『佐藤康光の石田流破り』

book_SatoIsidaryuuyaburi.jpg 過去に書いたこの本のレビューですが、後手番石田流破りの章しか読んでない段階でのレビューでした。ようやく全て読み終える事が出来たので、改めてレビューを書き直しました!

(中級ぐらいの時に書いたレビュー)

 石田流対策に使ったのが、この本です。石田流の指し方でなく、石田流の受け方を書いているというのが、居飛車党である僕の需要にピッタリでした。
 本筋の矢倉の勉強がまだ途中で、ネット将棋で石田流に来られた時の急場しのぎに買ったもので、まだ全部読んでいません。というか、最初の「なぜ後手番で石田流が指されないのか」という章を読んだだけで石田流を粉砕できるようになってしまったのです。というわけで、今のところはこれで充分、ということで^^。


(以下、最初の感想を書いてから5か月後ぐらい、上級ぐらいのところで書いた追記)

 最初にこの記事を書いた頃は、ネット将棋で中級ぐらいだったと思うのですが、その時はこの本の最初の章「後手石田流はなぜ指されないか」に書いてあるやり方だけで、なんとなく対応できていました。ところが、3級あたりまで来た時に、石田流のみを指すスペシャリストタイプの人と当たって、これが全く通じなくなりました。簡単に言うと、第1章だけを読んでも、角道を止めてくる石田流本組という戦法には勝てません。

 さて、この本ですが、5章に分かれています。1章が後手石田流の破り方、2~3章が飛車先を突き越しての先手石田流破りの定跡編と実践編、4~5章が飛車先を保留しての先手石田流破りの定跡編と実践編、こんなかんじです。

1章:後手石田流破り
 まず、第1章の後手石田流破りですが、ここに書かれているのは角交換から筋違い角を打ち込む超急戦策です。じっくり組んでから戦う方法は、2章以降に書いている先手石田流の方法を参考にしてね、という事なんじゃないかと。で、この急戦策ですが、相手に飛車を渡す事にもなり、いきなり飛車角交換の駒損になるうえ、竜まで作られてしまうというかなりおっかない順。指していて、生きた心地がしません…が、級位ぐらいだとこの順を指す人があまりいないらしく、ビビらずに使えば面白いように勝てました( ̄ー+ ̄)!実は、中級の時に3段の方を破った事があるのですが、それはほとんどこの章の定跡通りの手順でした。。もしかすると、石田流を指す側の定跡書にこの順が載っていないのでは??
 ただしこの順、先手石田流相手には通じないので注意が必要です。また、この駒損やら竜を作られるやらの将棋が恐い人は、2章以降の方法で指した方がいいと思います。

4~5章:先手石田流破り 飛車先保留型
 で、2章以降が、この本の本番じゃないかと。以下、将棋歴1年未満の僕が思う事なので、間違っている点が色々あると思うのですが…
 今、僕はネット将棋で実力的には2~3級ぐらいだと思うのですが、このレベルの石田流使いには、石田流本組みを目指す人が圧倒的に多いと感じます。この本だと、石田流本組みへの対策は4~5章に書かれているので、場合によっては4~5章を先に読むのも手かもしれません。
 この本では、石田流側が角を上がる形と、角を保留する形なんかへの対策が出てました。たしかに、僕の場合は、実践ではこのふたつの形に出会う事が多かったです。で、防御は船囲い系の組み方と銀冠系の組み方、攻撃術としては抑え込み型と右四間飛車なんかが書いてあります。特に、抑え込み型の攻撃術は対石田流の本筋となると思うので、必読!!これ、マジで使えます。僕は、石田流対策の主戦法として、この攻撃術を一生使うんじゃないかという気がしています。囲いは、銀冠が守りも堅い上に敵の美濃囲いへの玉頭も圧迫する形になるので、これも使いやすいな、と思いました。

SatoYasumitsu_IsidaryuuYaburi02.gif 例えば、この定跡。これは石田流本組vs銀冠の典型的な駒組みだと思います。で、定跡は△92飛みたいです。…これは、知ってないとまず指せないという気がする。で、そこからの応手ですが、

▲85桂…△82飛▲86歩△84飛▲88角△54歩▲78飛△55歩▲47銀引△54銀▲36歩△44歩▲37桂△43金右▲26歩△42角 で、抑え込み成功!または…△82飛▲73桂成△同桂▲74歩△87飛成 で後手よし!

▲65歩…△同歩▲同銀△62飛▲74歩△同銀▲64歩△77角成▲同飛△65銀▲75飛△74銀▲同飛△同歩 で、後手指せる!他の変化も載ってますが、それは居飛車がもっと良くなります。

▲36歩…△95歩▲同歩△同飛▲47銀引△96飛▲86歩△97飛成▲同香△87角▲67金△97香成
     というわけで、後手優勢!これも他の変化が出ていて、そちらも居飛車良しでした。

▲88角…△82飛で千日手歓迎

 他には、石田流本組みにさせない4手目角交換も出てましたが、これは著者の佐藤さんがよく使うダイレクト向かい飛車に通じるところがあって、石田流側にうまく指されると相当に難解な将棋になるみたいなので、級位の段階では使いこなすのは難しいと感じました。なので、これは居飛車側が避ければ避けられる方法なので、読み飛ばしてもいいかも。

2~3章:先手石田流破り 飛車突き越し型
 飛車先交換型というとちょっと分かりにくい気がしますが、早石田対策の章、と読み替えてもいいんじゃないかと思います。早石田というのは石田流の急戦系の総称で、僕が知っているのだと升田式石田流、鈴木流、久保流の3つがあります。特に鈴木流と久保流の2つは対策を知らないと一気に寄せられるハメ手のような側面もあるので、初段を目指すなら必読と思います。でも、読んでさえいれば、手数も多くないし、大体の変化は居飛車のほうが指しやすくなるので、ひと安心(ただし、久保流には、本には居飛車指せると書いてあるけど、僕には振り飛車がよいように見える変化があって、これは僕の中で未解決の問題。でも、実践でその順に出くわした事はありません)。で、升田式石田流は、昔からある戦法のようなので、キャリアのあるスペシャリストタイプの人に指された事が何度もあり、序中盤を何とか互角で乗り切ったと思っても、何度も負けてしまいました。というわけで、僕の棋力が低いだけかもしれませんが、対升田式石田流に関しては、序盤で離されない為の定跡、といった感じの気がしました。これは、この本がどうこうというのではなくって、実際の定跡がこうなのかも知れませんね。


 さて、この本の感想ですが、大事なところはバッチリ押さえてある本だと思いました!石田流対策百科事典というのではなく、石田流に勝てる王道だけが書かれてる、という感じでしょうか。ココセというのではなくて、居飛車側に選択権があり、かつ居飛車が悪くなる順はざっくりカットしてある感じ。分量も多くないし、「角交換はしない」とか自分の戦法を絞ってしまえば、さらにサクッと読めてしまうと思います(でもそれって、全部読まないと分からないか^^;)。

 しかし、問題点も。まずは、ここに書いてある定跡自体の問題ではなくって、この本の作り自体について。2章以降は、講座編をやった後に、佐藤さんが実際に指した実践譜が何局か出てきて解説、みたいな作りになっているんですが、この作りが一長一短なんじゃないかと。
 良い点から言うと…実践譜があると、本筋がものすごく分かりやすいです。ほら、手筋本って、ここでAならこう、Bならこう、みたいな説明になるじゃないですか。こうなると、僕の場合、どれが幹でどれが枝だかこんがらがっちゃうんです。しかし実践譜があると、何が本筋で何が枝か、これが分かりやすい。今までこういう感じで書かれた定跡書を読んだ事がなかったので感じた事なんですが…実は、序盤の勉強って、たくさんの将棋から作り上げられた、たくさんの分岐を含んだ定跡大百科みたいなものを一手目からコツコツ身につけるよりも、たったひとつの将棋を軸に勉強した方が効果的なんじゃないかという気もするのです。僕は、角替わりと横歩取りの定跡勉強がまだ出来ていないです。そんなものだから、プロ将棋で角交換や横歩になると、食い入るように見て、解説を必死に理解して、それで覚えたたったひとつの方法ばかりを指しているのですが…これが、初段~上級ぐらいのレベルに来た今でも、勝率が7割を越えているのです!ちなみに、定跡本で勉強した戦型は、どれも勝率5割ぐらい。これって、全ての変化をゆるく覚えているよりも、枝はよく知らないけど本筋をバッチリ押さえている方が有効、という事なんじゃないかという気がしているのです。そんなものだから、本筋を幹に、変化は文章でちょっと解説、みたいに書かれている実践編というのは、最初は戸惑ったものの、実は有効な方法なんじゃないかとも思えなくもなかったのです。
 しかし、悪い点を言うと…それでも、やっぱり枝となる変化の部分を勉強しないわけには行きません。で、この変化の勉強のメインは講座編になるのですが、講座編には「その変化は改めて実践編で説明する」みたいに書いてあって、実践編で改めて勉強しなきゃいけなかったりします。これが勉強しにくい。。だって、同じ局面でも、その変化を知りたかったら、次の章に跳んで、またそれがどの実践例に出ているのかを調べて…ということになりますよね。僕は棋譜ソフトに打ち込みながら勉強しているのでまだ何とかなりましたが、それでも結構苦労しました。これ、本を読むだけの勉強だと、相当に難儀するんじゃなかろうか。

 あと、これはこの本に限った話ではないのかもしれませんが…。先に、石田流本組への対策として、玉型でいえば船囲いと銀冠、攻撃術で言えば抑え込みと右四間飛車、みたいな事を書きましたが、ではその全ての組み合わせの順が書いてあるかというと、書いてません。ということは…それって、初手から最後までの手順が書いてあるわけではなく、定跡の一例が書いてある、って事になりますよね?書いてない組み合わせに関しては、自分でアレンジしてくれ、みたいな感じになるかと思います。また、今、プロ将棋では「石田流に対してはほぼ間違いなく穴熊」と聞いたのですが、その穴熊への順は書いてありません。という事は、これも本書の攻撃術を使いながら、ディフェンスはアレンジしてやってくれ、という事になるんじゃないかと。でも、これはこの本に限らず、そういうものなのかもしれませんね。

 さて、総括すると…上記のような不満点は幾つかありましたが、居飛車側が石田流を破ろうと思ったら、やっぱりこの本から手をつけるのが王道なんじゃないかと思います。鈴木さんの本とかは振り飛車視点のようですし、戸辺さんの本は一番詳しそうですが、やっぱり振り飛車視点だし、2冊読まないといけないし、しかも超急戦は書いてないらしいので、結局はこの本みたいに超急戦が書いてある本を読まないわけにはいかなくなるんだろうし。僕の体験だと、ネット将棋で上級~初段あたりに来た現状で、この本で物足りないと思う局面に出くわした事はありません。…でもだんだん欲が出てきて、他の石田流の本も読んでみたいという気になってきました<-ω->。いやいや、この本の順がちゃんと身につくまで、他の石田流の本に手を出すのはやめよう。



第72期順位戦 C級1組 5回戦

 おおっ、昨日は竜王戦の裏でC1順位戦をやってたんですね。5回戦という事で、ちょうど折り返し地点。昇級レースに絡む対戦だけをピックアップして、ダイジェストで!

●真田圭一 vs 船江恒平○
ランキング2位の真田さん、負けました…。これは痛すぎる2敗目、昇級レースから大きく後退です。一方の舟江さん、1敗のまま踏ん張り、昇級レースに踏みとどまります。舟江さん、好きだなあ。ガンバレ!

●千葉幸生 vs 佐藤秀司○
真田さんに続く3位の千葉さんも敗戦!これは上位陣総崩れか…。これも痛い2敗目で、ちょっときつくなったか。しかし千葉さんは、幸か不幸か、高崎戦と糸谷戦を残しているので、これを撃破すれば上位グループを引き摺り下ろすことが出来ます。千葉さん、今期C1の昇級レースのキーマンになりそうです。

○佐々木慎 vs 富岡英作●
佐々木さん、お見事!上位ランカーが総崩れしている中、1敗をキープです!しかも、この後のカード運にも比較的恵まれているので、これは全勝棋士が落ちてくるのを待つ事になりそう。

●宮田敦史 vs 浦野真彦○
これまた上位ランカーの敗戦です。ランキング5位の宮田さん、これで3敗目です。これは終わっただろう。。一方の浦野さん、これで嬉しい初勝利です!しかし、浦野さんの作った詰将棋が相変わらず解けません(- -*)

○片上大輔 vs 金井恒太●
うわ、金井さん、これは痛い敗戦です。2敗目がつき、昇級レースから一歩遅れた感じ。だんだん、脱落者が増えていくんですね。

●阿部健治郎 vs 中村太地○
おおっ、中村さん勝ちましたか。タイトル戦で羽生さんにものすごく悔しい負け方をしたので、引きずってしまうんじゃないかとも思ったんですが。太地さんは、羽生戦の棋譜を見ても、物怖じしないというか、メンタルが強そうですよね。これで1敗をキープ、トップ集団追走の1番手という感じでしょうか。

○糸谷哲郎 vs 加藤一二三●
う~ん、糸谷さん、強いですね。全勝をキープしたうえ、この後のカード運にも恵まれています。

○塚田泰明 vs 小林裕士●
うああっ、コバ裕さん負けたか。。密かに応援していただけに、これは痛い2敗目です。しかし、まだ可能性はあります。糸谷戦を残しているので、これに勝てばトップ集団を引き摺り下ろせるかも。

○高崎一生 vs 福崎文吾●
高崎さんも絶好調!全勝をキープです。が…高崎さんこの後の対戦者が結構きつくて、真田さん、金井さん、糸谷さんなどとの戦いがあります。特に糸谷戦は、今期順位戦最大の大一番になるかもしれません。一方の福崎さん、大ベテランながらこれまで頑張ってきましたが、ここで痛い2敗目です。

○菅井竜也 vs 神谷広志●
菅井さん絶好調!これで全勝をキープ、トップ集団に残りました!このまま好調をキープしたとして、山は最終戦の中村太地戦になりそうです。

●斎藤慎太郎 vs 北島忠雄○
これまで1敗で頑張っていた20歳の若武者・斎藤さんでしたが、ベテランに食われました。順位も低いところにいるので、これで昇級レースから脱落か。今期は、順位をひとつでも上にあげて、来期の昇級を目指して頑張ってほしいです。

というわけで、昇級レースの展開はこんな感じです。

(5戦全勝:3名)
糸谷哲郎
髙﨑一生
菅井竜也

(4勝1敗:3名)
佐々木慎
中村太地
船江恒平

(3勝2敗:10名)
真田圭一、千葉幸生、片上大輔、金井恒太、小林裕士、
近藤正和、福崎文吾、小林健二、斎藤慎太郎、北島忠雄

 こうやって見てみると、星取りレースって、脱落者ゲームなんですね。下の人間が自力で追い上げて逆転する事は、直接対決でない限りは難しくって、上位者が落ちてくるのが大前提になるという他力本願。そういう意味でいうと、下の人間は上位陣との対戦が残っている方が逆転の目があって、上の人間は逆転の目がある人との直接対決は無い方が嬉しいという。1敗までの上位6人はさすがに有利と思いますが、同時に直接対決の有無も大きいと思います。

 舟江さんと太地さんは1敗ではありますが、この両者の直接対決が残っているので、ここで負けた方がまた脱落。同じ一敗でも佐々木さんの方が有利に思えます。
 全勝の中では、糸谷vs高崎という直接対決が残っています。ここでもどちらかが1敗と後退するので、全勝の中でランキング的に3位である菅井さんが、全勝なのに昇級できずという事にはなりません。というわけで、全勝すれば間違いなく昇級という事がこれで決定。ただ、3者とも、それなりに曲者との対戦を残しているので、昇級ラインが1敗に落ちる事も十分にあり得る気がします。



第26期竜王戦 第2局 渡辺明竜王 vs 森内俊之名人 (急戦矢倉 5筋交換型)

 森内さんの先勝で始まった竜王戦、第2局です!第1局は森内さんの勝利、最近の竜王の調子の悪さと、竜王戦で絶対的な強さだった竜王が先に負けた事が重なって、怪しい気配になってます。第2局を竜王が取れば、先手番を互いに取ったというだけで済みますが、もしブレイクされると…ちょっとヤバくなりそう。ガンバレ竜王!


2013102901.gif そして第2局の1日目、いきなり森内さんがかましてくれました!1戦目に続いて、急戦矢倉の5筋交換型です!うわ、これで森内さんが勝つと、5筋交換型は先手でも後手でも森内さんの方が上という事になってしまう…こういうプレッシャーのかけ方って、巧いですね。竜王、これにもし負けると、もう精神的に参っちゃうんじゃないかなあ。

 で、1日目はここから▲68角と引いていましたが、今回先手の竜王は…

▲75歩

 うわ、守り駒の歩を突いちゃうのか?!いやあ、これは怖くて真似できないなあ。。でもこれが定跡なら、一度エイって指して、恐怖心を克服しないといけないのかも。で、定跡の受けは△84飛との事。ああ、こういう受けの飛車浮きは、対四間飛車でも対石田流でも出てきた記憶があるので、よく覚えておこう。それ以外の応じ手だと…

・△同銀…▲7三角成△同桂▲5五角で桂香両取り、先手よし
 両取りは常に狙う、駒の交換は仮に駒損でもその後にすぐ取り返せるとかいい手が続くならちゃんと読む、という感じの考え方をすれば、こういう手が考えられるようになるんだろうか?…なるという事にして、思考の様式を作ってみることにしよう。

・△同歩…▲7四歩△8四角▲6五歩で先手よし
 こっちは読めてました( ̄∀+ ̄)。角頭とか桂頭とかへの歩の突き捨ては、それを取ると歩の打ち込みが痛い、という事ですね。おさらい、おさらい。

 で、ここからの中盤戦がものすごく複雑。竜王も名人も防御しながら戦場を移して攻撃態勢を作っていく感じ。ねじりあいです。正直、このあたりはレベルが高すぎて訳が分かりませんでした(p゚ω゚*)。で、竜王は最終的に1筋に飛車を振っての端攻め体勢を作ったんですが…なんか、第1局に似ていて、耐え切れなくなって、無理攻めかも知れないけど突っ込まざるを得ない、みたいな感じの気がする。

2013102902.gif 中終盤ですごく勉強になったのが、森内さんの受けです。図は75手目、渡辺さんが無理攻めっぽい端攻めを突破口として、▲36香と攻めを繋いだところ。いやいやどうして、これで攻めが繋がっちゃうんじゃないかと思ったら…

△34歩

 え、△33歩じゃないのか…。どうも、中合いの歩というのが、僕は苦手です。だって▲同香とされたら、結局△33歩と打つ事になるんじゃないのかなあ。。と思ったら、解説の鈴木大介さんによると、△33歩の場合は…△3三歩▲1二飛△3一玉▲1一飛成△2一角▲1二香成で、手が続くとの事。確かに。しかし△34歩なら…

▲同香△33銀

なるほど、これで42の銀を受けに使うと、飛車の打ち込みに対しても玉の脱出ルートが開ける、という事ですね。でも、だったら最初から△33銀だと?…やっぱり僕には段位の実力はなさそうです(T-T)。で、更に竜王は踏み込みます!

▲13香成△同玉

あら、これも玉を逃げずに同玉と切り取るのか?だってそうしたら、▲11飛で両取りじゃないのか?そうなると…△22玉は絶対、次に▲51龍△34銀か。あるいは▲33香成△同玉(△11玉?)でしょうか。いや、けっこう危ない気がするけどなあ。それより、後手の方が速いという事でしょうか。そして…

▲33香成△同角▲14歩△22玉▲34銀

…竜王の攻めが切れました。いや、飛車角香を駒台に置いて手番となれば、これは森内さんの勝ちでしょう。以下、森内さんは△58飛と一気に決めに行くのではなく△18飛と攻防の飛車の打ち込みをして(この慎重さが森内さんらしい…)、あとは一気に玉を寄せるのではなく、寄せながら自玉の詰みを完全に消し、竜王に投了させました。なんか、真綿で首を絞めるような嫌な寄せ方だな。。102手まで、森内さんの勝ちです。

 う~ん、今年の名人戦と言い、竜王戦の挑戦者決定トーナメントでの対羽生戦と言い、そしてこの竜王戦と言い、森内名人って、戦いになる以前の駒組みの段階で、既に優勢を作ってしまっている感じがします。今日も、仕掛けたのは竜王でしたが、あれはもう仕掛けに行かないとそのまま潰されるのが見えていたから、無理攻めっぽかったけどいかざるを得なかったようにしか見えませんでした。凄いな…。
 でも、こういう森内さんみたいな将棋って、相手に先行を許すのだから、受けが相当に強くないと出来ませんよね。それから、駒の当たる前の序中盤で優勢を築くというのは、凄く手の広いところでの指し回しなので、相当に読みとか大局観に優れていないと出来ない芸当としか思えません。僕には高度すぎて、手本にし辛い棋風です。

 今年の竜王戦、これで森内さんの2勝0敗です。勝ち星だけでなく、急戦矢倉の5筋交換型で、先手後手の両方で敗れたというのは、竜王は精神的にもキツいんじゃないでしょうか。なんだか、これは森内竜王名人誕生の気配がしてきたぞ。。第3局は…11/7~8か。竜王、もうこの戦型の研究をしている暇はなさそうですね。これは流れを変えるべく、別の戦型で勝負した方がいいんじゃないでしょうか。竜王、ガンバレ!

第63回NHK杯 羽生善治 vs 木村一基 (角換わり相腰掛け銀)

 NHK杯、ついに最強棋士・羽生さんの登場です!今期が始まった時は勝率2割台と絶不調だった羽生さんですが、気づいてみれば勝率は7割に迫る勢い、自分の持っている3つのタイトルをすべて防衛、棋王戦挑戦者決定トーナメントはベスト4に進出、王将戦挑戦者決定リーグも現在2連勝でトップと、とんでもないレベルの絶好調状態。いま、トップ棋士の中で一番状態が良いのは羽生さんと森内さんじゃないでしょうか。一方の木村さんは調子を落としていて、順位戦でもかなり苦戦中。しかし、木村さんの書いた矢倉の本はちょっと気になっているので、今日は矢倉戦にしてくれないかなあ。

2013102702.gif さて、将棋は羽生さん先手の角換わり相腰掛け銀に。序盤はサクサクと進み、そして35手目に▲48飛として、角交換右四間飛車へ。おお、羽生さん、これは中村太地さんとの王座戦で2度出て来た戦型じゃないですか。きっと、今の研究課題なんでしょうね。秋に入ってからの羽生さんは対局過多で殺人的なスケジュールなので、実践で研究もしちゃおうという感じなんじゃないかなあ。で、互いに玉を入城し、後手は右金を42に引いて右四間飛車を受け、11の香を12にあげて穴熊への組み替えへ。ん?△42金引?△12香?…あ、あれ、この受けの形、羽生vs森内戦で見た事あるぞ…調べてみたら、今年の竜王戦決勝トーナメント準決勝での森内vs羽生戦でした。羽生さんが一方的に攻めまくって端も破ったんだけど、森内さんが受け切っちゃったんだった。そうか、羽生さんは今年この戦型で何度か負けているからこそ研究したいんだな。
 角換わりの将棋のレパートリーを増やしたいので(僕は木村定跡しか出来ないのです(・_・、))、ここからの攻撃術は丸覚えしようと思って見ました。以下の指し手は…

▲28飛△74歩▲45歩△同歩▲35歩△44銀

 おお、ここで飛車を戻すんですね。これは△12香に対応した手だそうで。△74歩は、後手からの攻撃の拠点作り。以下の▲45歩△同歩▲35歩は、角換わり相腰掛け銀の常道手段。これだけは知ってます。これを△35同歩としてしまうと、▲45桂△44銀▲24歩△同歩▲同飛で王手銀取りの十字飛車が決まると。で、それをさける△44銀が受けの手筋だそうで。これは絶対に覚えておこう。次は…

▲15歩△同歩▲24歩△同歩▲同飛△23歩▲29飛

 ▲15歩は端攻めの下準備ですね。で、あとで▲13歩とか▲14歩とか。つぎの▲24歩は飛車先を突き捨てておく、と。なるほど、これは狙いが分かり易くて覚えられそうです(^^)。しかし、飛車を引いたところで後手に手番が移り、木村さんは△35銀から反撃。ここで羽生さんは相手の手に乗るような格好で、立て続けに銀交換と桂交換、駒を捌きました。

2013102703.gif で、図は交換したばかりの桂を25に打ち込んだところです。やっぱり、この狙いは変わらないんですね。さっき下準備しておいた、1筋の歩の突き捨てがちゃんと生きてます。ここで▲24金と逃げると、▲13歩△同香▲同桂成△同玉▲28香が結構痛い。というわけで、木村さんは…

△75歩

 うわ、木村さん、ここで攻め合いに出ました!このまま受けても受からないという事ですね。こういう戦場の増やし方が、プロの将棋は勉強になります。でも、間に合うのかなあ。

▲13歩△同香▲同桂成△同玉▲31角

 羽生さん、これを受けずに攻めます!しかし、最後の▲31角がするどい!これは浮かびませんでした。だって、間駒したら何でもないように見えたもので。しかし、仮に間駒をすると、△22銀▲15香△14歩▲同香△同玉▲15歩△同玉▲42角成…ああ、これは寄っちゃいますね。というわけで

△12玉

これで寄りは無くなりました。が、後手から見るといかにもヤバそうな格好、先手から見ると角が死にそうな格好。いや、ここから先手が攻めを繋ぐのは案外難しいんじゃないか?と思っていると…

▲56香△32金寄▲53角成△43角▲13歩

 ▲56香か!なるほど、強引に一点突破ではなくて、手筋で繋ぐんですね。勉強になる…。しかし、後手が駒を躱した後の▲13歩の叩きの意味が分かりません。最後の1歩をつかってまでやる手なんでしょうか?あとで1歩手にした時に、更に▲14歩と叩くという事なのかな?う~ん、この手の意味はちょっと良く分かりませんでした。以下、羽生さんは最初の構想の端攻めから飛車の成り込みを狙った攻撃を狙い続け、木村さんは意地でも守り続けた7筋の攻めを実現させた叩き合い。しかし、速度も攻め駒の数も違いすぎました。

2013102704.gif そして、最後の羽生さんの寄せです。これが寄せの問題集に出てきそうな形で、すごく面白かった。ちなみに僕は寄せきれませんでした(T-T)。最後の寄せを全部!

▲63桂△41玉▲42銀△同飛▲同金△同玉▲43金△31玉▲13角

まで。131手で羽生さんの勝ち!投了図以下は、△21玉▲23飛で詰みです。

 それにしても、木村さんの受けの技術と、銀のタダ捨て、勝負手を放つタイミングなどは見事でした。悪い時にどう指すかというのも、プロ将棋は凄く勉強になります。僕には木村さんが悪い手を指したように見えたところは1か所もなかったんですが、それでも大差になってしまったように見えました。う~ん、一体どこが勝負の分かれ目だったんだろうか。

 そして、今日は佐藤康光さんの解説がもの凄く分かり易かった!!疑問に思っている変化を全部丁寧に説明してくれて、見終わった後は角交換の定跡本を1~2章読んだぐらいの満腹感です。今日の将棋は、先手番での角換わりでそのまま使えそうなので、何度か見直して、今度のネット将棋で試してみよう(^^)。



第39期棋王戦 挑戦者決定トーナメント ベスト4決定!

 渡辺棋王三冠に挑む今年の棋王戦の挑戦者決定トーナメントのベスト4が出そろったみたいです!羽生3冠、永瀬さん、三浦さん、郷田さんの4者です!
 棋王戦の挑戦者決定トーナメントのシステムは面白いですね。ベスト4で準決勝敗退の棋士は3者で敗者復活戦に回り、その勝ち抜け棋士が最後まで残った棋士と決定戦を行うみたいです。このシステムだと、1敗まではオッケーという事ですね。

第39期棋王戦 挑戦者決定トーナメント 羽生善治 vs 山崎隆之

 去年末から今期の初めには勝率2割と絶不調だった羽生さん。竜王に蹂躙され、名人に完敗。そんな状態だったので、将棋を見始めたばかりの僕は、ついに羽生さんも弱くなっちゃって、タイトルを全部失ってしまう1年になっちゃうんじゃないだろうかと思っていたのですが、気づいてみれば勝率7割!しかも自身の持っていた3つのタイトルすべて防衛と、とんでもない強さを見せつけています。更に、残る棋王戦と王将戦も…おお、挑戦の可能性が残ってるじゃないですか!!最近の鬼神のような強さを見ると、冗談抜きで5冠もあるかもしれない。。

 で、今日は棋王戦の挑戦者決定トーナメントの、羽生さんvs山崎さんをやってました。しかし仕事で、序中盤は全く見れず。最後の最後で羽生さんが無理攻めに出てこれが切れ筋。これは羽生さん、一気に劣勢か?!と思ったその直後に山崎さんがそれを上回る大悪手(・ω・)、そのまま投了で羽生さんの勝ち。なんか、どちらもらしいエピソードというか。。でもあの羽生さんの攻めは繋がってたんだろうか。気になる…。

 これでベスト4決定は羽生さん永瀬さん。あとは佐藤康さん三浦さんの勝者、屋敷さん郷田さんの勝者がベスト4です。で、ベスト4以上になると、トップ抜けが挑戦者決定戦に直行、残りの3棋士が敗者復活に回るみたいです。という事は、羽生さんと永瀬さんは1敗は出来るわけですか。…いやこれは、マジで羽生さんに挑戦の目があるじゃないですか!しかし、他のカードも面白いですね。びっくりしたのは永瀬さん。丸山さんと広瀬さんを倒して羽生戦に漕ぎ着けたのか。これは、羽生さんに一発入れること会出来たら、台風の目になりそうです!僕の予想としては、決勝が羽生vs郷田になって、振り駒の結果羽生さんが先手で、またしても郷田さんが挑戦者決定戦で敗れるんじゃないかと(^^;)。このトーナメント、竜王戦より面白い。。

第61期王座戦 第5局 羽生善治王座三冠 vs 中村太地 (横歩取り)

 ただいま2勝2敗、200手を超える戦い、入玉された玉を押し返して寄せた羽生さんの神技、角交換右四間飛車という中村さんからの最新定跡、そして指し直し局まで登場と、大熱戦の続く王座戦ですが、今日がついに雌雄を決する最終局です!プロ将棋の観戦がこんなに面白いものだとは、思ってもみませんでした。。「初段を目指す!」という将棋の勉強は、観戦がこんなに楽しめるようになったという面でも、大成果です(v'ー^)v でも、今日羽生さんが負けると王座陥落なのか。やばい、緊張してきた。。

 振り駒の結果、先手は羽生王座三冠。そして戦型は横歩取りに。羽生さん、今期の棋聖戦では横歩を3局指し、あの竜王に何もさせずに大差勝ちしてました(一局うっかりがありましたが^^;)。横歩は今の羽生さんにとって最強の戦型のような気がします。

 序盤、後手の中村さんに工夫があって、飛車先の歩を突き捨てた後の△84飛~△52玉までは普通でしたが、そのあと右銀を62ではなくて△72銀に。以降、右辺の整備は△72銀~△74歩~△73桂~62金という手順。また、左辺も面白くて、△23銀~△24歩打。
 これを見て、羽生さんは浮いた飛車を5筋に振り直す▲56飛。あれ?ここに飛車を据えるのって…今年のNHK杯で、中村さんが高道さんにやられて敗北した将棋がそうだったんじゃなかったけ?攻撃術としては、両方の桂を跳ねて、飛桂桂を軸に53の玉頭をモロに攻めるんじゃなかったっけ。この飛車の動きから、一気に将棋が動きました!!

2013102101.gif しかし、これがえらく難解な中盤戦。難しすぎて、正直のところ僕にはさっぱりわかりませんでした(。_。*))。毎度毎度、次の一手が想像もつかない状態。盤面図は48手目、後手が次に△25歩とすれば、先手の飛車は逃げ場に困る事になりそうな状況です。いや、これは飛車が狭くて先手を持つ気になれません。一方の後手は、それこそ地下鉄飛車から飛車を逆サイドに振ってとか、進展性はいくらでもありそう。

▲37銀

 え、飛車逃げないのか?ゴメンナサイかもしれないけど、△25歩とくる前に2筋に戻しておけば、飛車を取られる事はないだろうに。この手は、次に▲46銀とあがって飛車の頭を受けるという事でしょうか。5筋に振った以上、勝っても負けても56飛の構想で行ってみるという事なのかな?

△77角成▲同桂△44歩

 うわ、太地さんの方から角交換を仕掛けました。手がないのは羽生さんの方だと思っていたので、これは意外。ということは、太地さんは角を持ち駒にすると良い順があるのかな?しかし太地さん、その後の△44歩に時間を使っていたのが気になります。なんかまずい順に気づいたのでしょうか?
 それでも、△44歩は先手にしたら嫌な手なんじゃないかと。放置なら△25歩から飛車を的にして来るでしょうし、▲46銀なら…

▲46銀△45歩▲55銀△43金

△45歩ですよね。しかしこれ、羽生さんの銀、寄ってませんか?飛車も狭くてやばそう。これ、羽生さんどうするんだ??しかし太地さん、あんまり金銀を盛り上げすぎると、角の打ち込みのスペースが出来て、ヤバくないんでしょうか?そんな事より、この中央での戦いを制する事の方が大きいのか。飛車が取れたら、中住まいはほぼゲームセットの気もしますしね。

▲66飛△65歩▲同桂△54歩▲73桂成△同金▲95角△82角

 ▲66飛は64の地点を争点にした手。後手は△54歩と突くと捌き合いになって一気に終盤、どっちが勝つかみたいになりそうです…が、この順も難解で分からない(*゚∀゚)。。本譜は単純に△65歩。飛車を逃げたら銀ばさみで銀が死にますが、▲同桂とするとどうなるのか…これも難解。とにかく、今日の将棋は難しい!!△54歩で銀は死んでいますが、桂交換を先にして、その後に羽生さんにいい順があるのか。…▲95角か!!これはいい手だ!!…と思ったら、中村さんはそれほど考える事もなく△82角と受けました。う~ん、これは羽生さん悪いのでは??と、ここで夕食休憩です。羽生さん、どうやって打開するんだ?角切って金を打ち込むのか??・・・


2013102102.gif  さて、僕も食事をして、家に帰ると…おお!予想が当たった( ̄∀+ ̄)=3!!あの後、▲73角成△同角▲64金△同銀▲同銀です。おお、こうなってみると、後手陣はスッカスカ、先手陣は全くと言っていいほど崩れていません。盤面図は、中央での攻防戦がひと段落した72手目あたりです。
 ここから羽生さんは挟撃の寄せに行きます。ああ、この考え方は『寄せの手筋200』に出てたな。佐藤さんの寄せの本をもう1周読み終わったら、久しぶりにやって見よう。しかし、勉強になった手がいくつかありました。

▲22歩△13桂▲26桂△23銀▲34歩△25歩

恥ずかしながら、▲22歩のような単純な手が浮かびませんでした(>_<)。まあそれは仕方がないにしても、▲26桂?銀を躱されて歩を突き出されたら?ああそうか、▲34歩の拠点づくりに間に合ってしまえば、もう桂は御役御免でいいのか。飛車の成り込みまでに拠点の歩を取るところまでは間に合わない計算という事ですね。あとは飛車を成り込んで左右挟撃でいい、と。

▲73銀不成△同角▲63飛成

 うわ、これは決まったでしょう。以下は、教科書のようなきれいな寄せでした。103手まで、羽生王座3冠の勝ち。

 この将棋、勝負の分かれ目はまさに中盤の中央での攻防戦だったと思います。戦場はここしかなかった。羽生さんは、あんなに危険な盤面図から飛車を逃げず、無理筋かと思えるような銀の繰り出しを見せ、最後には中央突破をしてしまうという剛腕。負けたら王座陥落という大一番で、飛車を危険にさらす順になる戦いを選ぶ棋力も凄ければ、その精神力にも並はずれたものを感じます。羽生陣は中住まいで銀も吊り出された格好だったので、飛車を詰められたら、中村さんの大差勝ちだったと思います。また、中村さんも飛車や銀を寄せられる自信があったからこそ、角の打ち込みが気になる状態からでも、あえて金銀を繰り出して大駒を的に攻めていったのだと思います。飛車を寄せられる自信がなかったら、あの順は選択していなかったんじゃないかと。
 そして羽生さん、これで王座戦タイトル防衛です。初めて王座を取った1992年から数えると…何と22期のうち、羽生さんが21期王座についている事になります!すげえ。。

 しかし、終わった直後、不思議な感慨を覚えました。僕は羽生さんを応援していたんですが、2年連続で羽生さんの持つタイトルに挑戦し、この王座戦では羽生さん相手に連続して名勝負を繰り広げた中村太地さんに、拍手を送らずにはいられません。指し直し局を含めると全6局、すべてが大熱戦で、本当に素晴らしい将棋を見せてくれました。中村さんは初のタイトル奪取こそなりませんでしたが、数年後の将棋界は、渡辺さん、豊島さん、そして中村さんを中心に回っていくのではないかと思います。羽生世代も齢40を超え、タイムリミットは近づいていると思います。羽生さんたちが衰えた後、今回の王座戦の激闘は、羽生さんの名勝負としても、中村さんの名勝負としても、そして王座戦の名勝負としても後世に伝わるのではないかと思います。そんなもの凄い将棋をリアルタイムで見る事が出来て、本当に良かった。。羽生さん、中村さん、ありがとう!!

第63回NHK杯 谷川浩司 vs 西川和宏 (居飛車穴熊vsツノ銀中飛車)

 夜中まで仕事をしていたら寝過ごしてしまった(-_-*)。起きたら11時半、NHK杯は中終盤でした。先手の谷川さんが穴熊で、後手の西川さんが美濃(銀冠)、戦場は中央付近で、互いの飛角がぶつかっている感じ。序盤の戦型はツノ銀中飛車戦だったそうで。ああ、これは最初から見たかったなあ。

 しかし、ここからの終盤戦が熱かったです。僕が見たのは最後の10~20手ぐらいだと思うのですが、その間だけでも逆転が何度も起きる展開。壮絶な寄せ合い叩き合い、西川さんはNHK杯で2番続けての穴熊崩しですが、これは振り飛車の宿命でしょうか。会長も55に攻防の角を打ち込む好手、どっちが勝っているのか全然わからない。しかし、穴熊崩しは速度計算できそうでしたが、西川陣の美濃に対しては寄り筋があるのか分かりませんでした。しかしそれでも会長は踏み込みます!!おお、ここから寄せるか?!光速流炸裂か?!!…寄りませんでした。やっぱり、現役A級棋士が会長職をやったらいかんのじゃなかろうか。でも、今日の将棋、終盤では久保さんが一番見えていたんじゃないかと(^^)。一昨日の久保vs行方の順位戦の棋譜を見たんですが、久保さんの終盤力がもの凄かったです。さすがはA級棋士。

 ところで、NHK杯は波乱続きですね。まだ2回戦だというのに、竜王が負け、モテさんが負け、太地さんが負け、久保さんが負け、ハッシーが負け、会長が負け。A級棋士、シード選手、タイトル戦挑戦者といった強豪が続々と消えていきます。来週は羽生さんvs木村さん、解説はモテさんか。これは絶対に寝坊出来ないぞ。。

◆◆◆◆◆◆

13102001.gif(追記) 最初から棋譜を見ました!中飛車と言っても、けっこう早い段階で飛車を3筋に振り直したんですね。それにしても、この将棋は中盤の捻じり合いが勉強になりました!僕がテレビを見始めたほんの数手前のところ。ここが、一番のポイントだったのではないかと思いました。

 盤面図は66手目。先手は穴熊を組み替えて上部に厚みを伸ばしながら銀冠の玉頭を狙った感じ。この直前で先手の谷川さんが桂得、その桂を77に打ち込み、角も玉頭を直撃する格好。これに対して西川さんは金を寄って銀冠を完成させて堅くしたところですが、桂がいないので防御力は低そう。桂得に穴熊なので居飛車十分に見えます。ここから…

▲65桂△62角▲28飛△36歩▲同歩△65銀▲66歩△73角▲68飛車△56銀▲同金△36飛

 ▲65桂からの攻め筋はちょっと良く分かりませんが、玉頭戦に持ち込んで良くなる順があったんだと思います。後手は△同銀としてしまうと銀ばさみになってしまうのでこれを取れない。そこで後手は△62角から戦場を先手の右辺に増やす構想に出ます。放置すれば次に△36歩で飛車取りですしね。先手からの玉頭攻めは怖いですが、駒も足りてなさそうだしそれほど速そうでもないので、後手はここでの捻じり合いに付き合わず、戦場を増やしての叩き合いにするという事ですね。やっぱり、大局観や構想というのが一番大事だなと思う今日この頃。
 で、居飛車が飛車を躱したところで、後手は△65銀と自ら銀挟みの罠に飛び込み、先手が▲66歩とトラップを作動したところで△73角です。いやあ、谷川さんはこの角の筋が見えていなかったんじゃないでしょうか。居飛車は当然飛車を躱しますが、そこで後手は△56銀と踏み込む。しかし、後手の角の位置が変わり、かつ飛車先の歩の突き捨てを入れたことで、この銀捨ての意味が全く変わったものになっています。先手はこの銀を取らずに放置すると角が取られてしまうので放置できない。しかし、放置しないと…後手の角が成り込むか、飛車道が開けるかのどちらかを許してしまう事になる、というわけですね。いやあ、この順がうまかった!!
 ここで後手は、19の香を取った上で馬を作る△19角成か、それとも飛車の道を開く△36飛のどちらを選ぶべきかという選択。どちらも前の状況より良くなる順と思うのですが、この瞬間は馬を作って更に香を手に入れた方が得かもしれませんが、寄せを考えると将来に龍が出来て横からの攻めを期待できる△36飛の方がいい、と。角を成りこめればいい勝負、飛車を突破できれば後手よしに逆転という形勢判断、なのかな?ここで、劣勢だった後手が盛り返したと思います。もしかすると、逆転しているかも。あ、でも形勢判断とか読みが当たっていると思わないでくださいね。あくまで初心者の戯言という事で。。

 しかし、こういう構想というものが素人ながらも分かるようになってくると、将棋観戦がメチャクチャ面白い!!野球で、ディフェンスのフォーメーションや戦術が分かるようになった時の楽しさに似ていて、それまでとは見える景色が全く変わってくる感じです。きっと、羽生さんの書いた『上達するヒント』を読んでから、将棋の見え方が大きく変わったんじゃないかという気がします。特に、構想や形勢判断という部分が劇的に変わった気がします。僕の構想や形勢判断が正しいかどうかは兎も角として(ボロボロなのは重々承知です^^;)、だいだいあの本を読んでいなかったひと月前は、それ自体を漠然としかしてなかったのですから。あの本を読む前の僕はネット将棋で絶好調の時で3級、通常は4~6級を彷徨っていたのですが、なんと今、生まれて初めての段位に到達しています。信じられない、1年で初段は無理と諦めかけていた所だったのに。。横歩も角交換も急戦矢倉も勉強が終わっていない段階なので、今の段階で段位をキープするのは不可能かとは思いますが、しかしあの本はブレイクスルーのきっかけであったことは間違いがないと思います。実際、序盤定跡とか使っている手筋とかは、中級の時と変わっていないように思えるのです。だからねじり合いなんかの棋力は全然上がってない。でも、形勢判断や構想が全く違う。以来、プロ将棋の観戦が何倍も面白いものに感じられるようになってきました。いま、プロ将棋を見ていて一番「すげえな」と思うのは、捻じり合いとか中盤力とかの棋力ではなくて(いや、これも舌を巻くほどにすごいんですが)、構想力です。これがプロは凄い。今日の将棋も、ものすごく面白かった!!西川さんが戦場を居飛車の右辺に増やしたその構想力とタイミング、やっぱりプロは凄いなあ。。西川さん、なんか性格もよさそうだし、まじめそうだし、好きになってきました。

 いやあ、この将棋、返す返すも最初から久保九段の解説付きで見たかったなあ。ツノ銀中飛車の解説も聞きたかったし。…来週は寝坊しないようにしよう。。



 

順位戦 A級 行方尚史 vs 久保利明

 今日は土曜日。久々の丸1日オフです。が、持ち帰った仕事が少しあります。のんびりやるか。取りあえずメールのチェックをして…あ、あら、昨日は竜王戦の裏でA級4回戦の最後の1局がやってたのか!たしか、行方さんが勝つと羽生さんを追いかける唯一の1敗棋士になるんだったな。でも、王位戦で羽生さんにボロボロにされてからおかしくなってる感じで、しかも相手の久保さんは調子をあげていたような。

 …おお、行方さん破れました。。これで早くも羽生さん独走状態。しかし、2位以下が超混戦じゃないですか!ちょっと、現在のA級の状況をまとめてみよう。

4勝0敗 : 1名
羽生善治(1):しかも、三浦さん、モテさん、竜王といった難敵との戦いを終えている

3勝1敗 : 0名

2勝2敗 : 7名
三浦弘行(2):しかし、モテさん、竜王、郷田さんとの対局が残ってる
渡辺明(4) :三浦さん、モテさんとの対局が残ってる
屋敷伸之(5):羽生さん、竜王、モテさんとの対局が残ってる
佐藤康光(6):三浦さん、竜王との対局が残ってる
深浦康市(7):モテさん、郷田さん、羽生さんとの対局が残ってる
行方尚史(9):三浦さん、モテさん、羽生さんとの対局が残ってる
久保利明(10):竜王、羽生さん、郷田さん、三浦さんとの対局が残ってる

1勝3敗 : 2名
郷田真隆(3):三浦さん、羽生さんとの対局が残ってる
谷川浩司(8):郷田さん、竜王との対局が残ってる

 う~ん、羽生さんに追いつくには、最低でも羽生さんがあと2敗しないといけないのか。しかし、羽生さんは難敵との対戦を終えてしまっていて、現在2敗の人たちは全員が星の潰し合いをする構図になっている。これは、星数以上に、羽生さん有利ではないでしょうか。

 一方の降級レースは熾烈。あと6戦もあるので、2勝2敗と1勝3敗の差はそれほど無いんじゃないかと。そうなってくると順位がモノをいうので、8位以下の谷川さん、行方さん、久保さんは早く白星を先行させたいところ。この中では、谷川さんと行方さんの調子が悪く、久保さんの調子が良い感じ。振り飛車の久保さんは、振り飛車戦にちょっと弱い竜王に勝つ気もするので、そうなると更に混沌としてきますね。
 中盤グループでは、なんといっても竜王の調子が良くありません。次の久保戦を落とすと結構ヤバい感じ?中終盤のミスが目立っている気がするので、作戦負けじゃなくって、本当に調子が悪いんじゃないかなあ。あと、モテさんは、現在主力戦法として使っているダイレクト向かい飛車の対策が定跡化されつつあるので、だんだん厳しい戦いになっていくんじゃないかという気がします。目立たないけど棋譜が美しく感じるのが深浦さん。なんとなくですが、取りこぼしをしないような気がするので、モテさんや郷田さんにも勝っちゃうような気がしなくもないです。良く分からないのが郷田さんと屋敷さん。屋敷さんは先手番に強すぎ、後手番に弱すぎです。このデータを信じるなら、終わってみればほぼ5分ぐらいにまとまったりして。郷田さんは、行方さんと屋敷さんに星を落としているので、調子が悪いのかと思いきや、他の棋戦での成績はものすごくいい。こちらも、終わってみれば5分以上の星に落ち着くんでしょうか。


第26期竜王戦 第1局 渡辺明竜王 vs 森内俊之名人 (急戦矢倉5筋交換型)

 ついに来ました竜王戦!!最近調子を落としている感じの渡辺竜王ですが、こと竜王戦に関しては9期連続防衛と怪物レベルの成績、また2009年の竜王戦での対森内戦は4勝0敗というストレート勝ちと、データ的には好材料だらけ。最近の不調も、研究手を全部竜王戦に残しているんじゃないかと思えなくもありません。
 一方の森内名人も、ここ10年での名人戦は羽生さんとふたりだけで回しているという無類の強さ。竜王なんか比べ物にならないぐらいに、大事な一番以外では研究手を出さない人だと私は思っています(^^)。というわけで、この竜王戦は、今までネコをかぶっていたもの同士が、いきなり本領を発揮し合う将棋になる気がします。。また、1日制で無類の強さを発揮し続けている羽生三冠とは対照的に、2日制最強棋士を決めるという意味合いもありそうな今回の竜王戦でもあります!!個人的には、NHK杯で初戦敗退した時のふてくされた態度が可愛かったので、竜王を応援してます。。

 そうそう、最初は「将棋初段になる!」ために見始めたプロの対局なのですが、最近は観戦自体が面白くなってしまって、見て勉強するという作業を忘れつつありました。羽生さんの指し手を見て「うおお~~!!」とか絶叫しているばかりで(^^;ゞ。ブログも、後から読み直して復習になる様にと書き始めたはずだったので、今回からタイトルに戦型を記す事にしようと思います。すぐ忘れるかもしれないけど。。

◆◆◆◆◆◆

 1日目の最初の進行が速い速い!なんと午前中だけで43手目まで行ってしまいました。。で、将棋は森内さん先手の相矢倉。先手の森内さん相手に、矢倉を選択しちゃうのか、信じられない。森内さんの先手番矢倉って、勝率8割とかじゃなかったでしたっけ?…竜王、これは何か準備があるな。

2013101801.gif 竜王は5筋交換型の急戦矢倉を選択!この形は「阿久津流急戦」とも呼ばれているみたいです。これ、『現代矢倉の思想』で、先手が5手目に▲77銀とした時に出てくる形だ。似た将棋を何度か見た気がするけど、「矢倉急戦はまだ早い」と思ってスルーしてきた気がする(゚∀゚*)。これ、5手目▲66歩でも成立するのか。後手番の矢倉で、得意戦法をひとつ作りたいと思っていたので、この形は今日中に覚えてしまおう!というわけで、初手からの順をメモ。。

▲76歩△84歩▲68銀△34歩▲66歩△62銀▲56歩△54歩▲48銀△42銀▲58金右△32金▲78金△41玉▲69玉△74歩

 16手目△74歩が急戦への分岐点ですね。だんだん思い出してきたぞ。。藤井9段、「この急戦を避けるんだったら藤井矢倉にしないと」と解説していますが、この時点で先手は▲78金とあがっているのでもう間に合わない。じゃ、どういう順で組めば藤井矢倉に出来たんだろうか。…でもそうなると、矢倉本組の手順自体が変わっちゃいそうなので、普通の矢倉ですら指しこなせない段階で深追いはやめておこう。。

▲67金右△53銀右▲26歩△85歩▲77銀△55歩▲同歩△同角

 以降の△53銀右~△85歩▲77銀△55歩▲同歩△同角は一直線なんですね。5筋交換の前に△85歩として▲77銀を催促、先手の角道を止めるのが大事との事。なるほど。それで基本図になると。よし、覚えたぞ…3日で忘れる気がするので、近いうちにネット将棋で指してみよう。

 ここからも問題です。この後、後手はどうやって攻めて、先手はどうやって受ければいいのか分かっていません(´・ω・`)。これも丸覚えしよう。

2013101802.gifさっきの基本図に続いて…
▲79角△73角▲46角△64銀▲68角△55銀

 ▲68角と角を引くところでは▲75歩もあるとの事。しかし、自玉の陣形を乱したくない級位者に、これは指せない手だなあ。じゃ、自分が後手でこうされたら?…いや、これも今は手が回らないので、調べるのはやめておこう。
 その後の△55銀では、△52飛と矢倉中飛車に出る手や△31玉と囲いを急ぐ手などもあるとの事。弱い僕は囲い優先の△31玉の一択ですが、竜王は△55銀!こういう強い手を指せるところが、プロはすごい。。

▲57銀△52飛▲56歩△44銀▲79玉△31玉

 これでふたつ目の盤面図に辿り着く、と。よし、この順も覚えた!!…で、うちにある急戦矢倉の定跡書『変わりゆく現代将棋』をちょっと見たら、この戦型が出てました。…べ、勉強が間に合いません。急戦矢倉の勉強と角換わりの勉強、どちらを優先すべきだろうか。それどころか石田流対策もまだ終わってないし。。

 しかし、ここまで来てみると、先手の方が陣形が整っているのでは?仮に矢倉に組むとして、後手は銀をあげて玉が入城するだけで2手。それでも右金が離れてます。これは、囲う事よりも先制する事を優先した作戦なんですね。急戦だから当たり前か。で、後手がどうやって攻撃するのかに興味があったのですが、仕掛けたのは先手の森内さんの方でした。飛車を4筋に振り、銀の頭に歩を突きだしました。なるほど~。狙いの筋は普通の矢倉に似ていますね。その後も森内さんは6筋の歩を角頭に伸ばし、2枚の銀を伸ばし…という具合に、将棋を作っていくのは森内さん。竜王は名人の手に乗って指していく感じに見えました。気づいてみると森内さんは厚みを作った(悪く言えば、低くない構えという感じ?)陣形になり、竜王は片矢倉にまとまった感じ。

2013101803.gif 図は、本局2度目の攻防戦の幕開けといった局面の77手目です。森内さん、戦わずしていい陣形を作ったという感じでしょうか、後手の金が詰めろになってます。ここで竜王が指した手は…

△73桂

え、なにこれ?…金を見捨てたという事は、ここから攻めが繋がるのか?竜王は繋がりそうもない細い攻め筋を繋げてくるので、これは注目でした。これを繋げるんだとしたら凄いぞ…

▲45歩

森内さん、桂を受けずに踏み込みました!これは勝負を左右する局面になりそうです。でも、これがある事は竜王は当然分かっているわけですから、あの桂跳ねはそれを上回る順があるという事か?

△85桂▲83歩△同飛▲74銀歩成△97桂成▲同玉△84飛▲63銀成△86角▲同角△95歩

この辺りの双方の指し手はもの凄い勉強になります。1手1手の意味が深い。。それにしても、△97桂成り?これも訳が分からん。。ただじゃん。これで先手は桂得、陣形もそんなに悪いとは思えません。更に後手が踏み込んだ角銀交換で、先手は更に駒得。ここで竜王は△95歩と端を突きました。う~んなるほど、▲95同歩も▲95同角もまずいですね…。いやあ、さすがはプロです。よくこんな順を思いつくなあ。…しかし、相手は鉄板流、とにかく間違えない森内名人です。

▲73角△83飛▲44歩

なるほど、飛車を狙って追い返すわけですね。しかしその後の▲44歩って…さっきの端攻めの筋、まだ残ってるんですけど、放置してそんな所の金を拾っていて間に合うのか?!いやいや、プロは凄すぎる。。

△96歩▲87玉△75銀▲76金打△86銀▲同金△44歩

 いやいや、これは熱戦です!しかし竜王、△44歩で攻めが切れました。。という事は、金取りを受けずに攻めに出た竜王の作戦は何だったのでしょうか。悪いと思って博打に出た?それとも、行けると思ったけど名人の受けが上回っていた?真相を知りたいところです。名人からすれば、攻めさせて駒を蓄えてから一気に反撃という恰好です。なんだか、羽生さんとの名人戦を見ているようだ。これは森内さんの勝ちパターンに入ったのでは?

 この後も、竜王はトラップたっぷりの攻めを何度も仕掛けますが(いや、これがすごいうまかった!よくこんなの思いつくなあという手ばかり…)、しかし相手は森内さん、受け切ってしまいます。。最後には竜王が大悪手を指してしまい、143手にて森内名人の勝ち!

 森内さんの凄い所は、少しでも自分がリードを奪うと、そこから絶対に逆転させない所だと思います。ちょっとでも良いと思ったらもう無理しない。それで、その微差を少しずつ少しずつ広げて、相手はそれを逆転することが出来ない、みたいな。今日の将棋も、5筋交換型の基本図以下、竜王が変な手を指したとは思えませんでした。しかし、竜王の玉の囲いが少し遅れて、そこに竜王が1~2手かけている間に名人がつっ掛け、竜王の陣形を少しずつ乱して、気がつくと戦わずして既に森内さんが良くなっている感じ。竜王の攻めは、自分が悪いと思って耐え切れなくなって攻めちゃたんじゃないかなあ。しかし、こんな将棋、受けがムチャクチャ強くないと指せないよなあ。級位者にはとても指せません。強い人にしか出来ない棋風だと思います。

 さて、これで竜王戦は森内さんが先勝!しかし先手番での1勝ですので、これは順当といったところでしょう。問題は第2戦、先手番の竜王がブレイクされると雲行きが一気に怪しくなります。それにしても、竜王の調子が本当に悪い気がします。僕は渡辺さんを応援しているので、次は頑張ってくれ~!!

『上達するヒント』 羽生善治・著

book_JoutatusuruHint.jpg この本、タイトルからは分かりにくいですが、大局観の本という認識で良いかと思います。序盤定跡とか、囲い崩しとか、駒の手筋とかの勉強は、誰でもすると思うのですが、大局観というのは抽象的な部分が少なくないので、勉強するのも教えるのもなかなか難しいんじゃないかと思います。しかしこの本は、大局観という、将棋の指し手を選ぶ為の判断基準や指針という抽象的なものを、明文化・法則化しているところが素晴らしかったです。。

 この本、将棋の大局的な指針というものを13に分けて説明していますが、これが実に秀逸です!
 例えば、6章の「主戦場について」。将棋では、駒がぶつかり合う戦場が1か所でなく複数になる事が多く、またひとつしかない場合でも自分次第で駒のぶつかる場所を増やすことが出来る。で、持っている駒の数は同じなのだから、どこかの戦場で不利であるなら、理屈としては他の戦場では自分の方が良いハズ。だから、やみくもに今駒が当たった戦場での戦いを進めるのではなく、いま戦いを進めればいいのはどの戦場であるか、これを選択するのが重要、というわけですね。これは分かっているつもりなんですが、アマチュア同士の実践例を例に挙げて具体的に説明されると…いやあ、僕は全然わかってなかったな、と痛感させられました。。そういえば、たしか今年の郷田vs行方戦だったと思うのですが、7カ所で駒がぶつかっているのに、互いにそれを取らないで、更に新たな場所で駒をぶつけていく将棋がありました。あれなんかは、まさにその戦場でどう成果をあげるか以前の、戦場選択の駆け引きの究極だったのかもしれません。

 他にも、今までに日記に書いてきたような僕の悩みの解決策そのものの章がありました。特におススメの章は、「位取りについて」「スピードについて」「構想について」「基本方針と形勢判断」。このあたりは定跡本を読んでも手筋本を読んでも学ぶ事のできないものと思います。これらは、定跡や手筋を使う以前の段階で常に考えていなければならない重要な指針だと思います。で、こういうものが理路整然と整理されている。形勢判断には4つの指針があるとか、形勢判断によって構想が変わってきて、構想はどう立てるのかとか、構想の中で主戦場はどう選択するのか、とか…。ゴチャゴチャになっていた、将棋を考える脳の回路が、見事に整理されていく感じで、素晴らしい。。

 僕が悩んできた曖昧な幾つかの課題、これが大局観とか形勢判断に関するものであったこと間違いないようです。ネット将棋の対戦でも、上級同士であっても「あれ、ここで仕掛けてきちゃうんだ」と思う事があります。駒組みや情勢が少し悪い程度で焦って攻めちゃうなんていうのは、定跡や手筋を知らないというのではなくて、形勢判断が出来ていないとか、構想が良くないという、まさに大局観に属するところの棋力なんだと思います。

 大局観というものは、勉強したり習うものではなくて、将棋を指しながら自分で身につけていくもの。少なくとも、僕は何となくそう思ってました。しかし、ここまでキッパリ言葉で定義してくれると、自分でも分かっているんだかいないんだかという状態でモヤモヤしていたものが、ものすごくすっきりと整理されていく感じでした。この本は、大局観の本として、間違いなくおススメです!!

 ただし…初心者の方は、ちょっと注意が必要です。「上達するヒント」というタイトルから、将棋初心者向けに書かれた本と思えなくもないですが、中級車以上の人向けに書かれているように思います。僕みたいに、初歩から将棋の勉強を始める方は、序盤定跡、駒の手筋、囲い崩し、寄せの勉強、こういうスタンダードなところを先に勉強した方が良いと思います。この本は、あくまで「将棋の基本が出来ている人が、そこからさらに上達するためのヒント」なんじゃないかと(^^)。


大局観について

 将棋を始めて10ヶ月目、序盤と終盤と手筋の勉強をしてきたのですが、どうもそれらがうまくつながっていないように思えていました。
 前兆は色々とありました。過去に書いた日記を振り返っても、「形勢判断を大事にしてみよう」とか、「位取りについて」とか、「勉強した戦型ほど勝てない」とか、その時その時に色々と感じていました。しかし、どれもこれも、初心者が引っかかりそうな障害に、片っ端から引っかかってるなあ。。。で、こういうのが積み重なってきて、序盤と終盤と手筋のそれぞれの勉強がうまくつながっていないのでは、という見解に至ったわけです。

 この考えを痛感させられたのが、10月アタマの羽生さんvs中村さんの王座戦第3局。この将棋は羽生さんが負けたんですが、しかし羽生さんの構想がもの凄かったのです。自陣玉頭、自陣右辺、敵陣右辺という3カ所が戦場になっていたのですが、角のラインを基点に自陣右辺が突破されかかっているのにこれを受けず、「そんなことやってて大丈夫か?」という手に着手したりしてる。で、突破された瞬間に、ものすごい指し回しで敵の角を押さえ込み、その際に間駒に使った桂が敵玉の玉頭を直撃、更に飛車取りを絡めながら自分の馬を盤面中央まで引き寄せて、3つの戦場をひとつにつなげてしまったばかりか、それらが一塊になって敵玉への攻撃に直通するという信じられない形に。見ていて感心するどころか、感動すら覚えてしまいました。ひとつひとつの手筋とか、序盤で指していた定跡とか、こういうのは僕でも知っているものが殆どだったのですが、で、それらを使ってどう戦うのか、どういう風に将棋を動かしていくのか、これがあまりに違いすぎました。ああ、これが大局観というヤツなのかなあ…と。

 で、その時の観戦日記に「羽生さんの書いた大局観の本とかないのかなあ」と書いたら、コメント欄から教えてくれた方がいました!kohさん、その節はお世話になりましたm(._.)m  それが『上達するヒント』という本でした。

 大局観… なんか、これを僕は漠然と捉えてました。例えば、駒組みを進めるべきか仕掛けるべきかとか、こういったものの判断基準になるもの、みたいな。でも、それが一体なんなのかを説明しろと言われると…その時々で基準にしているものが違う気がして、自分の中でまったく整理されていないんじゃないかと。
 まず、形勢判断。形勢判断なんて、将棋を指す人なら誰だってしていると思うのですが、じゃ、何を形勢判断の基準にすればいいかというと…恥ずかしながら、僕はすごく曖昧だったのです。駒得、玉の堅さ、中終盤だったら手番?あとは??…やっぱり、あいまいですね(^^;)。
 構想。相手玉の方が堅いのに捌き合ったら勝ちにくいとか、龍をひいて左に展開して…みたいなのも構想の例ですよね。構想自体が間違っていると、自分の構想した捌き合いに成功しても、将棋自体は負けてしまう。構想が間違ってると、良い手を指すとか指さないとか以前に負けている、というわけです。
 このふたつが幹で、その下でスピード、戦場の選択、進展性、厚み…こういったものを具合的に比較したり選択したり。。こういう事なんだと思いました。こういう大局観というものの根拠になっているものを、羽生さんの書いた本を読んで、考えさせられました。大局観というものが具体的には何を指しているか、これは将棋を指す一番ベースにあるものなんじゃないかと思えてきています。

 定跡や手筋というのは、どちらかという記憶にかかっている気がします。でも将棋って、知識ゲームじゃなくって、知能ゲームとして面白いから、人気があるんじゃないかと思うのです。では、将棋の知能ゲームとしての側面って、どういう所に出るのでしょう。定跡とか手筋といった知識が同じぐらいの人が、その定跡や手筋をいつどのように使うかという、大局観から将棋の方向性を作っていく戦術ゲームの部分、ここが知能ゲームとしての将棋の一番面白いところなんじゃないかと思い始めています。



第63回NHK杯 2回戦 中田宏樹 vs 橋本崇載 (升田式石田流)

 昨日の深夜、ネット将棋で3段の方と戦っていたのですが、これが面白くって、気がついたらなんと朝。。緩めてくれていたのかも知れませんが、初戦はなんと3段の方を追い詰めるところまで行ったところで…最後に1手詰を見逃す大チョンボ(- -;)。見学していた方も何名かいらっしゃったのですが、終わった途端に一斉に「角」と言われ、見えていなかったのは私だけだった状態。は、恥ずかしい。。2連敗ではあったのですが、2局とも丁寧に感想戦をしていただき、とても楽しかったです!!それにしても、さすがに眠い。。
 しかし、今日のNHK杯の対局前インタビューを見逃すわけにはいかない。だって、橋本さんですからね。…・しかし橋本さん、今回は大すべり( ̄ー ̄)。

 さて、将棋は中田さんの先手、そして…橋本さん、後手番で升田式石田流です!ただいま、佐藤康光さんの本で対石田流の勉強をしているところなので、これはタイムリー!でも、石田流って、良くするのが難しい戦法なんじゃないかと思うのです。まして後手の石田流となると、佐藤康光さんの本によると、不利すぎてプロでは指されなくなったそうで。で、この将棋もその通りの展開で、石田流に組んだ橋本さんがずっと少し悪いという展開に。

2013101301.gif これは30手目、双方の駒組みが進み、陣形がはっきりしたところ。後手の55の銀が不思議な感じがしますが、44銀のままだと、▲56角が強烈になってしまうため、それを消しておく手、との事。なるほど~。でも、後手のこの銀は危険な感じがするんですが。

▲56歩

う~ん、先手としては、やっぱりこの銀を追いますよね。橋本さん、一体どうするんだろうか。

△64銀▲66歩△54歩▲77桂△53銀▲67銀△44銀

おおっ!後手の左銀、なんと1周して、元の44に戻ってきました!なるほど、▲56歩と突いてくれた事で、▲56角という打ち込みがなくなったから元に戻せるのか。しかし、大きく手損しているのは確か。

▲65歩△55歩

1周回した後に、後手はついに5筋の攻撃に着手!しかし、その前の先手が指した何気ない▲65歩が、実に素晴らしい下準備でした。

▲64歩△同歩▲41角△22金▲85角成△56歩

 歩で角の通路を作って馬を作って、金を追うのか。ここだけ見れば難しくない手だと思うのですが、どうしても攻められている56の地点の受けを考えちゃうなあ。2手以上かかる突き捨ての歩って、間に合わないと思っちゃうんですよね。で、馬を作ってから再度侵入すれば、後手の左辺は崩壊ですね。
 しかし、先手が馬を使ったところで、手番はいよいよ橋本さん。そう簡単に許してはくれません。ここで5筋の歩を使ってていよいよ攻撃です。この辺りで、互いの構想が大体見えてきた感じです。

 今日の将棋は、ここからがもの凄い面白かった!!先手陣の右辺が一番大きな戦場になり、ここは橋本さんがポイントを稼ぎます。先手はその代償に9筋の端攻めで歩を利かせて後手玉の退路を封鎖、さらに後手陣の左辺に龍とと金を作って利かせます。これで先手は挟撃態勢、手数こそかかりそうですが優勢に見えます。ただ、のんびりとと金を寄せているので、そんなにゆっくりで間に合うのかという気はしましたが…たしかに後手からは攻撃の手作りが難しそう。というところで…

2013101303.gif ▲29馬

 え?飛車でなくて桂を取るのか?…ああなるほど、これで△76桂を打ち込む筋が出来るのか?!実況の矢内さんがさっきブツブツいってたのは、この筋か。。いや、これは橋本さん、盛り返したのでは?

▲同銀△76桂▲79玉△68桂成▲同金

 橋本さん、△76桂で王手角です!で、進んでみると…なんということだ、角を払った△68桂成を▲同玉とすると、今度は王手飛車があるのか!!ハッシー、終盤に来て大技の波状攻撃!!もしかすると逆転?中田さん、仕方なく金で取りますが、それでも王手飛車のラインは残ったまま。

△59銀▲54桂△76角

うわ、△76角か…いや、これは決まったでしょう。ハッシー、大逆転!!!ところが…

▲57飛△87角成

 先手のこの飛車寄りは、受けの手なのかと思っていたのですが、これが中田さんの用意していた鬼手。ハッシーも解説の松尾さんもこの意味が分かっていなかったみたいです。ハッシーは、当然何でもないと思っているので、87に角を成り込んで、これで詰めろ。いやあ、今日はどちらも凄い綺麗な指し回しをする、いい将棋だったなあと思っていると…

▲71角△同玉▲62桂成△同玉▲52と△同金

▲71角〔 ゚д゚〕??うわあああ。。なんだこれ??!!これはすごい。。で、ここからさっき利かせた桂や、捨てずにゆっくりとっておいたと金で後手玉の守り駒を剥がしていきますが最後の△52同金で後手が受け切り、これでハッシーの勝ちかと思ったのですが…

▲53金△同金▲51龍

 マジか、詰んじゃったよ(ノ゚o゚)ノ。。橋本さんが大逆転したと思った直後、中田さんがさらに大逆転です!!いや、中田さんからしてみれば、最初からこれを狙っていたわけで、逆転じゃなかったのか。う~ん、今日はすごくいい将棋を見る事が出来ました。
 一番大きな戦場で勝った橋本さんではなく、小さな戦場でポイントをあげていた中田さんが勝ったという一番。将棋って、手筋を正しく使う事だけでも大変ですが、そこから先になると、構想力の戦略ゲームなんだなと思い知らされました。主戦場を制した方が負けちゃうんだから。。いやあ、それにしても、実に面白い将棋でした!



順位戦 A級4回戦

 ただいま、深夜までかかって仕事中。。気がついたら、夜中の2時を回ってる!!そ、そういえば今日はA級の対局があったハズ!…2局ありました。順位戦は一斉対局みたいですが、A級だけは違うんですね。A級棋士になると他のタイトル戦とかいろいろあるので、その調整をしながらになるから、なのでしょうか?というわけで、今日で行方vs久保戦を除いたA級4回戦が終わりました。例によって、ダイジェストで!!

○羽生善治 vs 渡辺明●
 なんといっても1番の注目はこの1局!3冠同士という将棋界最強対決であると同時に、今季順位戦の流れを大きく左右する一番です!!渡辺さん、もうすぐ竜王戦が始まるこのタイミングでの羽生戦という事で、ちょっとアンラッキーな面も。。一時は完全に羽生さんを超えたように見えたのですが、今期の棋聖戦と日本シリーズで羽生さんにボコボコにされ、調子を落としている感じがします。
 将棋は羽生さんの先手、横歩取り。後手の竜王、最近は横歩で負けばっかりの気がしてたんですが(棋聖戦の印象だけかな?)…おっ?!△85飛?これって、後手不利だったんじゃ…渡辺さん、研究手を出してきました!これに対し羽生さんは、変形の中原囲いみたいな形に囲って迎え撃ちます。これ、左右どちらにも逃げられそうなうえ、堅そう…今度真似して見よう(^^)。中盤は凄い捻じり合い、渡辺さんの銀が羽生飛車を狙いますが…羽生さん、飛車を逃げずに見殺し、代わりにと金を作りました。いや、これは本当に大丈夫なのか??…羽生さん、勝ちました。羽生さんの将棋はやっぱりすげえ。。
 羽生さん、混戦状態のA級で一人全勝です。一方の竜王はこれで2敗、名人挑戦レースから1歩後退です。あれ?そういえば、竜王は唯一羽生さんに勝ち越している棋士だったと思うのですが、これで5分になったんじゃないでしょうか?

●郷田真隆 vs 屋敷伸之○
 ここのところ、ほかのタイトル戦でやたらと挑戦者決定まで進んでくる郷田さん、しかし挑戦者決定の大一番でことごとく後手番をひいてしまい敗退するという不運に付きまとわれています。順位戦もやや出遅れて負けが先行、名人挑戦の為には負けられない戦いが続きます。一方の屋敷さん、三浦さんに負けたのは序列的にも仕方がないとして、谷川会長に負けたのが痛い。。こちらも負けられない状況になっています。しかし、この10年でのふたりの対戦は…あ、あら、郷田さんの7勝0敗?!…しかし、郷田さん、負けてしまいました。これで1勝3敗、これはマズいです。。一方の屋敷さん、これで2勝2敗の5分に戻しました。

●三浦弘行 vs 深浦康市○
 これは10/4に行われた対局。見逃してました(゚∀゚*)。棋譜を見ると、手損なしの角換わりからの相腰掛け銀。深浦さん、なんと後手番であの三浦さんを破った?!これは大きいです。。三浦さん、羽生さんを追ってぴったりと追走していましたが、痛い2敗目、これで2勝2敗となってしまいました。一方の深浦さんも同じ2勝2敗ですが、勝ちが渡辺竜王と三浦さんからあげた2勝という事で、これは大きい。羽生さんを追って、名人戦挑戦へのトップ集団に入ってくると思われた二人を撃破!これは、自身の名人戦挑戦のみならず、順位戦の動向を左右する、価値ある2勝と思います!!

○佐藤康光 vs 谷川浩司●
 更に遡る10/2に行われた対局です。佐藤さん、負けが先行しているものの、郷田さんと並んでやたらとタイトル戦の挑戦者決定争いで勝ちあがってきます。ダイレクト向かい飛車さえ指さなければ、もっと成績が良さそうな超強豪だと思うのですが(^^;)。この1戦は谷川会長が後手番という事で、谷川会長のゴキゲン中飛車を受ける形の1戦に。佐藤さん、これを▲37銀という非常にオーソドックスな方法で受けます。なんだ、まともな定跡も指すのか…と思ったら、佐藤さん、ろくに玉を囲いもしないでガシガシと攻めに出ました。。佐藤さんの将棋はびっくりする手の連続で「すげえ」と思わされっぱなしなんですが、真似する気にはなれません(^^)。なんと、しっかり美濃に囲ったはずの谷川玉を寄せてしまいました。。なんという力技。モテさん、これで戦績を2勝2敗の五分に戻し、一方の会長は1勝3敗とやや苦しい展開になりました。


 A級は大混戦状態、名人挑戦レースは羽生さんが唯一の全勝。しかも、三浦さん、竜王、モテさんという厄介なカードをみな終わらせてしまったので、これは勝ち星以上に有利なのでは??それを追う1敗は、まだ4回戦を戦っていない行方さんのみ。で、2勝2敗がダンゴ状態。挑戦者決定ラインは、低く見積もっても2敗までという感じがしますので、真ん中にいる棋士は、はやくももう1敗もできないという感じではないかと。
 一方の降級レースは更に混沌としていて、羽生さん以外は誰が落ちてもおかしくない状態。最下位の3敗は郷田さんと谷川さんですが、順位的な問題で、久保さんもやや苦しいか。実は、名人挑戦レースも降級レースも、まだやっていない行方vs久保戦がひそかに重要で、行方さんが勝つと行方さんは羽生さん追走の1番手になり、久保さんが勝つと久保さんは降級レースからやや抜け出た形になります。プロ野球も面白いし、NFLも面白いし、楽しい秋になりそうです(^^)。


順位戦 B級1組 7回戦 & B級2組

 昨日は順位戦B級1組の対戦がありました。7回戦、ちょうど折り返しですね。そろそろ明暗が分かれてきました!

(B級1組 7回戦)

○高橋道雄 vs 鈴木大介●
 全敗同士の絶不調対決。降級レースから抜け出すためには、ここはお互いに勝ちたいところではないでしょうか?!高道さんは、年齢的な衰えもあるのでしょうが、それでも順位戦だけたまたま勝ち星がつかないだけに見えるんですが、大介さんは本気でスランプである気がします。…今日もやっぱり大介さん負け。これは深刻、唯一の全敗になってしまいました。一方の高道さん、ようやく今期初白星!!順位は1位なので、これからの星次第では同率で降級を逃れる事もあるかも?!これは同じく調子の悪い木村さん、山崎さんの成績が鍵になりそうです。

○橋本崇載 vs 木村一基●
 前回、畠山さん相手に痛い2敗目を喫したハッシー、A級返り咲きの為にはこれ以上負けられません。一方の木村さん、今期は1勝4敗と絶不調。降級レースに参加しないためには、速く2勝目を挙げたいところです。。しかし、将棋は橋本さんの勝ち!橋本さんはこれで5勝2敗、昇級レースに踏みとどまりました。一方の木村さん…これはマズい、1勝5敗で、降級レースから抜け出すことが出来ません。これは、残された高橋道雄戦が勝負の分かれ目になりそうです。

○山崎隆之 vs 藤井猛●
 こちらも1勝5敗と絶不調の山崎さん、降級レースから早く抜け出したいところ。一方の藤井さん、順位は良くないですが、橋本さんに1発入れた勝ちを含めて、これまでなかなかの健闘です。結果は…山崎さんの勝ちです!さすがはB1で3位、これで2勝目、降級レースから1歩抜け出しました。一方の藤井さん、これで2勝4敗。次の鈴木大介戦が運命の一番となりそうです。

●丸山忠久 vs 豊島将之○
 さて、注目の一番です!!A級にいない事の方が不思議なぐらいの強さを誇る丸山さんと、中村太地さんと並ぶ若手最強棋士の昇り竜・豊島さんの一騎打ち!実力的には五分といったところではないでしょうか?!…おおっ、豊島さん、勝ちました!豊島さん、負ければ3敗目と昇級が大きく遠のくこの大一番で、あの丸山さんを倒しました!一方の丸山さんは、これに勝てばトップ集団だったのですが…これで4勝2敗。この一番は、のちのち今期のB1昇級レースを大きく左右する一番になってしまう気がします。

●畠山鎮 vs 広瀬章人○
 この前のNHK杯で渡辺竜王を四間飛車穴熊で破って以来、僕の中で広瀬株が急上昇です!!調べてみると…今の20歳代のプロ棋士で、タイトルを取った経験があるのは、渡辺竜王と広瀬さんだけなんですね。順位は…おお、堂々のトップ集団ではありませんか!!そして今日の結果は…広瀬さん、勝利です!これで6勝1敗、トップ集団を走ります!一方、破れた畠山さんは痛い2敗目、先頭集団に加わっていたのに、ここで1歩遅れました。しかし、これで広瀬さんの書いた『四間飛車穴熊の急所』は、またまた中古で手に入りにくくなりそうです(- -*)。。

○阿久津主税 vs 飯塚祐紀●
 昇級レースにも降級レースにも加わりそうにない1局、と思っていたのですが…。阿久津さん、2連敗から3連勝と、いつの間にか調子をあげていました。さて、結果は…阿久津さん、52手で勝ち?!いったい、どういう将棋だったんだ。。これで阿久津さんは4勝2敗、いやいやどうして、いつの間にか昇級レースに絡んできました!一方の飯塚さんは3勝4敗。負けが先行してしまいました。

 さて、これで1敗が松尾さんと広瀬さんの2人に絞られました。しかし松尾さんは丸山さんと阿久津さんという強敵との対戦を残しており、広瀬さんは豊島さんや橋本さんや丸山さんという強敵との対戦を残しています。これは、まだこのふたりが有利とはいえなそう。続く2敗は、橋本さん、丸山さん、畠山さん、阿久津さん、豊島さん。う~ん、これは混沌としています。このあたりまでが昇級候補といった感じでしょうか。しかしそうなると、順位の低い阿久津さんや豊島さんはちょっと不利か。逆に、2敗ではあっても順位の高い橋本さんは若干有利かも。橋本さんは、広瀬さんとの直接対決がカギとなりそうです。

 一方の降級レースですが、鈴木さんが唯一の全敗。次の藤井戦が運命の一番となるのでは?これに負けると、降級はほぼ決定の気がします。続く1勝のみが、高橋道雄さんと木村さん。2勝が山崎さんと藤井さん。高道さんは1勝のみですが、順位が1位なので、はやく2勝目をあげれば何とかなりそうな気がします。逆に2勝している藤井さんですが、順位が低いので次の鈴木戦に負けると結構ヤバいかも。

◆◆◆◆◆◆

 あと、B級2組の対戦も何局かあったみたいです。こちらは、僕の興味があった対局だけレポート!(いい加減だな…)

(B級2組)

○佐藤天彦 vs 野月浩貴●
 B2で4位という好位置につけ、そして今期これまで4勝負けなしの天彦さん。今日も勝って昇級レースのトップに躍り出るか?!…勝ちました!これは強い。。これで5勝負けなし、B2で5勝はただひとり!しかし、あのヘアースタイルはやめてほしい。

●杉本昌隆 vs 先崎学○
 解説を聞いていても、『村山聖名局譜』を読んでも、癖のある人間としか思えない先崎さん。しかしこの人とクラスメイトだったら、メチャクチャ仲良くなっていただろうな。。と、意味もない想像をして、妙に親近感を覚えています。しかし、気づいてみたら、ここまで全勝じゃないですか!そして、今日は…また勝ちました!!これで4戦全勝、しかもこの先、対戦カードに恵まれています。これは昇級あるかも?!一方の杉本さん、これで2勝2敗。昇級の為には、もう負けられません。


 う~ん、いま王座戦で羽生さんと死闘を繰り広げている中村太地さんは、これよりも低いクラスにいるのか。。年に昇級2名という縛りは、想像以上に過酷なレースなのかもしれませんね。

第61期王座戦 第4局 羽生善治王座三冠 vs 中村太地 (一手損角換わり)

 中村さんの2勝1敗で迎えた王座戦第4局、羽生さんはカド番に立たされ、あとがありません。一方の太地さんは初のタイトルまであと1勝!このシリーズ、第3局までは全て先手が勝っていますが、今日は羽生さんが先手。さて、どうなりますでしょうか。。

 将棋は横歩取りになりました。この前の棋聖戦の印象が強いからか、羽生さんの横歩取りってメチャメチャ強い印象があります。太地さん、横歩にしちゃって大丈夫でしょうか?角交換して、互いに角を打ち合って、羽生さんは角で太地飛車を追って、太地さん逃げて、羽生さん追って、太地さん逃げて、羽生さん追って…あ、あら??千日手になってしまいました(´・ω・`)。。後手番の太地さん、これはしてやったりでは??

 …さて、指し直し局です。先後変わって太地さんが先手、今度は角換わり。しかも、4手目角交換。まさか、ダイレクト向かい飛車になるのか?あれは後手不利にしか見えないから、羽生さんやめてくれ…あぶないあぶない、一手損角交換の相腰掛け銀になりました。しかし、先後同形の例のアレではなく、後手の羽生さんがちょっと工夫している感じ。6筋の歩を伸ばし、飛車も6筋に移動…ん?角交換相腰掛け銀で右四間に飛車を振るって…羽生さん、この前の第3局で太地さんにやられた将棋をそのままやり返すのか?!う~ん、なんという負けず嫌い男気でしょうか。。やっぱり、羽生さんの将棋がいちばん面白い。。

2013100801.gif 図は36手目、駒組みを進めて、互いに大体の陣形が整ったところです。どちらも矢倉を作りながら、まだ入城していません。角換わりって、よほどの暴発でさえなければ仕掛けた方が勝っちゃう印象があるので、どこまで駒組みを進めればいいのか、これが分かりません。まだ駒組みタイムだと思っていると、いきなり仕掛けられてそのままジ・エンドという将棋を今まで何回指したことか。。

▲45歩

 うわ、9筋の歩を突き合っていない、このタイミングで仕掛けるか。。たしかに今仕掛ければ、1筋は突き越しで9筋は手つかずなので、これはいいタイミングの気がします。太地さん、将棋史上最強であろう、あの羽生さんを相手に、先手先手と攻めていきます!ぜんぜん物怖じしないんだよなあ。なんか太地さんが勝つような気がしてきました。。

△64角▲44歩△同銀

 1筋を突き越されている事もあり、普通に同歩だと、駒を捌かれた後に一気に潰されそうです。で、付き合わずに△64角。しかし、中村さんは構わずにガシガシ攻めて、結局▲14歩。この王座戦、中村さんは攻めっ気が凄いですね。

▲14歩△同歩▲13歩△同香▲24歩△同歩▲同飛△23飛▲26飛

 やっぱり端攻めか。。角も駒台にあるし、この攻撃は強烈!!次に▲12銀と打ち込まれたらどうやって受けるんだろう。。いきなり終わっちゃうんじゃないか?しかし、ここで手番は羽生さんに。

△55銀直▲同銀△同角▲56歩△77角成▲同桂

 ご、55銀??入城して12銀の打ち込みを消すとか、攻めるなら△46歩とか△75歩~△85桂とかじゃないのか?!こんな露骨な特攻、大丈夫なんでしょうか。…羽生さん、挙句に角まで切っちゃいました。。こんな僕みたいなイケイケ玉砕戦術が通るとは思えない。。

2013100802.gif あら?でもこうなって見ると、意外と先手玉もヤバいかも。間に合うかどうかは分かりませんが、後手は飛車先を伸ばしての攻撃も有効そうだし、なんか拠点も作れそう。で、羽生さんの着手は…

△46歩

…▲12銀の打ち込みがある今の状況で、こんなところを攻めていて間に合うんでしょうか??それに、これを打ち込むなら、さっき角で紐がついているときの方が良いんじゃないのかしら??そもそも、これ▲同金でタダじゃないの??そうすると△57銀があるとか?それだって、そんなに怖く見えないんですけど…。

▲48金△47銀▲49金△56銀成

 …太地さん、下がりました。あの歩は取っちゃいけないのか。理由は、いまだ分からず。。自陣が崩壊寸前の状態から、相手玉にかなり遠い場所に争点を作って、間に合わせてしまうんだからスゴイ。しかしこれで手番が太地さんに渡りました。太地さん、これは一気に寄せてしまうんじゃなかろうか。

2013100803.gif ▲12銀

やっぱり来ました!これは羽生陣、崩壊でしょう。玉の早逃げでしょうか、それとも攻防手?攻め合い?

△67成銀

おおおおおっ!!!攻め合いキタ━━(゚∀゚)━━!!
で、でもこれ、攻め合いになっているのでしょうか?▲同金で続かないんじゃ?

▲同金△66歩▲23銀成△22歩▲32成銀△同玉▲12角

太地さん、波状攻撃です!でも…あら?これ寄るのか??太地さんが寄せ切れるかどうか、勝負はここにかかってきそうです。強烈な角の打ち込みですが、寄せ切れずにこの角なんか渡しちゃうと、羽生さんに一気にまくられちゃうぞ…。

△23銀▲同飛成△同歩▲24歩△42玉▲23角成△51玉▲83角△72銀▲63歩…

 う~ん、この王座戦は、どの局も終盤の寄せと凌ぎが熱いです!壮絶な攻防戦ですが、中村さんは▲63歩!!これは決まっただろう、ついに若き新王座誕生か…。

2013100804.gif△67歩成

 羽生さん、取らずに攻め合い。。相手玉の鼻先にと金を作る事に成功…といえば聞こえはいいですが、残念ながらこれは形作りでしょうね。。さて、風呂でも入るか。

▲62歩成△同玉▲64飛△63金打

 中村飛車、羽生さんの唯一の攻撃拠点であると金と王手の両取り。ああ、終わった。。受けるにしても、飛車打って受けだろうけど…ん?△63金打?!…なんだこれは!!!カド番の投了間際というこの瞬間に、羽生マジックだああああ!!

▲72角成△同玉▲67飛△66歩

 うわ、この△66歩は取ると角で王手飛車、取れないのか。羽生さん、受け切るどころかそのまま寄せに入ります!なんか今、歴史的瞬間に立ち会っている気がする。。

▲69飛△47飛▲34馬

 ついに羽生さん、中村飛車を抑え込み、敵陣に飛車の打ち込みに成功!!これは次の▲77飛成が厳しいでしょう。と、ここで今度は中村さんが鬼手!!▲34馬?!受けないのか?!羽生さん、もう受け切りは無理っぽいので、寄せ切りにいくか?!しかし、羽生さんの駒台には金駒がない。。

△77飛成▲78銀△65桂▲86銀

この王座戦、どの局も面白すぎる。。△65桂なんて、僕では100年かかっても指せるようになれる気がしません。しかし、それを受ける中村さんの▲86銀って…。どうしてそんな受けを思いつくことが出来るのでしょうか。羽生さんも中村さんも、終盤力が凄すぎる。

△57桂打

…もう、言葉がありません。私は今、感動しています。心は清らか、今なら全てを許せる気がします。
シマムラの店員を土下座させた人にすら、今なら慈悲の心をかけることが出来そうです。

▲77銀引△69桂成▲同玉△77桂成▲同銀△67角

羽生さん、遂に詰めろ!!!信じられん、投了寸前、大差と言っても過言ではないあの状況から、ここまで持ってきたか。今、俺の前にいるのは、神だ。…しかし、ここで手番が太地さんに渡ります。太地さん、神を寄せるか?!

▲83銀

 ウソのような展開、103手目のここにきて太地さんは持ち時間を使い切り、1分将棋に!!台本を書いたって、こんなドラマチックなストーリーは作れないでしょう。
 しかしここから、中村さんは怒涛の寄せ!!羽生玉逃げる!!(興奮して、文章が訳わからなくなっていますが、ご了承ください。。)逃げている道中で、ついに羽生さんも持ち時間を使い切り。そして…中村さん、遂に神を寄せ切った~~~~!!!!…と思ったら、その順は打ち歩詰め?!マジか、こんな事があるんでしょうか。

 羽生さん、驚異の大逆転勝利!!神局です。太地さん、手に入りかかっていた念願のタイトルが手からすり抜けていきました。
 これで2勝2敗、羽生さんは追っかけリーチ、勝負は最終局にもつれこみました。しかし、この王座戦は4局とも物凄い熱い。今日はいいものを見た。寝よう。

第63回NHK杯 渡辺明 vs 広瀬章人 (居飛車穴熊 vs 四間飛車穴熊)

 NHK杯は2回戦に入って、A級棋士が続々登場です。今日は、ついにNHK選手権者である渡辺竜王三冠が出てきました!ラスボスといった感じですね。。しかし対する広瀬さんも強豪!!なんといっても、戸辺さんや糸谷さんや佐藤天彦さんという強豪ひしめく世代での出世頭、大学在学中に王位を取ったというツワモノ。それに、いま購入を検討している『四間飛車穴熊の急所』の著者でもあるので、竜王の穴熊と広瀬さんの振り穴の対決を見てみたいと思っていました。。

 さて、将棋は竜王の先手で始まりました。そして…きました、居飛車穴熊vs四間飛車穴熊の相穴熊戦です!!僕の対四間飛車戦は、竜王の穴熊本がベースになっているので、竜王がどういう風に四間飛車穴熊を破るのかを勉強しようと思っていたのですが…気がつくと広瀬さんの駒台には歩が5枚に香が1枚、一方の竜王の駒台には何もない状態に。竜王は非常にきれいに指し回していたように見えたのですが。。玉はどちらもカッチカチ、戦場での争いは互角という感じなので、これはさすがに竜王すこし悪いんじゃないでしょうか。。信じられん、あの竜王が、攻めるどころか、攻めに着手する事も出来ないまま攻め込まれていく。。広瀬さん、徐々に良くするのでなく、一気に踏み込んでいきます。角も飛車も切って竜王の4枚穴熊を守りの金銀をベリベリと剥がして…あ、圧倒的じゃないか。。居飛穴最強の竜王三冠が何もできずにフルボッコ。。NHK選手権者、攻める事も粘る事も出来ず大差で初戦敗退、大波乱です!!

 しかし、こんなの放送されると、ネット将棋でみんな四間飛車穴熊を始めちゃうじゃないか。。…また四間飛車対策の勉強課題が増えてしまいそうです(;;)。。なるほど、昨日までアマゾンにたくさんあった広瀬さんの『四間飛車穴熊の急所2 相穴熊編』の中古本があっという間に売り切れたのはこういう事だったか。。



LPSA vs 日本将棋連盟

 どのカテゴリーに入れていいのか分からなかったので、「観戦記」に入れてしまいましたが、いいんでしょうか(^^;)。日本将棋連盟とLPSAの、これは第4局ぐらい??

 女流の将棋に関しては、実はいまだに興味が持てません。というわけで、LPSAという組織に関するゴタゴタも、よく分かっていませんでした。それがとうとうネットニュースのトップ記事に。「将棋連盟、女子プロ将棋協会へ絶縁状」との事です。で、ちょっと調べてみたのですが…

(序盤)
 LPSAというのは、「日本女子プロ将棋協会」の略称で、社団法人だそうです。女流棋士中心の組織で、日本将棋連盟から独立する形で立ち上がったのが2007年。女流棋士の地位向上を目指したものだったみたいです。
 当時の将棋界は斜陽になってきていて、中でも女流棋士の間では、自分たちが最初に切り捨てられるという危機感があったみたいです。こうした背景で、女流棋士が独立した団体を立ち上げようという動きが起きた。で、この構想に、当時の女流棋士の8割(44/55)が賛成、女流棋士全員が新組織に参加するはずだった、と。

 当時、赤字続きで立ち行かなくなっていた将棋連盟は、当初は女流がいなくなれば経費節減になるとLPSA独立に前向きだったそうですが、スポンサーの取り合いになるという見立てになると状況が一変、WIN-WINだったはずが対立構造に。で、日本将棋連盟の女流棋士の引き留めなどから状況が一転、将棋連盟への残留を希望する女流棋士が36人に膨れ上がるという事態に。羽生さんに直談判したという矢内女流名人まで残留に転じたそうで。
 そういう困難を乗り越えながらも、LPSAは17名の女流棋士で独立を果たしたのだそうです。…う~ん、ここまでの話では、僕は後手持ちだな。。この段階では、17名の勇敢なる女流棋士を応援したい気分です。というか、ここで寝返る女流棋士というのを、好きになれん。。

(中盤)
 1業種1企業というのは良くない!!そうなってしまうと独占状態になり、内部は腐敗するし、優遇されて当たり前と考えるようになってしまう。歌舞伎界しかり、角界しかりです。
 LPSA構想自体は良かったんじゃないかと思います。しかし、新興勢力LPSAへの参加棋士が、55名の女流棋士のうち17名のみとなったのが痛い。しかも女流限定という事になると…これでは対抗馬になるどころか、傍流を作るにも弱すぎる。有名レスラーのいないプロレス団体みたいです。それでもプロレスでは、1社独占で怠慢経営になっていた馬○の団体を尻目に、スポンサーもつかず選手も全然いない猪○率いる団体がありったけの情熱で食ってしまう…という歴史的ドラマがあったのですが、LPSAには猪木のようなスターがいなかった。羽生さんや竜王あたりまでを巻き込めていたら、もう少し違う展開になっていたかも知れませんが。。

 で、この規模の小ささが、トラブルを招き寄せてしまいます。スポンサーがつかないので、独立しておきながら日本将棋連盟がらみの棋戦に出るしかない。ここで問題が。
 LPSA公認のプロ棋士第1号「渡部さん」が誕生、しかしこれが連盟とLPSA共催の棋戦に出場できないという事態に。理由は「女流プロというのが参加条件だが、渡部さんをプロと言っているのはLPSAだけであって、連盟は渡部さんをプロ棋士とは認定していない」から。連盟としては当前のリクツでしょう。でも、将棋連盟としてはけっこう色々と折衝点の提案をしていますね、調べてみると。公平に見て、潰しに行くのではなく、ふたつの組織の折衝点を探してる。ここでは、5分の分かれで優劣不明、もしくは先手わずかに指せる、と言ったところでしょうか。
 しかし、連盟の対応が予想外の手だったのか、LPSAはここでまさかの悪手を放ってしまいます。。

(悪手!)
 なんと、ゴネてしまったみたいです。自分たちの主張が将棋連盟に通らないと見るや、スポンサーに「LPSAがプロと認定した棋士は出場資格がある事にしてください」と申し出たみたいです。客観的に見たら、双方が互いに納得のいくプロ棋士の条件というものを作り上げるのが最善手と思いますが。。スポンサーに申し出る事自体は悪い事ではないですが、残念ながら交渉する先が違います。で、スポンサーから「共催なんだから、お互いに話し合って決めてください」と返された、と。当たり前ですね。しかし、ここで法律上の色んな口実を持ち出して(この時のLPSAの論拠は「生存権の侵害」…だ、大丈夫でしょうか?これは、LPSAさんというよりも、担当弁護士のセンスを疑います…)、なんとスポンサーにかみつくという大悪手。棋士とは思えないような、読みの入っていない手です。局地戦に夢中になりすぎて、大局観がない感じです。
 …ダメです。LPSAは弁証法や交渉術というものを勉強する必要があります。A案とB案が対立したら、まずはAとBどちらも納得のいくC案を模索するのが最善と思うのですが。A案が通らないからと言って誰かに泣きついたり、ごねたり、模索もせずにパワープレイをちらつかせるというのは…あまり賢いやり方とは思えません。もっとはっきりいえば、幼すぎる。
 これで、後手は一気に悪くなり、更にスポンサーから嫌われるという事態。。

(老獪な攻防手!)
 スポンサーは、筋の通らない事をのたまうLPSAを見限り、次回以降の棋戦は将棋連盟とだけ手を組むと判断。連盟からすれば、これは厄介なLPSAと手を切りつつ、自分とスポンサーの関係は防御できるという絶妙の攻防手。しかしこの時点で、連盟はけっこう手を緩めていて、LPSAに逃げ道を作ります。「スポンサーと俺達にきっちり謝って、今回は水に流し、次につなげていきましょう」という事です。綺麗な指し回しですね。谷川会長は米長前会長のような剛腕ではないかも知れませんが、実に人徳があるなあ。ちゃんと相手に形作りをさせてあげるという。しかし、LPSAさんはこの指し手の意味を理解できず、無理攻めに出てしまいました。…LPSAのトップを務める女流が、なんと棋戦ボイコット。。これは流石にスポンサーからもファンからも見放されてしまうのでは??文句を言うなら言うで、社会上の契約を全うしてからにしないと。これでは、自分が嫌な事があると約束も何も反故にしてしまう団体、という事になってしまいます…。この時点で後手は切れ筋、先手優勢に見えます。

(光速の寄せ?)
 相手の力量を見切ったか、将棋連盟の谷川会長がここで光速の寄せ!!…ではなく、手渡しです。LPSAさんに次の指し手を期限付きで求めます。しかしこれが優しいようで厳しい一着。今までの着手から判断して、どうせ相手からの速い寄せはないだろうという。しかしLPSAもさすがは棋士、ここは一度謝ります。そして次善手を…と思いきや、ここでまた指し過ぎ、最悪の悪手を放ってしまいます。。週刊誌上で、またもや将棋連盟とスポンサーを批判…敗着です。この時点で無理攻めを誘った先手の勝勢ではないでしょうか。。
 ただし…これは週刊誌もえげつないのでは?女流棋士という、いかにも社会慣れしていなさそうな人を引っ張り出し、うっかり本音を喋ってしまうまで気持ちよく喋らせ、喋ったところでそこだけクローズアップして記事にしたんじゃないでしょうか?雑誌社としては、将棋界が良くなろうが悪くなろうが、問題が大きくなってくれた方が話題性は大きくなって雑誌が売れるわけですからね。これは僕の推測にすぎないので情報の信用度は低いですが、もしこの推測が当たらずも遠からずであるなら、若干LPSAさんに同情しなくもないです。


 …う~ん、やっぱりこれは観戦記で良さそうですね(^^;)。というか、実は将棋連盟vsLPSAでは全然なくって、僕にはLPSAという団体が戦っている相手自体がよく分かりません。。いずれにしても、共存とか発展にせず、対立という絵図にしてしまった時点で、作戦負けの気が。。仮に訴訟を起こして勝ったところで、訴訟を起こして対立構造と描いた時点で、LPSAさんは負けなんじゃないでしょうか。スポンサーに噛みつく団体という事になったら、スポンサーがつくことはどんどん難しくなってしまうのではないでしょうか。金まで出したのにトラブルに巻き込まれるなんて、誰だって嫌でしょう。

 熱く純粋な思いから始まったと思うLPSAですので、ここはひとつ冷静になって、最善手を探してほしいものです。攻めっ気100%ではなく、その場しのぎの応手でもなく、もっと大局観を持った丁寧な指し回しで。LPSAという組織が何を目指していたのか、これをもう一度見つめ直して、頑張ってほしい。自分たちの利益だけを追求する組織であるなら、どんなに頑張ったって社会から必要とされないでしょう。僕は将棋のブログを作るぐらいに将棋好きですが、では将棋というものが公的に保護される対象となるようなものかというと、そうは思えません。伝統だとか文化だとか、どんな言葉を使ったところで、ゲームはゲームですからね。その辺りをちゃんと弁えないと、なんかポイントのずれた変な主張になっちゃう気がします。LPSAの存在によって他の人に利益が齎されるという構造を作らないと。ここが正念場、受からないと思ってもまだ受かるかもしれません。投げ出さず、ここは意地でも受けて欲しいものです。

矢倉戦の対策

 ただ今、対石田流の勉強をしているところです。現在、石田流に来られたら、急戦は久保流だろうが鈴木流だろうが升田式石田流だろうが金銀で受けているだけ、本組にされたらとにかく穴熊を目指しているだけ(^^;)。。…でも、本当に今いちばん勉強したいのは、矢倉なのです。
 矢倉の勉強は、『羽生の頭脳3 最強矢倉』で、いちおう一通りしました。大変だった…。しかし、気になっている事がふたつあるのです。

 第1に、最初の駒組みを、変化を含めてしっかり覚えたい!『羽生の頭脳』だと、5手目で▲77銀とあがるのですが、どうもこれは最善ではないみたい。だから、いつも勉強とは違う順で駒組みしているので、羽生の頭脳で覚えた序盤の定跡がぜんぜん使えない!要するに、5手目を▲66歩とする24手組を、変化を含めてちゃんと勉強したいのです。

 第2に、せっかくした勉強が全然身についていない!!『羽生の頭脳』『光速の寄せ』『佐藤康光の実践で使える囲いの急所』あたりを読んでから、勝率3割台だった矢倉戦が、勝率5割ぐらいになってきました。でも、それは中級までの話。3級以上の方と矢倉戦になると、僕の方が明らかに下手クソ(-_-*)。指していて生きた心地がしません。。2級の方と指した後に感想戦をしていただき、色々とアドバイスをいただきました。その中で特に印象に残っているのが、「自分の得意戦型に持ち込むといいですよ」というものでした。…なるほど、言われてみれば当たり前の事かもしれませんが、僕は矢倉戦で相手の指し手に応じるばかりで、構想というものが全然できていない。狙っているといっても、桂を跳ねて角桂香での端攻めという、谷川会長の『光速の寄せ』に書いてあった絶好形に持ち込む事しか狙ってないなあ。でもそれって、2ヶ月もかけて勉強した『羽生の頭脳』がまるで役に立ってないぞ。。

 矢倉の勉強って、何をやるべきなんでしょうか。3~5級ぐらいの今の段階での考えを、まとめておこうと思います。

第1段階:矢倉城を組み上げるまでの順序をしっかり覚える!
 後手からの超急戦へ対応する変化を含めて覚えられれば理想と思っています。でも、何から何までを1度に覚えるのは不可能なので、相手が矢倉中飛車に来たらこう、右四間飛車に来たらこう、棒銀に来たらこう…みたいな、急戦に対する基本形までを身につける事にしよう。そして、それぞれの急戦に対する対応策は、矢倉の本組とは分けて勉強する、ということで。

第2段階:以降の戦型の形を整理して、頭の中にマップを作る!
 せっかく『羽生の頭脳』を読んだのに、僕はこれがゴッチャゴチャだからダメなんだと感じています。今、自分がやっているのが加藤流なのか脇システムなのかとか、こういうのがえらく曖昧なまま指している感じ。。とにかく、それぞれの戦型の基本形を覚えて「これは雀刺し狙い、これは▲46銀37桂戦法、これは加藤流…」という地図を頭の中に作れば、もう少し記憶しやすくなるんじゃないかと。

第3段階:好みの戦型をひとつ選んで、それを集中的に勉強する!
 将棋は相手の出方次第で自分の最善手も変わってくるゲームだと思うので、全部の戦型を身につけるのが理想だとは思うのですが、いきなり全部を覚えようとしてもやっぱり無理なんじゃないかと。というわけで、②までが終わったら、そこから先はひとつひとつの戦型を丁寧に覚えていった方がいいんじゃないか、と感じています。なんぜ、いろんな戦型の色んな変化が事細かく書いて『羽生の頭脳』をまとめて勉強したものだから、訳わからなくなっちゃってるんだな、きっと(^^;)。ひとつの戦型が身に付いたら、次の戦型を勉強する、みたいにしていけたら良いんじゃないかと。

 で、勉強するためのテキストです。参考にしようと思った定跡書は、以下の通りです。
羽生の頭脳3 最強矢倉』 (羽生善治)
矢倉の急所 4六銀・3七桂型』 (森内俊之)
矢倉の急所2』 (森内俊之)
現代矢倉の思想』 (森下卓)
現代矢倉の闘い』 (森下卓)

 森内さんは、『矢倉の急所』の前に、矢倉の定跡書をひとつ書いているそうなのですが、これが絶版でプレミアがついていて手が出せない!…しかし、これは他の棋書で補えそうなので、パス。
 残りの羽生本、森内本、森下本は、どれも内容が被っているっぽいです。で、「24手組の細かい分岐まで書いてある」という需要を満たしているのは、『現代矢倉の思想』の第1章っぽいです。うん、これはマストだな。。ちなみに、同じく森下さんの書いた『現代矢倉の戦い』は、その続編みたいな位置づけで、この2冊で矢倉ひと通りらしいです。…が、そうなると森内さんの本の方が新しい定跡に対応していて良いらしい。…というわけで、森内本は採用、『現代矢倉の戦い』はパス。。
 次に、矢倉戦の全体マップを作るのは、やっぱり全体を網羅している『羽生の頭脳』が良いように感じます。森内本は、1が▲46銀・37桂型の専門書で、2が加藤流の専門書みたいなので。羽生の頭脳は、その双方が書いてあるだけでなく、森下システムとか、雀刺しとかも載っていた気がするので(しかし、あんなに頑張って勉強したのに、きれいに忘れちゃってるなあ^^;)。。

というわけで、矢倉の勉強手順の構想は、今のところこんな感じです。

(矢倉の勉強手順)

①基本の駒組みを、変化まで含めてバッチリ覚える!
 参考棋書:『現代矢倉の思想』の第1章

②矢倉戦の各戦型のマップを頭の中に作る!
 参考棋書:『羽生の頭脳3 最強矢倉

③各戦型を、自分が指しやすそうなやつから順番に、丁寧に身につける!
 参考棋書:『矢倉の急所 4六銀・3七桂型』または『矢倉の急所2』。 他に好みのものがあればそれでもオッケー!実は、『木村の矢倉』『佐藤康光の矢倉道場』というのも気にはなっていたりして(^^)。どれでもいいけど、全部に手を出して結局身につかないのが最悪で、丁寧にひとつずつやるのが最善手ではないかと。。

 僕の場合は、①『現代矢倉の思想』第1章をやる → ②『羽生の頭脳』の各戦型への分岐の地図を頭の中に作り上げる → ③どうも『光速の寄せ』に出ていた桂を跳ねて玉頭から襲い掛かるパターンが好きみたいなので、加藤流を目指して『矢倉の急所2』と『羽生の頭脳3』の加藤流のところをにらめっこしながら勉強!こういう手順で行きたいと思います。。…と思ったら、コメント欄から「▲46銀37桂の方がおススメですよ」というアドバイスをいただきました!有難うございますm(._.)m というわけで、戦型のブラッシュアップは、▲46銀37桂戦法からしよう。。

きっと、この順番が最善手のハズ!!最善手ですよね??…最善手であってくれ。。







第61期王座戦 第3局 羽生善治王座三冠 vs 中村太地 (角換わり)

 羽生さんvs中村さんのこの王座戦は、第1局、第2局とも壮絶な終盤戦にまでもつれ込んだ激闘で、ただいま1勝1敗、メチャクチャ面白いです。。やっぱり、1日制がダレなくて好きだなあ。王座戦は7番勝負ではなく5番勝負なので、3勝で勝ち。というわけで、この第3局は勝った方がリーチとなる大事な1局です!

 今日は中村さんの先手、角換わりになりました。序盤はサクサクと駒組みが進み、角換わり相腰掛け銀に。と思ったら、僕が見た事のない展開に。。太地さん、飛車を4筋に振った?!おお、角換わり相腰掛け銀から右四間飛車なんて指し方があるのか?!…プロでは前例がそれなりにあるそうです。将棋は奥が深い。。右四間飛車の受けがヘタクソなので、ここは羽生さんがどう受けるのかを見ておこう!…とはいっても、先手に角のラインがなく、またライン上に打ち込める場所もなかったので、それほどの攻撃力はなさそう。

 で、駒組みが続き、先手の駒組みは手待ちに出るという飽和状態。後手の羽生さんは…▲12香とあげました。これは第2局に続いて穴熊か?!手待ちを続けると、どうやら後手がどんどん良くなりそうなところまで来ました。そこで中村さんは…

2013100201.gif 43手目、でました、右四間飛車の攻撃でおなじみの桂跳ね。しかし、角交換しているこの場合、角の打ち込みは大丈夫なんでしょうか??級位者の僕だと、角を打ち込んで馬を作るのと、銀桂交換の駒損プラス囲いが若干崩れるの、どちらが良いかの判断がつきません。。でも、桂を入手できれば矢倉崩しの△86桂とかの筋が出てくるかもしれないし、馬を作れば先手の飛車も抑え込めそうだし、打ち込んだ方がいいのかなあ。

△37角

打ち込みました!でも、羽生さんって、強い手を選びたがるイメージがあるので、分かって指しているのかどうかは疑問です(^^;)。竜王や森内さんレベルになると、無理攻めを誘って受けちゃうような所がある気がするんですが、太地さんは何を狙っているのでしょうか?…太地さん、長考に入りました(^^;)。もしかして、予想外の手だったとか??まだ中盤に入ったばかりですが、なんか羽生さんが勝つ気がしてきたぞ。

▲33桂成△同金直▲38飛△26角成

う~ん、こうなってみると、馬を作ってる後手が良くも見えるし、駒得をして角銀を駒台に乗せている先手が良くも見えるなあ。まだまだ互角といった感じですね。しかし、ここから中村さんの逆襲!自陣角を放って右辺を防御しつつ、後手の飛車を的にして一気に攻め込みます!

2013100202.gif 図は59手目、羽生さんは先手角の侵入を許さない手も色々とあったのですが、それをせずに銀打ちを許し、一気にこの状況。羽生さん、受けようよ。。級位者の僕には、なんで受けないでこんな窮地に立たされる状況を作るのか、まったく訳が分かりません。桂香を取られ、飛車を抑え込まれるのは確実、下手したら飛車まで取られるんじゃ?それを許してでも右辺で得になる手でもあるんでしょうか?で、羽生さんはどうしたかというと…

△63歩▲19角△64桂▲81銀成

なるほど、角を引かせて間駒で、とりあえず角の侵入は防げるのか。…こんなのが浮かばないようでは、僕の級位者生活はまだまだ続きそうです。。しかし、恐るべきはその先。

△75歩▲67銀△76歩▲68銀△26馬▲28飛△44馬

うわ、マジか、間駒に放った桂馬をそのまま先手の玉頭攻めの拠点にした!で、先手の飛車をいじめていた馬を引いて玉頭に攻撃を集中させつつ、この馬が守りにも利いているという!!…う~ん、後手陣、先手陣右辺の戦場、後手陣右辺の戦場という風に見ていたのですが、羽生さんはこれを1本の線につないでしまいました。右辺の防御よりも他の手を優先していたのは、こういう事だったのか!!いったい、どの段階からこういう構想をしていたのでしょうか?信じられん。。
 ただし…後手玉が薄いのと、玉頭を飛車が睨んでいるので、攻めは中村さんの方が速そう。つまり、勝つか負けるかはさておいて、羽生さんはこの芸術的な構想に踏み込んでみたかっただけだったりして(^^;)。

2013100203.gif  そして75手目。中村さん、ついに端攻めに着手。これはもう破れただろう。。一体、どうやって受けるんでしょうか?それとも受けずに攻め合いに行く?でも、先手陣は堅牢。まったく手がかりがないように見えるんですが…

△86歩

羽生さん、攻め合いを選択。でも、これで手が繋がるのか??援軍があるわけでもないし、連打の歩は面白そうだけど、手抜かれたらそれまでの気もするし…まったく分からない。。

▲14歩△36歩▲27飛△24歩▲26金

…なんという手順、攻撃の拠点の金を後ろに下げさせたw(゚д゚* )w。。あの状態から受かっちゃったよ。。神業としか思えない。。う~ん、今日は、ひとつの戦場でいかにすごい手を指すかというより、幾つかの戦場で、どの順でポイントをあげていけば全体として成果が上がるかという、えらく高度な将棋に見えます。もう、私の頭では全くついていけない。。
 ここからは互いが互いの玉頭を潰しにかかるという壮絶な潰し合い。この最終盤の攻防も面白かった。。玉の堅さに圧倒的な差があるにもかかわらず、羽生さん、あと金を打てば勝ちという局面まで追い詰めます。しかし、その金がない。中村さんは金を渡さないように寄せる必要がありますが、中村さんの攻め駒の最前衛にいるのが金(^^;)。そして羽生さん、ついに金を手に入れますが、中村さんはその最後の手番を渡さない…129手、先手中村さんの勝ちです。

 今日は戦場の選択という大局観を勉強させられたような、貴重な観戦になりました。負けはしたものの、将棋全体の方向性をコントロールしていたのは羽生さんだったように思います。そろそろ大局観というヤツを勉強をしないと、強くなるどころか、観戦にすらついていけません。。羽生さんの書いた大局観の本とか、ないものでしょうか。

 それにしても、この王座戦はどれもこれも面白いです。。羽生さんも中村さんも、序盤から新しい手を繰り出し、中終盤でも安全そうな手よりも誰も指したことのない手に踏み込み、そこには自分の勝ち負けだけでなく、プロとして将棋を一歩前に進めようという意識があるんじゃないかという気がします。これが、今回の王座戦に惹きつけられる理由のひとつなのかもしれません。1勝2敗で羽生王座は後がなくなり、中村さんは悲願のタイトル奪取にリーチ!運命の第4局は…10/8?!すぐじゃないですか!

四間飛車への対策

 渡辺明竜王の書いた『四間飛車破り 居飛車穴熊編』を読み終わったので、3~5級ぐらいでウロウロしている今の段階での居飛車党の四間飛車対策の勉強プランをまとめておこうと思います。

 対四間飛車戦で必要な対策は、ノーマル四間飛車、藤井システム、角交換四間飛車、四間飛車穴熊、こんな感じ。で、それぞれに対応したテキストの候補は、以下の通り。

(ノーマル四間飛車対策)
四間飛車破り 居飛車穴熊編』 (渡辺明)
四間飛車破り 急戦編』 (渡辺明)
羽生の頭脳1 四間飛車破り』 (羽生善治)

 少し前の記事で書いたように、対四間飛車戦で最も有力なのは、居飛車穴熊なんじゃないかと。というわけで、竜王の書いた『四間飛車破り 居飛車穴熊編』が本線。では、急戦の勉強はしなくていいかというと、振り飛車側が藤井システムで来た場合にやっぱり必要になるみたいです(どうなんでしょうか?実は良く分かってません^^;)。でも、なかなか玉を寄らない藤井システムのような指し方をする人に遭遇する比率は、今のところそんなに高くありません。というわけで、急戦定跡を詳しく述べた残りの2冊は、後回し。ちなみに、残りの2冊の違いは、竜王の方が新しい定跡(でも差はごくわずかみたいです)、羽生さんの方が変化がたくさん書いてあって説明が細かい、というわけで一長一短(^^)。出来れば、両方読みたいなあ。僕は『羽生の頭脳』で急戦の勉強を1度したので、とりあえずはこちらを軸に復習をして、それでも間に合わなければ渡辺本で補完しようかと。

(藤井システム対策)
渡辺明の居飛車対振り飛車Ⅱ 四間飛車編』 (渡辺明)
杉本昌隆の振り飛車破り』 (杉本昌隆)
四間飛車道場 第14巻 藤井システム封じ』 (所司和晴)
四間飛車道場 第15巻 藤井システム破り』 (所司和晴)

 対藤井システムは、藤井システムに来られたらどうするか、という部分だけ知りたいです。で、その先は急戦定跡を使うとか、振り飛車側に隙があればそのまま穴熊に囲ってしまうとか、できればノーマル四間飛車の勉強を流用したい(^^)。…でも、そんなにうまくいくでしょうか。。

『渡辺明の居飛車対振り飛車Ⅱ 四間飛車編』は、急戦、対藤井システム、居飛車穴熊、の3つが書かれているとの事。え?!一冊で全部書かれているのか?!…もしかすると、対四間飛車対策として、手っ取り早く読むならこの本からが良かったのかもしれません。全部書いてあるなら、四間飛車側の対策の全体像が見えやすいかもしれないし。。でも、一冊でこれ全部を丁寧に書けるわけないので、本筋だけ示してある感じなんじゃないかなあ。そうだ、勉強を始めた時に「広く浅くだと、結局あとで深い本をまた1から読み直さなきゃいけないから、急がば回れで最初から詳しいやつで勉強しよう!」と考えたんだった。。いずれにしても、他の本で急戦と居飛車穴熊の勉強をしてしまった僕にとっては、他に藤井システム対策を詳しく書いた本があれば、これはパス。

『杉本昌隆の振り飛車破り』は、藤井システム対策と石田流対策のふたつが書いてあるそうです。しかも、対藤井システムに関してはかなり細かい変化まで載せてあるそうで。おおっ!これは今の僕の需要に一番合ってるかもしれない!これが第一候補かも知れません。。

『四間飛車道場』の藤井システム対策の本は、二冊あるのか。。本格的に対藤井システムの勉強しようと思ったら、これが本命でしょうね。でも、それほど遭遇する機会のない戦型の対策に、二冊読まなくちゃいけないのは、ちょっとなあ。。…いい本かどうかはさておいて、対藤井システム対策が急務になるまでは、これはパスしておこう(゚ω゚*)。

(四間飛車穴熊)
四間飛車穴熊の急所』 (広瀬章人)
四間飛車穴熊の急所2 相穴熊編』 (広瀬章人)

 美濃に囲ってくる四間飛車ほどではありませんが、四間飛車穴熊に囲う方には、それなりに遭遇します。今のところ、対振り飛車穴熊戦は、普通の居飛車穴熊に囲った後はアドリブで戦ってその場を凌いでいます(^^;)でも、まだ勉強していない角換わりとか対石田流の勉強が終わったら、四間飛車穴熊対策はぜひしたい!この二冊は、変化も丁寧に書かれていて、また競合する本も少ないみたいなので、どれを買うか迷わなくていいですね(^^)。

(対角交換四間飛車)
角交換四間飛車破り』 (屋敷伸之)
角交換四間飛車 徹底ガイド』 (門倉啓太)

 角道を開いたままの四間飛車を指す方に遭遇する機会が最近増えてきました。で、この対策を打ちたいと思っているのですが…本当かどうか知りませんが、屋敷さんの本は、内容はまさにビンゴなのですが、居飛車側に都合の良い変化ばかり出てるらしい(ノjДj)ノ。屋敷さんの解説はものすごく分かり易いので、心が揺れ動くのですが…いや、貧乏人としては、ここはじっとガマン。門倉さんの方は変化も細かくて良書らしいのですが、どうにも振り飛車側が良くなる変化が多いとの事。これでは居飛車側の対策にならない。。というわけで、決定版の定跡書が出るまで、角交換型はアドリブで対処する事にしよう。。


 な~んて、たくさん書きましたが、取り急ぎ「1年で将棋初段を目指す!」というプラン上では、四間飛車対策は『四間飛車破り 居飛車穴熊編』だけで済ませようと思っています( ̄ー ̄)。急戦の勉強も一応したのですが、細かいところは殆ど忘れてしまった。。急戦定跡が必要になったら、新たに勉強する前に『羽生の頭脳 四間飛車破り』の復習を先にやろうと思ってます。で、以降の勉強手順としては、『杉本昌隆の振り飛車破り』の対藤井システムの章、『四間飛車穴熊の急所』2冊、そうこうしているうちに角交換四間飛車破りの本が出てくれれば、と考えています。でもこれは、勉強プランの計算からすると、来年以降の話になりそうです。。


(対四間飛車の勉強プラン)

学習順序:
①居飛車穴熊 → ②急戦 → ③対四間飛車穴熊 → ④藤井システム対策 → ⑤対角交換四間飛車


参考テキスト:
『四間飛車破り 居飛車穴熊編』 (渡辺明)
『羽生の頭脳 四間飛車破り』 (羽生善治)
『四間飛車穴熊の急所』1~2 (広瀬章人)
『杉本昌隆の振り飛車破り』 (杉本昌隆)
あとは、角交換四間飛車の定跡書待ち

プロフィール

ShougiX

Author:ShougiX
駒の動かし方を知っていた程度の初心者です。せいぜい1日1時間ぐらいしか将棋に時間を割けない社会人が、ガンバって1年で初段になる事が目標です!
(*追記)10ヶ月ちょいで初段到達!!ただいま、居飛車側から各戦型に対応できるよう奮闘中(汗)。。

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