実力制6代名人 加藤一二三さん引退

20170620_kato.jpg 第30期竜王戦の6組昇級者決定戦は、加藤一二三さんの引退がかかった一番でした。夕方、仕事終わってから急いでネットTVをつけたんですが、これが相矢倉だったとは思えない盤面図。しかも、先手加藤陣は崩壊で後手高野陣は堅牢、これは大差なんじゃないかと。以降は紛れを求める機会すらなし、アマチュアの僕ですら必負と分かる局面で、加藤さんが盤面を睨んだり何度も席を外したりして手を指そうとしなかったのが印象的でした。20時10分すぎ、加藤さんが投了して加藤さんの引退が決定。介錯の役を担った高野さんも、なかなかつらい役回りだったんじゃないかと。負けた後、感想戦もせずものすごい数の報道陣の取材も受けず、すぐにタクシーに乗り込んで帰ったようでした。色々な思いが錯綜していたのかも知れませんね。
 何年も将棋のブログなんてやるほど将棋に夢中になっていながら、実は神武以来の天才の棋譜や対局をあまり見た事がありません。昔の世代でも大山さんや升田さんや中原さんや米長さんの棋譜はそれなりに並べた事があるので、僕が矢倉で加藤流を指さないのが大きかったかも。あと、矢倉の勉強も、森下さんや森内さん以降の棋書での勉強だったので、世代差も想像以上に大きかったのかなあ。

 加藤さんの将棋でパッと思い出すのはNHK杯で羽生さん伝説の▲52銀打が飛び出し時の▲羽生-△加藤戦。そのまま定跡化したような大名局ですが、あれは今見ると米長さんの解説がメチャクチャ面白いので余計に名局に見えやすくなってる面もあるかも。古館さんの実況のおかげで名勝負になったプロレスとか、野村さんの解説で名試合になったプロ野球「江夏の21球」とか、シロウトには分かりにくい部分を実況や解説がうまく伝える事で名勝負が伝わりやすくなる時ってありますよね。それにしても、まだ新人だった羽生さんが名人経験者だった全盛期の加藤さんに対して棒銀を採用したという剛気には驚かされました。あのNHK杯は、大山永世名人・谷川現名人(当時)・中原前名人(当時)、そして加藤一二三前々名人という錚々たる名人をすべて総なめで羽生さんが倒して優勝したので、中原・加藤・米長の時代から、羽生世代の時代へと歴史が動いた瞬間の象徴的な名勝負でもあったのかとおもいます。

 解説者としては、テレビ対局の▲内藤-△有吉戦で、米長さんと一二三さんのふたりで解説していた将棋が印象に残ってます。大爆笑でした(^^)。先手石田流の対抗形、後手が矢倉に組んでいたのが、たかだかここ数年で将棋を始めた程度の僕にはすごく目新しくて、将棋自体も面白かったんですが、米長さんと一二三さんの漫才のような解説に全部もってかれちゃってました(^^)。予想手も形勢判断もことごとく二人は対立していて、やかましいぐらいに二人でベラベラと大討論するんだけど、次の一手が指される瞬間だけはシ~ンとなって…あの古典落語に匹敵するおもしろさも加藤さんと米長さんの解説あってのもの、今でもたまに見て大爆笑させてもらっているほどの名漫談解説です(^^)。

 将棋って、江戸から平成まで日本でいちばん楽しまれてきたゲームで、風呂あがりに縁台将棋したり、時の名人の将棋を見て感動したり、長年日本の風俗として文化の中に溶け込んでいた気がします。人って生まれて死にますが、その短い人生の中で、日本に生まれた庶民が楽しんだことのひとつだったと思います。少しだけ古い日本を扱った映画でもマンガでも、当時を描くのに将棋がよく出てきます。「じゃりン子チエ」なんて、せまいご近所さんたちとの生活の中で、猫がいて、お隣さんがいて、じいちゃんばあちゃんや親子の交流があって、大人の男は町のあちこちで将棋指したり、祭りに行ったり、祭りでは相撲が楽しまれていたりしてる様子が描かれてますが、それがなんとも幸福な社会に見えちゃうんですよ。もしその世界に祭りも将棋もなく、近所づきあいも現代みたいに希薄だったとしたら…そう考えると、当時の庶民の小さな幸せのひとつが将棋という表象をとっていたのかも。そういう社会の中で中学生でプロ入り、全冠独占の全盛期大山大名人を破り、その後の時代の代名詞となった中原永世名人から名人位を奪い取った加藤さん。長年にわたって、日本の文化風習の中でたくさんの人を楽しませてきたんじゃないでしょうか。加藤先生、ながいことお疲れ様でした!!

定跡書を読むのに最低限必要な中終盤力

これから本格的に将棋の勉強をなさろうと思っている方から、またまた書き込みをいただきました。私なんて、将棋を趣味になさってる方々の中では若造もいいところ、えらそうに人にアドバイスを出来るほどの強さでもないのですが、お仲間が増えるのは嬉しいので、質問に答えてみようと思います!そうですよね、将棋って、最初に勉強を始める時が、何から始めて良いのか分からないので一番ムズカシイですよね(^^;)。。僕もそうだったなあ。

(4~5級ぐらいの終盤力とはどの程度を指すのか)
*「中級ぐらいの棋力があれば定跡書は十分読めます」という言葉に対する質問

5級の中終盤力ですか、う~ん…
終盤の詰め将棋力でいえば、5手詰めがスラスラ解ければ道場5級ぐらいはあるんじゃないでしょうか。中原さんが『実戦式詰め将棋 九級から初段まで』という本を書いてまして、これは詰め将棋の解き方自体の講座が出ているのと、優しい問題から難しい問題までが級位別に出ているので、自分の詰め将棋力を測れてよいと思います。浦野さんの詰め将棋本と並んで、超おススメの詰め将棋本です!


あと、終盤力は詰め将棋だけではなく、囲い崩しの狙い筋や寄せ筋の知識があるとより捗ると思います。詰め将棋のような棋力が問われる終盤の形になることはそんなに多いわけではなく(もちろん3手詰めや5手詰めを逃すのはマズいですが^^;)、むしろ「相手よりも早く寄せる」「確実に囲いを崩す」「受けるか攻めるかの正しい判断を下す」という力が終盤では重要と思います。そういう詰め将棋以外の終盤力養成では、『寄せの手筋200』『光速の寄せ』『実戦で使える囲いの急所』あたりがおススメで、これらの本は、僕は級位のころはローテーションで読みまくりました。特に、終盤で大事な速度計算の方法や攻防手の考え方などのいわゆる「終盤の考え方の基礎」というものを中級あたりまでに学んでおくと上達スピードが全然違うので(本将棋を指してもプロ将棋を観てもそういう視点から常に考えられるようになる)、『光速の寄せ総集編』はマストです。昨日、女流将棋で上田さんが美濃を寄せ損なってましたよね。あれ、『光速の寄せ』の美濃崩しを頭に叩き込んでいる人だったら、実際に寄せ切れたかどうかはともかく、たぶん寄せに入ってたと思います(^^)。ああそうそう、最初のうちは読まなくてはいけない本が多いので、ここまで手が回らないようでしたら、『光速の寄せ』の矢倉編と振り飛車編を省略する手もあります。



(4~5級ぐらいの中盤力とはどの程度を指すのか)

 中盤の棋力の測り方は、僕には説明が難しいです。もちろん中盤力のレベルというものはあると思うんですが、中級の目安としては、①駒の手筋、②形の手筋(対居飛車で相手の飛車の横に「手裏剣の歩」というのを打って飛車筋を逸らすとか、歩の犠打を打って敵陣を壁形にしておくとかいった、「端攻めにはこう」「矢倉の右辺にはこう」みたいな形の手筋というのがあるんです)、③形勢判断力、④これらを前提にした構想力、なんじゃないかと思います。④はもう人に教わる事じゃなくって自分の中にどういうシステムを自分で作ろうとするか、という事だと思うので、中級までの目標は③の入り口までの気がします。①~②を身につけ、③を前提に失敗しつつもそれなりに模様を張れるようになったら、4級以上はあると思います。で、どの位模様を張れると良いかは、それこそトッププロからアマの級位までレベルは様々だと思うんですが、その明確な基準は難しい…別の戦場で代償を求められるようになってきたら、それが成立していようがいまいが、中級ぐらいはあるのかな?

 中盤は①と②を知っているのが大前提で、最優先の気がします。僕は『羽生の法則』という本の文庫版1~2巻で身につけました(3巻は囲い崩しなので省略しました)。この本は詰め将棋と違って考えるよりもスピードラーニングみたいに何度も読んで覚える事だと思うので、脳のスタミナの浪費が少なく、しかも将棋を学びはじめた頃に読むと「将棋ってすげえ~~」って感動しまくると思うので超おススメ、詰め将棋に疲れた時に繰り返し読んでました(^^)。。


 これらが身についた後の③からが本当の中盤力だと思うんですが、将棋を指すなら絶対に押さえておきたい大まかな中盤の考え方というのがありまして、『上達するヒント』という本が、級位者にはすごく分かりやすいと思います。僕はこの本の存在をこのブログの書き込み欄から教えていただいたんですが、この本が無かったら段持ちにはなれなかったと思います。これも、いずれどこかで絶対に読んでおきたい本。


上の本で中盤の考え方のシステムが分かって以降は、それを具体的な手にむすびつける練習だと思うんですが、ここからは座学だけでも実践だけでもたぶん駄目で、両方のバランスの気がします。座学的には、僕の経験では、とにかくプロの解説の入った将棋を見まくるのがベストと思っています。プロの解説が入ったものなら、本でもプロ将棋中継の観戦でも棋譜並べでも何でも良いです。ポイントは、中盤の形勢判断の基準を体に入れてから見ないと積み重ねがないという所と、解説がないと手の根拠が分からない所じゃないでしょうか。本だと『羽生善治の終盤術』が超おススメですが(タイトルは終盤ですが、中盤から終盤に踏み込む入り口あたりを扱った解説が多いです)、これはけっこう難しい本なので、上の勉強をして実践も指しまくっても伸び悩んだ時が来たら、その時はじめて手にするぐらいの感覚でいいと思います。でも、将棋好きならいずれは読みたい極意書のような本(^^)。あと、実践では「学んだ形勢判断基準」「終盤の技法」を常に前提にして、手なりで指さずに考えまくって指すと上達しやすいと思います。最初のころの僕は、明らかに自分が使っていなかった頭の部分が使われているような感じで、ものすごく変な気分でした。。


中級までの中終盤は、これだけやっておけば充分ではないでしょうか。足りないとしたら穴熊崩しで、追加で穴熊崩しの専門書か『羽生善治の終盤術』の3巻あたりが必要かもしれませんが、いってもそこまででしょう(^^)。

ただ、焦りすぎて勉強が嫌にならないよう、気をつけてくださいね。計画が正しい場合、いちばんマズイのは「勉強が嫌になって」継続できなくなる事で、「これもやんなきゃ、あれもやんなきゃ」となってしまうと、嫌になっちゃうんですよね(^^)。惰性でやらず真剣に取り組んで、かつ継続する事、これに尽きると思います。プロになるのでないなら、上達スピードは問題じゃありません。いつまでも級位があがらないと嫌になると思いますが、逆に上達を急いで勉強が嫌いになっては本末転倒です。初段達成までぐらいがアマチュアが趣味で楽しむ将棋としては一番面白い時期かと思うので、実は3~4年ぐらいかけてゆっくり級位があがっていくぐらいが、趣味で将棋を楽しむなら、楽しい時間が長く続く一番いいペースなんじゃないかとすら僕は思っています。絶対に勉強を切らさず、やる時は惰性でやらずに真剣に頭をフル回転させ、でも勉強が嫌いにならないように工夫して…と心がけた事が、級位のころの僕の将棋上達のポイントだったんじゃないかと今では思っています。

久々に、これから将棋の勉強をしようと思っている方へ!

 コメント欄から、これから将棋を始めようという方からメッセージをいただきました。エラそうなことなんていえる立場でも実力でもないんですが、将棋を始めて見ようと思っている方にこのブログをご活用していただいているようで、とっても嬉しかったです(^.^)。最近、将棋界隈でイヤ~な事ばかりあって気が滅入ってたんですが、ブログを始めた頃のあのときめきを思い出してしまった。81dojoで8級ぐらいの人たちにフルボッコされた状態から将棋の勉強を始め、徐々に級位をあげ、とうとう初段突破まで行った間は、すごく楽しかったな…。仕事で将棋勉強にあまり時間が割けなくなってしまった今は、自分の段位から上に行くのはほぼ不可能、それどころか現状維持も辛いので、あの時が一番楽しかったかも知れません。

 そんなわけで、いただいたコメントへの返答を掲載!!(一部、読みやすいように少し変えてあります。)これから将棋の勉強を始めたいけど…という方の役に立ってくれれば幸いです!!

* * * * *

○○○さま、書き込みありがとうございます!僕も最初に将棋の定跡勉強を始めようと思ったときは、覚える事が多くて大変でした(T-T)。ざっとひと通り覚えるだけでも、毎日コツコツやって2年ちょっとはかかると思います。

(定跡書の難易度について)
 *「このブログで紹介されてる定跡書って難しくないの?」の回答
まず、定跡書の難易度に関しまして。書き込みの文章から推察するに、大人(少なくとも大学生以上)の方かと思います。そういう方なら、将棋の定跡書は難しいと言っても大学の授業より全然簡単です。ただ、定跡書の難しさというのは、定跡書が「これで先手よし」みたいに判断している局面が「え?そうなの?」となる時がある事で、これは定跡書どうこうというより、読み手の中終盤力の問題と思います。そういう時は、一時的に中終盤の勉強に集中すると良いかと思います。僕が思うに、4~5級ぐらいの中終盤力があれば、定跡書は難しいものでもついていく事が出来ると思います。

(定跡の勉強手順について)
 *「定跡の勉強は何から手を付けて良いのか」の回答
定跡の勉強手順につきまして。これは対戦相手やその時の流行などで変わってくると思いますが、基本的には、遭遇しやすくてしかも苦手な戦型の定跡勉強を優先すると良いかと思います。僕の場合、低級のころは対四間飛車がそうでした。

イレギュラーな定跡勉強。詰み付近まで研究されている鉄板定跡というものがあります。これらは、知っていれば優劣が明確なのでプロは指さず、プロが指さないからアマも指す人が少ないのですが、しかし遭遇したが最後、知らないと瞬殺されてしまったりします。例を挙げると、矢倉なら対右四間飛車、角換わりなら先手棒銀、横歩なら△45角戦法、急戦石田流…というような急戦系の定跡は、知っていればやられても自分が有利なものが多いのですが、知らないと面白いように負かされてしまいます(^^;)。僕の経験では、まだその戦型の優劣の結論が出ていない時に定跡を身につけたご年配の方に、この手のスペシャリストさんが多いと感じます。この手の定跡はいつか覚えないといけないと思いますが、勉強のタイミングとしては、その筋のスペシャリストさんと遭遇した時に、他の定跡勉強を一時中断し、短期集中で学べばよいと思います。

(『羽生の頭脳』の是非)
 *「序盤勉強は当面は羽生の頭脳でいいか?」の回答
『羽生の頭脳』につきまして。今これを定跡勉強の軸にするのはおススメしません。例えば、対横歩対策で『羽生の頭脳』の定跡を使っても、今はあまり指されない定跡しか出ていないので、使いにくいです。しかし、これは絶対に持っておく定跡書だとは思います。定跡書は、上級向けになるほど、被らないように配慮して書かれている事が多いです。ですから、もし定跡を知らないければ初見で思いつきそうな手が、既存の棋書との被りを避けて最新の定跡書には書かれていなかったりします。古い定跡書が侮れないのはこの為で、『羽生の頭脳』は古い定跡の集大成みたいなところがあって、古い変化を調べる時に使いやすいです。例えば、さきほど例に挙げた横歩取りでいうと、今は△33角戦法というのが80%以上だと思うのですが、しかし△33桂というのも十分成り立つ将棋でして、こういう今の定跡書にはあまり詳しく触れられていない古い手を指された時、古い序盤定跡の集大成である『羽生の頭脳』ほど役に立つものはありません。

(将棋の勉強にかかる時間とお金)
*「将棋の勉強は時間もお金もいくらあっても足りないのでは?」の回答
時間とお金につきまして。そうですよね、そこは気になる所かと思います。
まず、時間から。どこに目標設定をするかにもよりますが、最初の長期目標が5級、次の長期目標が初段ぐらいにしておくと、いちばん楽しく将棋が出来ると思います。僕は、5級ぐらいまでは1日1時間の定跡勉強と、追加で余った時間(電車に乗っている時間とか病院の待ち時間とか)に詰将棋とか手筋とかの勉強をしてました。ゆるい部活以下の努力しかしてないですが(^^;)、それでも5級あたりまでは面白いほど上達が実感できると思います。以下、上級や段を目指すとなると、もう少し将棋に時間を割かないといけなくなると思いますが、それは5級あたりに来てから考える感じで良いのではないでしょうか。僕の場合、定跡勉強自体が「こんな手があるのか!」という連続なので、対局以上に面白く、「将棋は1日1時間まで」という自分の中のルールを忘れてのめり込むほど楽しいものでしたが、もしそんなに時間を使いたくないとか、あるいはあんまりおもしろくないと思うようであれば、同じぐらいの棋力の方と本将棋を指すだけでも、5級ぐらいまで来ていれば相当に楽しいと思います。5級ぐらいまで来ると、一生モノの楽しい将棋仲間が出来るかも知れません(僕の場合、初段前後から、そういう一生モノの友人が何人か出来ました^^)。まず、それぐらいに楽しくのめり込めるものに出逢えたという事が、人生のなかでもすごく幸福な事なのでしょうしね。

お金について。いま僕は道場3段なのですが、そんな僕が持っている棋書は70冊ぐらいです。初段ぐらいなら30~40冊ぐらい、5級ぐらいであれば10~20冊ぐらいで何とかなると思います。このあたりから逆算して、棋書にいくらお金を使うかの見当がつくかと思います。(*追記:ただ、同じぐらいの強さの人と話をすると、僕は短期間で強くなったほうでして、ある意味で勉強熱心でした。棋書を読むのが上達の近道である事は間違いないと思うのですが、実践で強くなる人というのも実際にいて、こういう人は強くなるのに時間はかかるものの、本への出費は抑えられるかも。)棋書にも種類がありますが、もし節約したいのであれば、図書館で借りるなどの方法もあります。ただ、ひとついえることは、趣味にお金を使う事は楽しい事ですし、もし余裕があるのであれば、人は趣味にお金を使いたいものだと思います。そして、車や音楽やスポーツに比べると、将棋は仮に初段まで来るぐらいにのめり込んだとしても、かなりお金も手間もかからない趣味だと思います。

電王戦を主催する会社って…


昨日放送の、ドキュメンタリー番組でのひとコマです。叡王戦や電王戦も主催している、ドワンゴという会社の代表・川上さんがプレゼンした事と、アニメ映画製作者の宮崎駿さんが抗議した所の食い違いが興味深いです。ちなみに私は、ずいぶん前から電王戦に否定的ですが(昔書いた記事はこれ)、それは将棋うんぬんというよりも、人工知能と人間というデリケートな問題において最低限配慮しておかないといけないだろう問題とか、企業が何かをやる時のその社会的意味とか責任に対し、ドワンゴという会社があまりに無神経だから。ドワンゴさんは、何が問題にされているのかすら理解できていないか、あるいはその問題よりもビジネス優先という判断かのどちらかなのでしょうが(それ以外に、このプレゼンをOKと判断できた解釈項を私は思いつきません)、これは「ビジネス上では、金という観点からだけで物事を判断して良い」と考えている人が少なくないという事なのかも。それは、「戦争の目的は勝つ事なんだから、化学兵器でも何でも使って良い」と考える人に思考回路が似てる。

「動きが気持ち悪いからゾンビゲームとかに使えないかと思っている」と笑ってプレゼンするドワンゴの代表・川上さんは、技術、ビジネスという視点からしかこのCGを評価しておらず、意味やモラルの視点が欠けているのではないでしょうか。宮崎さんは、逆に後者に重きをおいていて、技術や金の事はそれに付随するものと思っている節があります。だから、仮に技術があろうが金があろうが、そういうモラルを理解できない人と自分の仕事を繋げる事は出来ないと言っているように、私には感じられます。現在大きな課題となっている人工知能と人間というデリケートな問題において、モラルや人間に対して考えが至らない人には、宮崎さんが何に対して憤慨しているかを理解できず、「プレゼン内容と喰いつくところが違う」とか「老害」とかいう類の感想しか出ないかも。川上さんもその一人で、宮崎さんが憤慨した理由を理解できないし、また理解しようとしない気がします。「どうやればもっとプレゼンがうまくいったかな」みたいに、プレゼンの失敗を、やはりビジネスの価値観でしか反省できない可能性すら感じます。だって、反省できていたら、電王戦の後で、またしてもこんな大失態を犯す事は無かったでしょう。

 テレビカメラが入っているのが解っているのに、配慮すべき点に配慮も気づきもない無神経さ。相手の代表まで立ち合う大きなプレゼンなのにテーマすら不明瞭。当然予想される質問に対する準備すらできていない…「人間と同じように絵をかくAIを用いたCG制作の開発をして、アニメ制作を共同でやりたい」という着想のプレゼンを、日本を代表するアニメ制作会社、それも人間の命をテーマにした映画をたくさん制作してきた監督にぶつけるのに、なぜこんな内容の、こんなお粗末なプレゼンが出来るのか。大学でのディベートやプレゼンの授業ですら落第レベルのものを、一部上場企業の代表がしてしまうこの事態は、いまの日本の企業の少なからずが、本当にただの商人でしかないというレベルの低さを露呈しているのではないでしょうか。東京オリンピック、原発問題、都議会、PCデポ、アメリカ大統領選…最近起きた様々な社会ニュースの原因は、みなこういうところにある気がしてなりません。


奇手の誘惑

 昨日の王座戦は夕食休憩以降見ることが出来ず、今日になって棋譜を見ました。続きの記事を書きました、ただ「わあ」とか「きゃ~」とか言ってるだけですが(^^)。http://shougix.blog.fc2.com/blog-entry-498.html

 とにかく考えるのは奇手▲21角の打ち込み。ここでいい手をひねり出さないとヤバいという局面ならわかるのですが、本筋の手で問題なさそうというか、それどころか素人目にはそれで先手十分にすら見えたのですが、そんな局面でなぜ危険きわまりない手を選んだのか。
 これって、僕が考える「難解な手を思いつくと、指してどうなるかを試したくなる誘惑から離れられなくなる病」なのかも。良し悪しよりも、面白い手を思いつくと「こういう手は成立するかな?」と指したくなる時が、僕にはあります。でも大体は本筋っぽい手の方がいい手なんですよね。まあでもこれは僕の想像でしかありません。実際はどういう読みであったのか、羽生さんに訊いてみたい。来月の「将棋世界」は買ってみようかな。


プロフィール

ShougiX

Author:ShougiX
駒の動かし方を知っていた程度の初心者です。せいぜい1日1時間ぐらいしか将棋に時間を割けない社会人が、ガンバって1年で初段になる事が目標です!
(*追記)10ヶ月ちょいで初段到達!!ただいま、居飛車側から各戦型に対応できるよう奮闘中(汗)。。

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