第29期竜王戦 第7局 渡辺明 vs 丸山忠久 (一手損角換わり)

 リアルタイムではじめて見ました、第7局までもつれた竜王戦!嬉しいですね~、年末までタイトル戦が楽しめるのは(^^)。。振り駒で渡辺さんが先手、引きが強いです。そして丸山さんは…徹底して一手損角換わり!!いや~、昨日の佐藤康光さんのダイレクト向かい飛車といい、ちょっと不利と思われている戦型なので、丸山さん&康光さんファンの心境としては出来れば避けて欲しいんですが(^^;)、それぞれ色々な考えがあるんでしょうね。そして渡辺さんは…おおお、腰掛け銀ではなく、はじめて早繰り銀に行きました!!僕は、一手損角換わりは定跡書の先手早繰り銀有望説を信じてますが、それもそんなに簡単に有利になるような甘い定跡じゃなくって、、繰り出した銀を一度下げさせられるんですよね。強い人と指すと、そのまま銀をいじめられて気がついたらキッツイ展開になってたりして(&p゚ω゚*)。やっとプロの実践が見れました(^^)。それにしても渡辺さん、ここ一番まで研究を取っておいたな( ̄ー ̄)、策士です。

20161222竜王29-7_渡辺vs丸山_一手損角換37手 後手丸山さんも早繰り銀に行ったことから、将棋は序盤から面白かった!丸山さんは右金の寄りと玉の潜りこみを手抜く事で手数を稼いで早繰り銀で先に仕掛ける事に成功、しかしやっぱり一度下げさせられて(そうなんですよ、早繰り銀はここからがムズカシイ^^;、指し馴れて筋を覚えないと…)、そこから棒銀に組み替え。ここで先手渡辺さんに手番が渡り、今度は渡辺さんの仕掛けとなったのが37手目盤面図。とっても初心者的で申し訳ないんですが、僕にとってはここでの後手の最善手がすでに分かりません(^^;)。

級位の頃なら、△同歩▲同銀△34歩▲24歩△同歩▲同銀△同銀▲同飛△23歩▲34飛…みたいな感じで何とか受けて、ここから反撃みたいな感じで指したと思うんですが、これは後手面白くないですよね。他の手があるなら、そっちを検討したい所です。

でもって、定跡書っぽい指し方だと、△44銀▲34歩として先手の早繰り銀をこう着状態にさせて後手反撃、みたいな感じでしょうが、ここがこの第7局の面白い所で、後手はここで反撃できるように囲いを犠牲にして攻撃態勢を築いてあるんですよね。そういう指し方をした以上、この時点でもう後手はガップリ四つにして戦うのはすでに構想と指し手がバラバラ、勝っても負けても丸山さんは行くしかなさそう。棋風的にもそういう人ですし…

△44銀▲34歩
 ああ、やっぱり銀をあがったか。まあ早繰り銀に対する受けの典型だからこれは普通として、問題はここから…・

△95歩▲同歩△同銀▲同香△同香▲97歩△91香
 棒銀に組み替えた以上丸山さん行ったあああ!!これは典型的な棒銀からの端攻めの手筋、部分的には先手もう受かりません。しかし問題はだからといって寄せまで行けるわけではないという事と、ここで手番が渡るので先手の反撃。これって、もうどちらかに形勢が傾いてるんでしょうね。アマなら全然わからないですが、プロ将棋の場合、この手の構想って、駒損を繰り返しながらの突破となる棒銀側が突破しきれなくなる事が多い気が…

▲68金右
 いや~これは予想外。渡辺さんは長考の末に自陣整備に手を入れました。アホな僕は、飛車先の歩の交換とか、王手で入る駒の交換とかは先に入れておく習性があるもので、とりあえず▲24歩△同歩は先に入れておくのかと思いました。でも、なんで金寄りが先なのか…解説によると、「▲6八金右は△9八歩から△9九歩成に対して▲同玉と取れるようにした意味だという。以下△9七香成▲同桂△同香成▲9八歩に、△8六桂が後手の狙い筋だが、このとき7八金にヒモがついているため、▲9七歩と成香を取って受かっている」との事。おおおお~なるほど~!!…というか、序中盤だとそういう所まで考えないという自分の「悪くなってから考える」という悪癖がまた露呈してしまった(^^;)。。早指しばかり指している弊害かも知れませんが、一時的にでも、郷田さんみたいに序中盤で長考する癖をつけないと、課題の中盤入り口がいつまでたっても良くならないかも。

△75歩
 いや~これも予想外、△98歩以外の手があるのか…しかも、解説によるとコンピュータもこの手を候補手にあげていたというのだからオドロキです。

 ここからは後手が攻め手を繋ぎ、先手が丁寧に受けるという展開。渡辺さんは飛車先の歩の交換とか、攻めに手をつけておくタイミングがあったのに、それを全部スルーして受けに行きました。大山さんみたいです。自分で指していたらどちらを持っても手に汗握る展開なんでしょうが、なんとなく先手受け切ってしまうように思えるのは、この手の展開になった時の渡辺さんの受け力を僕が信用してしまっているんでしょうね。この竜王戦でも、丸山さんが攻めさせられて受け潰された将棋が何度もありましたし。現在、2日目の午前11時半前、丸山さんの攻めが繋がるかどうかという局面です。丸山さんは歩切れ香損の駒損状態での攻めなので、切れたらヤバそう。。さて、どうなりますか。

その後、渡辺さんは受け潰し。それにしても龍を作られる受け潰しはおっかないですが、プロからしたら見切っていたという事なのでしょう。そして、寄せに出てからは瞬殺劇で、107手にて先手渡辺さんの勝ち!竜王防衛です!!
 冬将軍の渡辺さん、強かったです。4勝3敗ではありましたが、印象では盤石な感じでした。一方の丸山さん、すごく大変な始まり方をしたのに見事な戦い、お疲れ様でした!ここからは、渡辺・天彦時代に突入、そこに羽生世代という上の世代と、勇気さんや永瀬さんや千田さんのような若手20代棋士がどう喰いついていくかという時代になっていくのでしょうか。…といいつつ、けっきょく羽生さんは今期3冠を守りましたからね、羽生さんに関しては僕の感覚がマヒしているのかも(^^;)。今年の竜王戦はよかったです!!


第29期竜王戦 第6局 渡辺明 vs 丸山忠久 (一手損角換わり)

 もつれてきている今期の竜王戦、第6局は丸山さんの後手一手損角換わり、しかも4手目角交換です(^^)!!最近、先手が角交換を拒否する将棋をいくつかみたのですが、4手目角交換は拒否しづらいです。そして、やはり角換わりシリーズとなりましたね。

20161207竜王29-6_渡辺vs丸山_一手損角換47手 さて、一手損角換わりだというのに、先手の受けは早繰り銀でも棒銀でもなくって腰掛け銀。このシリーズでは先手が腰掛け銀を連採ですので、今のところプロはこれが有力筋とみているのかも。先手渡辺さんは相腰掛け銀から▲47金型を作り、そこで間髪入れずに丸山さんが6筋の仕掛け!!最近、角換わりのこの仕掛けからの角の打ちこみの筋が前よりは何とか読めるようになってきましたが、角を損しながら敵陣を乱しに行くので、やっぱり深くまで読まないと怖くて指せないです。単純な読み抜けがあって、単に角を渡しただけで終わっちゃったりね(゚ω゚*)。。しかし一手損のスペシャリスト丸山さんの攻めはそんなに甘い物じゃなかったようで、47手目に渡辺さんが放った手は…

▲24桂
 うわあああ、1日目からいきなり勝負手っぽいの来たああ!!この直前に指された手は△65歩で、銀がどけば△39角なので、確かにこれはすごくイヤな手です。ヘタクソな僕ならそれでも面倒を見て凌ぎに行くと思うんですが、渡辺さんの読みだと、受けていたらもう受からないのかも。だって、敵矢倉のこの位置に駒を打って崩しに行く手は、たしかに矢倉崩しの教科書なんかにはよく書いてあるけど、昔丸山さんがNHK杯で似たような手を指したら、渡辺さんは爆笑していたんですよ(2013年の▲飯島-△丸山戦)。その渡辺さんが指すという事は、これはもう勝負に行かないとマズいと見ているんじゃないかと。しかしここで丸山さんは…

△66歩▲32桂成△同玉▲24歩△同銀
 面倒を見ずに銀を拾いました。一方の渡辺さんはあんな勝負手を放った以上は手を戻すはずもなく、後手玉付近の2筋の戦場をババッと精算。そしてここで封じ手です。いや~、後手には楽しみな手がたくさんありますが、手番は先手。受けに一手使ったら△39角が飛んでくるので、もう一気に攻めに行くんじゃないかと。どちらが良いのか分かりませんが、もう既に形勢はどちらかに傾いているのでしょうね。明日が楽しみ!

*****
 さて、2日目。封じ手は…おおおお、強気の▲55角!!ということは、△39角が入っても大丈夫という事?いやいや、それを気にしていたらもう良くないから間違えたらひっくり返しますという拠点を作っておいたのかも…読み切れてないもので分かりませんが(^^;)、深浦さんをはじめ錚々たるプロ棋士の方がみんな後手持ちなので、これはやっぱり後手の方がいいのかも。この後は丸山さんがやっばり△39角から決めに行って、90手にて後手丸山さんの勝ち!!

 いかにも定跡手みたいな手ばかりの、角換わりならよくありそうな序盤だったのに、駒がぶつかってからは瞬殺劇でした。いや~、レベルの高い将棋というのはオソロシイ。いつも悪くなってから真剣に考え始めるボクとしては、序盤で何気なく指していてはいけないという教訓のような将棋でした(゚∀゚*)エヘヘ。。それにしてもこれでフルセット、こんなにもつれた竜王戦をリアルタイムで見るのは初めて、メッチャ面白いです。最終局は12月21~22日、丸山さんが後手になるとひょっとするやも知れません!!


第29期竜王戦 第2局 渡辺明 vs 丸山忠久 (一手損角換わり)

 ただいま第2局も終盤戦に差し掛かっている所。渡辺竜王の十字飛車が炸裂か?!という緊迫の場面で、棋譜解説は「丸山はカロリーメイトの缶を開けた。終盤戦に向けて栄養を補給する」との事。この大事な局面で何を解説してるんだ(´・ω・)、笑って力が抜けちゃったじゃないか。。それにしてもよく食うな…

20161028竜王29_渡辺vs丸山_一手損角換30手 竜王戦の第2局は4手目角交換の一手損角換わり。4手目角交換は色んな変化があるので、僕はやられるとビクッとなっちゃいます。そこから先手渡辺さんは腰掛け銀、後手丸山さんは…おお~、玉を矢倉に潜らずに△81飛・62金で構えました!角換わりでこれで待つ将棋をずいぶん見るようになりました。今年のNHK杯で森内さんが後手でこういう待ち方をしたし、たしか新人王戦でも出てきました。僕個人は、右玉とかこういうのは、おっかなくてとても指せないなあ。。そして渡辺さん、攻められにくいけど立ち遅れ気味になる後手のこの構えを見て…穴熊狙い!いや~、いかにも渡辺さんというか、手待ち気味に来られるなら「隙あらば穴熊」ですね(^^)。そして丸山さん、右銀を腰掛け、そして左銀を44に繰り出し(!)、渡辺玉が穴熊に潜り切る前に△65歩から仕掛け!!

 この仕掛け以降、ずっと面白かった!手番を握っての渡辺さんの反撃は強烈、しかし、それを剣先ギリギリのところで見切って躱す丸山さんの受けが凄い!そして、後手からの穴熊崩し、渡辺さんのはやめに大駒を切っての攻め、丸山さんの穴熊のコビンを狙いに行く馬、それを許さない渡辺さん…いやあ、竜王戦にふさわしい素晴らしい熱戦ではなかったでしょうか。そして局面は、ものすごく難解な終盤戦に!(ここでカロリーメイトの解説が入った^^;)。。

20161028竜王29_渡辺vs丸山_一手損角換75手 75手目盤面図以下は、目を離せない攻防戦!まず、75手目の▲41銀打が、僕にはそうとう厳しく見えて、先手優勢じゃないかと思いました。だって、この金を逃げると次の▲41飛がメチャクチャ厳しいですよね。というわけで、自玉の隣に打ち込まれた銀がこれだけ厳しいのに、金を逃げられない丸山さんは…

△84桂
 自慢させて下さい、この手、あたりましたヾ(´∇`)ノ゙。。他には△75歩とか、とにかく77の銀を動かしてハッチの閉じきっていない穴熊のコビンから角の攻撃を決めたいです。しかし…僕はたったそれだけの考えなんですが、当然後手玉はそれ以上に火がついた状況ですので、これで間に合うのかという問題が。。僕のは「次に詰めろが入る状況ぐらいにしとかないと間に合わそうなので、受けは考えずに攻め」みたいな考えなので、手だけ当たっても全然ダメですね(^^;)…。

▲49飛
 これがまた厳しい。丸山さんは攻めだけ考えれば△55馬で、以降はこの馬のラインを活かした攻勢と行きたいですが、その攻めが繋がるかというと…う~んわからない(^^;)。それで攻めきれないと、今度は渡した駒を使って詰まされそうですから、読みきりでないとたしかに△55馬は指せないなあ。

△24馬
 お~、丸山さんは勝負に行く手でなく、粘りのききやすい手を選びました(^^)。玉が左辺に逃げ込めば、馬の守備力が凄い事になりそう。しかし、こうするとアマから見るとどう見ても怖い筋があるぞ…

20161028竜王29_渡辺vs丸山_一手損角換81手▲44歩△同歩▲44同飛(81手目盤面図)
 十字飛車、キタ━━(゚∀゚)━━!!いや~、これは△43歩みたいに受けたら金を抜かれ、飛車を成り込まれてジ・エンドなので…

△55馬
 というわけで、この一手という感じなのは解るんですが、それでも▲32銀成△同玉▲42飛成で決まりじゃないのか??…いやあ、△23玉で逃れているのか、すげえ…。。今日は中盤から丸山さんの紙一重での見切りがすごい。形で指してるんじゃなく、ことごとく読みが入ってる感じで、凄いと思ってしまう…

▲64飛
 うああああ、渡辺さん、ここで飛車を切ったああああ!!!!いやあ、金を手持ちにしたからといってすぐ詰む筋があるわけではなさそうなので、いったん受けに回る事になると思うんですが、それで受かっていると見ているのか。単純に詰めろをかけるだけなら、丸山さんから詰めるをかける手があるんですが、それを見切ってる?!これは強い人じゃないと難解すぎて分からない終盤です。もう考えるの止めてみるだけにしようかな…

△76桂
 これは詰めろですが、△76角で飛車を抜いても良かったような気も…あああああ、抜いたら▲43銀が激痛なのか、いま金を抜かれたばかりなのを見落としていたよ(^^;)。しかし、凄い終盤になりました。どちらも手番を渡さずの直線の攻めは無理、攻守を考えながらの将棋になりました。しかし、受けに放った55の角が、先手玉のコビンを狙う重要拠点になりましたね。十字飛車と55角の攻防手、その飛車を見切っての踏み込み、その踏込を手抜いての詰めろ…いやあ、凄すぎて仕事が手につきません(^^;)。。

▲87金△75桂▲76金△87歩▲66歩△76銀
 後手の波状攻撃が凄まじいですが、ここで手番が先手渡辺さんに!!

▲44桂△41飛
 渡辺さん、詰めろから入りました。さすがにこれは先手勝ったかと思いきや、丸山さんの△41飛の詰めろ逃れがすげええええ!!!いやあ、仮に△44同角だと▲同飛が入るので、その順も潰してるのか…う~~~~~ん、すごい、鳥肌が立ちました。

▲同と△22玉▲32桂成△13玉▲21飛
 竜王はさらに追撃するも、ここで丸山さんは切らしに行き、ついに竜王の王手が続かなくなりました。いやあ、本当に△24馬が活きたよ、なんという大局観。。結果、98手にて後手丸山さんの勝ち!!!

20161028_kanso2.jpg いや~、十字飛車ちょっと前からの両者が凄かったです!!これは心に残る対局だなあ。。今回の竜王戦、丸山さんを応援してます。だって、あんな形で出る事になって、準備だって間に合ってないだろうに指す事になって、負ければ悪くも言われるだろうに、こうして対局に出てくる心意気に泣けます。渡辺さんも、心中穏やかでないでしょうが、「だれが出てこようが渡辺竜王からタイトルは取れなかっただろうね」と言われるよう、どうか頑張ってほしい。

 そして…対局後のこのふたりの笑顔、これに一番救われる思いでした。お二方とも、最終戦までもつれ込むような名勝負となるシリーズを期待してます!!


第64期王座戦五番勝負 第1局 羽生善治 vs 糸谷哲郎 (一手損角換わり)

 名人戦、棋聖戦、王位戦、王座戦と、羽生さんはタイトル戦の連続。しかも、王位戦と王座戦は掛け持ちになってしまいました。そして1日制の王座戦の相手は超早指し早見えの糸谷さん。糸谷さんの棋風としては2日制よりも1日制の方が合っていると思うので、これはタイトル奪取の可能性が結構あるかも。。羽生さん、年齢的にどんどんきつくなってるとおもいますが、防衛してほしいなあ。

 将棋は糸谷さん得意の後手番一手損角換わり。すごいなと思ったのは、糸谷さんの序盤構想。△65歩~△73角で先手飛車の空いたコビンをねらい、そして同時に飛車を4筋に振る事で受けながら4筋の歩を伸ばし、先手の棒銀を咎めにいった事でした。いやあ、よくもこんな構想を思いつくし、指せるものだな…。糸谷さんは、構想の立て方が想像力に富むというか、見ていてすごいと思わされます。
20160906王座64-1_羽生vs糸谷_一手損角換44手 しかしそれを上回ったのが羽生さん。驚くのは形勢判断力で、銀取りを掛けられた時に、一気に優劣をつけに行く45手目▲26角以下の構想が驚異。

(44手目盤面図から)▲26角△36歩▲53角成△52銀▲42馬

 なんと、銀損と引きかえの飛角交換。これでやれると判断できる所が異次元です。以降もアマから見ると相当に指しにくい手が多かったのですが、指し手が早かったので、飛角交換の構想の時点で、以降の後手玉への迫り方のイメージはできていたように見えました。実際にこの技のかけ返しに糸谷さんが応じた事で先手が良くなっていたのであれば、じゃあこの筋に応じない手が後手にあったかと言えば…受けるなら△44角とかかもしれませんが、これだと受けているだけというか、大元の構想であった4筋への飛車振り自体が無力化してしまいますし、そうであれば▲26角を打ち込まれた時には、既に糸谷さんまずかったのかも知れません。そういえば羽生さん、何年か前の対郷田戦の急戦調の将棋で、中盤からあっという間に寄せてしまった驚異の中盤がありましたが、その将棋と似たような印象。

 糸谷さんからみれば、堅さ負けと歩切れを咎められ、中終盤で技を掛け返されて押し切られてしまった形だと思うのですが、なにせ一手損角換わりですからね、大流行していた頃と違い、不利な後手が博打を打つような戦型であると思うし、右玉のつかい手でもある糸谷さんが自陣を固めるのではなく玉を広くしつつ攻守のバランスを指し進めたスタイルは、棋風にも理屈にも合っているように思いました。そういう指し方をしたら、負ける時はこんなものというか、こういう負け方を覚悟しておかないと一手損は指せないんでしょうね。この将棋、両者の良さが出た見事な将棋だったと思います。かえすがえすも、序盤の糸谷さんと中盤の羽生さんの踏み込みと技の掛け方が凄かった…。何度も棋譜を見返していますが、僕はいまだに銀損からの飛角交換への踏み込みがオソロシイ…というか、交換以前に▲26角打自体が考え付きもしないんですが(^^)。。


第28期竜王戦 第3局 渡辺明 vs 糸谷哲郎 (一手損角換わり)

 1勝1敗のイーブンに戻った竜王戦。第3局は糸谷さんが後手番、ということは…きたああああ、一手損角換わりだああ!!一手損角換わりの勉強をちゃんとしようと思いつつ、機会がないままここまで来たんですが、この竜王戦こそその機会。これは糸谷さんに感謝です。

20151105竜王28-3_渡辺vs糸谷_一手損角換21手 とはいうものの、一手損から序盤は▲棒銀-△腰掛け銀or右玉的な展開。最近のプロ将棋だと、先手早繰り銀よりも、先手棒銀を見る機会が多い気がするのは気のせいでしょうか、これだと早繰り銀ばかり研究している自分の定跡勉強とリンクできないぞ(^^;)。。さらに序盤も序盤、21手目盤面図の局面で早くも糸谷さんが趣向を凝らしてきました。

△44歩
 えええええ、△14歩で棒銀を受けないのか?!
いや~、角換わり棒銀は後手が△14歩と受けておくと、大体後手は受け潰しが利くもんだと思ってるんですが、先手の主張を全部通させる?

▲15銀△22銀▲24歩△同歩▲同銀
 先手、棒銀の第1段階は成功。そうそう、矢倉棒銀の受けでも△22銀みたいな受けは出てくるんですよね、懐かしいなあ。そして△23歩と受けて取りあえず一段落…

△42飛
 うあああ、今度こそ信じられない、またしても糸谷さん受けず!!糸谷さんは、同形腰掛け銀で歩の突き捨てを変な順で入れたり、序盤で驚くような構想を見せる時がありますが、これはさすがにどうなんだ?▲23歩と打ち込まれると痛すぎる利かされ、▲23角なんてたぶん破れかと思うんですが…

▲36歩
 いや~信じられない、渡辺さんいったん見送りました。これは嫌なものを感じたか、何かハメ筋があると警戒したのかも。無責任な観客としては、打ち込んでどういう罠があったのか、見てみたかった(^^;)。

 さて、1日目の午前から波乱含みの展開、これはどうやら序中盤は渡辺さんペースで展開しそう、問題は糸谷さんの終盤力で逆転があるかどうか、かな?

◆◆◆◆◆◆
 結局、糸谷さんは初心貫徹で△23歩を打たず、打ったのは渡辺さんでした。意地の張り合いなのか、「最初のチャンスは見送る」というやつなのか、アマでは分からない何かがあるんでしょうね。しかしここから将棋が二転三転、僕の棋力ではまったく理解できないグッチャグチャの展開に(^^;)。▲23歩は大きな利かしかと思ったんですが、別の見方をすると飛車先が重くなったとも言えそうで、先手は攻めの飛車銀がうまく捌けず。この右辺での攻撃を通すために先手は3筋の歩を突きあげたんですが、これが複雑な局面を作り出します。僕の理論では、早繰り銀の長所はいきなり角頭ズドンで短所は飛車のコビンが空く事、棒銀の長所は飛車のコビンを閉じたまま攻撃できる点で短所は銀が捌けなくなることが結構ある事、なんですが(テキトウ)、これで攻撃はつながったが後手にも反撃筋が発生。さらに、渡辺さんがはやい段階で88に入城したものだから、これで△55角の両睨みという反撃筋が生まれる展開に。なんで渡辺さんは88へはやめに入城したか。これが分からなかったんですが、答えは57手目以降の指し手にありました。

20151105竜王28-3_渡辺vs糸谷_一手損角換56手 56手目盤面図、後手が△55角の両取りから19の香を素抜き、中央に戻ってきた後に先手陣の小競り合いがあった後の局面です。先手はまるまる香損、しかも馬を作られ、これが攻防にも利いてきそうだし、玉のラインに入れられてもうるさいし、とにかく威張られそう。この局面、ひとめ▲34桂と打ち込んで飛車に当てつつ22の地点を突破できるか考えたい所ですが、△32飛や△36馬が見えているだけに、通るかどうかはちょっと微妙、破れば決め手になりそうですが、この戦場に負けると敗着にもなりそう。さて、渡辺さんはここでどう指したかというと…

▲22歩成
 単刀直入、飛車交換に行ったあああ!!!
いや~、飛車交換したからといって、次の▲32飛の打ち込みの王手は飛車合いされてむしろ敵玉を固めさせちゃうだけだと思うんだけど…交換したとして、本当に先手得するのか?

△同飛▲同飛成△同銀
 糸谷さんは、シンプルに飛車交換に応じました。この飛車交換に応じるかどうか、糸谷さんは30分以上考え、さらに昼食休憩を挟んでの決断。ご飯を食べながらも考えていたでしょうから、実質的には1時間半ほど使った決断だったと思います。この次に、今回の竜王戦第3局の記憶に残るだろうとんでもない手が…

▲55桂
 うあああああ、なんだこれは(゚д゚ノ)ノ !!!えっと、解説によると、「△5五同馬でタダだが、▲4一飛が金桂香の3つの駒取り」だそうで。う~ん、そこまで説明されても、ちょっとピンとこないな、そうなったとして、先手はどの駒を抜きに行く?

△54桂
 いや~、これも指された瞬間に唸ってしまいました。プロはやっぱりすげえ。▲55桂もまったく見えなかったし、この△54桂もまったく見えなかったよ(゚ω゚*)。普通は一番抜かれて嫌な43の金を守りに行きそうなもんだけど、その金を抜かれた後の飛車を寄せる順を考えているのか。。これ、めっちゃいやらしい手じゃないかい?いったん受けようにも受ける手がないじゃん…

▲43飛成△66桂▲77金上△28飛▲68歩△52銀▲42龍△41香
 渡辺さん、糸谷さんの要求する筋にそのまま乗った!!すげえ、これは「僕が読み勝ってますよ」ということでしょうか?アマの僕には、あそこまで苦労して捌いた飛車を確保される順なんて、選べません(゚∀゚*)エヘヘ。。でも…ほかに違う手もなさそうか、ここは一直線だったのかも。

20151105竜王28-3_渡辺vs糸谷_一手損角換73手▲95角(73手目盤面図)△73歩▲74歩
 いやあ、この角打ちもすごい。王手と同時に62の歩に紐をつけてる攻防手なのか。。△94歩の一手が入れば追われるわけですが、その前に白黒つけるという事ですね。これは渡辺さん、勝ち筋が見えたと見た( ̄ー ̄)。

△42香▲73歩成△同金▲74歩△51玉▲66金左△45馬▲73歩成
 いや~、右玉を右辺から崩しました、渡辺さんの駒が躍動しまくってます(^^)。しかし、飛車を抜かれ、右辺は止め駒が少なすぎ。。こうなると、入玉を阻止できるかどうかという将棋になってしまいそう。。これを止めるのは僕にはとても難しそうに見えたんですが、しかしこれをものの見事に仕留め(これがまたすごかった!!糸谷さんが紛れを求めて指した手をまったく相手にしなかったのがカッコよかった^^)、123手にて先手渡辺さんの勝ち!!

 実は途中、渡辺さんの手に一貫性がないんじゃないかと思ってみてました。しかし飛車交換に行ったときに全てが氷解。一貫性がないどころか、渡辺さんは棒銀から飛車を捌くという構想を首尾一貫させていたんじゃないかと。だから、△55角なんていかにも危険そうな手を喰らう筋が見えているのに、飛車の打ち込みに備えて矢倉に入城。飛車交換を果たした後は、とんでもない桂捨てをしてでも飛車の打ち込み筋を作る。桂香ぐらいの駒損と引きかえに敵陣への飛車の打ち込みが成立するなら、右玉相手なら自分が良いだろうという大局観が最初からあったのかも。さらに、矢倉入城は、堅く囲ってから攻め潰すという自分の棋風とも合っていたと。アマからすると、ちょっと思いつかないような色々な奇手を織り交ぜながらの強引な模様のはり方、これはとても真似できる将棋ではないなあ(^^;)。

 さて、これで渡辺さんが2勝1敗で一歩リード。この竜王戦は3局とも中盤までに渡辺さんが作戦勝ちになっている印象があります。第1局こそ持ち前の終盤力でひっくり返した糸谷さんでしたが、相手はトッププロなので、そうそう毎度毎度ひっくり返すのは難しいかも。糸谷さんは戦型も限られているので、渡辺さんみたいな用意周到な棋士には対策が立てやすいのかも。糸谷さん、なんとか序中盤を互角で乗り越えるよう対策しないと、この竜王戦は厳しいかも。


プロフィール

ShougiX

Author:ShougiX
駒の動かし方を知っていた程度の初心者です。せいぜい1日1時間ぐらいしか将棋に時間を割けない社会人が、ガンバって1年で初段になる事が目標です!
(*追記)10ヶ月ちょいで初段到達!!ただいま、居飛車側から各戦型に対応できるよう奮闘中(汗)。。

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