んで、初段へのブレイクスルーのきっかけになったと思える勉強があります。それが囲い崩し。
 将棋を始めてから、終盤の勉強は、詰め将棋→寄せ→駒の手筋、という感じで進めてきたのですが、将棋を何百局も指しているうちに、鋭い寄せを出来るようになる事よりも、まずはしっかりと矢倉や穴熊といった典型的な囲いを寄せ切れた方が良いと思うようになりました。中上級になると、みなさん寄せがもの凄く鋭くって、矢倉や穴熊や美濃を寄せ切れないと、ちょっと恥ずかしい気分になる、というのもありましたし。。また、囲いも様々で、銀冠とか右玉とか中原囲いとか、遭遇する囲いがどんどん増えてきていたのです。で、問題集は肌に合わなかったので、講座の出ている本で、囲いの攻めのポイントが載っている本はないかな、と思って調べていると、モテさんの書いた『佐藤康光の実戦で使える囲いの急所』に行き当たりました。これが大名著!この本には、もっと早く出会いたかったです。低級の頃に読んでいたら、上達はもっと速かったんじゃないかと。終盤勉強をしたいという初心者の方には、詰将棋よりも先に、この本と『寄せの手筋200』の2冊を何度も読む事をおススメします!
 囲いの急所を知っているというのは、実際に寄せに行くときに役立つのは勿論、前の記事に書いた構想力にも大きく影響すると思います。構想なんて簡単に言ってますが、僕の場合は、相手のどこを攻めて良いか分からない時ばかり。それでも、囲いの急所を知っていると、構想の大きなヒントになってくれます。中住まいや中原囲いを攻めに行くときなど、昔は途方に暮れたものでしたが、この本を読んでからは、序中盤の時点で既に「これは4筋攻めを中心に狙ってみよう」とか、ヘタながらも急所を意識しながら指せるようになってきました。

(序盤の勉強:対石田流など)
 まだ段位に届いたばかりなので、序盤の勉強は中級の頃からあまり進んでません。丸々やったのは対石田流の勉強ぐらい。石田流もスペシャリストタイプの多い戦型のような気がしています。で、とある人との対戦を特に意識して勉強してました。その人は石田流本組みが多かったので、特にその対策は急務のひとつだったのです。
 これは予想なのですが、半年ぐらい中級に停滞して伸び悩んだ時と同じように、僕はしばらく低段で伸び悩む気がしています。それどころか、また級位に落っこちちゃうかも。最大の理由はやはり、序盤定跡の勉強が追い付いていない事。いま、横歩の勉強をしているのですが、定跡を知れば知るほど、いかに自分が無知で筋悪の将棋を指していたかが分かります(x_x)。定跡を知っている方からすれば「こんなところで時間使うなよ」という感じなんでしょうね。でも、いちおう初段になるという目的は果たせたので、これからは勝てなくても焦らないようにして、まだ勉強できていない序盤の勉強を丁寧にやろうと思っています。

(死ぬほど丁寧に指す)
 当たり前のことに聞こえるかもしれませんが、丁寧に指すというのが、実に難しい!!単純なところでは、とにかくウッカリを無くす。指す前に何度も確認する。もう少し進んだところでは、ちゃんと読みを入れてから指す。勝敗を左右しそうな局面では、ちゃんと時間を使って読みを入れる!行けるかどうかわからないけど、いっちゃえ…という指し手を少なくする!!劣勢では、受からないと思っても手をひねり出す。それでもなければ、手抜いて反撃できる筋を探す。手順を組み合わせながら攻防手を打てる順を探す。それでもだめなら、相手が最も間違えやすそうな指し回しを考える。重要なのは、頭をフル回転させて考える訓練をする事じゃないかと。
 ネット将棋では、大体僕の方が先に時間を使い切っちゃいます^^;。でも、強くなりたいんだったら、それぐらいでいいと思うのです。そうしないと、僕の頓死癖とか、良く考えもせずに中盤で悪くしてしまうという癖は治らない気がします。たぶん、持ち時間5分でパンパン将棋を指している時というのは、考えているようで全然考えていないんだと思います。だから、持ち時間は5分より15分、1手は30秒より1分。なるべく長い持ち時間で指す!速差しは、思い出しのトレーニングにはなると思いますが、手数計算とか構想とか、その手の「考える将棋」の訓練にはならない気がします。
 そして、考えるか考えないかというのは、その1局でも勝敗を大きく分けえしまう重要な要素だと思うのです。考えているかいないかで、1級の人が2段に勝つとかが生まれる事があると思うのです。僕は、中級の時に、3級が高い壁で、2級となると途轍もなく強い人に思えていました。まして、段位の人なんか、神のように強い。しかし、いざ自分が段になってみると、初段も3級もそんなに差がないように感じるのです。中級以上に来ると、定跡に関する知識の差なんかは仕方がないとしても、それ以外のところは意外とわずかな差しかないんじゃないかと。で、そのわずかな差というのは、中盤とか終盤に1手か2手だけ出る。例えば矢倉だと、50手目あたりまでは、初段も3級も互角。問題は、51手目とかに起きたりする。このほんの少しが1度起きてしまうと、それが徐々に徐々に大きな差になっちゃうんじゃないかと。2度起きたら、それは決定的。このほんのちょっとの1手というのは、定跡を知っているかどうかかも知れませんし、手筋を知っているかどうかかも知れません。でも、見落としによる物も非常に多い気がするのです。数日前、僕よりほんの少しだけ級位の低い方と3番指しました。シロウト考えですが、強さは同じ。しかし、結果は僕の3連勝でした。そのうちの2番は、相手のウッカリによって勝敗が決したのでした(1番は両取りの見落としx2、次は飛車の成り込みの見落とし。で、こういう事の起きなかった3番は、どちらが勝ってもおかしくないぐらいの僅差)。級位が2つぐらい違ったとしても、その差は下手の人が感じているほど大きなものではないと思うのです。緩手や見落としを兎に角なくし、無いと思ったところから考えまくって手をひねり出せば、1手差の将棋の勝ちが増えてくると思います。


◆◆◆◆◆

 初段への道は人それぞれかと思いますが、初段になる方法というのは、手筋、基本戦型の定跡、寄せ、囲い崩し、大局観、これらを身につける作業なんだという気がします。僕の場合は、特に最後のひとつが盲点でした。大局観を学ぶのは、テキストにさえ出会うことが出来れば、数日で終わると思います。ただ、それが実戦で出来るようになるかというと…これは座学では無理。形勢判断しながら構想を持って指すという将棋を、一局指すごとに少しずつ上達できるものなんじゃないかと。僕の場合は、子供のころから将棋自体はたまに指していたという事もあり、無意識のうちには何となくやっていた事ではあったので、これを意識に挙げて実践する事自体には、それほどの違和感はありませんでした。ただ、これを意識的に行うというのは…脳の疲れ方がハンパじゃなかったりして。。頭の方がびっくりして、読み過ぎると靄がかかってくるようなかんじ、使っていない頭の部分が動いている感じ、これ以上考えたら頭がマズい事になっちゃうんじゃないかという恐怖感すらあり、まだ慣れないです。。でも、強い人って、この考える作業自体に慣れているんじゃないかという気がするんですよね~。




10か月:初段 (級位突破の原動力①:大局観の勉強)

 段位に達した時も、勉強の方針は変わりませんでした。序盤定跡と、中終盤の勉強がメイン。しかし、一時的にイレギュラーで集中トレーニングをした項目があります。それが、大局観の勉強でした。これが、半年近く停滞していた中級からのブレイクスルーの原動力に!形勢判断、構想、戦場の選択、玉の安全度、攻めの速度…中上級から初段へのブレイクスルー最大の原因は、大局観の勉強をした点にあったんじゃないかと。他に、囲い崩しの勉強をした事、そしてこれらを踏まえて丁寧に指すようにしたこと、これらがうまいこと合わさって、良い方向に働いたんじゃないかと。つまり、新たな定跡を覚えた事よりも、自分の将棋の指し方自体を変えた事が大きかったような気がします。

(形勢判断、構想、速度…大局観の勉強)

 中級の時点で、戦型ごとの習熟度にムラがありました。例えば、自分がメインテキストにしていた本を基準にすれば、対四間飛車の穴熊はウロ覚え度30%、矢倉だとウロ覚え度70%、横歩取りに至っては座学を全然できてない、とか。そんなわけで、このムラをなくしていけば、すべての戦型の定跡が身についたところで初段になれるんじゃないかと思っていました。
 ところが、どうもそれだけじゃない気がしてきたのです。「序盤定跡の勉強が全部終わったら初段」という理屈で行けば、勉強した戦型では、初段の人には勝っていないと理屈に合わない。しかし現実は、勉強が進んで自信のあった対四間飛車でも、2~3級あたりの方との対戦になると負けていたのです。それが終盤力の差による負けならまだ納得できるのですが、どうもそうじゃない。それでも明らかに負ける。これでは初段になれる計算にならないのです。
 3級にちょくちょく挑戦できるようになった頃、勝てない原因に見当がつき始めていました。それが、形勢判断とか構想といった、大局観に関する部分です。しかし、僕の勉強プランには、定跡や寄せの勉強ばかりで、大局観の勉強は入っていませんでした。で、大局観の勉強をする事に。テキストは、羽生さんの書いた『上達するヒント』という本でした。

形勢判断:
 間違っていたのは、その時々の指し手それぞれじゃなくて、その指し手を選ばせている形勢判断そのものだったんじゃないかと。ここで、将棋を指しているときに考えていること自体がガラッと変わってしまいました。それまでは、駒得するとか、龍を作るとか、いま駒のぶつかっている戦場での捻じり合いに勝つとか、取られそうな駒をどうやって逃がすかとか、寄せがあるか考えるとか、せいぜいその程度の近視眼的な事しか考えていなかった気がします。非常に行き当たりばったりな将棋なんですよね。
 それが、駒組みをしている段階あたりで、中終盤の具体的な構想を立てるようになりました。最も変化したのが、形勢判断と構想。形勢判断に関しては、僕はしているつもりで、まったくできていませんでした。これは、電王戦を観戦しているときに痛感させられました。僕は後手よしだと思って見ているのに、ソフトは先手優勢と評価してたりする。ソフトの形勢判断が正しいかどうかはさておき、しかしソフトなりの基準で局面を完全に数値化して評価しているという点は見習うべきと思いました。曖昧ということが無いんです。形勢判断を誤ると、自分が悪いのに、まるで自分が良いような勘違いをしてしまったりします。自分で悪い方に進んでいくのですから、これでは勝てるはずがありませんよね。これはきっとプロでもそうなんじゃないかなあ。正しい形勢判断をできているかどうか、ここですでに棋力差が生まれているという気がします。で、何をもって形成を判断するのかというのを、具体的に、そして意識的に行うというのが非常に重要なんじゃないかと。

構想:
 で、形勢判断が出来るようになって、はじめて構想というものが使い物になるんじゃないかと。前提が間違っていれば、結果も間違えますよね。例えば…穴熊崩しの定跡があるとします。で、その通りの形に持ち込むことが出来て、そうなればこの戦場では優位かもしれません。でも、その時に自玉が危険だったら…間違っているのは穴熊崩しの定跡ではなくて、そこで守りではなく攻めに行った構想そのものなんじゃないかと。もし、形勢判断が正しくて、かつ構想が正しかったら…あとは定跡やら終盤力やらの棋力が同じであったら、勝手に優勢になるはずじゃないかと。それでも負けたら、読みの深さとか、寄せの力とか、そういう所の棋力で負けている事になるので、もうこれは諦めるしかない(笑)。。
 自分の棋譜を振り返ってみると、中級の頃も段位の今も、使っている手筋や序盤の定跡は全く同じです。少しだけ端攻めのバリエーションが増えたとか、変化があってもその程度。そういう意味では、中級から初段の過程で、中盤力や、手筋の習熟度や、序盤定跡の知識で大きな進化があったとは思えません。劇的に変化したのは、将棋の考え方そのもの。これによって、構想が大きく変わり、構想が変わったものだから将棋自体が変わったんじゃないかという気がします。

速度計算:
 そうそう、大局的な考えにとって必要不可欠な速度計算に関しては、羽生さんの『上達するヒント』にも書いてありますが、それ以上に谷川会長の書いた『谷川流寄せの法則 基礎編』が分かり易かったです。寄せの速度計算の考え方は、この本と『光速の寄せ5 総集編』から学びました。この2冊は内容がかなりかぶっているので、どちらか1冊でいいので、級位の方は一読をおススメします!ちなみに、谷川さんの本は級位が低い頃に読んでいました。が、いざ実践となると、具体的な速度計算は面倒くさくって無意識のうちに怠ける事も多かった気がします。しかし、段位になると、僕の実力ではスレスレなのか、1手の速さが勝敗に影響する事がとても多くなってしまい、ちゃんと計算するようになりました。…読み抜けだらけで、失敗だらけですが(^^;)。手数計算を根拠に攻め合いを選択すると、読み抜けがあると頓死してしまうんですよね。。数日前、読み抜けによる頓死を2番続けてしてしまった時にはさすがに落ち込みました。。

81Dojo-2013-11-09-09-3-82手 ちょっと、形勢判断と構想と速度計算の例を。2枚換えなんは、これらが分かり易く表象する好例の気がします。2枚換えって、どちらが得かって、将棋ごとに変わりますよね。中級までの頃は、飛車と金桂の交換とかって、なんとなく飛車を渡す側が損の気がして、2枚換えを用いた構想というものを僕は立てる事が出来ませんでした。しかし、実は飛車を渡した方が得という事もかなり多い気がします。この前の竜王戦も似たような将棋だった気がします。あれは、まさにプロというものすごい将棋でした。
 図は、つい先日、ネット将棋で実際に指した将棋の中終盤です。将棋自体は後手の方がずっと優勢で抑え込みに成功、先手は両取りで銀を素抜いて5分以上に戻し、そしで問題のこの場面になった感じ。先手が角を2枚持って優位に見えますが、これは後手の方から角を切って2枚換えに持ち込んだから。そこは、形勢判断と構想力の問題ですよね。そして辿り着いた盤面図では、最低でも角と銀金の2枚換え、場合によっては飛車角と銀金金の2対3の交換になります。交換になった後も何枚まで替えるかを選べ、正解を導き出すには手数計算と形勢判断などが必要。こういうのって、定跡や手筋や詰将棋の勉強だけではどうしようもなくて、読みと大局観の簡単な例だと思うのです。この場合、後手は飛車角という大駒を一気に手に入れる事が出来ますが、その順を選んでしまうと、実はほぼ即詰み。こういう、パッと見で分からなくなると「ええいっ!いっちゃえ!」と感覚でやっていたのが中級の頃で、大局観を勉強して以降は、難しくても更に考えるようにして、形勢判断や構想をちゃんと考えるようにして、速度計算もしてから行えるようになったような気がします。で、まずいようならその順を避けて、別の構想を考えるという。…な~んてエラそうな事をいっているのですが、とにかく読み抜けが多くてアホな負け方も多いのですが、読み抜けが減っていけばもう少し勝てるようになる気がするので、基本的な勉強だけでも初段どころか2~3段ぐらいまで行けるものなのでは?という気もしています。

 ただし…大局観というのは、定跡や手筋というものを知っていない事には話にならないので、ここに手を出すのは、基本的な勉強が終わってからの方が、効率は良い気がします。



5~9か月:6~4級前後 (中級の時にやった序盤の勉強)

 勉強をはじめて5ヶ月ぐらいで5級になれたので、「5ヶ月で5級なら、6か月で4級、7か月で3級…11ヶ月で初段じゃん!」とか思ったのですが、ここからが実に安定してなくって、2級に届いた事もあれば、8級まで落ちた事もあったり。それから4ヶ月経った9月に書いた日記にも「3~5級ぐらい」とあるので、中級になってから半年弱ほど伸び悩んでいた計算になります。伸び悩んだ理由と、成績が安定しなかった理由は、同じ事が原因であったと思います。端的には、序盤勉強が間に合っていなかった事。中級に来ると、序盤定跡を知らずに勝てるなんて甘い事は、まず起こらないと思います。でも、序盤定跡の勉強って…そんなに簡単に終わらないんですよね。


(序盤勉強:対四間飛車の穴熊、矢倉、あとは苦戦した戦型をその都度)

矢倉
 序盤の勉強は、矢倉の勉強とか対四間飛車戦での穴熊をメインに計画していました。矢倉は中断していた『羽生の頭脳3 最強矢倉』を再開、しかし未だに身についていない感じ(x_x)。むしろ、実践の矢倉戦の主戦法になったのは、谷川会長の書いた『光速の寄せ 矢倉編』に出ていた形。この本は、寄せの本のようなタイトルをしていますが、中終盤ぜんぶ出ている感じでした。で、その中で使いやすそうな駒組みを覚えて、そこからは手将棋で戦っているような状態でした。これはいまだにそう。

対四間飛車の穴熊
 一方のメインに据えた対四間飛車は、低級の頃に急戦定跡を勉強して勝っていたのですが、中級になったら勝てなくなりました。中級になっても四間飛車使いが凄く多かったです。で、どうにも対四間飛車は穴熊の方が有効らしいので、戦型を改めて穴熊を勉強する事にしました。参考にしたテキストは渡辺竜王の『四間飛車破り 居飛車穴熊編』。これは居飛車穴熊のバイブルのような本のうえ、代わりになる本もありませんので、居飛車党にはマストアイテムだと思います。この本の効果は絶大で、段位に届いた今でも、相手が四間飛車の美濃囲いに来ると「しめた」と思うぐらい。ちなみに、相穴熊は出ていないので、相穴熊戦の勉強は他にする必要があると思いますが、お互いにアドリブであるなら、四間飛車穴熊より居飛車穴熊の方が若干強いような気がしています。

対右四間飛車
 しかし、序盤定跡の勉強は、メインの上記2戦法ばかりをしているわけにはいきませんでした。戦う相手はこちらに合わせてくれるわけではないので、何度もやられる戦型に対しては、その都度にメインの勉強を中断し、集中的に勉強をして対処しました。
 最初の脅威が右四間飛車!この攻撃力がハンパではなく、受けを知らない頃は瞬殺の連続。また、右四間飛車というのは、それだけを指すスペシャリストタイプの人が多い感じで、一生懸命勉強した定跡で応手して互角の分かれぐらいまで持って行っても、終盤力で寄せ切られる事も多く、とにかく苦労しました。右四間って、定跡通りに進めても、受ける側の囲いはボロボロになるのです(-_-*)。右四間飛車対策は、ネットにあった定跡、所司さんの書いた『四間飛車道場』という本の右四間飛車の巻などで対処したのですがダメ、最終的には羽生さんの『変わりゆく現代将棋 下』という、説明のメチャクチャ細かい本に行き着きました。ここでようやく何とかなるようになりました。

対中飛車
 次にキツかったのがツノ銀中飛車。これも中飛車しか指さないというスペシャリストさんに負け続け、矢倉の勉強を中断して棋書を読みまくる状態に。で、無知な僕はそれをゴキゲン中飛車と勘違いして、ゴキ中の教科書『ゴキゲン中飛車の急所』を丸々1冊読みました(^^;)。アホだ。。しかしこれが無駄ではなかった。まず単純に、たまに会うゴキ中戦で役立ちました。ゴキ中は早石田みたいに、受けを知らないと瞬殺されます。次に、これがツノ銀中飛車戦にも応用できました。対四間飛車の穴熊の勉強をした後という事もあり、ここにあった中飛車vs穴熊の定跡に近い駒組みが凄く使いやすかったのです。それで連敗状態を脱出。以降は、ネット将棋の感想戦でアドバイスをいただいたり、『羽生の頭脳2 振り飛車破り』に書いてあったツノ銀中飛車対策の駒組みだけ覚えたり。というわけで、中飛車の対策は定跡&自己流のミックスという感じでした。

対急戦棒銀
 もうひとつの難関が、急戦棒銀。棒銀使いは、中飛車や右四間飛車使いのように、けっこうよく当たるという事はありませんでした。しかし、当たった事がないものだから、受けを知らず、3級に届こうかという時に、なんと10級の人にやられて大差負け(x_x)。あまりに悔しくて、すぐ勉強しました。対策は、右四間飛車の勉強に使った『変わりゆく現代将棋 下』に出ていました。これで急戦棒銀には取り急ぎ負けなくなったのですが…この本に出ている順の通りに進んで「先手よし」までいったとしても、僕はそこから勝つ事が出来ません。。いや、そこまで実践でいった事は今のところないのですが。。

ダイレクト向かい飛車
 これは、6級ぐらいの時に何度かやられたぐらいで、そんなに遭遇する機会はなかったです。でも、やられた時は立て続けだったという事と、4手目で角交換をしてくるこの戦法を防ぐ手だてが先手になかったもので、勉強する以外に道がなかった、というわけです。使ったテキストは糸谷さんの書いた『現代将棋の思想 一手損角換わり編』。この本のメインは一手損角交換でしたが、ダイレクト向かい飛車の定跡も出ていました。ダイレクト向かい飛車はまだ定跡が進化中の新しい戦型なので、分かれも少なく、本筋も40手もいかないぐらいで終わってしまうので、覚えやすかったです。ダイレクト向かい飛車は、アマチュアの級位レベルでは、指しこなすのは難しいという印象なので、他の戦型に比べれば対策しやすかったです。


◆◆◆◆◆

 …振り返ってみると、知らないと瞬殺されてしまうような戦型の対策は、矢倉や四間飛車といった超メジャーな戦型より先に勉強せざるを得なかった、という感じですね。
 中級を抜けるまでに、僕は角換わりや横歩取りという戦型の勉強が間に合いませんでした。そういう勉強できていない戦型の対策は、本の部分読みやプロ将棋の観戦なんかで何とかしていました。実際には、何とかしていたどころか、角換わりと横歩取りの勝率の方が良かったりして(^^;)。これは、角換わりや横歩取りを指す人がアマチュアに少ないという事と、座学はしなかったが、プロ将棋観戦で一応の得意パターンを覚えたという事が理由だった気がします。
 横歩は、今年の羽生vs渡辺の棋聖戦の棋譜を見る事をおススメします。今年の棋聖戦は横歩が何番かあったのですが、ここでの羽生さんの指し回しは、先手後手とも強烈。短手数で覚えられるうえ、あっという間に優勢に。あの竜王ですら受けられないんですから、アマが受けるのは難しいと思います。しかも多分新手なので、定跡書にはまだ出てないんじゃないかと。だから、面白いように勝てたんじゃないかと思っています。
 角交換は図書館にあった本の中に『木村定跡』というのが出ていて、これだけをとにかく覚え、あとはそれをアレンジして使っていました。勉強時間は一時間ぐらいじゃないかと(^^;)。あとは、プロ将棋の観戦で覚えた攻撃術をそのまま真似してました。成績は今のところ良いのですが、でもやっぱり角換わりにはものすごい苦手意識があって、角交換されると間違いなく心拍数があがってしまいます。なぜ心拍数があがるかというと、早繰り銀や棒銀で右四間で来られたら一発でアウトだからというのは、実は内緒です(^^;)。やっぱり、棋譜並べやプロ観戦での勉強は、定跡勉強というベースを作った後にやった方がいいと思います。

 というわけで、良くある戦型の定跡を必死に覚えていく過程が、中級の時だったという気がします。得意戦型では序中盤を優勢に進めて終盤に持ち込み、得意ではない戦型ではとにかく離されないようにして、五分か少し悪いぐらいのまま終盤に持ち込む、という感じ。これは今でもそうですね。





5~9か月:6~4級前後 (中級の時にやった中終盤の勉強)

 中級レベルでやっていた勉強は、低級レベルでやっていた勉強と方針は変わりません。ただし、多少のマイナーチェンジはありました。まず、中終盤の勉強のマイナーチェンジ。中終盤の勉強の軸は詰め将棋だったのですが、これを変更しました。

(終盤の勉強:詰将棋から、寄せの参考書に変更)

 僕は、詰将棋がとにかく苦手。あまりに出来ないので、「これ、詰将棋の問題を解く以前に、詰将棋を解く為の考え方を先に勉強しなくては話にならないんじゃなかろうか?」と思ったのです。そこで、3手詰の本と5手詰の本を2周ほどしたところで作業を中断、『寄せの手筋200』をやる事にしました。これが素晴らしい!!いきなり問題を解くのではなく、「頭金」とか「挟撃」とか「退路封鎖」とかの講座があって、その後で実戦問題を解いていく感じ。まさに僕の需要にピッタリでした。
 あと、矢倉崩しと穴熊崩しに悩みました。美濃はある程度崩せたのですが、矢倉は横からじゃないとなかなか崩せず。穴熊は、そもそも崩すことが出来ない事も何度もあって、骨が折れました。そこで見つけたのが、図書館にあった『羽生善治の終盤術3』という本。この本は、美濃・穴熊・矢倉を崩す為の本だったのですが、それぞれに基礎講座と実践問題がありました。このうち、穴熊と矢倉の基礎講座だけを読んで丸覚え。特に、穴熊崩しは端攻めではない縦からの潰し方が出ていて、これがメチャメチャ使える。この受けを知らない人は上級でも結構いて、穴熊の堅さ頼りでこちらに攻撃を続けているところで、あっという間にこちらが寄せてしまうという勝ちを何回もさせて貰いました。いい本だったので、いつか、講座編だけでなく、実践編も読んでみたいと思っています。

 中級では、詰将棋で苦しみ続けるのではなく、寄せの手筋の勉強にスイッチしたのは良かったんじゃないかと思います。あのまま詰将棋を続けていたら、挫折していたような気もします。あと、これはいいわけではなく、詰将棋は程々で良い気がします。もしくは、手筋とかをちゃんと覚えてから始める。将棋の勉強を始めた時、「詰将棋がいい」というアドバイスが多かったので、それを鵜呑みにして始めたのですが、初段までの段階で言える事は、実際の将棋で詰め将棋のような寄せになる事は、すごく少ないです。いや、出来たら勝ちを拾える将棋もチラホラ出てきますが、詰将棋のような難しい手順を読む棋力を鍛えるよりも、囲い崩しや寄せの勉強の方が明らかに優先順位が高いと僕は思います。

(* 追記:ある方に紹介され、『実戦式詰め将棋』という本に出会いました。僕の理解では、この本は詰め将棋を解く本では無く、詰将棋の解き方を覚える本です。これが素晴らしい!詰め将棋が苦手な初級~中級ぐらいの方がいらっしゃいましたら、無理して詰め将棋を解き続けるのではなく、まずはこの本を読む事をおススメします!僕はこの本をなんとか段位に到達して以降に読みましたが、これを低級か中級ぐらいの頃に読んでいたら、もう少し速く上達できたんじゃないかと思えました。この本の細かいレビューはこちらに書きました。)

(中盤の勉強:駒の手筋)

 中盤の勉強は、駒の手筋の勉強をしていました。ちょっと記憶があいまいなのですが、これはもしかしたら低級の時に始めていたかも。テキストは、『羽生の法則1 歩・金銀の手筋』『羽生の法則2 玉桂香・飛角の手筋』の2冊。この本には3集もあるらしいですが、それは玉の囲いとからしいので、やってません。この本も、ネットでの評判はあまり良くなかったのですが、とんでもありません。僕が、もしこれから将棋を始める人に本を薦めるとしたら、間違いなく『将棋絶対手筋180』『羽生の法則1』『羽生の法則2』の3冊です。この本でなくてもいいと思うのですが、駒の手筋というものは、将棋を指すなら絶対に覚えなくてはならないと思います。で、この本以外には、代わりとなるものがありませんでした。歩の手筋だけとかならあったんですが…。思うに、本当にこの2冊の手筋を完全に覚えたら、相当に強くなると思います。この本は、問題集形式じゃなくて、「この場合はこう…」という講座形式になっていたのが凄く良かったです。やっぱり、将棋を覚えている時期というのは、問題を解くんじゃなくって、まずは教えて欲しいですからね(^^)。



5~9か月:6~4級前後 (中級へのブレイクスルーの理由)

 辛かった低級時代を越え、5ヶ月目ぐらいで、とうとう5級前後にブレイクスルーする瞬間が訪れました!これは僕の印象ですが、将棋が強くなるのって、10級、9級、8級…と、だんだん強くなるのではなくて、どこかの段階でいきなり「ドンッ」とブレイクスルーが来る気がします。これは、段位になった時も同じで、僕は2級や1級というのがなくって、いきなりズドンと段になった感じでした。しかし、その前の段階が長かった。。

 ブレイクスルーの体験を、僕は大学入試の英語の長文読解の勉強で味わった事があります。高校3年で最初に模試を受けてみた時、英語の文章が何を言っているのか、なにひとつ分からず。そこそこの進学校で、いちおう中の上ぐらいだった僕は、ここまで自分が手も足も出ないとは思っておらず、マジでショックでした。点数も10点ぐらいで、こんな悪い点は生まれてこの方取った事が無かったのです。こんな状態で、受験までの残り1年で、英語が出来るようになるとは到底思えず、お先真っ暗(-_-*)。これが、単語の勉強をして、文法の勉強をして、文章の読み方みたいなものを勉強しているうちに…徐々にではなく、とつぜん長文が何を書いてあるのか、わかるようになりました。何年か前に英語の勉強をし直そうと思って、関先生という予備校の講師の人が作ったDVDをレンタルしてきて見たのですが、その先生も「長文はある時突然わかるようになる」と言っていました。なるほど、みんな同じなんですね。

 ブレイクスルーは、昔に読んだ複雑系の本にあった理論で説明がつく事である気がします。ランダムグラフという例です。ボタンが無数にあったとして、このボタンを糸で結ぶ。最初は2つのボタンしかつながっておらず、残りのボタンは無関係。ところが、つなぐ糸を2本3本と増やしていくと…ボタンと糸の割合が0.5を超えたあたりで、とつぜんすべてのボタンが繋がる。この理屈と同じで、中級へのブレイクスルーは、何かひとつの原因によるものではなく、手筋、寄せ、序盤定跡、これらバラバラの知識が一定の数に達した瞬間に、ひとつに結びついたんじゃないかと。

 そうそう、中級の時のもうひとつの特徴は、成績が安定しなかった事です。中級と言っても、2級まで突き抜けた事も何度かありました。ところが、8級ぐらいまで落ち込む事もあったり。これは、序盤定跡に関する勉強のムラが最大の原因だったんじゃないかと。中級時代というのは、級位は上がらないんですが、成績のムラがだんだん少なくなっていた期間だったという気がします。

第26期竜王戦 第3局 渡辺明竜王 vs 森内俊之名人 (急戦矢倉 5筋交換型)

 挑戦者の森内名人がなんと2連勝。しかも急戦矢倉5筋交換型での往復ビンタという事で、星的にも精神的にも追い込まれた感じのある渡辺竜王。しかも悪い事に、負けるとカド番に追い込まれる事になるこの第3局が後手番。。いや、これは正念場です。
 という大事な一局で…なんと三たび急戦矢倉5筋交換型!!うわ、これは森内名人は大歓迎でしょうが、竜王は片意地を張っているようにも見えます。負けっぱなしで終われないという事でしょうか。羽生さん相手に3連敗から4連勝した伝説の竜王戦の原動力がこの戦型だったらしいので、散る時も同じ戦型で、という事?…いやいや、そんな浪花節のハズはありませんね。なにか用意の策があるのでしょう。いや、これで勝ったら竜王格好いいな。。

2013110828手 28手目、5筋交換型の指定局面といった場面です。第1局で名人は▲68角と出た角を引いていました。第2局では竜王が▲75歩とえらい強気の手を選んでいましたが、まさか…

▲75歩

 キタ━━━(゚∀゚).━━━!!!名人、第2局の竜王と同じ手!「お前はこれで負けたけど、俺が指すと負けないんだよ」というプレッシャーのかけ方でしょうか。もしこれで勝ったら、森内さんカッコいいんですけど。。で、以下しばらくは第2局とまったく同じ進行。

△84飛▲74歩△同飛▲56歩△31玉▲25歩△51金▲76歩△33銀

 お、最後の△33銀で第2局と分かれましたね。ここから森内さんがどうしたかというと…

2013110838手▲65歩△同銀▲73角成△同桂▲82角

 この順は丸暗記したいです。なんでも、去年の名人戦で羽生さんを破った手順だそうで、その時はこれで先手よしの結論となったそうです。でも、さすがに去年の名人戦で指された順を渡辺さんが知らないとは思えないので、これは竜王の想定の範囲内じゃないかと。そうは思うんですが、でも実際にここからどうすればいいのかは全然わからない(゚∀゚)。「おい、一体ここからどうするんだよ」という局面を見るのも、プロ将棋の観戦の醍醐味ですよね~。難解な局面をプロならどう指すか。僕はこういう所になるとドキドキしちゃいます。で、竜王は…

△22玉

 え、攻めるでも受けるでもなく、囲いを優先する放置策なのか…信じられん、それじゃ香損のうえ馬まで作られそうなんですけど。

▲91角成△42金上

 …香損のうえ、馬まで作られました。しかし、竜王はなおも玉を固めにいきます。ちなみに、去年の名人戦で、羽生さんはここで攻め合いに出たみたいです。この辺りに棋風が出ますね。竜王って、玉をカッチカチにしてから攻めまくるというイメージがあるので、指されてみれば竜王らしい構想かも。
 この時点で、後手相当に悪いと思ってました。このまま終局かとすら思ったんですが…よくよく見てみると後手の主張は駒損でも玉形の差があって、先手は玉がまるで囲えていないのに、後手玉はカッチカチ。攻撃の速度も自分の方が速いぞ、という感じで、意外と釣り合っているのかも知れません。う~ん、さすがにトップ棋士、構想も研究も凄いなあ。ここからは細い攻めを繋げてしまうスペシャリストの渡辺竜王の攻撃と、受けてからのカウンターのスペシャリストである森内名人の受けという展開になりそうな予感。。

 で、竜王の狙いが功を奏したか、名人は角の打ち込みがあるので玉を矢倉城に入城出来ず。ここで竜王は攻めに出ますが、名人は受けながら、駒得を拡大しながらといったじっくりした指し回し。この森内さんの指し回しが実に厭らしくて、竜王は飛車角交換され、更に自分から角まで切って、遂にはほぼ丸々飛車損という状況に。こうなると後手は攻めを繋ぐしかないように見えるのですが、その攻めが如何にも細い…。これはさすがに竜王まずいだろう。。

2013110873手 …と思ったのですが、さすがは9期連続で竜王位を守ってきたトップ棋士です。なんと攻めを繋げてしまいます。図は72手目 、△88角成を防ぐために名人が▲79角と受けたところ。竜王はここからどう手を繋いだかというと…

△86歩▲65龍

△86歩は先手にとって痛いですね。▲同歩なら△87歩でいっぺんですか。で、▲65龍と引いて角取りに合わせます。
 寄せ切れるかどうかは分かりませんが、この角取りを受けずに△88角成▲同角△87歩成としてしまえば先手陣の左辺を突破できますが、竜王はそうは指しませんでした。控室も違う手を検討していたので、この順は突破した直後に反撃の筋があって先手良しなんでしょうね。

△64金▲76龍△87歩成▲同龍

 …いやあ、反撃の筋があったからこの順になったんでしょうが、後手は攻撃の拠点としていた歩を2枚とも払われて、ここから一体どうするんでしょうか。大丈夫なのか、これ…。

△66歩

 …これは攻めが切れたように思うんですが。。金を躱されたらどうするのかなあ。

▲77金△67銀

 やっぱり躱されたよ。。と思ったら、△67銀?ベタな手ですが、これも玉を引いてしまえば何でもないと深く考えていなかったんですが、もし▲59玉と引いてしまうと、△7八歩▲同金△8六歩で潰れだそうで。。…いやあ、△78歩は思いつかなかったなあ。基本的な歩の手筋が身についていない事を改めて痛感しました。この歩の使い方は覚えておこう。でも、先手は玉が躱せないとなると、これは一気に寄っちゃうんじゃないか??竜王、恐るべし…。

2013110894手 そして94手目、竜王はあの細い攻め筋を繋ぎ切って、ついに先手の左辺を攻略。しかし、森内名人は見事に玉を躱して、どうやら右辺に逃げ込む事に成功しそう。これを寄せるのは難しそうだなあと思っていました。が…

▲25歩

名人、なんとここで攻め合いに行きました!けっこう持ち駒があるので、これは読み切ったか?!

△77金打▲同桂△同歩成▲24歩

うわ、名人、竜取りを手抜いたよ。。これは寄せが見えたのでしょうか?でも、寄せられるとは到底思えないんですが。。

△同銀

え?同銀としたら、名人の角も飛車も働いちゃう気がするんですが。。う~ん、僕が手筋の本で一生懸命勉強した順が、ことごとく覆されていきます。覆されるという事は、なんかまずい順があるんでしょうね。双方とも激しい寄せ合いになりました。

▲77銀△同金▲23歩△同金▲25歩△27歩

▲23歩?手筋は▲23角っぽい気がしますが、それでは間に合わないんでしょうか。でも▲23歩だと△同金の一手で、後手の玉頭が盤石になってしまう気もします。そうなると、単に駒勘定をする限りは足りない気が。で、竜王の放った最後の△27歩が凄かったです。これ、何も利きがないところに打ち込んだので、飛車道を止めたんじゃなくって、玉の退路封鎖ですよね?ということは…読み切ったのは実は名人ではなく竜王??

▲同飛△78金▲24歩△79金▲23歩成△31玉▲65桂

森内名人、果敢に攻めますが、竜王は全部手抜き!金で龍と角をボロボロと取っていきます。その間に名人はついに玉まで届きましたが、△31玉と引かれ…これは切れでしょう。名人、終わった…と思ったら、▲65桂?!僕にはこの形の意味がサッパリ分からず。しかしこれがなんと詰めろ逃れの詰めろになっているそうで。解説によると、「△6七角▲同玉△6六飛▲5八玉△6九飛成▲5七玉△5六歩▲同玉△6六竜▲4五玉と進む変化で、6五の桂が陰になって5四へのルートが出来ている」んだそうです。寄せられた後の11手先を読んだ攻防手なのか、すげええ。。しかし、ここからの竜王の寄せがまたすごかったです。

△69角▲49玉△58銀▲38玉△47銀成▲同銀△同角成▲同玉△46飛

 △69角の時点で必至なんだそうです。解説されるまで、まったく分かりませんでした(・ω・)。やっぱりプロは凄いわ。受かる順があったのかどうかは分かりませんが、結果的には攻めの竜王の読みが受けの名人の読みを上回る格好になり、122手で後手竜王の勝ち。投了以下は、▲5八玉△5七歩▲同玉△4五桂▲6七玉△6六飛みたいです。

 いやあ、今期の竜王戦は、2局まではちょっと面白くないなと思っていたんですが、この第3局は面白かったです。まず、序盤で香損して馬作られて、飛車角交換されて角切ってという将棋で、後手がいいなんてビックリ。玉の堅さというのがどれだけ大事かというのを思い知らされました。
 また、竜王の攻めのつなぎ方が見事。見ていて感嘆してしまいました。あと、負けはしましたが、森内名人は序中盤が実にうまいですね。駒が当たり始める段階では既に名人有利という将棋ばかりの気がします。

 これで対戦成績は竜王の1勝2敗。しかし竜王は往復ビンタされた戦型を取り返すという力技に成功!気分的には5分なんじゃないでしょうか。しかも第4局は竜王の先手です。竜王戦、実は4勝1敗とかであっという間に終わるんじゃないかと思っていたのですが、一気に面白くなってきました!!

0~4ヶ月:10級~7級 (この頃にやった勉強)

 僕の場合、将棋の勉強を始めたスタート時点で、スーパーファミコンの将棋ソフト(古っ!)相手にはほとんど負けないぐらいの強さはありました。だから、ネット将棋を初めて指す時は「俺って何級ぐらいなんだろう?さすがに10級という事はないだろうな。7級ぐらいかな?いやいや、もしかすると5級ぐらいあったりして…」なんていう、淡い期待を持っていました。しかし、これが10級の方に手も足も出ず、フルボッコ状態。。最初、10級ぐらいで7連敗したのを覚えています。これはショックでした。ちょっとではなく、大ショック。本気で絶句状態でした。
 2~3ヶ月経過した頃、7級が高い壁でした。10級の方にも勝てなかったことを考えると、少しは上達していたのでしょうが、7級が高い高い壁。これを超えるのが大変だった記憶があります。

 将棋の勉強として、序盤の戦型別の定跡中終盤の駒の手筋や寄せプロ将棋の鑑賞、という3つを並行してやる事に。あとは実践です。序盤勉強は絶対に毎日1時間やる、中終盤は電車の中とか歯医者の待ち時間とかにやる、プロ将棋の鑑賞は趣味がてらに鑑賞して要点や疑問点をブログにまとめて勉強しつつ楽しむ、区切りのいいところまでやったら実戦で試す、という感じ。マイナーチェンジや一時的な変更はありましたが、このスタイルは今でも続いています。

(序盤勉強:すべての戦型の出だしをザックリ、対四間飛車急戦、矢倉を少しだけ)
 最初に手をつけた序盤勉強は『羽生の頭脳3』の矢倉。勉強を始める前に、まず自分が居飛車か振り飛車かを決める必要があったので、いろいろ調べた結果、最終的には居飛車の方が有利だろうという事で、居飛車の王道・矢倉からという考えでした。そして、居飛車の全戦型の定跡大百科みたいな『羽生の頭脳』という本があるという事をを知った時は、ちょっと興奮しました。「すげえ、こんな本があるのか…」みたいな感じ。『羽生の頭脳』という定跡本を知ることが出来たのは、すごく大きかったと思います。しかしいざネットで将棋を指し始めると、対四間飛車戦があまりに多いので、矢倉の勉強を一時中断、『羽生の頭脳1』の対四間飛車の急戦定跡に勉強をスイッチ。この急戦定跡は低級突破の原動力になりました。それぐらい、低級は四間飛車使いだらけだったのです。。
 そうそう、最初は定跡本は読むだけでしたが、途中からは将棋盤に駒を並べるようにして、最終的には棋譜ソフトに入力するようになりました。棋譜ソフトへの入力は、体験として記憶にも残るし、分岐にも簡単に戻ることが出来るし、何か月も後から振り返る事も出来るので、おススメです。これはタダで配布されているので、PCを使っている人はぜひダウンロードする事をおススメします。柿木さんの制作なさっている”柿木のソフトウェア”というページからダウンロードできます。
 対四間飛車の勉強をしている間にも、色々な戦型での対戦が次から次に来るので、ああ、これはひとつひとつの戦型の勉強を丁寧に勉強する先に、ザックリとすべての戦型を勉強した方がいいと思いました。そして、渡辺竜王の『将棋 絶対手筋180』という本に行き着きました。ネットでは「簡単すぎる」とか「あほか」とか酷評されていましたが、予想以上に自分が弱いという事を思い知らされていた僕は、本当に基礎からやらないとダメだと思い、この本に手を出しました。この本は初級の頃には凄く役立って、いちばん苦手だった角換わりでも駒組みが出来るぐらいになりました。いまやり直しても、出来ない問題も結構あるんじゃないかと思います。

(棋譜並べは止めて、プロ将棋を観戦)
 棋譜並べもいいなんて聞いて、4~5局やってみました。しかしこれは低級には早過ぎましたね(笑)。まず、解説がないところは、指し手の意味すら分からない。これは、ある程度以上の棋力のある人のやる勉強法だと考え、すぐにやめました。
 かわりに、プロ将棋を見るようにしました。これはいいところ悪いところある気がします。いい所は、タイトル戦の解説つきの中継サイトなんかを見ていると、1局見終わるまでに、かなりの知識を吸収できるという事。NHK戦だと、ものすごく速いので、食い入るように見ていないとすぐに分からなくなります。NHK戦は、見終わった後にすぐ初手から並べ直せるぐらいになるぐらいの気合で、1手1手覚えるようにしました。…いまだに覚えられませんが(・_・;)。。悪いところは、効率の問題。もし合理性を追求するなら、定跡勉強をひと通りやった後に見る方が明らかに効率が良いと思いますが…プロ将棋は、見始めたら楽しすぎてやめられなくなりました(゚∀゚)。特に羽生さんとかの将棋は、見た目にも派手なので、初心者には面白かったです。野球でいえば、逆転ホームランとかそんなのが簡単に出る感じ。森内さんの将棋なんかは、野球でいえば1点先制してあとは守りきるみたいな感じなので、勉強を始めたばかりの頃は地味に感じました。というわけで、勉強とは別の意味で、プロ将棋の観戦のファンになってしまいました。プロ将棋の観戦は「勉強しよう」という事を忘れると、見ているだけになってしまうので要注意。。絶対に自分も次の手を考え、解説された定跡や手筋はその場で全部覚える、これだけは最低でもするという気合で見ていると、かなり効果があると思います。

(実践:ネット将棋の対戦と、将棋ソフトとの対局)
 思うに、低級の頃が一番苦しかった気がします。特に、本将棋で勝てないという事と、詰将棋が解けないというふたつが苦しかったです。本将棋に関しては、負けるとそれなりに精神的に辛くなるので、勝てる見込みが出るまで指さないというのも手かも。今の僕が当時の僕にアドバイスするとしたら、とりあえず『将棋絶対手筋180』と『寄せの手筋200』をひと通り読むまで、ネット将棋での対戦は止めた方がいいと云うでしょうね(笑)。あるいは、弱いソフトに相手してもらうとか。そういえば、低級同士のネット将棋では、マナーの悪いアジア人とよく当たりました。「お前、弱いな」とか、相手を馬鹿にするような事を対局中に言ってくるんですよ。腹が立ったもんですが、あんまり気にしなくていいです。この前見たら、その人は未だに7級で、僕は段位なんですから。実践では、負けた時は熱くなって何番も指さずに、ちゃんと負けた原因を分析して、克服してから次の対局に向かうといいと思います。81dojoは親切な人が多い気がするので、上手の人に負けた時は、感想戦をしてもらったり、定跡を教えて貰っちゃうのも有効だと思います。けっこう、みなさん優しく教えてくれました。逆の立場になっても、訊かれたからと言って悪い気はしないので、積極的にコミュニケーションを取る事をおススメします。ああそうそう、なんでも将棋倶楽部24の方は、対局終了後に挨拶もせず即去りも多いらしいので、ネット将棋のサイトによってもカラーが違うかも。
 あと、ソフトと指すというのも効果的な気がします。現在、巷では『激指』とか、強烈に強いPC用ソフトがありますが、僕は家にいる時は序盤勉強に時間を使いたいので、電車とかでも出来るDS用のソフトで対戦していました。DSというゲーム機は、英語の勉強用に持っていたのでした。初心者にとってソフトのいい点は、戦型や強さを設定出来るところですね。何本かやって見たのですが、『将棋ワールドチャンピオン 激指DS』というソフトがDSの中では強くておススメ。強いと言っても、他のソフトと比べればという程度のもので、名前こそ”激指”だったりしますが、PCの激指のような強さはありません。最強にしても、中上級になった頃には僕の方が強いぐらいでした。でも、将棋を覚える人には、それぐらいがいいと思うんですよ。ああ、あと、単にゲームを楽しむなら、『最強 東大将棋DS』というソフトが楽しかったです。級位者にはかなり手強かったし、トーナメントがあったり、ゲームとして色々と楽しかったです。

(終盤の勉強:詰め将棋。だが…)
 詰将棋も苦しかったです。解けないんですから。僕がやったのは『3手詰ハンドブック』と『5手詰ハンドブック』。3手詰めなんて簡単だろう、と思っている初心者の方は、舐めない方がいいです。僕は2周した時点でも正答率が5割ぐらいで、とにかく解けない。というわけで、初心者で詰め将棋をやりたい方は、背伸びして5手詰めとか7手詰に手を出すより、3手詰めとかの優しいところから始めた方がいいと思います。僕なんて、いまだに3手詰めから逃げている状態です(゚ω゚*)。








0~4ヶ月:10級~7級 (上達するために重要な事)

 「将棋初心者が1年で初段になる!」というお題目で取り組んできた将棋の勉強ですが、正確に言うと、僕は完全な将棋初心者であったわけではありません。将棋の勉強をしたことが無いというだけで、子供の頃に親父に教わって、駒の動かし方は知っていました。指していたのは相掛かりからの棒銀ばかりでしたが(^^)。また、子供の頃に友達と指したり、テレビゲームの将棋なんかもしていました。最後に頭金がいいという知識はあり、腹銀は知らない感じ。歩の手筋は、垂れ歩は知っているが叩きの歩は相当使えない感じ。囲いは、矢倉は知っていて、美濃・穴熊・船囲い・中住まいなんかは知らない。定跡や手筋はまったく知らず、矢倉に囲ったとしても、攻撃は全部手将棋。大体これぐらいの棋力が、僕のスタートラインでした。

 もうひとつの初期条件は、僕が大人だったという事。僕は大人になってから将棋の勉強を始めたので、学習の速度は子供よりも速いと思います。将棋本の漢字が読めるし、子供より将棋本を買うための小遣いは多いでしょうし、なんといっても勉強の要領というのを子供より分かっている気がします。子供より不利なのは、学習に使える時間が限られ、脳細胞が死に始めている(・_・、)という2点ぐらい。差し引きしても、初段ぐらいまでであれば、大人の方が学習速度が速い気がします。

(何を勉強するのかを間違えない)
 このあたりを考慮に入れて計算すると、大体の目安になると思います。将棋が好きで勉強も苦にならないという大人なら、僕と同じぐらいのペースで上達できる計算が立つと思います。で、1日の勉強時間をもっと多く割けるなら、もっと速く昇級するだろうし、そこまで割けない場合はもうすこしスローペースになると思います。大事な事は、何を勉強するのかを間違えない事と、毎日続ける事なんじゃないかと考えていました。
 勉強手順の例でいえば、1日1時間の勉強を、詰将棋だけやった人と、序盤と終盤の勉強に割り振った人では、同じ労力をかけながら、後者の方が強くなると思います。

(まとめてやるより、少しずつでも毎日やる)
 また、毎日勉強するというのは、人間の記憶システム的にもそれが最上の方法らしいです。例えば、週に7時間勉強するとして、7時間勉強した日が1日であとは勉強しないというよりも、1日1時間の勉強を7日間毎日した方が圧倒的に上達するらしいです。また、学習のペースを毎日ではなく週4とかに減らすと、上達スピードというのは著しく低下するそうです。これは『上達の法則―効率のよい努力を科学する』という本から得た知識。これは、将棋とは関係のない本ですが、エセ科学本と違い、原理も統計データもしっかり書いてある本だったので、かなり説得力がありました。アマゾンでは数十円で売っていたので、興味がある方は読んでみるといいかも。
 あ、そうそう、「すこしずつ」といっても、序盤定跡なんかは、切りのいいところまでは1日で一気にやった方がいいです。例えば、ある変化の途中で「今日はここまででいいや」とかやると、翌日はその変化の最初からやらなくては行けなくなるので。その変化の結論「これで先手よし」とか「優劣不明」とかが出るまでは、一気にやる。で、勉強するときは、1発で覚えるぐらいの気合で暗記する!そして、ひとつの変化が終わったら直後にすぐ復習する!きっと、5分前にやったところが思い出せなかったりする自分にビックリする事と思います(^^;)。で、翌日は前日の復習をパッとやって、また切りのいいところまでやる、みたいな。

(持続できるよう、自分をコントロールする)
 とにかく、始めたばかりというのは、自分が誰よりもヘタクソな状態なので、面白くないハズです。勉強も知らないことだらけだし、勉強のコツも分かってない状態のハズなので、最初の頃はけっこう疲れたような記憶があります。この段階では、具体的な将棋の勉強以外に、とにかく将棋や勉強が嫌いにならないようにする事、好きを持続するモチベーションの管理が特に重要なんじゃないかと。クラシック・ギターの教科書で読んだ事があるのですが、クラシックギターの初心者は、1年で辞める人が殆どだそうです。でも、3年以上続いた人というのは、生涯続ける人が多いそうで。それって、将棋にも当てはまるんじゃないかという気がします。
 将棋の勉強って、強くなった時の充足感のほかに、「こんな手があるのか!」というような知識欲の満たされる快感もあったりします。こういう快感を覚えてしまえば、もう「勉強しなきゃ」という義務感じゃなくなって、「勉強したい」になるはずじゃないかと。勉強が楽しくなってしまえば、あとは方法論と毎日の積み重ねさえ持続するだけなんじゃないかと。

 あと、大人であれば問題ないと思うのですが、子供の場合は、将棋以外の事も上達にとって重要になる気がします。子供の場合、将棋以前に、その子の性格と、本当に好きかどうかが、上達するかどうかの分かれ目になる気がします。やらされている感じだと、何年たってもあんまり上達しない気がします。飽き性なら尚更。これはデータや原理じゃなくって、経験的にもそう思います。将棋に限らず、子供に何かを無理やりに押し付けるというのは良くないと僕は思います。切っ掛けを与えるのはいいと思いますが、押し付けるとむしろ嫌いになる事すらあると思います。嫌いになったら、もうアウトなんじゃないかと。僕は、子供の頃に、親に押し付けられて、そんなに嫌いでもなかったものが大嫌いになってしまった経験があります。



初段までの過程をまとめておこうかと

 僕は2013年の1月から将棋の勉強をはじめて、同年の10月後半ぐらいで段位に達する事が出来ました。いちおう、何十番か段位を保ち続けることが出来たので、初段という事でいいかな、と。段位の基準は、81dojoというネット将棋での成績です。『将棋世界』という雑誌の段位認定では2段ですが、これは自己申告ではないという価値はあると思いますが、評価としては相当な眉唾と思います。持ち時間とかあってのテストなら良さそうですが、僕は1問解くのに20分ぐらい考える事もあったので(笑)。僕はやっていないのですが、将棋倶楽部24という所だと、ネットの情報をもとに計算すると3~4級ぐらいなんじゃないかと。道場には行った事が無いので不明(時間と金がないx_x)。大会にも出た事がないので不明(怖くて出れない)。こんな感じです。

 で、僕の場合の、初段までの道のりを、簡単にまとめておきたいと思います。これは、僕と同じように、10級から将棋を始めたい人の目安になるんじゃないかと。そもそも、このブログを始めた目的のひとつがそれでしたしね。

 僕は、将棋部であったわけでもないし、道場に行った事もないので、未だに駒の持ち方も分かっていないし、チェスクロックの使い方も知りません。最初に駒を並べる順番もあるらしいですが、それも分かりません。そんな状態なので、ネット将棋にデビューするだけでも結構勇気が必要でした。また、勉強を始めてからも、「本当に段位になれるんだろうか」と、不安になった事も何度かありました。初心者からすると、あまりに一寸先は闇状態で、段位になるための目安もなければ、段位になれる保証もないんですよね。目標がなければ初段になるのは難しいと思いますが、目標があると不安との戦いにもなる。
 初段への道は、合理的なプラン作りとの戦いだった気がします。仮に目安や方法論が正しかったのに初段になれないのであれば、僕の能力不足だったと諦める事が出来ます。でも、初段になれる力があるのに、勉強の仕方が間違っているために初段になれないのだとしたら、それは悔しい。作戦負け、これだけは防ぎたかったです。

 初心者が知りたいのは、この「目安」とか「方法論」というものなんじゃないかと。これさえ分かれば、あとはやるかどうかだけの問題。あ、そうそう、そういう意味でいうと、僕は「プロ野球選手になる方法」とか「医者になる方法」とか「ミュージシャンになる方法」とかにも、興味があるなあ。実際になりたいわけじゃないけど、少年野球からプロ野球選手になるまでの過程がリアルタイムで綴られたブログとか、高校受験から医者になるまでの過程が綴られたブログがあったら、ぜひ読んでみたい。

初段になった…かも。。

 将棋を始めて10か月経ったところで、初段に届いた!!…のかも知れません(^^;ゞ。。「かも知れない」というのは、かなり自信がないからなんですが。。1年で初段というのは、もしかしたら遅いのかも知れませんが、僕自身は自分で立てた目標に間に合ったので、大満足!

 しかし、僕が自分を段位者だと言いきれない理由は…むかし、ブログに「中級になった!」みたいなことを書いた直後に大連敗、一気に8級まで落ちた経験があるからです(^^;ゞイヤァ。でもそれ以上に、急戦矢倉、角換わり、横歩取り…居飛車党のくせに、これら居飛車の基本戦法の勉強が出来ていないから(x_x)。勉強した戦型も相当うろ覚え。特に矢倉は、かなり早い段階からアドリブになっちゃってます。。もし僕の弱点がバレて、角換わりから棒銀とか、横歩からひねり飛車とかに来られたら、あるいは矢倉中飛車とかに来られたら…たぶん僕は中級の方にもコテンパンに負けるでしょう(^^;)。だから、今はインチキ段位者なんですね(゚∀゚*)エヘヘ

 残念ながら、1年で居飛車の基本戦型の全てを勉強するのは、計算上はもう間に合いません。気持ちとしては、2週間ぐらい休暇を取って、まとめて将棋の勉強をして間に合わせたいぐらい。…でも、僕は、自分が好きで始めた仕事が本業なので、そちらを疎かにはしたくない。基本定跡の勉強が1年では終わらないと分かった以上、勉強開始から1年が経過するあと2ヶ月での目標は、何とか段位から落ちないようにする事と、ひとつでも多くの基本戦型の定跡を身につける事にしたいと思います!


横歩取りの対策

 石田流対策がひと通り済んだところで、悩ましい問題が。将棋の勉強を始めてから1年が経過するまでに、あと2ヶ月。どう考えても勉強しなければ話にならない序盤定跡は、矢倉の復習、急戦矢倉、角換わり、横歩取りの4つ。しかし残り時間からして、今年中に勉強できるのは、そのうちであとふたつ。もっとも効率の良いのは、どの順なのでしょうか。…う~ん、困りました(笑)。

 ネット将棋での勝率が高いくせに、将棋ソフトと指すとコテンパンに負けるのが、横歩取り。横歩取りのせいで、将棋ソフトで先に進めなくなってます。横歩取りは、避けようと思えば避けられる戦法らしいですが、私の序盤の指し手で行くと、避けられない順もあるし、ここは思い切って横歩取りに着手する事にしよう!横歩取り、指していて一番面白いし。

 さて、まずはテキストの選択です。候補は、以下の4冊。

『羽生の頭脳5 横歩取り』 羽生善治
『よくわかる横歩取り』 野月浩貴
『最新の8五飛戦法』 高橋道雄
『横歩取り必勝ガイド』 稲葉陽
『長岡研究ノート 相居飛車編』 長岡裕也

 横歩取りというのは、定跡が日進月歩でコロコロ変わる戦型らしいです。これは分かる気がします。あの郷田さんが、20手も指していない序盤で、森内さんの嵌め手のような順を喰らってましたから。。かといって古い定跡を知らないと、これまた嵌め手のような強烈な角打ちを喰らって、いっぺんに負けてしまうという事も経験しました。何か月か前に、ネット将棋で低級の外人さんと指していて、横歩を取った途端に角交換され、その角で飛車取りと角の成り込みの両狙いをされていっぺんに負けた事があります。。あんな序盤で飛車を切るのが定跡なんて、知ってないと指せないよなあ。。

 というわけで、方針の立て方が難しい。古い定跡も知ってないと嵌め手のようにやられる。かといって古い本で勉強して、それが定跡のコロコロ変わる横歩の世界で、それが今では通じない手だったりしても困る。また、新しい定跡も知ってないとやっぱり嵌め手のようにやられる。これは悩ましいです。で、それぞれの本の特徴を調べてみると…

『羽生の頭脳』:一番古い定跡書。しかし、さっきあげた飛車切り定跡の順とか、相横歩取りとか、いちばん詳しく書いてあるっぽい。この本を全部勉強するかどうかはともかく、持っていないと話にならないっぽいなあ。

『よくわかる横歩取り』:比較的新しい。で、基礎から書いてくれているみたい。でも、相掛かりを勉強しないんだったら、△23歩とされた時の飛車切りの定跡に進む順とか、相横歩取りとか、そういうのは書いていなくって、あくまで本筋に絞ってあるみたい。

『最新の8五飛戦法』:横歩取りの△85飛戦法の解説書みたいです。が、「新山崎流」という指し方が出て、△85飛は廃れたらしいので、パスかな?野月さんの本とかに、新山崎流が書いてあるといいなあ。

『横歩取り必勝ガイド』:2012年出版という事で、かなり新しい。タイトルからは横歩取りの基礎講座本っぽいですが、どうも最新定跡だけ書いてある上級~段位者向けの本みたいで、基礎的な事は書いていない気がする。あぶないあぶない、いきなりこれに手を出すところだったよ(^^;)。。で、新山崎流も書いてあるみたいです。

『長岡研究ノート 相居飛車編』:2013年出版という事で、更に新しい!これもタイトルからは想像しにくいですが、8割がた横歩取りの最新定跡が書いてあるそうです。で、やっぱり基礎的な所は書いてないんだろうなあ。内容は?△8五飛△5二玉型とか、青野流とかも書いてあるみたいです。残りの2割は、ノーマル角換わりの最新定跡っぽいです。お、もしそれが相腰掛け銀からの右四間飛車だったら、これはぜひ読んでみたい!


 …う~ん、やっぱり方針の立て方が難しいです。困ったな…。羽生本からやるのが堅いと思うのですが、でも今では通じない筋があったりして、それを懸命に勉強する事になるんだとしたら嫌だしな。。こうやればいいのかな?

≪横歩取りの参考テキスト≫
羽生の頭脳5 横歩取り
よくわかる横歩取り
長岡研究ノート 相居飛車編
*サブテキストとして『横歩取り必勝ガイド

≪横歩取りの学習プラン≫
『よくわかる横歩取り』をメインテキストに勉強。
  で、そこで説明の省略されている筋は、その都度『羽生の頭脳5』でカバー。
終わったら『長岡研究ノート 相居飛車編』をやる!
  これで事足りれば『横歩取り必勝ガイド』はスルー、足りないようならスルーしない。

 長岡ノート着手までは、従来型の横歩になったら野月本&羽生本の知識で指して、最新形の横歩になりそうになったら、今年の棋聖戦での羽生さんの指し手を真似して頑張る、という事にしよう。でも、11月中は『よくわかる横歩取り』&補足程度の『羽生の頭脳』までだなあ。そのあと、『長岡ノート』に移るか、急戦矢倉や角交換を優先するかを決めよう。。




第63期王将戦挑戦者決定リーグ戦 羽生善治vs深浦康市

 夜は巨人vs楽天の日本シリーズを聴きながら仕事、おかげで夜中まで仕事してます(。_。*))。缶コーヒー買ってきて、王将戦の挑戦者決定リーグの結果を見てみると…うわ、また羽生さん勝ってるよ。例によって、羽生さんが今年に入ってやたらと指している、角換わり相腰掛け銀です。完全に実践を研究の場にしてるわ。。しかし、終盤の指し手が凄すぎて、まったく理解できん。。
 これで3戦全勝、はやくもモテさんとのマッチレースの気配。本当に、王将戦も棋王戦も羽生さんが挑戦者になっちゃうかもしれません。NHK杯、王座戦、棋王戦挑決、王将リーグ、順位戦…今月はやたらと羽生さんの対局を見ている気がしますが、負けた対局を思い出せません。鬼神のような強さです。これはマジで5冠になっちゃうかも知れんな…。
プロフィール

ShougiX

Author:ShougiX
駒の動かし方を知っていた程度の初心者です。せいぜい1日1時間ぐらいしか将棋に時間を割けない社会人が、ガンバって1年で初段になる事が目標です!
(*追記)10ヶ月ちょいで初段到達!!ただいま、居飛車側から各戦型に対応できるよう奮闘中(汗)。。

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