第75期名人戦 第6局 稲葉陽 vs 佐藤天彦 (相掛かり)

 先に追い込んだ天彦名人と先に追い込れた稲葉さん、さて戦型は…おっと相掛かりです!今回の名人戦は戦型選択が面白いです。シリーズ前半はまるでコンピューター将棋のような力戦調の連続かと思えば、横歩になると途端に勝った方は詰みまで研究しているかのような指し回し。どちらも横歩の名手だというのにこの大事な第6局で横歩を選ばなかったのは、互いに「こりゃ横歩は研究に嵌められるヤバさがあるな」と意識してるのかも。

 1日目、今日は仕事がゆるかったので、昼食休憩後あたりから4時近くまで、断続的にAbemaTVをのぞいました。ただでさえ難解な相掛かり&さすがは名人防衛のかかる重要な一戦だけあって、両者慎重。めっちゃ慎重。戦いがまだ始まっていない序盤の駒組み段階にして稲葉さん1時間47分の大長考。AbemaTVの午後の伊藤真吾さんの解説の番で、解説終了まで一手も進まない( ̄ii ̄)ハナミズ。解説が憐れでたまらなかったですが、角交換から激しい順にいく変化がありうる状況だったので、もうそれぐらい勝敗に影響する局面なのかも知れません。これは下手すると戦いは2日目からかな、そうと決まれば今日は仕事をはやめに進めて、明日ゆっくり観よう、そうしよう。。

 2日目の午後2時ごろ、久々にのぞいてみたところ…いまだ組み手争い、駒がぶつかってません。いや~、昨日の4時で見るのをやめといてよかったよ、これは解説こまるだろうな(^^;)。また夕方になったら見に来よう。

 2日目の夜。くっそ~予想外のロ~ングロングミーティングにつかまってしまった、もう終わっちゃっただろうな…あああ~終わってた(T_T)。なんということだ、2日合わせて6時間以上は見ていたのに、歩以外の駒がぶつかったのを一度も見れなかった。。天彦さんの勝ち、名人防衛おめでとうございます!それにしてもこの将棋、戦いになる前の駒組み合戦はどちらも意地でも負けないという緊迫感がありました。40手あたりまで見た限りでは、ガッチリおさえ込んで勝ったんじゃないかなあ、全盛期森内さんの将棋を見ているような「戦いになる前にすでに勝負がついている」的な、相手が何もさせてもらえないような鉄板将棋を見ている感じでした。武芸帳で、双方一晩中にらみ合ったまま一歩も動けず、10時間以上が経過した所の一太刀で勝負がついたという話を読んだ事がありますが、そんな感じ。プロ野球も本当に面白いのは投手戦だし、格闘技も本当に強い者どうしは大技の飛び交う攻防なんて事にはならずにまったく組みあいにならず技が出た時には一瞬で決まりだし、強者の果し合いってこういう感じなんでしょうね。
 名人戦前半の天彦名人は、果敢に現代将棋に挑戦している印象がありましたが、第4局以降は天彦さん的な将棋に戻したというか、とにかく指し手がシビアで、「うわあ、これは強いわ」という感じでした。竜王戦は多少の交代劇こそあったものの渡辺さんの長期政権が続いていますが、名人戦は天彦長期政権となるんでしょうか。名人はあんまりコロコロ変わって欲しくないので、超大物以外には名人位を譲らず、防衛を続けて欲しいです(^^)。

第30期竜王戦 6組決勝 近藤誠也 vs 藤井聡太 (相掛かり)

 ついに来ました、竜王戦6組決勝!プロ入り以降公式戦無敗の藤井聡太さんの相手は、関東若手棋士最強(あくまで個人的見解です^^)の近藤誠也さんです!近藤さんはC2一期抜けですからね、しかもいくつか見た棋譜が凄かったもんで、個人的に「これはべらぼうに強いんじゃないだろうか」という先入観が僕にありまして、そんなわけで藤井さんの公式戦での対戦相手としてはこれまでで最強なんじゃないかと思っています。藤井さんの最初の難関という見方だけでなく、近藤伝説のはじまりになるかもしれないし、近藤-藤井百番勝負の始まりとなる一戦かも知れないので、今日は仕事の合間にチラチラ覗いてみようかと(^^)。

 さて、将棋は相掛かり、午前中からはやくも難解な局面。相掛かりって序盤から難解になりがちですよね。もう、互いにこんな段階から少しでもゆるい手を負けたら斬られるという感覚で指しているような緊迫感です。。さて、どうなるでしょうか。

* * * * * *

 仕事が終わって、急いでアベマTVをつけたんですが・・・あああ~間に合わなかった(T_T)。。藤井さんが勝ったみたいです。いや~これで公式戦19連勝か、すごいな…。
 僕がチラチラ見ていた感じでは、まだ本格的な戦いになる前の駒組みの段階で、藤井さんの方が優位に進めていた感じでした。近藤さんは攻撃に使いたい右銀が96とかに追いやられてましたしね。藤井さんは終盤の強さが目立ちますが、しかし序中盤で藤井さんがちょっと不利なんじゃないかという将棋を見ません。もう10局以上藤井さんの将棋を見ていますが、ほとんど互角以上で中終盤までいくかんじ。というわけで、実は終盤だけが強力なんじゃなくって、全体的にバランスがいいのかも・・・藤井さんの底は、まだまだ見えません。羽生さん以来の天才登場の瞬間を目の当りにしている興奮があります。。

第67回NHK杯 塚田泰明 vs 畠山鎮 (相掛かり)

 棋書を置く場所がなくなってしまって、昔買ったマンガを整理して、Amazonに売りに出していました。売る前にもう一度だけ・・・な~んてやってたら、半分ぐらい売りたくなくなってしまった(^^;)。

 そんなわけで、漫画の整理に追われて今日のNHK杯は最初の50分ぐらいを見逃してしまいました。たぶん相掛かりだったんじゃないかと思うんですが、もしかしたら横歩だったのかも(^^;)。あんまり見るつもりじゃなかったんですが、途中で見たら「あれ?もうこれ決まっちゃうんじゃないの?」と思って最後の寄せだけ見ようと思ったら、そこから放送時間いっぱいまでもつれる大熱戦(^^;)。いや~、相掛かりや横歩の終盤はオソロシイです、終盤で詰む詰まないの局面である事は分かるんですが、今日の将棋は互いに寄せあいになって、手が広い上にどちらが速いかの速度計算が常に絡んで、攻めるかうけるかの選択もムズカシイ感じでした。乱戦は終盤力に自信がないと選んじゃいけないですね(^^;)。最後は畠山さんが寄せて勝利!

 殴り合いになったかと思ったら、「お、そこで受けるのか?!」みたいになったりして、メッチャクチャ面白かった!僕は基本的に相掛かりは拒否、最近は横歩も先手番では拒否するようになってきたんですが、勉強が追いついたら横歩先手番も相掛かりも指せるようになりたいなあ。というわけで、マンガの整理が午前中に終わりませんでした(&p゚ω゚*)。。



第65期王将戦 第3局 郷田真隆 vs 羽生善治 (相掛かり)

 第1局が矢倉、第2局が角換わりときた今回の王将戦。ここまで1勝1敗とがっぷり4つですね~。さて、第3局は…おお~、郷田さん得意の相掛かり!!3局とも違う戦型、相居飛車のだいご味炸裂ですね。。それにしても羽生さんは避けようと思えば避けられたのに、勝った方が勝ち星の先行する対局で相手の得意形を真正面から受けに行くとは…。

20160204王将65-3_郷田vs羽生_相掛21手 21手目盤面図、お互いに引き角から銀を繰り出し、更に先手が棒銀を示唆したところです。同形なので後手も棒銀に行ったら先手が1手有利なんでしょうね。ということは、腰掛け銀か?飛車を浮くなら、なんとなく一度引き角にした手が損する気もするし…な~んて色々書いてますが、相掛かりの勉強が出来てないもので、なんの根拠もないです。一手損角換わりの勉強が終わったら、次は相掛かりの勉強をしようとは思ってるんですが(^^)。ここで羽生さん…

△88角成▲同銀△22銀
 おお~、いきなり角交換です!!いや~、これはいろんな制限の加わる将棋になるか、派手な速攻になるか…

▲77銀
 郷田さんは1時間ちょっと考えて▲77銀。これはじっくり行くのかな?少なくとも、超急戦はなさそうな気がします。

△64歩▲36銀△63銀▲25銀
 対する後手羽生さんは、腰掛け銀を構想。その間に郷田さんは棒銀を繰り出していきます。でも、これは△33銀と受けられて銀交換ぐらいで済みそうかな…

△54銀
 うおお、羽生さん、受けない?!!いや~、これは大丈夫なのか?えっと、▲24歩からは…全然ダメですね。じゃ、▲34銀から襲い掛かると?…ああ、すぐに破れるわけではないのか、なるほど。そりゃそうですよね、羽生さんが選ぶんだから(^^;)。

▲68玉
 郷田さんはここで囲いに1手を使いました。この辺りは「そろそろ寄っておかないとまずいかも」みたいな、感覚的なものも結構あるのかな?

 そしてここで後手羽生さんが封じ手。二人合わせて7時間半以上かかって31手というのはけっこうスローペースとも感じますが、それぐらい神経を使う難しい将棋なんでしょうね、相掛かりの序盤って。しかも、角交換が入ってますし。さて、アマ的には、後手は△33銀から玉を囲いに行くとは思うんですが、それは先手次第。それぞれの構想が言えてくるのはもう少し先になりそうかも。

*****
20160204王将65-3_郷田vs羽生_相掛36手 2日目です。風邪ひいたみたいで、せきが出るしだるいっす。特に、のどが痛いのと悪寒がするのがちょっときつい(;_;)。さて、昨日の封じ手からは端を突きあった後…

△45銀
 うわあ…。。
たしかに▲34銀と指されるとなかなか嫌だとは思ってたんですが、飛車浮きでも△33銀でもない手で守るのか、どうしてこんな手を思いつけるんだろうか。しかも、端の突き合いを入れたために、△63角が打てなくなってるのか。しかしこの銀自体に圧力をかけられると一気に形勢が動きそうなので、時限つきの指し手に見えるのですが、どうなんでしょう。例えば一番単純に▲46歩と突かれると?△同銀でも△54銀でも▲34銀は実現できそうですが、問題はその後か。ひと目△47角の打ちこみですが、同じように▲63角と打ち込み返されると?…いや~、これはどっちがいいんだか全然わかりませんが、絶対にどちらかが良いんでしょうね。さて、これが最善手なんてとても思えないので、咎めに行きたい気がするんですが…

▲38金
 いやあ…。
もう、僕なんぞがいくら考えても分かりません。飛車のコビンが開いた後の蓋を考えている?どちらもかなり時間を使いながら慎重に指しているので、かなり先で嫌な順があって、それを互いにケアしてるんじゃないかと思います、きっとそうです。棋譜中継なった木村さんの言葉を借りれば…「パスも難しいです。△7四歩だと▲6三角があるし、△5二金は飛車の横利きを止めてしまいます。後手は2五銀が働いてきても得できるような展開を考えているのではないか」との事。う~ん、やっぱり角を持ち合っての将棋になると、打ち込みをケアしながらになるので、どうしてもこう着状態に陥りやすいですね。下手に動いた方が負け、みたいな。

△24歩
 すげえ、羽生さん打開に行ったよ…。
これは後戻りできそうにありません。アマがひと目思いつくのは▲23歩△同銀▲24銀で捌きに行く手ですが、それで良いかどうかはちょっと分かりません。右金が離れた分だけ、先手若干指しにくいのかな?他には突き違いの歩じゃないけど▲46歩ですが、これはさっき指すのと状況が似ているので、郷田さんはこれがまずいと見て指さなかった以上、ここで指すこともなさそう。▲63角△54銀で駒損覚悟の決戦は?…いや~、次の指し手が見つかりません。単なる駒損になりそうだな。あとは普通に銀を引く手ですが、右金を右に寄せたのだから、これが濃厚かな?

▲36銀△同銀▲同歩△23銀
 お、そうなりましたね(^^)。これで互いに角銀を手駒にして、羽生さんは銀冠が出来ましたが玉はまだ居玉。郷田さんは右金を攻撃に使うのかな?いや~、でも敵陣までは遠いぞ。相掛かりって、横歩みたいな派手な決戦になる事もありますが、角換わりのような序中盤で少しも間違えられないような神経戦になる事もあるんですね。というか、これは出だしが相掛かりだったというだけで、もうほとんど角換わりですね。。そして…

20160204王将65-3_郷田vs羽生_相掛43手▲46角(43手目盤面図)△52金▲37桂△42玉▲66銀△33桂▲55銀△35歩
 郷田さん、角を下ろして、左銀を攻めに繰り出した!!角銀で後手飛車のコビンを狙いに来ました。それに呼応する形で羽生さんは先手右辺の桂頭狙い!いや~ここで一気に将棋が動き始めました、お互いに技のかけあい!!これはどちらの構想が優れているんでしょうか。さすがにもう互角という事はないでしょう!!

▲35同角△86歩▲同歩△同飛▲87歩△76飛
 桂頭を守るためには▲35同角しかありませんが、これで飛車のコビンを狙っていた角筋が逸れてしまいました。その瞬間に後手羽生さんは飛車先の歩を交換してから横歩もかすめ取り!いや~、あんなにジリジリとした神経戦だったのに、いきなり凄い戦い!!こうなると後手は△88歩の手裏剣や△36飛みたいな良さげな手がいくつもあるので、後手が指しやすくなったかな?でも、飛車が狭くっておっかないな…。

▲77桂△88歩▲66銀△93桂▲29飛△25桂▲46角
 羽生さんの攻めと郷田さんの受けという展開になりましたが、これって本当に攻め切れるんでしょうか?とにかく、飛車が狭いです。先手は角も46に戻ってきたし、受け切られてしまうと64の傷から殺到されて反発が厳しい気がするんですが…

△37桂成▲同角△74桂▲55銀
 うひょ~、先手が相手の手に乗りながらじりじりと反撃筋を用意してます。ついに▲55銀まで来てしまったので、最初の郷田さんの攻めの構想まで戻った形ですが…

△89歩成▲同飛△86歩
 羽生さん、歩を成り捨ててから打ち直し!しかしここで郷田さん…

20160204王将65-3_郷田vs羽生_相掛71手▲75歩(71手目盤面図)
 いや~、ちょっとこれはゾクッと来ました、これは素晴らしい!よくぞ△87歩成が見えているこんな所でこんな手が指せるなあ。本当に間に合うなら絶妙手に見えますが…・

△85桂▲74歩△77桂成▲同金
 うああ、激しい攻め合い、駒の拾い合いになりましたが、ちょっと広瀬さんが凄い手を指摘してるんですが…

△88銀
 うわあ、マジで来たあああ(゚ロ゚ノ)ノ!!!ほとんど詰め将棋みたいなカッコいい手です!!▲同飛なら△79角~△77飛成、▲76金なら△89銀不成か。いきなり先手玉は裸にされ、しかも飛車交換は後手の方が打ち込みの傷が少ないのか。なんという終盤力、一瞬にして後手良くなったんじゃないでしょうか。さすがはプロ屈指の詰め将棋名人の広瀬さん…といいたいところですが、それを羽生さんも指しちゃってるってことは、やっぱり羽生さんの終盤力は尋常じゃないんだな。

 以下、先手も嫌味をつけながら反撃するも届かず、100手にて後手羽生さんの勝ち!!

 △88銀がとにかくカッコよかったです!!僕は全然見えませんでしたが、プロだとみんな見えるのかなあ。アマの段位だと、どれぐらいの人が見えるんでしょうか。けっこうみんな見えるのかなあ。。
 序盤から定跡を外れたところでジリジリと駒組みの続く将棋って、独特の面白さを感じます。△45銀なんて構想、この将棋を見た後でも、ちょっと僕には真似できないなあ。角交換しているので打開以外にも色々な構想がありえたかもしれませんが、もしあれが最善なのだとしたら、将棋って難しすぎる。。そして郷田さんが▲46角と角を下ろしてからは一気に激しい将棋となりましたが、差なんてほんの少しなんでしょうね。どちらが良いのか全然わからない所で、いきなり一撃で決まっちゃうんですから。あそこから寄せには入れる後手がどれぐらいいるんでしょうか…。とにかく凄い終盤術でした!!これで羽生さんは後手番をブレイクして2勝1敗。羽生さん、マジで5冠とっちゃうんじゃなかろうか。

第28期竜王戦 第5局 渡辺明 vs 糸谷哲郎 (相掛かり)

 渡辺さん3勝1敗で迎えた竜王戦第5局。糸谷さんは負けたら竜王失冠。この竜王戦に限って言えば、糸谷さんは序盤でいいように揺さぶられている気がします。誘いに乗ると自分の得意形が指せない。拒否すれば渡辺さんの研究が爆発しそうな戦型に入る。地獄の2択ですね。そして今日は横歩取り…かと思いきや、後手糸谷さんが横歩を拒否して相掛かり、これは糸谷さんから研究に引きずり込んだ!いや~、後手番横歩は想定できる事でしたので、そこから相手の研究を外す相掛かりとは、糸谷さん用意してきましたね( ̄ー ̄)。第5局にして、はじめて糸谷さんが自分の組み手に…

20151202竜王28-5_渡辺vs糸谷_相掛19手 と思ったら、先手渡辺さん、飛車を6段目に引いた!▲26飛型相掛かりだああ!!
いや~、結局渡辺さんの組み手か(^^;)。それにしても▲26飛型のひねり飛車模様の相掛かりか、これは昔に『羽生の頭脳』でざっと読んだ事があるだけだぞ。あの本、たしかほとんど▲26飛型相掛かりの説明だった気がしますちゃんと読んでないけど。。▲96歩型とか▲16歩型とか、相掛かり腰掛け銀とか、色々あるんですよね。渡辺さんとしては、「世代的にも、この形の相掛かりの知識は俺の世代の方が上だろうし、あなたはこういう今はあまり指されない形は研究してないでしょう」という事でしょうか。この竜王戦、序盤の駆け引きがメチャクチャ面白いっす(^^)。さて、19手目盤面図以降は…

△72銀▲38銀△64歩▲15歩△63銀▲36歩
 途中までは、先手が1筋の位を取って、▲36歩から右桂の活用を狙う感じ。後手は腰掛け銀から、もしかしたら76の歩を狙いに来るのかな?角交換を見据えながら指さないといけないので、すごく勉強になるな…と思ったら、ここで糸谷さんがまたしても序盤での長考。いやあ、またしても力戦形にするつもりなのか…

△54歩
 うああ、糸谷さん△5筋の歩を伸ばした!!角交換を見据えながらですので、このまま角交換すると後手まずい。という事は、これは第4局に続いて力戦調の出だしから中飛車か?

▲37銀△55歩▲46銀△52飛
 中飛車警戒というわけで、渡辺さんは急きょ超速37銀気味に銀を伸ばして中央を警戒しつつ角頭狙い、糸谷さんは…中飛車だああ!!!

 以降、急戦のまま行くか持久戦模様になるか、玉の囲いと仕掛けを見据えながらの駒組みが続いて1日目終了。良し悪しは僕には分かりませんが、玉の囲いと攻めの拠点のバランスでは、パッと見先手渡辺さんの方が良さそうです。後手は居玉のまま、どうやって玉を囲うのかが素人には分かりません。金が左右に開いちゃってるし…これ、いくらプロだからと言ってまとめることが出来るのか?これで戦えるといわれても、にわかには信じがたいです。

 そして2日目。やはり駒組みの差は、アマが見る以上にプロでは大きいようで、夕方までは先手渡辺さんの一方的な攻め。こうなると、またしても糸谷さんが無理な紛れを求めて死期を早める展開になるかな、今日も4時か5時には終わるかな…と思いきや、糸谷さんは時間を使って必死の受けを考えます。そして、これが絶品!いや~、金開きで受けた形が生きてくるとは思いませんでした。また、あんなところに角を打って受けるてはまったく見えませんでした。そして、終盤は渡辺さんが糸谷さんの入玉を防げるかどうかというスリリングな展開に!う~ん、後手が居玉からここまで粘れるとは思ってませんでした。糸谷さんって、終盤は攻めだけでなく、受けも凄いんですよね。

20151202竜王28-5_渡辺vs糸谷_相掛88手 88手目盤面図は後手糸谷さんが入玉を狙いにいった局面。渡辺さんに序盤から時間を削られた糸谷さんは、時間も切迫しています。

▲26金△25銀▲16桂△同銀▲同金
 渡辺さんは金ベチャで入玉を防ぎに行きますが、糸谷さんは銀を使って、銀桂交換でこれを凌ぎました。いや~、入玉将棋って、独特の緊張感がありますよね(^^)。先手の金を1筋に寄せた事で、後手は△35玉のルートが出来たぞ!

△72飛▲同龍△35玉
 おお、いきなり入玉に行かず、まずは働きそうにない飛車を馬と交換してから入るのか!持将棋になった時の点数を考えている?いや~、入玉できるかできないかという時は、僕はとにかく入玉を優先してしまいますが、その後のことも考えないと駄目ですよね、冷静に考えれば。糸谷さんは終盤で熱くならないところが凄いな…。

▲27飛△46玉
 ここから先手がどうやって入玉を防ぐか、これはメッチャクチャ興味ありました。なにせ、入玉を防ぐのがヘタクソなもので(^^;ゞイヤァ。渡辺さんは▲27飛から入りましたが、王手から入って金を補充できる▲25飛△46玉▲23飛成ではなぜ駄目なのか。…これを考えている間に、ガシガシ指し手が進んでしまって間に合わず(^^;)。きっと、追う手ではまずいんでしょうね。取りあえず、そういう事にしておこう。

20151202竜王28-5_渡辺vs糸谷_相掛99手▲42龍(99手目盤面図)△35桂▲23飛成△37玉
 いやあ、△35桂という受けがすげえ…。これで先手は飛車を逃げつつ金を補充、2筋に利きは通しましたが、後手に2筋の深い所に利きを作られたぞ。これ、寄せられるのか?この時、去年のタイトル戦で羽生さんが太地さんの1段目まで来た玉を押し返した将棋を思い出してました。

▲53龍引△27歩▲58金
 入玉を防ぐのがクソ下手な僕は、とにかく先手がどう寄せに行くのかが面白いです。▲58金のところは、代えて▲18金と打って、以下▲17金引~▲27金寄と考えていたんですが、それだと今度は中央に入られるという事かな?いや~、検討したいんですが、秒読みで進行が速くてついていけない(^^;)。この追われる感じ、アメフトやサッカーのロスタイムみたいでめっちゃくちゃドキドキします(^^)。それにしても、後手が放った△35桂の利きが素晴らしい!絶妙手じゃないか、あれ…。

△28玉▲47金△同桂成▲59龍
 あ、あら?入玉されちゃってますが、これ、本当に防げるのか?…いや、そういう事じゃないのか、▲58金は後手の大駒を抜いておいて、万一寄せられずに持将棋になった時でも点数勝ちできるようにという計算か!いや~これは渡辺さんしたたか、なるほど4000万円を超す賞金が目前ですから、勝ちの方法にはこだわらないという事でしょうか。

△29角▲18銀△37歩成▲29銀△同成桂▲17金△19玉▲27金△38金▲37金△同成桂
 感動的な終盤、これはすごい…渡辺さんは思いっきり寄せに行き、糸谷さんは本気で防ぎます。それにしても△38金は素晴らしい受けでした。もう点数的には糸谷さんは負け確定。しかし負けるにしても寄せさせないという根性を感じました。△38金は、はじめて糸谷さんをちょっと好きになった一手でした(^^)。

▲88玉△74歩▲82角△75歩▲同歩△投了
 ここで渡辺さんは寄せをあきらめ、入玉を目指します。入玉をめぐる攻防戦で消耗しつくした糸谷陣、渡辺玉の上部を押さえる駒が残ってません。△74歩以下は、入玉を果たしながらも点数の足りない糸谷さんの、投げるに投げられない心境をあらわしているというか、気持ちを整理するまでの情感のこもった棋譜のように見えます。しかし渡辺さんは無慈悲に糸谷さんの駒を外し、糸谷さんは遂に投了。126手にて先手渡辺さんの勝ち、渡辺さん竜王返り咲きです!!


 第5局は、とにかく入玉を巡る攻防となった終盤がめっちゃくちゃ面白かったです!攻める渡辺さんも受ける糸谷さんも見事!しかし、寄せを狙いつつ、相手の大駒を1枚抜いておいて点数的に安全圏を作ってから寄せに行く渡辺さんの冷徹さは素晴らしかった。僕だったらむきになって寄せに行く事しか考えられないわ(^^;)。

 この竜王戦全体の傾向としては、渡辺さんの対糸谷対策がものの見事にハマったように見えました。シンプルな所でいえば、序盤での挑発と時間攻め対策。このふたつが別の事ではない所も、単純そうに見えて、実は糸谷さんには相当にキツい作戦だったのかも。序盤で定跡から外そうとすれば、それが成立するかどうかを考える必要があるので時間を削られるわけですし…。この二人の比較でいえば、特に序盤に差があったのかも。実際に序盤力に差があったかどうかは僕にはわかりませんが、少なくとも両者に序盤研究に差があるという認識があったのではないでしょうか。定跡通りに進んで現代将棋の課題局面まで進行すれば、渡辺さんの研究が待っていそう。かといって定跡を外しに行けば、それはプロ将棋界全体が研究し精査して、現状最善手と思われている手を指すことが出来ない。得意の時間攻めを封じられ、苦手の序盤でつけ込まれ、力戦調に踏み込むもまとめにくそうな形になってしまい…第2局以降は、連続で同じ光景を見ているような竜王戦でした。糸谷さんは間違いなく強豪棋士ですが、しかしこの竜王戦で弱点が露呈してしまったように見えます。序盤研究に向け目なく、中終盤力も糸谷さんに引けを取らないタイプの棋士相手だと、もう序盤で時間を使ってくれずにガシガシ指されてしまう事が続くかもしれません。糸谷さんは竜王を取った後に「トッププロとして序盤研究もちゃんとしようと思ったが、しばらくやって自分に合わないと思ってやめた」と言ってましたが、それで勝てるほどトッププロは甘いものではないのかも知れません。ここで自分のを変えに行けるかどうかが、糸谷さんが超一流になれるかどうかの分かれ目になるかもしれません。糸谷さんは相変わらず離席などの問題があり、主催の読売新聞にすら苦言を呈されてますが、それでも去年に比べれば、そうとう改善されてきたと思います。マナーも将棋も、結局は人間の業。職業を「金もうけの手段」として捉えているだろうは人には、「勝てばいい、番外戦術も上等」なんていう人もいますが、そういう考えで居続ける以上は、人間社会なんて居心地の悪い所であり続ける気がします。竜王戦開催時に起きたテロも、トルコとロシアのいざこざも、そういう連鎖でしょうし(あら、なんの話だ?)。そうではなく、職業を「人間が分業によって効率的に助け合うためのシステム」と捉え、その中で社会と自分を両立していく事が、大人になっても続けるべき人間の業だと思います。色々あるでしょうが、この敗戦をバネにして糸谷さんがんばれ!!

 さて、自信のキャリアの中でも初というほどの大スランプだった渡辺さんでしたが、竜王戦だけはきっちり勝ちました。この1~2か月ほど、竜王戦以外はほとんど敗けなんじゃないかなあ…なんという効率よい勝ち星の集め方(^^;)。。野球では「足にはスランプがない」なんて言われますが、将棋では序盤研究にはスランプがないという事なのかも。それにしても、渡辺さんは竜王が似合いますね。さて、渡辺さんはこれで研究を温存する必要がなくなりました。なんとか残りの順位戦も頑張って、名人挑戦を目指してほしいと思います!


プロフィール

ShougiX

Author:ShougiX
駒の動かし方を知っていた程度の初心者です。せいぜい1日1時間ぐらいしか将棋に時間を割けない社会人が、ガンバって1年で初段になる事が目標です!
(*追記)10ヶ月ちょいで初段到達!!ただいま、居飛車側から各戦型に対応できるよう奮闘中(汗)。。

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