第88期棋聖戦 挑戦者決定戦 糸谷哲郎 vs 斎藤慎太郎 (横歩 佐々木流)

 棋聖戦の挑戦者決定戦は、若手同士の対局になりました。斎藤慎太郎さんは若手強豪と言われつつ、僕的にはNHK杯の対康光戦で、勝勢から攻めあぐねてひっくり返された将棋の印象が強くて、終盤はプロの中では若干弱いのかな、という印象。もちろんそれはプロの中の話であって、僕が3分ぐらいウンウンうなってようやく解いた詰め将棋を、20秒ぐらいで半笑いでいとも簡単に解いてました(^^;)。う~ん、プロって凄いな。。

20170425棋聖88挑決_糸谷vs齊藤慎_横歩勇気流89手 この挑戦者決定戦は糸谷さん先手で、横歩の佐々木流を採用。いや~、これもまた難解なんですよね。今日こそ佐々木流を勉強しようと思いつつ、またしても早々と定跡から離れて良く分からない展開に。これは定跡書の出るのを待つしかないかも…。というわけで、糸谷さんが序盤でうまく指し、プロ棋士の解説では先手がかなり良い、みたいなところから将棋がもつれました。もつれた理由のひとつは、悪くなってからの斎藤さんの粘り腰。89手目盤面図は、斎藤さんが先手陣にうまく食らいつきつつも、追う手を間違えたか守りに行ってしまったかで先手玉を逃がしてしまったように見えたところ(いや、実際はどうだったんでしょうか。確かに、棋譜解説にあった退路封鎖の△77歩を一手指入れていたら逃がさないで済んだかもしれませんが、そこに一手使えるかどうかというぐらいに後手陣はヤバかったですし・・・)。この局面、もう後手が何を指していいのやら、僕にはまったく分からず。△同角じゃ▲86玉で逃がしますよね、しかし今から先手右辺を制圧したと金やら金を寄っているようでは、先手の▲23歩成とか▲33飛車成みたいな手が間に合ってきてしまいそう。もう寄せ方が分からによ、というところで斎藤さん…

△54金
 ん?なんだこの手は…ああああ~なるほど、33の銀に紐をつけつつ、次に△65金を狙って先手の馬をどけに行くのか!この時、斎藤さんは時間をほぼ使い果たしていて、2分だけ残しての早指しになっていて、一方の糸谷さんは相かわらず1時間以上残しているにも関わらず早指しの時間攻め(^^;)。いやあ、よくも1分の間にこんな構想をひねり出せるもんです。

20170425棋聖88挑決_糸谷vs齊藤慎_横歩勇気流119手 これで少しは差を詰めたかもしれませんが、しかし相変わらず後手は寄るや寄らずの際どい状況、先手陣に詰めろをかけるのも難しく、先手からの怒涛の攻撃。横から竜の攻めに、合駒のコビンから吊り上げるための金銀を打ち込まれるので取れずに駒を貼って受け続けるしかなく、この受け一辺倒の中で67に貼った角が攻防の一手で、一気にわからなくなりました。というか、一間龍を受け凌ぐって、すごい…。そういえば昔、『光速の寄せ』という本で、こういうのばっかり勉強してたなあ。。そして、王手が入る状況まできた119手目盤面図、後手がどうやって先手玉を逃がさないか、という所で飛び出した手が…

▲98銀
 おおお~退路封鎖の捨て駒、これはカッコいい!!
これは寄せの絵がもう見えてるのかな?△85金をはじめ、次の85への打ち込みが飛んでくると先手はオシマイなので、これは何かうまい手を考えないと…

△95角
 ええええええ~糸谷さん、受けずに王手?!いや、これは△73歩と受けられたあとに△85歩と指されたらどうするんだ?いや~これこそ敵の打ちたい所に打ての▲85香しかないと思ったんだけど、それだと△84歩以下、けっきょくマズいのかな…

 というわけで、ここからは攻守が完全に入れ替わって、斎藤さんが寄せられるかどうかどうか。ここでの糸谷さんの受けがさすがプロで、もう詰んだと思ったところから凄い手をひねりだしましたが、しかしこの期に及んで妖しい手を指しても斎藤さんは間違えてくれず、136手にて後手斎藤さんの勝ち、羽生棋聖に挑戦です!!

 いや~、プロの解説を聞いていると中盤ではけっこうな差だったみたいで、それを鵜呑みにして仕事しながらノホホンと見ていた僕は、「これって70手行かずに終わっちゃうんじゃないの?」みたいに思ってました。しかし、厳しい中でも気持ちを切らさずに手をひねり出し続けるというのが大事なんですね。今日なんか、そこがタイトル戦挑戦が適うかどうかの差だったのかも。逆にいうと、糸谷さんの将棋は、いつもながらもったいない気がします。時間攻めも立派な作戦でしょうが、しかし自分が優勢で、しかも1時間以上も残してるなら、時間攻めで勝とうとなんてしないで、読み切って勝てばいいのに。劣勢の終盤で、相手に間違えさせる為にノータイム指しするなら分かるし、勝ってる将棋でも読みきりでノータイムで寄せきっちゃうならそれも分かるけど、1時間以上残してパパッと指して、反撃喰らって逆転負けって(^^;)。。渡辺竜王に「将棋が雑」と言われるのは、きっとこういうところなんでしょうね。。


藤井聡太炎の七番勝負 第7局 藤井聡太 vs 羽生善治 (角換わり▲45桂速攻)

 藤井聡太さんの炎の7番勝負、ラストは最強棋士・羽生さんとの戦いです!振り駒の結果は藤井さん先手、7局中6局で先手か、持ってるな(^^)。

20170423藤井7番勝負-7_藤井vs羽生_角換31手 将棋は角換わり▲45桂ポン、波紋を呼んだ去年のA級順位戦▲三浦-△渡辺戦で飛び出して以降、流行している手です。31手目盤面図はその将棋とまったく同一局面、この前やっていた棋聖戦の決勝トーナメントの▲糸谷-△佐藤康戦も同じだった気がします(あれ?1筋の歩を突きあっていなかったかも…忘れちゃった^^;)。。▲三浦-△渡辺戦では、渡辺さんがここで△45歩と突いたところで▲71角の返し技。以下、△72飛▲53桂歩成の王手△51玉▲61桂成△同玉▲44角成と進んで、先手桂損ながら馬を作る展開。どうもこれが後手にとってまずい展開みたいで、後手がこうさせない指し回しをする事が多くて、本局は…

△42角
 これが最近の受けの流行みたいで、ここからは…

▲34飛△23銀▲35飛△44歩▲71角
 やっぱり71への角打ちがこのポン桂の狙いなんですね、これが意外と嫌ですね…

△72飛▲53桂成△同金▲同角成△同角
 これで金と角桂の二枚替え、後手の駒得。

20170423藤井7番勝負-7_藤井vs羽生_角換45手▲85飛△82歩▲25飛(45手目盤面図)
 1筋の歩の突きあいを除けば、ここまではこの前の▲糸谷-△佐藤康戦と同一の展開。というわけで、ここまでは最近の定跡といったところじゃないかと思うんですが、この前の康光さんはここで▲42飛と振ったんですが、結果は糸谷さんの勝ち。というわけで、後手が変わるなら手番を握ったこの局面じゃないかと思うんですが…

△43角
 いや~、角を受けに使いました。歩切れという事もあるし、これは体勢が整うまでしばらくガッチリ受けようという構想でしょうか。解説の天彦さんが「△43角はない」といった直後の一手なので、コーヒーふいちゃいました(^^;)。。

▲29飛△33金▲48金
 お、藤井さんはいったん▲いったん48金29飛の流行の構えを目指しにいったのかな?

△74歩▲47銀△32玉▲35金△75歩▲同歩△同飛
 一方、後手は歩切れを解消すべく7筋の歩の交換に行きました。それにしても、▲35金はいい手ですね~、駒損と引きかえに敵陣を乱して攻めを繋ぐ構想を練ったので、歩で攻めを繋ぐ事を考えたら、この一手なのかも(^^)。う~ん、勉強になるなあ。

20170423藤井7番勝負-7_藤井vs羽生_角換63手 しばらく進んだ63手目盤面図。先手からは次に▲45歩とか駒をぶつけて仕掛ける手が満載、後手は一歩を入手したもののまだまだむずかしい展開。ここでどう指すのがいいのか、僕なら普通に△34歩みたいに謝っちゃいそうなんですが、阿久津さんの解説によると、「▲25金と躱されてから▲35歩とぶつけられたら、場合によってはむしろ△34歩と打たない方が固かったという場合もある」との事。う~ん、僕には指し手が分かりません(>_<)。ここで羽生さんが指した手は…

△83飛
 いやあ、よくこんな手が思いつくな…こういう一見不格好に見える手をこういうところで選ぶ柔軟さ、プロってすごいよ。。なるほど、これは実に複雑な局面を作り出した感じがします。次に△95桂が入ると8筋突破ですし、54の銀がどけば不格好に打たされたように見えた43の角がこれまた87を直撃。いきなり飛角の2枚が攻防に働いてきます。これは羽生マジック的というか、眩惑的ではありますが、後手の反撃筋を作ったかわりに先手の攻め筋は手抜いた形になるので、先手に速度計算を含めた読み力を要求した感じ。ここで最善手を続けられれば先手がいい気がするだけに、藤井さんがプロでどのぐらいの位置にいる人なのかが問われる局面かも。。

 しかし、ここで藤井さんは堂々と▲45歩を突いてから8筋をガッチリ受け。以降は藤井さんは綺麗に攻めきり、111手にて先手藤井さんの勝ち!!しかし、完敗かと思ったところから、詰めろ逃れの詰めろを連続で作ってしまう羽生さんもすごかった…。。

 角換わりのポン桂、後手は駒得はしつつも陣形を乱され、歩切れを突かれ、手番を握られ、みたいな感じで、後手に苦労が多い将棋になる展開が多い気がします。将棋ソフトがとんでもない強さになって以降、ソフトの将棋の指し回しがプロ将棋に影響してる気がします。中盤、まだ駒組みをつづけても良さそうなはやい段階からいきなり切り込んで、駒損のかわりに手番を握ったり駒の働きで差をつけたりして主導権を握り、細そうな攻めを繋げてしまう、みたいな。
 それにしても、中学生が深浦さん、康光さん、羽生さんのA級3人を3タテ、すごいです。いや~、本当に中学生のうちにタイトルを取ってしまうかもしれませんよ。。

第75期名人戦 第2局 稲葉陽 vs 佐藤天彦 (急戦矢倉)

 これを急戦矢倉と言っていいのか分かりませんが、矢倉模様の出だしから互いに居玉のまま仕掛けはじめるという力戦調の将棋でした。結果、72手という短手数で佐藤天彦名人の勝利、1勝1敗のイーブンになりました。

 竜王戦ランキング戦といい、他棋戦の本戦といい、最近のプロ将棋は単手数の将棋が増えているように思います。これってどういう事なんでしょうね。プロでは、後手が序盤でいきなり綾をつけに行って、その是非を問うみたいな将棋が増えてるって事でしょうか。研究のなかで、1手でも早く自分の研究を先にぶつけて、研究にひきずりこんだ方が有利、みたいな。これってもしかすると、プロを超えたコンピューター将棋の影響なのかも。この将棋は名人が最初から最後まで一手の緩手もないまま正着を指し続けた感じでしたが、これからのプロ将棋って、序盤でいきなり綾をつけに行って、単手数で一手間違えるかどうかのギリギリを問う、みたいな将棋になっていったりして。ボク程度のアマにはとても真似できない、なんかすごい異次元な感じの将棋でした。

藤井聡太炎の七番勝負 第6局 藤井聡太 vs 佐藤康光 (後手ダイレクト向かい飛車)

 記憶違いなら申し訳ないですが、佐藤康光さんって、いま公式戦10連勝ぐらいしてなかったでしたっけ?まだ序盤の段階でものすごい構想からいきなり踏み込んで中盤になだれ込み、それが無理攻めでなくちゃんと成立していて、相手の研究を外して以降は棋力の差を見せつけて優勢を広げ、終盤は抑え込みなどせず鬼のような切れ味で相手を斬りにいく感じ。その絶好調佐藤康光さんが完膚なきまでに粉砕されました。藤井聡太さん、めっちゃ強い…。しかも、棋譜が凄すぎました。

20170416炎の七番-6_藤井聡vs佐藤康19手 将棋は後手康光さんがダイレクト向かい飛車を見せて対抗形に。最初に驚いたのは藤井さんの構想力。端を受けずに玉を寄りに行った序盤の後手康光さんに対し、聡太さんが9筋の端の位を取ったのが19手目(盤面図)。以降、藤井さんはこの位を主張しに行く構想を練り、それが詰みに直結する事になったんですが、それを考えるとこの段階で藤井マジックは既に始まってたのかも。

△33桂▲36歩△42金▲58金右△72玉▲37桂△21飛
 後手康光さんは最近の角換わり系の将棋の玉の逆サイドの守り形を作り、藤井さんはそれに応じる形に。そして…

▲77桂
 あ、銀冠を作りに行くのか…と思いますよね。そう思うのは、ぜったい僕だけじゃないはず。でも、この桂の狙いは全然別でした。以降、藤井さんはチャンスがあってもそれを見送り、構想通りの将棋を作り上げに行くんですが、そんな事はアマチュア弱小の僕は知る由もなく…

△62金▲29飛
 後手に続いて先手も、角の打ち込みを消す飛車引き。それが狙いだと思いますよね?もちろんそれも狙いのひとつだとは思いますが、しかし…

20170416炎の七番-6_藤井聡vs佐藤康31手△82銀▲68金上(31手目盤面図)
 金をあがった瞬間、「アッ!」と声が出てしまいました(^^;)。。やっとわかった、藤井さんの狙いは地下鉄飛車だったんですね。。いや~、この指し方、僕は『よくわかる角換わり』に出ていた右玉破りで学んだことがあって、しかも一時期は対右玉には徹底してこれを指してたんですが、自分で指していながらまったく気づきませんでした。。なんと、9筋を突きあわなかった序盤の一手を咎めに行っていたとは…しかし、19手目盤面図の1手前に後手が指した手って、△62玉なんですよね。それに替えて端歩の突きあいを優先できるかというと、これはなかなかムズカシイ。。というわけで、極論すると、これは△54歩を突きだしてからのダイレクト向かい飛車自体を咎めに行ったという事にもなるのかも…。いや~、もしこれが成立しているとすると、独創的な構想で知られる康光さんに対して、構想で上回る事になる気が…。。

20170416炎の七番-6_藤井聡vs佐藤康44手 以降、藤井さんは8筋~9筋に振る地下鉄飛車を狙って駒組みを進展させ、康光さんは銀冠を完成させつつ反撃筋を着実に作って、44手目盤面図へ。ここで藤井さんは…

▲96銀
 なんだこれえええええ~~いきなり踏み込んだああああああ(゚ロ゚ノ)ノ!!!いやあなるほど、飛車まわりを後にしてるのは△25歩をギリギリまでケアしてるのか。。というか、よくこんな順を思いつくな、信じられない。。向かい飛車を相手にせず、9筋の位を活かした端攻めを絡め、飛銀桂で玉頭から潰してやろうというのが、19手目以降の先手の一連の構想だったんですね。しかし、何も考えずにパッと見たら、むしろ後手の方がバランスのいい構えに見えるぐらいに、後手もいい構えですよね。これ、通るんだろうか。。

△64銀▲89飛
 先手狙い筋とはいえ、向かい飛車で飛車筋をずらすのはけっこう怖いと思うんですが、それでも飛車を回りました。これ、先手は成立していると見ていないと回れないですよね。△25歩はもちろん、8~9筋の戦場でも△94歩の反発とかもありますし。。

△62角
 うわあ、康光さんもすごい手を返してきました。これ、アマから見ると康光さんの考えが理解しにくいです。△25歩からの飛車先突破では間に合わないと見たとも思えるし、だから△86角~△77角のスピードアップを図ったのかも。ついでに、戦場になりそうな84にも利かせておく、みたいな?いやあ、テキト~な事言ってますが、僕程度の棋力ではちょっとついていけません(^^;)。自分の棋力アップのための日記なので許して下さい。。

▲45桂
 相手の手に乗って有効手を挟んできます。後手の角打ちで的にされそうだった桂をここで跳ねだして桂交換で捌きに行きました。これ、捌いた桂を戦場で活用しようとしてますよね…。ここまでの藤井さんの棋譜を見てると、こうした駒の補充を藤井さんがしに行ったら、もうヤバいです。。

20170416炎の七番-6_藤井聡vs佐藤康68手 ここからは先手の玉頭攻めvs後手の角の成り込みの攻め合い。しかし藤井さんの終盤がヤバすぎました。信じられない手が何手飛び出したでしょうか。。盤面図68手目は、9筋を突破された後手が、8筋の飛車を走られるのを防ぎながら反撃を見せた桂の打ち込みの局面。ここで藤井さんは…

▲96桂△95銀
 えええええ~~なんだその手は(゚ロ゚ノ)ノ!!いや~そんなの△95銀の桂頭銀で何でもないだろ、桂をみすみす1枚捨てただけじゃないのか、と思ったら…

▲84桂
 ええええ~タダ捨てするのか?!!…って、あああああそうか、△同銀には▲93銀か!!いや~なんというカッコいい手だ。。

△86桂▲68玉△84銀▲86飛△83金(76手目盤面図)
というわけで、佐藤さんは1回王手を入れて飛車がすぐ走れないようにしてから受け、△83金を打ち込んで防波堤。これはすごい受けだ、1段目に引いた飛車の効果が絶大で角が打ち込みにくくて寄せにくい。。これ、寄せるの難しいんじゃ…

20170416炎の七番-6_藤井聡vs佐藤康76手▲95桂
 うあああああああ!!!なにこの桂打ち…あああ、香を抜けば頭銀、桂を取れば飛車が走るのか。。じゃ、金をよけたら?…▲93銀とかが飛んでくるのか。。いや~これはキビシイ。

△同銀▲85飛△84銀▲93銀
△同金▲同香成△同玉▲99香
△94歩(86手目盤面図)

 他の受けでは余計に早くなりそうなので、ここまではほぼ一直線。
 しかしプロの受けはさすがです。さすがに先手優勢と思いますが、むここは飛車を引くしかなさそう、康光さんはなんとか手番を手に入れる事が出来、何とか飛車先を受けてから反撃に行きたいところ…かと思ったら…

20170416炎の七番-6_藤井聡vs佐藤康86手▲72角
 うあああああああ~またしても綺麗な詰めろが飛んできたああああ!!なんというんでしょうか、局面的には詰めろで迫って寄るなら飛車取りは関係ないので誰でも考える手ではあるんですが、でも受けられたらどうなるかを考えたところで切り捨てる手でもありますよね。こういう優勢の局面で一番やってはいけないのはポカだと思うので、急いだ攻めで読み抜けるよりも確実な寄せをするのが普通と思うんですが…これ、合駒されて寄るんでしょうか?しかし、ここからがまるで詰め将棋のような華麗な寄せ。

△83歩▲94香△同玉▲95金△93玉△同銀は▲84飛△同歩▲94角成
 まで、95手にて先手藤井さんの勝ち!!いや~なるほど、▲95金がカッコいい!△同銀は▲83飛成で詰むので△93玉の一手というわけですか。

 この終盤、藤井さんが完全に読み勝っているように見えます。また、地下鉄飛車を8筋に振った時の2筋の速度計算も藤井さんが勝っているように見えます。ついでに、構想も…。現在の調子的に、神がかった終盤というと久保さんに羽生さんに康光さんという気がするんですが、そのひとりの康光さんが何もさせてもらえずにここまで一方的にやられるとは、想像してませんでした。聡太さん、これはトップレベルどころか、現役A級棋士ふたりを完全にねじ伏せました。こんな規格外、近いうちにタイトルを取るなんて当たり前で、それどころか羽生さん級の怪物の登場なのかも。プロ入り以降、怪物級の棋譜の連発です。羽生さんと永瀬さんはよくこんな化け物に勝ったもんだな…。。

第30期竜王戦 1組ランキング戦準決勝 糸谷哲郎 vs 羽生善治 (角換わり)

 羽生さんの永世竜王&永世7冠のかかった竜王戦。1組ランキング戦は準決勝まで来ました。羽生さんの相手は、糸谷さん!いやあ、強豪ばかりで心臓に悪いです。この将棋、糸谷さんの先手で角換わりになったんですが、怪物じみた名局。両者ともにスゴイ指し手の続いた鳥肌ものの棋譜で、これは角換わりの定跡になるんじゃないかと思います。

20170411竜王30-1組ランキング_糸谷vs羽生_角換37手 角換わり相腰掛け銀は、すっかり▲48金29飛/△62金81飛型の同型が席巻する事になってしまいましたね。▲58金△52金型の時も、僕は定跡を勉強するまで打開できずに何を指していいかまったくわからなかったんですが、▲48金△62金型でもまったく同じ状態に陥ってます(^^;コマッタモンダ)。しかし、この将棋はめっちゃ参考になりました。今後はこの棋譜を参考に指そうと思ったほど。37手目盤面図はほぼ先後同型。次に△31玉と潜れば完全に先後同型ですが、後手としてはそれは避けたいので、ここで△65歩と突く手をプロで何回か見た事がありますが…

△63銀
 えええええええ~~さっき出たばかりの銀を引くのか?!!(゚д゚ノ)ノ!
いやあ、竜王戦1組の将棋で、こんな手が飛び出してしまうとは。もしこれがシロウト同士の対局だったら、間違いなく悪手と言われそうですが、羽生さんの指し手ではね。。

▲66歩△52玉▲88玉△42玉
 うわあああああ~~寄った玉を中央に戻すのか?!…な~んちゃって、これは森内さんなんかも指していたし、手待ちですね(^^)。あああなるほど、先手の形が今が最善なので、手待ちして駒組みの崩れた一瞬を狙っていこうという考えかな?これは角換わり相腰掛け銀の考え方の伝統みたいですね(^^)。ただ、その手待ちに腰掛け銀自体を引くという手があるのが、プロの定跡研究の恐ろしい所です。僕なんかのアマ弱小では、観た事がなかったらあんなの指せないよ…。そういえば、何かの解説で「後手の42にいる玉の位置は、不安定なようでいて52にも31にも行けるので非常にいい形」ときいた事があります。しかし、ここで先手は▲45桂から攻めないんですね。去年のA級順位戦▲三浦-△渡辺戦の角換わりで、三浦さんがものすごくはやい段階で▲45桂と跳ね、桂を丸損しながらとんでもない指し回しで後手陣を崩壊させて以降、この筋の恐怖症になってます(^^;)。あれは△62金型じゃなかったですが…ああ、だから△62金型になってるのか。。

▲67銀
 とはいえ、▲45桂は普通は成立しなさそうですよね、あの将棋だって早い段階での桂の丸損だったし(^^;)。。というわけで、ここで糸谷さんは銀を引きました。これは手待ち半分ぐらいの意味かな?

△54銀▲56歩△44歩
 いやあ…先手が銀を引いたタイミングで銀を腰掛け、▲56歩で先手腰掛け銀が一瞬消えたところで桂跳ねを消しに行きつつ、腰掛け銀を囲いにくっつける手も見せてくんですか。なんというか、この呼吸がすごい。。逆に糸谷さんから見ると、▲56歩は飛車を回って腰掛け銀を潰しに行こうとしてますよね?まだ駒はぶつかってませんが、すごい攻防戦です。

20170411竜王30-1組ランキング_糸谷vs羽生_角換52手▲59飛△31玉▲55歩△43銀▲56銀△22玉(52手目盤面図)
 ここもすごかった。糸谷さんはやっぱり飛車を回って5筋から仕掛けて位を取りましたが、それに対して羽生さんは玉を躱し、腰掛け銀を玉側に引いて銀矢倉を完成し、玉を潜ってしまいました。先手は攻めっ気ある指し回しで5筋の位を取りましたが、羽生さんはその手に乗って陣形を整えていきます。これは面白い盤面図ですが、バランスが取れているんでしょうか。角換わりなのでおっかないとも思ったんですが、こうなると△62金81飛型は打ち込みの傷がなくって守りやすそうですね…なるほど、ここまで組めれば後手不満なしかも。

▲29飛△65歩
 ここで先手は飛車を定位置に戻して角の打ち込みを消しつつ矢倉崩しの位置に飛車を据えましたが…なんとここで後手から仕掛けました!!いや~、こういう将棋になると、後手は受け潰すかカウンター狙いの将棋を構想するかと思ってたんですが、なんと先制です!!しかしこれ、成立してるのか?

▲同歩△86歩▲同歩△95歩
 ああああああ~~~なるほど、これで▲同歩と取れば△75歩▲同歩から△86飛と飛車を切って▲同銀△66角の打ち込みで勝負するのか!!いや~それでどちらがいいのかは分かりませんが、後手が先着できるのは間違いなさそうですね。という事は、△65歩は成立してるって事?マジか、オソロシイ…

▲66角
 いや~、先手の糸谷さんもすごいです。なるほど、9筋の歩を取り込まれたら、92から連打の歩で反撃しようというわけか。う~ん、すごい事になってきました。。

△54歩
 羽生さん、糸谷さんが打ち込んだ角を咎めに行きました!▲同歩なら△同銀で角頭への攻めが決まりそうですが…

20170411竜王30-1組ランキング_糸谷vs羽生_角換65手▲24歩△同歩▲23歩△同金▲25歩(65手目盤面図)
 というわけで、糸谷さんはここで先に玉頭からの矢倉崩し。手抜きに取り込みのタイミングに反撃筋に速度という難解な局面になってきました(^^)。でもこれ、△同歩と取れば▲同桂△24銀で玉のコビンが空いて、△54歩と咎めに行った手がむしろあだとなりそうですよね…というわけで手抜いて反撃するなり、角筋を消すうまい順を考えるなりしたいところですが…

△85歩
 うわあ、羽生さん、ストレートな攻め合いを選択!しかしこれ、取って取ってとやったら、後手の飛車筋は歩で止められるだけに、先手の方が良いように見えるんですが…

▲24歩△同金▲45歩△86歩▲84歩
 あああやっぱり▲84歩で飛車筋を止められたよ…。。羽生さんの永世竜王への道はまた遠のいたか…でもまだランキング戦だしな、チャンスはまだある…と思ったら…

△96歩
 いやあ、鳥肌が立った。。。
これ、僕は完全に見えてませんでした。そうか、飛車筋を止めたら香が走るのを止められなくなるのか!これ、香を補充しにいって飛車のかわりに85に打ち込もうとしてますよね?ただ、次の▲44歩が入ると後手はかなり危ないですよね?速度的にどうなんだ?

▲44歩△同銀直▲54歩
 あああ、これで次の▲24飛△同銀▲44角がめっちゃ厳しいですが…

△28歩▲同飛
 いやあ、これもすごい…。この歩、飛車を浮かせるという意味ですよね。でもそれが具体的にどういう手を準備しているかというと、ちょっと分かりませんでした。これがどういう意味だったかというと…

△55歩▲45歩△56歩▲44歩
 角を止める手筋の△55歩は厳しいですが、ここで先手は突き違いで銀を取り合って反撃。次の▲43歩成がまたしても厳しい手になりますが、しかしここで銀を拾った後手は…

20170411竜王30-1組ランキング_糸谷vs羽生_角換82手△87銀
 いやあ、この打ち込みが速いのか。。しかも、飛車を浮かした事の具体的な意味がようやく解りました。つまり、飛車を浮かしておくと、ここで△69角が用意できるというわけですか。要するに、ここで本当なら▲同金としたいんだけど、そうすると△同歩成▲同玉に△69角が入るので、▲78銀△97金(これも端を取り込んだ時には見えていた筋なんでしょうね…羽生さん恐るべし)▲同香△同歩成▲同桂△同香成と精算してから△78角成の詰めろ。ここで手番は先手に移りますが、どうやっても一手間に合わないというわけですか。。
 というわけで、この銀を取る事が出来ずに糸谷さんは玉を逃げましたが、これは駒を補充しながらの追撃となるのでいかにも厳しかったです。結果、最後は糸谷さん得意のクソ攻めに行きましたが(とはいえ、これがアマなら簡単に間違えさせられそうな厳しい攻めでけっこうオッカナイ)、羽生さんは鬼のように冷静に受け切って、攻めが切れたところで糸谷さん投了。羽生さん、竜王戦1組ランキング戦決勝に進出です!!

いや~、なんという将棋でしょうか。とんでもない手待ちから、相手が銀を引いた瞬間に玉を固め、自分から先制してしかもそれが成立していて、最後は一手勝ちの局面に持ち込んでしまうんですから。中央の折衝もメッチャクチャおっかなくって、僕なんかだとどっちがいいのか全然わからないんですが、この棋譜を見る限り、羽生さんは読み切って自分の方が速いと判断してから踏み込んでますよね…いやあ、マジでオソロシイです。糸谷さんの指し回しも絶品と思ったんですが、仕掛け前後の数手の綾だけが勝敗を分けたんじゃなかろうかというほどの、1mmの隙で相手を斬ってしまったような見事な将棋でした。この棋譜、角換わり相腰掛け銀の▲48金/△62金型の定跡になるんじゃないでしょうか?!


プロフィール

ShougiX

Author:ShougiX
駒の動かし方を知っていた程度の初心者です。せいぜい1日1時間ぐらいしか将棋に時間を割けない社会人が、ガンバって1年で初段になる事が目標です!
(*追記)10ヶ月ちょいで初段到達!!ただいま、居飛車側から各戦型に対応できるよう奮闘中(汗)。。

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