第7期女流王座戦本戦トーナメント 鈴木環那 vs 塚田恵梨花 (急戦矢倉)

 今日は女流王座戦のトーナメントが2局やってました。里見さんの妹と香川さんの将棋は相振り飛車だったのでパス、塚田さんの娘さんが出ている方は…おお~相居飛車だ、これを見よう、そうしよう。
 矢倉模様といっても、左美濃への変化を見せたり、簡単に囲いに入らずに居玉で駒組みを進めたりと、かなり神経をつかう序盤でした。そして、先手の塚田さんが左銀を繰りだしたところで急戦調に。そして、かなり強引にみえた急戦がみごと成功、これは先手優勢かと思った終盤の入口で、塚田さんが間違えた(^^;)アチャア。。う~ん、取れる角を取らないとか、駒得で満足じゃないかという所でそれをスルーして縛りに行くとか、塚田さんは勝負手的な指し手が目立ちましたが、これは欲張りすぎというか焦りすぎというか、結果論でいえば急戦がうまくいったところで満足すべきだったのかも。普通に指していれば先手良かったと思うんだけどなあ、上位者との対局だとプロでもアマでも女流でもみんな焦るんだな…。結局、最後は格上の鈴木さんが勝ち。対局後、お父さんが「81手目に代えて▲73桂成だったら先手勝ちでした」といってましたが、複雑な気分だったにちがいない(^^;)。。

 いまの矢倉、ほんの数年前みたいに30~40手ぐらいまでは本組みへの王道の定跡で…なんて事が出来なくなってしまいましたね、今日は先後ともに矢倉になりましたが、しかし急戦でどちらの玉も矢倉城の中に入ってませんし、これに左美濃や雁木も加わる今の矢倉は、僕的には力戦に近いです。でも、これぐらいの方が、実力勝負という感じでゲームとしては面白いのかも。いや~ハイレベルな縁台将棋みたいで、すごく面白かったです(^^)。

第30期竜王戦 6組ランキング戦 金井恒太 vs 藤井聡太 (矢倉左美濃急戦)

 藤井聡太さん、また勝ってしまいました。。金井さんクラスでも止められず、いまだ公式戦無敗。もう、レート1800代クラスの棋士じゃないと止められないんじゃないでしょうか。今日は矢倉左美濃急戦でしたが、新しい戦型はなんでも指す…というより、好んで指す感じでしょうか。中盤もまったく競り負けないどころか、いつも中盤で優勢を築いている気もします。終盤の驚異の破壊力に目がいってしまいますが、実は序盤も最新戦型を完全に押さえ、中盤の指し回しも見事みたい。しかし人間でしかも若いので、いくらなんでもすべての戦型がアタマに入っているとは思えないし、今あまり指されなくなった戦型で対抗するとか、最新形は研究で上回らないと厳しいような気が。。羽生さんが藤井さんに勝ったのは藤井システムでしたしね。次の竜王戦6組決勝の近藤誠也さんとの一戦が、ついに迎えた公式戦最初の難関かも。

20170501竜王_金井vs藤井聡_矢倉左美濃急戦38手 それにしても矢倉左美濃急戦は、右四間飛車のようにいやらしいです。最初の駒組みも似てますし、角換わりの桂ポンといい、最近の相居飛車の急戦系は右桂の使い方が見事。僕は右四間飛車対策に追われた事があって、それこそ中川さんの本も、羽生さんの急戦矢倉研究の本も、金井さんの本も、渡辺さんのお師匠さんの本も読みまくったんですが、共通して言えるのは右銀の繰り出しが遅れない事でした。今回の将棋でいうと38手目がまさにそういう状況ですが、矢倉に対して角筋と銀と桂の波状攻撃を浴びせるという意味では、左美濃急戦は右四間飛車と似た作りの将棋に見えます。ここで金井さんは▲37桂と指しましたが、まさにここが「右銀が出遅れない」の境になる局面で、僕ならあまり深く考えずに代えて▲46銀と指していたと思います。でもそうして7筋と3筋の歩の突きあいの速度合戦になってしまうと、なんか後手の方が矢倉崩しの筋に入っていて良さそう。だから▲37桂だったんでしょうが、つまりこの時点ですでに後手の方が良かったのかなあ。だとしたら、右四間対策と似た考えで行くなら先手の角引きが間に合わなかったという事なんでしょうかね?もしかして▲79玉という構想自体が拙かったりして…いやいや、最近よく言われてる矢倉で▲66歩を突かずに5手目▲77銀を先にというのが本当に正しい気もしてきたり…もう、このぐらい序盤の段階で終盤直結の構想が問われているのが、ソフトが強くなって以降のプロ将棋の特徴に感じます。相手の陣形を乱しつつ手番を握りにいくという序盤の構想というか、後手だからとかでなく、先後関係なしに駒損上等で積極的に序盤から敵陣を乱しつつ手番を渡さない状況を狙いに行く、みたいな。序盤感覚自体が変わってきてるような感じですが、強い人に「かかってこい」とされるんじゃなく、こんな襲い掛かってくるような将棋を指されたら、たまらないっす(^^;)。。


第75期名人戦 第2局 稲葉陽 vs 佐藤天彦 (急戦矢倉)

 これを急戦矢倉と言っていいのか分かりませんが、矢倉模様の出だしから互いに居玉のまま仕掛けはじめるという力戦調の将棋でした。結果、72手という短手数で佐藤天彦名人の勝利、1勝1敗のイーブンになりました。

 竜王戦ランキング戦といい、他棋戦の本戦といい、最近のプロ将棋は単手数の将棋が増えているように思います。これってどういう事なんでしょうね。プロでは、後手が序盤でいきなり綾をつけに行って、その是非を問うみたいな将棋が増えてるって事でしょうか。研究のなかで、1手でも早く自分の研究を先にぶつけて、研究にひきずりこんだ方が有利、みたいな。これってもしかすると、プロを超えたコンピューター将棋の影響なのかも。この将棋は名人が最初から最後まで一手の緩手もないまま正着を指し続けた感じでしたが、これからのプロ将棋って、序盤でいきなり綾をつけに行って、単手数で一手間違えるかどうかのギリギリを問う、みたいな将棋になっていったりして。ボク程度のアマにはとても真似できない、なんかすごい異次元な感じの将棋でした。

第30期竜王戦 1組ランキング戦 羽生善治 vs 三浦弘行 (力戦調矢倉)

 久しぶりに見たプロの将棋が、大逆転を含んだ大熱戦でした!!って、僕が勝手に逆転って思ってるだけかもしれませんが(^^)。竜王戦の予選(ランキング戦)で、羽生さん三浦さんの対局という、注目要素がこれでもかというほど詰まった対局でした。しかし羽生さんはやっぱりすごいわ。。この将棋を観れたのは良かったです。

20170214竜王30_1組ランキング_羽生vs三浦_矢倉73手 この対局はニコニコ生放送で中継してたんですが、解説では中盤付近は後手よしの判断。73手目(盤面図)あたりは、後手の飛車は先手玉頭に直撃してるし、と金で先手陣左辺は制圧してるし、桂は攻撃に跳ねだせているし、叩けそうなところはいっぱいあるし、玉の固さなんてひと目大差。プロだから後手よしと言っているのであって、アマなら後手優勢クラスじゃないかと思います。しかし、ここから何かが起きました。

△56歩▲同金直
 三浦さん、まずは金を叩いてから…

△36歩▲25桂
 桂頭も叩きました!しかし…昨日の日記のコメ欄にもちょっと書いたんですが、あとから考えてみれば、この叩きで先手は手に乗って桂を跳ねだす事が出来、後手陣の33に叩きを何度も入れ返す事が出来るようになってしまったという意味もあったかもしれません。ただ、先手玉はもう左辺には脱出不可能なので、寄せの常識から言えば右辺を押さえておくのは当然で、なにかの形で、いつかは右辺の抑え駒は貼っておきたいのは確か。というわけで、△36歩の是非は、僕なんぞではとうてい判断できず(^^;)。

△55銀▲57歩
 ついに後手は攻撃に駒が躍動!この銀が暴れてしまうと、先手はヤバすぎです。この銀を働かせないようにするか、働く前に先手からの攻撃の準備も整えておくか…。▲同金としてしまっては後手の飛車を横に捌かれてしまうので▲57歩はこの一手だと思うのですが、しかしこうしなければならない先手は厳しい…

△56銀▲同歩
 ここも感想戦でずいぶん長い事検討されていましたが(昨日のニコニコ生放送は感想戦も全部放送してくれてました^^)、たしかに△56銀に代えて△46銀▲同金△同桂の方が、負担もしくは遊びになりそうな桂も捌けて良かったんじゃないかという気もしました。ただ、プロにそんな手が見えないはずがないので、△46銀に対して取ってくれない順とか、なんかあるんでしょうね。手抜かれる隙を与えるとまずい可能性というのは、さっきの先手の桂跳ねで先手には▲33歩を叩きの速度勝負に追いついてしまったという状況もあるのかも。後手としては代償に36に大きな拠点を作っているので、踏み込んだ以上は抑え込みは無理、速度勝ちしたい所…かと思ったんですが…

△44歩
 違った(^^;)。。三浦さん、ここで受けにまわりました!いやあ、これは意外…△44歩は▲45桂を防いだ手だと思うのですが、ここで守りに行くというのは、三浦さんの攻めが切れたのかもしれないし、あるいは、▲45桂が入ると速度負けする順が見えたのかも…な~んてアマチュア的には思ってしまいましたが、それは攻め一辺倒の思考に陥りがちな僕のかたよった将棋観がそう思わせるのか…

 ここからも、互いに高度な順で指しまわされたのですが、ここまで来ると中盤ではなくてもう終盤、受け切れるかどうかとか、抑え込みとかではなく、明らかに速度勝負の将棋になっていました。オソロシイのは、あれだけ後手よしに見えていた局面図から、気がついたらどちらが速いかという所まで持ってきていた羽生さんです。後手により良い手や順はあったかもしれませんが、いかにも候補手にあがりそうな手の連続で、悪手なんてあるように思えません。そういういかにもありそうな相手の指し手に乗って先手が速度勝負に追いつく局面を作り上げたところが凄かった。羽生さんはオソロシイ。。プロの発言を聴いていると、将棋の最善手以外に「この人ならこう指す」ということも考慮に入れて指しているように思う時がけっこうあるのですが、なんかそういう読みの技術の中で起きた中盤のマジックだったように見えました(^^)。

 互いにA級&竜王戦1組というトッププロ同士の対戦は、さすがに凄かった!!久々に観たプロ将棋の対局がこの将棋で良かったです!!でもなんというか…これでまた以前のようにプロ将棋を楽しみにするようになるかというと、そうはならない気がするし、そうしない方がいいとも思っていますし。


第64期王座戦 羽生善治 vs 糸谷哲郎 (矢倉△53銀右急戦)

 生活が超多忙、はやく年金暮らしに突入してゆっくり将棋でも見ながら落ち着いて過ごせるようになりたいと思う今日この頃(^^;)。なんで今ごろ3日も前の将棋について書いているかというと…何十年か先、老後の楽しみに自分のブログを見返した時に、決着局が書いてないと気持ち悪いから(*^_^*)。羽生さんのストレート防衛となった王座戦の第3局は、矢倉△53銀右急戦。いや~、これは最近慈明さんの本を読んでいたものだから、タイムリーでありがたかったです!

20161004王座64-3_羽生vs糸谷_矢倉急戦53銀右4手 僕の矢倉の定跡勉強は苦労の連続で、その根本は△53銀右急戦。これで5手目が▲77銀か▲66歩か分かれてしまうのでした。僕が最初に勉強した矢倉の定跡本は『羽生の頭脳3 最強矢倉』で、これは5手目▲77銀を採用。しかし、以降に矢倉の大本流となった▲46銀37桂の全盛期に書かれた定跡書の多くは、5手目▲77銀をめぐる解説が素晴らしすぎる森下さんの名著森内さんの4六銀3七桂の本も、△53銀右急戦をケアしての▲66歩を採用。他の棋書も同じでした。この穴埋めに僕はちょっと手間取ってしまい(矢倉より一手損対策が急務でした^^;)、ようやく序盤の変化に対応できたところで、なんと羽生さんをはじめ5手目▲77銀がまた復活してきて、僕としては嬉しいような悲しいような…といいたい所なのですが、これを指すには△53銀右急戦を破る自信がないと指せないという(^^;)。しかし羽生さんはプロが読んでも難しいという矢倉序盤の研究書を書いているので、実は急戦矢倉の序盤対策は鉄壁なのではないかと。そこで糸谷さんが△53銀右急戦に出たので、「ああ、これは羽生さん勝った…」と思ってしまったのでした。序盤研究の鬼の永瀬さんが序盤でクラッシュされたのを見たばかりでしたし、今回も糸谷さんの緩手がまったく分からないまま後手悪くなっていたので、もうこれは羽生さん相手に△53銀右急戦の全盛期を生きてこなかった若手がこの戦型で挑むのは無理なのではないかと思ってしまいました。それでも中終盤はアマでは難解な攻防戦となり、棋譜中継の解説がなかったら、先手かなりオソロシイ格好に見えたんですが、どうもプロから見るとけっこう差があったそうで、結局羽生さんが序盤中盤終盤とずっと押し続けての完勝。3-0のストレートで王座防衛でした。

 数字は3-0でしたが、糸谷さんは強豪を連破して挑戦してきただけあってものすごく強いなと思ったのと同時に、今回の王座戦は面白かった!第1局があのとんでもない角捨ての踏み込みが炸裂した一手損角換わり破り、第2局がこれまた銀取りを手抜いてのとんでもない垂れ歩の炸裂した藤井システム、第3局が矢倉△53銀右急戦破りの定跡になってしまいそうな本局ですから、将棋ファンからするとたまりませんでした。これで羽生さんのタイトル戦連戦はひと区切り、しばらくは順位戦に集中して名人リベンジ狙いという事になるのかな?そして、次のタイトル戦である竜王戦は10/15から始まる渡辺--三浦戦。ああ、もう竜王戦の季節か、1年がたつのはあっという間だ。それにしても、「渡辺竜王」という響きはやっぱりしっくりきますね。。


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ShougiX

Author:ShougiX
駒の動かし方を知っていた程度の初心者です。せいぜい1日1時間ぐらいしか将棋に時間を割けない社会人が、ガンバって1年で初段になる事が目標です!
(*追記)10ヶ月ちょいで初段到達!!ただいま、居飛車側から各戦型に対応できるよう奮闘中(汗)。。

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