第38回将棋日本シリーズ 久保利明 vs 森内俊之 (後手石田流)

20170806日シリ38_久保vs森内_後手石田35手 なんて事だ、森内さんが石田流、それを久保さんが居飛車で受けました!しかも、どっちもメッチャ板についてる(^^;)。さらに森内さん、中盤は綺麗に捌いて、終盤は相手の手を全部潰してプレスする鉄板流。振り飛車と居飛車のいい所が合成したような指し回しで、現タイトルホルダーに圧勝!きょうのNHKと同じで、ファンを楽しませるための将棋で勝ち負けにはそこまで拘っていないだろうからどちらもこういうのを指すんでしょうが、それにしてもタイトルホルダーを力で圧倒するこんなフリークラスいてもらっちゃ困る(^^;)。

 森内さんは不調時は勝率が寂しくなったりするけど、たまに来る好調時はトッププロの誰も歯が立たないほどの強さ。それが出来なくなったからフリークラスの決断かと思ったんですが、これは羽生さんも渡辺さんも弾き飛ばして竜王名人になった時みたいな鉄板流の棋譜。かえすがえすも、森内さんのフリークラス転出はもったいないと思ってしまうなあ。これだったら速攻でA級復帰もあったんじゃなかろうか、あとの祭りなのは分かってるけど、森内さんに順位戦に戻ってきてほしい。。

第66回NHK杯 決勝 佐藤康光 vs 佐藤和俊 (後手三間飛車)

 NHK杯決勝、大熱戦のものすごい将棋、大名局でした!!和俊さんの今期NHK杯では、屋敷さんを下した初戦が会心譜!また、羽生さんを下した将棋も印象に残ってます。一方の康光さんは、ここ数か月見ていて圧倒される将棋だらけ。まだ序盤かと思っていたところでいきなり踏み込んで廣瀬さんを破ったA級最終戦は驚異でした。また、NHK杯は、斎藤慎太郎戦、千田戦、佐藤天彦戦と、寿命の縮むようなギリギリの将棋を強引に勝ち抜く名局の連発。天彦名人相手に角頭歩(!)は凄かったです。

20170326NHK66決勝_佐藤康vs佐藤和17手 さて、NHK杯決勝は後手和俊さんが3間飛車にしての対抗形。解説の羽生さんが「康光さんが工夫してくるかもとも思ったが、じっくりした定跡形に進みそう」といったところで、いきなり動きました!17手目盤面図は、居飛車側の康光さんが▲68角としたところ。△22飛を督促してから穴熊に行こうという構想だったと思うんですが…

△62玉
 うああああ、和俊さん、2筋を受けずに玉を囲いに行ったああ!!いやあ、他の棋士相手ならともかく、乱戦上等の康光さん相手に大丈夫なのか…

▲24歩
 康光さん、行ったあああああーーーー(゚∀゚)!!これは乱戦必至、でも実際に踏み込むとどうなるんだ?実際に踏み込んだ将棋は見た事ない…

20170326NHK66決勝_佐藤康vs佐藤和25手△同歩▲同角△23飛▲33角成△28飛成▲43馬(25手目盤面図)
 互いに踏み込んだ以上ここまでは一直線。飛角交換ながら先手銀得、しかも双方龍と馬を作ってます(^^;)。。いやあ、この局面でどちらが有利か、僕はまったく分からず。しかも、双方ちょっとでも間違えるといきなり詰みそうな局面。25手目にして、たがいに詰むや詰まざるやの局面になってしまいました(^ㇿ^;)。。でも、受けに自信がないんだったら、銀得でも2枚飛車を許す先手を持ちたくないなあ。これは僕程度の棋力の人間が飛び込んじゃいけない変化だな。。

△19龍▲82銀
 康光さん、銀を打ち込んだああああ!!!そういえば、敵玉が美濃に潜り切れていないところで▲82銀と打ち込む筋は、僕は康光さん本人が書いた『佐藤康光の石田流破り』で学んだんでした。康光さん、若い頃に研究しまくった筋を思い出したな( ̄ー ̄)。

 ここからは超乱戦。互いに読み抜けたら即頓死の状況のまま、ものすごい高度な攻防。というわけで、定跡に頼る事が出来ず、両者が頓死をケアして読みを入れまくった結果、28手目にして両者持ち時間を使い切る展開。羽生さんの解説がなかったら、僕はどっちを持っても40手いかないうちに詰まされてた気がする(^^;)。香合いじゃダメで銀合いだなんて、なんで和俊さんも羽生さんも30秒で分かるんだ、すごすぎる。。

20170326NHK66決勝_佐藤康vs佐藤和40手 以降も見どころが満載。先手は3枚替えを許してでも龍を1枚削りに行って受け(なんという形勢判断^^;)、さらに横からの龍の攻めを金銀の指し回しで受け切り。後手は後手で難解な相駒問題や頓死筋を含む嫌な攻めを見事に守りきり。そしてたどり着いた40手目はとんでもない盤面図ですが、まだ40手目なんですね(^^;)。そして、僕的には、ここがこの将棋の勝敗を分けた局面だったように感じました。和俊さんは次に先手激痛となる△76桂を見せての△64桂を打ったところ。いやあ、秒読みに入っている状況でこの桂を打たれたら、僕なら負けを覚悟しますが、ここで康光さんは…

▲44馬△76桂▲59銀
 いやあ…強い人ならひと目かも知れませんが、僕ぐらいのレベルの人間にとっては、▲44馬も▲59銀も絶品だよ…。。めっちゃおっかない形ですが、とりあえずは受かってますか、これ…なんと、22の飛車と16の角が受けにも利いてるのがビックリです。。

△23金
 あああ~和俊さん、ついに攻めが切れたか、受けに回ってしまいました。攻めるなら、う~ん・・・△48歩は確実な攻めですが問題は速度、さすがに遅すぎますか(^ㇿ^;)。。しかし、秒を読まれての指し手で、こういう手を指せるんだからスゴイです。でもここ、このあとの展開を考えると、金を渡さずに飛車筋だけ封じれば良かったかもしれないので、金でなくて歩でも良かったかも知れませんね。後だしじゃんけんの結果論ですが、しかしここで飛車取りにならない節約の方が良かったかも知れないなんて、考える時間がないですね。この後どうなったかというと…

▲同飛成△同銀▲43角成
 先手はここで飛金交換からめっちゃ厳しい所に馬を作る展開。そして、2枚の馬が攻守に大活躍、そして手にした虎の子の金が後手の2枚飛車の攻めを遮る鉄壁に。こうなるなら金でなく歩で代用の方がまだ粘れたかも。後手は飛車を切られた時の厳しさを読みそこなったかもしれません。でも30秒の秒読みでそこまで読むのは、いかにプロといえども不可能なんでしょうね。いや~、普通なら得になるところが終盤ではそうならないという典型のような勝負の綾でした。。
 さらに、最後はと金での攻め合いの速度勝負。ここも超絶に難解で手に汗握る最終盤したが、康光さんの方が速かった。結果、105手にて先手康光さんの勝ち!康光さん、NHK杯優勝ですヾ(´∇`)ノ゙オメデトウ。。

 最後の最後の後手のと金攻めですが、羽生さんが言っていたように△68とと銀を抜かず、△69とで金を抜いてたらどうだったんでしょうね。検討してないので分かりませんが、もしかしたら勝敗が入れ替わっていたかも。そして康光さん、定跡が使えない乱戦になるとメッチャクチャ強い!まず、受けが強烈、そして形勢判断がスゴイです。今日も3枚替えを許してもその順に踏み込んだり、飛車角交換の駒損に行ったり、飛車金交換の駒損、横からの龍の攻撃なのに金駒を温存しての玉の単騎逃げ・・・普通では躊躇するような手を指させるその形勢判断力が怪物じみています。とくに、これらが相手の判断を迷わす複雑な局面を作り出す狙いじゃなくって、最善手だと思って選んでいるっぽいところがオソロシイ。。今日も、高々100手ちょっとの将棋だったのに、その間に驚かされる驚愕の形勢判断が何度も飛び出してました。こんな人に勝つのは至難の技じゃないかと。また、その人と激戦を演じた和俊さんも見事でした。すばらしいNHK杯決勝でした!

第63期王座戦 挑戦者決定戦 豊島将之 vs 佐藤天彦 (△三間飛車)

 王位戦の第2局もやっているし、王座戦の挑戦者決定戦もやっています。しかしそれより大変なのは、これから仕事に出かけなければならない事(*゚∀゚*)。どうしよう。。苦悩の末、王位戦は2日制なので明日見る事にして、王座戦の挑戦者決定の駒組みだけ見てから出かける事にしました(えらく普通の対応だな)。
 王座戦の挑戦者決定は▲豊島さんと△佐藤天彦さんの対決。あれ?棋聖戦の挑戦者決定もこの組み合わせじゃなかったっけ?たしか、矢倉模様からのグッチャグチャの力戦になったような。そして今日は、▲76歩△34歩に豊島さん▲66歩!!豊島さん、天彦さんの恐怖の後手番横歩取らせを回避しました!!対する天彦さんは…△32飛!うおお、天彦さん、後手三間飛車だあああ!!いや~、序盤からものすごい駆け引き、天彦さんの△32飛の着手がえらいはやかったので、天彦さんは豊島さんが横歩を避けてくるのを読んでいて、後手三間飛車を用意していたという事でしょうか。それとも、3手目▲66歩に対しては三間飛車を常套手段にしている?いずれにしても、序盤からすごい駆け引きになったぞ。。さて、今日の大一番はどちらが取るか…というところで、仕事に行ってきます!!

◆◆◆◆◆◆
 ああ、もう翌日の夜か、ヘロヘロです( ̄_ ̄)。。疲れ切っていてちゃんと研究出来てませんが、何となく見た感じでは、序盤に後手が馬を作った時点で後手十分だったんじゃないかなあ。で、どういう経緯でそうなったかというと…

20150721王座63挑決_豊島vs佐藤_後手三間10手 盤面図は10手目、いくらでも前例のありそうな局面な気がしますが、実際はどうなんでしょうか?しかしこれ、先手は左美濃~銀冠としている暇がないような…

▲65歩△72銀
ええ~、先手は角道を開けちゃうのか?!いや~、玉型の差から考えて、角交換になると振り飛車が得になってしまう気がするのですが、豊島さんの狙いは何なんだろう。

▲48銀△35歩▲56歩△36歩
 いや~、後手の3筋の歩が速い。先手は囲い切れずに、はやくも形を乱されるんじゃ…

▲同歩△同飛▲67銀
 いや~、先手は守りの銀を嫌な場所に上がらされました。はやくも玉形で差がついた気がします。

△64歩▲同歩△88角成▲同玉
 ああ~、後手は速くも角交換!これ、すでに後手指しやすいんじゃ…

△66歩▲同銀
うああ、先手は銀を浮かされた。これは…

△67角
 これで後手は馬を作ること確定。そればかりか、先手陣は大きく形を乱され、後手陣は一糸乱れぬ美濃囲い。まだ26手ですが、これは既に後手十分じゃないでしょうか。以降は、天彦さんが差をじわじわと拡げて危なげなく勝ちました。急戦調の三間飛車の典型的な攻め筋ですが、プロでもこれを食ってしまうんだなあ。

 さて、天彦さんは人生初のタイトル戦出場。おめでとうございます!!しかし天彦さん、どうして急に強くなったんだ?う~ん、最近はA級棋士やタイトル出場棋士を蹴散らしてますが、羽生さん相手に通じるのかどうか。ちょっと、気になります。。


第41期女流名人戦 第2局 清水市代 vs 里見香奈 (43戦法)

 今まで女流棋士さんたちの将棋はあまり見てこなかったのですが、ここのところ振り飛車破りの勉強ばかりしている身としては、もう少し対抗形の将棋が見たい。というわけで、試しに女流将棋をボチボチ見始めているのですが、これが対抗形だらけで結構面白いっす。。で、絶賛開催中の女流名人戦は今日が第2局で、里見さん後手の43戦法。あれ?そういえば里見さんって長期休場して無かったっけ?体調が良くなったのなら良かったですね(^^)。

20150125女流名人41-2_清水vs里見_43戦法26手 盤面図は26手目、後手は結局石田流を目指す事になり、先手は87玉の構え(清水さんはこの玉形をよく採用している気がする…)に▲47銀の構え。典型的な対抗形、こういうのが見たかった(^^)。。で、今までの僕なら、こういう形の時は即▲25歩なんですが、石田流対策勉強中の身としては、そうじゃない指し方もいっぱい見てみたい。清水さんはどう指すんだろうか…

▲38飛△32飛
 僕は対振り飛車に対してこういう囲いをする事がないもので、この形の場合に囲いを進展させる方法が分からないのですが、仮に左美濃の場合だったら、ここで玉型の整備というのもあり得たかも。しかしここで清水さんは▲38飛。あれ、それは△24飛とされたら…なるほど、▲28飛と戻す感じか。で、里見さんはそういう千日手模様を避け、3筋を争点としたまま戦うつもりのようです。

▲56歩△64歩
 おお、さすがはかつて女羽生と呼ばれた人です、落ち着いて△55角を消しました。対する里見さんも美濃崩しの角のラインを消す無難な選択。

▲55歩△42銀
 休日でな~んも考えないで見ているんですが、▲56歩で55の角も消えた事だし、先手は▲38飛とした以上はこのあたりで▲36歩と反発するんだと思ってました。▲55歩とはまたえらく慎重だなと思ったんですが…なるほど、ここで▲36歩は△同歩▲同銀と進んだ後に△45歩があるという事かな?で、それを予め消したのが▲55歩であると。いやあ、女流の将棋も馬鹿に出来ないぞ…俺なんかと比べたら当たり前か(^^;)。しかしこの▲55歩と交換に、後手は△42銀と眠っていた銀の出撃が間に合いました。こうやって間に合っちゃうんだから、将棋ってうまく出来てるなあ。

▲36歩△同歩▲同銀△43銀▲25歩△63金
 あら?結局2筋の歩を伸ばすのか?じゃ、結局飛車は2筋に戻して使うのかな?僕が早めの▲25歩を好んで使うタイプだったんでそう感じてしまうのかも知れませんが、だったら▲38飛にしないでいきなり▲25歩の方が得だったんじゃなかろうか。仮にこの戦場を膠着状態にして玉頭を押し潰すにしても、この陣形では振り飛車有利の気がするなあ。玉形といい右金の方針といい、これは居飛車は遅い上にまとめにくい気が…

▲35歩(39手目)
 う~~~ん…これは方針がぶれてないかい(小声)?実際の良し悪しは兎も角、居飛車はこういう将棋にするんだったら、攻め将棋で先制してそのまま押し切る方針に徹しないと作戦負けなんじゃなかろうか。これ、振り飛車からしたら、この戦場を膠着状態にしてから銀冠に組み替えて居飛車の玉頭直撃でも潰せそうだし、守りは万全と見て角を84まで転換して先手右辺を集中砲火したら居飛車受けにくいだろうし、振り飛車にとっては不満なしになってしまったように思います。この一手は、僕がよくやっちゃう「強い人と指すと、ビビッて踏み込めなくなっちゃう症候群」みたいに見えました。自分がそうなる事があるから分かる気がする…。仮にそうだったとして、たしかに史上最強の女流棋士が目の前に座ってたら、清水さんと言えどもビビっても仕方ないのかな。。
 とはいえ、仮に▲35銀なら、里見さんが自然に応じるなら捌き合い(例えば△13角▲34歩△35角▲同飛△34銀…みたいな感じ?)は予想されるわけで、これはこれでけっこう難しそう。しかしそれで悪かったとしても、これまでの方針がそうなのだから、そうすべきだった気もします。な~んていって、実は清水さんの指した▲35歩が最善手なのかも知れませんが( ̄ー ̄)。
 
 しかしやはりこの一手が仇となったか、以降はこの戦場で劣勢に追い込まれた清水さんが暴れさせられて駒損、玉も薄く、一方の里見さんは鉄壁の陣形から万全の指し回し、120手にて里見さんが勝利

 ここ最近女流の将棋を見るようになって思うのは、ちょっと悪そうになるとすぐ暴れちゃうとか、コロコロ方針が変わる事があるというか、もう少し胆力を…と感じる棋譜が多いのかな?な~んて、言うは易しで、自分の将棋なんてもっとそうなのですから、女流がどうこうというよりも、森内さんとか木村さんとか広瀬さんとかの男性プロ棋士の指し手の懐が深すぎるという事なんでしょうね。。

20150125_photo.jpg それにしても…里見さんも清水さんもいいですねえ。頭の下げ方ひとつにしても、女性らしい控えた振る舞いに人柄や品が出ている感じがするし、ただ頭を下げているだけでなく、そこには相手を尊重する態度もあらわれているような気がします。勝負の勝った負けたも大事ですが、どうせ知的なゲームをやるなら、その知性を気配りなんかの勝負以外のところにも使える人間に僕もなりたいっす。こういう風習の背後にあるものが理解できるようになったら、自分と考えが違う人に対しても、簡単に腐すような真似はしなくなれるんじゃなかろうか。これは人として見習うべき所がある。よし、イスラム国の人にも将棋を伝えようではないか!


第64回NHK杯 佐々木勇気 vs 大石直嗣 (先手石田流)

 今日は若手強豪同士の対決!!特に佐々木さんは、渡辺二冠を仕留めた2回戦での逆転勝利が記憶に新しいです(^^)。さて、将棋は…先手石田流だああ!!それを迎え撃つ後手は…おおお、居飛車穴熊を見せてから5筋に飛車を振りました!石田流破りの穴熊はかなり有力に見えます。

 しかし今日すごく勉強になったのが、序盤定跡よりも中盤の戦い方。特にの手筋が中盤で何度も何度も出てきて、お互いに手の消し合いとなりました。(^^)。

20141207NHK64_佐々木vs大石36手 例えば36手目。後手の大石さんが57に角を打ち込み、馬を作ろうと狙ったところ。この消し方は部分的な手筋ですが、僕は3級ぐらいの時、こういう所の指し方でとても苦労した記憶があります(^^;)。これを消せるかどうかで大きな棋力差となるんじゃないかと思うんですよね~。

▲46角△同角成▲同歩△57角
 ▲46角と合わせの角を打って消すのはカンタン。しかし、打つ時にまず思い浮かぶのは、「消した後にもう一度△57角と打ち込まれたら、46に角を合わせられない、どうしよう」みたいな(^^;)。しかし佐々木さんは・…

▲64歩△同歩▲63角
 攻め合いを選択の▲64歩!これ、後手が手抜いて△46角成とすると…先手は▲63歩成という交換になり、しかし後手は駒を拾えるわけでもなく、ただ馬を作っただけ。一方の先手はと金を作って、これでほとんど終了なんじゃないかと。▲46角△同角成▲同歩の交換を入れる事によって47の地点に銀の引き場所を作り、かつ攻め合いは後手が手抜けない事によって先手が後手の馬作りを一手手抜いて▲63角の打ち込みが出来るようになるわけですね。これ、仮に先手の合わせの角の▲46角と攻め合いの▲64歩の順を入れ替えると…[△57角(36手目盤面図)▲64歩△同歩▲46角△同角成▲同歩△57角]という事になって、先制の権利は後手が持つ事になる(攻めずに▲63角の先受けももちろんアリの気がします。穴熊戦をオーソドックスに戦うならそっちの方が自然かも)。もし手筋を知らないでこの受けを成立させる場合、後手の馬作りだけを争点と考えたらこの手は作れない。戦場を拡大して差し引きでどちらが得をしているか…という考えが出来ないといけないので、こういう手を考えられるかどうかは、僕がが中級から上級に上がれるかどうかで苦労していた頃のひとつの壁だった気がします(^^)。この争いは、角の働きの差があって先手が少し良くしたんじゃないかと思いました。

20141207NHK64_佐々木vs大石47手 一方の大石さんからも、相手の馬を消す綺麗な指し回しが炸裂!!盤面図は先ほどから少し進んで47手目。先手は馬を作りながら先ほどの合わせの角で作った銀の引き場所に銀を収めて角詰めろ。大局的に見ると、先制しやすい石田流に対して穴熊戦を志向した居飛車が中盤で辛抱を強要されるのは致し方なし。構想としては、とにかく相手に駒を捌かせないようにしながら穴熊を完成させ、そして振り飛車よりも玉に近い筋に振った飛車を捌きに行く…という感じなんでしょうが、角詰めろになっているここでは、角を逃がしながら手が落ち着いたところで駒組みが進んでいる、というのが理想なのではないかと。これを狙う大石さんの構想は…

△74歩
 角を助けたいならこの一手!そしてここから…

▲同歩△84角成▲73歩成△75歩▲86飛
 後手はこれで馬を作り、飛車に当たりをつけながら…

△73馬▲同馬△同桂
 これで互いの馬が交換となり、先手の馬を消しました!そして、最後に馬を消した手が73への桂跳ねなので、駒を消しながら攻め手を一手進めた事になり、ここは「穴熊を狙ったら組めるまでは攻め合いにせずひたすら辛抱」という狙い通りの構想が見事に描かれたんじゃないかと。ここは構想も、9手1組で馬を消しに行った指し手そのものも見事!!いやあ、今日は相手の手の消し合いが素晴らしいです(^^)。。

20141207NHK64_佐々木vs大石57手 その直後にも、角を使った見事な手筋が。盤面図は57手目、後手は放っておくと次に▲83飛成や▲74歩が飛んでくるので、これを受けなくてはいけません。83を受けながら▲74歩を消すなら「敵の打ちたいところに打て」というわけで△74角と打てば、先手美濃の痛い所にも直撃。ひと目これだろう…と思っていたら…

△94角
 うおおおお~、そっちからか?!でも…なぜ?…な、なるほど~、手抜けば△76歩が痛打になるのか!!これを消すとすると…

▲67角△同角成▲同金
またしても合わせの角!!しかしこの合わせはさっきとはちょっと違って、金を吊り上げられることになってるぞ…

△94角▲68歩
金を吊り上げておかわりの△94角!!▲68歩と打たされて金を支えなくてはならないようだと先手はきつそう。これは5手1組で後手がうまく指しちゃったんじゃなかろうか?今日は中盤での角使い教室みたいで楽しい(^^)。

そして、将棋はここから激しくなり、メチャクチャ面白い!!!まずは後手が見事で…

△42銀▲56飛△76歩▲同金
 戦場でポイントをあげても、穴熊戦なので後手は組み上がるまでは強く戦えない。というわけでここで駒組みに戻って△42銀。先手は穴熊に組み上がる前に攻めたいので、狭い所で捌けない(石田流でよくあります^^;)飛車の活用を見て56飛、これもすごく自然に見えたのですが、大石さんの△76歩からの構想が見事!!これはさっきからの狙い筋ではありますが、飛車の紐がついているので▲同金で何の問題もないかと思ったんですが…

△65桂▲同桂△同歩
 な、なるほど…これで▲同金なら後手は△61飛と飛車を6筋に回せば、先手は先ほど打たされた68の歩が祟って歩合が出来ないのか。これは居飛車が▲68歩を咎めに行ったわけですね。そこで▲66金を引くと…△44桂で飛車取り、逃げれば金がタダか。代えて▲64飛と向かい飛車にしたら?…△53桂でも△73桂でも後手良さそうですね(^^;)。じゃ、▲64桂の桂合は?…う~ん、ムズカシイけど、先手の飛車が捌けないで済むなら横からの攻撃は無いとみて穴熊をこの段階で完成としておいて、△53銀から一気に捌きあいにして飛車の捌け具合で勝負、という事になるのかな?いやあ、なんか居飛車が良くなったような気もするけど、先手は▲同金△61飛▲53銀からの捌きあいで勝負に行くしかないんじゃなかろうか…

▲75金
ええええ~~!!単に金をあがったああああ?!
いや、この金は遊んじゃうんじゃないかい?これは後手よしだろう…

△66歩
ですよねえ…。これ、▲同飛なら△55飛からの十字飛車、角をおろして後は捌いて後手優勢になりそう。しかし攻め合いにいくにしても、さっきの金で行くには…遠すぎます。ここで…

▲76歩
 うおお、またしても金底の歩!!角道を遮ったああ!!

△63桂
 大石さん、ここを勝負どころと見ましたね、強引にこじ開けに行きます!!

▲65金△76角▲66金△87角成
 いやあ、まさか捌きを狙いに行ったのが振り飛車の方ではなくて完成前の居飛車穴熊側になるとは(^^;)。。そしてここで…

▲96角
 またしても合わせの角だあああ!!
!!…いやあ、こんなに角の手筋満載の将棋は見た事がありません(*^_^*)。

20141207NHK64_佐々木vs大石137手 この後、いくつもの争点を作りながら、相手の手を消し、自分の主張だけを通そうとする大ゲンカとなるメチャクチャに面白い将棋!!!角の打ち込み捌きあいはまだまだ続き、飛馬交換、龍角交換、とどめは飛角交換…と思いきや飛車の打ち込み一閃の攻防手!!!盤面図は投了少し前の137手目なんですが、4枚穴熊を完成させた後手と金駒を全部外された棺桶美濃の後手で、先手勝勢だなんてにわかには信じがたいですよね(^^;)。しかも、ここでも決め手となっているのが55に打ち込まれた八方睨みの。棺桶美濃の寄せの最後の28を守ると同時に、コビンをこじ開けた穴熊を角のラインに入れて、22の銀を動けなくしています(^^)。結果、なんと先手佐々木さんが、4枚穴熊を瞬殺しての見事な勝利!!いや~、はっきりいって竜王戦よりも面白かった(^^)。。

 こんなに大駒が暴れまくったケンカ将棋は久しぶりに見ました(^^)。ホームランの打ち合いのような派手な将棋、しかし大味というんじゃなくって、さすがはプロという緻密な組み立てになっていて、ものすごく楽しかった!!久々に角の手筋の復習でもしようかな(^^)。
 それにしても終盤での佐々木さんの強さはハンパではないですね。終盤力があると一手で勝敗が入れ替わっちゃうことがあるので、終盤力というのはオソロシイ武器であると再度痛感させられた将棋でした。面白かった!!!


プロフィール

ShougiX

Author:ShougiX
駒の動かし方を知っていた程度の初心者です。せいぜい1日1時間ぐらいしか将棋に時間を割けない社会人が、ガンバって1年で初段になる事が目標です!
(*追記)10ヶ月ちょいで初段到達!!ただいま、居飛車側から各戦型に対応できるよう奮闘中(汗)。。

新刊棋書
最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
検索フォーム
リンク
RSSリンクの表示
ブログランキング
ブログのランキングサイトに参加してみました。 よかったら、クリックしてくださいね!
QRコード
QR
これまでの訪問者数
アド