第66回NHK杯 郷田真隆 vs 高見泰地 (横歩取らず)

 圧倒的じゃないか…郷田さん強い。今日の将棋は横歩取り調の出だしから、先手郷田さんが横歩取らず。1回戦でここ数年絶好調でA級まで登り詰めた稲葉さんをスウィープした若手期待の高見さん(23歳、C2で目下4戦全勝!)をまったく寄せ付けませんでした。昨年あたりから王将戦以外ではB級陥落や頓死や2歩など、ちょっと衰えてきてしまったのかと思っていたんですが、やはりタイトル6期かつ現タイトルホルダーは将棋のレベルが段違いなんだなと思わされました。本当に凄かった…

20160925NHK66_郷田vs高見_横歩取らず56手 序盤で先手郷田さんは横歩取らず。対する高見さんもまた横歩を取らずに、これで力戦模様。序中盤が構想勝負になりましたが、こうなるとさすがに郷田さん強いです。構想も指し手も、書き切れないぐらい見事でした。最後の▲12角に至っては、指された瞬間に驚きのあまり声が出てしまいました(56手目盤面図の次が▲12角!)。感想戦で高見さんも「僕の寄せでは知らない手」みたいな言い方をしていたので、プロでも見えにくい凄い手だったんだと思います。

 今日は単手数で終わったので(横歩のしかも力戦調では仕方ないですね^^)感想戦が先週に続いて30分ぐらいあったのですが、この感想戦がまたすごかったです。初手から視聴者に分かりやすいように、郷田さんも高見さんもそれぞれの局面でどういう判断をして指していたかを話しながら進めてくれたんですが、とにかく変化の多い作りのこの将棋で、そこまで読んで指していたのかと驚愕。僕の中で、この感想戦は永久保存版です!!あ、あと、郷田さんが「最近は横歩を取って負かされてばかりだから」みたいに言っていたのも印象的。羽生さんに限らず、今は横歩△33角戦は研究勝負の側面が強くて先手苦労する戦型なのだな、とあらためて思いました。あと、高見さんの「本当は△32歩と打ちたかったけれど、テレビですし」というのも笑えました(^^)。

 やっぱり横歩はオソロシイ。プロの現状の本線は△33角ですが、それに代えての△33桂や角交換はもちろん、それ以前の横歩取らず、相横歩、相掛かりへの合流などなど、アマで指していると△33角に辿りつかない事も多々あって、△33角の研究以前に、その前の変化でしておかなきゃいけない定跡勉強が大量にあるんですよね…。私は現在▲46銀37桂が通りにくくなって以降の、急戦を含む矢倉研究に時間を奪われていて横歩の再研究が後回しになっちゃってますが、いつかやらなきゃ…。羽生の頭脳はアタマに叩き込んだんですが、それですら久々の局面になると「あ、あれ?こっからどうするんだっけ?」となってしまうし(特に相横歩がヤバい)、また飯島さんの本に至ってはまだ読めてません。あれは凄い本らしいので、絶対に読みたいんです…。


第64期王座戦 第2局 糸谷哲郎 vs 羽生善治 (後手藤井システム)

 昨日は午前中から深夜まで仕事でした。仕事にでかける前、中継サイトで王座戦の戦型だけチェックしていこうとすると…うああああ、羽生さん、藤井システムだああああ!!!これでずっと将棋が気になって仕方ない状態に(^^;)。。

20160920王座64-2_糸谷vs羽生_後手藤井システム73手 翌朝ようやく帰ってきて、倒れるように眠りについたもので、今ごろ棋譜をチェックしているのですが…いや~、すばらしい熱戦、糸谷さんの序盤の指し回しも見事なら、中盤での羽生さんもまたすごかったです。見ていて、個人的に勉強になったのは、羽生さんが銀取りを逃げずに歩を垂らした74手目。ここは△46銀▲同銀△同角で抜かれそうな銀を交換して捌きつつ、角をいい所に出る以外の手なんてないと思ったのですが、本譜は…

△46歩▲58飛△47歩成▲68飛

いやあ、言葉が出ない…。と金を作る方がキツいのか、これは見るたびにジワジワと冷や汗が出るというか、よくもそんな判断が出来るものだと驚いてしまいました。以降も互いにトンデモナク高度な指し回しだったと思うのですが、特に羽生さんの受けが鉄壁、すごすぎます。糸谷さんの攻めに便乗して羽生さんが自玉をどんどん固めてしまい、結果だけ見れば受け潰した格好。でも、糸谷さんは無理攻めしたわけではなく、▲47歩の垂らしの時点で先手は既に悪いと思っていたのかも知れません。結果、170手にて後手羽生さんの勝ち、2連勝!

 最近少し思うのは、悪いと思ってからの糸谷さんの中盤や終盤の逆転術に関して。僕らアマチュアだったら100発100中で引っかかるというか、ものすごい頭の回転の速さだなと感激してしまうんですが、最近のプロ将棋では、上位棋士がそれを見切り始めている(場合によっては逆用すらしている?)ような気も。羽生さんも渡辺さんも、対糸谷戦では終盤でより多くの時間を残すようにして、必要ない所ではノータイム指しで応酬。中盤の難しい所では多少悪くても着実な手を指して糸谷さんが技をかけに来るのを待って正確に応手、終盤の糸谷逆転術も時間を残してじっくり考えてあせらず正確に受けるもので、まるで糸谷さんが自滅させられているように見えてしまいます。もちろん、そんな事が出来るのはトップ棋士の一握りの、しかも「転ばない」系の人に限られるとは思うんですが…。
 いずれにしても、王座戦は2局とも素晴らしい大熱戦、第3局以降も素晴らしい将棋を見せて欲しいです!!


第66回NHK杯 豊島将之 vs 久保利明 (ゴキゲン中飛車)

 自分の本の出版が決まりました!!とはいえ、専門書なもので、そんなに売れないというのが最初から分かっているもので、これで生活が楽になる事はないと思うんですが、本業でそれなりの仕事を果たす事が出来たのは嬉しいです(^^)。好きな将棋を控え目にして頑張った甲斐がありました。というわけで、王位戦も順位戦も一応は見ていたんですが、ブログを書く暇がありませんでした。王位戦第6局、土俵際に追い込まれていた羽生さんの右玉からの大技、凄かった!あんな成り捨てを前提にした構想なんてどうやれば出来るようになるんでしょうか。僕なんて、1手前ですらそれに気づかなかったよ。。それどころか、反撃狙いではなくて完全に主導権を取る鉄壁の右玉なんて、僕が知っている右玉と全然違う(^^;)。あと、B1での郷田-糸谷戦。郷田さん、昨年からどうしちゃったんでしょう…よもやとは思いますが、郷田さんがB2に落ちるのは見たくないなあ。逆に、B1で凄いのが久保さん。阿久津さんや木村さんを倒しての全勝!!順位がいいだけに、一期でのA級復帰もあるかも。長く続いた羽生世代の時代は関東中心だったように思いますが、今は関西の方が勢いがありますね。

20160918NHK_豊島vs久保_後手ゴキ中48手 というわけで、今日のNHK杯も好カード、豊島さんと久保さんでした。そして…いやあ、急戦調の居飛車対振り飛車となると、久保さんの捌きの見事さが爆発してしまいますね。実際の形勢は分かりませんが、早指し戦で久保さんに角を捌かれてしまったら、勝つのは相当に難しくなっちゃうんじゃないかと思いました。△59角成と角を捌かれてしまった後(48手目盤面図)も、僕レベルのアマ同士だったら、最善手ではないかも知れませんが▲39飛△26馬▲65歩で、馬を自陣に張り付かせたままにしておかないで、馬をどかしてから歩を切り取った方が、アマなら頑張りやすいんだろうな…なんて思って見てました。でもあの辺で殴り合いに行けるかどうかが、プロとアマの差なのかも知れません。僕なんかだとその辺までしか考えられないけど、プロなんてその後の読みも入ってるに決まってますしね。また、超速に行った以上は…というプロとしての矜持もあったかもしれません。最後は、久保さんから△75銀なんていう華麗なタダ捨ての順も飛び出して、久保さんの勝ち!久保さん、魅せにいったな( ̄ー ̄)。

 いや~、久保さんの将棋は面白いです。相変わらず中盤の構想力と終盤力がハンパない。もちろん強いんですが、それ以上にうまいという感じでしょうか。華麗さ満載の久保将棋でした(^^)。一方の豊島さん、どう考えたって強い棋士なのに、タイトル戦でも順位戦でも、紙一重のところで微妙に届かない感じ。今期の順位戦も、良い成績ではあるんだけど1敗していて、成績いいけどトップではない…みたいな、ギリギリ届かない感じなんですよね。好きな棋士のひとりなので、なんとか突破していってほしいです(^^)。


第66回NHK杯 深浦康市 vs 先崎学 (角換わり)

 現在絶好調の深浦さんなので、当然深浦さんが勝つと思ってたんですが、そう簡単にはいきませんでした。もつれにもつれた熱戦(^^)。NHK杯だからというのもあるのかも知れませんが、穏便な手を避けて踏み込んだ積極的な手を互いに指してくれて、面白かった!

 特に印象に残ったのは、先崎さんが序盤で飛車を引かなかったところと、深浦さんの▲56歩。先崎さん、中盤入り口あたりでおとなしく飛車を引かず、浮いたまま5筋に振りました。いやあ、こんなのいかにも飛車が捕まりそうで、僕には絶対に指せないなあ。一方の深浦さんも、終盤の入り口で、銀の割り打ちを手抜いて指した手が凄かった!

20160911NHK66_深浦vs先崎_角換腰掛銀54手▲56歩
 うああああ・・・この状況で王手優先でも▲68金右でもない手というのがありうるのか?!どうやったらこんな手を思いつくんだろうかと驚かされました。タダで取らせての角打ち狙いなんでしょうが、しかしこちらの手に乗って後手の攻めまで呼び込むので、速度負けしないんだろうか。これも僕程度の棋力ではとても指せない…というか、こんな手があるなんて思いつきもしなかったです(゚ω゚*)。というわけで、お互いに通れば好手、負ければ疑問手となりそうな積極的な手が色々出してきて、面白かった!そんなふうに互いに穏やかに行かない順を何度も選ぶものだから、終盤が超難解。この難解な局面が、逆転が何度も起きた終盤戦を呼び込む事になりました。

 結果は深浦さん勝ち。いやあ、序盤で工夫、中盤はアマではちょっと見えにくい筋、終盤は逆転の連続と、まるで視聴者を楽しませるための台本が書いてあったかのような極上のエンターテイメントでした!面白かった(^^)


第64期王座戦五番勝負 第1局 羽生善治 vs 糸谷哲郎 (一手損角換わり)

 名人戦、棋聖戦、王位戦、王座戦と、羽生さんはタイトル戦の連続。しかも、王位戦と王座戦は掛け持ちになってしまいました。そして1日制の王座戦の相手は超早指し早見えの糸谷さん。糸谷さんの棋風としては2日制よりも1日制の方が合っていると思うので、これはタイトル奪取の可能性が結構あるかも。。羽生さん、年齢的にどんどんきつくなってるとおもいますが、防衛してほしいなあ。

 将棋は糸谷さん得意の後手番一手損角換わり。すごいなと思ったのは、糸谷さんの序盤構想。△65歩~△73角で先手飛車の空いたコビンをねらい、そして同時に飛車を4筋に振る事で受けながら4筋の歩を伸ばし、先手の棒銀を咎めにいった事でした。いやあ、よくもこんな構想を思いつくし、指せるものだな…。糸谷さんは、構想の立て方が想像力に富むというか、見ていてすごいと思わされます。
20160906王座64-1_羽生vs糸谷_一手損角換44手 しかしそれを上回ったのが羽生さん。驚くのは形勢判断力で、銀取りを掛けられた時に、一気に優劣をつけに行く45手目▲26角以下の構想が驚異。

(44手目盤面図から)▲26角△36歩▲53角成△52銀▲42馬

 なんと、銀損と引きかえの飛角交換。これでやれると判断できる所が異次元です。以降もアマから見ると相当に指しにくい手が多かったのですが、指し手が早かったので、飛角交換の構想の時点で、以降の後手玉への迫り方のイメージはできていたように見えました。実際にこの技のかけ返しに糸谷さんが応じた事で先手が良くなっていたのであれば、じゃあこの筋に応じない手が後手にあったかと言えば…受けるなら△44角とかかもしれませんが、これだと受けているだけというか、大元の構想であった4筋への飛車振り自体が無力化してしまいますし、そうであれば▲26角を打ち込まれた時には、既に糸谷さんまずかったのかも知れません。そういえば羽生さん、何年か前の対郷田戦の急戦調の将棋で、中盤からあっという間に寄せてしまった驚異の中盤がありましたが、その将棋と似たような印象。

 糸谷さんからみれば、堅さ負けと歩切れを咎められ、中終盤で技を掛け返されて押し切られてしまった形だと思うのですが、なにせ一手損角換わりですからね、大流行していた頃と違い、不利な後手が博打を打つような戦型であると思うし、右玉のつかい手でもある糸谷さんが自陣を固めるのではなく玉を広くしつつ攻守のバランスを指し進めたスタイルは、棋風にも理屈にも合っているように思いました。そういう指し方をしたら、負ける時はこんなものというか、こういう負け方を覚悟しておかないと一手損は指せないんでしょうね。この将棋、両者の良さが出た見事な将棋だったと思います。かえすがえすも、序盤の糸谷さんと中盤の羽生さんの踏み込みと技の掛け方が凄かった…。何度も棋譜を見返していますが、僕はいまだに銀損からの飛角交換への踏み込みがオソロシイ…というか、交換以前に▲26角打自体が考え付きもしないんですが(^^)。。


プロフィール

Author:ShougiX
駒の動かし方を知っていた程度の初心者です。せいぜい1日1時間ぐらいしか将棋に時間を割けない社会人が、ガンバって1年で初段になる事が目標です!
(*追記)10ヶ月ちょいで初段到達!!ただいま、居飛車側から各戦型に対応できるよう奮闘中(汗)。。

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