第30期竜王戦決勝トーナメント 藤井聡太 vs 増田康宏 (相居飛車)

 はじまりました竜王戦決勝トーナメント!!僕は、勢いある若手からベテラン超強豪棋士まで顔を出す竜王戦決勝トーナメントが、プロ将棋の中で一番好きなんです(^^)。。今年は特にそうで、羽生さん康光さん久保さんの黄金の羽生世代、渡辺竜王(まあこれはトーナメントには出てきませんが)に稲葉さんという今が全盛期ぐらいのアラサー世代、勇気さんに藤井聡太くんの若手強豪まで参加のトーナメントなんて、面白すぎです(^^)。しかも、トーナメント中に天彦名人以外のタイトル持ちがみんな入ってるし。開幕局一回戦は、藤井くんによるプロ連勝記録の更新がかかった一番になりました。しかも相手の増田さんは去年の新人王なので、これは最強新人対決でもあるという、なんかすごいものがいろいろ重なっちゃった一番(^^)。

20170626竜王TN_藤井聡vs増田_相居飛車20手 戦型は…いや~こういうのって、いまだになんといっていいか分かりません(^^;)。どちらも矢倉に囲わないけど矢倉がいちばん近いのかな?出だしは角換わり気味だったんですが後手の増田さんが角道を止めて角交換拒否。角換わりは拒否しない藤井さんの傾向を見越して進め、しかも角換わりを外すという作戦かな?これは狙っていたに違いない( ̄ー ̄)。でもそこから矢倉に合流していくかというと、後手増田さんは33ではなく43に銀をあがって雁木、すでに矢倉にはならない形。先手は先手で銀を88じゃなくって68に回したもんだから、これも雁木指向になりそうで矢倉に組みそうにありません。20手目盤面図なんて、僕レベルの人間にとっては力戦みたいなもんです。最近、プロはマジで矢倉に組みませんね、コンピューターがプロを凌駕しはじめて以降、角換わり腰掛け銀もぜんぜん新しい形になっちゃうし、矢倉なんか角換わりどころじゃない大激震に見舞われちゃいましたが、相居飛車では矢倉がかせぎ頭の僕としては、これまでの序盤の勉強がぜんぶ無駄になりそうで、やめてほしいっす (´・ω・`)。先手▲77銀復興以降の矢倉の戦型分岐を綺麗にまとめた定跡書って、出ないかなあ。弱小アマとしては、流行戦型の研究じゃなくって、加藤流や森下システムなんかの古い形も急戦も雁木も含めた矢倉全般の分岐チャートが欲しいっす。上野さんの本って、どれぐらいまで書いてあるんだろうか…。

 今は昼食休憩ぐらいのタイミング。すでに先手が矢倉に囲わなかった後手の咎めに行ってますが、ここからどうなるでしょうか。今日は仕事が進む気がしないぞ。。

 ただいま夕方の5時ごろ。中盤の難所ですが、いや~これは後手増田さんの方が指しやすくないかい?とうとう連勝が止まるかも…。

 夜戦。追い込まれた藤井くん複雑な順の反撃を選んで乱しに行きます!いや~「ここで角を打つんじゃないの?」とか、そういうひと目良さそうでも普通の手はことごとく指さない感じ。そしたらなんといつの間にやらこれが通ってしまった模様。いや~、よもやあれで先手がずっと良かったなんて事はありえないと思うので、どこかでひっくり返ったんだと思います、どこか分かんないけど(^^;)。結果、いつの間にやら手品のような逆転で、藤井さんの勝ち!!プロ新記録の29連勝です!!(*・∀・)ノ゙ 。 オメデト-♪

 いや~、すごいものを見てしまった、もしかしたらこの記録が破られる日を、僕は死ぬまで見れないかも。また、藤井さんにしても、このまま強くなったら強い人との対局しかなくなっちゃうので、自己更新も難しくなるだろうし。そして今日の将棋は、序盤は完全に増田さんの作戦勝ちだった気がします。角換わりを拒否しない相手に、誘い込んでおいてもっとも早い段階でそれを拒否して変化するという、相手が拒否もしにくいし自分の研究は外れにくくなるだろう。これは見事な戦略でした。中終盤に関しては、なんというか…羽生さんの将棋ばかり並べてた人間の感覚でいうと、こういう複雑な順の攻め合いに来られた将棋って、受け潰しって安全策に見えて安全策じゃない印象があります。中盤で自分がの方が良さそうな時って安全勝ちしたくなるけど、暴れられると一手差勝ちを狙いに行かないと難しかったりする事が往々にしてある、みたいな。増田さんは手抜き出来るタイミングが結構あったのに、反撃を入れずに受け続けていたのは、そういう意味で「手の速さも考えながら攻めの速度も合わせて反撃筋を作っておかないと、受け一辺倒ではヤバそうだな…全然わかってないけど、これが最善手じゃないんだろうな」な~んて嫌な予感はしました。でも、そういうのをひっくるめて相手より上を行っているから、29回も連続で勝てちゃったりするんでしょう。いや~、将棋も凄まじい、記録も素晴らしいという、いいものを見せていただきました。さてこうなると、誰が連勝を止めるんですかねえ。なんか、森内さんの気がしてならない…。。

コミック『将棋の渡辺くん』

SHouginowatanabekun_02.jpg 渡辺竜王の奥さんが書いている将棋エッセイマンガです。ずっと読みたいと思ってたんですが、とうとう近所の古本屋で見つけたので購入。1~2巻をまとめて買いましたが、3巻ってあるのかな?
 
 いや~面白かったです!創作将棋ドラマでなく、ノンフィクションの将棋ギャグエッセイという所が面白いです。ボケ漫画なんですが少しだけ知的で、そこがセンスいいなあと思って、楽しく読ませていただきました(^^)。ボケだけだとエッセイとしてはつまらなくなってしまいそうだし、でも知的にしすぎるとギャグ漫画としての面白さが薄れるし嫌みにもなる気もするので、このさじ加減が絶妙に感じました。

 将棋を全然指さない人と指す人の両方を視野に入れて書いているだろうから、ネタが棋士や将棋の絡むものと、渡辺竜王の個人的なネタ(竜王がぬいぐるみ好きな事を元にしたネタが結構あります)のふたつに分かれるんですが、将棋好きな私としてはやっぱり将棋や棋士が絡むエッセイ風のマンガが面白かったです。脳内将棋は渡辺さんでも盤面ぜんぶが見えてるわけではなくて、玉の囲いや駒のぶつかっている所を覚えていて駒台の歩の数とかはあいまいだとか、盤面図を見るとプロは「あ、これは○○八段vs□□七段戦だ」とか分かるとか(すげえ)。将棋会館が東京と大阪にしかないので、プロ棋士を目指す奨励会員の子供は早い段階で親元を離れる事があって、先崎さんは小学4年から米長さんの家の居候、行方さんは中学から東京に出てきて一人暮らししていたとか。こういうエピソードは、すごく面白かったです。

 西原りえこさんからか、はたまたちびまる子ちゃんからか、エッセイ漫画ってすごく増えましたよね。さっと読んで「なるほどね」みたいに思って楽しむジャンルだと思いますが、そのジャンルのプロ棋士版というのはとっても貴重。プロ棋士当人はそんなの書いてられないでしょうから、書ける可能性があるのは奥さんやご家族だけ。でも、プロ棋士って人数がすごく少ないので、これを読まなかったらノンフィクションの将棋エッセイ漫画は二度と読めないかも知れません。推薦!

第67期王将戦 予選7組 藤井聡太 vs 澤田真吾 (角換わり相腰掛け銀)

 藤井聡太さん、プロ将棋連勝記録タイの28連勝(・ω・ノ)ノヒョエ~!!どの棋戦でも勝ちあがってきてるので、若手強豪とかの名の知れた人ばかりが相手になってきてるのに、負けません。イチローがメジャー記録の年間安打新記録を達成した時もそうだったんですが、とんでもない事をやっているのに毎日それだからそれに慣れちゃって勝って当たり前みたいに思えてきちゃうのが怖い。だって、普通は1勝するのが大変な世界ですよね、プロって。。

20170621王将予選_藤井聡vs澤田_角換66手 戦型はまたしても角換わり腰掛け銀。得意戦型のひとつなんでしょうね。今日ビビったのは中盤争いかと思っていた所から一気に終盤の寄せの絵にまで直結させた踏み込み。66手目盤面図は、後手が負の拠点を多く作られたところから、両取りの角打ちを放って形勢を挽回しかけたように思えたところ。ここで藤井さんは…

▲38飛△19角成
 いや~、第一感だと▲69飛~▲62歩成としそうなもんですが、なるほど△37角成を許すとそれが55の銀にも当たってくるから▲38飛なのか。しかしこの飛車は狭いですね、飛車をいじめながらの寄せを喰らっちゃいそうなので、ここはそれを上回るスピード感ある攻めを考えたいところですが…

▲64角△31玉▲44歩△同歩▲53角成
 この角打ちは銀に紐をつけつつ玉をラインに入れる好手に見えます(^^)。しかし、次の▲44歩の味つけが見事、いや~これはちょっと感心してしまいました。次の▲53角成のあとで、銀打ちの合駒をしてくれれば攻め駒を削れて自玉は安全になるし、銀引きなら44の歩が浮いて角でも銀でも取れるという事ですね。う~んこれは参考にしよう(^^)。

△42銀▲75馬△53歩
 澤田さんの選択は駒を節約した銀引き。まあそうしないと受け一辺倒になってしまって勝ち味が薄くなってしまうということかな?そして…・おおお、▲44馬で退路封鎖してから質駒にされている桂を跳ねだして飛車筋も通して一気に捌くかと思いきや、馬のラインを残しました!これは85の歩に紐をつけて後手の飛車が走る筋を消しつつの攻め、後手の勝ち筋が消されてる。なんだろう、指されればこの一手と思えるんですが、それを自分で気づけない自分の棋力の無さが泣ける(T_T)。。

▲43歩△同銀▲45歩
 うああ~何という嫌な銀のつり上げ。しかもこの4筋への嫌味のつけ方は…

△29馬▲48飛
 後手は馬が遊んだままでは勝負にならないのでその活用に行きますが、しかしその手に乗って飛車を嫌味をつけたばかりの4筋に振りました。逆にいうと、4筋の叩きを入れずにいきなり▲44銀と踏み込む方が直接的というか分かりやすい手だったと思うんですが、あそこで叩きを2発入れたのって、後手が馬を活用しに来るのを見越して入れてたんじゃないかなあ。。もう、相手の手を逆用する手のオンパレードです。しかしこれ、もう寄せの絵が見えてるんじゃないか…。

 ここから藤井さんは寄せに入り、馬も桂も捨て、相手の攻めも全部手抜いて一気に寄せ、最後はなんとも鮮やかなタダ捨ての金の打ち込みで澤田さん投了。いや~、終盤は速度という教科書のような寄せ、素晴らしかった!

 しかし、それ以上にすごいと思ったのはやっぱり中盤から終盤のあの指し回しでした。当たりを打たせるとか(今回澤田さんは打ちませんでしたが)、相手の手を逆用するとか(これは完全に狙い通りに入ってました…恐るべし)、いかにも味の良さそうな攻防手を常に絡めるとか(これもこの15手程度の中で何度も入ってました)、そしてそれらの部分的な手筋が綺麗に一本につながっているとか、こういうところがすごく創造的な棋譜だと思いました。この手の中終盤の指し回し、僕は『羽生善治の終盤術』ではじめて学んで感動、さらに谷川さんの『光速の終盤術』でさらに鳥肌がたって(この本はマジでスゴイ…僕にとっての3段の壁の突破はこの本によるところが大きかったかも^^)、将棋の芸術はこの中盤の創造力だなと思って現在に至るんですが、そういう芸術的な指し回しが面白いように飛んでくる藤井さんは、やっぱりすごい。棋書に出てくる終盤術の例なんて、綺麗にカッコよくきまった時のものだけを拾い出してると思うんですが、そういう指し回が毎局のように出てくるというのは、やっぱりすごいんでしょうね。羽生さんのデビューから7冠までの黄金期を見逃した僕としては、聡太さんの黄金期は見逃さないで行きたいです(^^)。マジで、中学生でタイトル取っちゃうんじゃなかろうか。。


実力制6代名人 加藤一二三さん引退

20170620_kato.jpg 第30期竜王戦の6組昇級者決定戦は、加藤一二三さんの引退がかかった一番でした。夕方、仕事終わってから急いでネットTVをつけたんですが、これが相矢倉だったとは思えない盤面図。しかも、先手加藤陣は崩壊で後手高野陣は堅牢、これは大差なんじゃないかと。以降は紛れを求める機会すらなし、アマチュアの僕ですら必負と分かる局面で、加藤さんが盤面を睨んだり何度も席を外したりして手を指そうとしなかったのが印象的でした。20時10分すぎ、加藤さんが投了して加藤さんの引退が決定。介錯の役を担った高野さんも、なかなかつらい役回りだったんじゃないかと。負けた後、感想戦もせずものすごい数の報道陣の取材も受けず、すぐにタクシーに乗り込んで帰ったようでした。色々な思いが錯綜していたのかも知れませんね。
 何年も将棋のブログなんてやるほど将棋に夢中になっていながら、実は神武以来の天才の棋譜や対局をあまり見た事がありません。昔の世代でも大山さんや升田さんや中原さんや米長さんの棋譜はそれなりに並べた事があるので、僕が矢倉で加藤流を指さないのが大きかったかも。あと、矢倉の勉強も、森下さんや森内さん以降の棋書での勉強だったので、世代差も想像以上に大きかったのかなあ。

 加藤さんの将棋でパッと思い出すのはNHK杯で羽生さん伝説の▲52銀打が飛び出し時の▲羽生-△加藤戦。そのまま定跡化したような大名局ですが、あれは今見ると米長さんの解説がメチャクチャ面白いので余計に名局に見えやすくなってる面もあるかも。古館さんの実況のおかげで名勝負になったプロレスとか、野村さんの解説で名試合になったプロ野球「江夏の21球」とか、シロウトには分かりにくい部分を実況や解説がうまく伝える事で名勝負が伝わりやすくなる時ってありますよね。それにしても、まだ新人だった羽生さんが名人経験者だった全盛期の加藤さんに対して棒銀を採用したという剛気には驚かされました。あのNHK杯は、大山永世名人・谷川現名人(当時)・中原前名人(当時)、そして加藤一二三前々名人という錚々たる名人をすべて総なめで羽生さんが倒して優勝したので、中原・加藤・米長の時代から、羽生世代の時代へと歴史が動いた瞬間の象徴的な名勝負でもあったのかとおもいます。

 解説者としては、テレビ対局の▲内藤-△有吉戦で、米長さんと一二三さんのふたりで解説していた将棋が印象に残ってます。大爆笑でした(^^)。先手石田流の対抗形、後手が矢倉に組んでいたのが、たかだかここ数年で将棋を始めた程度の僕にはすごく目新しくて、将棋自体も面白かったんですが、米長さんと一二三さんの漫才のような解説に全部もってかれちゃってました(^^)。予想手も形勢判断もことごとく二人は対立していて、やかましいぐらいに二人でベラベラと大討論するんだけど、次の一手が指される瞬間だけはシ~ンとなって…あの古典落語に匹敵するおもしろさも加藤さんと米長さんの解説あってのもの、今でもたまに見て大爆笑させてもらっているほどの名漫談解説です(^^)。

 将棋って、江戸から平成まで日本でいちばん楽しまれてきたゲームで、風呂あがりに縁台将棋したり、時の名人の将棋を見て感動したり、長年日本の風俗として文化の中に溶け込んでいた気がします。人って生まれて死にますが、その短い人生の中で、日本に生まれた庶民が楽しんだことのひとつだったと思います。少しだけ古い日本を扱った映画でもマンガでも、当時を描くのに将棋がよく出てきます。「じゃりン子チエ」なんて、せまいご近所さんたちとの生活の中で、猫がいて、お隣さんがいて、じいちゃんばあちゃんや親子の交流があって、大人の男は町のあちこちで将棋指したり、祭りに行ったり、祭りでは相撲が楽しまれていたりしてる様子が描かれてますが、それがなんとも幸福な社会に見えちゃうんですよ。もしその世界に祭りも将棋もなく、近所づきあいも現代みたいに希薄だったとしたら…そう考えると、当時の庶民の小さな幸せのひとつが将棋という表象をとっていたのかも。そういう社会の中で中学生でプロ入り、全冠独占の全盛期大山大名人を破り、その後の時代の代名詞となった中原永世名人から名人位を奪い取った加藤さん。長年にわたって、日本の文化風習の中でたくさんの人を楽しませてきたんじゃないでしょうか。加藤先生、ながいことお疲れ様でした!!

第88期棋聖戦 第2局 羽生善治 vs 斎藤慎太郎 (角換わり)

 棋聖戦は第1局がものすごい将棋。裏で聡太くんの対局もやってますが、僕的にはやっぱりこっち(^^)。さて第2局は角換わり。▲48金29飛-△62金81飛の形が指されるようになってけっこう経ちましたが、今でもこの形の優劣がプロの角換わり相腰掛け銀の争点になってるみたいですね。自分で研究なんてとてもとても、プロが結論まで出してくれた所に追いつくので精いっぱいの僕は、『これからの角換わり腰掛け銀』でようやく仕掛けが出来るようになったというのに、△62金81飛型で、またも打開に苦しんでおります(^^;)。。

20170617棋聖88-2_羽生vs齊藤慎_角換43手 ただいま昼食休憩前。後手の斎藤さんが手待ちしたのに対し、先手羽生棋聖は…おお~手待ちせずに行きました!今回の棋聖戦、1日制だからかどうかわかりませんが、羽生さんは指し手がえらく積極的で攻撃的。この形で▲25歩を入れていないのは、なんかあるんだろうな~とは思ってたんですが。でもこれ、すぐに6筋がつけるわけではないですよね。右玉崩しの角を打つか、銀を繰りかえるか…しかし、先手以上にビックリしたのはここからの後手斎藤さんの構想でした。

△42銀
 うああ~左銀を引いたよ(゚ロ゚ノ)ノ。これは玉を右に入れようという事ですよね。。右玉の守りが異常にヘタな僕は、矢倉側じゃなくって右に玉を寄せる人を見るだけで「すげえなあ」と思ってしまうんですよね(^^)。しかも、先手が右辺を狙っているというのに。でもこんな構想、ぜったいに研究した上で指してるんだろうなあ。

▲47銀△61玉▲56歩△72玉▲46銀
 やっぱり後手は右玉にガッチリ囲いました。それを見て羽生さんは角打ちを保留して銀の繰り替え、力を貯めます。さて、ここで昼食休憩。先手が▲25歩を保留している以上、後手は左銀は中央に使うでしょうから、昼食休憩後は△53銀の一手ですかね。そこで先手が仕掛けるか、駒組みを進展させるか(とはいってもあとは▲25歩ぐらいしか残ってないかな?)といった感じ。後手は先手次第というか、攻めてくればカウンター狙いで、駒組み進展ならむしろ後手の方が指したい手は多そうなので歓迎かな?だとしたら、先手は△53銀を待ってからすぐ開戦かな?いや~、いくら一日制とはいえ、これは早い展開に見えます。さて、どうなるでしょうか。このまま観ていたいけど、もう出掛けなくては。帰ってくる前に終局になっていない事を祈るばかりです ( ̄人 ̄)。

* * * * * *
 帰ってきました、間に合ったかな…おお、まだやってました、しかも終盤の超おもしろそうなところ(^^)。しかも、さっき昼食休憩後は△53銀の一手だなんて偉そうに言いましたが、斎藤さんの指し手は△51飛。しかも、それがひと目いい手。やっぱりプロは違う。。
20170617棋聖88-2_羽生vs齊藤慎_角換83手 そしてこの△51飛がいい手だったか、先手羽生さんの方が苦労の多そうな将棋に。▲98香なんて穴熊へのトランスフォームを見せてはいますが実質一手パスですもんね。そして、右玉の急所を狙う角打ちに角あわせ、別の場所での角の打ち合い、角金交換から金を打ち込んでの角金交換の取り返しなど、かなり壮絶な中盤。いや~こういう速度勝負の大喧嘩の中盤は、僕の棋力ではどっちがいいのか全然わかりません(^^;)。これだけ手の広い所で、互いによく速度勝負に踏み込めるもんだ。そしてなだれ込んだのが83手目盤面図。遊び駒の少なさでいえば後手の方がまとまりがいい気がしますが、しかし先手がようやく打ち込んだがら空きの後手コビンを狙った角が強烈。いやあ、玉が避けて飛車を抜かれるようでは先手優勢に思えるので合駒の一手ですが、この合駒がムズカシイ。。角を合わせて消すか、銀を引いて節約するか…

△63金打
 うああ、いちばん手厚い駒を貼りました!!なるほど銀引きでは質駒の桂を抜かれた後、金で補強しにくいという事かな?

▲95歩△96歩
 ここで突かれた9筋の歩を取りますが、手筋で裏から歩を打たれました。これは先手は端を受け切るのは無理そう。後手の端攻めと先手のコビン狙いの速度勝負かな…

▲21と△86歩▲同歩△95銀
 いやあ、先手も後手もすべてある手だとは思うんですが、他にも候補手が山積みの中でよくこの一手が選べるな…。先手は端を相手にしてたらむしろ速くなりそうなので質駒の桂を拾って▲55桂を急ぐ感じでしょうか。後手も香を走る手とかもありそうでしたが、銀を使うなら8筋ですね。しかしここで手番が先手に渡り…

▲55桂
 先手、待望の桂打ち!先ほど節約せずに守りに金を投入した以上、斎藤さんここは受けずに攻め合いに行くでしょう!問題はその迫り方ですが、△97歩成▲同香△96歩か、ストレートに△86銀から入るか、△87歩で先手の応手を見るか…

△86銀▲同銀△同飛▲87歩
 ド直球でキタ―― (o゚∀゚o) !!!いやあしかしここで飛車を引いて、後手速度的に大丈夫なんでしょうか。

△97歩成▲同香△同香成▲同桂△96飛
 後手攻めを繋いだあああ―― (o゚∀゚o) !!!いやあこれは先手陣際どいですが、なんと下段飛車がめっちゃ利いてますね。さて、ここで手番が先手に。

20170617棋聖88-2_羽生vs齊藤慎_角換101手▲75香(101手目盤面図)
 いやあ…言葉が出ない、そこから入るのか。なるほど先手は受け続ける事は出来なそうだけど詰めろになっていないから、いちばん金駒を渡さなくても済みそうな順から入って万全なのか、驚いたよ。やっぱり羽生さんはすごいわ。。。

△77歩▲74香
 ここは読み切れているかどうかというより、どちらもこの一手ですね。後手は△75同銀では桂の成り込みから早くなってしまうので踏み込むしかないし、先手も▲77同金では飛車切られて桂打ちとか△77角とかいろいろ飛んできそう。

△78歩成▲同玉
 いや~ここで後手は一手空きに出来る手がないです。ああこれは先手明快に良くなったんじゃないかという気がします。

ここから先手羽生さんは敵の駒を抜きながらの寄せ。しかも自陣は2手空き以上なので、勝負あったという感じでした。以下、さすがにプロという綺麗な寄せ。斎藤さんの形作りも美しく、125手にて先手羽生さんの勝ち!羽生さん、2連勝です!!

 いや~83手目から互いに速度勝負に踏み込みましたが、あれだけ色々な順がありそうなところで踏み込める両者がスゴイです。そして第1局と同じように、殴り合いになると羽生さんが鬼のように強い!先手が玉のラインに角を打ち込んだ時に既に先手よしだったのなら仕方ないですが、あそこでバランスが取れていたのだとしたら、以降の斎藤さんに緩手があったようにはとても見えなかったけど、どこだったんでしょうか。あるとしたら、いちばん硬く受けに行った△63金打か、あの端攻めの順か、その辺りだと思うんですが、しかし桂が質駒になっている以上は△63金打が悪いとは思えないなあ。プロの解説を見る限り、攻めを繋げに行った△97歩成から△96飛の一連がまずかったような書き方もされてましたが、でもあそこで飛車引いても手番を先手が握って桂の成り込みも質駒の香を抜かれての▲75香もやっぱり飛んできますよね。だからそれも延命治療にしか思えませんでした。

 いや~、いつかの記事で「僕が何分もウンウン考えてやっと解いた詰め将棋を斎藤さんはものの数秒で解いていた」なんて書きましたが、プロ間でも詰め将棋が相当に強いという斎藤さんですら、去年のNHK杯で終盤に康光さんにひねられてひっくり返されたり、羽生さん相手にムズカシイまま終盤になだれ込むと力負けしてしまいます。
最近攻防手の本を解いていた事もあるんですが、やっぱり本将棋の終盤力と詰め将棋は少し違うんでしょうね。今日だってギリギリの接戦に見えたんですが、紙一重に見えて越えられない壁、それが衰えたと言われながらも3冠を保持する怪物の終盤力なのかも。素晴らしい将棋でした、面白かった!!


プロフィール

ShougiX

Author:ShougiX
駒の動かし方を知っていた程度の初心者です。せいぜい1日1時間ぐらいしか将棋に時間を割けない社会人が、ガンバって1年で初段になる事が目標です!
(*追記)10ヶ月ちょいで初段到達!!ただいま、居飛車側から各戦型に対応できるよう奮闘中(汗)。。

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